JPH06105680A - 動物細胞の培養方法および培養装置 - Google Patents

動物細胞の培養方法および培養装置

Info

Publication number
JPH06105680A
JPH06105680A JP4259844A JP25984492A JPH06105680A JP H06105680 A JPH06105680 A JP H06105680A JP 4259844 A JP4259844 A JP 4259844A JP 25984492 A JP25984492 A JP 25984492A JP H06105680 A JPH06105680 A JP H06105680A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
cells
medium
tank
culture tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4259844A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Kondo
哲也 近藤
Tatsunobu Hozumi
龍信 穂積
Hiroshi Otsuka
浩史 大塚
Hironori Ishikawa
弘典 石川
Hiroshi Noguchi
浩 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Pharma Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd filed Critical Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Priority to JP4259844A priority Critical patent/JPH06105680A/ja
Publication of JPH06105680A publication Critical patent/JPH06105680A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 培養装置1は、培養槽2、細胞を培地10中
に懸濁させるための撹拌装置4、細胞に酸素を供給する
通気チューブ3、培地10と細胞とを分離する遠心分離
機11、および培養槽2に新しい培地を供給する培地貯
液槽14を備えている。撹拌装置4は、回転軸4aに複
数の撹拌翼4b…を有し、これら撹拌翼4b…は、回転
半径が培養槽2内径の1/4以上、3/8以下となるよ
うな大きさに形成され、5r.p.m.以上、30r.p.m.以下
の回転数で回転される。 【効果】 細胞が撹拌による剪断力等の物理的刺激によ
り損傷や破壊等の悪影響を受けることはなく、培養槽内
で大量かつ高密度に培養することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続培養法により、例
えば、抗体産生細胞等の動物細胞を培養すると共に、こ
の動物細胞に例えばモノクローナル抗体等の目的物を生
産させる動物細胞の培養方法および培養装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、インターフェロン、エリ
スロポエチン、コロニー刺激因子、モノクローナル抗体
等の生物製剤を製造するための製造手段として、工業的
規模での動物細胞の大量培養方法の確立が極めて重要と
なってきている。
【0003】動物細胞(以下、単に「細胞」と称する)
の培養は、培養フラスコやスピナーフラスコ等の培養容
器を用いた実験室的規模で行われているが、このような
小規模の培養方法を工業的規模に単純にスケール・アッ
プしたのでは、細胞の呼吸ガス交換や撹拌効率等に不都
合を生じ、細胞を大量培養することができない。そこ
で、従来、微生物を用いた大量培養方法を参考にした細
胞の大量培養方法が種々検討されている。
【0004】ところが、細胞は微生物と比較して、以下
の点で異なる。即ち、細胞は微生物と比較して、機械
的強度が弱いため、培養液の撹拌や発泡等により損傷を
受け易く、増殖を行うために多種の栄養素および増殖
因子を必要とし、増殖速度が極めて遅い(倍加時間
微生物:0.2〜数時間、細胞:1 〜数日間)。このた
め、微生物の大量培養に用いられるジャーファーメンタ
ー(撹拌式培養装置)等を用いて細胞を大量培養した場
合、細胞が機械的損傷等を受けて充分に生育することが
できず、また、培養容器内の栄養分を消費した時点で増
殖が停止するために細胞密度を高くすることができな
い。従って、微生物の大量培養方法を用いて細胞を大量
培養した場合には、目的物の生産効率が非常に悪いとい
う問題を有している。
【0005】そこで、これらの問題を解消するために、
高密度潅流培養法と称される連続培養方法が考案されて
いる。高密度潅流培養法とは、目的物および老廃物を含
んだ細胞培養液(以下、培地と称する)の上清(上澄
み)を培養槽外へ抜き取ると共に、栄養素を含んだ新し
い培地を培養槽へ供給することにより、培養槽を細胞の
生育および目的物の生産に最適の条件に保ち、細胞を大
量かつ高密度に培養して目的物を生産する方法である。
【0006】上記従来の高密度潅流培養法としては、例
えば、極微小の細孔を有する中空糸カートリッジに細胞
を封入し、上記の中空糸を介して栄養物等を交換するこ
とで細胞を増殖させて目的物を生産する方法(特開昭6
2−171669号公報)、セラミック等からなる担体
の表面に細胞を固定し、上記の担体表面にて栄養物等を
交換することで細胞を増殖させて目的物を生産する方法
(オプチセル(チャールスリバー、米国))等の固定化
培養法と、例えば、前記のジャーファーメンターと、細
胞と培地とを分離する分離装置とを組み合わせることに
より、細胞を高密度に増殖させて目的物を生産する方法
(特開昭62−134086号公報)等の懸濁培養法と
が提案されているが、細胞のサンプリングや目的物の品
質管理、あるいは装置の大型化が容易なことから、懸濁
培養法が有望視されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、懸濁培
養法において、培養槽を細胞の生育および目的物の生産
に最適の条件に保つには、細胞に対する物理的刺激(培
地の撹拌による剪断力や発泡等)の除去が重要な課題と
なっている。
【0008】培地の撹拌は、例えば、回転半径が培養槽
内径の1/4以下となるような大きさに形成された撹拌
翼を30r.p.m.以上の回転数で回転して行われているた
め、培地に乱流が発生して細胞に剪断力等の物理的刺激
を与えて、細胞に損傷や破壊等の悪影響を及ぼすという
問題を有している。
【0009】このように、上記従来の懸濁培養法におい
ては、細胞に対する物理的刺激(培地の撹拌による剪断
力や発泡等)の除去が不十分となっている。従って、細
胞の大量培養を行うには到っていない。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成
させるに至った。
【0011】即ち、請求項1記載の発明の動物細胞の培
養方法は、上記の課題を解決するために、培養槽に満た
された細胞培養液中で培養する動物細胞の培養方法であ
