JPH06105691A - フェノールハイドロキシラーゼ遺伝子領域を含むdna断片、組換プラスミド、形質転換体およびトリクロロエチレンの分解方法 - Google Patents

フェノールハイドロキシラーゼ遺伝子領域を含むdna断片、組換プラスミド、形質転換体およびトリクロロエチレンの分解方法

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JPH06105691A
JPH06105691A JP25685792A JP25685792A JPH06105691A JP H06105691 A JPH06105691 A JP H06105691A JP 25685792 A JP25685792 A JP 25685792A JP 25685792 A JP25685792 A JP 25685792A JP H06105691 A JPH06105691 A JP H06105691A
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JP
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gene
dna fragment
trichlorethylene
phenol hydroxylase
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JP25685792A
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English (en)
Inventor
Kanji Nakamura
寛治 中村
Masahiro Mizumoto
正浩 水本
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Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記制限酵素地図に示されるフェノールハイ
ドロキシラーゼ遺伝子領域を含むDNA断片。 【化1】 (地図中、C23Oはカテコール2,3オキシゲナーゼ
遺伝子の一部、PHはフェノールハイドロキシラーゼ遺
伝子を示す。)このDNA断片と、薬剤耐性遺伝子と、
グラム陰性細菌内における自律的複製に必要な遺伝子お
よび複製開始部位を含む広宿主域複製領域とを有し、グ
ラム陰性細菌内で複製可能な組換プラスミドを、宿主細
菌に導入し、得られた形質転換体によりトリクロロエチ
レンを分解する。 【効果】 トリクロロエチレンを簡単に効率よく分解で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェノールハイドロキシ
ラーゼ遺伝子領域を含むDNA断片、このDNA断片を
含む新規な組換プラスミド、この組換プラスミドを保持
する形質転換体およびこの形質転換体を用いたトリクロ
ロエチレンの分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トリクロロエチレンは溶剤として広く使
用されているが、有毒であり、自然の微生物によって容
易に分解されないため、各地で土壌、地下水汚染を引起
こしている。
【0003】トリクロロエチレンの処理方法としては活
性炭等に吸着させて除去する方法があるが、この方法は
ただトリクロロエチレンを回収するだけで、無毒化する
ことはできず、本質的な解決にはなっていない。また嫌
気的な処理によりトリクロロエチレンを分解することも
できるが、毒性の高いジクロロエチレンやビニルクロラ
イド等の中間生成物が生成されるという問題点がある。
【0004】このような問題点の解決に、トリクロロエ
チレンを分解する酵素または微生物の利用が有効な対策
となり得る。従来、トリクロロエチレンを分解する酵素
としては、メタン資化細菌のもつメタンモノオキシゲナ
ーゼ、トルエン資化細菌のもつトルエンモノオキシゲナ
ーゼ、トルエンジオキシゲナーゼ、硝化細菌のもつアン
モニアモノオキシゲナーゼが知られている。
【0005】しかし、トリクロロエチレン分解能を有す
る自然菌を用いたトリクロロエチレンの分解には次のよ
うな問題点がある。 1)自然菌はメタン、トルエン、フェノール等の物質に
より誘導されるので、これらの誘導物質の添加が不可欠
である。このため添加したトルエン、フェノール等が環
境中に放出される。 2)一度誘導されたトリクロロエチレンの分解能は長期
