JPH06107514A - プライマー組成物 - Google Patents

プライマー組成物

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JPH06107514A
JPH06107514A JP4279290A JP27929092A JPH06107514A JP H06107514 A JPH06107514 A JP H06107514A JP 4279290 A JP4279290 A JP 4279290A JP 27929092 A JP27929092 A JP 27929092A JP H06107514 A JPH06107514 A JP H06107514A
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tooth
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忠 平澤
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茂 平林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 歯牙硬組織に対し現状の一般歯科用接着剤に
より初期接着強度が大きく、しかも該強度が長期間維持
出来る如くする耐久性を与える歯牙硬組織に対しダメー
ジの少ないプライマー組成物を得ることに在る。 【構成】 歯質のCaと金属イオンとも安定なキレート
を形成し得るキレート化剤及び/またはその部分置換塩
の1〜20重量%の水溶液(A液)とキレート化剤また
はその部分置換塩と反応して安定なキレートを形成し得
る金属のハロゲン化物の0.05〜5重量%の水溶液
(B液)とから成るプライマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はプライマー組成物に関
するものである。更に詳しくは、本発明は生体硬組織或
いはその人工代替物、例えば、人工骨、人工歯根(イン
プラント)、人工歯冠等のセラミックス材料をキレート
化能を有する接着剤で接着、固定する際に、それ等を本
プライマーで処理することにより接着性と耐久性を向上
することが出来ることを利用するものである。特に、天
然歯牙のエナメル質や象牙質に各種歯科用接着剤、例え
ば、グラスアイオノマーセメントやレジンセメント、コ
ンポジットレジンのボンディング剤等を接着する際に威
力を発揮するのである。
【0002】
【従来の技術】歯科用修復材料として、コンポジットレ
ジン、グラスアイオノマーセメント、ポリカルボキシレ
ートセメント等が使用されている。また、金属製、セラ
ミックス製或いはレジン製のクラウンやインレーの合着
剤として前記セメントや接着性レジンセメント及びコン
ポジットレジンのボンディング剤等が使用されている。
しかし、これ等の歯科用接着剤は、一般に歯質との接着
性、特に象牙質との接着耐久性がまだ不充分なため、修
復物や補綴物が脱落したり、修復物辺縁部での漏洩から
細菌が侵入して二次カリエス、歯髄刺激等を起こす症例
もある。
【0003】このような問題を解決するため、修復物や
補綴物と歯質との接着性を向上させる方法が従来から数
多く報告されている。エナメル質に対する接着は、エナ
メル質をリン酸、蓚酸、クエン酸等の酸でエッチングす
ることにより歯科用接着剤の種類に関わりなく、或る程
度臨床上満足すべき接着性が得られるようになった(J
Dent Res, Vol.3No.6 849−
853,1955; Archs Oral Bio
l,Vol.13,61−,1968ほか)。しかし、
この方法による接着は歯質と接着剤との化学的結合では
なく、酸により脱灰されて形成された歯質表面の微細構
造に侵入した接着剤が硬化して形成される機械的嵌合に
基ずいている。
【0004】一方、酸エッチングを施さないエナメル質
に対しては、現在の歯科用接着剤では充分な接着性が得
られないのが現状である。また、酸エッチングを施した
エナメル質窩洞辺縁部でも充填されたコンポジットレジ
ンの重合収縮により微小漏洩を起こす症例も報告されて
いる。これは、口腔内という湿潤環境下での接着の難し
さ、また、咀嚼により絶えず繰り返し応力が負荷される
環境下での疲労も原因していると考えられている。
【0005】象牙質に対する接着に関しては、古くは、
歯質のCaとのキレート結合を狙ったD.C.Smit
hの開発したポリカルボキシレートセメント(Br D
ent J,Vol.125,381−384,196
8)やA.D.Wilsonの開発したグラスアイオノ
マーセメント(Br Dent J,Vol.132,
133−135,1972)がある。これ等は、所謂、
接着性モノマーが無かった当時としては、象牙質に対し
或る程度の接着性(剪断接着強さ:40〜50kgf/
cm2)があったことから、修復材料の下に歯髄の保護
剤として使用する裏層剤やクラウンやインレーの合着剤
として重用された。
【0006】しかし、これ等のセメントは感水性が強
く、長期水中浸漬実験などでは次第に接着力が低下して
了うという欠点があった(歯材器誌、2巻6号、691
−703、1983ほか多数の報告がある。) また、修復材料としてのコンポジットレジンの台頭によ
り、コンポジットレジンを歯質に接着させるためのボン
ディング剤の開発から、数々の接着性モノマーが生ま
れ、次第にこれ等セメントの用途も制限されるようにな
って来た。
【0007】接着性モノマーとして開発され実用化され
たものには、N−フェニルグリシンとグリシジルメタク
リレートの付加物 NPG−GMA(J Dent R
es,Vol.44,No.5,903−905,19
65)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水
物 4−META(歯理工誌、19巻、179−18
5、1978)、2−メタクリロキシエチルフェニルリ
ン酸 Phenyl−P(特開昭53−110637
号)、N−(p−トルイル)グリシンとグリシジルメタ
クリレートの付加物 NTG−GMA(Int Den
t J,Vol.37,158−161,1987)、
11−メタクリロキシウンデカン−1,1−ジカルボン
酸 MAC−10、10−メタクリロキシデカン二水素
リン酸 MDP(特公平3−52508号)、ピロメリ
ット酸二無水物と2−ヒドロキシエチルメタクリレート
の付加物 PMDM(Dent Mater,Vol.
