JPH06107919A - 難燃性ポリエステルエラストマー組成物およびそれからの成形品 - Google Patents

難燃性ポリエステルエラストマー組成物およびそれからの成形品

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JPH06107919A
JPH06107919A JP4277650A JP27765092A JPH06107919A JP H06107919 A JPH06107919 A JP H06107919A JP 4277650 A JP4277650 A JP 4277650A JP 27765092 A JP27765092 A JP 27765092A JP H06107919 A JPH06107919 A JP H06107919A
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halogen
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宏 早味
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 製品表面に組成物構成成分のブリードの問題
のない耐熱性に優れた難燃性ポリエステルエラストマー
組成物およびそれからの成形品。 【構成】 ポリエステルエラストマーにポリブロモ
ジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤とカルボジ
イミド誘導体を含ませた耐熱難燃性ポリエステルエラス
トマー組成物。 該組成物が所定の形状に成形され、
電離放射線を照射したチューブ。 該組成物が所定の
形状に成形され、電離放射線を照射して後、径方向に広
径固定した熱収縮チューブ。 単芯又は複数本の絶縁
電線の多芯撚り絶縁電線の外周に、該組成物を被覆し、
電離放射線を照射してなる絶縁ケーブル。 ポリブロ
モジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤として、
臭化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭素化フェ
ニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェノール誘
導体、パークロロペンタシクロデカンを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製品表面に組成物構成
成分のブリードの問題のない耐熱性に優れた難燃性ポリ
エステルエラストマー組成物およびそれからの成形品、
特にチューブ、熱収縮チューブ、絶縁ケーブルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルエラストマーは、引張、衝
撃、圧縮等の機械的強度に優れ、また、耐熱性や耐油性
等に優れた材料であることから、自動車に用いられる油
圧ホース、ジョイントブーツ、空気バネ、ハーネス保護
用チューブなどの材料として、あるいは熱収縮ーブなど
電子機器の各種の電子部品の構成材料や絶縁ケーブルの
外被材料として実用されている。
【0003】ポリエステルエラストマーは代表的には結
晶性(ハード)セグメントと非晶性(ソフト)セグメン
トからなるブロック共重合体であって、結晶性セグメン
トはポリブチレンテレフタレートであるものが多く、非
晶性セグメントにポリエーテルを使用したいわゆるポリ
エーテルタイプと脂肪族ポリエステルを用いたいわゆる
ポリエステルタイプの2つの種類がある。
【0004】ポリエステルエラストマーは、ポリブチレ
ンテレフタレート樹脂の場合と同様にエチレングリコー
ルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性モ
ノマーを配合して成形し、加速電子線等の電離放射線照
射を施して架橋すれば、融点以上に加熱されても溶融変
形することのない、耐熱性ポリエステルエラストマー成
形品を得ることもできる。
【0005】ところが、ポリエステルエラストマーはそ
れ自身は難燃性ではないために、難燃性が要求される用
途においては、必要に応じて難燃剤が配合されて使用さ
れる。ポリエステルエラストマーの難燃化には、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂等の難燃化の場合と同じく、
ポリブロモジフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤と三
酸化アンチモン等の難燃助剤を併用配合して難燃化する
ことが一般的であり、なかでもデカブロモジフェニルエ
ーテルは添加部数と組成物の難燃性向上効果の観点から
最も多用されている難燃剤である。
【0006】例えば、ショアD硬度40のポリエーテル
タイプのポリエステルエラストマーの限界酸素指数は約
19であるが、例えばポリエステルエラストマー100
重量部に対し、テカブロモジフェニルエーテル20重量
部と三酸化アンチモン10部を配合すると、限界酸素指
数をおよそ26に高めることができて、自動車のハーネ
ス保護用チューブなど水平難燃性が要求される用途にも
適用し得る難燃性のポリエステルエラストマー組成物を
得ることができる。
【0007】ところが、デカブロモフェニルエーテル等
