JPH059493B2 - - Google Patents
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- JPH059493B2 JPH059493B2 JP13649084A JP13649084A JPH059493B2 JP H059493 B2 JPH059493 B2 JP H059493B2 JP 13649084 A JP13649084 A JP 13649084A JP 13649084 A JP13649084 A JP 13649084A JP H059493 B2 JPH059493 B2 JP H059493B2
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- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties of ferrous metals or ferrous alloys by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/02—Modifying the physical properties of ferrous metals or ferrous alloys by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
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- Organic Chemistry (AREA)
- Coating With Molten Metal (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
本発明は、高温における強度と耐酸化性に優れ
た溶融アルミニウムめつき鋼板およびその製造方
法に関する。特に本発明は、自動車排ガス系用材
料としてAISI409や410に代替し得る溶融アルミ
ニウムめつき低合金鋼板およびその製造方法に関
する。 従来、溶融アルミニウムめつき鋼板は耐熱用と
耐食用に大別され、通常、前者は型アルミニウ
ムめつき鋼板、後者は型アルミニウムめつき鋼
板と呼ばれている。耐熱用の型アルミニウム鋼
板は、Al被覆中に少量のSiを存在させることに
より、高温加熱時においてFe−Al合金層の発達
が抑制され、これによつて、めつき鋼板の耐熱性
が改善される。しかし、この型アルミニウムめ
つき鋼板にあつても、従来のものはその耐用温度
は実質的には約600℃以下であるのが通常である。
一方、型のアルミニウムめつき鋼板は、被覆材
として純Alを用いたものであり、型に比め耐
食性は優れているが、耐熱性は型より劣る。 かような溶融アルミニウムめつき鋼板は、通常
アルミキルド鋼やリムド鋼の冷延鋼板を基材とし
てこれに溶融アルミニウムめつきを施したもので
あるが、その工業的な製造にあたつては、鋼スラ
ブを熱間圧延工程、脱スケール工程、冷間圧延工
程、焼鈍工程およ溶融アルミニウムめつき工程に
付すのが通常であり、その焼鈍工程および溶融ア
ルミニウムめつき工程はインライン焼鈍設備を備
えたいわゆるセンジマー型溶融アルミニウムめつ
きラインに基材冷延鋼板を通板することにより一
般に実施される。 特公昭53−15454号公報およびこれに対応する
米国特許第3881880号明細書は、炭素含有量が約
0.03〜約0.25重量%であるアルミキルド炭素鋼中
に鋼中の炭素をすべて固定し且つ約0.1〜約0.3重
量%の未結合チタンを残すに充分なチタンを添加
したものを基材とし、これに溶融アルミニウムめ
つきを施すことをを提案する。これによると、炭
素は炭化チタンとして析出してしまつて鉄中に固
溶する炭素が実質上なくなり、したがつて、純鉄
に近い状態の鉄地が得られるので、このアルミニ
ウムめつき鋼板が高温に加熱された場合に、めつ
き層のAlが鉄地中へ拡散しやすくなり、その結
果、鉄地表面の耐高温酸化性が増強されると教示
する。 ところが、近年、自動車製造業界では、自動車
排ガス系用素材として、高温度で充分な耐酸化性
を有すると同時に優れた高温強度(例えば、600
℃で引張強さが13Kgf/mm2以上、好ましくは15Kg
f/mm2以上)を有する、AISI409や410のステン
レス鋼に代替し得る溶融アルミニウムめつき鋼板
が要望されるようになつた。前記の米国特許第
3881880号明細書は、どのようにしたら、教示す
る耐酸化性のほかにこの高温強度を満足する溶融
アルミニウムめつき鋼板が工業上有利に製造でき
るかについて、教えていない。 本発明の一つの目的は、高温における強度と耐
酸化性に優れた溶融アルミニウムめつき鋼板を製
造するための工業的に有利な方法を確立すること
である。 本発明のいま一つの目的は、高温における強度
と耐酸化性に優れた溶融アルミニウムめつき鋼板
を提供することである。 本発明によれば、前記の特公昭53−15454号公
報およびこれに対応する米国特許第3881880号明
細書が教えるチタン添加の耐酸化性に及ぼす有利
な作用効果は、炭素量を極低にした基材鋼中に合
金元素として適量のSiおよびMnを添加しても阻
却されずに、目標とする高温強度を発現させるこ
とができることがわかつた。このことは、Ti以
外にはできるだけ合金成分を少なくして純鉄に近
い鉄地を得ることがめつき層から基材表面層に
Al拡散を助成するうえで重要てあるとする該明
細書の開示からすれば驚くべきことである。Siと
Mnは共に鋼の強度を高める元素として知られて
おりまたTi添加鋼は高められた二次再結晶温度
を有することも知られている。従つて、Ti添加
Si−Mn鋼は、二次再結晶温度までの高温におい
て充分な強度を発現できるであろうことは予測し
得るところである。しかし、このようなTi添加
のSi−Mn鋼の冷延鋼板を、通常の工業的製造ラ
インにより通常の条件で製造し、そしてこれを、
インライン焼鈍設備を備えたセンジミアー型溶融
アルミニウムめつきラインに通板することによ
り、高温における強度および耐酸化性に優れた溶
融アルミニウムめつき鋼板を商業的に製造しよう
とした試みは、失敗に帰した。得られた製品は、
点状の不めつき部分を有し、且つ高温で耐酸化性
を示すものではなかつたのである。 本発明によれば、鋼成分を適正に調整したTi
添加Si−Mn鋼を基材とし、且つ製造工程におけ
る熱延巻取温度を鋼中のSiおよびMnの酸化がお
こらないような低温に規制するならば、高温にお
ける耐酸化性と強度を充分に高めた溶融アルミニ
ウムめつき鋼板の工業的製品が効果的に製造でき
ることがわかつた。かくして、本発明は、かよう
なTi添加の極低炭素Si−Mn鋼を基材とする溶融
アルミニウムめつき鋼板を工業的に製造する方法
として、鋼中の炭素および窒素が充分に固定され
且つ未結合のチタンが鋼中に残るに充分な量のチ
タンを添加した鋼のスラブを製造し、これを、熱
間圧延工程、脱スケール工程、冷間圧延工程、焼
鈍工程および溶融アルミニウムめつき浴浸漬工程
に順に付して溶融アルミニウムめつき鋼板とする
通常の溶融アルミニウムめつき鋼板の製造方法に
おいて、 前記スラブとして、重量%で、C;0.020%以
下、Si;0.1〜2.2%、Mn;2.5%以下で 1.9×(%Si)+0.9×(%Mn)≧1 且つ(%
Mn)≧0.5×(%Si)、Ti;0.1〜0.5%で且つ(%
Ti)/(%C+%N)≧10、Al;0.01〜0.1%、
N;0.010%以下、残部がFeおよび不可避的不純
物からなるTi添加Si−Mn鋼のスラブを使用する
こと、並びに、 前記熱間圧延工程において巻取られる熱延材の
温度を十分に低く制御することによつて内部酸化
層が実質上存在しない鋼表面を該脱スケール工程
後に得ること、 を特徴とする溶融アルミニウムめつき鋼板の製造
方法が提供される。 本発明が規定する範囲内の量のSiおよMnを合
金元素として添加したTi含有極低炭素Si−Mn鋼
では、仕上げ熱延を施した後、この種の鋼につい
て通常用いられている熱延巻取温度で巻取ると、
巻取後の冷却の間に(通常はこの冷却は放冷であ
る)鋼表面に不可避的に存在しているスケールが
鋼中に溶存しているSiおよMnを酸化し、生成し
たSiおよびMnの酸化物が鋼の表層の粒界または
粒界と粒内に析出してくる不都合があることがわ
かつた。鋼内のSiおよびMnのかような酸化を本
明細書では「内部酸化」と呼ぶ。内部酸化は鋼の
表層部に限られるが、条件(鋼組成、巻取温度、
および巻取後の冷却速度など)により数ミクロン
から数十ミクロンの深さに及ぶ。内部酸化によつ
て生成したSiおよMnの酸化物は、前記の如く鋼
表層の粒界または粒界と粒内に析出し、必ずしも
連続した層を形成するわけではないが、生成した
内部酸化物の全体を本明細書では「内部酸化層」
と呼ぶことにする。これは鋼表面のスケールとは
