JPH06103028B2 - 液圧歯車ポンプまたはモータ - Google Patents

液圧歯車ポンプまたはモータ

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JPH06103028B2
JPH06103028B2 JP60040713A JP4071385A JPH06103028B2 JP H06103028 B2 JPH06103028 B2 JP H06103028B2 JP 60040713 A JP60040713 A JP 60040713A JP 4071385 A JP4071385 A JP 4071385A JP H06103028 B2 JPH06103028 B2 JP H06103028B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、内部漏れ少ない極めて優秀なシール性能を具
備した液圧歯車ポンプまたはモータに関するものであ
る。
[従来の技術] 周知のように、油や高粘性液体、例えば、溶融ポリマ等
を作動流体とする液圧歯車ポンプはハウジング内に一対
の歯車を噛合させて回転可能に配置してなるもので、そ
の主軸に連なる一方の歯車から回転駆動すると、互いの
歯形が離反される側の噛合部に臨むポートから液を吸引
し、互いの歯形が接近される側の噛合部に臨むポートか
ら圧液を吐出するポンプ機能を果し、また、その一方の
ポートを高圧側に接続し他方のポートを低圧側に接続し
て使用すると、圧液が歯車を回転駆動しながら高圧側か
ら低圧側に移送されて、主軸が出力軸として回転する液
圧モータとしても運転可能なものである。
しかして、この種のポンプ/モータ(以下、作動流体が
油である場合について説明する)では、通常その噛合部
に臨む高低圧ポートの部位を除いて各歯車の歯先と側面
部とを、周壁部材をなすケースボディやサイドプレート
などの内面に摺接させ、最終的には両者の間に油膜が介
在される微少な隙間を設けるようにして歯先および側面
部からの油漏れをシールするようにするのが通例であ
る。そして、ポンプ/モータとしての性能を高める上
で、これらの摺接面における油密性をより完全なものに
近ずけること、即ちシール部に必要最小限の最適クリア
ランスを与えるようにすることが技術的課題となってい
る。また、最近では歯車ポンプを高圧用ポンプとして使
用する例が増えつつあるが、特に高圧用のものでは吐出
圧が高くなるにつれて内部の油漏れが増加して行くた
め、摺接面におけるシール性能が十分でないと高圧、高
温条件下では容積効率が著しく低下して使用に耐えない
ものとなる。
このため、歯車ポンプ/モータ特に高圧用のものを製作
する場合では、ケースボディ、サイドプレート、軸受、
歯車およびその他の構成部材の各々の加工精度を出来る
だけ高めるようにし、しかもそれらの部材を選択嵌合に
より組立ることが最良の手段として執られている。つま
り、現状では専ら部材の加工組立寸法精度を高めるとい
う技術的見地から歯車と周壁部材との間の隙間を調整す
ることが指向されている。また、従来より歯車ポンプ/
モータを設計製作する場合では、予めケースボディの内
径を若干小さなものに形成しておき、組立後本使用に供
する前に適当な「ならし運転」を実施し、そのさいボデ
ィの内面を硬い歯車の歯先で切削してボディ内面と歯車
の歯先との間の隙間を調整するという製作プロセスを執
ることが一般的に確立されている。つまり、このように
すれば、歯車の歯先が工具としてケースボディを削り取
って多少の寸法誤差があっても自動的に最適クリアラン
スを生じせしめるものとなり、しかも歯車が高圧側と低
圧側との圧力差などに起因して僅かながらも偏心すると
いう特性に対しても、この内面加工がこれを有効に補正
する働きをすると考えられるからである。そして、この
場合の歯先によるボディ内面の削り取りは、切削加工理
論に基づくものと考えられている。
[発明が解決しようとする問題点] しかし乍ら、本発明者は独自に実験研究を重ねた結果、