って、回転半径が上記の培養槽内径の1/4以上、3/
8以下の、撹拌翼1枚の面積が上記の培養槽の細胞培養
液部の縦方向断面積の1/15以上となるような大きさ
に形成された撹拌翼を有する撹拌手段で上記の細胞培養
液を撹拌することを特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明の動物細胞の培養方法
は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の動物
細胞の培養方法において、回転速度を撹拌翼の外周部分
で800cm/分以下とすることを特徴としている。
【0013】請求項3記載の発明の動物細胞の培養方法
は、上記の課題を解決するために、請求項1または請求
項2記載の動物細胞の培養方法において、細胞培養液中
に少なくとも多孔性チューブを有する酸素供給手段でチ
ューブ通気を行って動物細胞に酸素を供給すると共に、
分離手段で細胞培養液と動物細胞とを遠心分離し、細胞
培養液を培養槽外に抜き取る一方、動物細胞を培養槽に
返還し、かつ、培養液供給手段で培養槽に新しい細胞培
養液を供給することを特徴としている。
【0014】請求項4記載の発明の動物細胞の培養装置
は、上記の課題を解決するために、培養槽に満たされた
細胞培養液中で培養する動物細胞の培養装置であって、
回転半径が上記の培養槽内径の1/4以上、3/8以下
の、撹拌翼1枚の面積が上記の培養槽の細胞培養液部の
縦方向断面積の1/15以上となるような大きさに形成
された撹拌翼を有する撹拌手段を備え、この撹拌手段に
より上記の細胞培養液を撹拌することを特徴としてい
る。
【0015】請求項5記載の発明の動物細胞の培養装置
は、上記の課題を解決するために、請求項4記載の動物
細胞の培養装置において、回転速度が撹拌翼の外周部分
で800cm/分以下であることを特徴としている。
【0016】請求項6記載の発明の動物細胞の培養装置
は、上記の課題を解決するために、請求項4または請求
項5記載の動物細胞の培養装置において、少なくとも多
孔性チューブを有し、細胞培養液中にチューブ通気を行
って動物細胞に酸素を供給する酸素供給手段と、細胞培
養液と動物細胞とを遠心分離し、細胞培養液を培養槽外
に抜き取る一方、動物細胞を培養槽に返還する分離手段
と、培養槽に新しい細胞培養液を供給する培養液供給手
段とを備えていることを特徴としている。
【0017】上記の培養方法としては、例えば浮遊培養
法等が挙げられ、この浮遊培養法としては、例えばバッ
チ培養法、セッドバッチ培養法(半回分培養法、流加培
養法)、連続培養法等が挙げられ、上記の連続培養法と
しては、例えば高密度潅流培養法等が挙げられる。
【0018】また、上記の培養方法として連続培養法を
行う場合、細胞と培地との分離方法には、沈降管もし
くは沈降槽を用いて重力により沈降させて分離する、
フィルターを用いて分離する、遠心分離により分離す
る等の方法がある。また、動物細胞としてヒト抗体産生
細胞を用いる場合、細胞培養液としては蛋白濃度が5m
g/l以下、細胞培養液中の溶存酸素濃度が0.1pp
m以上、3ppm以下、グルコース濃度が0.1g/l
以上、乳酸濃度が5g/l以下の範囲にそれぞれ調整さ
れた無血清培養液が挙げられる。
【0019】上記の培養装置における撹拌翼の回転半径
としては培養槽内径の1/4以上、3/8以下の範囲が
挙げられる。また、撹拌翼1枚の面積としては培養槽の
細胞培養液部の縦方向断面積の1/15以上の大きさが
挙げられ、具体的には、1/15以上、1/4以下の大
きさが挙げられる。撹拌翼の枚数としては2枚以上の枚
数が挙げられ、具体的には、2枚以上、4枚以下の枚数
が挙げられる。
【0020】また、上記の培養装置における撹拌翼は、
細胞培養液が上下方向に対流し易いように、回転軸に対
して0゜〜15゜、望ましくは5゜〜15゜程度の傾斜
角度をなしていてもよく、また、撹拌翼は、細胞培養液
が遠心方向に流れ易いように、回転軸からの垂直線に対
して外周部分が内側よりも後方に位置するよう偏心して
いてもよい。さらに、撹拌翼の縦方向の長さとしては回
転直径の1〜1/4程度の長さが挙げられる。その上、
撹拌翼の回転速度としては撹拌翼の外周部分で800c
m/分以下の速度が挙げられ、具体的には、300cm
/分〜800cm/分の速度が挙げられる。
【0021】
【作用】請求項1記載の方法においては、動物細胞の細
胞培養液を、回転半径が上記の培養槽内径の1/4以
上、3/8以下の、撹拌翼1枚の面積が上記の培養槽の
細胞培養液部の縦方向断面積の1/15以上となるよう
な大きさに形成された撹拌翼を有する撹拌手段で撹拌す
るので、動物細胞が撹拌による剪断力等の物理的刺激に
より損傷や破壊等の悪影響を受けることはなく、培養槽
内で大量かつ高密度に培養することが可能となる。
【0022】請求項2記載の方法においては、回転速度
を撹拌翼の外周部分で800cm/分以下とするので、
動物細胞が撹拌による剪断力等の物理的刺激により損傷
や破壊等の悪影響を受けることはなく、培養槽内でより
大量かつ高密度に培養することが可能となる。
【0023】請求項3記載の方法においては、細胞培養
液中に少なくとも多孔性チューブを有する酸素供給手段
でチューブ通気を行って動物細胞に酸素を供給すると共
に、分離手段で細胞培養液と動物細胞とを遠心分離し、
細胞培養液を培養槽外に抜き取る一方、動物細胞を培養
槽に返還し、かつ、培養液供給手段で培養槽に新しい細
胞培養液を供給するので、培養槽内を動物細胞にとって
最適の条件に保つことができると共に、動物細胞が撹拌
による剪断力等の物理的刺激により損傷や破壊等の悪影
響を受けることはなく、培養槽内で大量かつ高密度に培
養することが可能となる。
【0024】請求項4記載の構成においては、回転半径
が上記の培養槽内径の1/4以上、3/8以下の、撹拌
翼1枚の面積が上記の培養槽の細胞培養液部の縦方向断
面積の1/15以上となるような大きさに形成された撹
拌翼を有する撹拌手段を備え、この撹拌手段により上記
の細胞培養液を撹拌するので、動物細胞に、撹拌による
剪断力等の物理的刺激による損傷や破壊等の悪影響を与
えずに、培養槽内で大量かつ高密度に培養することが可
能となる。
【0025】請求項5記載の構成においては、回転速度
が撹拌翼の外周部分で800cm/分以下であるので、
動物細胞に、撹拌による剪断力等の物理的刺激による損
傷や破壊等の悪影響を与えずに、培養槽内でより大量か
つ高密度に培養することが可能となる。
【0026】請求項6記載の構成においては、少なくと
も多孔性チューブを有し、細胞培養液中にチューブ通気
を行って動物細胞に酸素を供給する酸素供給手段と、細
胞培養液と動物細胞とを遠心分離し、細胞培養液を培養
槽外に抜き取る一方、動物細胞を培養槽に返還する分離
手段と、培養槽に新しい細胞培養液を供給する培養液供
給手段とを備えているので、培養槽内を動物細胞にとっ
て最適の条件に保つことができると共に、動物細胞が撹
拌による剪断力等の物理的刺激により損傷や破壊等の悪
影響を受けることはなく、培養槽内で大量かつ高密度に
培養することが可能となる。
【0027】
【実施例】本発明の培養装置の一実施例について図1な
いし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0028】図1に示すように、本実施例にかかる培養
