JPH06101007A - めっき浴用ロール - Google Patents

めっき浴用ロール

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JPH06101007A
JPH06101007A JP25123892A JP25123892A JPH06101007A JP H06101007 A JPH06101007 A JP H06101007A JP 25123892 A JP25123892 A JP 25123892A JP 25123892 A JP25123892 A JP 25123892A JP H06101007 A JPH06101007 A JP H06101007A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっき処理を施した鋼帯の色調や光沢に悪影
響を与えることがなしに長期にわたって使用できるめっ
き浴用ロールを提案する。 【構成】 めっき液を満たした処理槽内で鋼帯の巻きが
け案内を司るロールのロール胴に、高低差が0.5 〜5mm
の範囲内にあり、かつ凸部の先端が平たんになる凹凸を
設ける。 【効果】 これによって、めっき処理を施した鋼帯の表
面はグルーブマークなどのない優れた表面品質を有する
ものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鋼帯の溶融めっき処
理装置に配設される機器のうち、めっき液を満たした処
理槽内で鋼帯の巻がけ案内を司るロール、たとえば溶融
めっき浴浸漬ロール(以下、単に「シンクロール」とい
う)に関し、特にこのシンクロールの表面構造について
の改良提案であって、溶融亜鉛めっきや溶融アルミニウ
ムめっき、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき、溶融ス
ズめっきなどの非鉄金属の溶融めっきプロセスに適用さ
れる, らせん溝をもたないめっき浴用ロールに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっき処理装置あるいは溶融ア
ルミニウムめっき処理装置などに用いられているシンク
ロールは、図1に示すように、処理槽内に貯溜しためっ
き液(以下,これを単に「めっき浴」という)中で用い
られるものである。このシンクロールは、溶融亜鉛など
の溶融金属中に常時浸漬して用いられることから、使用
条件が苛酷であり、基本的には次のような機能を具備す
ることが要求されている。 溶融金属によってロール表面が侵食されにくいこ
と。 通過する鋼帯と接触しても表面が摩耗しにくく、初
期の形状・精度を長期にわたって維持できること。 消耗材ではあるが、その寿命が長く、装置コストを
抑制できること。
【0003】また、このシンクロールは、めっき浴中
で、鋼帯の案内と同時に方向転換のために用いられるの
で、次のような性能も要求される。 めっき液浴中に懸濁浮遊する異物(「ドロス」, 主
としてFe−Zn合金などの微粒子、もしくはこれらがめっ
き金属成分と機械的に結合した粒子で、金属Znより融点
が高くこれが鋼帯面に付着するとめっき層の形状欠陥と
なり、製品の表面欠陥をひきおこす)が鋼帯に付着しに
くい構造になっていること。 一般に、シンクロールのロール胴には、上記ドロス
を排出させるためのらせん状の溝(グルーブ)が刻設さ
れているが、この溝の形状がめっき鋼帯に転写されてめ
っきの不均一、すなわち、色調むら, 光沢むらなどのめ
っき表面欠陥(いわゆる「グルーブマーク」と称されて
いる)が発生しにくいものであること。
【0004】これらの要求に応えられる従来のシンクロ
ールとしては、a.ロールの外周面に耐溶融金属侵食性
の優れた被覆層を設けたもの、b.ロールの外周面に刻
設する溝形状を改善したものがある。前者のロールとし
ては、JIS H8303-1989に制定されているようなコバル
ト自溶合金を、ロール表面に溶射溶着したもの、特開
平1−108334号公報に開示のように、上記自溶合金中
に、耐溶融亜鉛侵食性を改善するためのMo, W を添加し
てなる被覆層を形成したもの、特公昭58−37386 号公
報に開示のように、WCあるいはCrC , TiC と熱間耐食性
金属などからなる厚さ 0.1〜2.4 mmの被覆層を設けたも
の、などが知られている。
【0005】また、後者のロールについては、ロール
表面に、図2a,bに示すような溝を刻設したものが知
