JPH0588107B2 - - Google Patents
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- JPH0588107B2 JPH0588107B2 JP62503421A JP50342187A JPH0588107B2 JP H0588107 B2 JPH0588107 B2 JP H0588107B2 JP 62503421 A JP62503421 A JP 62503421A JP 50342187 A JP50342187 A JP 50342187A JP H0588107 B2 JPH0588107 B2 JP H0588107B2
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Description
請求の範囲
1 酵母がオキシダーゼを生産する条件下で酵母
を好気的に培養し、必要に応じて産生オキシダー
ゼを酵母細胞から単離することによるオキシダー
ゼ又はオキシダーゼ含有混合物又はオキシダーゼ
含有標品の製造方法にして、オキシダーゼ遺伝子
の発現を誘導はするがオキシダーゼに対する基質
ではない少なくとも1種の化合物の存在する酵母
に適した栄養培地中で酵母のカタラーゼ陰性突然
変異株を生育させることを特徴とする方法。 2 特許請求の範囲第1項記載の方法において、
ハンセヌラ(Hansenula)属又はピキア
(Pichia)属の酵母、特にハンセヌラ・ポリモル
フア(Hansenula polymorpha)種又はピキア・
パストリス(Pichia pastoris)種に属する酵母
のカタラーゼ陰性突然変異株、より詳細にはカタ
ラーゼ陰性突然変異株ハンセヌラ・ポリモルフア
55/11(ATCC46059)を使用することを特徴とす
る方法。 3 特許請求の範囲第1項又は第2項記載の方法
において、組換えDNA技術もしくはその所産を
用いて変異させた酵母にして、その遺伝情報がメ
タノールオキシダーゼ(MOX)プロモーター、
特にハンセヌラ・ポリモルフアCBS 4732株の
MOXプロモーターの制御下にある酵母を使用す
ることを特徴とする方法。 4 特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか
1項記載の方法において、オキシダーゼとしてメ
タノールオキシダーゼ、特にハンセヌラ・ポリモ
ルフアCBS4732株の公知のメタノールオキシダ
ーゼと同じアミノ酸配列を有するメタノールオキ
シダーゼもしくは酵素工学により得られる上記配
列の誘導体を生産させることを特徴とする方法。 5 特許請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか
1項記載の方法において、オキシダーゼ遺伝子の
発現を誘導はするがオキシダーゼに対する基質で
はない化合物としてホルミエート又はホルムアル
デヒドを使用することを特徴とする方法。 6 特許請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか
1項記載の方法において、酵母を連続培養で培養
することを特徴とする方法。 7 特許請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか
1項記載の方法において、選択した酵母種に適し
た炭素源及びホルミエートの存在下で酵母を培養
し、ホルミエート対炭素源のモル比が0.5:1乃
至4.5:1、好ましくは2:1乃至4.5:1である
ことを特徴とする方法。 8 特許請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか
1項記載の方法において、選択した酵母種に適し
た炭素源及びホルムアルデヒドの存在下で酵母を
培養し、ホルムアルデヒド対炭素源のモル比が
0.1:1乃至3:1、好ましくは0.5:1乃至2.5:
1であることを特徴とする方法。 9 特許請求の範囲第1項乃至第8項のいずれか
1項記載の方法において、炭素源としてグルコー
スを含む栄養培地中で酵母を培養することを特徴
とする方法。 10 特許請求の範囲第1項乃至第9項のいずれ
か1項記載の方法において、産生オキシダーゼを
無酸素条件下で酵母から単離することを特徴とす
る方法。 説明書 本発明は酵母がオキシダーゼを生産する条件下
で酵母を好気的に培養し、必要に応じて産生オキ
シダーゼを酵母細胞から単離することによるオキ
シダーゼの製造方法に関する。 オキシダーゼは基質特異的な酸化反応を触媒し
てH2O2を生成する酵素である。オキシダーゼの
一例としてハンセヌラ・ポリモルフア
(Hansenula polymorpha)、カンジダ・ボイジニ
(Candida boidinii)、ピキア・パストリス
(pichia pastoris)などのようなメチロトローフ
酵母をメタノールで生育できるようにするメタノ
ールオキシダーゼ(MOX)が挙げられる。
MOXはメタノールをホルムアルデヒドと過酸化
水素とに酸化する反応を触媒し、そのとき分子状
酸素が電子受容体として作用する。生成したホル
ムアルデヒドは同化作用(この場合、細胞物質は
キシルロース一リン酸経路で生産される)又は異
化作用(この場合、ホルムアルデヒドはギ酸、最
終的には二酸化炭素に変換される)に用いられ
る。ホルムアルデヒド生成後のこれらの過程にお
いては、別の酵素が重要な役割を果たしている。
即ち、同化過程ではジヒドロキシアセトンシンテ
ターゼが重要であり、異化過程ではホルムアルデ
ヒドデヒドロゲナーゼとホルミエートデヒドロゲ
ナーゼが重要な酵素である。オキシダーゼによつ
て生じる過酸化水素はこれらの微生物に対して必
常に強い毒性を有しており、現在理解されている
ところでは、別の酵素、即ちカタラーゼによつて
直ちに無毒化される。 その他のオキシダーゼの例としては、アルコー
ルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グリ
セロールオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダー
ゼ、アルデヒドオキシダーゼ、アミンオキシダー
ゼ、アリールアルコールオキシダーゼ、ガラクト
ースオキシダーゼ、ソルボースオキシダーゼ、尿
酸オキシダーゼ及びキサンチンオキシダーゼが挙
げられる。 オキシダーゼは様々な用途に使用できる。重要
な用途は洗浄組成物及び漂白組成物の分野にあ
り、洗浄又は漂白時にオキシダーゼが存在する
と、仮にオキシダーゼに対する適当な基質が同時
に存在すれば、過酸化水素をその場で生成させる
ことができる。過酸化水素は漂白剤活性を呈する
か、TAED(テトラアセチルエチレンジアミン)
のような漂白剤前駆体との協同作用によつて過酸
のような低温活性漂白剤を生成させ得る。このよ
うに洗浄剤又は漂白剤自体は過酸化水素を全く含
まずに洗浄又は漂白プロセスにおけるその場での
過酸化水素の生成を触媒する酵素のみを含む系の
利点は、プロテアーゼやリパーゼなどの洗剤組成
物成分の貯蔵時並びに輸送時の不活性化を防止で
きる点にある。オキシダーゼのかかる用途は英国
特許公報第1225713号、同第2101167号、及び独国
特許公報第2557623号に記載されている。 オキシダーゼの別の用途は定量及び/又は定性
分析の分野にあり、例えば調査したい系(培養液
など)のアルコール含量を測定するのに用いるこ
とができる。この分析は、生成過酸化水素の量を
ペルオキシダーゼで触媒される着色物質の酸化に
よつて測定することに基づく。 オキシダーゼは化学合成又は廃物精製プロセス
の枠内において基質の酸化を触媒させるために使
用することもできる。 これらのほとんどの用途においてはオキシダー
ゼがカタラーゼ(これは生成する過酸化水素を分
解する)を含んでいないことが非常に重要であつ
て、このことは特に洗浄組成物又は漂白組成物の
成分としての用途並びに分析用助剤としての用途
に対しては間違いなくいえる。しかし、例えばハ
ンセヌラ・ポリモルフア、カンジダ・ボイジニ、
ピキア・パストリスのようなメチロトローフ酵母
をメタノールで培養したときに得られるようなメ
タノールオキシダーゼ(EC1.1.3.13)などのよう
に微生物を用いて生産したオキシダーゼに関して
は、以下に述べるような問題があることが良く知
られている。即ち、これらのオキシダーゼは、生
成した過酸化物を即座に分解する天然のカタラー
ゼを常に伴つており[ビーンハイス(Veenhuis,
M.)、ヴアン・デイツケン(van Dijken,J.P.)