のポリブロモジフェニルエーテルを配合したポリエステ
ルエラストマー組成物やその成型品は長時間放置してお
くと、ポリブロモジフェニルエーテルが製品表面にブリ
ードする問題があり、特に黒色製品の場合、難燃剤のブ
リードによって白化(白粉化)して製品の外観を著しく
損ねる問題があった。
【0008】これに対し、ポリブロモジフェニルエーテ
ル以外の難燃剤、例えば、臭素化エチレンビスフタルイ
ミド誘導体やビス臭素化フェニルテレフタルアミド、臭
素化ビスフェノール誘導体などの有機系の臭素含有難燃
剤、パークロロペンタシクロデカン等の塩素含有難燃剤
を使用してポリエステルエラストマーを難燃化する方法
も知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これらの難燃剤はポリ
ブロモジフェニルエーテルに比べ、製品表面へのブリー
ドが少ないという利点がある半面、ポリエステルエラス
トマーの耐熱老化性を低下させ、しかも、ポリブロモジ
フェニルエーテルに比べ、同一配合部数での難燃化効果
が小さいために多量に配合する必要があり、組成物の耐
熱老化性をさらに低下させる問題があった。
【0010】
【課題を解決する手段】本発明者はかかる問題について
鋭意検討した結果、ポリエステルエラストマーの難燃剤
として、ポリブロモジフェニルエーテル以外のハロゲン
系難燃剤、例えば、臭素化エチレンビスフタルイミド誘
導体、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭
素化ビスフェノール誘導体、他の有機系の臭素含有難燃
剤やパークロロペンタシクロデカン等の塩素含有難燃剤
を使用して難燃化した場合においても、カルボジイミド
誘導体を配合すれば耐熱老化性が低下する問題を解決で
きることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成
させるに至った。
【0011】すなわち、本発明は: ポリエステルエラストマーにポリブロモジフェニル
エーテル以外のハロゲン系難燃剤とカルボジイミド誘導
体を含ませてなる耐熱難燃性ポリエステルエラストマー
組成物に関するものである。また、 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハロゲン系難
燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭
素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェ
ノール誘導体、パークロロペンタシクロデカンからなる
群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物である点に
特徴を有する。さらに、
【0012】 ポリエステルエラストマーにポリブロ
モジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤とカルボ
ジイミド誘導体を含ませてなる耐熱難燃性ポリエステル
エラストマー組成物をチューブ状に成形し、電離放射線
を照射してなる耐熱難燃性ポリエステルエラストマーチ
ューブに関するものである。また、 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハロゲン系難
燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭
素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェ
ノール誘導体、パークロロペンタシクロデカンからなる
群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物である耐熱
難燃性ポリエステルエラストマーチューブにも特徴があ
る。更に、
【0013】 ポリエステルエラストマーにポリブロ
モジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤とカルボ
ジイミド誘導体を含ませてなる耐熱難燃性ポリエステル
エラストマー組成物をチューブ状に成形し、電離放射線
を照射した後、径方向に広径固定してなる耐熱難燃性ポ
リエステルエラストマー熱収縮チューブに関するもので
ある。また、 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハロゲン系難
燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭
素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェ
ノール誘導体、パークロロペンタシクロデカンからなる
群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物である耐熱
難燃性ポリエステルエラストマー熱収縮チューブに特徴
を有する。さらに、
【0014】 単芯もしくは複数本の絶縁電線の多芯
撚り絶縁電線の外周に、ポリエステルエラストマーにポ
リブロモジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤と
カルボジイミド誘導体を含ませてなる耐熱難燃性ポリエ
ステルエラストマー組成物を被覆してなり、該被覆層が
電離放射線を照射されている耐熱難燃性ポリエステルエ