成分も形態も異なる全く別のものである。 以下に本発明の詳細を説明する。 第1図aは、本発明が規定する範囲の量のSiお
よびMnを添加したTi含有極低炭素Si−Mn鋼を
熱延して巻取る直前の鋼表面の模式的拡大断面図
である。鋼母材1の表面にはスケール2が生成し
ている。このスケール2は通常二次スケールと呼
ばれる。加熱炉にて高温に加熱されたスラブの表
面に生成したスケールは一次スケールと呼ばれ、
その大部分は圧延過程で表面から取り除かれる。
二次スケール2の大部分は仕上げ圧延機からコイ
ル巻取機に至る間に生成する。 第1図bは、第1図aの二次スケール2をもつ
熱延材を600℃を越える巻取温度(例えば約700
℃)で巻取つて放冷した場合の同様の断面図であ
る。放冷の間に、鋼表層部の粒界および粒内に内
部酸化がおこつている。この酸化物は、鉄酸化物
からなるスケール2から鋼中に酸素が供給されこ
れが鋼中のSiおよびMnと反応して出来たSiおよ
びMnの酸化物である。 第1図cは、第1図bの熱延材を酸洗いにより
脱スケールした後における同様な断面図である。
酸洗いによりスケール2は除去されるが、粒内に
析出した酸化物は残る。そして粒界に析出した酸
化物は一部が除去され、粒界に隙間3が形成され
る。 第1図dは、第1図cの脱スケールした熱延材
を冷延した後における同様な断面図である。冷延
材の表面は平滑ではなく、冷延により隙間3は拡
大変形される。冷延後も内部酸化層は残存する。
拡大変形された冷延材表面の隙間3には、冷延工
程で用いた圧延油その他の異物が入り易く、それ
らの異物はめつきラインでの焼鈍によつても完全
には除去されないことがある。 第1図eおよfは、第1図dの冷延材をインラ
イン焼鈍型の溶融アルミニウムめつきラインに通
板して溶融アルミニウムめつきを施した後におけ
る同様な断面図である。冷延材表面の粒界“隙
間”に侵入した異物がめつきラインでの焼鈍によ
つて完全に除去されないことがあると、第1図e
に見られる如く、その部分にアルミニウム被覆が
付着しないことがある。第1図eおよびfにおい
て、4はアルミニウムめつき被覆層(Al−Si
層)、5はアルミニウムめつき被覆層4と鋼母材
1との界面に形成されるAl−Fe−Si合金層、そ
して第1図eの6は不めつきを示している。 第2図aおよびbは、そのような不めつきが生
じた事例のめつき前およびめつき後における顕微
鏡写真(倍率400倍)である。かような不めつき
が生じないまでも、第1図fに見られるように、
Al−Si被覆層4と鋼母材層1との界面に生成す
るAl−Fe−Si合金層5の厚さが通常の場合に比
べ大きくなる傾向がある。これは、冷延材表面積
が粒界“隙間3”の存在により、見掛けよりも大
きくなるためであると思われる。Al−Fe−Si合
金層5の厚さが大きいと、溶融アルミニウムめつ
き鋼板を加工した場合にめつき剥離が起こり易く
なる。また“隙間3”の深部(先端)はめつき後
も“空孔7”となり易い。空孔7の存在もめつき
剥離を引き起こす。 第3図aは、第1図fに相当するめつき材の顕
微鏡写真(倍率400倍)である。内部酸化層はめ
つきラインでの還元性焼鈍雰囲気によつても還元
されず、第3図aの写真にみられ且つ第1図fの
模式図に示したとおり、めつき後も依然として残
る。 かような内部酸化層(粒界のフイルム状酸化物
および粒内の酸化物粒子)は、アルミニウムめつ
き鋼板が高温に加熱された際、Alがめつき層か
ら基材鋼中へ拡散するのを阻止する障壁となつて
作用し、その結果、折角、Ti添加によつて高め
ようとした耐高温酸化性が阻却されてしまうこと
になる。 第3図bは、第3図aのめつき材を大気中800
℃で20時間加熱した後における同倍率の顕微鏡写
真である。同図によれば、内部酸化層の存在はア
ルミニウムめつき鋼板の耐高温酸化性を著しく阻
害することがわかるであろう。また、このような
高温加熱によつて内部酸化層自身も鋼基材中によ
り深く進行してゆくことになる。 以上要するに、溶融アルミニウムめつき鋼板の
基材中の表層部にSiおよびMnの酸化物からなる
内部酸化層が存在すると、 (1) 冷延材表面の平滑性が著しく損なわれ、その
結果、 (a) 異物の付着による不めつき発生、 (b) 表面積増大によるAl−Fe−Si合金中間層
の厚みの増大、及び(c)めつき付着強度の弱体化
を招き、かつ (2) アルミニウムめつき鋼板製品が高温に加熱さ
れた場合に、この内部酸化層がAlの拡散層の
形成を阻止して、この製品の耐高温酸化性を劣
化させ、まためつき層の剥離を引き起こす。 したがつて、本発明の目的に対しては、溶融ア
ルミニウムめつき鋼板用基材鋼を製造するにあた
り、耐高温酸化層が実質上存在しない鋼表面を脱
スケール工程後に得ることが肝要である。これ
は、本発明によれば、熱間圧延工程におけるコイ
ラーへの巻取にさいしこのコイラーに巻取られる
直前の鋼板温度を十分に低く制御することにより
達成できる。 許容できる巻取温度の上限はどこに存在するか
を知るべく、次のような実験室試験を行つた。 第1表に試験に供した供試鋼板(板厚1.0mm)
の化学成分値を示す。各供試材は、各溶鋼から鍛
造、熱延(厚さ7.0mm)、研削(厚さ5.0mm)およ
び冷延(厚さ1.0mm)により調整した。
た溶融アルミニウムめつき鋼板およびその製造方
法に関する。特に本発明は、自動車排ガス系用材
料としてAISI409や410に代替し得る溶融アルミ
ニウムめつき低合金鋼板およびその製造方法に関
する。 従来、溶融アルミニウムめつき鋼板は耐熱用と
耐食用に大別され、通常、前者は型アルミニウ
ムめつき鋼板、後者は型アルミニウムめつき鋼
板と呼ばれている。耐熱用の型アルミニウム鋼
板は、Al被覆中に少量のSiを存在させることに
より、高温加熱時においてFe−Al合金層の発達
が抑制され、これによつて、めつき鋼板の耐熱性
が改善される。しかし、この型アルミニウムめ
つき鋼板にあつても、従来のものはその耐用温度
は実質的には約600℃以下であるのが通常である。
一方、型のアルミニウムめつき鋼板は、被覆材
として純Alを用いたものであり、型に比め耐
食性は優れているが、耐熱性は型より劣る。 かような溶融アルミニウムめつき鋼板は、通常
アルミキルド鋼やリムド鋼の冷延鋼板を基材とし
てこれに溶融アルミニウムめつきを施したもので
あるが、その工業的な製造にあたつては、鋼スラ
ブを熱間圧延工程、脱スケール工程、冷間圧延工
程、焼鈍工程およ溶融アルミニウムめつき工程に
付すのが通常であり、その焼鈍工程および溶融ア
ルミニウムめつき工程はインライン焼鈍設備を備
えたいわゆるセンジマー型溶融アルミニウムめつ
きラインに基材冷延鋼板を通板することにより一
般に実施される。 特公昭53−15454号公報およびこれに対応する
米国特許第3881880号明細書は、炭素含有量が約
0.03〜約0.25重量%であるアルミキルド炭素鋼中
に鋼中の炭素をすべて固定し且つ約0.1〜約0.3重
量%の未結合チタンを残すに充分なチタンを添加
したものを基材とし、これに溶融アルミニウムめ
つきを施すことをを提案する。これによると、炭
素は炭化チタンとして析出してしまつて鉄中に固
溶する炭素が実質上なくなり、したがつて、純鉄
に近い状態の鉄地が得られるので、このアルミニ
ウムめつき鋼板が高温に加熱された場合に、めつ
き層のAlが鉄地中へ拡散しやすくなり、その結
果、鉄地表面の耐高温酸化性が増強されると教示
する。 ところが、近年、自動車製造業界では、自動車
排ガス系用素材として、高温度で充分な耐酸化性
を有すると同時に優れた高温強度(例えば、600
℃で引張強さが13Kgf/mm2以上、好ましくは15Kg
f/mm2以上)を有する、AISI409や410のステン
レス鋼に代替し得る溶融アルミニウムめつき鋼板
が要望されるようになつた。前記の米国特許第
3881880号明細書は、どのようにしたら、教示す
る耐酸化性のほかにこの高温強度を満足する溶融
アルミニウムめつき鋼板が工業上有利に製造でき
るかについて、教えていない。 本発明の一つの目的は、高温における強度と耐
酸化性に優れた溶融アルミニウムめつき鋼板を製
造するための工業的に有利な方法を確立すること
である。 本発明のいま一つの目的は、高温における強度
と耐酸化性に優れた溶融アルミニウムめつき鋼板
を提供することである。 本発明によれば、前記の特公昭53−15454号公
報およびこれに対応する米国特許第3881880号明
細書が教えるチタン添加の耐酸化性に及ぼす有利
な作用効果は、炭素量を極低にした基材鋼中に合
金元素として適量のSiおよびMnを添加しても阻
却されずに、目標とする高温強度を発現させるこ
とができることがわかつた。このことは、Ti以
外にはできるだけ合金成分を少なくして純鉄に近
い鉄地を得ることがめつき層から基材表面層に
Al拡散を助成するうえで重要てあるとする該明
細書の開示からすれば驚くべきことである。Siと
Mnは共に鋼の強度を高める元素として知られて
