JPH06121687A - バキュロウイルスで発現させたブタのfsh(卵胞刺激ホルモン)及びその製造方法 - Google Patents

バキュロウイルスで発現させたブタのfsh(卵胞刺激ホルモン)及びその製造方法

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JPH06121687A
JPH06121687A JP5071875A JP7187593A JPH06121687A JP H06121687 A JPH06121687 A JP H06121687A JP 5071875 A JP5071875 A JP 5071875A JP 7187593 A JP7187593 A JP 7187593A JP H06121687 A JPH06121687 A JP H06121687A
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JP
Japan
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chain
fsh
baculovirus
recombinant
dimer
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JP5071875A
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Ichiro Sato
佐藤  一郎
Takeshi Ihara
武志 伊原
Yukio Kato
幸雄 加藤
Junichi Mori
純一 森
Susumu Ueda
進 上田
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NIPPON SEIBUTSU KAGAKU KENKYUSHO
Original Assignee
NIPPON SEIBUTSU KAGAKU KENKYUSHO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウシやウマの卵胞発育不全等の繁殖障害の治
療、体外受精等のための多排卵誘起法などに用いられる
下垂体ホルモンのFSHを、LH等の他のタンパクの混
入がないように、組換えタンパクとしてバキュロウイル
スで発現させて得る。 【構成】 FSHα鎖を発現する組換え体バキュロウイ
ルスと、FSHβ鎖を発現する組換え体バキュロウイル
スとを、感受性細胞に重感染させ、その培養上清よりF
SHαβ鎖2量体を回収する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、組換えタンパクとして
バキュロウイルスで発現させたFSH、並びにその製造
方法に関し、特に、他の下垂体ホルモンの夾雑のないF
SH、及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景及び従来の技術】FSH(卵胞刺激ホルモ
ン)は下垂体前葉ホルモンの1つであり、LHとの共同
作用により生殖線の機能の調整を行っており、これら2
つのホルモンは性腺刺激ホルモンと呼ばれている。FS
Hは、α、β2つのサブユニットよりなるタンパク性の
ホルモンであり、それぞれ糖の付加部位を2つ持ってい
る。このうちのαサブユニットはFSH、LH(黄体形
成ホルモン)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、CG
(絨毛性性腺刺激ホルモン)で共通であり、ホルモンの
特性はβサブユニットにより特徴づけられる。
【0003】FSHの代表的な作用は、卵巣においては
卵胞を刺激して卵胞を成長、成熟させることにある。卵
子の成熟、排卵は主にLHの作用による。精巣において
は、FSHは精細管に作用してこれを肥大させそれに伴
って精巣重量を増加させ、精祖細胞と精母細胞の分裂増
殖を進め静止形成にも関与する。
【0004】産業的には、本ホルモンは、その生理活性
を利用してウシやウマの卵胞発育不全などの繁殖障害の
治療、ウシの体外受精や誘起多胎を目的とした多排卵誘
起法に用いられている。これらの目的に使用されている
ホルモンはブタの脳下垂体より調製されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとく、産業目
的に使用されているFSHはブタの下垂体より精製され
ているためFSH以外の下垂体(脳下垂体)ホルモンの
混入を防ぐことは現在のところ非常に困難である。これ
らのうちで、特にLHの混入があると例えば多排卵誘起
