JPH0599869A - パン等の生地の膨張測定方法及び同測定装置並びにパ ン等の生地の配合確認方法 - Google Patents

パン等の生地の膨張測定方法及び同測定装置並びにパ ン等の生地の配合確認方法

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JPH0599869A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 パン生地の量に拘わらず、自動的に生地の膨
張度を測定し、かつ食塩等の配合状態を知る。 【構成】 電極間にパン等の生地を介在させて通電し、
醗酵前の電気容量C0 と醗酵後の電気容量Cを計測す
る。生地に含まれるガスの体積比Pを、P=1−(C/
02/3 として求める。そして生地の測定時の体積V
と醗酵前の生地の体積V0 との比V/V0 をV/V0
1/(1−P)として求め、膨張度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パンや洋菓子など(以
上及び以下において「パン等」という。)の生地の醗酵
段階における膨張度を測定するための膨張測定方法及び
膨張測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パン等
の製造現場では、生地がどの程度膨張したかを知ること
が醗酵状態を把握する上で重要である。通常の製造現場
では膨れ具合や内相を目で見て生地の膨張度合を判断し
ているが、この判断には熟練を要しかつ個人差も大き
い。
【0003】一方、生地の膨張を器具、装置を用いて測
定することも種々知られている。例えば、試験用の小量
の生地の膨張を測定する方法として、メスシリンダー法
(日本イースト工業会、パン酵母試験法)がある。この
方法は、メモリのついた管(メスシリンダー)の底に生
地を置き、醗酵が進むにつれて膨張する生地の体積の変
化をメモリで読み取るものである。この方法は、生地の
体積の変化を直接読み取っているため比較的正確な測定
ができるものではあるが、メモリの読み取りはすべて測
定者が目視で行う必要がある。このため、測定者は一定
時間ごとにメスシリンダーのメモリを読み取って記録
し、必要ならば測定の後に膨張曲線を自分の手で書き起
こさなければならず、従って大変面倒なものである。
【0004】また、生地の膨張を自動的に記録するもの
として、チモタキグラフ(Zymotachygraph:商標:フラ
ンス ショパン社製)や、ファ−モグラフ(商標:アト
ー株式会社製)などがある。これらの装置が採用してい
る方法は、一箇所だけ開放部をもつ密閉された容器の中
で試料の生地を醗酵させ、生地の膨張により排除された
容器の中の空気の体積を水の体積に置換して生地の膨張
度合を計測するものである。例えばファーモグラフと称
される自動計測装置は、ビンの中に置かれた生地から発
生した炭酸ガスや、生地の膨張によって排除されたビン
内の空気などの気体の体積を食塩水の体積に置換し、食
塩水の水面の浮子の動きとして計測記録する。また、生
地の入ったビンと食塩水の容器の間にアルカリ液の入っ
た容器を置き、生地から洩れ出た炭酸ガスを吸収し、生
地の入ったビンから生地の膨張により排除された空気の
み測定するようになっている。この装置により測定され
たデータはコンピューターによるデータ解析にかけるこ
とができ、従来知られている種々の計測装置の中ではも
っとも便利なものである。しかしながら、この装置の生
地膨張の測定においては、炭酸ガスの吸収に時間的な遅
れがあり、正確な生地の膨張体積の測定が困難であると
され(日本食品工業学会誌1988年第35巻第5号3
44−351ページ)、測定精度がそれほど高いものに
は成り得ないという問題がある。
【0005】また、メスシリンダー法やファーモグラフ
のいずれも、メスシリンダーや密閉容器が必要であり、
製造工程における大量の生地をこのような容器の中で醗
酵させるわけには行かないので、大量の生地の測定には
応用できないという問題がある。
【0006】さらに、多くの製造現場では機械のトラブ
ルや、従業員の不注意により、生地の配合ミスが起きて
いるが、上述の従来の方法では、例えば食塩を生地に配
合しているか否か、配合しているとすればどの程度配合
しているか等を知ることはできなかった。