装置1は、培養槽2内部に、通気チューブ(酸素供給手
段)3と撹拌装置(撹拌手段)4とが配されており、ま
た、培地注入管(培養液供給手段)5、培地抜き取り管
(分離手段)6、細胞返却管(分離手段)7、および排
気管8が配されて構成されている。上記の培養装置1
は、加熱滅菌が行える程度の耐熱性を有している。
【0029】培養槽2は、例えば、硬質ガラスやステン
レス等で作製されており、内部には細胞培養液(以下、
培地と称する)10が満たされている。培養槽2には蓋
2aが設けられており、この蓋2aには、通気チューブ
3、培地注入管5、培地抜き取り管6、細胞返却管7、
および排気管8を挿入するための穴が設けられている。
また、培養槽2には、液面センサ、DO電極(溶存酸素
濃度測定器)、およびpH電極(何れも図示せず)が各
々所定の位置に取り付けられている。さらに、培養槽2
は、水槽やジャケット(図示せず)等で外側が覆われて
おり、水槽やジャケット内の水温を調節することで培養
槽2内の培地10の温度制御を行うことができるように
なっている。
【0030】培地10は、培養される動物細胞(図示し
ない、以下、単に「細胞」と称する)により適宜成分が
選択されるが、例えば、RPMI−1640培地、ダル
ベコ変法イーグル培地およびハムF−12培地を2:
1:1の割合で混合したRDF−ITES培地(村上
ら、Agric.Biol.Chem.,46(7),
1831−1937,1982)を基礎培地とし、この
基礎培地に微量成分を添加することにより改変した無血
清培地が用いられる。この無血清培地は、培地中の蛋白
濃度が5mg/l以下に調整されているので、培地から
目的物を分離する際に蛋白成分による悪影響が低減さ
れ、目的物を精製し易いようになっている。また、高価
な蛋白の使用量が少ないため、上記の無血清培地は安価
となり、連続培養を行う上で経済的となっている。
【0031】培地10中で培養される細胞は、生産する
目的物により最適のものが選択されるが、例えば、目的
物がヒトモノクローナル抗体である場合には、ヒト由来
B細胞、マウスハイブリドーマ、ヒト・マウスハイブリ
ドーマ、抗体遺伝子をミエローマ細胞に導入した組み換
え細胞等のリンパ系細胞(ヒト抗体産生細胞)が用いら
れる。培養槽2内の培地10に導入された細胞は、目的
物の生産に必要な細胞密度に達するまで増殖させた後、
目的物を生産させるようになっている。
【0032】通気チューブ3は、培地10や細胞は通過
できないが、酸素や二酸化炭素は通過できる大きさの無
数の孔が開口した、例えば、多孔性フッ素樹脂チュー
ブ、多孔性ポリプロピレンチューブ、多孔性シリコンチ
ューブ等の多孔性チューブで作製されており、螺旋状に
形成されて培養槽2内の培地10に浸漬されている。通
気チューブ3の長さは、通気チューブ3の内外径、培養
する細胞の種類、培養条件等により最適の長さが決定さ
れるが、例えば、外径3〜10mm、内径2〜9mm、
空隙率50%、最大孔径2μmの多孔性フッ素樹脂チュ
ーブ(例えば、ポアフロン:住友電工株式会社製、大
阪)であれば、培地1l当たり0.3m以上、好ましく
は1m以上の長さがあればよい。また、通気チューブ3
内には、空気または酸素を50〜1000ml/mi
n.の速度で通気すればよく、この場合の酸素移動容量
係数(kLa)は、約2〜5l/hrである。
【0033】通気チューブ3の先端部3aは、培養槽2
の蓋2aに設けられた穴に挿入されることにより培養槽
2外部に引き出される一方、通気チューブ3の末端部3
bは、培地10の液面10aの上方で開放されている。
また、通気チューブ3の先端部3aは、空気を送気する
送風機や酸素ボンベ(何れも図示せず)等に接続されて
おり、これにより、通気チューブ3内に空気または酸素
が通気されている。よって、通気チューブ3表面で、培
地10中の二酸化炭素と通気チューブ3内の酸素とをチ
ューブ通気によりガス交換することができると共に、培
地10の液面10aで上面通気も行えるようになってい
る。通気チューブ3の末端部3bから放出された空気ま
たは酸素は、培養槽2の蓋2aの穴に挿入された排気管
8により、培養槽2外部に放出される。従って、通気チ
ューブ3により、細胞の呼吸による培地10中の酸素消
費を補って細胞の増殖を促し、目的物を生産させること
ができる。
【0034】また、細胞の培養開始時は培地10中の細
胞密度が低く、酸素の消費量が小さいため、酸素の供給
量も小さくてよい。従って、通気チューブ3内に空気を
通気して溶存酸素濃度を2〜6ppmに保つようにすれ
ばよい。そして、対数増殖期になると細胞密度が高くな
り、酸素の消費量が大きいため、酸素の供給量も大きく
する必要がある。従って、通気チューブ3内に酸素を通
気して溶存酸素濃度を0.1〜3ppmに制御すればよ
い。
【0035】さらに、通気チューブ3の先端部3aは、
二酸化炭素ボンベ(図示せず)にも接続されており、通
気チューブ3内に二酸化炭素を通気することにより、培
地10のpH調整を行うことができるようになってい
る。尚、通気チューブ3の末端部3bを培地10の液面
10aの上方で開放せずに培養槽2の蓋2aに設けられ
た穴に挿入することにより培養槽2外部に引き出し、代
わりに、蓋2aに図示しない通気管を取り付けて通気チ
ューブ3とは別に空気または酸素を供給して培地10の
液面10aで上面通気を行わせる構成にしてもよい。
【0036】撹拌装置4は、例えば、ステンレスやフッ
素樹脂等で作製されており、回転軸4aが培養槽2底面
の中心に設けられた穴に挿入されることにより培養槽2
外部に引き出されて、図示しない撹拌モータに接続され
ている。上記の回転軸4aの先端部には、少なくとも2
枚の撹拌翼4b…が取り付けられている。撹拌翼4bの
形状は特に限定されないが、図2に示すように、例え
ば、撹拌翼4bの形状を平板状に形成した場合には、細
胞に損傷を与えることなく、後述の回転数で細胞を培地
10中に懸濁させるために、撹拌翼4bの翼長A(即
ち、撹拌翼4bの回転半径)が培養槽2の内径Cの1/
4以上、3/8以下となるような長さに形成すればよ
い。
【0037】また、撹拌翼4bの高さBは、撹拌翼4b
の面積(A×B)が、培養槽2を縦方向に切った場合に
おける培地10の縦方向断面積の1/15以上、好まし
くは、1/15以上、1/4以下となるような高さに形
成すればよく、具体的には、培養槽2に満たされる培地
10の液深にもよるが、高さBが翼長Aに対して略1/
2〜2倍となるような高さに形成すればよい。上記の撹
拌翼4b…は、回転軸4aに対して、0〜15゜、好ま
しくは、5〜15゜程度の傾斜角度をなして取り付けら
れており、培地10が上下方向に対流し易いようになっ
ている。尚、撹拌翼4b…は、培地10が遠心方向に流
れ易いように、回転軸4aからの垂直線に対して、外周
部分が内側より後方に位置するように偏心させて取り付
けてもよい。また、回転軸4aは、培養槽2底面に対し
て垂直方向に設ける以外に、培地10が上下方向に対流
し易いように、回転軸4aを培養槽2底面に対して垂直
方向から20゜以下の角度をなして設けてもよい。
【0038】上記の撹拌翼4b…は、細胞に損傷を与え
ることなく、細胞を培地10に懸濁させるために、撹拌
翼4b…の外周部分の回転速度が800cm/min.