ラストマー絶縁ケーブルに関するものである。また、 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハロゲン系難
燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭
素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェ
ノール誘導体、パークロロペンタシクロデカンからなる
群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物である耐熱
難燃性ポリエステルエラストマー絶縁ケーブルに特徴を
有する。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いるカルボジイミド誘導体とは、分子内にカルボジイ
ミド結合を有する化合物であり、その例としては、一般
式〔1〕〜〔2〕で示されるものを挙げることができ
る。例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェ
ニルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミドのよう
な化合物や一般式〔2〕で示されるポリカルボジイミド
化合物(カルボジイミド結合を繰返単位として有する重
合体)を挙げることができる。
【0016】
【化1】 R1 −N=C=N−R2 〔1〕 (ここに、R1 ,R2 はアルキル基、シクロアルキル基
又はフェニル又はベンジル基などの芳香族炭化水素基を
表わし、R1 ,R2 は同一であっても異種であっても良
い。)
【0017】
【化2】 −(R−N=C=N−)n 〔2〕 (ここに、Rはアルキル基、シクロアルキル基、又はフ
ェニル又はベンジル基などの芳香族炭化水素を表わ
す。)
【0018】本発明に使用するポリエステルエラストマ
ーとは、一般的には、結晶性(ハード)セグメントAと
非晶性(ソフト)セグメントBからなる(AB)n 型の
マルチブロック共重合体の構造を呈し、構造的に結晶性
セグメントはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレートなどのポリエステルであり、非晶性セ
グメントは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール等のポリエーテルタイプと脂肪族ポリエステ
ルなどのポリエステルタイプの2種類が挙げられる。
【0019】ポリエステルエラストマーを製造するに
は、一般に、所望のエラストマー性を附与するように、
上記結晶性セグメントと非晶性セグメントとを所望の割
合でマルチブロック共重合化できればよく、通常芳香族
ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および(又は)、脂
環族ジカルボン酸などのジカルボン酸又はその低級アル
キルエステル成分(イ)とエチレングリコール、プロピ
ングリコールなどの低分子量グリコール(ロ)および
(又は)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプ
ロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコ
ール(ハ)とを、上記のような結晶性セグメントと非晶
性セグメントからなるポリエステルエラストマーを形成
できる組合せで、常法に従って(エステル交換法、エス
テル化法、重縮合法など)重縮合触媒の存在下で処理す
ることによりポリエステルエラストマーを得ることがで
きる。
【0020】本発明に用いるハロゲン系難燃剤として
は、臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭素
化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェノ
ール誘導体、パークロロペンタシクロデカン等の有機系
臭素或いは塩素含有難燃剤が使用可能である。
【0021】本発明のポリエステルエラストマー組成物
を構成する各成分比はとくに制限されないが、難燃作用
と抗ブリード作用のバランス上、ポリエステルエラスト
マー100重量部当り、ハロゲン系難燃剤10〜40重
量部、好ましくは15〜35重量部とカルボジイミド誘
導体0.5〜5重量部、好ましくは1〜2重量部が望ま
しい。
【0022】上記の場合、ハロゲン系難燃剤が10重量
部未満ではポリエステルエラストマーに所期の難燃効果
を与えることができず、また40重量部を超えた場合に
は、所定量のカルボジイミド誘導体を配合してもポリエ
ステルエラストマーの耐熱老化性の低下を抑えることが
不充分となる。
【0023】また、カルボジイミド誘導体の配合量が
0.5重量部未満では、ポリエステルエラストマーの耐
熱老化性を抑えることが難しくなるし、5重量部を超え
て配合しても、その効果が変らない。
【0024】本発明のポリエステルエラストマー組成物
には、任意の添加剤、例えば三酸化アンチモンなどの難
燃助剤、多官能性モノマーや、アミン系やヒンダードフ
ェノール系安定剤などの酸化防止剤、ベンゾフェノン系
化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やヒンダードアミ