4,225−231,1988)などがある。これ等モ
ノマーは、何れも親水性基(カルボキシル基やリン酸
基)と疎水性基(フェニル基やポリメチレン基)をバラ
ンス良く有しており、酸エッチングした象牙質に対して
浸透し易く、また、重合性のメタクリロキシ基を有して
いるため、脱灰した象牙質内に浸透して重合硬化し、歯
質とポリマーのハイブリット層を形成して比較的高い接
着力(50〜180kgf/cm2)が得られるものと
考えられている。唯一部のモノマーは歯質のCaとのキ
レート結合を狙ったものもあった。しかし何れにせよ、
未処理の象牙質に対しては、これ等モノマーの効果は低
く、何等かの処理をした場合のみ高い接着力を示す。例
えば、NPG−GMAに於ける蓚酸アルミニウム処理、
4−METAにおける10%クエン酸−3%塩化第二鉄
処理、MDPにおける10%クエン酸−20%塩化カル
シウム処理、40%リン酸処理、スズ電析処理、PMD
Mに於ける2.5%硝酸−4%NPG処理等がある。ま
た、最も高い接着強さが報告されている4−METAの
場合でも、象牙質のコラーゲンにメチルメタクリレート
(MMA)をグラフト重合する能力を有するトリブチル
ボラン(TBB−0)触媒との併用により、その効果が
認められている。即ち、現状では象牙質に対して何等か
の処理を施さない限り、臨床的に満足な接着性は得られ
ていない(J Dent Res,Vol.59,No
5,809−818,1980;歯材器、9巻6号、8
88−893、1990等)。また、これ等モノマーを
有するボンディング剤を専用の処理剤を使用して接着し
ても、その接着の耐久性はまだ充分とは言えず、長期水
中浸漬試験や4℃の冷水と60℃の温水中に交互に1分
間ずつ浸漬を繰り返し修復物に熱ストレスを負荷するサ
ーマルサイクル試験では接着力が低下して了うという問
題も残っている(歯材器、9巻6号、831−840、
1990;9巻6号、841−849,1990;10
巻1号、42−54、1991等)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた如く、現在
使用されている歯科用接着剤は生体硬組織、特に天然歯
牙のエナメル質及び象牙質に対し臨床上ほぼ満足できる
初期接着力を有するようになった。しかし、その耐久性
を試験すると、特に象牙質では未だ未だ充分とは言えな
い。そこで、現状の歯科用接着剤を使用して、より高い
初期接着力とその接着性が長期間維持し得る耐久性を発
揮し得るプライマー組成物を開発する目的で、本発明が
成された。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、現在使用
されている歯科用接着剤が天然歯牙硬組織の象牙質より
もエナメル質に対して良好な接着性を示すこと、更に歯
牙よりも金属に対して良好な接着性を示すことに、先ず
着眼した。前述したポリカルボキシレートセメント、グ
ラスアイオノマーセメント、接着性モノマーは、何れも
カルボキシル基やリン酸基など錯体を形成し得る配位子
を有しており、夫々程度の差はあれ、キレート結合形成
能を有しているのではないか、そして、それが被着体に
よる接着性の相違として現れているのではないかと考え
た。即ち、象牙質よりもエナメル質の方がハイドロキシ
アパタイトの含有量が多く、更に酸処理され脱灰された
状態では、キレートを形成し得るCa量はエナメル質の
方が多い。また、一般に、キレート化剤はCa++イオン
よりも金属イオンとより安定な錯体を形成することが公
知の事実として知られている。
【0010】また、第2の着眼点は、金属の種類により
接着剤の初期接着力と耐久性が異なることである。これ
は、キレートの安定性(安定度定数)の違いによってい
るのではないかと考えた。この仮説を基に、更に考えを
進めて行くと、歯質のCaと安定なキレートを形成出
来、同時に耐久性に優れた接着性が得られる金属とも安
定なキレートを形成できるキレート化剤で歯牙の被着面
を処理し、更に、そこにその金属イオンをキレートさせ
ることにより歯質表面を安定な接着が得られる金属で修
飾することが出来る可能性が浮かび上がった。この仮説
に基づき、キレート化剤と金属の選択に関して鋭意研究
を重ねた結果、市販のキレート化剤と歯科用合金にも使
用されている金属の組合わせから、多くのプラマー組成
物が見出され、本発明を為すに至った。即ち、 A液:歯質のCaとB液に含有される金属イオンとも安
定なキレートを形成し得るキレート化剤及び/またはそ
の部分置換塩の1〜20重量%の水溶液と B液:A液のキレート化剤またはその部分置換塩と反応
して安定なキレートを形成し得る金属のハロゲン化物の
0.05〜5重量%の水溶液 から成るプライマー組成物である。これ等は使用直前に
混合して使用した場合、また混合して1液性にした組成
物も基本的には同じ考え方であることから本発明に含ま
れるものである。
【0011】本発明に於ける歯質のCaと金属イオンと
も安定なキレートを形成し得るキレート化剤としては、
フィチン酸(PYA)、トリエチレンテトラミン六酢酸
(TTHA)、trans−1,2−シクロヘキサンジ
アミン四酢酸(CyDTA)、1,3−ジアミノプロパ