以下、好ましくは、300cm/min.以上、800
cm/min.以下となるような速度で撹拌するように
なっており、具体的には、撹拌翼4b…は、培地10を
5r.p.m.以上、30r.p.m.以下、好ましくは、10r.p.
m.以上、20r.p.m.以下の回転数で撹拌するようになっ
ている。ここで、仮に、撹拌翼4bの翼長Aが培養槽2
の内径Cの1/4未満となるような長さに形成すると、
撹拌翼4b…を30r.p.m.の回転数で回転させても細胞
を培地10中に懸濁させることができないので好ましく
なく、また、撹拌翼4bの翼長Aが培養槽2の内径Cの
3/8よりも大きくなるような長さに形成すると、撹拌
翼4b翼端と培養槽2内壁との間で培地10に乱流が生
じて細胞に損傷を与えるので好ましくない。従って、上
記のように撹拌翼4bの翼長Aを設定し、かつ、撹拌翼
4b…の回転数を制御することで、細胞に損傷を与える
ことなく、細胞を培地10中に懸濁させることができる
ようになっている。
【0039】尚、撹拌装置4の回転軸4aは、培養槽2
底面に設けられた穴に挿入されることで培養槽2外部に
引き出される代わりに、培養槽2の蓋2aに設けられた
穴に挿入されることで培養槽2外部に引き出されてもよ
い。この場合は、培養槽2底面に穴を設ける必要がない
ので、培養槽2の構造を簡略化することができる。
【0040】図1に示すように、上記の培地抜き取り管
6および細胞返却管7は、例えば、ステンレスやフッ素
樹脂等で作製されており、培養槽2の蓋2aに設けられ
た穴に挿入されることにより培養槽2外部に引き出され
ている。そして、これら管6・7は、図示しないポンプ
等を介して遠心分離機(分離手段)11に接続されてお
り、培地10中に懸濁している細胞と、細胞によって生
産された目的物とを分離した後、培地交換を行うと共に
目的物を回収するようになっている。即ち、培地10の
上清(上澄み)を培地抜き取り管6で抜き出して、遠心
分離機11で細胞と目的物とを遠心分離し、細胞を含ん
だ培地を細胞返却管7で培養槽2の底部近傍に戻すと共
に、目的物を含んだ培地を送液管12で目的物貯液槽
(分離手段)13に送ることにより、培地交換を行うと
同時に目的物を回収している。尚、目的物貯液槽13に
貯えられた培地に含まれる目的物は、所定の方法により
単離、精製される。
【0041】上記の遠心分離機11は、細胞に損傷を与
えることなく、細胞と目的物とを分離するために、培地
10の上清を300xg以下、好ましくは、100xg
以下の遠心加速度で遠心分離するようになっている。
尚、培地10の上清の抜き出しは、連続的に行ってもよ
く、間歇的に行ってもよい。例えば、培養が定常状態と
なり、培地10の上清の抜き出しを連続的に行う場合に
は、培養槽2の容量や培養する細胞の種類等にもよる
が、遠心分離機11は1〜20l/hの液量を無菌状態
で処理できる能力を有していればよい(例えば、セント
リテックCC100:セントリテック・エー・ビー、ノ
ースボルグ製、スウェーデン)。
【0042】上記の培地注入管5は、新しい培地が入っ
ている培地貯液槽(培養液供給手段)14に接続されて
おり、培養槽2の蓋2aに設けられた穴から培養槽2内
に挿入されている。そして、培地注入管5は、目的物貯
液槽13に送られる目的物を含んだ培地と同量の新しい
培地を、培養槽2に供給するようになっている。尚、新
しい培地の供給は、連続的に行ってもよく、間歇的に行
ってもよい。但し、培養が定常状態になれば連続的に行
うことが望ましい。
【0043】上記の液面センサ(図示せず)は、培養槽
2内における培地10の液面10aの位置を検知して、
この結果を、図示しない制御装置に入力する。同様に、
pH電極(図示せず)は、培地10のpHを測定し、ま
た、DO電極(図示せず)は、培地10中の溶存酸素濃
度を測定して、各々結果を制御装置に入力する。これに
より、制御装置は、培地注入管5から供給される新しい
培地量や培地抜き取り管6から抜き出される培地量を調
節し、あるいは通気チューブ3内に通気する酸素や二酸
化炭素の量を調節して、培地10中の溶存酸素濃度を
0.1ppm以上、3ppm以下に、グルコース濃度を
0.1g/l以上に、乳酸濃度を5g/l以下にそれぞ
れ制御し、常に、培養槽2内の培地10を細胞の増殖や
目的物の生産を行う最適の培養環境に保つようになって
いる。
【0044】例えば、培地10中の溶存酸素濃度が0.
1ppm未満となると細胞が酸欠状態となるので好まし
くなく、一方、溶存酸素濃度が3ppmより多くなると
細胞が酸素過多により損傷を受ける虞れが生じるので好
ましくない。また、グルコース濃度が0.1g/l未満
となると細胞が充分に増殖しないので好ましくなく、一
方、乳酸濃度が5g/lより多くなると細胞に対する毒
性が大きくなり、細胞の活性が低下して生存率が低下す
るので好ましくない。尚、培地10の交換率(潅流比)
は、培養する細胞の種類や細胞密度等にもよるが、培養
槽2内の培地量に対し、0.5〜5回/日程度とすれば
よい。
【0045】次に、本発明の培養方法の一実施例とし
て、上記構成の培養装置1を用いて細胞の連続培養を行
い、培地10中の細胞密度、および細胞により生産され
た目的物の培地10中での濃度を、以下に示す条件で数
日間測定した結果を示す。
【0046】上記の条件は、1)培地10として、RD
F−ITES培地を改変した無血清低蛋白培地である、
表1に示すような成分組成のS−RDF−ITES培地
を用いた。表1中におけるヒトトランスフェリン(2.