及びハーダー(Harder,W.)著「アドバンシ
ズ・イン・マイクロバイアル・フイジオロジイ
(Advanes in Microbial physiologv)」第24巻
(1983)1−82頁、ローズ(Rose,A.H.)、ガリ
ース・モリス(Careth Morris)及びテンペスト
(J.Tempest,D.W.)編、アカデミツク・プレ
ス・ニユーヨーク]、そのため有効な漂白剤活性
が得られなくなり、また基質濃度を正確に分析す
ることも不可能となる。生産物からカタラーゼを
大部分除去するか又はカタラーゼを不活性化する
ことによつてカタラーゼを実質的に含まない活性
オキシダーゼを得る方法が公知であることは事実
であるが(例えば英国特許第2101167号参照)、こ
れらの方法(イオン交換クロマトグラフイー又か
ゲル濾過によるカタラーゼの除去、ドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)又はアジ化ナトリウムによる
カタラーゼの不活性化など)を工業的に応用しよ
うとしても費用がかかり過ぎてしかも面倒であ
り、また多くの場合適当でなく、アジ化ナトリウ
ムを用いる場合は毒性物質が導入されることにも
なる。 従つて、カタラーゼを含まないオキシダーゼを
工業的かつ経済的に満足のいく方法で得る方法が
必要とされている。カタラーゼ陰性突然変異株を
使用するような微生物による生産法を用いればこ
の条件を満足できそうである。しかし文献に基づ
く限りでは、仮にオキシダーゼの基質を(微生物
の良好な生育及びオキシダーゼ遺伝子の強い発現
のために)添加した栄養培地で培養した場合、カ
タラーゼを含まないオキシダーゼは死滅すると予
想されるので、この方法は実現不可能と思われ
る。 メタノールオキシダーゼ(MOX)の場合、
MOX、ホルミエートデヒドロゲナーゼ、ホルム
アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ジヒドロキシアセ
トンシンテターゼ及びカタラーゼの産生はグルコ
ース抑制を受けるだけでなく、グリセロールとマ
ンニトールとの抑制を受けることが公知である。
MOXの抑制解除はグルコース、グリセロール又
はマンニトールの濃度を非常に低くして微生物を
培養した場合に起こるが、それでも依然として
MOXの産生は比較的少ない。 本明細書の十分な理解のために、幾つかの用語
を定義付けするのが適切である。インデユーサー
は、プロモターと相互作用すること、有効なリプ
レツサーを不活性化すること、もしくはリプレツ
サー遺伝子をブロツクすることによつて、遺伝子
の転写を促進する化合物である。リプレツサー
は、プロモーターと相互作用するかリプレツサー
タンパク質遺伝子を活性化することによつて遺伝
子の転写をブロツクする化合物である。遺伝子産
物の合成(遺伝子の転写)は、インデユーサーの
作用(誘導)、もしくはリプレツサーで制御され
る抑制の解除(抑制解除)によつて起こる。 メタノールは回分培養においても連続培養にお
いてもMOXに対するインデユーサーとして作用
する。回分培養並びに連続培養において、グリセ
ロール、ソルビトール、グルコース及びエタノー
ルはMOXに対する公知のリプレツサーである。
回分培養及び低稀釈率での定常状態連続培養にお
いて、グリセロール、ソルビトール及びグルコー
ルの濃度を低くするとMOXの抑制解除が起き
る。 MOX合成の完全な誘導は微生物を、メタノー
ルを唯一の炭素源として培養した場合、或いはメ
タノールとグルコース、グリセロール又はマンニ
トールとの特定混合物で培養した場合にのみ起こ
ることが知られている[Eggeling and Sahm.
Arch.Microbiol.127,(1980)119−124及びArch.
Microbiol.130.(1981)362−365参照]。上記文
献の著者達は、酵母ハンセヌラ・ポリモルフアに
関する実験から、メタノールの代謝産物ではなく
メタノール自身がMOX合成の誘導を担つている
との結論を下している。これらの刊行物から、抑
制状態又は抑制解除状態の発想レベルは誘導状態
の発想レベルに比べると低いと判断できる。即
ち、発現レベルは、完全なグルコース抑制下では
1〜2%台であり、低生育速度の連続培養におけ
るグルコース又はグリセロール抑制解除下では約
10%台である。実際、上記刊行物の一つ[Arch.
Microbiol.127,(1980)119−124]には、ハンセ
ヌラ・ポリモルフアのカタラーゼ陰性突然変異体
(変異株55/11として示されている)はメタノール
上では生育しないが、抑制解除条件下にグリセロ
ール上で生育させるとMOXを生産することが記
載されている。回分培養におけるカタラーゼ陰性
変異株のMOX産生量は、野生株(即ち、カタラ
ーゼも産生する株)がグリセロール上で産生する
量の約50%であつた。メタノール上で生育させた
野生株のMOX産生量と比較した場合のカタラー
ゼ陰性変異株のMOX産生量は約17%に過ぎなか
つた。カタラーゼを含まないオキシダーゼ標品
は、このように生産性が比較的低く、工業的規模
の生産には不適である。 上記の文献の他にも、関連性はさほどないが挙
げておく価値のある文献が幾つかある。G.T.
Miwa他のArch.Biochem.Biophys.187,(1978)
464−475に関するChemical Abstracts88(1978)
185105wの記載によれば、チトクロームP−450
とNADPHとを含みカタラーゼとアルコールデ
ヒドロゲナーゼを含まない再構成系によるエタノ
ールの直接酸化が記載されている。NADPHの
存在が必要とされることから、この系は分子状酸
素でアルコール化合物を酸化することのできる
MOXのようなオキシダーゼとしては作用してお
らず、従つてそこに記載の系は異なる系であつ
て、オキシダーゼを生産するような酵母のカタラ
ーゼ陰性変異株の使用に関して何等情報を与える
ものでも教示するものでもない。 欧州特許公開番号第0019937号(EP−A−
0019937、フイリツプス・ペトロリウム・カンパ
ニー)には、アルコールオキシダーゼの製造方法
が記載されているが、この方法では例えばピキ
ア・パストリスのようなピキア(pichia)タイプ
のメタノール資化微生物が使用されている。ま
た、ピキア属のメタノール資化微生物から得た反
応 PCH2OH+O2−−→RCHO+H2O2 (式中、RはH、CH3、C2H5、又はC3Hであ
る)を触媒する酵素標品も記載されており、その
記載によればカタラーゼを含まない酵素は何段階
かの精製処理を経て製造される。この方法は本明
細書の前半で述べた欠点を有している。さらに上
記特許公報自体、精製アルコールオキシダーゼ中
にある程度のカタラーゼが依然として存在するこ
とを示唆している。 欧州特許公開番号第0071990号(EP−A−
0071990、フイリツプス・ペトロリウム・カンパ
ニー)には、水溶液から周囲の酸素を除去するこ
とが記載されているが、この除去はアルコール
(及び任意にはカタラーゼ)存在下でアルコール
オキシダーゼを含む脱酸素酵素系によつて触媒さ
れる。ハンセヌラ属とピキア属の酵母を使用でき
るが、本発明のカタラーゼ陰性変異株の使用に関
しては記載も示唆もされていない。反対にカタラ
ーゼが存在してもよいとされており、この酵素標
品の性質と目的は本発明のものとは異なるもので
ある。 驚くべきことに、オキシダーゼ遺伝子の発現を
誘導するがオキシダーゼに対する基質ではない少
なくとも1種の化合物の存在する酵母に適した栄
養培地中で酵母ハンセヌラ・ポリモルフアのカタ
ラーゼ陰性変異株を生育させた場合、カタラーゼ
を含まないメタノールオキシダーゼの微生物的生
産が序言で述べたような方法により工業的規模で
実現できることが今回判明した。 しかし、本発明はメタノールオキシダーゼの生
産に限定されるものではない。遺伝子工学を用い
て、好ましくは強力なMOXプロモーターの制御
下にある、別のオキシダーゼ遺伝子を含む酵母、
特にハンセヌラ属及びピキア属の酵母を得ること
ができる。意図する用途に応じて、D−アミノ酸
オキシダーゼなどのような必要とされる他のオキ
シダーゼを存在させることができる。 上記のカタラーゼ陰性ハンセヌラ・ポリモルフ
ア以外に他のカタラーゼ陰性酵母も使用できる。
生産するオキシダーゼに応じて、オキシダーゼ遺
伝子の発現を誘導するがオキシダーゼの基質では
ない化合物としてホルムアルデヒド又はホルミエ
ートも使用できる。例えば、K.B.Zwart及びW.