おりまたTi添加鋼は高められた二次再結晶温度
を有することも知られている。従つて、Ti添加
Si−Mn鋼は、二次再結晶温度までの高温におい
て充分な強度を発現できるであろうことは予測し
得るところである。しかし、このようなTi添加
のSi−Mn鋼の冷延鋼板を、通常の工業的製造ラ
インにより通常の条件で製造し、そしてこれを、
インライン焼鈍設備を備えたセンジミアー型溶融
アルミニウムめつきラインに通板することによ
り、高温における強度および耐酸化性に優れた溶
融アルミニウムめつき鋼板を商業的に製造しよう
とした試みは、失敗に帰した。得られた製品は、
点状の不めつき部分を有し、且つ高温で耐酸化性
を示すものではなかつたのである。 本発明によれば、鋼成分を適正に調整したTi
添加Si−Mn鋼を基材とし、且つ製造工程におけ
る熱延巻取温度を鋼中のSiおよびMnの酸化がお
こらないような低温に規制するならば、高温にお
ける耐酸化性と強度を充分に高めた溶融アルミニ
ウムめつき鋼板の工業的製品が効果的に製造でき
ることがわかつた。かくして、本発明は、かよう
なTi添加の極低炭素Si−Mn鋼を基材とする溶融
アルミニウムめつき鋼板を工業的に製造する方法
として、鋼中の炭素および窒素が充分に固定され
且つ未結合のチタンが鋼中に残るに充分な量のチ
タンを添加した鋼のスラブを製造し、これを、熱
間圧延工程、脱スケール工程、冷間圧延工程、焼
鈍工程および溶融アルミニウムめつき浴浸漬工程
に順に付して溶融アルミニウムめつき鋼板とする
通常の溶融アルミニウムめつき鋼板の製造方法に
おいて、 前記スラブとして、重量%で、C;0.020%以
下、Si;0.1〜2.2%、Mn;2.5%以下で 1.9×(%Si)+0.9×(%Mn)≧1 且つ(%
Mn)≧0.5×(%Si)、Ti;0.1〜0.5%で且つ(%
Ti)/(%C+%N)≧10、Al;0.01〜0.1%、
N;0.010%以下、残部がFeおよび不可避的不純
物からなるTi添加Si−Mn鋼のスラブを使用する
こと、並びに、 前記熱間圧延工程において巻取られる熱延材の
温度を十分に低く制御することによつて内部酸化
層が実質上存在しない鋼表面を該脱スケール工程
後に得ること、 を特徴とする溶融アルミニウムめつき鋼板の製造
方法が提供される。 本発明が規定する範囲内の量のSiおよMnを合
金元素として添加したTi含有極低炭素Si−Mn鋼
では、仕上げ熱延を施した後、この種の鋼につい
て通常用いられている熱延巻取温度で巻取ると、
巻取後の冷却の間に(通常はこの冷却は放冷であ
る)鋼表面に不可避的に存在しているスケールが
鋼中に溶存しているSiおよMnを酸化し、生成し
たSiおよびMnの酸化物が鋼の表層の粒界または
粒界と粒内に析出してくる不都合があることがわ
かつた。鋼内のSiおよびMnのかような酸化を本
明細書では「内部酸化」と呼ぶ。内部酸化は鋼の
表層部に限られるが、条件(鋼組成、巻取温度、
および巻取後の冷却速度など)により数ミクロン
から数十ミクロンの深さに及ぶ。内部酸化によつ
て生成したSiおよMnの酸化物は、前記の如く鋼
表層の粒界または粒界と粒内に析出し、必ずしも
連続した層を形成するわけではないが、生成した
内部酸化物の全体を本明細書では「内部酸化層」
と呼ぶことにする。これは鋼表面のスケールとは
成分も形態も異なる全く別のものである。 以下に本発明の詳細を説明する。 第1図aは、本発明が規定する範囲の量のSiお
よびMnを添加したTi含有極低炭素Si−Mn鋼を
熱延して巻取る直前の鋼表面の模式的拡大断面図
である。鋼母材1の表面にはスケール2が生成し
ている。このスケール2は通常二次スケールと呼
ばれる。加熱炉にて高温に加熱されたスラブの表
面に生成したスケールは一次スケールと呼ばれ、
その大部分は圧延過程で表面から取り除かれる。
二次スケール2の大部分は仕上げ圧延機からコイ
ル巻取機に至る間に生成する。 第1図bは、第1図aの二次スケール2をもつ
熱延材を600℃を越える巻取温度(例えば約700
℃)で巻取つて放冷した場合の同様の断面図であ
る。放冷の間に、鋼表層部の粒界および粒内に内
部酸化がおこつている。この酸化物は、鉄酸化物
からなるスケール2から鋼中に酸素が供給されこ
れが鋼中のSiおよびMnと反応して出来たSiおよ
びMnの酸化物である。 第1図cは、第1図bの熱延材を酸洗いにより
脱スケールした後における同様な断面図である。
酸洗いによりスケール2は除去されるが、粒内に
析出した酸化物は残る。そして粒界に析出した酸
化物は一部が除去され、粒界に隙間3が形成され
る。 第1図dは、第1図cの脱スケールした熱延材
を冷延した後における同様な断面図である。冷延
材の表面は平滑ではなく、冷延により隙間3は拡
大変形される。冷延後も内部酸化層は残存する。
拡大変形された冷延材表面の隙間3には、冷延工
程で用いた圧延油その他の異物が入り易く、それ
らの異物はめつきラインでの焼鈍によつても完全
には除去されないことがある。 第1図eおよfは、第1図dの冷延材をインラ
イン焼鈍型の溶融アルミニウムめつきラインに通
板して溶融アルミニウムめつきを施した後におけ
る同様な断面図である。冷延材表面の粒界“隙
間”に侵入した異物がめつきラインでの焼鈍によ
つて完全に除去されないことがあると、第1図e
に見られる如く、その部分にアルミニウム被覆が
付着しないことがある。第1図eおよびfにおい
て、4はアルミニウムめつき被覆層(Al−Si
層)、5はアルミニウムめつき被覆層4と鋼母材
1との界面に形成されるAl−Fe−Si合金層、そ
して第1図eの6は不めつきを示している。 第2図aおよびbは、そのような不めつきが生
じた事例のめつき前およびめつき後における顕微
鏡写真(倍率400倍)である。かような不めつき
が生じないまでも、第1図fに見られるように、
Al−Si被覆層4と鋼母材層1との界面に生成す
るAl−Fe−Si合金層5の厚さが通常の場合に比
べ大きくなる傾向がある。これは、冷延材表面積
が粒界“隙間3”の存在により、見掛けよりも大
きくなるためであると思われる。Al−Fe−Si合
金層5の厚さが大きいと、溶融アルミニウムめつ
き鋼板を加工した場合にめつき剥離が起こり易く
なる。また“隙間3”の深部(先端)はめつき後
も“空孔7”となり易い。空孔7の存在もめつき
剥離を引き起こす。 第3図aは、第1図fに相当するめつき材の顕
微鏡写真(倍率400倍)である。内部酸化層はめ
つきラインでの還元性焼鈍雰囲気によつても還元
されず、第3図aの写真にみられ且つ第1図fの
模式図に示したとおり、めつき後も依然として残
る。 かような内部酸化層(粒界のフイルム状酸化物
および粒内の酸化物粒子)は、アルミニウムめつ
き鋼板が高温に加熱された際、Alがめつき層か
ら基材鋼中へ拡散するのを阻止する障壁となつて
作用し、その結果、折角、Ti添加によつて高め
ようとした耐高温酸化性が阻却されてしまうこと
になる。 第3図bは、第3図aのめつき材を大気中800
℃で20時間加熱した後における同倍率の顕微鏡写
真である。同図によれば、内部酸化層の存在はア
ルミニウムめつき鋼板の耐高温酸化性を著しく阻
害することがわかるであろう。また、このような
高温加熱によつて内部酸化層自身も鋼基材中によ
り深く進行してゆくことになる。 以上要するに、溶融アルミニウムめつき鋼板の
基材中の表層部にSiおよびMnの酸化物からなる
内部酸化層が存在すると、 (1) 冷延材表面の平滑性が著しく損なわれ、その
結果、 (a) 異物の付着による不めつき発生、 (b) 表面積増大によるAl−Fe−Si合金中間層
の厚みの増大、及び(c)めつき付着強度の弱体化
を招き、かつ (2) アルミニウムめつき鋼板製品が高温に加熱さ
れた場合に、この内部酸化層がAlの拡散層の
形成を阻止して、この製品の耐高温酸化性を劣
化させ、まためつき層の剥離を引き起こす。 したがつて、本発明の目的に対しては、溶融ア
ルミニウムめつき鋼板用基材鋼を製造するにあた
り、耐高温酸化層が実質上存在しない鋼表面を脱
スケール工程後に得ることが肝要である。これ
は、本発明によれば、熱間圧延工程におけるコイ
ラーへの巻取にさいしこのコイラーに巻取られる
直前の鋼板温度を十分に低く制御することにより
達成できる。 許容できる巻取温度の上限はどこに存在するか
を知るべく、次のような実験室試験を行つた。 第1表に試験に供した供試鋼板(板厚1.0mm)
の化学成分値を示す。各供試材は、各溶鋼から鍛
造、熱延(厚さ7.0mm)、研削(厚さ5.0mm)およ
び冷延(厚さ1.0mm)により調整した。
【表】
供試鋼板を大気中で所定の高温に20時間加熱
し、そして顕微鏡観察により生成した内部酸化層
の深さを測定した。試験は、550、600、650およ
び700℃で行つた。その結果を第4図に示した。
第4図aは550℃の結果であるが、内部酸化層は
SiおよびMnの含有量の如何にかかわらず生じな
い。第4図bは600℃の場合の結果であるが、内