0mg/l)およびウシインシュリン(2.0mg/
l)が蛋白成分であり、よって、S−RDF−ITES
培地の蛋白濃度は4.0mg/lに調整されている。ま
た、グルコース濃度は5.0g/lに調整されている。
【0047】
【表1】
【0048】また、2)培養装置1の培養槽2として、
内径250mm、高さ480mm、容量20lの平底ジ
ャーファーメンター(FZ2000:アルファーラバル
製、スウェーデン)を用いた。平底ジャーファーメンタ
ー内の培地の温度制御は、ジャーファーメンター外側を
覆っているジャケット内の管に通した水の温度を調節す
ることにより行った。3)撹拌翼4b…として、平板状
に形成した、翼長Aが80mm、高さBが160mmの
4枚翼を用い、回転軸4aに対して、5゜の傾斜角度を
なして取り付け、5〜15r.p.m.の回転数で回転させ
た。4)通気チューブ3として、外径7mmの多孔性フ
ッ素樹脂チューブ(バイオット製、東京)5mを螺旋状
に巻いて、平底ジャーファーメンター内に納めた。5)
上記の平底ジャーファーメンターに、液面センサ(グラ
スライトセンサー:藤原製作所製、東京)、pH電極
(465−50−S7:インゴルト製、スイス)、およ
びDO電極(φ25mm−70:インゴルト製、スイ
ス)を取り付けた。
【0049】さらに、6)細胞の培養は、培養装置1で
本培養を行う前に、培養フラスコ、1l丸底フラスコ、
および6l丸底フラスコを用いて前培養を行った。即
ち、培養装置1で本培養を行う細胞は、培養フラスコ、
1lおよび6l丸底フラスコを用い、所定の細胞密度で
接種した後、バッチ培養することにより増殖させた。以
下、前培養に用いた上記3種類のフラスコについて説明
する。
【0050】培養フラスコ(図示せず)として、容量1
50mlの静置式組織培養フラスコ(T−フラスコ:コ
ーニング製、米国)を用いた。
【0051】図3に示すように、1l丸底フラスコとし
て、内径100mm、高さ200mmのガラス製スピナ
ーフラスコ(柴田ハリオガラス製、東京)22を用い
た。このスピナーフラスコ22における撹拌装置24の
撹拌翼24b…として、平板状に形成した翼長A1 が4
0mm、高さB1 が20mmの2枚翼を用いた。通気方
法は、フラスコ内のガスを置換する上面通気を行った。
また、スピナーフラスコ22に、図示しないpH電極
(405−DPAS−K8S/325:インゴルト製、
スイス)を取り付けた。さらに、スピナーフラスコ22
内の培地の温度制御は、スピナーフラスコ22外側を覆
っている水槽(図示せず)の水温を調節することにより
行った。
【0052】図4に示すように、6l丸底フラスコとし
て、内径190mm、高さ250mmのガラス製丸底ジ
ャーファーメンター(柴田ハリオガラス製、東京)32
を用いた。この丸底ジャーファーメンター32における
撹拌装置34の撹拌翼34b…として、平板状に形成し
た翼長A2 が40mm、高さB2 が80mmの4枚翼を
用い、回転軸34aに対して、5゜の傾斜角度をなして
取り付けた。チューブ通気を行う通気チューブ33とし
て、外径7mmの多孔性フッ素樹脂チューブ(バイオッ
ト製、東京)3mを螺旋状に巻いて、丸底ジャーファー
メンター32内に納めた。また、上記の丸底ジャーファ
ーメンター32に、pH電極(405−DPAS−K8
S/325:インゴルト製、スイス)39a、およびD
O電極(φ14mm:丸菱バイオエンジ製、東京)39
bを取り付けた。さらに、丸底ジャーファーメンター3
2内の培地の温度制御は、ジャーファーメンター32外
側を覆っている水槽(図示せず)の水温を調節すること
により行った。尚、撹拌装置34の撹拌速度やpH等の
培養環境は、図示しない制御装置(MCT−3S:丸菱
バイオエンジ製、東京)を用いて制御した。
【0053】そして、上記の1)〜6)の条件下で、細
胞を所定の細胞密度で平底ジャーファーメンター(培養
槽2)内のS−RDF−ITES培地(培地10)中に
懸濁し、本培養を開始した。また、細胞の増殖に伴い、
遠心分離機11を用いた培地交換または連続潅流を行い
培養を継続した。結果を実施例1〜3として以下に示
す。但し、本発明の培養方法は、実施例1〜3に限定さ
れるものではない。
【0054】〔実施例1〕細胞として、マウスミエロー
マP3X63Ag8.653とヒトリンパ球との細胞融
合により得られたヒトIg(免疫グロブリン)M産生ヒ
ト・マウスハイブリドーマ細胞株を用いた。
【0055】先ず、細胞を、T−フラスコ内の培地70
mlに、細胞密度1.0×105 個/mlとなるように
接種して懸濁し、二酸化炭素濃度5%の雰囲気下、37
℃で静置すると、培養開始後3日目に、細胞密度7.4
×105 個/mlに増殖した。また、培養終了時での抗
体(目的物、ヒトIgM)濃度は28mg/lであっ
た。
【0056】次に、T−フラスコ内で増殖した細胞を、
スピナーフラスコ22内の培地500mlに、細胞密度
1.0×105 個/mlとなるように接種して懸濁し、
37℃、pH6.8〜7.1、30r.p.m.の回転数で撹
拌すると、培養開始後3日目に、細胞密度6.6×10
5 個/mlに増殖した。また、培養終了時での抗体濃度
は25mg/lであった。
【0057】さらに、スピナーフラスコ22内で増殖し
た細胞を、丸底ジャーファーメンター32内の培地5l
に、細胞密度1.0×105 個/mlとなるように接種
して懸濁し、37℃、pH6.8〜7.1、13r.p.m.
の回転数で撹拌すると、培養開始後3日目に、細胞密度
7.9×105 個/mlに増殖した。また、培養終了時
での抗体濃度は30mg/lであった。
【0058】上記のようにして前培養した細胞を、平底
ジャーファーメンター内の培地15lに、細胞密度1.