Harder、J.Gen.Microbiol.129,(1983)3157−
3169によれば、アミンオキシダーゼは0.3%
(w/v)グリセロール及び5mM硫酸アンモニウ
ムを含有する培地中、即ちアンモニウム制限条件
下(3161頁の表2参照)で誘導される。従つて、
本発明はメタノールオキシダーゼの生産に限定さ
れるものではない。 従つて、本発明は、一般的に述べると、酵母が
オキシダーゼを生産する条件下で酵母を好気的に
培養し、必要に応じて、生産したオキシダーゼを
酵母細胞から単離することによるオキシダーゼ又
はオキシダーゼ含有混合物又はオキシダーゼ含有
標品の製造方法にして、オキシダーゼ遺伝子の発
現を誘導するがオキシダーゼに対する基質ではな
い少なくとも1種類の化合物の存在する酵母に適
した栄養培地中で酵母のカタラーゼ陰性突然変異
体を生育させる方法を包含する。 本発明においては、ハンセヌラ属又はピキア属
の酵母のカタラーゼ陰性突然変異株、特にハンセ
ヌラ・ポリモルフア種又はピキア・パストリス種
に属する酵母のカタラーゼ陰性突然変異株、例え
ばカタラーゼ陰性変異株ハンセヌラ・ポリモルフ
ア55/11(ATCC 46059)を使用するのが好まし
い。しかし、本発明はこの変異株だけの使用に限
定されるものではない。その他のカタラーゼ陰性
突然変異株は、ランダムに突然変異を誘発させた
後で得られる突然変異株を選択するか、部位特異
的変異導入法(例えば、特に欧州特許出願公開番
号第0173378号に記載の方法)、又はカタラーゼ遺
伝子を欠失させるかもしくはカタラーゼの発現を
阻害するようにカタラーゼ遺伝子を修飾すること
によつて得ることができる。 本発明においては、オキシダーゼの遺伝情報が
強力なプロモーターの制御下にある酵母を使用し
て、オキシダーゼを高い収量で得られるようにす
るのがさらに好ましい。その一例はMOXプロモ
ーター、特にハンセヌラ・ポリモルフア
CBS4732のMOXプロモーターである。このプロ
モーターは上記のハンセヌラ・ポリモルフア55/1
1(ATCC 46059)酵母には天然に存在するが、
他の酵母に対しては公知のDNA組換え技術(例
えば欧州特許出願公開番号第0173378号)を用い
て達成できる。このプロモーターが強力であるこ
とはメタノール上で培養したハンセヌラ・ポリモ
ルフアの野生株のMOX含量が細胞タンパク質の
30%台の大きさにのぼることからも明白である。
他の強力なプロモーターの例として、メチロトロ
ーフ酵母のジヒドロキシアセトンシンテターゼ
(DAS)プロモーター、及びアミンオキシダーゼ
生産酵母のアミンオキシダーゼプロモーターが挙
げられる。 本発明においては、オキシダーゼ遺伝子として
メタノールオキシダーゼ遺伝子、例えばハンセヌ
ラ・ポリモルフアCBS4732の公知のMOXと同一
のアミノ酸配列又は機能に実際上差のない該アミ
ノ酸配列の誘導体(該アミノ酸配列の酵素学的或
いは修飾によつて得られる)を用いるのが好まし
い。メタノールオキシダーゼと共にメタノールを
誘導基質として使用するのが好ましい。メタノー
ル以外にも、MOXは他の様々な基質に対しても
活性を有しており、例えばエタノール、n−プロ
パノール、n−ブタノール、n−アミルアルコー
ルに対して活性を有しており、さらにやや活性は
落ちるがメチルセロソルブ、エチレングリコー
ル、ベンジルアルコール、イソプロパノール、イ
ソアミルアルコール及びプロピレングリコールの
ような化合物に対しても活性を有している。これ
らの化合物のうちエタノールのような幾つかのも
のは、比較的安価でしかも毒性の面からも許容し
得るので、メタノールオキシダーゼを洗浄及び漂
白組成物に使用した場合の基質として特に適して
いる。 本発明においては、ホルミエート又はホルムア
ルデヒドの少なくとも一方を、オキシダーゼ遺伝
子の発現に関与するがオキシダーゼの基質ではな
い物質として使用するのが好ましい。 ホルミエートとはギ酸自体だけでなく、ギ酸の
塩、特にアルカリ金属塩とアンモニウム塩、並び
にアルカリ土類金属塩、双方を意味している。 文献からは予想もし得ないことであるが、ハン
セヌラ属の酵母においてこれらのメタノール代謝
物がMOXプロモーターの制御下での遺伝子の発
現を誘導し得ると思われる。かかるホルミエート
及びホルムアルデヒドによるメタノールオキシダ
ーゼの誘導はカンジダ・ボイジニ種の酵母の回分
培養(Eggling他、FEMS Microbiol.Letters1
(1977)、205−210)で、またホルミエートによる
メタノールの誘導がクロエケラ(Kloeckera)
sp.No.2201の回分培養(Shimizu他、Agric.Biol.
Chem.41(11)(1977)、2215−2220)で既に観察
されているが、Eggeling及びSahmの論文によれ
ばハンセヌラ・ポリモルフアで誘導を行い得るの
はメタノールのみであると記載されている
(Arch.Microbiol.127(1980)、119−124)。 工業規模での製造に関連して、本発明において
は酵母を連続培養で培養するのが好ましい。しか
し回分培養もしくは「供給回分」培養を除外する
ものではない。「供給回分」培養とは、基質を開
始時に一度に添加しないで、培養期間中常に基質
濃度を制御できるように徐々に添加して培養する
ことを意味する。 培養期間中、ハンセヌラ属又はピキア属のよう
な酵母に適した栄養培地を使用するが、この培地
はその微生物に適した炭素源を含んでいなくては
ならない。適当な炭素源は当業者には周知であつ
て、また実験により決定することもできる。例え
ばグルーコースは適切な炭素源であるが、この他
にも、例えばソルボース、キシロース、ソルビト
ールなどの糖、並びにグリセロール、クエン酸な
どの物質を炭素源として用いることができる。適
当な培地はEgli他の論文(Arch.Microbiol.124
(1980)、115−121)に記載されており公知であ
る。 本発明においては、培養中の炭素源の量とホル
ミエート又はホルムアルデヒドの量との比率を確
定することが重要である。 本発明の好ましい実施の態様においては、選択
した酵母種に適した炭素源及びホルミエートの存
在下で、ホルミエート対炭素源のモル比を0.5:
1乃至4.5:1として、酵母を培養することを特
徴とする。好ましくはホルミエート対炭素源のモ
ル比として2:1乃至3.5:1を使用し、最も好
ましくは2.5:1乃至3.2:1のモル比を用いる。 本発明の別の好ましい実施の態様においては、
選択した酵母種に適した炭素源及びホルムアルデ
ヒドの存在下で、ホルムアルデヒド対炭素源のモ
ル比を0.1:1乃至3:1として、酵母を培養す
ることを特徴とする。好ましくはホルムアルデヒ
ド対炭素源のモル比として0.5:1乃至2.5:1を
使用し、最も好ましくは1:1乃至2:1のモル
比を用いる。 かかるホルミエート/グルコース比の混合物又
はホルムアルデヒド/グルコース比の混合物を用
い、カタラーゼ陰性突然変異株ハンセヌラ・ポリ
モルフア55/11を毎時0.05乃至0.1の稀釈率で連続
培養した実験で達成されたMOXの収量は、ホル
ミエートを用いた場合はメタノール上で培養した
野生株のMOX収量の30%台の大きさであり、ホ
ルムアルデヒドを用いた場合はメタノール上で培
養した野生株のMOX収量の60%台の大きさであ
つた。カタラーゼが存在しなかつたことと合わせ
ると、これらの収量は工業規模での使用に適した
収量であるといえる。 使用したホルミエート又はホルムアレデヒドの
濃度が高すぎると、細胞収量は低くなり、培養細
胞が死滅する恐れさえある。ホルミエート又はホ
ルムアルデヒドの濃度が低すぎると誘導が十分に
なされず、その結果低い収量のオキシダーゼしか
得られなくなる。変異株を、ホルミエートもホル
ムアルデヒドも抜きでグルコースだけで生育させ
ると野生株の場合と同様にMOX活性は低い。 意図する用途のために培養した酵母細胞をその
ままでは使用したくない又は使用できない場合
は、酵母細胞内、特にペルオキシソーム中に蓄積
されたオキシダーゼを細胞から単離すべきであ
る。そのため通常の細胞溶解法を用いることがで
き、例えばガラス小球による細胞の物理的破砕
法、フレンチプレス処理、マントン−ガウリン
(Manton Caulin)ホモジナイザー処理、超音波
処理、並びに例えばチモリアーゼなどを用いる酵
素法を用いることができる。 本発明においては、これと関連して無酸素条件
下(例えば窒素雰囲気下)で操作するのが得策で
あるのが判明した。細胞を酸素存在下に開放系で
破砕した場合、細胞質中又は酵母細胞の細胞小器
官中に存在すると思われるオキシダーゼ酵素の基
質がペルオキシソームから放出されたオキシダー
ゼの存在下で酸化される恐れがあり、この場合に
生じる過酸化水素が特にオキシダーゼを破壊す
る。 本発明は、オキシダーゼを含有するカタラーゼ
陰性酵母突然変異株を生産する本発明の方法を用
いることによつて得たオキシダーゼ含有カタラー
ゼ陰性酵母突然変異株、並びに本発明に従つて酵
母からオキシダーゼを単離する(しかる後に単離
したオキシダーゼを他の成分と共に組成物に調製
してもよい)ことによつて得たオキシダーゼ又は
オキシダーゼ含有組成物にも関する。 さらに本発明は、本発明のオキシダーゼ含有カ
タラーゼ陰性酵母突然変異株又はそれからから単
離したオキシダーゼをオキシダーゼに対する基質
と共に洗浄又は漂白プロセスにおける現場での過
酸化水素の生成に使用することに関する。特にア
ルコールオキシダーゼを使用する場合、かかる洗
浄プロセスにおける基質としてはエタノールが好
ましく用いられる。 さらに、本発明のオキシダーゼ含有カタラーゼ
陰性酵母突然変異株又はそれから単離したオキシ
ダーゼを含有する洗剤もしくは漂白剤も本発明の
態様の一つである。 さらに本発明は、本発明のオキシダーゼ含有カ
タラーゼ陰性酵母突然変異株又はそれから単離し
たオキシダーゼの、化学合成の枠内又は廃物の精
製プロセスの枠内における基質の酸化触媒として
の使用並びにオキシダーゼに対する基質の定性及
び/又は定量測定における使用に関する。 本発明を以下の実験に関する項目でさらに詳し
く説明する。 培養条件及び培地 ハンセヌラ・ポリモルフアを酵母ペプトンデキ
ストロース寒天培地から得た単一コロニーとして
使用し、グルコースを唯一の炭素源としてEgli他
の論文(Arch. Microbiol 124(1980)、115−
121)に記載の培地中37℃で1日予備培養した。 培養は2の培地を含有する3の醗酵槽中で
連続的に行つた。通気量、PH、及び撹拌を調節
し、溶解酸素圧が25%飽和未満には決してならな
いように注意を払つた。PH及び泡形成は、シリコ
ーン油系消泡剤(ローヌ・プーラン(Rhone
poulenc)から入手したロドルシルR425R
(Rhodorsil R 425R))を4:1乃至1:1で
含む濃アンモニア溶液で調整した。PHは5.0±
0.05PH単位に調整した。温度は37±0.2℃に維持
した。流入する培地の流れと流出する培地の流れ
を測定し、蠕動ポンプで所望の流速に調節した。
培養が定常状態にあることは呼吸変数(呼吸商、
即ち二酸化炭素呼出率と酸素吸収率との比)の測
定、及び細胞懸濁液中と細胞溶解物中のMOX含
量の検査によつて調べた。 分 析 MOX及びカタラーゼ活性 細胞懸濁液及び無細胞抽出液中のMOX活性、
並びにカタラーゼ活性は、van Dijken他の方法
(Arch.Microbi−01.111(1976)、134−144)に
従つて測定した。1ユニツトは、空気で飽和した
PH7.5の0.1Mリン酸緩衝液中において、37℃で毎
分1マイクロモルのメタノールが消費されること
に相当する。 タンパク質 タンパク質はLowry他の方法(J.Biol.Chem.