以上のような従来の技術体系に基づくシール手段を踏襲
する限りにおいては、一応の改善効果は収められるもの
の、その各構成部材の加工精度を極力高めて前記選択嵌
合を実施するようにしても、もはやそれ以上この種ポン
プ/モータの飛躍的な効率アップを図るに足るほどのシ
ール性能の大幅な改善は到底望み得ないことが確かめら
れた。そして、本発明者はこれら一連の実験考察結果を
基礎にして、今日まで積極的に推進されてきた従来の上
記両技術手段の有効性について考察再検討を加えたとこ
ろ、これらはいずれも歯車ポンプ/モータのシール性能
を究極的なまでに追求する目的の上では必ずしも有効な
ものと言えず、むしろ誤れるものといわざるを得ないと
の結論に至った。この理由を具体的に説明すると、以下
の通りである。
まず、前記選択嵌合手段における不具合について説明す
る。
従来の選択嵌合手段では、加工組立寸法精度をどれほど
高めても、高圧油による変形や各部の熱膨脹により、歯
車の歯先とケースボディとのクリアランスを最適に保つ
ことができないという不具合がつきまとう。なぜなら、
歯車の歯先とケースボディとの間の隙間は、ならし運転
に伴なう内面加工時と高圧使用時におる歯車中央部の撓
み変形時とで不可避的に変動してしまうという現象が生
じるからであり、しかも、その変動はならし運転によっ
て一旦確保した最適クリアランスを広げる方向にしか生
じないため、ポンプ/モータの製作当初においてその各
構成部材にいくら高い寸法精度を与えかつこれらを選択
嵌合により組立るようにしても、実際の高圧使用状態で
歯車の歯先側に均一な最適クリアランスを維持設定でき
たことにならない。
また、前記内面切削加工手段、即ち歯車の歯先を工具と
してケースボディの内面を削り取り隙間を調整する手段
の不具合を述べると、次の通りである。前述のように、
浸炭鋼等の硬い材質からなる歯車の歯先でダクタイル鋳
鉄等の比較的軟らかい材質からなるボディ内面をならし
運転により削り取るようにすれば、一面においてはこれ
が組立寸法誤差を調整し、またギヤシャフトに対しある
間隙寸法を持った軸受のガタに起因する歯車の偏心(前
述のように高圧側の圧液により押されてその軸心が低圧
側に変位する現象)を吸収して最適のクリアランスをつ
くり出すことに奏効し得るものと考えられる。しかし、
このような手段によれば、ポンプ/モータの回転数や使
用温度により正確には歯車の偏心位置が多様に移り変る
ことを考慮していないため、一旦ならし運転により歯先
シール部に最適クリアランスを設定しても、これを実使
用に供して回転数等の使用条件が変化すると、歯先が削
り取るボディ内面部位がその都度相違し、却って歯先隙
間を増し漏れを増大する結果となるのが実情である。理
解のため、図示して説明すれば、ジャーナル軸受8によ
り歯車3を軸支する場合では、その軸受特性により歯車
3の軸心は概括的には第10図に示すように、軸受の軸心
Ojに対し低速回転時にはOg1、また高速回転時にはOg2
位置に各々偏心されることになるのであるが、使用条件
によりこのように歯車3の軸心が変動するとそれに伴な
い歯車3の歯先3aが内半径Rgで削り取るケースボディ5
の内面部位が移り変わって、結局いずれの場合も歯先3a
側に過大な隙間を生じてしまうことになるからである
(内半径Rbのボディ5に対し低速回転時には歯先3aが低
圧ポート11側に近いB部を切削し、高速回転時には低圧
ポート12側から遠いC部を切削する)。
また、このような不都合とともに、かかる切削加工に基
づくものでは、削り取られるケースボディの内面が荒れ
てしまうため、かかる荒れた表面性状がシール性能に及
ぼしている悪影響も非常に大きいものと推測される。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、液圧歯車ポンプまたはモータに既存のものと
は比較にならない高い効率を与えるという目的を達成す
るために、上記考察結果を基づき従来技術とは全く発想