8×105 個/mlとなるように接種して懸濁し、37
℃、pH6.8〜7.1、10r.p.m.の回転数で撹拌し
て本培養した。また、多孔性フッ素樹脂チューブ内の通
気速度を200〜500ml/min.とし、本培養開
始時はチューブ内に空気を通気して溶存酸素濃度を2〜
6ppmに保ち、細胞が増殖するに従い、空気中の酸素
分圧を増加させて溶存酸素濃度を0.5〜3ppmに制
御した。すると、本培養開始後3日目に、細胞密度6.
8×105 個/mlに増殖した。この時点で4時間潅流
を行い、培地を交換し、さらに、本培養開始後4日目以
降は連続的に潅流を行った。尚、培地の交換率(潅流
比)は、平底ジャーファーメンター内の培地液量(15
l)に対し、1〜1.3回/日とした。また、本培養期
間中、培地中のグルコース濃度を1g/l以上、乳酸濃
度を2.7g/l以下にそれぞれ制御した。
【0059】上記のようにして細胞を15日間、本培養
すると、表2に示すような細胞密度に増殖し、本培養開
始後13日目に、細胞密度7.7×106 個/mlとな
った。また、細胞が増殖するに伴い、表2に示すように
抗体濃度も増加し、本培養開始後12日目に、抗体濃度
は105mg/lとなった。
【0060】
【表2】
【0061】以上の結果から、上記構成の培養装置1お
よび培養方法は、細胞の増殖や目的物の生産性向上を促
すことがわかる。即ち、上記構成の培養装置1および培
養方法により、細胞に損傷等を与えずに増殖させること
が可能であると共に、細胞を培養槽内で大量かつ高密度
に培養して、目的物である抗体を安定して効率的に大量
生産することが可能であることがわかる。
【0062】〔実施例2〕細胞として、マウスミエロー
マP3X63Ag8.653とマウスリンパ球との細胞
融合により得られたマウスIgG産生マウスハイブリド
ーマ細胞株を用いた。
【0063】先ず、細胞を、T−フラスコ内の培地70
mlに、細胞密度1.1×105 個/mlとなるように
接種して懸濁し、二酸化炭素濃度5%の雰囲気下、37
℃で静置すると、培養開始後4日目に、細胞密度1.1
5×106 個/mlに増殖した。細胞の倍加時間は2
8.1時間であった。
【0064】次に、T−フラスコ内で増殖した細胞を、
スピナーフラスコ22内の培地500mlに、細胞密度
2.7×105 個/mlとなるように接種して懸濁し、
37℃、pH6.8〜7.1、20r.p.m.の回転数で撹
拌すると、培養開始後3日目に、細胞密度8.2×10
5 個/mlに増殖した。細胞の倍加時間は44.6時間
であった。
【0065】さらに、スピナーフラスコ22内で増殖し
た細胞を、丸底ジャーファーメンター32内の培地5l
に、細胞密度3.1×105 個/mlとなるように接種
して懸濁し、37℃、pH6.8〜7.1、12r.p.m.
の回転数で撹拌すると、培養開始後2日目に、細胞密度
1.05×106 個/mlに増殖した。細胞の倍加時間
は27.0時間であった。
【0066】上記のようにして前培養した細胞を、平底
ジャーファーメンター内の培地14.5lに、細胞密度
2.9×105 個/mlとなるように接種して懸濁し、
37℃、pH6.8〜7.1、10r.p.m.の回転数で撹
拌して本培養した。また、多孔性フッ素樹脂チューブ内
の通気速度を200〜500ml/min.とし、本培
養開始時はチューブ内に空気を通気して溶存酸素濃度を
2〜6ppmに保ち、細胞が増殖するに従い、空気中の
酸素分圧を増加させて溶存酸素濃度を0.5〜3ppm
に制御した。すると、本培養開始後4日目に、細胞密度
1.08×106 個/mlに増殖した。この時点で3時
間潅流を行い、培地を交換した。また、本培養開始後5
日目に、細胞密度1.33×106 個/mlに増殖し
た。この時点で3時間潅流を行い、培地を交換し、さら
に、本培養開始後6日目以降は連続的に潅流を行った。
尚、培地の交換率(潅流比)は、平底ジャーファーメン
ター内の培地液量(14.5l)に対し、1.5〜2.
0回/日とした。また、本培養期間中、培地中のグルコ
ース濃度を1.5g/l以上、乳酸濃度を2.3g/l
以下にそれぞれ制御した。
【0067】上記のようにして細胞を18日間、本培養
すると、表3に示すような細胞密度に増殖し、本培養開
始後18日目に、細胞密度3.4×106 個/mlとな
った。
【0068】
【表3】
【0069】以上の結果から、上記構成の培養装置1お
よび培養方法は、細胞の増殖を促すことがわかる。即
ち、上記構成の培養装置1および培養方法により、細胞
に損傷等を与えずに増殖させることが可能であると共
に、細胞を培養槽内で大量かつ高密度に培養することが
可能であることがわかる。
【0070】〔実施例3〕細胞として、ナマルバ細胞を
宿主とするヒトIgM産生組み換え細胞を用いた。
【0071】先ず、細胞を、T−フラスコ内の培地70
mlに、細胞密度2.0×105 個/mlとなるように
接種して懸濁し、二酸化炭素濃度5%の雰囲気下、37
℃で静置すると、培養開始後4日目に、細胞密度9.4
×105 個/mlに増殖した。細胞の倍加時間は43.
7時間であった。また、培養終了時での抗体(目的物、
ヒトIgM)濃度は5.8mg/lであった。
【0072】次に、T−フラスコ内で増殖した細胞を、
スピナーフラスコ22内の培地500mlに、細胞密度
2.1×105 個/mlとなるように接種して懸濁し、
37℃、pH6.8〜7.1、15r.p.m.の回転数で撹
拌すると、培養開始後4日目に、細胞密度1.27×1
6 個/mlに増殖した。細胞の倍加時間は33.8時
間であった。また、培養終了時での抗体濃度は3mg/
lであった。
【0073】さらに、スピナーフラスコ22内で増殖し
た細胞を、丸底ジャーファーメンター32内の培地5l
に、細胞密度2.6×105 個/mlとなるように接種
して懸濁し、37℃、pH6.8〜7.1、15r.p.m.