部酸化層は供試鋼No.5、6およ7の場合若干生じ
たが、他の供試鋼では生じなかつた。この場合、
SiとMnの含有量の増減による差が現れていない
が、これは表面に生成したスケールの形態の差に
よるものであろう。第4図cの650℃ではSiおよ
びMnが極低の供試鋼No.1および3以外は深い内
部酸化層が生ずる。第4図dの700℃では供試鋼
No.8以外は一層深い内部酸化層が生ずる。 この試験結果によれば、脱スケール工程後に内
部酸化の実質的にない鋼表面を得るためには、熱
延工程での巻取温度を約600℃以下、好ましくは
約570℃以下、最も好ましくは約550℃以下に制御
する必要があるようである。巻取温度の下限は臨
界的ではなく、コイラーの能力による。通常約
400℃よりも低い温度での巻取りは実用的でない。 実操業において、熱間圧延工程で製造された熱
延コイルは、特別の場合を除き、巻き取られたま
ま放冷処理により冷却するのが最も普通である。
この放冷時間は通常2〜3日である。内部酸化の
生成は、鋼中のSiおよびMnの含有量ならびに巻
取温度に依存するが、熱延コイルの冷却速度にも
影響する。第5図は内部酸化の発生と熱延コイル
の冷却曲線との関係を概念的に示したものであ
る。あるSi含有量とMn含有量の鋼の場合、内部
酸化の発生は曲線Aで示される。すなわち、曲線
Aより上の領域内の点で示される条件下で内部酸
化が起こる。曲線Bは熱延コイルの冷却曲線を示
す。本発明においては、曲線Bが曲線Aと交わる
ことがないように、巻取温度を十分にお低く制御
することが肝要である。 熱延巻取温度は、従来より、得られる鋼板の物
性値を制御する処方として重要な意味をもつてい
る。TiをTi炭窒化物として析出させ、鋼の延性
および加工性の向上を図るTi添加低炭素鋼の場
合には、その巻取温度をより高くすることによつ
て、例えば600℃を越える温度、より好ましくは
700℃以上とすることによつて、Ti炭窒化物の大
きさを適正な範囲に制御しようと指向されてい
た。本発明においても、、Tiによる炭素および窒
素の固定を図るものではあるが、その炭窒化物に
よる析出強化によつて鋼の強度を目標値にまで高
めるのではなく(本発明においてC含有量は0.02
%以下と非常に低い値に制限する)、SiおよびMn
を積極的に適量添加することによつて強度向上を
図ろうとするものである。このような本発明に従
うTi含有極低炭素Si−Mn鋼に、従来よりTi添加
鋼において推奨されている巻取温度を実際に適用
して工業的規模でアルミニウムめつき鋼板を製造
してみた。しかし、これは後記実施例1の失敗例
Aに示すようにアルミニウムめつき鋼板製品とし
ては不良品となつた。本発明者らはこの現実を打
開すべく研究を重ねたが前述の如く内部酸化層に
その原因を見いだし、この内部酸化層の生成を抑
制する処方として、従来よりTi添加鋼において
推奨されている高温巻取とは逆に低温巻取にする
ことが必須であることを見いだしたのである。 なお、熱間圧延工程はスラブを粗圧延し仕上げ
圧延してコイルに巻取すことからなり、その間に
一次スケールの除去処理を行うことを含む。熱延
後の脱スケール工程は化学的または機械的な通常
の脱スケール処理であり、基本的には熱間圧延過
程で不可避的に生成する二次スケールを除去する
処理である。最も一般的には酸洗いを実施する。
この脱スケール工程では内部酸化層が除去されな
いことは先述のとおりである。冷間圧延工程は脱
スケールされた熱延鋼板を所望の板厚まで中間焼
鈍を実施するかまたはせずして冷間圧延する工程
である。 本発明法に従う溶融アルミニウムめつき鋼板の
製造法は記述の目的を達成する上で、この方法に
適用する基材鋼の化学成分値に特別に大きな意味
をもつている。以下にこの基材鋼の各成分の効果
および含有量の限定理由について、これを個別に
説明する。 Cは、アルミニウムめつき鋼板の耐高温酸化性
に対しては有害な成分である。Cの有害作用の第
一点は、基材鋼中へのめつき被覆層からのAlの
拡散能を著しく低下させ、これにより、アルミニ
ウムめつき鋼板が高温に加熱された時に基材鋼と
めつき層との界面に空孔やボイドが多量に生成す
る原因となる点にある。これらの空孔やボイドの
生成はめつき層から基材鋼中へのAlの拡散速度
よりも基材鋼からめつき層中へのFeの拡散速度
が大きくなつた場合により多く発生するものと本
発明者らは考えている。Cの有害作用の第二点
は、めつき層の高温での剥離性を高めることであ
る。その理由として、めつき層中の欠陥や空隙を
通じて基材鋼表面に達したO(酸素)と基材鋼中
のCと結合して、CO+CO2を生成し、このCO+
CO2が前述の基材鋼とめつき層との界面に生成さ
れた空孔やボイドの内圧を高め、これによつて基
材鋼とめつき層との界面強度を著しく低下させる
と本発明者らは考えている。このようなCの有害
な作用は、Tiを添加して固溶Cを実質上なくす
れば、すなわちCの実質上全てをTi炭化物とし
て固定しこれを析出させることによつて固溶Cを
実質上なくすれば、回避できる。しかし、通常の
転炉製鋼法によつて脱炭を図つた場合、例えば終
点C値が0.03もしくは0.02%以上となる鋼を得て
これをTiで固定する場合と、さらに転炉溶製鋼
を真空脱ガス処理等に供してC値をさらに極低域
にまで下げた上でTiによりCを固定する場合と
では以下の点で大きな違いが生ずる。 C含有量が0.02%を越える場合のこれを固定す
るに充分なTi添加では、強度特性が安定し且つ
表面清浄の優れた鋼板製品を得ることが困難とな
る。例えば前述の米国特許第3881880号明細書の
ように0.03〜0.25%Cに対してこれを固定するに
充分なTiを添加した場合には、Ti炭化物(およ
びTi窒化物)の析出量が非常に多くなり、この
析出の形態は熱間圧延工程さらには焼鈍工程にお
ける諸条件の僅かの変動でも変化する。そして、
この析出の形態の差によつて鋼の強度特性や展延
性の性質は大きく変動する。従つて強度特性が安
定した製品を製造することが事実上困難となる。
また、かような比較的高いCを含む溶鋼にTiを
添加した場合には、スカムが生成し、これがスラ
ブ表面に現れて以後の圧延においても残存し表面
疵の原因を形成することがある。加えてTi添加
量が多くなることは経済的に不利である。このよ
うにC含有量が高いことはTiの炭窒化物によつ
て鋼の強度特性を上げることはできても、実際に
は種々の不都合を伴う。 従つて、本発明においては、Tiの炭窒化物に
よる強度向上は期待せず、C含有量を低域に下げ
これに伴つて必要なTi添加量を軽減してTi添加
による二次再結晶温度の向上効果を享受したうえ
で、本発明の目的である高温強度の向上は、この
二次再結晶温度までSiよびMn添加による強度向
上効果を保持させることによつて達成しようとす
るものである。このようなことから本発明におい
てC含有量はできるだけ低くすることが必要であ
り、0.02%を上限とし、好ましくは0.017%、さ
らに好ましくは0.015%を上限とする。このよう
なC含有量の極低化は通常の転炉製鋼法に真空脱
ガス処理法を付加することによつて実施できる。
C含有量の下限は臨界的ではなく、通常の転炉に
真空脱ガス設備を組合せて経済的に達成できる
0.001%以上であることができる。 Siは、本発明の主要な目的である高温強度の改
善に寄与する元素であり、同時にまた耐高温酸化
性にも寄与する。Siによる高温強度改善効果は固
溶強化によるものであり、Si含有量が多いほどそ
の効果は大きい。しかし、Si含有量が2.2%を越
えると、高温強度はさらに増大するものの冷間加
工性および溶接性が劣化するばかりでなく、アル
ミニウムめつき性が著しく劣化して健全なアルミ
ニウムめつき被覆を得ることが困難となる。従つ
て、本発明においてSi含有量の上限は2.2%とす
る。またSi含有量が0.1%未満では、高温強度お
よび耐高温酸化性に対する効果は極めて小さいの
で、その下限値は0.1%とするが、好ましくは、
0.2%、さらに好ましくは0.5%を下限とする。 Mnは、本発明の主要な目的である高温強度の
改善に寄与する元素である。Mnによる高温強度
改善効果は固溶強化効果によるものであり、その
効果はMn含有量が多いほど大きい。しかしMn
含有量が2.5%を越えると、高温強度はさらに増
大するものの、冷間加工性および溶接性が著しく
劣化するのみならず、溶融アルミニウムめつき鋼
板の800℃以下の温度範囲での高温使用中に、α
γ変態を起こして機械的性質の著しい変化を招
く恐れもあるのでその上限を2.5%とする。 Si含有量とMn含有量とは互いに独立ではなく、
相互に関連する。満足できる高温強度を達成する
には、 1.9×(%Si)+0.9×(%Mn)≧1 なる関係が充足されねばならないことがわかつ
た。一層改善された高温強度を達成するには、 1.2×(%Si)+0.6×(%Mn)≧1 とするのが好ましい。 熱延材の材質をできるだけ均質にすることは以