を異にして創出されたものである。そして、このために
本発明は、歯車の歯先と側面部とを周壁部材に摺接させ
て液漏れをシールするようにした液圧歯車ポンプまたは
モータにおいて、歯車の歯先が摺接する前記周壁部材の
摺接面に、硬質セラミック粉を軟質ボンディング材中に
混在せしめその表面で前記歯車を研削する複合コーティ
ング層を設け、この複合コーティング層によりならし運
転時に歯車を鼓状に研削してなることを特徴としてい
る。
[作用] すなわち、本発明は従来歯車ポンプ/モータにおいて技
術通念をなしているところの、ボディケース等の周壁部
材内面は歯車の歯先で削り取り寸法精度を出すという考
え方と、そのさいの加工は切削加工理論に基づいている
という考え方を完全に変更し、これとは全く反対に周壁
部材の内面で歯車側を研削するという技術的思想に立脚
しているものである。そして、かかる思想に基づく上記
構成によると、歯車の歯先等が周壁部材に接触すると相
対的に硬くて摩耗しにくい周壁部材内面の複合コーティ
ング層が歯車の方を削り取ってその部分に最適クリアラ
ンスをつくり出すことになり、しかもこのように歯車の
歯先等を削り取って隙間を調整するものであれば、実使
用中において歯車が撓み変形してもポンプ/モータの使
用条件が変ってその軸心が変位しても、その歯先は周壁
部材によってこれを補正するように削り取られることに
なるので、最適クリアランスを保って周壁部材の内面に
沿って追従せしめることが可能である。
すなわち、歯車ポンプ/モータの歯車の歯先とケースボ
ディの内面とが均一な最適クリアランスを有して組立ら
れていると仮定して、この状態からまずならし運転を実
施し、ならし運転後の状態について着目すると、このと
きには歯車の歯先中央部が選択的に摺動摩耗して最終的
に歯車が鼓状外観を呈するものとなる。しかして、この
ならし運転の後、次いでこのポンプ/モータを高圧使用
に供すると、このときには歯車はその一側中央部から作
動油の高圧力を受けてケースボディに比較して相対的に
大きく撓み変形することになり、この状態では今度は歯
車の両端部における歯先とボディ内面との隙間が非常に
小さなものとなる。また、これと同時に特筆すべき事項
として、上記複合コーティング層で歯車の方を研削する
ようにすれば、歯車の歯先等がシール性能の向上に著し
く寄与する美麗な研削加工面に仕上げられることがあ
る。すなわち、ならし運転時に上記構成複合コーティン
グ層中の硬質セラミック粉を砥粒とし、研削理論に基づ
いて歯車側を削り取るようにすれば、この複合コーティ
ング層の表面は、軟質ボンディング材で結合されている
そのセラミック粉が劈開して美しい劈開面を呈するもの
となり、他方この劈開面で研削される歯車の歯先等は切
削加工によるものと全く違った美しい加工目をもつもの
に仕上げられ、これら両者の表面性状の改良に基づいて
摺接面に極めて優秀なシール性能をもたせることが可能
となる訳である。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図と第2図は、好適な一例として歯車の歯先が摺接
されるケースボディの内面所要部位に複合コーティング
層を設けるようにした本発明の一実施例を示している。
そこでまず、第1図および第4図について、この歯車ポ
ンプ/モータの構成を簡単に説明すると、このものでは
主軸1と従動軸2とに設けた噛合する一対の平歯車3、
4を、これらを外包するケースボディ5の内面にその歯
先3a、4aを摺接させるようにして収容しているととも
に、その主軸1と従動軸2とをケースボディ5の両端に
蓋着したフロントカバー6とリヤカバー7とに各々設け
た軸受8、8,9、9に回転自在に支承させ、さらに前記
両カバー6、7の内面側に歯車側面部3b、4bと摺接させ
るようにしてサイドプレート10、10を装入して構成され
ている。そして、このものでは例えばポンプ使用状態に
あっては、その主軸1を図外の原動機により図示矢印の
方向に回転駆動すると、歯車3、4の噛合部に臨む一側