の回転数で撹拌すると、培養開始後5日目に、細胞密度
7.9×105 個/mlに増殖した。細胞の倍加時間は
71.6時間であった。また、培養終了時での抗体濃度
は3.9mg/lであった。
【0074】上記のようにして前培養した細胞を、平底
ジャーファーメンター内の培地15.8lに、細胞密度
2.3×105 個/mlとなるように接種して懸濁し、
37℃、pH6.8〜7.1、10r.p.m.の回転数で撹
拌して本培養した。また、多孔性フッ素樹脂チューブ内
の通気速度を200〜500ml/min.とし、本培
養開始時はチューブ内に空気を通気して溶存酸素濃度を
2〜6ppmに保ち、細胞が増殖するに従い、空気中の
酸素分圧を増加させて溶存酸素濃度を0.5〜3ppm
に制御した。すると、本培養開始後3日目に、細胞密度
9.2×105個/mlに増殖した。この時点で3時間
潅流を行い、培地を交換した。本培養開始後5日目に、
細胞密度1.7×106 個/mlに増殖した。この時点
で3時間潅流を行い、培地を交換した。本培養開始後6
日目に、細胞密度2.7×106個/mlに増殖した。
この時点で3時間潅流を行い、培地を交換した。本培養
開始後7日目に、細胞密度4.1×106 個/mlに増
殖した。この時点で3時間潅流を行い、培地を交換し、
さらに、本培養開始後8日目以降は連続的に潅流を行っ
た。尚、培地の交換率(潅流比)は、平底ジャーファー
メンター内の培地液量(15.8l)に対し、1.5〜
5回/日とした。また、本培養期間中、培地中のグルコ
ース濃度を1.5g/l以上、乳酸濃度を2.5g/l
以下にそれぞれ制御した。
【0075】上記のようにして細胞を21日間、本培養
すると、表4に示すような細胞密度に増殖し、本培養開
始後20日目に、細胞密度1.8×107 個/mlとな
った。また、細胞が増殖するに伴い、表4に示すように
抗体濃度も増加し、本培養開始後11日目以降の抗体濃
度は、10〜19mg/lと安定した。
【0076】
【表4】
【0077】以上の結果から、上記構成の培養装置1お
よび培養方法は、細胞の増殖や目的物の生産性向上を促
すことがわかる。即ち、上記構成の培養装置1および培
養方法により、細胞に損傷等を与えずに増殖させること
が可能であると共に、細胞を培養槽内で大量かつ高密度
に培養して、目的物である抗体を安定して効率的に大量
生産することが可能であることがわかる。
【0078】尚、上記の実施例1〜3は、本発明の培養
方法および培養装置を用いた細胞培養の一例を示すもの
であり、培養槽2等の寸法、前培養の方法および装置、
培地10の成分組成、細胞の種類、培地の温度やpH等
を始めとする培養環境等は、勿論、上記の実施例1〜3
に示した数値や種類等に限定されるものではなく、必要
に応じて適宜変更が可能である。また、細胞の培養日数
(期間)は、勿論、上記の実施例1〜3に示した日数で
終了もしくは打ち切られるものではなく、本発明の培養
方法および培養装置を用いて、細胞を数ヵ月あるいは数
年に渡って連続培養することが可能である。
【0079】
【発明の効果】請求項1記載の発明の動物細胞の培養方
法は、以上のように、回転半径が上記の培養槽内径の1
/4以上、3/8以下の、撹拌翼1枚の面積が上記の培
養槽の細胞培養液部の縦方向断面積の1/15以上とな
るような大きさに形成された撹拌翼を有する撹拌手段で
上記の細胞培養液を撹拌する方法である。
【0080】これにより、動物細胞が撹拌による剪断力
等の物理的刺激により損傷や破壊等の悪影響を受けるこ
とはなく、培養槽内で大量かつ高密度に培養することが
可能となるという効果を奏する。
【0081】請求項2記載の発明の動物細胞の培養方法
は、以上のように、請求項1記載の動物細胞の培養方法
において、回転速度を撹拌翼の外周部分で800cm/
分以下とする方法である。
【0082】これにより、動物細胞が撹拌による剪断力
等の物理的刺激により損傷や破壊等の悪影響を受けるこ
とはなく、培養槽内でより大量かつ高密度に培養するこ
とが可能となるという効果を奏する。
【0083】請求項3記載の発明の動物細胞の培養方法
は、以上のように、請求項1または請求項2記載の動物
細胞の培養方法において、細胞培養液中に少なくとも多
孔性チューブを有する酸素供給手段でチューブ通気を行
って動物細胞に酸素を供給すると共に、分離手段で細胞
培養液と動物細胞とを遠心分離し、細胞培養液を培養槽
外に抜き取る一方、動物細胞を培養槽に返還し、かつ、
培養液供給手段で培養槽に新しい細胞培養液を供給する
方法である。
【0084】これにより、培養槽内を動物細胞にとって
最適の条件に保つことができると共に、動物細胞が撹拌
による剪断力等の物理的刺激により損傷や破壊等の悪影
響を受けることはなく、培養槽内で大量かつ高密度に培
養することが可能となるという効果を奏する。
【0085】請求項4記載の発明の動物細胞の培養装置
は、以上のように、回転半径が上記の培養槽内径の1/
4以上、3/8以下の、撹拌翼1枚の面積が上記の培養
槽の細胞培養液部の縦方向断面積の1/15以上となる
ような大きさに形成された撹拌翼を有する撹拌手段を備
え、この撹拌手段により上記の細胞培養液を撹拌する構
成である。
【0086】これにより、動物細胞に、撹拌による剪断
力等の物理的刺激による損傷や破壊等の悪影響を与えず
に、培養槽内で大量かつ高密度に培養することが可能と
なるという効果を奏する。
【0087】請求項5記載の発明の動物細胞の培養装置
は、以上のように、請求項4記載の動物細胞の培養装置
において、回転速度が撹拌翼の外周部分で800cm/
分以下である構成である。
【0088】これにより、動物細胞に、撹拌による剪断
力等の物理的刺激による損傷や破壊等の悪影響を与えず
に、培養槽内でより大量かつ高密度に培養することが可
能となるという効果を奏する。
【0089】請求項6記載の発明の動物細胞の培養装置
は、以上のように、請求項4または請求項5記載の動物
細胞の培養装置において、少なくとも多孔性チューブを
有し、細胞培養液中にチューブ通気を行って動物細胞に
酸素を供給する酸素供給手段と、細胞培養液と動物細胞
とを遠心分離し、細胞培養液を培養槽外に抜き取る一
方、動物細胞を培養槽に返還する分離手段と、培養槽に
新しい細胞培養液を供給する培養液供給手段とを備えて
いる構成である。
【0090】これにより、培養槽内を動物細胞にとって
最適の条件に保つことができると共に、動物細胞が撹拌
による剪断力等の物理的刺激により損傷や破壊等の悪影
響を受けることはなく、培養槽内で大量かつ高密度に培
養することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における培養装置の構成を示
すブロック図である。
【図2】上記培養装置における撹拌翼の大きさを示す説
明図である。
【図3】前培養に用いるスピナーフラスコの説明図であ
る。
【図4】前培養に用いる丸底ジャーファーメンターの説
明図である。
【符号の説明】
1 培養装置 2 培養槽 3 通気チューブ(酸素供給手段) 4 撹拌装置(撹拌手段) 4b 撹拌翼 5 培地注入管(培養液供給手段) 6 培地抜き取り管(分離手段) 7 細胞返却管(分離手段) 10 培地(細胞培養液) 11 遠心分離機(分離手段) 13 目的物貯液槽(分離手段) 14 培地貯液槽(培養液供給手段) A 翼長(即ち、回転半径) B 高さ C 内径
フロントページの続き (72)発明者 石川 弘典 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 野口 浩 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】培養槽に満たされた細胞培養液中で培養す
    る動物細胞の培養方法であって、 回転半径が上記の培養槽内径の1/4以上、3/8以下
    の、撹拌翼1枚の面積が上記の培養槽の細胞培養液部の
    縦方向断面積の1/15以上となるような大きさに形成
    された撹拌翼を有する撹拌手段で上記の細胞培養液を撹
    拌することを特徴とする動物細胞の培養方法。
  2. 【請求項2】回転速度を撹拌翼の外周部分で800cm
    /分以下とすることを特徴とする請求項1記載の動物細
    胞の培養方法。
  3. 【請求項3】細胞培養液中に少なくとも多孔性チューブ
    を有する酸素供給手段でチューブ通気を行って動物細胞
    に酸素を供給すると共に、分離手段で細胞培養液と動物