【0007】本発明は上記従来の問題点に鑑みてなした
もので、試験用の小量の生地はもちろん、製造現場にお
ける大量の生地でも、自動的且つ経時的に、また正確に
膨張度を測定することができるパン等の生地の膨張測定
方法及び同膨張測定装置並びに生地への食塩等の配合状
態を知ることができるパン等の生地の配合確認方法を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述の課題を
解決すべく研究した結果、電気的な測定原理を用いるこ
とに着目し、生地の膨張を自動的に高精度で測定でき、
また生地の配合状態を確認できる本発明方法及び装置に
到達した。
【0009】即ち、パンなどの生地においては、生地本
体(生地の中のガス以外の部分もしくは醗酵前の状態の
生地)と発生したガスとでは、誘電率や導電率に違いが
あり、このため醗酵が進んで生地中にガスが生じてくる
と、生地全体(醗酵により生じたガスをも含む総体とし
ての生地)の誘電率や導電率に変化が生じてくる。今、
パン等の生地中に含まれているガスの体積比をP、醗酵
開始後のある測定時の電気容量をC、電気伝導度をG、
また、醗酵前の生地の電気容量をC0 、電気伝導度をG
0 とすると、これらの間には近似的にP=1−(C/C
02/3 =1−(G/G02/3 という関係が成り立
ち、生地の電気容量C、C0や電気伝導度G、G0 の値
を測定すれば体積比Pの値を算定できる。また、醗酵前
の生地の体積をV0 、測定時の体積をVとすれば、生地
膨張倍率V/V0 は、V/V0 =1/(1−P)として
体積比Pの値から一義的に求めることができる。
【0010】生地のこのような電気的性質の変化は、電
極を適宜間隔だけ離して生地中に挿し入れるか、電極間
に生地を挟んで通電し、電気容量や電気伝導度の変化を
測定することにより計測する。測定に使用する手段は、
電気容量または電気伝導度の測定できる装置であればよ
い。セル定数を入力可能な導電率計なども、いろいろな
材質や形状の電極とともに使用できる。また、生地の膨
張度を演算する手段はマイクロコンピュータを採用すれ
ばよい。勿論マイクロコンピュータのような汎用的な演
算手段のみならず、その他データ処理が可能な装置を用
いてもよい。
【0011】また本発明者の研究の結果、生地の材料で
ある食塩や水、イーストフード、油脂等は、生地の電気
的性質に影響を及ぼすことが判明している。例えば食塩
の入っている生地と、入っていない生地とでは測定値が
異なる。そこで、電極間にパン等の生地を介在させて通
電し、電気容量もしくは電気伝導度の値を測定すれば、
配合の有無や配合量によって測定値が異なることにな
り、これによって生地に含まれる成分の配合状態を確認
することができる。
【0012】
【実施例】図1は本発明に係るパン等の生地の膨張測定
装置の概要構成を示す。図中1は電極装置、2はインピ
ーダンスアナライザー、3はコンピュータである。電極
装置1は二本の電極針4、4を電極支持体5に貫通させ
て支持させ、電極支持体5に取付けたBNCコネクター
6に半田付けすることにより、インピーダンスアナライ
ザー2に接続してある。電極針4は、直径0.8mm、
長さ25mmの針状のステンレス材で、電極針4、4間
の距離は、例えば15mmとする。電極支持体5はアク
リル板である。インピーダンスアナライザー2は、例え
ば横河ヒューレットパッカード株式会社製、4194
A、商品名インピーダンス/ゲイン−フェイズアナライ
ザーを用いることができる。コンピュータ3はインピー
ダンスアナライザー2から出力される生地の電気容量
C、電気伝導度Gから所定の演算を行ない、生地中に含
まれているガスの体積比Pを算定する。またこの算定し
た体積比Pから生地膨張倍率V/V0 を算出する。V0
は醗酵前の生地の体積、Vは測定時の体積である。ガス
の体積比Pを算定するには、P=1−(C/C02/ 3
=1−(G/G02/3 なる式を用いるが、C0 は醗酵
前の生地の電気容量、Cは醗酵開始後のある測定時の生
地の電気容量、G0 は醗酵前の生地の電気伝導度、Gは
醗酵開始後のある測定時の生地の電気伝導度である。
【0013】図中10は他の電極装置であり、2枚の平
行板による電極板11、11をケース12内に配して構
成してある。電極板11は、直径40mmの円形の白金