間維持されず、通常半日程度で活性がなくなってしま
う。 3)リアクターにて使用する場合の分解能が充分でな
い。
【0006】一方特表平2−503866号には、シュ
ードモナス メンドシナ KR−1(Pseudomo
nas mendocina KR−1)由来のトルエ
ンモノオキシゲナーゼ遺伝子(トルエンモノオキシゲナ
ーゼはトリクロロエチレンを分解する)を宿主細菌に導
入し、この形質転換体を用いてトリクロロエチレンを分
解する方法が記載されている。しかし、この方法は、ト
ルエンモノオキシゲナーゼを利用しており、本発明のフ
ェノールハイドロキシラーゼを利用するものとは異な
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、トリ
クロロエチレン分解活性を有するフェノールハイドロキ
シラーゼの遺伝子領域を含むDNA断片を提供すること
である。本発明の他の目的は、上記DNA断片を組込ん
だ新規な組換プラスミドを提供することである。本発明
の別の目的は、上記組換プラスミドを宿主細菌に導入し
た形質転換体を提供することである。本発明のさら別の
目的は、上記形質転換体を用いたトリクロロエチレンの
分解方法を提案することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次のフェノール
ハイドロキシラーゼ遺伝子領域を含むDNA断片、組換
プラスミド、形質転換体、およびそれを用いたトリクロ
ロエチレンの分解方法である。 (1)下記制限酵素地図〔1〕に示されるフェノールハ
イドロキシラーゼ遺伝子領域を含むDNA断片。
【化2】 (地図中、C23Oはカテコール2,3オキシゲナーゼ
遺伝子の一部、PHはフェノールハイドロキシラーゼ遺
伝子を示す。) (2)シュードモナス プチダ KWI−9(Pseu
domonas putida KWI−9)菌株染色
体DNA由来のフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子
と、薬剤耐性遺伝子と、グラム陰性細菌内における自律
的複製に必要な遺伝子および複製開始部位を含む広宿主
域複製領域とを有し、グラム陰性細菌内で複製可能な組
換プラスミド。 (3)上記(2)記載の組換プラスミドを宿主細菌に導
入したことを特徴とする形質転換体。 (4)上記(3)記載の形質転換体を用いてトリクロロ
エチレンを分解することを特徴とするトリクロロエチレ
ンの分解方法。
【0009】本発明のフェノールハイドロキシラーゼ遺
伝子領域を含むDNA断片は、シュードモナス プチダ
KWI−9菌株等の染色体DNAから分離される。シ
ュードモナス プチダ KWI−9菌株は、通商産業省
工業技術院微生物工業技術研究所に、微工研菌寄第13
109号(FERM P−13109)の微生物受託番
号で寄託されており、その菌株的性質および培養方法等
については特願平4−228169号に記載されてい
る。
【0010】本発明のDNA断片は、制限酵素Stu
ないしSmaIサイトで切断した断片であり、下記制限
酵素に対し、次の切断部位を有する。 制限酵素 切断部位数Sac I 1Sal I 1Hin dIII 1Eco RI 1 上記制限酵素の相対的な切断部位は、複数の制限酵素で
完全消化し、生成したDNA断片をアガロースゲル電気
泳動で解析することにより求めることができる。
【0011】本発明のDNA断片は、シュードモナス
プチダ KWI−9菌株の染色体DNAを制限酵素で切
断して得られる次の2つのDNA断片を結合した8.5
kbのDNA断片中に存在する(図3参照)。Hin dIIIで切断して得られる10kbのDNA断
片(図1参照):このDNA断片の2.3kbのEco
RIサイトないし4.8kbのSalIサイトの間にカ
テコール2,3オキシゲナーゼ(C23O)遺伝子が存
在している。このDNA断片を含む形質転換体はC23
Oによりカテコールを黄変させるので、容易に検出でき
る。
【0012】EcoRIで切断して得られる6.0k
bのDNA断片(図2参照):このDNA断片の3.7
kbのHindIIIサイトないし6.0kbのEco
Iサイト部分は、のDNA断片の0kbのHindII
Iサイトないし2.3kbのEcoRIサイト部分と重
複している。すなわちのDNA断片の0kbのEco
RIサイトないし3.7kbのHindIIIサイトは、
のDNA断片の上流部分である。のDNA断片は、
両者の重複部分をプローブとしてサウザンハイブリダイ
ゼイションにより分離できる。