ン系化合物などの光安定剤、加工助剤、顔料、充填剤な
どを配合することができる。
【0025】これらの添加剤ならびに本発明に係る特定
のハロゲン系難燃剤とカルボジイミド誘導体とは、ポリ
エステルエラストマーの製造後であって、予めポリエス
テルエラストマーに混練等の手段により配合させてペレ
ットなどの成形粉に加工して後、各種成形手段によりポ
リエステルエラストマー成形品にする。
【0026】具体的には、本発明のポリエステルエラス
トマー組成物は、公知成形手段例えば押出被覆、押出成
形、射出成形、プレス成形などの手段により各種成形
品、例えばチューブ、熱収縮チューブ、絶縁ケーブルな
どにする。本発明の場合、得られたポリエステルエラス
トマー成形品は、耐熱性、耐薬品性などを向上させるた
めに、その後公知の電離性放射線(電子線など)の照射
により架橋して、架橋成形品にする。この場合、架橋促
進剤として多官能性モノマーを好適には予かじめ添加す
るとよい。
【0027】また、本発明の成形品の場合、特に以下の
ような成形手段などにより各種成形品にすることができ
る。すなわち、本発明の耐熱難燃性ポリエステルエラス
トマー組成物を押出成形によりチューブとすることがで
きる。
【0028】また、該チューブを例えば電離性放射線を
照射することにより架橋後、加熱条件下で成形品の内部
に圧縮空気を送り込む等の方法により拡径して冷却固定
する方法で、熱収縮チューブとすることもできる。
【0029】また、銅などの導体からなる単芯或いは複
数本の絶縁電線の多芯撚り絶縁電線の外周に、本発明の
耐熱難燃性ポリエステルエラストマー組成物を押出被覆
などの成形手段により被覆し、更に電離性放射線を照射
し架橋して、絶縁ケーブルとすることもできる。
【0030】使用する多官能性モノマーとしては、ジエ
チレングリコール等のジアクリレート系、エチレングリ
コールメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタ
クリレート等のジメタクリレート系、トリメチロールエ
タントリアクリレート、トリメチロールプロパントリア
クリレート等のトリアクリレート系、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリ
メタクリレート等のトリメタクリレート系、トリアリル
シアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリル
シアヌレート、ジアリルフタレートなどが挙げられる。
【0031】本発明のポリエステルエラストマー組成物
および成形品の用途としては、該ポリエステルエラスト
マー組成物が引張、衝撃、圧縮等の機械的強度に優れ、
また、耐熱性や耐油性等に優れる上、耐熱老化性、耐ブ
リード性も良好な材料であることから、自動車に用いら
れる油圧ホース、ジョイントブーツ、空気バネ、ハーネ
ス保護用チューブなどの材料として、あるいは熱収縮チ
ューブなどの電子機器の各種の電子部品の構成材料や絶
縁ケーブルの外被材料として実用されている。
【0032】
【作用】前述のように、例えば、ショアD硬度40のポ
リエーテルタイプのポリエステルエラストマー100重
量部に対し、テカブロモジフェニルエーテル20重量部
と三酸化アンチモン10部を配合すると、限界酸素指数
が約26の難燃性ポリエステルエラストマー組成物を得
ることができる。
【0033】この組成物をプレス装置等を使用して厚み
1mmのシート状に成形し、加速電圧が1MeVの電子
線を100kGy照射して架橋し、ダンベルに打ち抜い
て158℃に設定したギアオーブン中で168時間熱老
化させ、熱老化前後のダンベル試料の抗張力と伸びを比
較した結果、熱老化前は抗張力が1.9kg/mm2
伸びが650%となる。
【0034】これに対し、この組成物は熱老化後には、
抗張力が1.4kg/mm2 、伸びが574%であり、
かつ熱老化後の抗張力や伸びの初期値に対する保持率が
70%以上であり、良好な耐熱老化性を示す。
【0035】しかし、この組成物に難燃剤として後記構
造式2の臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体を使用
した場合には、限界酸素指数を約26にするためには、
同一のポリエステルエラストマー100重量部に対し、
難燃剤を30重量部と三酸化アンチモンを10重量部配
合する必要があった。
【0036】この組成物を同様に厚み1mmのシート状
に成形した後、加速電子線の照射により架橋し、158
℃に設定したギアオーブン中で168時間熱老化させ、
熱老化前後のダンベル試料の抗張力と伸びを比較した結
果、熱老化前は抗張力が1.8kg/mm2 、伸びが6
71%とデカブロモジフェニルエーテルを難燃剤として
使用した場合と同等の結果が得られたのに対し、熱老化
後は0.7kg/mm2 、伸びが483%と特に抗張力
の低下が大きく、耐熱老化性は不十分であることが分っ
た。
【0037】ところが、上記の臭素化エチレンビスフタ
ルイミド誘導体を30重量部配合した組成物であって
も、ポリエステルエラストマー100重量部に対して、
ジシクロヘキシルカルボジイミド0.5重量部を配合し
た本発明に係る組成物について、同様な熱老化試験を行
なったところ、熱老化前の抗張力が1.8kg/m
2、伸びが644%であり、熱老化後は1.3kg/
mm2 、伸びが623%であり、デカブロモジフェニル