板で、電極板11、11の間の距離は例えば40mmと
する。このような電極装置としては、例えば製造現場の
生地醗酵容器の底面や側面を利用し構成することができ
る。
【0014】なお、硬い生地や重い生地を測定する場合
は、電極針4、4の太さや長さ、電極針4、4間及び電
極板11、11間の距離を変えることも可能であり、極
端に形状を変更する場合は、検量線をあらかじめ作製す
れば、正確な測定が可能である。
【0015】
【実施例1】つぎに実施例1を説明する。パン用強力小
麦粉100に対し、生イースト2.4、水57からなる
生地をミキサー(米国ホバート社 N−50G)を用
い、低速3分、高速3分混捏して作り、これを試料とし
て電極4、4を差し込む。これによって電極4、4間に
生地が介在する状態として通電し、インピーダンスアナ
ライザー2により生地の電気伝導度G、G0 を醗酵期間
中に亘って連続的に測定し、インピーダンスアナライザ
ー2の出力をコンピューター3に入力する。コンピュー
タ3は上述の式に従って生地の膨張率を同時的に計算す
る。なおこの実施例1では、第一の電極装置1を用い
た。既に説明したように、生地の膨張倍率は、電気容量
からも電気伝導度からも計算できるが、ここでは電気伝
導度から計算した。さらに、インピーダンスアナライザ
ー2の測定周波数は低周波から高周波まで幅広い周波数
域が使用可能であるが、ここでは3MHzを使用した。
そして測定電圧は、0.3Vとした。測定電圧はイース
トや生地に影響の出ない範囲であれば適宜設定可能であ
る。測定の間、生地は27℃の恒温室に置いた。
【0016】図2は、生地の膨張度の測定結果を示すグ
ラフである。比較のために、この実施例1と同じ条件で
作った生地について、従来法で測定した結果も同時に示
してある。この図から明らかなように、本実施例の測定
結果は、従来法のメスシリンダー法とよく一致し、本発
明方法、装置により生地の膨張が正確に測定できること
が判る。しかも、電極を生地に挿入した後は自動的に測
定が行なわれ、計測のための人手がいらなかった。ま
た、もう一つの従来法であるファーモグラフによる測定
結果と本発明方法、装置による測定結果を比較したとこ
ろ、明らかに一致しなかった。醗酵している生地を観察
すれば判るように、醗酵後期では生地膨張は停止してい
て、生地の体積の変化はない。それにもかかわらず、フ
ァーモグラフによる測定結果では、生地から洩れる炭酸
ガスの吸収の遅れにより、あたかも生地の体積が膨張し
ているかのような測定結果が得られている。このことか
らも、本発明方法、装置によれば、より正確な測定が可
能であることが判る。
【0017】また、あらかじめパン等の品種ごとに標準
的な膨張曲線を測定して、そのデータをコンピューター
に入力しておけば、現在醗酵している生地が適正な醗酵
経過をたどっているかどうかが一目で判る。これによ
り、醗酵時間の調整の際あるいはこれに続く工程におい
てどのように生地を取扱加工すべきかという製造上有用
な指標が与えられる。
【0018】
【実施例2】実施例1と同じ条件でつくった生地を電極
装置10の電極板11、11間に入れて生地の膨張を測
定した。インピーダンスアナライザー2やコンピュータ
ー3の接続条件等は実施例1と同一にした。図3はこの
電極装置10による生地の膨張倍率の測定結果を示すグ
ラフである。図示のように、実施例1のような針状の電
極の他にこのような板状の電極でも測定できることが判
る。
【0019】
【実施例3】実施例2で用いた電極装置10により、実
施例1の配合の生地と、実施例1の配合に食塩0.2を
加えた生地の電気容量と電気伝導度を測定比較した。表
1は、この測定結果を示した表である。
【表1】 この表1から判るとおり、食塩の入っている生地と、入
っていない生地とでは測定値が異なる。即ち、配合の異
なる生地の識別ができ、しかも生地の膨張の測定と同時
に生地の配合の適正さをも確認でき、食品の製造上非常
に有用である。勿論、電気容量と電気伝導度のいずれか
のデータのみで判断することも可能である。
【0020】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係るパン
等の生地の膨張測定方法及び同測定装置は、醗酵前後の
電気容量もしくは電気伝導度の変化によりパン等の生地
の醗酵前後の体積比を求めるようにしたので、生地に電