【0013】本発明のDNA断片を含む8.5kbのD
NA断片は、上記のDNA断片の0kbのHindII
Iサイトないし4.8kbのSalIサイト断片に、そ
の上流部分としてのDNA断片の0kbのEcoRI
サイトないし3.7kbのHindIIIサイト断片を結
合させるか、またはのDNA断片の下流に、のDN
A断片の2.3kbのEcoRIサイトないし4.8k
bのSalIサイト断片を連結させることにより得られ
る。本発明のDNA断片は、上記8.5kbのDNA断
片をStuIおよびSmaIサイトで切断した断片とし
て得られる。
【0014】本発明の組換プラスミドはシュードモナス
プチダ KWI−9菌株染色体DNA由来のフェノー
ルハイドロキシラーゼ遺伝子を有している。この遺伝子
から形成されるフェノールハイドロキシラーゼは、トリ
クロロエチレンを分解するので、本発明の組換プラスミ
ドを宿主細菌に導入し、得られた形質転換体を用いてト
リクロロエチレンを分解することができる。
【0015】本発明の組換プラスミドは、次のDNA断
片をリガーゼで連結して構築することができる。 広宿主域複製領域を含むDNA断片 薬剤耐性遺伝子(マーカー) シュードモナス プチダ KWI−9菌株染色体DN
A由来のフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子
【0016】広宿主域複製領域は、組換プラスミドがグ
ラム陰性細菌内で独立して増殖し、安定して保持される
のに必要な遺伝子領域であり、プラスミドRSF101
0由来のもの等を採用することができるが、これに限定
されない。RSF1010はグラム陰性細菌内における
自律的複製に必要な遺伝子および複製開始部位を含み、
約5.8kbのDNA領域に集中して存在する。この領
域はRSF1010だけでなく、pKT240、pMM
B22等のプラスミドから制限酵素等の核酸分解酵素を
用いて分離することができる。
【0017】薬剤耐性遺伝子としては、クロラムフェニ
コール耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイ
シン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子等が採用
でき、pACYC184、pKK223−3、pTrc
99A、pKT240等のプラスミドから分離できる。
シュードモナス プチダ KWI−9菌株染色体DNA
由来のフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子としては、
前記本発明のDNA断片が使用できる。
【0018】本発明の組換プラスミドは、種々の異なる
プロモーター・ターミネーター系を介してフェノールハ
イドロキシラーゼを発現させることができる。このた
め、トリクロロエチレン分解能の向上がプロモーターの
改良により容易に行うことができる。また、lacIq
等のリプレッサー遺伝子を組込むことにより、イソプロ
ピルチオガラクトシド(IPTG)等の誘導物質により
制御が可能となる。従って、フェノール、トルエンの添
加は不要である。さらに、リプレッサー遺伝子を欠損さ
せることにより、誘導物質の添加が不要になり、フェノ
ールハイドロキシラーゼを構成酵素として作用させるこ
とも可能であり、このため長時間にわたってトリクロロ
エチレン分解能を維持できる。lacIq遺伝子・プロ
モーター・オペレーター・ターミネーター系は、pTr
c99A等のプラスミドから制限酵素等の核酸分解酵素
を用いて分離することができる。
【0019】組換プラスミドの宿主への導入は、エレク
トロポーレーション法、カルシウムおよびルビジウム処
理による方法、ヘルパープラスミドを用いた伝達による
方法等によって、極めて容易に行うことが可能である。
宿主としては、組換プラスミドが安定に維持されるグラ
ム陰性細菌が利用されるが、好ましくはシュードモナス
属細菌、中でもシュードモナス プチダ KWI−9菌
株およびその変異株等が望ましい。
【0020】また本発明によれば、組換プラスミドを導
入した形質転換体を用いてトリクロロエチレンを分解す
ることができる。トリクロロエチレンの分解は、トリク
ロロエチレンを含む培地中で形質転換体を好気的に培養
する等の方法により行うことができ、完全に脱ハロゲン
化できる。
【0021】組換プラスミドを導入した形質転換体の培
養は、宿主の生育に適した条件で行われるが、炭素源お
よび窒素源としてペプトン、トリプトン、酵母エキス