られている。これらの溝は、ロール胴の周りにその一端
から他端に向かって延びるらせん状の溝またはロール胴
の中央部で左右に振り分けられた互いに逆向にそれぞれ
ロール端へ向かって延びるらせん状の溝であって、何れ
のものも溝の相互間は、ロールの平たん部とつながった
構成になっている。さらに、このらせん溝の刻設方法に
ついても種々の提案があり、たとえば、特開昭64−79
356 号公報には、ロール外周面に、ピッチ20〜60mm、深
さ 0.5〜10mm、幅5〜10mm、R3〜10mmのクロス状の溝
を設けた構成になる溶融亜鉛めっき用シンクロールが提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの各従来技術
は、ロール表面形状の長期安定化や鋼帯の表面に付着し
やすいドロスの軽減を図るうえではそれなりの効果は期
待できた。しかしながら、昨今の自動車用防錆鋼板など
の亜鉛めっき処理では、品質のより高いものが要求され
るようになってきていて、従来の改善技術だけでは充分
満足のいく結果は得られていない。すなわち、めっき鋼
板においてはその機械的性質の改善を図ることはもとよ
りであるが、この発明で対象とするような塗装の下地と
してめっき処理を行う分野についても、たとえばめっき
の色調や光沢などの表面品質に対してもより優れたもの
が要求されているところ、このような要求に応えられる
ほど十分に満足のいく結果が得られているとは言い難い
のが実情であった。
【0007】このような実情に鑑み、めっき処理を施し
た鋼帯の品質向上を図るべく研究を進めるうちに、発明
者らは、上記従来技術のうち、とくに特開昭64−79356
号公報のように、シンクロールのロール胴にらせん状の
溝を刻設することによって、それ以前の種々の問題点を
克服することとした従来ロールの場合、むしろ、このら
せん状の溝が、めっき処理を施した鋼帯の色調あるいは
光沢のむらを発生させる主な原因になっていることを明
らかにした。すなわち、鋼帯のめっき処理に際して使用
するシンクロールは、上掲図2a,bに示したように、
ドロス排出用のらせん状の溝とそれに隣接する平たん部
とに接触しているため、それぞれの領域においてめっき
条件等に差が生じ、これがめっきを施した鋼帯に“グル
ーブマーク”と呼ばれる縞模様を発生させ、めっき面の
色調むらや光沢のむらなどのめっき外観欠陥を引き起こ
す原因となっていたのである。そして、このグルーブマ
ークは、シンクロールが新品のときに顕著に発生するこ
とも判った。
【0008】かかるグルーブマークの発生を防止するた
めのこれまで手立てとしては鋼帯の張力, 通板速度,
鋼帯の温度, 浴成分などを調整する方法、あるいは、
予めダミー鋼帯とよばれる前処理鋼帯を8〜24時間通板
させてコンディショニングを行ってから、本格的な通板
を行う方法などが試みられたけれども、上記の方法で
は、製造する鋼帯の厚さ, 幅によって溶融金属浴中での
鋼帯温度や張力が変化するため、安定した条件を見い出
すのが困難であり、また、めっき浴成分の調整によって
グルーブマークを不鮮明にする方法についても、めっき
浴成分は鋼帯の表面におけるめっき層の密着性とは相反
する関係にあってその調整が極めて困難であった。一
方、ダミー鋼板を通板させる調整操業を行うの方法で
は、生産性を著しく低下させるので実効が困難であっ
た。
【0009】このにように、らせん状の溝を備える従来
型のロールでは、どのような操業上の改善を行ってもグ
ルーブマークの発生を完全に防止するまでには至ってい
ない。
【0010】この発明の目的は、ロール表面の微小形状
について機械的に吟味し、グルーブマークが発生しない
好適条件を追求し、さらにこの好適形状を長期間維持さ
せることによって、上述した従来技術の欠点を克服する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らの研究によれ
ば、図2a,bに示したようなシンクロールでは、搬送
鋼帯が、めっき浴中で巻きがけられる際に、その巻き付
け角度が小さいほど該溝に起因したグルーブマークの発
生が軽減されることを知見したが、かかるマークを完全
に防止することは不可能であることが判った。そこで発
明者らは、このようならせん状の溝を適用することなし
に、鋼帯を浴成分を介してシンクロールのロール胴に巻
きがけて案内することができるように、そのロール胴の
表面に凹凸を付与することに想到した。
【0012】すなわち、この発明は、めっき液を満たし