193(1951)、265−275)に従つて決定した。ウシ
血清アルブミンを標準として用いた。 バイオマス バイオマスの乾燥重量は、洗浄した細胞懸濁液
を100℃で恒量まで乾燥させて決定した。 グルコース、メタノール、ギ酸及びホルムアル
デヒドはHPLC及び標準酵素分析で決定した。 細胞の破砕 細胞溶解物は超音波処理、或いはチモリラーゼ
とインキユベートすることによつて得た。 超音波処理 超音波処理は、3gのガラスビーズ(平均直径
100μm)と共に5gの洗浄細胞懸濁液を含むPH7.5
の0.1Mリン酸カリウム溶液を用い、0℃で行つ
た。細胞懸濁液はブランソン・セル・ブレーカ
ー・タイプB−12(Bransoncell breaker type
B−12、ブランソン・ソニツク・パワー・カンパ
ニー(Branson Sonic Power Company))で5
回にわたつて1分間処理した。処理と処理の間に
1分間の冷却期間をおいた。マイクロチツプを用
いて、5mlの溶液につき70ワツトの出力を投入し
た。 超音波処理前と超音波処理中、嫌気性条件下で
細胞懸濁液に15分間窒素を通した。 細胞溶解処理 5mMのEDTA、1mMのジチオトレイトール及
びアルスロバクター・ルテウス(Arthrobacter
luteus)由来のチモリラーゼ100T(生化学工業株
式会社)を10mg含むPH8.5の0.1Mリン酸ナトリウ
ム緩衝液中の、610nmにおける光学密度(OD)
が15乃至18の細胞懸濁液を恒温器中のボトル中で
37℃で穏やかに撹拌した。10分又は15分おきに規
則正しく試料を採取して、MOX活性、タンパク
質含量及び610nmにおける光学密度を測定した。 例 1 ギ酸/グルコース混合物上でのMOXの生産 表Aに記載した培地I上でハンセヌラ・ポリモ
ルフアATCC 46059を生育させた。この培地は
様々な比率のギ酸とグルコースを含んでいた。 第1図、第2図、及び表C、表Dに細胞溶解物
のMOX活性を示す。毎時0.1の一定の稀釈率にお
いては、1モルのグルコースに対して2.9モルの
ギ酸が最適比であることが判明した。 ギ酸とグルコースとの比が1モルのグルコース
当り3.6モルのギ酸であつた場合、最適稀釈率は
毎時0.05乃至0.15であつた(第2図)。最適ギ
酸/グルコース比(2.9)及び最適稀釈率(0.2)
を超えると、かなりの量のギ酸が残留することが
判明したが、この量は培養細胞に対して有毒であ
る。 上記の培養で得られた細胞溶解物中にカタラー
ゼ活性は検出されなかつた。 例 2 ホルムアルデヒド/グルコース混合物上での
MOXの生産 様々な比率のホルムアルデヒド/グルコース混
合物を含む培地I上でハンセヌラ・ポリモルフア
ATCC 46059を毎時0.1の稀釈率で生育させた。
特異的MOX生産の安定状態での値及びグルコー
スに対するバイオマス収量を表B及び第3図に載
せた。 ホルムアルデヒド/グルコースのモル比が約
1.8の時のMOXの最適活性は6乃至7MOXユニツ
ト/mgタンパク質であつた。 上記の培養で得られた細胞溶解物中にカタラー
ゼ活性は検出されなかつた。 例 3 MOXの単離 培地(表A)上でハンセヌラ・ポリモルフア
ATCC 46059を毎時0.078の稀釈率で生育させた。
ギ酸のグルコースに対する比は2.65であつた。細
胞密度は39.9gバイオマス(乾燥重量)/であ
つた。 撹拌細胞懸濁液中37℃で1乃至3時間インキユ
ベートしてチモリラーゼ法で細胞を溶解したもの
はMOX活性を全く示さなかつた。 細胞を超音波処理すると様々な絶対収量の
MOXが得られるが、タンパク質含量は野生株
CBS 4732で通常見られる40乃至50%タンパク
質/細胞乾燥重量という値に比べて低かつた。 驚くべきことに、酸素の存在、並びに嫌気性条
件下でのMOXと未知の細胞成分との反応生成物
の存在がMOXの不活性化の主たる原因となるこ
とが確認できた。窒素ガスでフラツシした細胞懸
濁液を使用するか、超音波処理中の細胞懸濁液中
に過剰の(10ユニツト/5mlを超える)カタラー
ゼが存在しない場合にMOXの絶対収量の向上が
見られた。表E参照。 カタラーゼの添加効果もしくは窒素ガスのフラ
ツシ効果はギ酸/グルコースの比が3.6の時にい
つそう大きくなる。 無細胞抽出液は12000gで15分間遠心すること
によつて得られた。 無細胞抽出物中のMOX活性は65%飽和硫安で
沈殿した。このようにして得られる沈殿は室温で
安定であつた。この沈殿中にカタラーゼ活性は全
く検出されなかつた。 硫安で得られるこの沈殿は上記で示した用途に
適用し得る。 例 4 ハンセヌラ・ポリモルフアATCC46059を、培
地(PH5.0、37℃、25%飽和より大のpO2)を用
いて、13の醗酵槽中で9の培地を処理容量と
して毎時0.078の稀釈率で生育させた。例3に記
載の方法で単離したMOXの比活性は2.1MOXユ
ニツト/mgタンパク質又は0.6MOXユニツト/mg
バイオマス(乾燥重量基準)であつた。 細胞を減圧下に15℃で2日間凍結乾燥した。こ
の凍結乾燥試料をPH7.5の0.05Mリン酸カリウム
緩衝液中に再懸濁して好気性条件下でカタラーゼ
抜きで超音波処理した後の活性は、0.6MOXユニ
ツト/mgバイオマス(乾燥重量)であつた。凍結
乾燥した後の細胞は室温で少なくとも1週間安定
であつた。 凍結乾燥した細胞をガラスビーズと共にミル中
で破砕することによつてMOX活性を単離した。
細胞懸濁液を窒素でフラツシした0.05Mリン酸カ
リウム無酸素緩衝液中で調製し、窒素下に保存し
た。溶解細胞懸濁液を遠心した。硫安を65%飽和
まで加えて上清を沈殿させた。この溶液を遠心し
たところ、得られた沈殿はすべてのMOX活性を
有していた。この標品は室温で安定であつて、カ
タラーゼ活性を全く含んでいなかつた。 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】
を好気的に培養し、必要に応じて産生オキシダー
ゼを酵母細胞から単離することによるオキシダー
ゼ又はオキシダーゼ含有混合物又はオキシダーゼ
含有標品の製造方法にして、オキシダーゼ遺伝子
の発現を誘導はするがオキシダーゼに対する基質
ではない少なくとも1種の化合物の存在する酵母
に適した栄養培地中で酵母のカタラーゼ陰性突然
変異株を生育させることを特徴とする方法。 2 特許請求の範囲第1項記載の方法において、
ハンセヌラ(Hansenula)属又はピキア
(Pichia)属の酵母、特にハンセヌラ・ポリモル
フア(Hansenula polymorpha)種又はピキア・
パストリス(Pichia pastoris)種に属する酵母
のカタラーゼ陰性突然変異株、より詳細にはカタ
ラーゼ陰性突然変異株ハンセヌラ・ポリモルフア
55/11(ATCC46059)を使用することを特徴とす