等、無機塩として塩化ナトリウム、塩化カリウム等を用
い、培地のpH5〜8.5、好ましくは6〜7、温度1
5〜35℃、好ましくは30℃前後で好気的に培養する
のが望ましい。
【0022】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。実施
例で使用したプラスミドおよび微生物は次の通りであ
る。 1)pKK223−3 タンパク質の発現に用いられる発現ベクター。lacリ
プレッサーにより調節されうる強力なtacプロモータ
ーを有し、IPTG等の誘導物質がlacリプレッサー
を不活性にすると、転写を誘発する。tacプロモータ
ーのすぐ下流にはマルチクローニングサイト(MCS)
および強力なrrnリボソームターミネーターが存在し
ている。このプラスミドはファルマシア社から市販され
ており、製品コード番号は27−4935−01であ
る。
【0023】2)pTrc99A pKK233−2の誘導体であり、強力なtrcプロモ
ーターのすぐ下流には長いマルチクローニングサイトお
よび強力なターミネーター(rrB)が存在している。
またpKK233−2にはないlacIq(lacリプ
レッサーの強力なもの)遺伝子を含むため、lacリプ
レッサーが欠損するcoliを宿主として使用する
ことができる。trcプロモーターは、IPTGの添加
により誘発される。なおマルチクローニングサイトの
coI制限酵素切断部位には翻訳開始コドンATGを有
しており、このコドンが欠損している遺伝子を挿入して
も発現可能である。このプラスミドはファルマシア社か
ら市販されており、製品コード番号は27−5007−
01である。
【0024】3)pACYC184 大腸菌のクローニングベクターで、4244bpの大き
さを有する。EcoRIサイトの最初のグアニン(G)
をヌクレオチド配列の1番目とすると、テトラサイクリ
ン耐性遺伝子を1580〜2770番目、クロラムフェ
ニコール耐性遺伝子(Cm)を3804〜219番目に
有する。
【0025】4)pKT240 プラスミドRSF1010由来の広宿主域複製領域を有
し、多くのグラム陰性細菌内で安定して維持可能な1
2.9kbのプラスミドである。アンピシリン耐性遺伝
子とカナマイシン耐性遺伝子とを持っている。ATCC
から市販されている。ATCC No.37258(A
TCC Catalogue of Recombin
ant DNA Materials 2nd edi
tion,1991)。
【0026】5)大腸菌DH5α 大きなプラスミドにより形質転換されやすい。ベセスダ
・リサーチ社(BRL)から市販されている。品番は8
262SA。 6)シュードモナス プチダ KWI−9菌株 フェノール資化能を有し、トルエン資化能を有さないト
リクロロエチレン分解性菌株であり、前記微生物受託番
号で寄託されている。トリクロロエチレン分解性はフェ
ノールの共存により著しく阻害される。
【0027】実施例1 シュードモナス プチダ KWI−9菌株の生産するフ
ェノールハイドロキシラーゼがトリクロロエチレンを分
解していると考え、またC23Oの遺伝子が一つのオペ
ロン中でフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子と共存
し、かつC23Oの遺伝子の上流にフェノールハイドロ
キシラーゼ遺伝子が存在すると考え、C23Oをマーカ
ーにしてフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子の分離を
試みた。なお、C23Oはカテコールを2−ヒドロキシ
ムコニックセミアルデヒド(2−Hydroxymuc
onic semialdehyde)に酸化し、黄変
させる。
【0028】大腸菌DH5αの液体培養にはLB培地を
用い、培養温度は37℃に設定した。抗生物質はアンピ
シリンとクロラムフェニコールをそれぞれ100μg/
ml、50μg/mlの濃度で使用した。大腸菌DH5
αへのプラスミドの導入は、Hanahanの方法を利
用した。サウザンハイブリダイゼーション法、ライゲー
ション法その他の分子生物学に係わる基本的な手法は、
すべて”Molecular cloning”の第2
版に従った。
【0029】HindIIIで切断し、5’末端を脱リン
酸化処理したpKK223−3に、シュードモナス プ
チダ KWI−9菌株の染色体を制限酵素HindIII
で切断したDNA断片を組込んだ。このプラスミドを大
腸菌DH5αに導入し、形質転換した。この結果、約1