    細胞とを遠心分離し、細胞培養液を培養槽外に抜き取る
    一方、動物細胞を培養槽に返還し、かつ、培養液供給手
    段で培養槽に新しい細胞培養液を供給することを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の動物細胞の培養方
    法。
  4. 【請求項4】培養槽に満たされた細胞培養液中で培養す
    る動物細胞の培養装置であって、 回転半径が上記の培養槽内径の1/4以上、3/8以下
    の、撹拌翼1枚の面積が上記の培養槽の細胞培養液部の
    縦方向断面積の1/15以上となるような大きさに形成
    された撹拌翼を有する撹拌手段を備え、この撹拌手段に
    より上記の細胞培養液を撹拌することを特徴とする動物
    細胞の培養装置。
  5. 【請求項5】回転速度が撹拌翼の外周部分で800cm
    /分以下であることを特徴とする請求項4記載の動物細
    胞の培養装置。
  6. 【請求項6】少なくとも多孔性チューブを有し、細胞培
    養液中にチューブ通気を行って動物細胞に酸素を供給す
    る酸素供給手段と、細胞培養液と動物細胞とを遠心分離
    し、細胞培養液を培養槽外に抜き取る一方、動物細胞を
    培養槽に返還する分離手段と、培養槽に新しい細胞培養
    液を供給する培養液供給手段とを備えていることを特徴
    とする請求項4または請求項5記載の動物細胞の培養装
    置。
JP4259844A 1992-09-29 1992-09-29 動物細胞の培養方法および培養装置 Pending JPH06105680A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4259844A JPH06105680A (ja) 1992-09-29 1992-09-29 動物細胞の培養方法および培養装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4259844A JPH06105680A (ja) 1992-09-29 1992-09-29 動物細胞の培養方法および培養装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06105680A true JPH06105680A (ja) 1994-04-19

Family

ID=17339773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4259844A Pending JPH06105680A (ja) 1992-09-29 1992-09-29 動物細胞の培養方法および培養装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06105680A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7368283B1 (en) 1999-03-12 2008-05-06 Kobelco Eco-Solutions Co. Ltd. Agitation tank for storing beer yeast slurry
JP2010511378A (ja) * 2006-12-06 2010-04-15 日本ケミカルリサーチ株式会社 ヒトエリスロポエチンの製造方法
US7709236B2 (en) 2002-10-11 2010-05-04 Nippon Suisan Kaisha, Ltd. Process for producing microbial fat or oil having lowered unsaponifiable matter content and said fat or oil
WO2020071209A1 (ja) * 2018-10-02 2020-04-09 富士フイルム株式会社 細胞培養方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7368283B1 (en) 1999-03-12 2008-05-06 Kobelco Eco-Solutions Co. Ltd. Agitation tank for storing beer yeast slurry
US7709236B2 (en) 2002-10-11 2010-05-04 Nippon Suisan Kaisha, Ltd. Process for producing microbial fat or oil having lowered unsaponifiable matter content and said fat or oil
JP2010511378A (ja) * 2006-12-06 2010-04-15 日本ケミカルリサーチ株式会社 ヒトエリスロポエチンの製造方法
WO2020071209A1 (ja) * 2018-10-02 2020-04-09 富士フイルム株式会社 細胞培養方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5443985A (en) Cell culture bioreactor
Feder et al. The large-scale cultivation of mammalian cells
EP0422149B1 (en) Static oxygenator for suspension culture of animal cells
CA1275272C (en) Sparger and apparatus for and method of growing cells
EP0353893B1 (en) Cell culture bioreactor
WO2000000586A9 (en) Bioreactor and cell culturing processes using the bioreactor
JP3244701B2 (ja) バイオマス粒子の生育方法および装置
US3821087A (en) Cell culture on semi-permeable tubular membranes
JP2777385B2 (ja) 生物細胞の培養方法,培養システム及び培養装置
WO2003025158A1 (en) Oxygen enriched bioreactor and method of culturing cells
Griffiths Scale-up of suspension and anchorage-dependent animal cells
THIELE et al. A new method for axenic mass cultivation of Paramecium tetraurelia
Kim et al. A hybrid bioreactor for high density cultivation of plant cell suspensions
CN110106139A (zh) 一种基于Tubespin生物反应器的缩小模型的细胞灌流培养方法
JPH06237754A (ja) 細胞分離装置及びそれを用いる細胞の分離方法並びに細胞培養装置及びそれを用いる細胞の培養方法
Reuveny et al. Apparatus and methodology for microcarrier cell culture
JPH0416153B2 (ja)
EP0480245B1 (en) Method of culturing animal cells
Cherry et al. Studies and observations on the growth of mammalian cells in agitated fluid medium
US5278058A (en) Process for the production of lignolytical enzymes by means of phanerochaete chrysosporium
JPH05284966A (ja) 通気撹拌二段階培養法
JPH078230B2 (ja) 細胞培養装置
JPH078265A (ja) マイクロキャリア分離装置および分離方法
JPS62289170A (ja) 細胞の培養装置および方法
EP0276154A2 (en) Method and apparatus for cell culture