た処理槽内で鋼帯の巻き掛け案内を司るロールであっ
て、このロールのロール胴に、高低差が0.5 〜5mmの範
囲内にあり、かつ凸部の先端が平たんになる凹凸を設け
たことを特徴とするめっき浴用ロールである。
【0013】この発明においては、上記のめっき浴用ロ
ール(シンクロール)が、浴成分を介して鋼帯を巻きが
けることができるように凸部の密度を1cm2 あたり10〜
250個の範囲内に収めるようにし、さらにロール胴の表
面、すなわち凹凸表面のみまたは溝部を含めた凹凸全面
に、たとえば炭化物, 酸化物もしくは硼化物またはそれ
らのサーメット材よりなる被覆層を設けることが好まし
い。
【0014】
【作用】溶融金属めっき浴中で鋼帯を案内走行させるた
めに用いるシンクロールは、理論的には上述したらせん
状の溝のないことが望ましい。しかしながら、溶融めっ
き処理では、鋼帯とロールの接触界面におけるZn−Fe合
金(ドロス)の生成と凝集は不可避であり、このために
はドロスを自動的に排出させる経路を設ける必要性か
ら、これまでに種々の寸法, 形状をした溝を刻設するの
が普通であった。
【0015】ここに、上記の溝は、シンクロールの回転
で、鋼帯とロール胴との間に存在するドロスを該溝に沿
ってロール胴の端部へ移動、排出する機構になっている
ことから、必然的に、らせん状の溝形状(V,U,角形
など)として形成されている。この溝(以下、このよう
な溝を「らせん溝」という)は、基本的には1本の溝で
あり、たとえばロールの回転軸を基準としたとき、それ
らは互いに連絡せず平たん部を介して離間した関係にな
っている。このことは、ロールがめっき浴中で動作する
とき、前記らせん溝にはめっき浴成分が潤沢に存在して
鋼帯に対し流体接触するのに対し、このらせん溝に隣接
する平たん部では、鋼帯がロール表面とほぼ剛体接触す
ることを意味し、ここに両者の鋼帯表面に対するめっき
浴成分の影響やめっき条件について差 (作用差) が生じ
ていわゆるグルーブマークが発生するものと考えられ
る。
【0016】さて、発明者らは、上述したらせん溝と平
たん部との作用差として、めっき浴成分との反応時間
の差、境界層理論としてみたときのめっき浴成分の差
異、めっき浴成分との接触圧力差などについて考察し
た。そして、グルーブマークは、上述したような鋼帯と
めっき浴成分の微視的なめっき反応条件差によって発生
するものであると仮定して、らせん溝を適用せずに該ら
せん溝と同等の機能を有し、しかも鋼帯が巻きがけられ
るロール胴のいかなる接触面においても同等のめっき反
応を呈する接触条件に設定できる手段について種々実験
と検討を行った。
【0017】その結果、シンクロールのロール胴の表面
に規則的もしくは不規則な、例えば図3a〜lに示すよ
うな形状になる凹凸を付与することが極めて有効である
ことを知見したのである。そして、このような凹凸につ
いて、その大きさや具体的な形状を種々変化させ、グル
ーブマークとの関係をさらに詳細に検討した。このよう
な考え方というのは、通常、めっき浴成分は、本質的に
は溶融金属であり、粘性にもとづく表面張力を有するた
め、凹凸の高低差にも好適範囲があることが判った。ま
た、凹凸のうちの凸部が、ある大きさ以上になると、逆
にそれがグルーブマークに相当するような模様をめっき
鋼帯に転写することなども明らかになった。
【0018】この発明において、ロール胴に所要の凹凸
を付与する方法としては、切削加工法、放電加工
法、レーザービーム加工法、ショットまたはグリッ
ト材を高圧空気で吹きつけるいわゆるブラスト加工法、
あるいは微小なピンを埋め込み溶接により接着する加
工法などを適用することができる。さて、試験ロールと
して、SUS 304 ステンレス鋼および13Cr系鋼の2種類の
材質からなる、直径 600mm, 面長 (ロール胴長)1500mm
の寸法のものを使用し、あらかじめその表面(ロール胴
の全面))に上記手法を適用して種々のサイズになる凹
凸を形成し、これを普通亜鉛めっき浴に浸漬して鋼帯の
巻きがけ案内を行い、めっき処理を施した鋼帯表面にお
けるグルーブマークの発生状況について観察した。
【0019】表1はロール胴の凹凸形状、刻設方法とめ
っき鋼帯表面のグルーブマーク発生状況との関係を示し
たものである。凹凸の高低差を 0.5mm以上 5.0mm以下の
範囲内とし、三角錐台や四角錐台、角柱、円柱などの形
状としたものが、グルーブマークを発生させないことが
明らかである。
【0020】
【表1】
【0021】また、表2は、凹凸のうちの凸部の単位面