に設けた低圧ポート11から油を吸込み、反対側に設けた
高圧ポート12から圧油を吐出するポンプ機能を発揮する
ものとなる。
しかして、このようなポンプ/モータにあっては、両歯
車3、4共に作動時にはその軸心が、前述の如く高圧ポ
ート12側から作用する作動油の圧力により、また軸1、
2の回転数や温度の変化に伴なう軸受8、8,9、9内の
油膜厚変動で、軸受(ケースボディ)の軸心Ojから若干
低圧ポート11側に変位したOg1乃至Og2に偏心することに
なるのであるが、いずれにしてもその歯先シール部に当
る低圧ポート11側のボディ5内面ほぼ四半周の部分に、
複合コーティング層14、14を適宜の厚さに被覆して設け
ている。この複合コーティング層14は、第3図に示すよ
うに、硬質セラミック粉sを軟質ボンディング材b中に
混在せしめてなる構造を具備したもので、その表面を適
切な研削条件の下に別体部材に摺動させると、軟質ボン
ディング材bで結合されているセラミック粉sが露出し
て砥粒として相手方の部材表面を研削するとともに、個
々の砥粒セラミック粉sが順次一定の結晶面で割損しな
がら粉砕していく劈開(発刃)作用を起し規則的な劈開
面を呈する特性を有するものである。このような複合コ
ーティング層14の好適な一例を挙げると、所要のコーテ
ィング面にニッケルカニゼンメッキを鍍着するとともメ
ッキ液中に分散させたSiCまたはAl2O3粉を同時に析出さ
せてメタルニッケル中に混在せしめ、さらにコーティン
グ後にこれを400〜500℃から焼入硬化せしめてなるいわ
ゆるセラメッキのコーティング層がある。すなわち、こ
のものではメタルニッケルが前記ボンディング材bに相
当し、SiCまたはAl2O3粉が前記セラミック粉sに相当し
ているものであって、十分な耐摩耗硬度と前記の劈開特
性を備えたものである。
そして、このような複合コーティング層14を設けたもの
では、そのならし運転時は、切削加工理論と明確に区別
される研削加工理論に基づいて適切な加工条件の下に行
われる。具体的には、切削加工の場合その歯車歯先の周
速は10〜100m/min以上の回転での切削はできないが、研
削加工の場合その歯車歯先の周速が1200〜4800m/minま
での高速切削が可能である。そして、切削加工時の場
合、この速度条件以上でならし運転すると、摺動発熱に
より、歯車の歯先に構成歯先が付着し、ボディ内面の表
面粗さを著しく荒すことになる。ところが、例えば歯車
外径を100mmとすると、その円周は314mmとなり、周速が
100m/minとしても318rpm以上ではならし運転ができない
ことになる。この値は、実際の使用回転数に対して著し
く低く、また歯車中心が回転数によって移動するため、
実際には使用中に再ワイプし速度が速すぎるためボディ
内壁を荒すことになる。これに対して、ケースボディ5
の内面に複合コーティング層14を設けたものであれば、
上記研削加工理論に基づく適切な「ならし運転」を実施
すると、複合コーティング層14、14の表面が歯車3、4
の歯先3a、4aを研削して自ずと歯先隙間をつくり出すも
のとなる。そして、このようなものでは、ならし運転時
に歯車3、4の軸方向でその撓み量に応じて各部位に最
適クリアランスが設定されると同時に、歯車歯先3a、4a
が全周で均一に削り取られるものであるから、回転数等
の条件が変わってその軸心が変位しても最適のクリアラ
ンスを保って歯車歯先3a、4aがボディ5内面に追従し、
ポンプ/モータの使用条件の変化によって隙間が増大し
シール性能が劣化するという不都合を蒙らない。さらに
詳述すれば、歯車ポンプ/モータの歯車3の歯先3aとケ
ースボディ5の内面とが、第7図に示すように均一な最
適クリアランスsoを有して組立られていると仮定して、
この状態からまずならし運転を実施し、ならし運転後の
状態について着目すると、このときには第8図に示すよ
うに歯車3の歯先中央部が選択的に摺動摩耗して最終的
に歯車3が鼓状(中央部の隙間α=数〜数+μm)外観