る方法。 3 特許請求の範囲第1項又は第2項記載の方法
において、組換えDNA技術もしくはその所産を
用いて変異させた酵母にして、その遺伝情報がメ
タノールオキシダーゼ(MOX)プロモーター、
特にハンセヌラ・ポリモルフアCBS 4732株の
MOXプロモーターの制御下にある酵母を使用す
ることを特徴とする方法。 4 特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか
1項記載の方法において、オキシダーゼとしてメ
タノールオキシダーゼ、特にハンセヌラ・ポリモ
ルフアCBS4732株の公知のメタノールオキシダ
ーゼと同じアミノ酸配列を有するメタノールオキ
シダーゼもしくは酵素工学により得られる上記配
列の誘導体を生産させることを特徴とする方法。 5 特許請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか
1項記載の方法において、オキシダーゼ遺伝子の
発現を誘導はするがオキシダーゼに対する基質で
はない化合物としてホルミエート又はホルムアル
デヒドを使用することを特徴とする方法。 6 特許請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか
1項記載の方法において、酵母を連続培養で培養
することを特徴とする方法。 7 特許請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか
1項記載の方法において、選択した酵母種に適し
た炭素源及びホルミエートの存在下で酵母を培養
し、ホルミエート対炭素源のモル比が0.5:1乃
至4.5:1、好ましくは2:1乃至4.5:1である
ことを特徴とする方法。 8 特許請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか
1項記載の方法において、選択した酵母種に適し
た炭素源及びホルムアルデヒドの存在下で酵母を
培養し、ホルムアルデヒド対炭素源のモル比が
0.1:1乃至3:1、好ましくは0.5:1乃至2.5:
1であることを特徴とする方法。 9 特許請求の範囲第1項乃至第8項のいずれか
1項記載の方法において、炭素源としてグルコー
スを含む栄養培地中で酵母を培養することを特徴
とする方法。 10 特許請求の範囲第1項乃至第9項のいずれ
か1項記載の方法において、産生オキシダーゼを
無酸素条件下で酵母から単離することを特徴とす
る方法。 説明書 本発明は酵母がオキシダーゼを生産する条件下
で酵母を好気的に培養し、必要に応じて産生オキ
シダーゼを酵母細胞から単離することによるオキ
シダーゼの製造方法に関する。 オキシダーゼは基質特異的な酸化反応を触媒し
てH2O2を生成する酵素である。オキシダーゼの
一例としてハンセヌラ・ポリモルフア
(Hansenula polymorpha)、カンジダ・ボイジニ
(Candida boidinii)、ピキア・パストリス
(pichia pastoris)などのようなメチロトローフ
酵母をメタノールで生育できるようにするメタノ
ールオキシダーゼ(MOX)が挙げられる。
MOXはメタノールをホルムアルデヒドと過酸化
水素とに酸化する反応を触媒し、そのとき分子状
酸素が電子受容体として作用する。生成したホル
ムアルデヒドは同化作用(この場合、細胞物質は
キシルロース一リン酸経路で生産される)又は異
化作用(この場合、ホルムアルデヒドはギ酸、最
終的には二酸化炭素に変換される)に用いられ
る。ホルムアルデヒド生成後のこれらの過程にお
いては、別の酵素が重要な役割を果たしている。
即ち、同化過程ではジヒドロキシアセトンシンテ
ターゼが重要であり、異化過程ではホルムアルデ
ヒドデヒドロゲナーゼとホルミエートデヒドロゲ
ナーゼが重要な酵素である。オキシダーゼによつ
て生じる過酸化水素はこれらの微生物に対して必
常に強い毒性を有しており、現在理解されている
ところでは、別の酵素、即ちカタラーゼによつて
直ちに無毒化される。 その他のオキシダーゼの例としては、アルコー
ルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グリ
セロールオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダー
ゼ、アルデヒドオキシダーゼ、アミンオキシダー
ゼ、アリールアルコールオキシダーゼ、ガラクト
ースオキシダーゼ、ソルボースオキシダーゼ、尿
酸オキシダーゼ及びキサンチンオキシダーゼが挙
げられる。 オキシダーゼは様々な用途に使用できる。重要
な用途は洗浄組成物及び漂白組成物の分野にあ
り、洗浄又は漂白時にオキシダーゼが存在する
と、仮にオキシダーゼに対する適当な基質が同時
に存在すれば、過酸化水素をその場で生成させる
ことができる。過酸化水素は漂白剤活性を呈する
か、TAED(テトラアセチルエチレンジアミン)
のような漂白剤前駆体との協同作用によつて過酸
のような低温活性漂白剤を生成させ得る。このよ
うに洗浄剤又は漂白剤自体は過酸化水素を全く含
まずに洗浄又は漂白プロセスにおけるその場での
過酸化水素の生成を触媒する酵素のみを含む系の
利点は、プロテアーゼやリパーゼなどの洗剤組成
物成分の貯蔵時並びに輸送時の不活性化を防止で
きる点にある。オキシダーゼのかかる用途は英国
特許公報第1225713号、同第2101167号、及び独国
特許公報第2557623号に記載されている。 オキシダーゼの別の用途は定量及び/又は定性
分析の分野にあり、例えば調査したい系(培養液
など)のアルコール含量を測定するのに用いるこ
とができる。この分析は、生成過酸化水素の量を
ペルオキシダーゼで触媒される着色物質の酸化に
よつて測定することに基づく。 オキシダーゼは化学合成又は廃物精製プロセス
の枠内において基質の酸化を触媒させるために使
用することもできる。 これらのほとんどの用途においてはオキシダー
ゼがカタラーゼ(これは生成する過酸化水素を分
解する)を含んでいないことが非常に重要であつ
て、このことは特に洗浄組成物又は漂白組成物の
成分としての用途並びに分析用助剤としての用途
に対しては間違いなくいえる。しかし、例えばハ
ンセヌラ・ポリモルフア、カンジダ・ボイジニ、
ピキア・パストリスのようなメチロトローフ酵母
をメタノールで培養したときに得られるようなメ
タノールオキシダーゼ(EC1.1.3.13)などのよう
に微生物を用いて生産したオキシダーゼに関して
は、以下に述べるような問題があることが良く知
られている。即ち、これらのオキシダーゼは、生
成した過酸化物を即座に分解する天然のカタラー
ゼを常に伴つており[ビーンハイス(Veenhuis,
M.)、ヴアン・デイツケン(van Dijken,J.P.)