積当たりの密度についての結果であり、グルーブマーク
におよぼす影響とその形状を維持することができる寿命
との関係を示したものである。凸部の機能とその維持能
からみたとき、ロール胴の表面1cm2 あたりの凸部の個
数には好適範囲があり、凸部の刻設密度が1cm2 あたり
10ケ以上 250ケ以下の場合にグルーブマークが発生せ
ず、しかもその維持能、すなわちその寿命も極めて良好
であることがわかった。そして、この刻設密度が大きす
ぎると、その間隙にドロスが堆積し凹部を埋めてしまう
こともわかった。
【0022】
【表2】
【0023】この発明に適合する凹凸は、例えば図4に
模式的に示すようなロケーションとすることが好まし
い。というのは、このような凹凸を付与することによ
り、鋼帯がロール胴に巻きがけられたとき、鋼帯とロー
ル胴の凹凸の間にめっき浴が、均一な状態で存在するこ
とになるからである。このような構成は、ロール胴に単
なるらせん溝を設けた図5に示すような従来のロールと
は本質的に異なるものであると言える。この発明におい
てはロール胴表面の凹凸のうち凸部の先端を平たんにす
ることとしたが、その理由は、鋼帯表面に押し疵が発生
することを防ぐことと、ロールと鋼帯間の接触面積を増
加させることにより接触面圧を下げ、ロール寿命を向上
させるためである。
【0024】以上のようにこの発明では、シンクロール
のロール胴に上述したような条件を満足する凹凸を設け
ることとしたので、らせん溝を適用せずとも鋼帯とロー
ルとのすき間にめっき浴成分を潤沢に滞留させ、ロール
外周面のいかなる部位についてもめっき反応条件をほぼ
同等とすることができ、鋼帯の表面には均一なめっき層
が得られ、その結果、グルーブマークの発生を皆無とす
ることができるのである。
【0025】次に、この発明において、とくにロール胴
の表面に、炭化物, 酸化物, 硼化物もしくはそれらのサ
ーメット材の被覆層を設けることが好ましいとしたのは
次の理由による。それは、連続溶融金属めっき設備の浴
中ロールは、一般に、オーステナイト系ステンレス鋼や
13Cr系鋼のような合金鋼で製作されている。ところが、
亜鉛などの溶融金属は、活性であり、鋼素材との反応性
に富むので、ロールの表面には種々のFe合金を生成す
る。とりわけ、溶融めっき設備におけるシンクロール
は、浴中ではめっき液と反応し、その表面は短時間のう
ちに合金層で覆われる。このため、微細な凹凸を形成し
たロールを、初期設計の状態のまま長期間維持すること
は極めて困難である。そこで、発明者らが、めっき浴成
分の侵食による該微小凹凸の形状変化についても調査,
検討した結果としてロール表面すなわち凹凸を形成した
ロール胴をその全面にわたって炭化物, 酸化物, 硼化物
もしくはそれらのサーメット材で被覆することが有効で
あることを見い出したのである。
【0026】ここに、SUS 304 ステンレス鋼基材からな
るロールに対し、既述の凹凸を刻設したロール、前
記のロールに対し、さらにその表面にWC−Coサーメッ
ト材を40μm以上 100μm未満溶射被覆したロール、と
を製作し、これらのロールを480℃の溶融亜鉛めっき浴
中に浸漬して、表面形状の変化を調べた。その結果、上
記のロールは、SUS 304 ステンレス鋼基材に対する溶
融亜鉛の侵食により凹凸部が5〜10時間後に溶損, 消滅
したのに対し、のロールは 800時間後も凹凸形状が初
期状態のまま維持されていた。したがって、凹凸の効果
を長期にわたって維持するためには、ロール胴の表面に
WC−Coサーメット材などの被覆層を設けることが有効で
ある。
【0027】このように、この発明においては、溶融金
属めっき浴中で使用するシンクロールのロール胴に規則
的もしくは不規則的な凹凸を設け、ここにさらに耐溶融
金属性に優れたセラミックス等の被覆層を設けることに
より凹凸のもつ効果を長期間にわたって維持することが
できるのである。被覆層の厚さに関しては、この発明で
規定する凹凸の高低差の要件を満足する限り種々の厚さ
を選択することができる。
【0028】上述の事例は、ロール胴の表面に凹凸を刻
設し、その後WC−Coサーメット材を溶射被覆した場合に
ついて説明したが、この加工手順は表面被覆材によって
は逆にしてもよいのはもちろんである。例えば、凹凸面
に酸化クロムなどの金属酸化物被覆層を設ける場合に
は、まずロール胴に必要厚さで溶射被覆し、その後にレ
ーザービームを照射して溶射膜厚を越えない範囲での微
小突起を刻設するようにしてもよく、また、微小突起が