エーテルを難燃剤として使用した組成物と同等の耐熱老
化性を示すことが分った。
【0038】また、同じくハロゲン系難燃剤であって
も、デカブロモジフェニルエーテルを20重量部配合し
て難燃化した組成物の場合には、ポリエステルエラスト
マー100重量部に対し、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミドを1重量部配合しても、熱老化後の特性は抗張力が
1.4kg/mm2 、伸びが558%とカルボジイミド
化合物を配合しても耐熱老化性は殆ど変わりがなかっ
た。
【0039】本発明で使用するカルボジイミド化合物
は、ポリエステルエラストマーの加水分解反応を抑制す
る効果のある化合物として知られている。よって、特定
のハロゲン系難燃剤を配合することによって難燃化した
ポリエステルエラストマーにカルボジイミド化合物を配
合した組成物あるいはそれからの成形品は耐水性や耐熱
水性が向上することはある程予想されることである。
【0040】しかし、上記の158℃で168時間の熱
老化試験は、ギヤオーブン中で行なう、いわば絶乾条件
での熱老化試験である。また、難燃剤がデカブロモジフ
ェニルエーテルである組成物の場合は、カルボジイミド
化合物の配合の有無による耐熱老化特性に差がないこと
などを考慮すると、耐熱老化性に対する水分の影響は考
えにくく、また、カルボジイミド化合物がデカブロモジ
フェニルエーテル以外のハロゲン難燃剤を使用した難燃
性ポリエステルエラストマー組成物系において、とくに
何らかの好ましい作用を奏しているものと考えられる。
【0041】
【実施例】本発明を下記の実施例により説明するが、こ
れらは本発明の範囲を制限するものではない。 (実施例1〜6及び比較例1〜11)下記表1〜3に記
載した配合組成に従い、各材料を140℃に設定した8
インチのオーブンロールミキサーで混練した後、混練物
を150℃に設定したプレス装置を用いて、厚み1mm
および2mmのシート状に成形した。
【0042】なお、表1〜3に記載した配合組成以外に
三酸化アンチモン10重量部、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート2重量部、カーボンブラック1重量
部を共通に配合した。次に、シート状成形物に加速電圧
が1MeVの電子線を100kGy照射して架橋させ
た。
【0043】試料の特性評価は、厚み1mmのシート状
成形物をJIS3号のダンベルに打ち抜き、引張試験と
158℃に設定したギヤオーブンで168時間熱老化後
の引張試験を各n=3で行なった。
【0044】また、配合物のブリード試験は、同じく厚
み1mmのシートを室温で6か月放置し、シート表面の
ブリード物の有無を観察する方法により行なった。難燃
性については、厚み2mmのシート状成形物の限界酸素
指数を測定することにより評価した。ここでいう酸素限
界指数とはシート状成形物を酸素と窒素の混合気体中で
燃焼させた時、燃焼を持続させるに必要な最低の酸素濃
度を言う。
【0045】
【表1】
【0046】*1;ポリエーテルタイプポリエステルエ
ラストマー(ショアD硬度32,融点132℃、メルト
フローレート20) *2;構造式1の化合物 *3;構造式2の化合物 *4;酸化防止剤 Uniroyal Chem.製
商品名(フェノール系) *5;酸化防止剤 川口化学製 商品名(アミン系)
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】実施例1〜6のように臭素化エチレンビス
フタルアミド誘導体、ビス臭素化フェニルテレフタルア
ミド誘導体、パークロロペンタシクロデカンを難燃剤と
して使用し、カルボジイミド化合物を配合した耐熱・難
燃性ポリエステルエラストマー組成物は、配合物のブリ
ードの問題がなく、しかも158℃のギヤオーブン中で
168時間熱老化した後の試料でも抗張力、伸びともに
初期値のおよそ70%以上を示し、耐熱老化性も優れて
いることが分かる。
【0050】これに対し、比較例1のデカブロモジフェ
ニルエーテルを難燃剤として使用したポリエステルエラ
ストマー組成物は配合物のブリードの問題があることが
分かる。また、比較例2は比較例1にカルボジイミド化
合物を配合した組成物であるが、耐熱老化性はカルボジ
イミド化合物を配合しない比較例1と変わりがない。
【0051】一方、比較例3〜7のように、臭素化エチ
レンビスフタルアミド誘導体、ビス臭素化フェニルテレ
フタルアミド誘導体、パークロロペンタシクロデカンを
難燃剤として使用し、分子内にカルボジイミド化合物を
配合しないポリエステルエラストマー組成物は、配合物
のブリードの問題はないものの、熱老化後の抗張力の低
下が大きく、耐熱老化性に劣っている。とくに、比較例
4,6のように難燃剤の配合部数を20重量部にしたも
のでも熱老化後の特性が低下しており、限界酸素指数が
25に達していない。
【0052】比較例8は比較例3の酸化防止剤の配合量
を2倍にしたものであるが、熱老化後の特性は大きくは
改善されず、逆に限界酸素指数が24と低下している。
比較例9は比較例3の酸化防止剤の種類を変えたもので
あるが、熱老化後の特性の改善は見られない。
【0053】比較例10は比較例9の酸化防止剤の配合
量を2倍にしたものであるが、熱老化後の特性は大きく
は改善されず、逆に限界酸素指数が24と低下してい
る。比較例11は比較例5の酸化防止剤の種類を変えた