2000のコロニーが得られ、そのうち9個のコロニー
がカテコールのスプレーにより黄変した。これらの形質
転換体は、すべて同じ10kbのDNA断片を組込んで
いた。このDNA断片を含むプラスミドの制限酵素地図
を図1に示す。このDNA断片には、2.3kbのEc
RIサイトないしSalIサイトの間にC23O遺伝
子が存在した。
【0030】上記10kbのHindIII DNA断片
を組込んだpKK223−3を大腸菌DH5αに導入
し、この大腸菌によるフェノールの分解試験を行った
が、フェノールは全く分解されなかった。そこで下記の
操作により、さらに上流のDNA断片を取得した。
【0031】シュードモナス プチダ KWI−9菌株
の染色体をEcoRIで切断し、アガロースゲルで電気
泳動にかけ、6.0kbのDNA断片を含むアガロース
ゲル部分を切出した。この中に含まれるDNA断片を第
一化学薬品社製のDNAセル(DNA CELL、商
標)により取出した。この6.0kbのEcoRI D
NA断片をpTrc99AのEcoRIサイトに組込
み、約14000の形質転換体を得た。その中の300
をランダムに選び、前記10kbのHindIIIDNA
断片の0kbのHindIIIサイトないし2.3kbの
EcoRIサイトまでをプローブとして、サウザンハイ
ブリダイゼーションを行った。その結果、6.0kbの
EcoRI DNA断片が組込まれたプラスミドを持つ
形質転換体が得られた。このプラスミドの制限酵素地図
を図2に示す。このプラスミドには、前記10kbの
indIII DNA断片の0kbのHindIIIサイトが
3.7kbの位置に存在した。
【0032】上記二種類のDNA断片(10kbのHi
dIII DNA断片、6.0kbのEcoRI DN
A断片)を図3に示すように結合させ、下流部位はC2
3O遺伝子を含むSalIサイトまでの8.5kbのD
NA断片をpTrc99Aに組込んだ。なお、図3の制
限酵素サイトはpTrc99Aを切断しない制限酵素を
利用して決定したものである。
【0033】このプラスミドの上流部位の制限酵素サイ
トを段階的に削除し、種々の長さのプラスミドを作成
し、これらのプラスミドを大腸菌DH5αに導入し、コ
ロニーによるフェノールハイドロキシラーゼおよびC2
3Oの発現試験を行った。C23Oは0.1Mのカテコ
ールを用い、フェノールハイドロキシラーゼの場合は
0.1Mのフェノールを用い、これらをコロニー上に滴
下し、これらのコロニーの色の変化を観察した。フェノ
ールハイドロキシラーゼ遺伝子が正しく組込まれている
場合は、下流にC23O遺伝子が存在するため、フェノ
ールがフェノールハイドロキシラーゼによりカテコール
に酸化された後、続けてC23Oにより黄色の物質が生
成されるため、コロニーは黄変する。このため検出は容
易である。
【0034】なおStuIサイトから遺伝子を発現させ
る場合は次のようにして行った。StuIサイトから遺
伝子を発現させると、大腸菌に生育障害が起こりコロニ
ーが形成されなかったが、これはpTrc99AのNc
IサイトにあるATGより合成されるタンパク質が阻
害の原因であることが判明したので、pTrc99Aの
代りに、pTrc99AからATG部分を取除いた新し
いプラスミドpTrc100を用いて行った。このプラ
スミドは、pTrc99AをNcoIで切断し、露出し
たCATGをMung Bean Nucleaseで
取除いて作成した。
【0035】発現結果を図4示す。図4から、Stu
サイトないし2番目のSmaIサイトの間にフェノール
ハイドロキシラーゼ遺伝子が、2番目のEcoRIサイ
トないし2番目のSalIサイトの間にC23O遺伝子
が存在することがわかる。なお、フェノールハイドロキ
シラーゼ活性が見られたものは、トリクロロエチレン分
解活性も見られ、フェノールハイドロキシラーゼがトリ
クロロエチレンを分解することが明らかとなった。フェ
ノールハイドロキシラーゼ遺伝子とC23O遺伝子の存
在位置を図5に示す。
【0036】実施例2 フェノールハイドロキシラーゼ遺伝子とC23O遺伝子
を含むStuIないし最後のSalIサイトまでのDN
A断片(図5参照)を組込んだ組換プラスミドを、シュ
ードモナス プチダ KWI−9菌株に導入し、トリク
ロロエチレンの分解試験を次のようにして行った。
【0037】シュードモナス プチダ KWI−9菌株
の液体培養には下記SOB培地を使用した。寒天培地は
SOB寒天培地を用いた。抗生物質はアンピシリンとク