ノール四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミ
ン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(ED
TA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸
(EDTA−OH)、エチレンジアミンテトラキス(メ
チレンホスホン酸)(EDTPO)、グリコールエーテ
ルジアミン四酢酸(GEDTA)、1,2−ジアミノプ
ロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ニトリロ三
酢酸(NTA)及びニトリロトリス(メチレンホスホン
酸)(NTPO)、タンニン酸(TA)等が挙げられる
が、特に歯質のCaとも金属イオンともキレートを形成
する必要があることから配位子の数が多いPYAやTT
HA、歯質に対する濡れが良い親水性の水酸基を有する
DPTA−OHやEDTA−OH、キレートの安定度定
数が大きいCy−DTAやEDTAが好適である。
【0012】これ等の中でPYAは、pH1の酸性領域
からpH12のアルカリ性領域までの広いpH範囲で強
い金属キレート化力を示す特徴を有することから、最も
好ましいキレート化剤である。これ等キレート化剤の部
分置換塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウ
ム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等のI価の塩
で水溶性のものが好適である。機械的に研削された歯質
表面には接着を阻害するスメアー層なる歯質削片のへば
り付いた層があり、これを清掃してやらないと前述した
ように高い接着性は得られない。キレート化剤の配位子
(カルボキシル基やリン酸基)は酸としても作用し、そ
のスメアー層を溶解除去する効果も併せ持っている。従
って全部の配位子を置換するのは好ましくなく、30〜
50%程度は残しておく方が好ましい。
【0013】これ等のキレート化剤及びキレート化剤の
部分置換塩の濃度としては、1〜20重量%、特に3〜
10重量%が好ましい。即ち、歯質とキレートを形成す
る量は非常に微量であること、また、これ等のキレート
化剤は酸としても作用することから出来るだけ歯質にダ
メージを与えないために、スメアー層が除去出来るだけ
の量で充分である。この量はキレート化剤により異な
り、また部分置換塩の置換度によっても異なる。また、
キレート化剤によっては水に対して難溶性を示すものも
あり、場合によっては有機溶媒を使用することも出来
る。その際の濃度は前述した水溶液の場合に準ずる。更
に実際に臨床の場で使用する際、窩洞によって下向きの
ものもあり、プライマーの液が流れて了い処理効果が減
じて了うことも想定されることから、増粘材としてシリ
カ,アルミナ等の不活性フィラーを添加する場合もあ
る。
【0014】本発明の以上述べたキレート化剤と安定な
キレートを形成し得る金属のハロゲン化物としては多価
金属ハロゲン化物が好ましい。2価の金属イオンを溶離
するものとして、カルシウム、コバルト、クロム、銅、
鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、鉛、錫、スト
ロンチウム、亜鉛等の塩化物またはフッ化物、3価の金
属イオンを溶離するものとして、アルミニウム、クロ
ム、鉄、ガリウム、インジウム、ランタン、ルテニウ
ム、マンガン、サマリウム、イットリビウム等の塩化物
またはフッ化物、4価の金属イオンを溶離するものとし
ては、チタニウム、ジルコニウム等の塩化物またはフッ
化物、5価の金属イオンを溶離するものとして、タンタ
ルの塩化物またはフッ化物等が挙げられる。しかし、口
腔内で使用することから、毒性の無いものが好ましい。
特に、接着にも効果があり、齲蝕の抑制効果や歯質の再
石灰化促進効果が期待されるフッ化第一錫、フッ化イン
ジウム(歯材器、6巻、特別号13,190−191、
1987)、フッ化ランタン(日歯保誌、35巻、6
号、648−656、1992)などが好ましい。
【0015】これ等金属ハロゲン化物の処理剤としての
濃度としては0.05〜5重量%範囲で、出来るだけ低
い濃度が好ましい。即ち、キレート化剤とキレート結合
し得る量は微量であり、イオンとして口腔内に入ること
から出来るだけ少ない方が良いからである。しかし、金
属ハロゲン化物の種類により、この濃度範囲で溶解しき
らないものもある。しかし、溶離した金属イオンによっ
ては溶存酵素により酸化され、更に多価のイオンに変化
して了うものもあり、過飽和溶液で使用する方が好まし
いものもある。例えば、フッ化第一錫の水溶液は加水分
解や空気酸化により上述した効果を示さない不活性な錫
化合物(不活性の水酸化錫、酸化錫、酸化フッ化錫、4
価の錫化合物等)に変化し易く、溶存活性錫イオン量が
減少して了い、その結果、接着性や齲蝕予防効果が低下
することもある。そこで、過飽和溶液を使用することに
より、未溶解のフッ化第一錫から順次新しい第一錫イオ