後の冷延工程および焼鈍工程を円滑に行うために
重要なことである。そのためには、熱間圧延を安
定γ域で行うことが必要であるが、Si含有量が多
くなると、αγ変態温度が上昇して熱間圧延を
安定γ域で仕上げることが困難となつてしまう。
一方、前述したように、Mnはαγ変態温度を
低下させる作用がある。安定γ域で熱間圧延を仕
上げるためには、 (%Mn)≧0.5×(%Si) なる関係が充足されねばならないことがわかつ
た。 第6図は、本発明により規定されるSi含有量と
Mn含有量との関係を示す。本発明では、第6図
の斜線を施した領域、すなわち点A(0.1、2.5)、
F(0.1、0.9)、G(0.43、0.21)、Q(2.2、1.1)お
よびD(2.2、2.5)で定義される五角形内の点で
表される量のSiおよびMnを添加する。第6図に
示す直線FGは、 1.9×(%Si)+0.9×(%Mn)=1 を表し、そして、直線GQは、 (%Mn)=0.5×(%Si) を表す。 好ましいSi含有量およびMn含有量は、第6図
の点A(0.1、2.5)、K(0.1、1.47)、L(0.67、
0.33)、Q(2.2、1.1)およびD(2.2、2.5)で定義
される五角形内の点で表される。第6図の直線
KLは、 1.2×(%Si)+0.6×(%Mn)=1 を表す。 Tiは、前述したように、めつき層中のAlを基
材鋼中に有効に拡散させる基本的元素の一つであ
る。すなわち基材鋼中のCおよびNをTi(C、
N)析出物として固定することにより、めつき層
から基材鋼中へのAl拡散が著しく容易となり、
基材鋼とめつき層との界面での空孔およびボイド
の生成量は激減する。この効果により、高温加熱
後において、本発明によるアルミニウムめつき鋼
板の表面には、最外表層(めつき鋼板の最外表
層)がAl2O3を主成分とする熱的および化学的に
安定で緻密な酸化物層で覆われた高濃度のAlを
含有するα−Fe層が形成され、優れた耐高温酸
化性が発揮される。Tiを(C+N)量の10倍以
上の量で添加すると充分量のTiを基材鋼中に固
溶Tiの形で存在させることができ、めつき鋼板
の耐高温酸化性をさらに改善する。この効果は、
高温加熱時に前述の高濃度のAlを含有するα−
Fe層(Al拡散層)とAl2O3を主成分とする酸化物
層との界面で、Tiが選択的に酸化されることに
より、当該界面にTiが濃縮して、Al2O3を主成分
とする酸化物層をさらに安定で緻密なものにする
からと考えられる。またTiは二次再結晶温度を
上昇させるので、基材鋼のフエライト粒が高温に
まで安定化し、SiおよびMnによる本発明に従う
固溶強化効果が高温にまで維持されるという作用
を供することになる。以上のようなTiの総合的
な効果は、Ti含有量が0.5%を越えて多量に添加
されても増大せず、かえつて基材鋼の表面品質の
劣化を招くのみであるから、上限値を0.5%に限
定する。またTi含有量が0.1未満であると、基材
鋼中のCおよびNを固定するには充分であつて
も、基材鋼中の固溶Ti量が少なくなつて上述の
Al2O3を主成分とする酸化物層をさらに安定で緻
密なものとするには不十分となるので、その下限
は0.1%とする。 Alは、溶鋼の脱酸を目的として添加するが、
本発明鋼ではTiを歩留り良く添加する予熱脱酸
元素としても重要であり、この観点から下限値を
0.01%とした。またAlを0.1%を越えて添加して
も脱酸効果はとくに改善されないのみならず、い
たずらに鋼板の表面性状を損ねる恐れが大きくな
るから上限値を0.1%とする。 Nは、本発明鋼の如きTi添加鋼においては、
ほとんどその全量が溶製時および凝固時にTiN
として析出し、これは以後のいかなる工程におい
ても分解および凝集することは殆どない。したが
つてTiの有効的利用を図るためにはN含有量を
極力低く抑えることが好ましいものの、現在の製
鋼法では完全に除去することは困難であるので、
N含有量を0.010%以下としている。 なお、PとSは多量に含有すると、冷間または
熱間加工性を害するので、可能な原限り少ないこ
とが好ましい。しかし、通常不可避的に含有され
るP;0.04%以下、S;0.04%以下であれば問題
はない。 次に具体例を挙げ、本発明をさらに説明する。 実施例 1 本例は、溶融アルミニウムめつき鋼板の商業的
規模の生産において、本発明が規定する巻取温度
が重要であることを説明するもので、Aは失敗
例、そしてBは成功例である。 A (対 照) 80トンLD転炉で低炭素鋼を溶製した。転炉で
溶製した溶鋼をVAD法による取鍋精錬に付し真
空加熱によつて脱炭した。フエロマンガン、フエ
ロシリコン、アルミニウムおよびフエロチタンの
副材料の添加により、重量%で、C;0.013%、
Si;1.00%、Mn;1.13%、P;0.022%、S;
0.006%、Ti;0.26%、Sol.Al;0.053%、N;
0.0030%、%Ti/(%C+%N)=16.3、残部Fe
および不純物の鋼とした。 前記組成の鋼から垂直式連続鋳造装置によつて
断面が199mm×940mmで長さが7900mmのスラブを7
本得た。それらのスラブを段積みのまま放冷し
た。各スラブをスカーフアーで疵取りしたあと、
1280℃に維持した加熱炉で4時間均熱し、そして
直ちに熱間圧延した。熱延仕上温度は900〜920
℃、巻取温度は680〜720℃、そして熱延板の厚さ
は3.2mmであつた。 各熱延コイルを放冷した後、塩酸浴による連続
式酸洗装置によつて脱スケールした。 脱スケールした各熱延板をタンデム式4段冷間
圧延機を使用して1.55mm厚みの冷延板を得た。 各冷延板を表面清浄化処理に付した後、インラ
イン焼鈍設備を備えたセンジミア型溶融アルミニ
ウムめつき装置に通板して、Al−Si(9%Si)め
つきを施した。より詳しく述べれば、ライン内の
ストリツプの温度は、NOFでは最高700℃、これ
に続くHZ(heat zone)での温度は810〜830℃で
あつた。HZの雰囲気はAXガス(分解アンモニ
アガス)であつた。約50秒の滞留時間でHZを通
過した板は、引続きAXガス雰囲気でAl−Si浴の
温度にまで冷却され、そしてAl−Si浴に連続的
に浸漬された。このようにしてめつきされた鋼板
は、一対のジエツトワイパーによつてめつき付着
量が両面合計で80g/m2に調整され、適度に冷却
された後、コイルに巻取られた。めつきされたコ
イルはダルロールによつて伸び率約1.0%で調質
圧延された。 観察結果は次のとおりであつた。 各熱延コイルとも全長にわたり両表層部に内部
酸化層が形成されており、酸洗いによつてスケー
ルを除去したあとも内部酸化層は残存した。めつ
き鋼板には点状の不めつきが観察された。めつき
鋼板の不めつきがない部分の断面顕微鏡写真(倍
率×400倍)を第3図aに示す。この写真によれ
ばめつき後も内部酸化層が残つていることがわか
る。第3図aに示しためつき鋼板を大気中に800
℃で20時間加熱した後における同材の断面顕微鏡
写真(倍率×400倍)を第3図bに示す。この写
真によれば、Al拡散層は鋼基材表層部に形成さ
れず、めつき層直下にFeスケールが生成したこ
とおよび内部酸化層からさらに深部にまで形成さ
れたことがわかるであろう。本例のめつき鋼板
は、従つて耐高温酸化性の要求を満足する工業製
品とは言いえない。 B (本発明法) 重量%で、C;0.009%、Si;0.57%、Mn;
0.99%、P;0.014%、S;0.006%、Ti;0.30%、
Sol.Al;0.046%、N;0.0033%、%Ti/(%C
+%N)=23、残部Feおよび不純物の鋼を真空脱
ガス後に得たこと、熱延板厚を4.5mmとしたこと、
および熱延巻取温度を530〜560℃としたこと以外
は、A記載の前記操作を反復して、同量の溶融ア
ルミニウムめつき鋼板を製造した。 観察結果は次のとおりであつた。 どの熱延コイルにも内部酸化の発生は認められ
なかつた。めつき鋼板には、不めつきはなかつ
た。めつき鋼板の断面の顕微鏡写真(倍率×400
倍)を第3図cに示す。この写真によれば、めつ
き鋼板にも内部酸化が完全に存在しないことがわ
かる。また、第3図cのめつき鋼板を大気中800
℃で20時間加熱した後の断面顕微鏡写真(倍率×
400倍)を第3図dに示す。この写真によれば、
耐高温酸化性に資するAl拡散層が形成されたこ
と、並びにめつき層と鋼基材との間の界面にFe
スケールが生成せず内部酸化の進行が全くなかつ
たことがわかるであろう。 実施例 2 本例は、実験室での実験例であり、本発明が規
定する基材鋼の組成が製品の高温における強度お
よび耐酸化性に対し重要であることを説明するも
のである。 第2表に示す組成の鋼を各々10Kg真空溶解炉に
よつて溶製し、これを鋳造、熱延、冷延して、板
厚1.0mmの鋼板を得、これを焼鈍してから素材表
面の酸化スケールの除去を行い、脱脂後、通常の
溶融アルミニウムめつき条件に従つて溶融Al浴
(Al−9%Si)に浸漬してアルミニウムめつき