及びハーダー(Harder,W.)著「アドバンシ
ズ・イン・マイクロバイアル・フイジオロジイ
(Advanes in Microbial physiologv)」第24巻
(1983)1−82頁、ローズ(Rose,A.H.)、ガリ
ース・モリス(Careth Morris)及びテンペスト
(J.Tempest,D.W.)編、アカデミツク・プレ
ス・ニユーヨーク]、そのため有効な漂白剤活性
が得られなくなり、また基質濃度を正確に分析す
ることも不可能となる。生産物からカタラーゼを
大部分除去するか又はカタラーゼを不活性化する
ことによつてカタラーゼを実質的に含まない活性
オキシダーゼを得る方法が公知であることは事実
であるが(例えば英国特許第2101167号参照)、こ
れらの方法(イオン交換クロマトグラフイー又か
ゲル濾過によるカタラーゼの除去、ドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)又はアジ化ナトリウムによる
カタラーゼの不活性化など)を工業的に応用しよ
うとしても費用がかかり過ぎてしかも面倒であ
り、また多くの場合適当でなく、アジ化ナトリウ
ムを用いる場合は毒性物質が導入されることにも
なる。 従つて、カタラーゼを含まないオキシダーゼを
工業的かつ経済的に満足のいく方法で得る方法が
必要とされている。カタラーゼ陰性突然変異株を
使用するような微生物による生産法を用いればこ
の条件を満足できそうである。しかし文献に基づ
く限りでは、仮にオキシダーゼの基質を(微生物
の良好な生育及びオキシダーゼ遺伝子の強い発現
のために)添加した栄養培地で培養した場合、カ
タラーゼを含まないオキシダーゼは死滅すると予
想されるので、この方法は実現不可能と思われ
る。 メタノールオキシダーゼ(MOX)の場合、
MOX、ホルミエートデヒドロゲナーゼ、ホルム
アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ジヒドロキシアセ
トンシンテターゼ及びカタラーゼの産生はグルコ
ース抑制を受けるだけでなく、グリセロールとマ
ンニトールとの抑制を受けることが公知である。
MOXの抑制解除はグルコース、グリセロール又
はマンニトールの濃度を非常に低くして微生物を
培養した場合に起こるが、それでも依然として
MOXの産生は比較的少ない。 本明細書の十分な理解のために、幾つかの用語
を定義付けするのが適切である。インデユーサー
は、プロモターと相互作用すること、有効なリプ
レツサーを不活性化すること、もしくはリプレツ
サー遺伝子をブロツクすることによつて、遺伝子
の転写を促進する化合物である。リプレツサー
は、プロモーターと相互作用するかリプレツサー
タンパク質遺伝子を活性化することによつて遺伝
子の転写をブロツクする化合物である。遺伝子産
物の合成(遺伝子の転写)は、インデユーサーの
作用(誘導)、もしくはリプレツサーで制御され
る抑制の解除(抑制解除)によつて起こる。 メタノールは回分培養においても連続培養にお
いてもMOXに対するインデユーサーとして作用
する。回分培養並びに連続培養において、グリセ
ロール、ソルビトール、グルコース及びエタノー
ルはMOXに対する公知のリプレツサーである。
回分培養及び低稀釈率での定常状態連続培養にお
いて、グリセロール、ソルビトール及びグルコー
ルの濃度を低くするとMOXの抑制解除が起き
る。 MOX合成の完全な誘導は微生物を、メタノー
ルを唯一の炭素源として培養した場合、或いはメ
タノールとグルコース、グリセロール又はマンニ
トールとの特定混合物で培養した場合にのみ起こ
ることが知られている[Eggeling and Sahm.
Arch.Microbiol.127,(1980)119−124及びArch.
Microbiol.130.(1981)362−365参照]。上記文
献の著者達は、酵母ハンセヌラ・ポリモルフアに
関する実験から、メタノールの代謝産物ではなく
メタノール自身がMOX合成の誘導を担つている
との結論を下している。これらの刊行物から、抑
制状態又は抑制解除状態の発想レベルは誘導状態
の発想レベルに比べると低いと判断できる。即
ち、発現レベルは、完全なグルコース抑制下では
1〜2%台であり、低生育速度の連続培養におけ
るグルコース又はグリセロール抑制解除下では約
10%台である。実際、上記刊行物の一つ[Arch.
Microbiol.127,(1980)119−124]には、ハンセ
ヌラ・ポリモルフアのカタラーゼ陰性突然変異体
(変異株55/11として示されている)はメタノール
上では生育しないが、抑制解除条件下にグリセロ
ール上で生育させるとMOXを生産することが記
載されている。回分培養におけるカタラーゼ陰性
変異株のMOX産生量は、野生株(即ち、カタラ
ーゼも産生する株)がグリセロール上で産生する
量の約50%であつた。メタノール上で生育させた
野生株のMOX産生量と比較した場合のカタラー
ゼ陰性変異株のMOX産生量は約17%に過ぎなか
つた。カタラーゼを含まないオキシダーゼ標品
は、このように生産性が比較的低く、工業的規模
の生産には不適である。 上記の文献の他にも、関連性はさほどないが挙
げておく価値のある文献が幾つかある。G.T.
Miwa他のArch.Biochem.Biophys.187,(1978)
464−475に関するChemical Abstracts88(1978)
185105wの記載によれば、チトクロームP−450
とNADPHとを含みカタラーゼとアルコールデ
ヒドロゲナーゼを含まない再構成系によるエタノ
ールの直接酸化が記載されている。NADPHの
存在が必要とされることから、この系は分子状酸
素でアルコール化合物を酸化することのできる
MOXのようなオキシダーゼとしては作用してお
らず、従つてそこに記載の系は異なる系であつ
て、オキシダーゼを生産するような酵母のカタラ
ーゼ陰性変異株の使用に関して何等情報を与える
ものでも教示するものでもない。 欧州特許公開番号第0019937号(EP−A−
0019937、フイリツプス・ペトロリウム・カンパ
ニー)には、アルコールオキシダーゼの製造方法
が記載されているが、この方法では例えばピキ
ア・パストリスのようなピキア(pichia)タイプ
のメタノール資化微生物が使用されている。ま
た、ピキア属のメタノール資化微生物から得た反
応 PCH2OH+O2−−→RCHO+H2O2 (式中、RはH、CH3、C2H5、又はC3Hであ
る)を触媒する酵素標品も記載されており、その
記載によればカタラーゼを含まない酵素は何段階
かの精製処理を経て製造される。この方法は本明
細書の前半で述べた欠点を有している。さらに上
記特許公報自体、精製アルコールオキシダーゼ中
にある程度のカタラーゼが依然として存在するこ
とを示唆している。 欧州特許公開番号第0071990号(EP−A−
0071990、フイリツプス・ペトロリウム・カンパ
ニー)には、水溶液から周囲の酸素を除去するこ
とが記載されているが、この除去はアルコール
(及び任意にはカタラーゼ)存在下でアルコール
オキシダーゼを含む脱酸素酵素系によつて触媒さ
れる。ハンセヌラ属とピキア属の酵母を使用でき
るが、本発明のカタラーゼ陰性変異株の使用に関
しては記載も示唆もされていない。反対にカタラ
ーゼが存在してもよいとされており、この酵素標
品の性質と目的は本発明のものとは異なるもので
ある。 驚くべきことに、オキシダーゼ遺伝子の発現を
誘導するがオキシダーゼに対する基質ではない少
なくとも1種の化合物の存在する酵母に適した栄
養培地中で酵母ハンセヌラ・ポリモルフアのカタ
ラーゼ陰性変異株を生育させた場合、カタラーゼ
を含まないメタノールオキシダーゼの微生物的生
産が序言で述べたような方法により工業的規模で
実現できることが今回判明した。 しかし、本発明はメタノールオキシダーゼの生
産に限定されるものではない。遺伝子工学を用い
て、好ましくは強力なMOXプロモーターの制御
下にある、別のオキシダーゼ遺伝子を含む酵母、
特にハンセヌラ属及びピキア属の酵母を得ること
ができる。意図する用途に応じて、D−アミノ酸
オキシダーゼなどのような必要とされる他のオキ
シダーゼを存在させることができる。 上記のカタラーゼ陰性ハンセヌラ・ポリモルフ
ア以外に他のカタラーゼ陰性酵母も使用できる。
生産するオキシダーゼに応じて、オキシダーゼ遺
伝子の発現を誘導するがオキシダーゼの基質では
ない化合物としてホルムアルデヒド又はホルミエ
ートも使用できる。例えば、K.B.Zwart及びW.
Harder、J.Gen.Microbiol.129,(1983)3157−
3169によれば、アミンオキシダーゼは0.3%
(w/v)グリセロール及び5mM硫酸アンモニウ
ムを含有する培地中、即ちアンモニウム制限条件
下(3161頁の表2参照)で誘導される。従つて、
本発明はメタノールオキシダーゼの生産に限定さ
れるものではない。 従つて、本発明は、一般的に述べると、酵母が
オキシダーゼを生産する条件下で酵母を好気的に
培養し、必要に応じて、生産したオキシダーゼを
酵母細胞から単離することによるオキシダーゼ又
はオキシダーゼ含有混合物又はオキシダーゼ含有
標品の製造方法にして、オキシダーゼ遺伝子の発
現を誘導するがオキシダーゼに対する基質ではな
い少なくとも1種類の化合物の存在する酵母に適
した栄養培地中で酵母のカタラーゼ陰性突然変異
体を生育させる方法を包含する。 本発明においては、ハンセヌラ属又はピキア属
の酵母のカタラーゼ陰性突然変異株、特にハンセ
ヌラ・ポリモルフア種又はピキア・パストリス種
に属する酵母のカタラーゼ陰性突然変異株、例え
ばカタラーゼ陰性変異株ハンセヌラ・ポリモルフ
ア55/11(ATCC 46059)を使用するのが好まし
い。しかし、本発明はこの変異株だけの使用に限
定されるものではない。その他のカタラーゼ陰性
突然変異株は、ランダムに突然変異を誘発させた
後で得られる突然変異株を選択するか、部位特異
的変異導入法(例えば、特に欧州特許出願公開番
号第0173378号に記載の方法)、又はカタラーゼ遺
伝子を欠失させるかもしくはカタラーゼの発現を
阻害するようにカタラーゼ遺伝子を修飾すること
によつて得ることができる。 本発明においては、オキシダーゼの遺伝情報が
強力なプロモーターの制御下にある酵母を使用し
て、オキシダーゼを高い収量で得られるようにす
るのがさらに好ましい。その一例はMOXプロモ
ーター、特にハンセヌラ・ポリモルフア
CBS4732のMOXプロモーターである。このプロ
モーターは上記のハンセヌラ・ポリモルフア55/1
1(ATCC 46059)酵母には天然に存在するが、
他の酵母に対しては公知のDNA組換え技術(例
えば欧州特許出願公開番号第0173378号)を用い
て達成できる。このプロモーターが強力であるこ
とはメタノール上で培養したハンセヌラ・ポリモ
ルフアの野生株のMOX含量が細胞タンパク質の
30%台の大きさにのぼることからも明白である。
他の強力なプロモーターの例として、メチロトロ
ーフ酵母のジヒドロキシアセトンシンテターゼ
(DAS)プロモーター、及びアミンオキシダーゼ
生産酵母のアミンオキシダーゼプロモーターが挙
げられる。 本発明においては、オキシダーゼ遺伝子として
メタノールオキシダーゼ遺伝子、例えばハンセヌ
ラ・ポリモルフアCBS4732の公知のMOXと同一
のアミノ酸配列又は機能に実際上差のない該アミ
ノ酸配列の誘導体(該アミノ酸配列の酵素学的或
いは修飾によつて得られる)を用いるのが好まし
い。メタノールオキシダーゼと共にメタノールを
誘導基質として使用するのが好ましい。メタノー
ル以外にも、MOXは他の様々な基質に対しても
活性を有しており、例えばエタノール、n−プロ
パノール、n−ブタノール、n−アミルアルコー
ルに対して活性を有しており、さらにやや活性は
落ちるがメチルセロソルブ、エチレングリコー
ル、ベンジルアルコール、イソプロパノール、イ
ソアミルアルコール及びプロピレングリコールの
ような化合物に対しても活性を有している。これ
らの化合物のうちエタノールのような幾つかのも
のは、比較的安価でしかも毒性の面からも許容し
得るので、メタノールオキシダーゼを洗浄及び漂
白組成物に使用した場合の基質として特に適して
いる。 本発明においては、ホルミエート又はホルムア
ルデヒドの少なくとも一方を、オキシダーゼ遺伝
子の発現に関与するがオキシダーゼの基質ではな
い物質として使用するのが好ましい。 ホルミエートとはギ酸自体だけでなく、ギ酸の
塩、特にアルカリ金属塩とアンモニウム塩、並び
にアルカリ土類金属塩、双方を意味している。 文献からは予想もし得ないことであるが、ハン
セヌラ属の酵母においてこれらのメタノール代謝
物がMOXプロモーターの制御下での遺伝子の発
現を誘導し得ると思われる。かかるホルミエート
及びホルムアルデヒドによるメタノールオキシダ
ーゼの誘導はカンジダ・ボイジニ種の酵母の回分
培養(Eggling他、FEMS Microbiol.Letters1
(1977)、205−210)で、またホルミエートによる
メタノールの誘導がクロエケラ(Kloeckera)
sp.No.2201の回分培養(Shimizu他、Agric.Biol.
Chem.41(11)(1977)、2215−2220)で既に観察
されているが、Eggeling及びSahmの論文によれ
ばハンセヌラ・ポリモルフアで誘導を行い得るの
はメタノールのみであると記載されている
(Arch.Microbiol.127(1980)、119−124)。 工業規模での製造に関連して、本発明において
は酵母を連続培養で培養するのが好ましい。しか
し回分培養もしくは「供給回分」培養を除外する
ものではない。「供給回分」培養とは、基質を開
始時に一度に添加しないで、培養期間中常に基質
濃度を制御できるように徐々に添加して培養する
ことを意味する。 培養期間中、ハンセヌラ属又はピキア属のよう
な酵母に適した栄養培地を使用するが、この培地
はその微生物に適した炭素源を含んでいなくては
ならない。適当な炭素源は当業者には周知であつ
て、また実験により決定することもできる。例え
ばグルーコースは適切な炭素源であるが、この他
にも、例えばソルボース、キシロース、ソルビト
ールなどの糖、並びにグリセロール、クエン酸な
どの物質を炭素源として用いることができる。適
当な培地はEgli他の論文(Arch.Microbiol.124
(1980)、115−121)に記載されており公知であ
る。 本発明においては、培養中の炭素源の量とホル
ミエート又はホルムアルデヒドの量との比率を確
定することが重要である。 本発明の好ましい実施の態様においては、選択
した酵母種に適した炭素源及びホルミエートの存
在下で、ホルミエート対炭素源のモル比を0.5:
1乃至4.5:1として、酵母を培養することを特
徴とする。好ましくはホルミエート対炭素源のモ
ル比として2:1乃至3.5:1を使用し、最も好
ましくは2.5:1乃至3.2:1のモル比を用いる。 本発明の別の好ましい実施の態様においては、
選択した酵母種に適した炭素源及びホルムアルデ
ヒドの存在下で、ホルムアルデヒド対炭素源のモ
ル比を0.1:1乃至3:1として、酵母を培養す
ることを特徴とする。好ましくはホルムアルデヒ
ド対炭素源のモル比として0.5:1乃至2.5:1を
使用し、最も好ましくは1:1乃至2:1のモル
比を用いる。 かかるホルミエート/グルコース比の混合物又
はホルムアルデヒド/グルコース比の混合物を用
い、カタラーゼ陰性突然変異株ハンセヌラ・ポリ
モルフア55/11を毎時0.05乃至0.1の稀釈率で連続
培養した実験で達成されたMOXの収量は、ホル
ミエートを用いた場合はメタノール上で培養した
野生株のMOX収量の30%台の大きさであり、ホ
ルムアルデヒドを用いた場合はメタノール上で培
養した野生株のMOX収量の60%台の大きさであ
つた。カタラーゼが存在しなかつたことと合わせ
ると、これらの収量は工業規模での使用に適した
収量であるといえる。 使用したホルミエート又はホルムアレデヒドの
濃度が高すぎると、細胞収量は低くなり、培養細
胞が死滅する恐れさえある。ホルミエート又はホ
ルムアルデヒドの濃度が低すぎると誘導が十分に
なされず、その結果低い収量のオキシダーゼしか
得られなくなる。変異株を、ホルミエートもホル
ムアルデヒドも抜きでグルコースだけで生育させ
ると野生株の場合と同様にMOX活性は低い。 意図する用途のために培養した酵母細胞をその
ままでは使用したくない又は使用できない場合
は、酵母細胞内、特にペルオキシソーム中に蓄積
されたオキシダーゼを細胞から単離すべきであ
る。そのため通常の細胞溶解法を用いることがで
き、例えばガラス小球による細胞の物理的破砕
法、フレンチプレス処理、マントン−ガウリン
(Manton Caulin)ホモジナイザー処理、超音波
処理、並びに例えばチモリアーゼなどを用いる酵
素法を用いることができる。 本発明においては、これと関連して無酸素条件
下(例えば窒素雰囲気下)で操作するのが得策で
あるのが判明した。細胞を酸素存在下に開放系で
破砕した場合、細胞質中又は酵母細胞の細胞小器
官中に存在すると思われるオキシダーゼ酵素の基
質がペルオキシソームから放出されたオキシダー
ゼの存在下で酸化される恐れがあり、この場合に
生じる過酸化水素が特にオキシダーゼを破壊す
る。 本発明は、オキシダーゼを含有するカタラーゼ
陰性酵母突然変異株を生産する本発明の方法を用
いることによつて得たオキシダーゼ含有カタラー
ゼ陰性酵母突然変異株、並びに本発明に従つて酵
母からオキシダーゼを単離する(しかる後に単離
したオキシダーゼを他の成分と共に組成物に調製
してもよい)ことによつて得たオキシダーゼ又は
オキシダーゼ含有組成物にも関する。 さらに本発明は、本発明のオキシダーゼ含有カ
タラーゼ陰性酵母突然変異株又はそれからから単
離したオキシダーゼをオキシダーゼに対する基質
と共に洗浄又は漂白プロセスにおける現場での過
酸化水素の生成に使用することに関する。特にア
ルコールオキシダーゼを使用する場合、かかる洗
浄プロセスにおける基質としてはエタノールが好
ましく用いられる。 さらに、本発明のオキシダーゼ含有カタラーゼ
陰性酵母突然変異株又はそれから単離したオキシ
ダーゼを含有する洗剤もしくは漂白剤も本発明の
態様の一つである。 さらに本発明は、本発明のオキシダーゼ含有カ
タラーゼ陰性酵母突然変異株又はそれから単離し
たオキシダーゼの、化学合成の枠内又は廃物の精
製プロセスの枠内における基質の酸化触媒として
の使用並びにオキシダーゼに対する基質の定性及
び/又は定量測定における使用に関する。 本発明を以下の実験に関する項目でさらに詳し
く説明する。 培養条件及び培地 ハンセヌラ・ポリモルフアを酵母ペプトンデキ
ストロース寒天培地から得た単一コロニーとして
使用し、グルコースを唯一の炭素源としてEgli他
の論文(Arch. Microbiol 124(1980)、115−
121)に記載の培地中37℃で1日予備培養した。 培養は2の培地を含有する3の醗酵槽中で
連続的に行つた。通気量、PH、及び撹拌を調節
し、溶解酸素圧が25%飽和未満には決してならな
いように注意を払つた。PH及び泡形成は、シリコ
ーン油系消泡剤(ローヌ・プーラン(Rhone
poulenc)から入手したロドルシルR425R
(Rhodorsil R 425R))を4:1乃至1:1で
含む濃アンモニア溶液で調整した。PHは5.0±
0.05PH単位に調整した。温度は37±0.2℃に維持
した。流入する培地の流れと流出する培地の流れ
を測定し、蠕動ポンプで所望の流速に調節した。
培養が定常状態にあることは呼吸変数(呼吸商、
即ち二酸化炭素呼出率と酸素吸収率との比)の測
定、及び細胞懸濁液中と細胞溶解物中のMOX含
量の検査によつて調べた。 分 析 MOX及びカタラーゼ活性 細胞懸濁液及び無細胞抽出液中のMOX活性、
並びにカタラーゼ活性は、van Dijken他の方法
(Arch.Microbi−01.111(1976)、134−144)に
従つて測定した。1ユニツトは、空気で飽和した
PH7.5の0.1Mリン酸緩衝液中において、37℃で毎
分1マイクロモルのメタノールが消費されること
に相当する。 タンパク質 タンパク質はLowry他の方法(J.Biol.Chem.