極を挿入または接触させ生地が電極間に介在する状態と
した後は、人手を煩わせずに生地の膨張が自動で測定で
きるようになり、かつ正確な測定が可能になるという効
果を得られる。
【0021】さらに本発明に係るパン等の生地の膨張測
定方法及び同測定装置は、電極を生地に挿入または接触
させ生地が電極間に介在する状態とするだけなので、ど
んなに大量の生地でも、また小量の生地でもその膨張度
を正確に測定することができ、今まで直接測定すること
ができなかった製造現場における大量の生地でもその膨
張が測定できるようになるという効果がある。そして熟
練労働者の経験と勘に頼らなくとも、誰でも適正な生地
の醗酵を判断できるようになるという効果がある。勿論
自動製パン機の醗酵管理にも使えるという効果もある。
【0022】また本発明に係るパン等の生地の配合確認
方法は以上説明してきたように、パン等の生地に通電し
て得られる電気容量もしくは電気伝導度の値により、生
地に含まれる成分の配合状態を確認するようにしたの
で、従業員の不注意や機械のトラブル等による配合ミス
を自動的に検知することができるという、パン等の製造
上非常に有用なものとなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るパン等の生地の膨張測定装
置の説明図である。
【図2】図2は、生地の膨張倍率の測定結果を示すグラ
フである。
【図3】図3は、生地の膨張倍率の測定結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 電極装置 2 インピーダンスアナライザー 3 コンピュータ 4 電極針 5 電極支持体 6 BNCコネクター 10 電極装置 11 電極板 12 ケース

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極間にパン等の生地を介在させて通電
    し、醗酵前後の電気容量もしくは電気伝導度の変化によ
    り、上記生地に含まれるガスの体積比を測定し、該ガス
    の体積比により上記パン等の生地の醗酵前後の体積比を
    算出するパン等の生地の膨張測定方法。
  2. 【請求項2】 電極間にパン等の生地を介在させて通電
    し、醗酵前の電気容量C0 と醗酵後の電気容量Cとか
    ら、上記パン等の生地に含まれるガスの体積比Pを、P
    =1−(C/C02/3 として測定し、上記生地の測定
    時の体積Vと醗酵前の生地の体積V0 との比V/V0
    V/V0 =1/(1−P)として上記ガスの体積比Pを
    代入し、上記生地の膨張度を算出するパン等の生地の膨
    張測定方法。
  3. 【請求項3】 上記電気容量C、C0 に代えて電気伝導
    度G、G0 を用いた請求項2のパン等の生地の膨張測定
    方法。
  4. 【請求項4】 パン等の生地を介在させる一対の電極
    と、該電極間にパン等の生地を介在させて通電した際の
    電気容量もしくは電気伝導度を計測する手段と、該手段
    が計測した上記生地の電気容量もしくは電気伝導度によ
    り上記生地の膨張度を演算する手段とからなるパン等の
    生地の膨張測定装置。
  5. 【請求項5】 上記演算手段は、電極間に介在させたパ
    ン等の生地の醗酵前の電気容量C0 と醗酵後の電気容量
    Cとから、上記生地に含まれるガスの体積比Pを、P=
    1−(C/C02/3 として測定し、上記生地の測定時
    の体積Vと醗酵前の生地の体積V0 との比V/V0 をV
    /V0 =1/(1−P)として上記ガスの体積比Pを代
    入し、上記生地の膨張度を算出する請求項4のパン等の
    生地の膨張測定装置。
  6. 【請求項6】 上記電気容量C、C0 に代えて電気伝導
    度G、G0 を用いた請求項5のパン等の生地の膨張測定
    装置。
  7. 【請求項7】 電極間にパン等の生地を介在させて通電
    し、電気容量と電気伝導度の少なくともいずれか一方の
    値により、上記生地に含まれる成分の配合状態を確認す
    るパン等の生地の配合確認方法。
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