ものであるが、熱老化後の特性の改善は見られない。
【0054】(実施例7〜8及び比較例11〜13)次
に、実施例1,2および比較例1,3,4の5種類のポ
リエステルエラストマー組成物をペレット化し、50m
mφの単軸溶融押出機(L/D=22)を使用して押出
温度160℃に設定し、内径6.4mmφ、肉厚0.5
mmのチューブ状成形物を作製した。
【0055】これらのチューブ状成形物に加速電圧が1
MeVの電子線を100kGy照射して架橋させた。チ
ューブの初期の抗張力と伸び、及び158℃に設定した
ギヤオーブン中で168時間熱老化させたチューブの抗
張力と伸びをそれぞれn=3で測定した。
【0056】チューブの難燃性については、難燃ポリエ
チレン電線〔導体:0.18mmφの錫メッキ軟銅線2
0本撚り、絶縁外径2.0mmφ;イラックスB電線
(住友電気工業(株)製 商品名)〕を7本束ね、上記
のポリエステルエラストマーのチューブを被せ、JAS
O規格D608に準拠した水平燃焼試験をn=5で行な
い評価した。
【0057】チューブの耐熱性については、さらに25
0℃に加熱した半田ごてを荷重500gで30秒間チュ
ーブに接触させて溶融変形性を調べ、大きな熱変形のな
いものを合格とした。また、チューブ表面への配合物の
ブリードの有無に関しては、チューブを室温で6か月放
置し、チューブ表面を観察する方法で行なった。それら
の結果を表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】実施例7,8のように、それぞれ下記構造
式1の臭素化エチレンビスフタルアミド誘導体、下記構
造式2のビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体を
難燃剤として使用し、分子内にカルボジイミド結合を有
する化合物を配合した難燃性ポリエステルエラストマー
組成物を用いたチューブ状成形物は、水平燃焼試験に合
格し、熱老化後の試料も良好な特性を示している。 構造式1 (臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体)
【0058】
【化3】 構造式2 (ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導
体)
【0059】
【化4】
【0060】これに対し、比較例12のデカブロモジフ
ェニルエーテルを難燃剤として使用したチューブ状成形
物は水平燃焼試験や耐熱老化性は優れているが、室温放
置によって配合物のブリードが発生し、好ましくない。
【0061】比較例13は難燃剤として臭素化エチレン
ビスフタルアミド誘導体を30重量部配合し、カルボジ
イミド化合物を配合しない組成物を使用したものである
が、水平燃焼試験には合格しても熱老化後の抗張力の低
下が大きく、耐熱老化性が劣っている。 (比較例14)
【0062】比較例14は難燃剤として臭素化エチレン
ビスフタルアミド誘導体を20重量部配合し、カルボジ
イミド化合物を配合しない組成物を使用したものである
が、水平燃焼試験において不合格となる試料があり、熱
老化後の抗張力の低下も大きい。
【0063】(実施例9〜10)次に、難燃ポリエチレ
ン電線〔導体2:0.18mmΦの錫メッキ軟銅線20
本撚り、絶縁外径2.0Φ:イラックスB電線(住友電
気工業(株)製 商品名)〕を2本撚り合わせた2芯絶
縁電線の外周に、50mmΦの単軸溶融押出機(L/D
=22)を使用して、実施例7、8の耐熱難燃性ポリエ
ステルエラストマー組成物のペレットを押出温度160
℃に設定して外径が6.0mmΦになるように押出被覆
し、加速電圧が1MeVの電子線を100kGy照射し
て、図1に示される構造の耐熱難燃性ポリエステルエラ
ストマーを鞘材4とする絶縁ケーブル1を得た。
【0064】この絶縁ケーブル1は、JASO規格D6
08に準拠した水平燃焼試験をn=5で行なった。ま
た、この絶縁ケーブル1表面への配合物のブリードの有
無に関しては、ケーブルを室温で6ケ月間放置し、鞘材
表面を観察する方法で行なった。これらの結果を鞘材の
熱老化前後の機械的物性と共に下記表5に示した。
【0065】
【表5】
【0066】実施例9、10においてはカルボジイミド
誘導体の例として、ジシクロヘキシルカルボジイミドに
ついて述べたが、その他、ジフェニルカルボジイミド、
ジベンジルカルボジイミドおよび前記一般式〔2〕でR
が下記基で表されるポリカルボジイミド化合物(n=
3、分子量=約1,000)についても同様な結果が得
られた。
【0067】基;
【化5】
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、配合物のブリードの問
題がなく、しかも耐熱老化性にも優れた難燃性ポリエス
テルエラストマー組成物が得られる。また、この組成物
を所定形状に成形後、電離放射線照射すれば、ブリート
の問題がなく、しかも耐熱老化性や耐熱変形性に優れた
難燃性のポリエステルエラストマー成形品、特にチュー
ブ、熱収縮チューブ、絶縁ケーブルが得られ、ポリエス
テルエラストマー利用分野における利用価値は大きいも
のがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例9〜10により製造さ
れた、耐熱難燃性ポリエステルエラストマー組成物を鞘