(Al付着量80g/m2)を施した。このようにして
得た各試料について、室温での引張特性値と600
℃での強度(引張強さ)を測定した。また大気中
に800℃に20時間保持した後室温まで冷却するこ
とを10回繰り返した後の酸化増量で耐高温酸化性
を評価した。これらの試験結果を第2表に総括し
て示した。
し、そして顕微鏡観察により生成した内部酸化層
の深さを測定した。試験は、550、600、650およ
び700℃で行つた。その結果を第4図に示した。
第4図aは550℃の結果であるが、内部酸化層は
SiおよびMnの含有量の如何にかかわらず生じな
い。第4図bは600℃の場合の結果であるが、内
部酸化層は供試鋼No.5、6およ7の場合若干生じ
たが、他の供試鋼では生じなかつた。この場合、
SiとMnの含有量の増減による差が現れていない
が、これは表面に生成したスケールの形態の差に
よるものであろう。第4図cの650℃ではSiおよ
びMnが極低の供試鋼No.1および3以外は深い内
部酸化層が生ずる。第4図dの700℃では供試鋼
No.8以外は一層深い内部酸化層が生ずる。 この試験結果によれば、脱スケール工程後に内
部酸化の実質的にない鋼表面を得るためには、熱
延工程での巻取温度を約600℃以下、好ましくは
約570℃以下、最も好ましくは約550℃以下に制御
する必要があるようである。巻取温度の下限は臨
界的ではなく、コイラーの能力による。通常約
400℃よりも低い温度での巻取りは実用的でない。 実操業において、熱間圧延工程で製造された熱
延コイルは、特別の場合を除き、巻き取られたま
ま放冷処理により冷却するのが最も普通である。
この放冷時間は通常2〜3日である。内部酸化の
生成は、鋼中のSiおよびMnの含有量ならびに巻
取温度に依存するが、熱延コイルの冷却速度にも
影響する。第5図は内部酸化の発生と熱延コイル
の冷却曲線との関係を概念的に示したものであ
る。あるSi含有量とMn含有量の鋼の場合、内部
酸化の発生は曲線Aで示される。すなわち、曲線
Aより上の領域内の点で示される条件下で内部酸
化が起こる。曲線Bは熱延コイルの冷却曲線を示
す。本発明においては、曲線Bが曲線Aと交わる
ことがないように、巻取温度を十分にお低く制御
することが肝要である。 熱延巻取温度は、従来より、得られる鋼板の物
性値を制御する処方として重要な意味をもつてい
る。TiをTi炭窒化物として析出させ、鋼の延性
および加工性の向上を図るTi添加低炭素鋼の場
合には、その巻取温度をより高くすることによつ
て、例えば600℃を越える温度、より好ましくは
700℃以上とすることによつて、Ti炭窒化物の大
きさを適正な範囲に制御しようと指向されてい
た。本発明においても、、Tiによる炭素および窒
素の固定を図るものではあるが、その炭窒化物に
よる析出強化によつて鋼の強度を目標値にまで高
めるのではなく(本発明においてC含有量は0.02
%以下と非常に低い値に制限する)、SiおよびMn
を積極的に適量添加することによつて強度向上を
図ろうとするものである。このような本発明に従
うTi含有極低炭素Si−Mn鋼に、従来よりTi添加
鋼において推奨されている巻取温度を実際に適用
して工業的規模でアルミニウムめつき鋼板を製造
してみた。しかし、これは後記実施例1の失敗例
Aに示すようにアルミニウムめつき鋼板製品とし
ては不良品となつた。本発明者らはこの現実を打
開すべく研究を重ねたが前述の如く内部酸化層に
その原因を見いだし、この内部酸化層の生成を抑
制する処方として、従来よりTi添加鋼において
推奨されている高温巻取とは逆に低温巻取にする
ことが必須であることを見いだしたのである。 なお、熱間圧延工程はスラブを粗圧延し仕上げ
圧延してコイルに巻取すことからなり、その間に
一次スケールの除去処理を行うことを含む。熱延
後の脱スケール工程は化学的または機械的な通常
の脱スケール処理であり、基本的には熱間圧延過
程で不可避的に生成する二次スケールを除去する
処理である。最も一般的には酸洗いを実施する。
この脱スケール工程では内部酸化層が除去されな
いことは先述のとおりである。冷間圧延工程は脱
スケールされた熱延鋼板を所望の板厚まで中間焼
鈍を実施するかまたはせずして冷間圧延する工程
である。 本発明法に従う溶融アルミニウムめつき鋼板の
製造法は記述の目的を達成する上で、この方法に
適用する基材鋼の化学成分値に特別に大きな意味
をもつている。以下にこの基材鋼の各成分の効果
および含有量の限定理由について、これを個別に
説明する。 Cは、アルミニウムめつき鋼板の耐高温酸化性
に対しては有害な成分である。Cの有害作用の第
一点は、基材鋼中へのめつき被覆層からのAlの
拡散能を著しく低下させ、これにより、アルミニ
ウムめつき鋼板が高温に加熱された時に基材鋼と
めつき層との界面に空孔やボイドが多量に生成す
る原因となる点にある。これらの空孔やボイドの
生成はめつき層から基材鋼中へのAlの拡散速度
よりも基材鋼からめつき層中へのFeの拡散速度
が大きくなつた場合により多く発生するものと本
発明者らは考えている。Cの有害作用の第二点
は、めつき層の高温での剥離性を高めることであ
る。その理由として、めつき層中の欠陥や空隙を
通じて基材鋼表面に達したO(酸素)と基材鋼中
のCと結合して、CO+CO2を生成し、このCO+
CO2が前述の基材鋼とめつき層との界面に生成さ
れた空孔やボイドの内圧を高め、これによつて基
材鋼とめつき層との界面強度を著しく低下させる
と本発明者らは考えている。このようなCの有害
な作用は、Tiを添加して固溶Cを実質上なくす
れば、すなわちCの実質上全てをTi炭化物とし
て固定しこれを析出させることによつて固溶Cを
実質上なくすれば、回避できる。しかし、通常の
転炉製鋼法によつて脱炭を図つた場合、例えば終
点C値が0.03もしくは0.02%以上となる鋼を得て
これをTiで固定する場合と、さらに転炉溶製鋼
を真空脱ガス処理等に供してC値をさらに極低域
にまで下げた上でTiによりCを固定する場合と
では以下の点で大きな違いが生ずる。 C含有量が0.02%を越える場合のこれを固定す
るに充分なTi添加では、強度特性が安定し且つ
表面清浄の優れた鋼板製品を得ることが困難とな
る。例えば前述の米国特許第3881880号明細書の
ように0.03〜0.25%Cに対してこれを固定するに
充分なTiを添加した場合には、Ti炭化物(およ
びTi窒化物)の析出量が非常に多くなり、この
析出の形態は熱間圧延工程さらには焼鈍工程にお
ける諸条件の僅かの変動でも変化する。そして、
この析出の形態の差によつて鋼の強度特性や展延
性の性質は大きく変動する。従つて強度特性が安
定した製品を製造することが事実上困難となる。
また、かような比較的高いCを含む溶鋼にTiを
添加した場合には、スカムが生成し、これがスラ
ブ表面に現れて以後の圧延においても残存し表面
疵の原因を形成することがある。加えてTi添加
量が多くなることは経済的に不利である。このよ
うにC含有量が高いことはTiの炭窒化物によつ
て鋼の強度特性を上げることはできても、実際に
は種々の不都合を伴う。 従つて、本発明においては、Tiの炭窒化物に
よる強度向上は期待せず、C含有量を低域に下げ
これに伴つて必要なTi添加量を軽減してTi添加
による二次再結晶温度の向上効果を享受したうえ
で、本発明の目的である高温強度の向上は、この
二次再結晶温度までSiよびMn添加による強度向
上効果を保持させることによつて達成しようとす
るものである。このようなことから本発明におい
てC含有量はできるだけ低くすることが必要であ
り、0.02%を上限とし、好ましくは0.017%、さ
らに好ましくは0.015%を上限とする。このよう
なC含有量の極低化は通常の転炉製鋼法に真空脱
ガス処理法を付加することによつて実施できる。
C含有量の下限は臨界的ではなく、通常の転炉に
真空脱ガス設備を組合せて経済的に達成できる
0.001%以上であることができる。 Siは、本発明の主要な目的である高温強度の改
善に寄与する元素であり、同時にまた耐高温酸化
性にも寄与する。Siによる高温強度改善効果は固
溶強化によるものであり、Si含有量が多いほどそ
の効果は大きい。しかし、Si含有量が2.2%を越
えると、高温強度はさらに増大するものの冷間加
工性および溶接性が劣化するばかりでなく、アル
ミニウムめつき性が著しく劣化して健全なアルミ
ニウムめつき被覆を得ることが困難となる。従つ
て、本発明においてSi含有量の上限は2.2%とす
る。またSi含有量が0.1%未満では、高温強度お
よび耐高温酸化性に対する効果は極めて小さいの
で、その下限値は0.1%とするが、好ましくは、
0.2%、さらに好ましくは0.5%を下限とする。 Mnは、本発明の主要な目的である高温強度の
改善に寄与する元素である。Mnによる高温強度
改善効果は固溶強化効果によるものであり、その
効果はMn含有量が多いほど大きい。しかしMn