溶射膜厚を越える場合には、溝部に対して部分的再溶射
のような手立を施しおく必要がある。
【0029】さらにこの発明における凸部の形状は、こ
れまで説明したもののみに限定されるものではなく、図
3においてすでに示した如く多角錐台, 円錐台, 円柱,
だ円柱あるいは球帯などを用いることができるのはいう
までもない。
【0030】
【実施例】
実施例1 直径700 mm, ロール胴長が1800mmになる溶融亜鉛めっき
用ロール (13Cr系ステンレス鋼製) のロール胴に凹凸を
付与すべく、底面における一辺が 2.2mmで高さが0.7 mm
の四角錐台(図3b参照)を1cm2 あたり20個の密度と
なるように切削加工にて形成した。そして、このロール
のロール胴の表面にさらに厚さが0.08〜0.09mmになるWC
−12%Coサーメット材の被覆層を溶射にて被成した。
【0031】このようにして得られたロールについて、
温度480 ℃の溶融亜鉛めっき浴中で実際に使用したとこ
ろ、稼動直後においてもグルーブマークの発生は全く認
めらず、また、初期コンディショニング (めっき諸条件
の調整) に要する浴成分、浴温、めっき鋼帯の張力調整
は全く不要であって、操業当初から表面品質に優れため
っき鋼板が得られることが確かめられた。したがって、
このロールによれば、従来、めっき処理装置の運転開始
時に不可欠であったダミー鋼帯を8〜24時間通板させる
ような工程を省略することができた。また、従来は、グ
ルーブマークの発生を軽減するため鋼帯の張力を通常よ
り低下させる必要があったが(鋼帯のスリップの一因と
なり、めっき鋼帯にすりきずなどの表面欠陥を発生させ
る)、この発明に従うロールでは張力を高くしても表面
欠陥の発生や鋼帯の蛇行はほとんど起こらなかった。し
かも、ロール軸部などの周辺機器の交換作業時に際して
ロールを浴から引き上げて観察したが、ロール胴の凹凸
の形状はほとんど変化が見られなかった。さらにこれに
引き続いてこのロールを再使用したが、ダミー鋼帯によ
る操業条件の調整は全く必要がなかった。そして、ロー
ル表面の凹凸の損耗が漸次発生し始め、めっき品質に影
響がでるまでに延べ50日間使用できた。
【0032】この実施例における生産品種は、自動車外
装用めっき鋼板であり、めっき面の美麗さや深絞り性が
要求されるものであって、このような鋼板を対象とする
場合に使用されていた図2に示すような従来ロール( 深
さ1.5 mm, 幅6 mm, ピッチ25mmのV字形状のらせん溝を
有するもの) の稼動寿命は、およそ5〜15日であるのに
対して、この発明に従うロールは、約 3.5倍程度寿命を
延長することができた。しかもめっき作業の稼動初期に
おける工程の簡略化によって生産性を著しく向上させる
ことができた。なお、この実施例では、らせん溝 (深さ
1.5 mm, 幅6 mm, ピッチ25mmのV字形状) のみを有する
ロールについて、このロールのロール胴 (らせん溝に挟
まれる平たん部) にこの発明で規定したような凹凸を付
けて鋼帯を処理した場合におけるグルーブマークの発生
状況やロールの寿命等について調査した。その結果、か
かるロールによれば、らせん溝に起因したグルーブマー
クの発生を、らせん溝のみを設けたロールに比較して極
端に小さくできたものの、かかるマークの発生を完全に
回避するまでには至らなかった。また、ロールの稼働寿
命は30〜50日程度であった。図6にこのとき使用したロ
ールの要部の断面を示す。
【0033】実施例2 直径800 mm, ロール胴長が1800mmになる溶融亜鉛めっき
用シンクロール (SUS304 オーステナイト系ステンレス
鋼製) のロール胴に、直径が 1.5mmの円形で高さ4.2 mm
のピン(図3h参照)を1cm2 あたり16個の密度となる
ようにスポット溶接により接着して凹凸を付与し、さら
にそのピンを含めたロール胴の表面に厚さが0.08〜0.09
mmになるWC−12%Coサーメット材の被覆層を溶射にて被
成し、温度 480℃の溶融亜鉛めっき浴中でのその使用状
況について調査した。その結果、実施例1と同様の良好
な結果を得ることができた。
【0034】実施例3 直径800 mm, ロール胴長が1500mmになる溶融亜鉛めっき
用シンクロール (SUS304 オーステナイト系ステンレス
鋼製) のロール胴に、底面における一辺 2.5mmの正三角
形で高さ0.5 mmの三角錐台(図3a参照)を1cm2 あた
り16個の密度になるようにレーザービーム加工により刻