材とする絶縁ケーブルの横断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1 絶縁ケーブル 2 導体 3 絶縁被覆 4 鞘材
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 3/30 N 9059−5G // H01B 7/34 B 7244−5G

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルエラストマーにポリブロモ
    ジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤とカルボジ
    イミド誘導体を含ませてなることを特徴とする、耐熱難
    燃性ポリエステルエラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハ
    ロゲン系難燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導
    体、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素
    化ビスフェノール誘導体、パークロロペンタシクロデカ
    ンからなる群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物
    であることを特徴とする、請求項1記載の耐熱難燃性ポ
    リエステルエラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステルエラストマーにポリブロモ
    ジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤とカルボジ
    イミド誘導体を含ませてなる耐熱難燃性ポリエステルエ
    ラストマー組成物をチューブ状に成形し、電離放射線を
    照射してなることを特徴とする、耐熱難燃性ポリエステ
    ルエラストマーチューブ。
  4. 【請求項4】 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハ
    ロゲン系難燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導
    体、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素
    化ビスフェノール誘導体、パークロロペンタシクロデカ
    ンからなる群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物
    であることを特徴とする、請求項3記載の耐熱難燃性ポ
    リエステルエラストマーチューブ。
  5. 【請求項5】 ポリエステルエラストマーにポリブロモ
    ジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤とカルボジ
    イミド誘導体を含ませてなる耐熱難燃性ポリエステルエ
    ラストマー組成物をチューブ状に成形し、電離放射線を
    照射した後、径方向に広径固定してなることを特徴とす
    る、耐熱難燃性ポリエステルエラストマー熱収縮チュー
    ブ。
  6. 【請求項6】 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハ
    ロゲン系難燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導
    体、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素
    化ビスフェノール誘導体、パークロロペンタシクロデカ
    ンからなる群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物
    であることを特徴とする、請求項5記載の耐熱難燃性ポ
    リエステルエラストマー熱収縮チューブ。
  7. 【請求項7】 単芯もしくは複数本の絶縁電線の多芯撚
    り絶縁電線の外周に、ポリエステルエラストマーにポリ
    ブロモジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤とカ
    ルボジイミド誘導体を含ませてなる耐熱難燃性ポリエス
    テルエラストマー組成物を被覆してなり、該被覆層が電
    離放射線を照射されていることを特徴とする、耐熱難燃
    性ポリエステルエラストマー絶縁ケーブル。
  8. 【請求項8】 ポリブロモジフェニルエーテル以外のハ
    ロゲン系難燃剤が臭素化エチレンビスフタルイミド誘導
    体、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素
    化ビスフェノール誘導体、パークロロペンタシクロデカ
    ンからなる群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物
    であることを特徴とする、請求項7記載の耐熱難燃性ポ
    リエステルエラストマー絶縁ケーブル。
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