ンを供給させることが出来る。従って、溶離した金属イ
オンの安定性によっては、過飽和溶液であっても良く、
場合によっては、それを安定に供給するために、安定剤
(緩衝液、同種金属の難溶性化合物等)を添加すること
もある。
【0016】また、2種以上の金属ハロゲン化物を混合
して使用することも可能である。例えば接着性の高い亜
鉛、アルミニウム、マンガンのハロゲン化物と齲蝕予防
効果の期待されるフッ化物第一錫、フッ化インジウム、
フッ化ランタン等を混合して用いることにより、接着性
の改善に加えて、二次齲蝕の抑制効果も期待出来る。更
に実際に臨床の場で使用する際、窩洞によって下向きの
ものもあり、プライマーの液が流れて了い処理効果が減
じて了うことも想定されることから、増粘材としてシリ
カ,アルミナ等の不活性フィラーを添加する場合もあ
る。
【0017】本プライマーの使用方法は、基本的には、
被着体(天然歯牙のエナメル質、象牙質、骨やその人工
代替物である人工骨、人工歯根、クラウン、インレー等
のセラミックス等)にA液を塗布し、水洗、乾燥後、B
液を塗布し、水洗、乾燥するという2段階処理が好まし
い。しかし、場合によっては、使用直前に、A液とB液
を混合して使用することも可能である。また、A液の成
分とB液の成分の配合量を調整することにより1液化も
可能である。その場合は、処理法は1段階で済むことに
なる。この点に関しては、例示することが出来ないが、
化学量論的には可能であり、本発明の基本的考え方に含
まれるものである。こうして、処理された被着体に、現
在市販されている各種歯科用接着剤(グラスアイオノマ
ーセメント、ポリカルボキシレートセメント、レジンセ
メント、コンポジットレジンのボンディング剤等)を使
用して接着させることにより、そのシステムで得られる
初期接着性、耐久性を大きく改善することが出来る。ま
た、これも例示出来ないが、本発明のプライマーの中に
は、前述した齲蝕予防効果や歯垢の形成抑制効果(Ac
ta Odont Scand,Vol.36,21
1,1978)の期待される成分も含まれていることか
ら二次カリエスの予防、歯周病の予防等の二次効果も期
待される。
【0018】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。ま
た、以下、成分の濃度を%で表示するが、特にことわら
ない限り、これは重量%を意味する。
【0019】実施例1〜16及び比較例1〜3 本発明のプライマーの至適濃度を見付けるため、キレー
ト化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロゲン化
物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、商品名
Photo Bond(クラレ社の製品でコンポジット
レジンのボンディング剤)の歯牙象牙質に対する接着性
を評価した。牛抜去前歯の歯根を切断し、抜髄後、歯髄
腔をポリカルボキシレートセメントで封鎖し、ポリメチ
ルメタクリレートレジンで包埋した。その牛歯の唇側面
を注水下で#1000エメリー紙で研磨した象牙質を被
着体とした。その被着面をPYAの3,5,7,10,
20,30,40,50%の各水溶液で30秒間処理、
水洗、乾燥した。更に、SnF2の3%の水溶液(完全
に溶解していない過飽和溶液)で30秒間処理、水洗、
乾燥した。PYA処理のみ、及びその後でSnF2処理
を併用した被着面に、6mmφの穴を開けた両面テープ
で内径6mm、高さ3mmのポリエチレンチューブを仮
着し、接着面積を規定した。次いで、ボンディング剤を
塗布し、商品名GCライトVL−I(株式会社ジーシー
製の光照射器)で10秒光照射後、コンポジットレジン
商品名Photo Clearfil Bright
(クラレ社製品)を充填し、30秒間光照射した。光照
射30分後に、仮着してあったチューブとテープを除去
した試料を37℃蒸留水中に24時間浸漬後、圧縮剪断
試験により接着強さを測定した。試験速度は1mm/m
inで行なった。また、比較例として、未処理、40%
リン酸(クラレ社製エッチング剤:商品名K−etch
ant)処理、リン酸処理後SnF2水溶液で処理した
象牙質に就いても同様に試験した。なお、上記試験及び
後述する試験は総べて23±2℃の室温下で実施した。
【0020】各条件で7個の試料を作成し測定し、接着
強さはその上位5個の測定値の平均で表示した。( )
内の数値は標準偏差である。以下、後述する試験も同様
に表示する。Clearfil Photo Bond
の象牙質に対する接着強さに及ぼすプライマーの濃度に
よる処理効果(37℃蒸留水中24時間浸漬後の接着強
さ)を表1に示す。実施例に見られるように、PYAの
みでは比較例1の未処理に比較すると高い接着強さは得
られるが、さほど効果が認められい。しかし、SnF2
を併用すると接着強さは向上した。特に、PYAだけで
は効果の低い3〜20%の濃度範囲で、SnF2処理を
併用することによりメーカーの推奨する40%リン酸処
理に匹敵する高い初期接着強さが得られた。また、実施
例3に示すようにリン酸とSnF2との組合わせでは、