設して凹凸を付与し、かかるロールについて温度 480℃
の溶融亜鉛めっき浴中でその使用状況について調査し
た。その結果、ロール胴の表面にセラミックスの被覆層
を設けたものよりもロール寿命の点でやや劣るもののめ
っき鋼帯の品質には何ら遜色はなく、実施例1と同様の
良好な結果を得ることができた。
【0035】実施例4 直径700 mm, ロール胴長が1800mmになる溶融亜鉛めっき
用シンクロール (13Cr系ステンレス鋼製) のロール胴を
下記の構成からなるA,BおよびCからなる3領域に区
分して各領域の溶融亜鉛めっき浴(温度480 ℃) 中にお
ける使用状況について調査した。 A領域:深さ0.3 mm, 幅1.5 mm, 相互間隔3mm, 断面
形状がU字形のらせん溝を形成、 B領域:深さ1.5 mm, 幅6mm, 相互間隔25mmのV字形
のらせん溝を切削加工によって形成し、溝の相互間をつ
なぐ平たん部に一辺が2.2 mm, 高さ0.7 mm, 1cm2 あた
り20個の密度となるように四角錐台(図3b参照)を形
成、 C領域:らせん溝は設けずB領域のものと同一の四角
錐台のみを形成しその表面(C領域の全面)に厚さ0.08
〜0.09mmのWC-12 %Coのサーメット材よりなる被覆層を
溶射にて被成、 その結果、A領域を通して鋼帯の巻きがけ案内を行った
場合には、稼働直後から鋼帯表面にロールの溝形状が不
均一模様(グルーブマーク)となって転写され、これが
消滅するまでに約20時間を要した。一方、B領域を通し
て鋼帯の巻きがけ案内を行った場合には、A領域を通し
て巻きがけ案内を行った場合に比較して溝形状の転写に
よるグルーブマークの発生は極端に少なくなったが、か
かるマークを完全に防止できるまでには至らなかった。
これに対してC領域を通して鋼帯の巻きがけ案内を行っ
た場合には稼働直後においてもグルーブマークの発生は
全く認められず、めっき処理を終えた鋼帯の表面も極め
て良好なものであった。各領域の耐用期間(時間)はC
領域で60日間、A領域で14日間、B領域で5日間であ
り、とくにこの発明で規定する要件を満足するC領域は
その寿命も極めて長いものであることが確かめられた。
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、ロール胴にらせん溝
を設けずともドロス排出機能を維持することが可能であ
り、グルーブマークに起因した色調むらや光沢のむらの
おそれのない安定しためっき処理を行うことができる。
また、この発明によれば、めっき作業の初期段階におけ
る工程の簡略化が可能なので、生産性を著しく改善する
ことができるし、ロール胴に炭化物, 酸化物もしくは硼
化物またはこれらのサーメット材の被覆層を備えること
によってロールの耐用期間(寿命)をより一層延長でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は鋼帯の連続溶融金属めっき処理装置の概
略図である。
【図2】図2a, bは、シンクロールのロール胴に設け
たらせん溝の形態を示す略線図である。
【図3】図3a〜lは、シンクロールのロール胴に設け
た凹凸のうちの凸部の平面および側面の形状を示した図
である。
【図4】図4は、この発明に従うロールの要部を示した
図である。
【図5】図5は、従来ロールの要部を示した図である。
【図6】図6は、ロール胴にらせん溝と凹凸を設けた構
成になるロールの要部を示した図である。
【符号の説明】
1 シンクロール 2 サポートロール 3 溶融金属めっき浴 4 ワイピングノズル 5 タッチロール 6 鋼帯 7 スナウト

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき液を満たした処理槽内で鋼帯の巻
    きがけ案内を司るロールであって、このロールのロール
    胴に、高低差が0.5 〜5mmの範囲内にあり、かつ凸部の
    先端が平たんになる凹凸を設けたことを特徴とするめっ
    き浴用ロール。
  2. 【請求項2】 凸部の密度を、1cm2 あたり10〜250 個
    とした請求項1記載のめっき浴用ロール。
  3. 【請求項3】 ロール胴表面の一部または全面に、炭化
    物, 酸化物もしくは硼化物またはこれらのサーメット材
    の被覆層を備える請求項1または2記載のめっき浴用ロ
    ール。
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