193(1951)、265−275)に従つて決定した。ウシ
血清アルブミンを標準として用いた。 バイオマス バイオマスの乾燥重量は、洗浄した細胞懸濁液
を100℃で恒量まで乾燥させて決定した。 グルコース、メタノール、ギ酸及びホルムアル
デヒドはHPLC及び標準酵素分析で決定した。 細胞の破砕 細胞溶解物は超音波処理、或いはチモリラーゼ
とインキユベートすることによつて得た。 超音波処理 超音波処理は、3gのガラスビーズ(平均直径
100μm)と共に5gの洗浄細胞懸濁液を含むPH7.5
の0.1Mリン酸カリウム溶液を用い、0℃で行つ
た。細胞懸濁液はブランソン・セル・ブレーカ
ー・タイプB−12(Bransoncell breaker type
B−12、ブランソン・ソニツク・パワー・カンパ
ニー(Branson Sonic Power Company))で5
回にわたつて1分間処理した。処理と処理の間に
1分間の冷却期間をおいた。マイクロチツプを用
いて、5mlの溶液につき70ワツトの出力を投入し
た。 超音波処理前と超音波処理中、嫌気性条件下で
細胞懸濁液に15分間窒素を通した。 細胞溶解処理 5mMのEDTA、1mMのジチオトレイトール及
びアルスロバクター・ルテウス(Arthrobacter
luteus)由来のチモリラーゼ100T(生化学工業株
式会社)を10mg含むPH8.5の0.1Mリン酸ナトリウ
ム緩衝液中の、610nmにおける光学密度(OD)
が15乃至18の細胞懸濁液を恒温器中のボトル中で
37℃で穏やかに撹拌した。10分又は15分おきに規
則正しく試料を採取して、MOX活性、タンパク
質含量及び610nmにおける光学密度を測定した。 例 1 ギ酸/グルコース混合物上でのMOXの生産 表Aに記載した培地I上でハンセヌラ・ポリモ
ルフアATCC 46059を生育させた。この培地は
様々な比率のギ酸とグルコースを含んでいた。 第1図、第2図、及び表C、表Dに細胞溶解物
のMOX活性を示す。毎時0.1の一定の稀釈率にお
いては、1モルのグルコースに対して2.9モルの
ギ酸が最適比であることが判明した。 ギ酸とグルコースとの比が1モルのグルコース
当り3.6モルのギ酸であつた場合、最適稀釈率は
毎時0.05乃至0.15であつた(第2図)。最適ギ
酸/グルコース比(2.9)及び最適稀釈率(0.2)
を超えると、かなりの量のギ酸が残留することが
判明したが、この量は培養細胞に対して有毒であ
る。 上記の培養で得られた細胞溶解物中にカタラー
ゼ活性は検出されなかつた。 例 2 ホルムアルデヒド/グルコース混合物上での
MOXの生産 様々な比率のホルムアルデヒド/グルコース混
合物を含む培地I上でハンセヌラ・ポリモルフア
ATCC 46059を毎時0.1の稀釈率で生育させた。
特異的MOX生産の安定状態での値及びグルコー
スに対するバイオマス収量を表B及び第3図に載
せた。 ホルムアルデヒド/グルコースのモル比が約
1.8の時のMOXの最適活性は6乃至7MOXユニツ
ト/mgタンパク質であつた。 上記の培養で得られた細胞溶解物中にカタラー
ゼ活性は検出されなかつた。 例 3 MOXの単離 培地(表A)上でハンセヌラ・ポリモルフア
ATCC 46059を毎時0.078の稀釈率で生育させた。
ギ酸のグルコースに対する比は2.65であつた。細
胞密度は39.9gバイオマス(乾燥重量)/であ
つた。 撹拌細胞懸濁液中37℃で1乃至3時間インキユ
ベートしてチモリラーゼ法で細胞を溶解したもの
はMOX活性を全く示さなかつた。 細胞を超音波処理すると様々な絶対収量の
MOXが得られるが、タンパク質含量は野生株
CBS 4732で通常見られる40乃至50%タンパク
質/細胞乾燥重量という値に比べて低かつた。 驚くべきことに、酸素の存在、並びに嫌気性条
件下でのMOXと未知の細胞成分との反応生成物
の存在がMOXの不活性化の主たる原因となるこ
とが確認できた。窒素ガスでフラツシした細胞懸
濁液を使用するか、超音波処理中の細胞懸濁液中
に過剰の(10ユニツト/5mlを超える)カタラー
ゼが存在しない場合にMOXの絶対収量の向上が
見られた。表E参照。 カタラーゼの添加効果もしくは窒素ガスのフラ
ツシ効果はギ酸/グルコースの比が3.6の時にい
つそう大きくなる。 無細胞抽出液は12000gで15分間遠心すること
によつて得られた。 無細胞抽出物中のMOX活性は65%飽和硫安で
沈殿した。このようにして得られる沈殿は室温で
安定であつた。この沈殿中にカタラーゼ活性は全
く検出されなかつた。 硫安で得られるこの沈殿は上記で示した用途に
適用し得る。 例 4 ハンセヌラ・ポリモルフアATCC46059を、培
地(PH5.0、37℃、25%飽和より大のpO2)を用
いて、13の醗酵槽中で9の培地を処理容量と
して毎時0.078の稀釈率で生育させた。例3に記
載の方法で単離したMOXの比活性は2.1MOXユ
ニツト/mgタンパク質又は0.6MOXユニツト/mg
バイオマス(乾燥重量基準)であつた。 細胞を減圧下に15℃で2日間凍結乾燥した。こ
の凍結乾燥試料をPH7.5の0.05Mリン酸カリウム
緩衝液中に再懸濁して好気性条件下でカタラーゼ
抜きで超音波処理した後の活性は、0.6MOXユニ
ツト/mgバイオマス(乾燥重量)であつた。凍結
乾燥した後の細胞は室温で少なくとも1週間安定
であつた。 凍結乾燥した細胞をガラスビーズと共にミル中
で破砕することによつてMOX活性を単離した。
細胞懸濁液を窒素でフラツシした0.05Mリン酸カ
リウム無酸素緩衝液中で調製し、窒素下に保存し
た。溶解細胞懸濁液を遠心した。硫安を65%飽和
まで加えて上清を沈殿させた。この溶液を遠心し
たところ、得られた沈殿はすべてのMOX活性を
有していた。この標品は室温で安定であつて、カ
タラーゼ活性を全く含んでいなかつた。 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】
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| DE3775108D1 (de) | 1992-01-23 |
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