この効果は現われない。やはり、PYAというキレート
化剤との組合わせで、効果を発揮することが判る。それ
は、特に3%という低い濃度でも、SnF2を併用する
ことにより高い初期接着力が得られることからも明らか
である。
【0021】
【表1】
【0022】実施例17〜20及び比較例4,5 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、
商品名Photo Bond(クラレ社製品でコンポジ
ットレジンのボンディング剤)の歯牙エナメル質に対す
る接着性を評価した。試験法は、被着面として牛歯エナ
メル質を用い、プライマーのA液のPYAの濃度を象牙
質で特に効果の認められた5,7%に限定した以外、実
施例1〜16と全く同じである。エナメル質は、通常酸
エッチングをすることが推奨されているので、比較例と
して、40%リン酸処理及びリン酸処理後、SnF2
溶液で処理したエナメル質も同様に試験した。Clea
rfil Photo Bondのエナメル質に対する
接着強さに及ぼすプライマーの処理効果(37℃蒸留水
中24時間浸漬後の接着強さ)を表2に示す。実施例1
7〜20に示したように、エナメル質でもPYA処理の
みでは効果は低く、比較例4に示したリン酸処理と同程
度の接着強さであった。これは、恐らく前述したスメア
ー層の除去効果のみの結果であろう。しかし、SnF2
処理を併用した場合は、比較例4のメーカーが推奨する
リン酸処理よりも高い接着強さが得られた。明らかにS
nF2処理の効果が認められ、本プライマーにより初期
接着強さも向上することが明らかとなった。
【0023】
【表2】
【0024】実施例21,22及び比較例6 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、
商品名Photo Bond(クラレ社製品でコンポジ
ットレジンのボンディング剤)の歯牙象牙質に対する接
着耐久性をサーマルサイクル試験により評価した。接着
試料の作製法は、プライマーのA液のPYAの濃度を
5,7%に限定した以外、実施例1〜16と全く同じで
ある。ここでは、実施例としてSnF2処理を併用した
場合のみを行なった。また比較例としてメーカーの推奨
する40%リン酸処理した象牙質に対して同様に試験し
た。サーマルサイクル試験は、試料を4℃冷水と60℃
の温水中に交互に1分間宛浸漬し、接着界面に熱ストレ
スを負荷する試験であり、試験器は一般に歯科領域で使
用されるものを用いた。接着後、37℃水中に24時間
浸漬後を0回とし、更に、500,1000回サーマル
サイクルを負荷した後、圧縮剪断接着強さを測定した。
Clearfil Photo Bondの象牙質に対
する接着耐久性に及ぼすプライマーの処理効果を表3に
示す。実施例21,22に示したように、本プライマー
で処理した場合、サーマルサイクル1000回後もほぼ
初期接着強さを維持していた。一方、比較例6で示した
ように、リン酸で処理した場合、サーマルサイクル50
0回で初期接着強さの約60%に低下し、1000回で
は半減して了った。本プライマー処理が接着耐久性に優
れた効果を示した。
【0025】
【表3】
【0026】実施例23,24及び比較例7 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、
商品名Photo Bond(クラレ社製品でコンポジ
ットレジンのボンディング剤)の歯牙エナメル質に対す
る接着耐久性をサーマルサイクル試験により評価した。
被着体として牛歯エナメル質を用いた以外は、試験法は
実施例21,22と全く同じである。但し、サーマルサ
イクル試験の回数を3000回迄延長した。Clear
fil Photo Bondのエナメル質に対する接
着耐久性に及ぼすプライマーの処理効果を表4に示す。
実施例23,24に示したように、本プライマーで処理
した場合、サーマルサイクル3000回後も高い初期接
着強さを維持していた。一方、比較例7で示したように
リン酸処理では、サーマルサイクル500回から低下傾
向を示し、3000回後では初期接着強さの約70%程
度になって了った。本プライマー処理は、エナメル質に
対して初期接着強さを向上させると共にその接着耐久性
にも優れた効果を示した。
【0027】
【表4】
【0028】実施例25〜39及び比較例8 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物として表5に示した各種金属塩化物を使用し
て、商品名Photo Bond(クラレ社製品でコン
ポジットレジンのボンディング剤)の歯牙象牙質に対す
る接着性を評価した。PYAの水溶液の濃度は7%と
し、金属塩化物の水溶液の濃度は3%とした以外、接着
試料の作製法、試験法は実施例1〜16と全く同じであ
る。フィチン酸と組み合わせた場合の各種金属イオンの
処理効果(37℃蒸留水中24時間浸漬後の接着強さ)
を表5に示す。参考のため、比較例として実施例3で示
した7%PYA処理のみのデータを引用し、比較例8と
して表に加えた。その7%PYA処理のみに比較して、
実施例の金属塩化物処理を併用した群は、何れも高い初