を呈するものとなる。しかして、このならし運転の後、
次いでこのポンプ/モータを高圧使用に供すると、この
ときには歯車3はその一側中央部から作動油の高圧力を
受けてケースボディ5に比較して相対的に大きく撓み変
形することになり、この状態では第9図に示すように今
度は歯車3の両端部における歯先3aとボディ5内面との
隙間βが非常に小さなものとなる。そして、このような
使用条件がシール性能に与える影響が少ないことと共
に、特にこの歯車ポンプ/モータでは、既述のようにボ
ディ5内面側の複合コーティング層14が鋭い切刃の役割
をする特有の劈開面を呈し、一方これにより研削された
歯先3a、4aはプランジカットカットのような加工目をも
つ美麗な表面に仕上げられるため、これらシール面にお
ける表面性状の改良により、歯先漏れを著しく低減する
ことのできるのが特徴である。すなわち、このポンプ/
モータでは従来のシール構造のものと比較すると、その
摺接シール面にならし加工に起因する肌荒れがなく、こ
のことが内部漏れ特に高圧使用時の漏れを低減するのに
顕著な効果を果しているものと考えられるのである。
また、上記構成からなるものでは次のような利点も合せ
て得られるものとなる。これは、研削加工による削り屑
が切削加工によるそれに比して非常に小さなものである
ためならし運転中に全て排出されてしまい、従来のよう
にボディ内面のワイプ時に生じた削り屑がサイドプレー
ト側に付着するなどして円滑に排出されず実使用中にそ
れが分離して油圧管路に入り込みシステムに悪影響を与
えるといった不都合がないことである。
なお、本発明に係る歯車ポンプ/モータでは、ボディ5
内面の複合コーティング層14はそのセラミック粉sが超
硬質のものであるから、歯先3a、4aが研削される歯車
3、4は従来と同様に浸炭鋼等の硬質材料で形成すれば
よい。そして、従来指向のように、各構成部材に特段に
高い加工精度を付与することも要しない。
以上、好適な一実施例に基づいて説明したが、本発明は
勿論図示例のタイプのものに適用が限定されるものでは
なく、別のタイプの歯車ポンプ/モータについても同様
に実施可能なものである。第5図と第6図は、それら他
の実施例を示すものであって、前者はシールブロック方
式のものにおける例を、後者は内接ギヤポンプにおける
例を示している。すなわち、シールブロック方式のもの
においては、低圧ポート側と高圧ポート側とに配設され
るシールブロック15、16のうち低圧ポート側のシールブ
ロック15の内面に前記と同様の複合コーティング層17、
17を設けるようにしている。また内接ギヤポンプの場合
では、外輪歯車18と内接歯車19との間に介入されて高圧
側と低圧側とをシールする役目をする仕切板20の内外面
に各々複合コーティング層21、21を設けるようにしてい
る。
以上の実施例からも理解されるように、本発明は種々の
形式の油圧歯車ポンプ/モータに適用することができ、
複合コーティング層はその部材名称と問わず歯車が摺接
される周壁部材の必要な表面に設けるようにすればよ
い。また、図示しないが複合コーティング層は歯車の側
面をシールする前記サイドプレート等の内面に設けるよ
うにしてもよく、この場合には歯先側の場合と略同様の
原理で歯車側面部からの油漏れの低減に著効するものと
なる。
なお、本発明で周壁部材の摺接面に設けられる複合コー
ティング層の具体的な構成については、先の実施例で示
したものを特に好適なものとして例示することができる
が、必ずしもこれに限るというものではなく、例えばボ
ンディング材bについてはニッケル以外のメタルでもよ
いし、あるいは金属系以外のゴム系、樹脂系材料につい
ても適用の余地がある。また砥粒として配合されるセラ
ミック粉sは硬質で良好な研削作用を発揮する劈開性の
ものであればSiC、Al2O3以外のものであってもよい。そ
して、そのコーティング方法も無電解メッキに限らず、
その他適宜の物理的、化学的手段を採ることが可能であ
る。
さらに、以上の説明は、作動液体として油を使用する場