含有量が2.5%を越えると、高温強度はさらに増
大するものの、冷間加工性および溶接性が著しく
劣化するのみならず、溶融アルミニウムめつき鋼
板の800℃以下の温度範囲での高温使用中に、α
γ変態を起こして機械的性質の著しい変化を招
く恐れもあるのでその上限を2.5%とする。 Si含有量とMn含有量とは互いに独立ではなく、
相互に関連する。満足できる高温強度を達成する
には、 1.9×(%Si)+0.9×(%Mn)≧1 なる関係が充足されねばならないことがわかつ
た。一層改善された高温強度を達成するには、 1.2×(%Si)+0.6×(%Mn)≧1 とするのが好ましい。 熱延材の材質をできるだけ均質にすることは以
後の冷延工程および焼鈍工程を円滑に行うために
重要なことである。そのためには、熱間圧延を安
定γ域で行うことが必要であるが、Si含有量が多
くなると、αγ変態温度が上昇して熱間圧延を
安定γ域で仕上げることが困難となつてしまう。
一方、前述したように、Mnはαγ変態温度を
低下させる作用がある。安定γ域で熱間圧延を仕
上げるためには、 (%Mn)≧0.5×(%Si) なる関係が充足されねばならないことがわかつ
た。 第6図は、本発明により規定されるSi含有量と
Mn含有量との関係を示す。本発明では、第6図
の斜線を施した領域、すなわち点A(0.1、2.5)、
F(0.1、0.9)、G(0.43、0.21)、Q(2.2、1.1)お
よびD(2.2、2.5)で定義される五角形内の点で
表される量のSiおよびMnを添加する。第6図に
示す直線FGは、 1.9×(%Si)+0.9×(%Mn)=1 を表し、そして、直線GQは、 (%Mn)=0.5×(%Si) を表す。 好ましいSi含有量およびMn含有量は、第6図
の点A(0.1、2.5)、K(0.1、1.47)、L(0.67、
0.33)、Q(2.2、1.1)およびD(2.2、2.5)で定義
される五角形内の点で表される。第6図の直線
KLは、 1.2×(%Si)+0.6×(%Mn)=1 を表す。 Tiは、前述したように、めつき層中のAlを基
材鋼中に有効に拡散させる基本的元素の一つであ
る。すなわち基材鋼中のCおよびNをTi(C、
N)析出物として固定することにより、めつき層
から基材鋼中へのAl拡散が著しく容易となり、
基材鋼とめつき層との界面での空孔およびボイド
の生成量は激減する。この効果により、高温加熱
後において、本発明によるアルミニウムめつき鋼
板の表面には、最外表層(めつき鋼板の最外表
層)がAl2O3を主成分とする熱的および化学的に
安定で緻密な酸化物層で覆われた高濃度のAlを
含有するα−Fe層が形成され、優れた耐高温酸
化性が発揮される。Tiを(C+N)量の10倍以
上の量で添加すると充分量のTiを基材鋼中に固
溶Tiの形で存在させることができ、めつき鋼板
の耐高温酸化性をさらに改善する。この効果は、
高温加熱時に前述の高濃度のAlを含有するα−
Fe層(Al拡散層)とAl2O3を主成分とする酸化物
層との界面で、Tiが選択的に酸化されることに
より、当該界面にTiが濃縮して、Al2O3を主成分
とする酸化物層をさらに安定で緻密なものにする
からと考えられる。またTiは二次再結晶温度を
上昇させるので、基材鋼のフエライト粒が高温に
まで安定化し、SiおよびMnによる本発明に従う
固溶強化効果が高温にまで維持されるという作用
を供することになる。以上のようなTiの総合的
な効果は、Ti含有量が0.5%を越えて多量に添加
されても増大せず、かえつて基材鋼の表面品質の
劣化を招くのみであるから、上限値を0.5%に限
定する。またTi含有量が0.1未満であると、基材
鋼中のCおよびNを固定するには充分であつて
も、基材鋼中の固溶Ti量が少なくなつて上述の
Al2O3を主成分とする酸化物層をさらに安定で緻
密なものとするには不十分となるので、その下限
は0.1%とする。 Alは、溶鋼の脱酸を目的として添加するが、
本発明鋼ではTiを歩留り良く添加する予熱脱酸
元素としても重要であり、この観点から下限値を
0.01%とした。またAlを0.1%を越えて添加して
も脱酸効果はとくに改善されないのみならず、い
たずらに鋼板の表面性状を損ねる恐れが大きくな
るから上限値を0.1%とする。 Nは、本発明鋼の如きTi添加鋼においては、
ほとんどその全量が溶製時および凝固時にTiN
として析出し、これは以後のいかなる工程におい
ても分解および凝集することは殆どない。したが
つてTiの有効的利用を図るためにはN含有量を
極力低く抑えることが好ましいものの、現在の製
鋼法では完全に除去することは困難であるので、
N含有量を0.010%以下としている。 なお、PとSは多量に含有すると、冷間または
熱間加工性を害するので、可能な原限り少ないこ
とが好ましい。しかし、通常不可避的に含有され
るP;0.04%以下、S;0.04%以下であれば問題
はない。 次に具体例を挙げ、本発明をさらに説明する。 実施例 1 本例は、溶融アルミニウムめつき鋼板の商業的
規模の生産において、本発明が規定する巻取温度
が重要であることを説明するもので、Aは失敗
例、そしてBは成功例である。 A (対 照) 80トンLD転炉で低炭素鋼を溶製した。転炉で
溶製した溶鋼をVAD法による取鍋精錬に付し真
空加熱によつて脱炭した。フエロマンガン、フエ
ロシリコン、アルミニウムおよびフエロチタンの
副材料の添加により、重量%で、C;0.013%、
Si;1.00%、Mn;1.13%、P;0.022%、S;
0.006%、Ti;0.26%、Sol.Al;0.053%、N;
0.0030%、%Ti/(%C+%N)=16.3、残部Fe
および不純物の鋼とした。 前記組成の鋼から垂直式連続鋳造装置によつて
断面が199mm×940mmで長さが7900mmのスラブを7
本得た。それらのスラブを段積みのまま放冷し
た。各スラブをスカーフアーで疵取りしたあと、
1280℃に維持した加熱炉で4時間均熱し、そして
直ちに熱間圧延した。熱延仕上温度は900〜920
℃、巻取温度は680〜720℃、そして熱延板の厚さ
は3.2mmであつた。 各熱延コイルを放冷した後、塩酸浴による連続
式酸洗装置によつて脱スケールした。 脱スケールした各熱延板をタンデム式4段冷間
圧延機を使用して1.55mm厚みの冷延板を得た。 各冷延板を表面清浄化処理に付した後、インラ
イン焼鈍設備を備えたセンジミア型溶融アルミニ
ウムめつき装置に通板して、Al−Si(9%Si)め
つきを施した。より詳しく述べれば、ライン内の
ストリツプの温度は、NOFでは最高700℃、これ
に続くHZ(heat zone)での温度は810〜830℃で
あつた。HZの雰囲気はAXガス(分解アンモニ
アガス)であつた。約50秒の滞留時間でHZを通
過した板は、引続きAXガス雰囲気でAl−Si浴の
温度にまで冷却され、そしてAl−Si浴に連続的
に浸漬された。このようにしてめつきされた鋼板
は、一対のジエツトワイパーによつてめつき付着
量が両面合計で80g/m2に調整され、適度に冷却
された後、コイルに巻取られた。めつきされたコ
イルはダルロールによつて伸び率約1.0%で調質
圧延された。 観察結果は次のとおりであつた。 各熱延コイルとも全長にわたり両表層部に内部
酸化層が形成されており、酸洗いによつてスケー
ルを除去したあとも内部酸化層は残存した。めつ
き鋼板には点状の不めつきが観察された。めつき
鋼板の不めつきがない部分の断面顕微鏡写真(倍
率×400倍)を第3図aに示す。この写真によれ
ばめつき後も内部酸化層が残つていることがわか
る。第3図aに示しためつき鋼板を大気中に800
℃で20時間加熱した後における同材の断面顕微鏡
写真(倍率×400倍)を第3図bに示す。この写
真によれば、Al拡散層は鋼基材表層部に形成さ
れず、めつき層直下にFeスケールが生成したこ
とおよび内部酸化層からさらに深部にまで形成さ
れたことがわかるであろう。本例のめつき鋼板
は、従つて耐高温酸化性の要求を満足する工業製
品とは言いえない。 B (本発明法) 重量%で、C;0.009%、Si;0.57%、Mn;
0.99%、P;0.014%、S;0.006%、Ti;0.30%、
Sol.Al;0.046%、N;0.0033%、%Ti/(%C
+%N)=23、残部Feおよび不純物の鋼を真空脱
ガス後に得たこと、熱延板厚を4.5mmとしたこと、
および熱延巻取温度を530〜560℃としたこと以外
は、A記載の前記操作を反復して、同量の溶融ア
ルミニウムめつき鋼板を製造した。 観察結果は次のとおりであつた。 どの熱延コイルにも内部酸化の発生は認められ
なかつた。めつき鋼板には、不めつきはなかつ
た。めつき鋼板の断面の顕微鏡写真(倍率×400
倍)を第3図cに示す。この写真によれば、めつ
き鋼板にも内部酸化が完全に存在しないことがわ
かる。また、第3図cのめつき鋼板を大気中800
℃で20時間加熱した後の断面顕微鏡写真(倍率×
400倍)を第3図dに示す。この写真によれば、