ロラムフェニコールをそれぞれ100μg/ml、50
μg/mlの濃度で使用した。培養温度は30℃に設定
した。シュードモナス プチダ KWI−9菌株へのプ
ラスミドの導入はバイオ−ラド(BIO−RAD)社製
のジーンパルサーを利用し、エレクトロポーレーション
法により行った。
【0038】SOB培地: バクト(Bacto)トリプトン 20g バクト(Bacto)酵母エキス 5g NaCl 0.5g 250mM KCl 10ml 蒸留水 全量で990mlとする pH 7.0 上記溶液をオートクレーブで殺菌し、室温まで冷却した
後、これとは別のビンでオートクレーブにより殺菌した
2M Mg2+液(1M MgSO4・7H2O+1M M
gCl2・6H2O)を10ml加える。
【0039】まず、シュードモナスに多く利用されてい
るRSF1010レプリコンと、pACYC184のク
ロラムフェニコール耐性遺伝子と、pTrc100のl
acIqないしターミネーターまでの部分とを用い、図
6に示すIPTGで制御可能なシュードモナス用のプラ
スミドpRCL100を調製した。
【0040】すなわち、pKT240からPvuIIと
stIで切出される約5.8kbのレプリコン部位(こ
のレプリコンはRSF1010のPvuII(bp194
8)〜PstI(bp7768)の部分に相当する)
と、pACYC184のBstBI(bp3716)〜
BsaAI(bp310)の部分をT4DNAポリメラ
ーゼで処理した後、T4DNAリガーゼで連結させ、プ
ラスミドを作成した。次にRSF1010のXmn
(bp2030)サイトを利用し、このプラスミドを切
断し、この部分にT4DNAポリメラーゼで処理したp
Trc100のBsaAI(bp2769)〜Bsp
I(bp793)(この部分にはlacIqが存在す
る)を組込み、新しいプラスミドpRCL100を作成
した。
【0041】次に、フェノールハイドロキシラーゼ遺伝
子とC23O遺伝子を含むStuI〜SalIサイトま
でのDNA断片(図5参照)内にBamHIサイトが存
在しないので、このDNA断片の両端にBamHIリン
カーを結合し、単一酵素ですべてのDNA断片が切出せ
るように改良した。そして、pRCL100をBam
Iで切断し、その部分にフェノールハイドロキシラーゼ
遺伝子とC23O遺伝子を含むDNA断片を組込み、図
7に示す新しいプラスミドpNEM101を作成した。
このプラスミドは、シュードモナス プチダ KWI−
9菌株に導入した場合、安定に維持された。
【0042】このpNEM101をシュードモナス プ
チダ KWI−9菌株に導入し、次のようにしてトリク
ロロエチレンの分解試験を行った。組換シュードモナス
プチダ KWI−9菌株の前培養液1〜2mlを10
0mlのSOB培地に接種した後、30℃で培養し、6
00nmでの吸光度(以下、A600という)が0.5〜
0.7に達した時点で、IPTGを5mM添加した後、
2時間培養して誘導した。次に遠心分離により集菌し、
菌体を下記無機培地にA600が2.0になるように懸濁
した。
【0043】無機培地: Na2HPO4 + KH2PO4(1M,pH6.8) 40ml Huntner's vitamin-free mineral base *1 20ml (NH4)2SO4 1g 蒸留水 840ml *1 Huntner's vitamin-free mineral base; ニトリロ三酢酸 10.0 g MgSO4 14.45 g CaCl2・2H2O 3.335g (NH4)6Mo7O24・4H2O 9.25 mg FeSO4・7H2O 99 mg メタルズ”44” *2 50 ml 蒸留水 全量で1000mlとする *2 メタルズ”44”(Metals"44"); エチレンジアミン四酢酸 250.0mg ZnSO4・7H2O 1095.0mg(250mg Zn) FeSO4・7H2O 500.0mg(100mg Fe) MnSO4・H2O 154.0mg( 50mg Mn) CuSO4・5H2O 39.2mg( 10mg Cu) Co(NO3)2・6H2O 24.8mg( 5mg Co) Na2B4O7・10H2O 17.7mg( 2mg B) 数滴の硫酸を加えて沈殿を防止する 蒸留水 100ml
【0044】この菌溶液10mlをジーエルサイエンス
社製の125ml容のバイアルビンに入れ、トリクロロ
エチレン10mg/l(すべて液に溶解した場合の濃
度)を添加し、テフロンコートブチルゴム栓をした後、
アルミニウムキャップでシールした。このバイアルビン
を30℃、200rpmで振とう培養し、定期的に気相
をガスタイトシリンダで100μlサンプリングし、ト
リクロロエチレンの分解試験を行った。対照としては、
IPTGで誘導しない菌溶液を用いた。
【0045】結果を図8に示す。図8から、pRCL1
00のプロモーターを活性化させるIPTGを添加した
場合は、添加しない場合に比べてトリクロロエチレンの
分解が著しく、trcプロモーターの下流に挿入された
フェノールハイドロキシラーゼ遺伝子が有効に作用し、
フェノールハイドロキシラーゼにより活発なトリクロロ
エチレン分解が行われていることが明らかとなった。
【0046】実施例3 実施例2において、pNEM101の代りに、lacI
qを欠損させたプラスミドpNEM201を用い、IP
TGを添加しないで、実施例2と同様にしてトリクロロ
エチレン分解試験を行った。
【0047】pNEM201は次のようにして調製し
た。まずpKT240からPvuIIとPstIで切出さ
れる約5.8kbのレプリコン部位(このレプリコンは
RSF1010のPvuII(bp1948)〜Pst
(bp7768)の部分に相当する)と、pACYC1
84のBstBI(bp3716)〜BsaAI(bp
310)の部分をT4DNAポリメラーゼで処理した
後、T4DNAリガーゼで連結させ、プラスミドを作成
した。次にRSF1010のXmnI(bp2030)
サイトを利用し、このプラスミドを切断し、この部分に
4DNAポリメラーゼで処理したpTrc100の
vuII(bp4096)〜BspHI(bp793)
(この部分にlacIqは存在しない)を組込み、新し
いプラスミドpRCT200を作成した。
【0048】次に、フェノールハイドロキシラーゼ遺伝
子とC23O遺伝子を含むStuI〜SalIまでのD
NA断片(図5参照)内にBamHIサイトが存在しな
いので、このDNA断片の両端にBamHIリンカーを
結合し、単一酵素ですべてのDNA断片が切出せるよう
に改良した。そして、pRCL200をBamHIで切
断し、その部分にフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子
とC23O遺伝子を含むDNA断片を組込み、図9に示
す新しいプラスミドpNEM201を作成した。このプ
ラスミドは、実施例2で使用したpNEM101からl
acIqが欠損したものであり、シュードモナス プチ
ダ KWI−9菌株に導入した場合、安定に維持され
た。
【0049】こうして得られた形質転換体を用いて実施
例2と同様にトリクロロエチレンの分解試験を行った。
結果を図10に示す。図10から、誘導物質(IPT
G)を添加しなくてもトリクロロエチレンの分解が起こ
り、その能力は50時間以上の長時間にわたって維持さ
れることがわかる。すなわち、lacIqが存在する場
合には実施例2で示したように誘導物質が必要である
が、このlacIqを欠損させると、リプレッサーが生
成しないため、誘導物質を添加しなくてもトリクロロエ
チレンの分解が可能となる。
【0050】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、トリクロ
ロエチレンを分解するフェノールハイドロキシラーゼの
遺伝子を含むDNA断片が得られる。また、上記DNA
断片を含み、トリクロロエチレンを分解する形質転換体
を調製する際にベクターとして利用でき、しかもトリク
ロロエチレンの分解活性の高い新規な組換プラスミドが
得られる。
【0051】さらに、上記組換プラスミドを保持し、ト
リクロロエチレンの分解に利用できる形質転換体が得ら
れる。さらにまた、上記形質転換体を利用することによ
り、トリクロロエチレンを簡単に効率よく分解できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作成したプラスミドの制限酵素地図
である。
【図2】実施例1で作成したプラスミドの制限酵素地図
である。
【図3】本発明のDNA断片を含むプラスミドの制限酵
素地図である。
【図4】実施例1の試験結果を示す図である。
【図5】本発明のDNA断片を含むDNA断片の制限酵
素地図である。
【図6】実施例2で作成したプラスミドの制限酵素地図
である。
【図7】実施例2で作成したプラスミドの制限酵素地図
である。
【図8】実施例2の試験結果を示すグラフである。
【図9】実施例3で作成したプラスミドの制限酵素地図
である。
【図10】実施例3の試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
P プロモーター PH フェノールハイドロキシラーゼ遺伝子 C23O カテコール2,3オキシゲナーゼ遺伝子 Cm クロラムフェニコール耐性遺伝子 5ST1T2、T ターミネーター IPTG イソプロピルチオガラクトシド
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】次に、フェノールハイドロキシラーゼ遺伝
子とC23O遺伝子を含むStuI〜SalIまでのD
NA断片(図5参照)内にBamHIサイトが存在しな
いので、このDNA断片の両端にBamHIリンカーを
結合し、単一酵素ですべてのDNA断片が切出せるよう
に改良した。そして、pRCT200をBamHIで切
断し、その部分にフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子
とC23O遺伝子を含むDNA断片を組込み、図9に示
す新しいプラスミドpNEM201を作成した。このプ
ラスミドは、実施例2で使用したpNEM101からl
acIqが欠損したものであり、シュードモナス プチ
ダ KWI−9菌株に導入した場合、安定に維持され
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/21 7236−4B //(C12N 15/53 C12R 1:40) (C12N 1/21 C12R 1:19)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記制限酵素地図〔1〕に示されるフェ
    ノールハイドロキシラーゼ遺伝子領域を含むDNA断
    片。 【化1】 (地図中、C23Oはカテコール2,3オキシゲナーゼ
    遺伝子の一部、PHはフェノールハイドロキシラーゼ遺
    伝子を示す。)
  2. 【請求項2】 シュードモナス プチダ KWI−9
    Pseudomonas putida KWI−
    9)菌株染色体DNA由来のフェノールハイドロキシラ
    ーゼ遺伝子と、 薬剤耐性遺伝子と、 グラム陰性細菌内における自律的複製に必要な遺伝子お
    よび複製開始部位を含む広宿主域複製領域とを有し、グ
    ラム陰性細菌内で複製可能な組換プラスミド。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の組換プラスミドを宿主細
    菌に導入したことを特徴とする形質転換体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の形質転換体を用いてトリ
    クロロエチレンを分解することを特徴とするトリクロロ
    エチレンの分解方法。
JP25685792A 1992-09-25 1992-09-25 フェノールハイドロキシラーゼ遺伝子領域を含むdna断片、組換プラスミド、形質転換体およびトリクロロエチレンの分解方法 Pending JPH06105691A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5854059A (en) * 1996-04-11 1998-12-29 Canon Kabushiki Kaisha Biodegradation of an organic compound and process for upgrading the environment by removing the aforesaid compound
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US6858417B2 (en) 1998-12-03 2005-02-22 Canon Kabushiki Kaisha Dna fragment carrying toluene monooxygenase, gene, recombinant plasmid, transformed microorganism, method for degrading chlorinated aliphatic hydrocarbon compounds and aromatic compounds, and method for environmental remediation

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