法に使用した場合に排卵時期のコントロールが困難とな
り、充分に成熟していない卵子が排卵されたり、受精卵
異色の供卵牛において回収胚の性状が不良であるなどの
問題が生じている。また、基礎研究の面でも純粋なFS
Hが得づらいことは、このホルモンの詳細な生理活性の
研究を困難にしている。
【0006】本発明者らは、これらの問題を解決するた
めに遺伝子工学的にFSHを発現させることを考え、こ
れによって、他のホルモン活性の混入の危険をなくし、
FSH単独の生理活性を安定して利用できるFSHの提
供、あるいは偶蹄類のFSHの製造方法の提供を目的と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような課題を達成す
るために本発明者は、上記特許請求の範囲の各請求項に
記載した本発明を完成した。
【0008】本発明の特徴の一つは、バキュロウイルス
で発現させたブタのFSHα鎖、ブタのFSHβ鎖、並
びにブタのFSHαβ鎖2量体を提供するところにあ
る。
【0009】このようなFSHα鎖の製造は、偶蹄類の
下垂体よりFSHα鎖の遺伝子をクローン化する工程
と、このクローン化したFSHα鎖の遺伝子をバキュロ
ウイルストランスファーベクターに組み込む工程と、野
生型バキュロウイルスと上記トランスファーベクターの
間で組換え体を作る工程と、この組換え体を感受性細胞
に感染させてFSHα鎖を発現させこれを回収する工程
とを含む製造により行なうことができ、同様にFSHβ
鎖の製造は、偶蹄類の下垂体よりFSHβ鎖の遺伝子を
クローン化する工程と、このクローン化したFSHβ鎖
の遺伝子をバキュロウイルストランスファーベクターに
組み込む工程と、野生型バキュロウイルスと上記トラン
スファーベクターの間で組換え体を作る工程と、この組
換え体を感受性細胞に感染させてFSHβ鎖を発現させ
これを回収する工程とを含む方法により行なうことがで
きる。
【0010】また上記FSHα鎖を発現する組換え体バ
キュロウイルスと、FSHβ鎖を発現する組換え体バキ
ュロウイルスとを、感受性細胞に重感染させ、その培養
上清よりFSHαβ鎖2量体を回収することで偶蹄類の
FSHαβ鎖2量体を製造することができる。
【0011】本発明のブタのFSHαβ鎖2量体、又は
偶蹄類のFSHαβ鎖2量体FSHは、これを有効成分
として、動物の繁殖障害の治療剤、動物の多排卵誘起剤
として用いることができ、また抗FSH血清を製造する
ための抗原として用いることができる。
【0012】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいてさらに詳細に
説明する。
【0013】実施例1 FSHα及びβ遺伝子の発現 ブタの下垂体より調製したメッセンジャーRNA(mR
NA)よりλgt11のcDNAライブラリーを作出し
た。このcDNAライブラリーよりラットのpre−α
mRNAと相補的な合成オリゴマーをプローブとしてα
遺伝子に特異的なクローンをスクリーニングした(T.
Hirai et al.,Mol.Cell. En
docrinol.,63,209−217(198
9) )。これらのクローンのうちのα49クローンよ
りEcoRI及びNcoIでFSHαの遺伝子の全長を
切り出し、クレノー(klenow)で末端を平滑化し
た後バキュロウイルスのトランスファーベクターpAc
YM1のSmaIサイトに挿入した(pAcYM1FS
Hα)(図1)。挿入した遺伝子の向きはクローン化し
たDNAをEcoRVとPvuIIで切断して確認し
た。常法に従い(Y.Matsuura et a
l.,J.Gen.Virol.68.1233−12
50(1987))pAcYM1FSHαとバキュロウ
イルスDNAをSF細胞にコ・トランスフェクション
(co−transfection)し、ポリヘドリン
の発現のないプラックをひろいさらにプラッククローニ
ングを2回繰り返してSFHのα鎖を発現する組換えバ
キュロウイルスを得た(AcNPVFSHα)。
【0014】FSHβの遺伝子は、上記cDNAライブ
ラリーより抗ヒトFSHβ抗体をプローブとしてFSH
βに特異的なクローンをスクリーニングした(pUCF
SHβ)(Y.Kato, Mol.cell. En
docrinol.,55,107−112(198
8))。pUCFSHβよりEcoRIでFSHβの遺
伝子全長を切り出し、クレノー(klenow)で末端
を平滑化した後バキュロウイルスのトランスファーベク
ターpAcYM1のSmaIサイトに挿入した(pAc
YM1FSHβ)(図2)。挿入した遺伝子の向きはク