合についてのものであるが、本発明は、作動流体として
溶融パリマ等の高粘性液体を使用するものにも同様に適
用が可能であることはいうまでもない。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明はケースボディ等の周壁部材
の摺接面に歯車側を研削するための複合コーティング層
を設けてなるものであるから、周壁部材が歯車側を削り
取って両者の間に最適クリアランスを設定するものとな
り、しかもこのクリアランスは従来のように使用条件に
よって大幅に変動することがないものである。すなわ
ち、本発明においてならし運転を実施し、ならし運転後
の状態について着目すると、このときは歯車の歯先中央
部が選択的に摺動摩耗して最終的に歯車が鼓状外観を呈
するものとなる。そして、このならし運転の後、次いで
このポンプ/モータを高圧使用に供すると、このときに
は歯車はその一側中央部から作動油の高圧力を受けてケ
ースボディに比較して相対的に大きく撓み変形すること
になり、この状態において歯車の両端部における歯先と
ボディ内面との隙間を非常に小さくできるものとなる。
その上、特に周壁部材側に研削工具として設けられた複
合コーティング層は、その表面が劈開面を呈し他方これ
によって研削される歯車側が美麗な加工面に仕上られる
ため、これら摺接シール面の表面性状の改良が液漏れの
低減に寄与するところが非常に大きく、これらの相乗的
効果により特に高圧下でも既存のものと比較すると飛躍
的に容積効率の高い液圧歯車ポンプまたはモータを提供
することができたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図から第4図は本発明の一実施例を示し、第1図は
歯車ポンプまたはモータの横断面図(第4図A-A線断面
に相当する)、第2図は第1図の要部拡大図、第3図は
複合コーティング層の構造説明図、第4図は第1図の縦
断面図である。第5図と第6図は、それぞれ他の実施例
を示す歯車ポンプまたはモータの要部横断面図である。
第7図乃至第9図は前記一実施例において歯車ポンプま
たはモータにおける歯車の撓み変形に伴って歯先隙間が
適正化される方向に変動する様子を説明するための図で
ある。第10図は歯車ポンプまたはモータにおける歯車軸
心の変動によるケースボディ内面切削部位の変遷を説明
するための図である。 1、2……歯車支軸 3、4……歯車、 3a、4a……歯先 3b、4b……歯車側面部 5……ケースボディ 8、8,9、9……軸受 10……サイドプレート 11……低圧ポート、12……高圧ポート 14……複合コーティング層 15、16……シールブロック 17……複合コーティング層 18……外輪歯車、 19……内接歯車 20……仕切板 21……複合コーティング層 s……セラミック粉 b……ボンディング材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】歯車の歯先と側面部とを周壁部材に摺接さ
    せて液漏れをシールするようにした液圧歯車ポンプまた
    はモータにおいて、歯車の歯先が摺接する前記周壁部材
    の摺接面に、硬質セラミック粉を軟質ボンディング材中
    に混在せしめその表面で前記歯車を研削する複合コーテ
    ィング層を設け、この複合コーティング層によりならし
    運転時に歯車を鼓状に研削してなることを特徴とする液
    圧歯車ポンプまたはモータ。
  2. 【請求項2】複合コーティング層が、カニゼンメッキに
    よるニッケルボンディングメタル中にSiCまたはAl2O3
    を混在せしめ、さらにこれを焼入硬化せしめてなるセラ
    メッキ層からなることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の液圧歯車ポンプまたはモータ。
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