期接着強さが得られた。特に、塩化コバルト(CoCl
2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化マンガン
(MnCl2)、塩化ニッケル(NiCl2)、塩化亜鉛
(ZnCl2)、塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化
インジウム(InCl3)、塩化バナジウム(VC
3)、塩化イットリビウム(YbCl3)及び塩化タン
タル(TaCl5)は、ほぼ実施例11で示したフッ化
第一錫と同程度の初期接着強さを示したことから、エナ
メル質に対しても実施例20で示したフッ化第一錫と同
じ初期接着性の向上が期待される。
【0029】
【表5】
【0030】実施例40〜49及び比較例9 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物として実施例25〜39で例示した各種金属塩
化物の中で特に効果の認められた10種を使用して、商
品名Photo Bond(クラレ社製品でコンポジッ
トレジンのボンディング剤)の歯牙象牙質に対する接着
耐久性をサーマルサイクル試験により評価した。PYA
の水溶液の濃度は7%とし、金属塩化物の水溶液の濃度
は3%とした以外、接着試料の作製法、試験法は実施例
1〜16と全く同じである。また、比較例として7%P
YA水溶液処理のみの象牙質に対しても同様に試験し
た。試験法は実施例21〜23と全く同じである。但し
サーマルサイクル試験の回数を500回迄とした。フィ
チン酸と組み合わせた場合の各種金属イオンの接着耐久
性に及ぼす処理効果を表6に示す。サーマルサイクル5
00回後で比較すると、比較例9のPYA処理のみで
は、初期接着強さを維持したものの、その接着強さは約
70kgf/cm2と実施例に比較して低かった。ま
た、前述したメーカーが推奨するリン酸処理の場合も5
00回後で初期接着強さの60%程度に低下して了い、
接着強さは約43kgf/cm2と低かった(比較例
6)。これ等に対し、実施例40〜49で示した金属塩
化物処理を併用した場合では、使用した金属塩化物の種
類により程度の差はあるが、ほぼ初期接着強さを維持し
ており、接着強さは最低のもので75kgf/cm2
上と比較例に比較して高い接着強さを維持していた。本
プライマー群の象牙質に対する接着に於ける耐久性への
寄与が明らかとなった。
【0031】
【表6】
【0032】実施例50〜57及び比較例10〜25 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、
市販の6種のグラスアイオノマーセメントの歯牙象牙質
に対する接着性を評価した。試験に供したアイオノマー
セメントは裏層用として、商品名 Vitrabond
(3M社製品で光重合型)と商品名 Fuji Lin
ing LC(株式会社ジーシー製品で光重合型)の2
種、クラウン、インレーなどを合着する際に使用される
合着用として、商品名Fuji Bond(株式会社シ
ージー製品で従来型)と商品名Ketac−Cem M
axicap(ESPE社製品で従来型)の2種、更に
コンポジットレジンと同じ修復(充填)用として、商品
名Fuji Ionomor TypeII LC(株式
会社ジーシー製品で光重合型)と商品名Ketac−F
il Aplicap(ESPE社製品で従来型)の2
種である。これ等のセメントの粉液比、練和時間、光重
合型の場合は照射時間などはメーカー指示に従った。各
材料に対し、実施例として、7%PYA処理後、SnF
2処理を併用した場合、比較例として7%PYA処理の
みを行なった場合に就いて試験した。更に、比較例とし
て、専用の処理剤を付属している製品3種(Ketac
−Cem MaxicapとKetac−Fil Ap
licapにはKetac Conditioner
が、Fuji Ionomer TypeII LCには
Dentin Conditionerが付属してい
る)に対してはその処理を行なった場合、未処理を推奨
している他の3種に就いては、未処理の象牙質に対する
接着強さを測定した。
【0033】被着体の調製法、接着の方法、接着強さの
測定法等は実施例1〜16に準じた。但し、接着に於い
て、上記6種のセメントのうち最初の3種は、歯科に於
けるこれ等の材料の使用法に準じた。即ち、各処理され
た象牙質被着面にセメントを接着した後、商品名Sco
tchbond 2(3M社製のコンポジットレジンの
ボンディング剤)を塗布、商品名GC Light V
L−Iで30秒光照射後、商品名Pyrofil Li
ght Bond−A(三金工業社製コンポジットレジ
ン)を充填し、30秒間光照射して接着試料とした。ま
た、アイオノマーセメントは感水性が強いので、接着後
1時間放置後、仮着したチューブと両面テープを除去し
水中浸漬し、24時間後接着強さを測定した。更に、一
部の製品に対しては、充填用のチューブを付けたまま、
充填面と接着面周囲にFujiバーニッシュ(株式会社
ジーシー製品でアイオノマーセメント用の防水材)を塗
布して防水処置を施して24時間水中浸漬後、チューブ
とテープを除去して、剪断試験に供したものも行なっ
た。
【0034】(7%フィチン酸+SnF2)プライマー
の各種グラスアイオノマーセメントの象牙質に対する接
着性に及ぼす処理効果(37℃蒸留水中24時間浸漬後
の接着強さ)を表7に示す。Vitrabondを除い
た何れのセメントを使用した場合も、実施例の7%PY
A処理とSnF2処理を併用した場合に最高の初期接着
強さを示した。特に、光重合型のFuji Linin
g LCでは140kgf/cm2というアイオノマー
セメントとしては驚異的な高い接着強さが得られた。従
来型のセメントでも、7%PYA処理とSnF2処理併
用群は接着強さは低いものの、その破断面を観察する
と、歯質表面にセメントが残っており、セメント内での
凝集破壊を起こしている試料が多数認められた。光重合
型と従来型の接着強さの差は、セメント自体の強度の差
が可成り影響しているものと推察される。また、充填用
のFuji Ionomor TypeII LCとKe
tac−Fil Aplicapで行なった防水処置を
加えた場合では、本プライマーの処理効果はより鮮明に
なり、高い初期接着強さが得られた。
【0035】
【表7】
【0036】実施例58,59及び比較例26〜31 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、
市販の2種のグラスアイオノマーセメントの歯牙エナメ
ル質に対する接着性を評価した。試験に供したアイオノ
マーセメントは充填用2種、商品名 Fuji Ion
omor TypeII LCと商品名 Ketac−F
il Aplicapである。被着体がエナメル質にな
った以外、被着体の調製法、接着の方法、接着強さの測
定等は実施例50〜57と全く同じである。但し、比較
例として、更に、最近グラスアイオノマーセメントの接
着に効果があると報告された商品名CA−agent
(クラレ社製品でコンポジットレジンの修復の際の処理
剤)で処理した場合も加えた。(7%フィチン酸+Sn
2)プライマーの各種グラスアイオノマーセメントの
エナメル質に対する接着性に及ぼす処理効果(37℃蒸
留水中24時間浸漬後の接着強さ)を表8に示す。何れ
のセメントに於いても、PYA処理とSnF2処理を併
用した実施例が最も高い接着強さを示し、本プライマー
がアイオノマーセメントのエナメル質への接着に於いて
も効果があることが明らかとなった。
【0037】
【表8】
【0038】実施例60及び比較例32 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)を、金属ハロ
ゲン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、
実施例51で高い初期接着強さが得られたグラスアイオ
ノマーセメントFuji Lining LCの歯牙象
牙質に対する接着耐久性をサーマルサイクル試験により
評価した。被着体の調製法、接着の方法、接着強さの測
定法等は実施例50〜57と全く同じである。また、サ
ーマルサイクル試験法は、実施例21〜22に準じ、5
00回行なった。実施例として、7%PYA処理とSn
2処理を併用した場合を、比較例として未処理の場合
を試験した。(7%フィチン酸+SnF2)プライマー
のグラスアイオノマーセメントの象牙質に対する接着耐
久性に及ぼす処理効果を表9に示す。サーマルサイクル
500回後では、比較例の場合、試験した7個の試料中
6個が剪断試験前に既に破断して了っていた。一方、実
施例の場合、500回後も防水処置無しで全ての試料は
接着しており、平均値で113kgf/cm2という高
い接着強さを維持していた。明らかに、本プライマーが
耐久性の向上に寄与していることが窺える。
【0039】
【表9】
【0040】実施例61〜71及び比較例33,34 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)の部分置換塩
および他の各種キレート化剤の部分置換塩を、金属ハロ
ゲン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、
商品名Photo Bond(クラレ社の製品でコンポ
ジットレジンのボンディング剤)の歯牙象牙質に対する
接着性を評価した。PYAの部分置換塩は、PYAの1
0%水溶液に水酸化ナトリウムをPYAの2,4,6倍
モル量添加して調製した。夫々、10%PYA−2N
a,−4Na,−6Naと略記する。また、他のキレー
ト化剤の部分置換塩も同様に調製した。即ち、トリエチ
レンテトラミン六酢酸(TTHA)の10%水溶液に水
酸化ナトリウムを4倍モル添加した10%TTHA−4
Na、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)
の10%水溶液に水酸化ナトリウムを2倍モル添加した
10%DPTA−OH−2Na,trans−1,2−
シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)の9.4
1%水溶液に水酸化ナトリウムを2倍モル添加した9.
41%CyDTA−2Na,エチレンジアミン四酢酸
(EDTA)の8.06%水溶液に水酸化ナトリウムを
2倍モル添加した8.06%EDTA−2Na,ヒドロ
キシエチルエチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)
の7.70%水溶液に水酸化ナトリウムを2倍モル添加
した7.70%EDTA−OH−2Na,ジエチレント
リアミン五酢酸(DTPA)の10.6%水溶液に水酸
化ナトリウムを2倍モル添加した10.6%DTPA−
2Na,エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホ
ン酸)(EDTPO)の11.6%水溶液に2倍モルの
水酸化ナトリウムを添加した11.6%EDTPO−2
Na及びニトリロ三酢酸(NTA)の5.42%水溶液
に水酸化ナトリウムを2倍モル添加した5.42%NT
A−2Naである。CyDTA〜NTAは0.3M水溶
液とモル濃度に統一したため、重量%では数値が半端と
なって了った。
【0041】被着体の調製法、接着の方法、接着強さの
測定法等は実施例9〜16と全く同じである。但し、キ
レート化剤の処理時間は一部のものは60秒間処理した
場合も行なった。
【0042】
【表10】
【0043】SnF2と組み合わせた場合の各種キレー
ト化剤の象牙質に対する接着における処理効果(37℃
蒸留水中24時間浸漬後の接着強さ)を表10に示す。
比較例33,34は、参考のため、比較例1,2のデー
タを引用した。実施例61〜63に示したように、PY
Aは部分的に水酸化ナトリウムで中和しても、接着強さ
は比較例34の40%リン酸処理に匹敵する高い値が得
られた。このことは、後述するエナメル質に対する処理
効果と共に、歯科で要望されている歯質にダメージを与
えない処理剤が実現したことを意味する。また、現在象
牙質の酸処理は必要悪とされており、市販の多くの材料
では、エナメル質と象牙質を別々の処理剤で処理するよ
うになっているが、PYA及びPYAの部分置換塩とS
nF2を組み合わせたプライマーではエナメル質と象牙
質を同時に処理出来る処理剤としても有望である。実施
例64〜71に示した他のキレート化剤の部分置換塩の
場合も、処理時間は考慮しなければならないがほぼ比較
例34と同等以上の接着強さを示している。特に、10
%TTHA−4Naの60秒処理、10%DPTA−O
H−2Naの60秒処理、8.06%EDTA−2Na
の60秒間処理、7.70%EDTA−OH−2Naの
30秒処理等は、メーカーが推奨している比較例34の
40%リン酸処理よりも高い接着強さが得られた。ま
た、これ等の処理剤で処理された面を観察すると、研磨
の際に生じた条痕が残っており、PYAと同様、象牙質
に対してダメージの少ない処理剤としても有望である。
【0044】実施例72〜82及び比較例35 キレート化剤としてフィチン酸(PYA)の部分置換塩
及び他の各種キレート化剤の部分置換塩を、金属ハロゲ
ン化物としてフッ化第一錫(SnF2)を使用して、商
品名Photo Bond(クラレ社の製品でコンポジ
ットレジンのボンディング剤)の歯牙エナメル質に対す
る接着性を評価した。使用したキレート化剤の部分置換
塩は、実施例61〜71と全く同じである。被着体の調
製法、接着の方法、接着強さの測定法等は実施例9〜1
6と全く同じである。但し、キレート化剤の処理時間は
一部のものは60秒間処理した場合も行なった。
【0045】
【表11】
【0046】SnF2と組み合わせた場合の各種キレー
ト化剤のエナメル質に対する接着に於ける処理効果(3
7℃蒸留水中24時間浸漬後の接着強さ)を表11に示
す。参考のため、比較例35として、メーカーの推奨す
る40%リン酸処理(比較例4)のデータを引用した。
実施例72〜74に示したように、PYAの部分置換塩
で処理した場合、比較例と同等以上の接着強さが得られ
た。また、実施例75,77,78,79に示した10
%TTHA−4Na 60秒処理、9.41%CyDT
A−2Na 30秒処理、8.06%EDTA−2Na
30秒処理及び7.70%EDTA−OH−2Na
30秒処理も比較例35と同等以上の接着強さを示し
た。これ等の処理剤は、前述したように象牙質に対して
も未処理に比較して効果が認められることから、エナメ
ル質、象牙質同時処理可能なマイルドな処理剤として有
望である。また、エナメル質に対しては効果がはっきり
しなかった10%DPTA−OH−2Na(実施例7
6)、10.6%DTPA−2Na(実施例80)、1
1.6%EDTPO−2Na(実施例81)及び5.4
2%NTA−2Na(実施例82)などは、象牙質専用
処理剤として有効である。更に理論的には、これ等の濃
度、Naの置換度及び組み合わせる金属ハロゲン化物を
変えて行くことによりエナメル質にも有効な処理剤が生
まれる可能性はある。
【0047】
【発明の効果】歯牙硬組織に対して現在一般に使用され
ている歯科用接着剤を使用して、より高い初期接着力と
該接着性が長期間維持し得る耐久性を発揮し得る歯牙硬
組織に対してダメージの少ないプライマー組成物を開発
したのである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A液 歯質のCaとB液に含有される金属イオンとも安定なキ
    レートを形成し得るキレート化剤及び/またはその部分
    置換塩の1〜20重量%の水溶液と B液 A液のキレート化剤またはその部分置換塩と反応して安
    定なキレートを形成し得る金属のハロゲン化物の0.0
    5〜5重量%の水溶液 から成るプライマー組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の2成分を混合して1液と
    したプライマー組成物。
  3. 【請求項3】 有機溶媒及び/または棚寿命安定剤を更
    に含有する請求項1または請求項2に記載のプライマー
    組成物。
  4. 【請求項4】 増粘材として、シリカ,アルミナ等不活
    性フィラーを更に含有する請求項1ないし請求項3中の
    いずれか1項に記載のプライマー組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009536154A (ja) * 2006-04-12 2009-10-08 セントリックス、インコーポレーテッド 流動抵抗性を有する歯科用液状除痛製剤

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