ローン化したDNAをSmaIとEcoRVで切断して
確認した。pAcNPVFSHβよりαクローンと同様
にして組換えバキュロウイルスを得た(AcNPVFS
Hβ)。
【0015】実施例2 組換えバキュロウイルスで発現されたα鎖、β鎖の抗原
性の確認 組換えバキュロウイルスを約10PFU/cellでS
F細胞に感染させ、この感染SF細胞を感染3日目に回
収し、その105個の細胞を電気泳動しウエスタンブロ
ッティング(WB)法により抗体との反応性を調べた。
AcNPVFSHα感染細胞中には、ブタ共通α鎖に特
異的な合成ペプチドに対する抗体と反応する2本のバン
ドが認められた(図3)。このことより組換えα鎖は、
ブタ共通α鎖と少なくとも一部分同じ抗原性を持ってい
ることが確認された。組換えα鎖の分子量は約16と1
7kd(キロダルトン)であり、アミノ酸配列より予想
される13kdより大きく、糖の付加は起こっていると
思われた。
【0016】α鎖同様にAcNPVFSHβ感染細胞に
ついても抗ラットFSHβ抗体を用いてWB法によって
抗原性の確認を行った。19と21kdにこの抗体と反
応性を持つ2つのバンドが認められた(図3)。これは
アミノ酸配列より予想される14kdより大きく、また
同様な抗原性をもつ2本のバンドが認められたことより
糖の付加が起こっていると推定される。
【0017】実施例3 FSHαβ2量体の発現 α鎖、β鎖発現組換えバキュロウイルス重感染による、
αβ鎖2量体の発現FSHは、生体内では下垂体の同一
細胞内でαβ両鎖が翻訳され、修飾を受けて2量体を作
った後に細胞外に分泌されることが知られている。また
バキュロウイルスでは、数種類の異なるタンパク質を発
現する組換え体を同時に感染させることによりそれらの
タンパク質の重合体を細胞内で作らせることが可能であ
ることが報告されている。
【0018】そこで本発明者等は、αβ両鎖を発現する
組換え体をSF細胞に重感染させることによりその培養
上清中に2量体が検出されるかどうか確かめた。
【0019】すなわち、上記実施例1で作成したSFH
のβ鎖を発現する組換えバキュロウイルス(AcNPV
FSHβ)を約10PFU/cellでSF細胞に感染
させ、その1時間後に、α鎖を発現する組換えバキュロ
ウイルス(AcNPVFSHα)を約10PFU/ce
llでSF細胞に重感染させ、感染5日目に培養上清を
回収して検体とした。
【0020】この検体を、Soini とKojola
によって開発された、時間分解蛍光イムノアッセイ(S
oini and Kojola,Clin.Che
m.,29,65−68(1983) )で、ヒツジF
SHを標準としてFSH量を測定したところ、培養上清
中には113ng/mlの濃度でFSHが存在すること
が明らかとなった。この測定系の特異性は、この系でヒ
ツジLHおよびウシTSHの標準品が検出されないこ
と、およびウエスタンブロティング法により、本発明の
β鎖の存在の確認されている検体中のβ鎖を検出しない
ことにより、αβ2量体に特異的であると考えられる。
【0021】よって、この感染細胞上清中にαβ2量体
が分泌されていることが確認された。
【0022】実施例4FSHαβ鎖2量体の生理活性の測定 活性の測定用検体は、以下のように調製した。Tn5細
胞を無血清培地(SF900II)で培養し、αおよびβ
鎖を再現するバキュロウイルス組換え体を重感染させ
た。Tn5細胞は、分泌型の蛋白の発現に適するとされ
ている細胞であり、上清中の2量体量は、約1μg/m
lで実施例3のSF21細胞を使った場合の約10倍で
あった。この検体を限外濾過法により10倍濃縮した
後、PBS透析し、さらに活性測定用のM199培地で
透析したものを用いた。
【0023】FSHαβ鎖2量体の生理活性を、ブタの
卵数に対するFSHの作用に基づいて測定した(Jan Mo
tlik et al.J.Exp.Zoolgy 259,386〜391,1991)。卵巣
から取出された卵胞は、FSHを作用させると卵胞細胞
の膨化と卵細胞の減数分裂の再開が起こる。この変化
は、この系ではLHの作用では起こらない。この検出系
の感度は、NIHの標準FSH(ヒツジ)を用いた場合
25ng/mlである。この系で、組換えFSHαβ鎖
2量体の生物活性を測定したところその検出限界は、卵
胞細胞に対する活性では1ng/μlであり、卵細胞に
対する活性では10ng/μlであり組換えFSHが天
然FSHとほぼ同等の生理活性を持つことが示された。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明は、ブタのFSHをバキュロウイ
ルスの組換え体を用いて発現させる事により他の下垂体
ホルモンの夾雑のないFSHを得る方法を提供できる。
【0026】これによって、純粋にFSHの作用のみを
取り出すことが可能となるためウシ、ウマ等の繁殖障害
の治療に安定した効果を期待することができる。
【0027】同様にウシの多排卵誘起法においてもLH
作用によるトラブルがなくなり良好な効果が期待され
る。また、これまで特異性の高い抗血清を得ることが困
難であったが、本発現タンパクを用いることによってこ
のような問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【図1】FSHα鎖発現バキュロウイルスベクターの構
築の操作を説明する図、
【図2】FSHβ鎖発現バキュロウイルスベクターの構
築の操作を説明する図、
【図3】特異抗体を用いたウエスタンブロッティング法
による発現タンパクを確認した図、この図において各レ
ーンは以下の通りである。 1)レーン1,2 ブタ共通α鎖に特異的な合成ペプチ
ドに対する抗体を用いた染色レーン 2)レ−ン3,4 抗ラットFSHβ抗体を用いた染色
レーン 3)レ−ン1,3 FSHα鎖発現組換えバキュロウイ
ルス感染細胞レーン 4)レ−ン2,4 FSHβ鎖発現組換えバキュロウイ
ルス感染細胞レーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/63 C12R 1:92) (C12P 21/00 C12R 1:92) (72)発明者 上田 進 埼玉県所沢市中新井3−12−19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バキュロウイルスで発現させたブタのF
    SHα鎖。
  2. 【請求項2】 バキュロウイルスで発現させたブタのF
    SHβ鎖。
  3. 【請求項3】 バキュロウイルスで発現させたブタのF
    SHαβ鎖2量体。
  4. 【請求項4】 偶蹄類の下垂体よりFSHα鎖の遺伝子
    をクローン化する工程と、このクローン化したFSHα
    鎖の遺伝子をバキュロウイルストランスファーベクター
    に組み込む工程と、野生型バキュロウイルスと上記トラ
    ンスファーベクターの間で組換え体を作る工程と、この
    組換え体を感受性細胞に感染させてFSHα鎖を発現さ
    せこれを回収する工程と、を含むことを特徴とするFS
    Hα鎖の製造方法。
  5. 【請求項5】 偶蹄類の下垂体よりFSHβ鎖の遺伝子
    をクローン化する工程と、このクローン化したFSHβ
    鎖の遺伝子をバキュロウイルストランスファーベクター
    に組み込む工程と、野生型バキュロウイルスと上記トラ
    ンスファーベクターの間で組換え体を作る工程と、この
    組換え体を感受性細胞に感染させてFSHβ鎖を発現さ
    せこれを回収する工程と、を含むことを特徴とするFS
    Hβ鎖の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4のFSHα鎖を発現する組換え
    体バキュロウイルスと、請求項5のFSHβ鎖を発現す
    る組換え体バキュロウイルスとを、感受性細胞に重感染
    させ、その培養上清よりFSHαβ鎖2量体を回収する
    ことを特徴とする偶蹄類のFSHαβ鎖2量体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項3のブタのFSHαβ鎖2量体、
    又は偶蹄類のFSHαβ鎖2量体FSHを有効成分とす
    る動物の繁殖障害の治療剤。
  8. 【請求項8】 請求項3のブタのFSHαβ鎖2量体、
    又は偶蹄類のFSHαβ鎖2量体FSHを有効成分とす
    る動物の多排卵誘起剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996025496A1 (en) * 1995-02-17 1996-08-22 Instituut Voor Dierhouderij En Diergezondheid (Id-Dlo) PRODUCTION OF BIOLOGICALLY ACTIVE RECOMBINANT BOVINE FOLLICLE STIMULATING HORMONE (REC bFSH) IN THE BACULOVIRUS EXPRESSION SYSTEM
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