耐高温酸化性に資するAl拡散層が形成されたこ
と、並びにめつき層と鋼基材との間の界面にFe
スケールが生成せず内部酸化の進行が全くなかつ
たことがわかるであろう。 実施例 2 本例は、実験室での実験例であり、本発明が規
定する基材鋼の組成が製品の高温における強度お
よび耐酸化性に対し重要であることを説明するも
のである。 第2表に示す組成の鋼を各々10Kg真空溶解炉に
よつて溶製し、これを鋳造、熱延、冷延して、板
厚1.0mmの鋼板を得、これを焼鈍してから素材表
面の酸化スケールの除去を行い、脱脂後、通常の
溶融アルミニウムめつき条件に従つて溶融Al浴
(Al−9%Si)に浸漬してアルミニウムめつき
(Al付着量80g/m2)を施した。このようにして
得た各試料について、室温での引張特性値と600
℃での強度(引張強さ)を測定した。また大気中
に800℃に20時間保持した後室温まで冷却するこ
とを10回繰り返した後の酸化増量で耐高温酸化性
を評価した。これらの試験結果を第2表に総括し
て示した。
【表】
第2表から次のことがわかる。
試料A、BおよびCは、基材鋼中のSiおよび
Mn含有量を本発明の範囲外にしたうえで、Ti含
有量およびTi/(C+N)比を異なるようにし
た比較例である。SiおよびMn含有量が本発明範
囲外であるこれら三つの試料は、Ti含有量とは
無関係に、600℃での強度は一様に低い。またこ
れら三つの試料の酸化増量を比べると、Ti含有
量およびTi/(C+N)比が最も高い試料Cの
酸化増量が最も低く、Tiの耐酸化性に対する効
果が明らかである。だが、この試料Cは、高温強
度が低く本発明の目的を達成できない。 試料Dおよび試料EはそれぞれSi含有量および
Mn含有量が本発明範囲の上限を越える比較例で
ある。試料Dは高温強度は高いものの室温での延
性が低い。そしてこの試料Dは不めつきが生じて
いた。このため酸化増量も高くなつている。試料
Eは高温強度が高く酸化増量も低いが、焼鈍条件
によつて室温の機械的性質が大きく変化するきら
いがある。 試料Fは、Si含有量およびMn含有量は本発明
範囲であるもののTiが添加されていない比較例
である。この試料は高温強度は優れているもの
の、耐高温酸化性の点で劣る。 試料G〜試料Kは本発明の範囲内のものであ
る。これらの五つの試料と試料Cとを比較する
と、SiおよびMnは耐高温酸化性を損なうことな
く、かようなTi添加鋼において室温の強度およ
び高温強度の改善に寄与することがわかる。
Mn含有量を本発明の範囲外にしたうえで、Ti含
有量およびTi/(C+N)比を異なるようにし
た比較例である。SiおよびMn含有量が本発明範
囲外であるこれら三つの試料は、Ti含有量とは
無関係に、600℃での強度は一様に低い。またこ
れら三つの試料の酸化増量を比べると、Ti含有
量およびTi/(C+N)比が最も高い試料Cの
酸化増量が最も低く、Tiの耐酸化性に対する効
果が明らかである。だが、この試料Cは、高温強
度が低く本発明の目的を達成できない。 試料Dおよび試料EはそれぞれSi含有量および
Mn含有量が本発明範囲の上限を越える比較例で
ある。試料Dは高温強度は高いものの室温での延
性が低い。そしてこの試料Dは不めつきが生じて
いた。このため酸化増量も高くなつている。試料
Eは高温強度が高く酸化増量も低いが、焼鈍条件
によつて室温の機械的性質が大きく変化するきら
いがある。 試料Fは、Si含有量およびMn含有量は本発明
範囲であるもののTiが添加されていない比較例
である。この試料は高温強度は優れているもの
の、耐高温酸化性の点で劣る。 試料G〜試料Kは本発明の範囲内のものであ
る。これらの五つの試料と試料Cとを比較する
と、SiおよびMnは耐高温酸化性を損なうことな
く、かようなTi添加鋼において室温の強度およ
び高温強度の改善に寄与することがわかる。
第1図は、溶融アルミニウムめつき鋼板の内部
酸化層の挙動を鋼表面の模式的拡大断面図で示し
た図であり、a〜eは鋼板製造の段階を表わして
いる。第2図は、内部酸化層が存在する基材鋼の
アルミニウムめつき前および後における断面の金
属組織を示す顕微鏡写真(倍率、いずれも×400
倍)であり、aはめつき前、bはめつき後を示し
ている。第3図は、内部酸化層の存在の有無が耐
高温酸化性に影響を及ぼす挙動を示す断面の金属
組織を示す顕微鏡写真である(倍率、いずれも×
400倍)。第4図は、Si−Mn鋼のSi含有量および
Mn含有量並びに温度がどのように内部酸化層の
生成に影響を及ぼすかを調べた実験結果のグラフ
表示図である。第5図は、内部酸化発生と熱延コ
イルの冷却曲線との関係を示す図である。第6図
は、本発明で規定する基材鋼中のSi含有量とMn
含有量との相互の関係を示す図である。
酸化層の挙動を鋼表面の模式的拡大断面図で示し
た図であり、a〜eは鋼板製造の段階を表わして
いる。第2図は、内部酸化層が存在する基材鋼の
アルミニウムめつき前および後における断面の金
属組織を示す顕微鏡写真(倍率、いずれも×400
倍)であり、aはめつき前、bはめつき後を示し
ている。第3図は、内部酸化層の存在の有無が耐
高温酸化性に影響を及ぼす挙動を示す断面の金属
組織を示す顕微鏡写真である(倍率、いずれも×
400倍)。第4図は、Si−Mn鋼のSi含有量および
Mn含有量並びに温度がどのように内部酸化層の
生成に影響を及ぼすかを調べた実験結果のグラフ
表示図である。第5図は、内部酸化発生と熱延コ
イルの冷却曲線との関係を示す図である。第6図
は、本発明で規定する基材鋼中のSi含有量とMn
含有量との相互の関係を示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鋼中の炭素および窒素が充分に固定され且つ
未結合のチタンが鋼中に残るに充分な量のチタン
を添加した鋼のスラブを製造し、これを、熱間圧
延工程、脱スケール工程、冷間圧延工程、焼鈍工
程および溶融アルミニウムめつき浴浸漬工程に順
に付して溶融アルミニウムめつき鋼板とする通常
の溶融アルミニウムめつき鋼板の製造方法におい
て、 前記スラブとして、重量%で、C;0.020%以
下、Si;0.1〜2.2%、Mn;2.5%以下で 1.9×(%Si)+0.9×(%Mn)≧1 且つ(%
Mn)≧0.5×(%Si)、 Ti;0.1〜0.5%で且つ(%Ti)/(%C+%N)
≧10、Al;0.01〜0.1%、N;0.010%以下、残部
がFeおよ不可避的不純物からなるTi添加Si−Mn
鋼のスラブを使用すること、並びに、 前記熱間圧延工程において巻取られる熱延材の
温度を十分に低く制御することによつて内部酸化
層が実質上存在しない鋼表面を該脱スケール工程
後に得ること、 を特徴とする溶融アルミニウムめつき鋼板の製造
方法。 2 巻取られる熱延材の温度を600℃以下に制御
する特許請求の範囲第1項記載の製造方法。 3 スラブ中のSi含有量およMn含有量が 1.2×(Si%)+0.6×(%Mn)≧1 の関係を充足するようにした特許請求の範囲第1
項または第2項記載の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13649084A JPS6115924A (ja) | 1984-07-03 | 1984-07-03 | 耐高温酸化性と高温強度に優れた溶融アルミニウムめつき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13649084A JPS6115924A (ja) | 1984-07-03 | 1984-07-03 | 耐高温酸化性と高温強度に優れた溶融アルミニウムめつき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6115924A JPS6115924A (ja) | 1986-01-24 |
| JPH059493B2 true JPH059493B2 (ja) | 1993-02-05 |
Family
ID=15176365
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13649084A Granted JPS6115924A (ja) | 1984-07-03 | 1984-07-03 | 耐高温酸化性と高温強度に優れた溶融アルミニウムめつき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6115924A (ja) |
-
1984
- 1984-07-03 JP JP13649084A patent/JPS6115924A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6115924A (ja) | 1986-01-24 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |