JPH06122977A - 電子線による異種原子の固体内注入方法 - Google Patents

電子線による異種原子の固体内注入方法

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JPH06122977A
JPH06122977A JP4012296A JP1229692A JPH06122977A JP H06122977 A JPH06122977 A JP H06122977A JP 4012296 A JP4012296 A JP 4012296A JP 1229692 A JP1229692 A JP 1229692A JP H06122977 A JPH06122977 A JP H06122977A
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JP
Japan
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electron beam
solid
heteroatom
solid material
irradiation
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JP4012296A
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Inventor
Hiroshi Fujita
広志 藤田
Naoto Tsunoda
直人 角田
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University of Osaka NUC
Original Assignee
Osaka University NUC
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は材料工学や電子線工学における電子
線による異種原子の固体内注入(電子線誘起原子注入)
方法に関するもので各種電子材料、各種複合材料、過飽
和固溶体、各種過飽和固溶体を処理して得られる新素材
の製作にある。 【構成】 シリコンよりなる固体材料に注入する異種原
子であるパラジウムよりなる薄膜を付着させた二層構造
の下地固体材料に、目的とする薄膜中の異種原子のパラ
ジウムを固体材料中で変位させるためのしきいエネルギ
ーを超えた高エネルギーをもつ電子線を、前記下地固体
材料を−110 ℃以下に冷却することによって原子空孔の
拡散を凍結しながら、前記薄膜側から電子線のビーム径
を最小1nmまでしぼって照射し、照射領域に目的とす
る異種原子を過飽和に至るまで注入し、異種原子の注入
量および注入深さを照射時間および照射電子密度を制御
して注入させることを特徴とする電子線による異種原子
の固体内注入方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は材料工学や電子線工学に
おける電子線による異種原子の固体内注入(電子線誘起
原子注入)方法に関するものである。
【0002】本発明は下記のような製品、すなわち、 異種原子の注入で寸法、濃度、形状および深さを数
nm単位で正確に制御した各種電子材料。 異種金属または異種合金を任意の形状、濃度、寸法
および深さで制御し、しかも他とのつながりを良くして
分布させた各種複合材料。 異種原子をそのしきい値以上の高エネルギー電子線
で過飽和に注入することにより生じた過飽和固溶体。 各種過飽和固溶体およびそれを処理することによっ
て得られる新素材の製作。 を提供しようとするものである。
【0003】
【従来の技術】材料工学の分野では新しい機能をもつ材
料や既存材料の高付加価値化を求めてさまざまな複合材
料の開発が行なわれている。複合材料を製造する従来の
方法は大別すると、 (1) それぞれ独立な異種材料を何んらかの方法(溶
接、電着、熱拡散、接着剤、それらの組合せ)で接合し
複合材料を得る方法。 (2) 二相または多相合金を適当な機械的および熱的処
理を施すことにより複合材料を得る方法。 (3) イオンビームを用いてイオンを材料内に注入する
方法。 (4) 電子線またはレーザービームを熱源として用い、
材料表面に添加した異種原子をビーム・アニールにより
材料に注入する方法。 の4種類に分類される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで (1)の方法で
は、整合な接合界面を得ることは一般的に困難で、その
結果接合界面がもつ固有の物性を制御することができ
ず、1〜10nmφ程度の超微細組織をもつ複合材料の製
造は不可能である、等の不可避的欠点がある。
【0005】また (2)の方法では、平衡状態で安定また
は擬安定に存在する合金相を利用するため画期的な機能
をもつ材料開発が困難である、析出相の寸法、数、分布
状態を任意に制御することが困難である、等の欠点があ
る。
【0006】さらに (3)の方法では、異種原子の注入深
さが浅い、イオンビーム照射による損傷が大きい、混合
相領域の大きさの制御が困難である、等のイオンビーム
に付随する欠点がある。
【0007】また、 (4)の方法でも、混合相領域の大き
さの制御が困難である、表面の濃度分布の制御が困難で
ある、表面の熱歪が大きい、などの欠点がある。
【0008】従来一般に知られている置換型不純物注入
法(特公昭48−10267 号)は注入物質の薄膜もしくは蒸
気で覆われた試料の表面に、電子もしくは不活性なイオ
ンのビームを照射して入射荷電粒子の運動量を注入物質
の原子に置換し、前記試料に注入物質を注入することを
特徴とするものであり、この方法では極めて高いエネル
ギーを必要とするばかりか、微小領域への異種原子の注
入は不可能に近く、しかも下地固体材料を高エネルギー
の電子またはイオンビームが広領域に照射するために下
地固体材料の温度を急速に上昇させる等のイオン・イン
プランテーション法の欠点を総べて引継ぐ従来の方法で
は下地固体材料の結晶の温度上昇のために熱拡散に左右
されるばかりか、イオン注入法の欠点から、下地固体材
料の深部まで過飽和に複合化又はアモルファス化できな
い欠点がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するために考えられたもので、本発明はシリコンより
なる固体材料に注入する異種原子であるパラジウムより
なる薄膜を付着させた二層構造の下地固体材料に、目的
とする薄膜中の異種原子パラジウムを固体材料中で変位
させるためのしきいエネルギーを超えた高エネルギーを
もつ電子線を、前記下地固体材料を−110 ℃以下に冷却
することによって原子空孔の拡散を凍結しながら、前記
薄膜側から電子線のビーム径を最小1nmまでしぼって
照射し、照射領域に目的とする異種原子を過飽和に至る
まで注入し、異種原子の注入量および注入深さを照射時
間および照射電子密度を制御して注入させることを特徴
とする電子線による異種原子の固体内注入方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】本発明の他の目的とする所は電子線のビー
ム径を電子レンズで制御して最小1nmまで小さくして
異種原子を過飽和に至るまで照射し、1〜10nmφ程度
の超微細組織をもった複合電子材料を提供することにあ
る。
【0011】本発明の更に他の目的とする所は、下地固
体材料はシリコンであり、被着した薄膜にパラジウムを
用いて、下地固体材料を−110 ℃に冷却して原子空孔の
移動を抑制しながら高エネルギーの電子線でパラジウム
を下地固体材料であるシリコン中に打込み、アモルファ
ス化又は非平衡相化した半導体材料又はアモルファス材
料を提供するにある。
【0012】本発明の他の目的とする所は、電子線のエ
ネルギーをそのしきい値以上の大きさのエネルギーのも
のを使用し、その照射時間を30分以下の短時間とする注
入方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的とする所は、下地固体材
料を−110 ℃以下に冷却しながら、異種金属を熱拡散に
よらず、高エネルギーの電子線で短時間照射することに
より異種原子を下地固体材料に注入する注入方法を提供
するにある。
【0014】本発明は上記の方法により、電子線照射領
域に形成される薄膜中の原子と下地固体材料の原子の混
合相を制御して、目的とする原子の組合せ、組成、寸法
および分布をもつ混合相を形成させた複合材料の製造を
目的とする。
【0015】
【作用】本発明の注入法の原理を説明すると次の通りで
ある。シリコン半導体等の下地固体材料に注入すべき元
素成分を含む薄膜を真空蒸着、スパッタリング、ビーム
・アニール、電着などの方法で下地固体材料の上に付着
させた二層構造材料を作成する。この二層構造材料を−
110 ℃またはそれ以下に冷却しながら、下地固体材料の
薄膜側からその中に含まれている原子の変位のためのし
きいエネルギーを超えた高エネルギー電子で二層構造材
料を照射すると、熱拡散によらない原子移動がおこり、
薄膜中の成分原子が下地固体材料に注入される。その結
果電子線を照射した微小領域に限定された領域内で原子
の混合相が生成される。
【0016】金属間化合物、半導体等の下地固体材料は
電子照射によって、原子空孔と格子間原子よりなるフレ
ンケルペア(フレンケル対)を形成し、注入された異種
原子はその原子径の大きさが大きい場合は原子空孔と、
小さい場合は格子間原子と強く結合する。
【0017】上述の従来法に示したようにイオンビーム
を用いてイオンを材料内に注入するイオン注入法(これ
をI.I法と称す)と電子線またはレーザビームを熱源
として用い、材料表面に形成した異種原子をビーム・ア
ニールにより材料に注入するイオン混合法(これをI.
M法と称す)とがあり、イオンビームで注入するイオン
注入法(I.I法)でも、電子線またはレーザビームを
熱源とするイオン混合法(I.M法)においてもイオン
注入に際して加熱されて母相固体材料の温度が常温以上
に上昇し、フレンケル対を構成する極低温でも移動の激
しい格子間原子は勿論のこと原子空孔も急速に移動し易
くなり、近くの固体表面へと脱出する。
【0018】このために原子空孔と結合している異種原
子は例え固体内に一時打込まれたとしても原子空孔とと
もに、より近い電子の打込み側の固体表面へと移動し、
固体表面へ吐き出される。
【0019】これに対し、本発明は下地固体材料の原子
空孔が温度の上昇する電子線照射下でも自由に移動でき
ない温度以下に保持するよう冷却し、異種原子を打込ん
でも、原子空孔の移動を凍結できるようにする。このよ
うに原子空孔が凍結された状態で異種原子を打込むと、
異種原子はそれら原子空孔と結合して固定される。つい
で、この固定された異種原子はさらに高エネルギーの電
子ではじき出されてより深く下地固体中に注入され、そ
こにある原子空孔と結びつく。この過程を繰返すことに
よって、異種原子は下地固体の深部まで注入される。こ
の際電子エネルギーを1500KeV以上とすると電子は固
体内で電子チャネリングを起し、異種原子を電子の流れ
る領域に限定して注入できる。異種原子とフレンケル対
との作用は、原子空孔の所へ大きな径の異種原子が注入
されると、縮小している原子空孔の歪が異種原子の結合
により緩和されることになり、両者は強く結びつくこと
になる。たとえばシリコン(Si)では−110 ℃以下に
すると高エネルギー電子線照射下でも原子空孔の移動が
凍結される。パラジウム(Pd)はシリコン(Si)に
比して原子径が大きいので、原子空孔と結びついて結晶
格子中にその構成原子として配位されるのである。この
ために本発明の方法によると、過飽和に異種原子を注入
することが可能となり、過飽和固溶体又は非平衡相の新
素材材料が熱拡散によらない高エネルギー電子線照射に
よって創製することができる。
【0020】本発明は固体材料に注入する異種原子より
なる薄膜を附着させた二層構造の下地固体材料に、目的
とする薄膜中の異種原子を変位させる異種原子に固有の
十分なエネルギーをもつ電子線を使用する電子の条
件、注入する異種原子の条件、注入される下地固体
材料条件を考慮し、下地固体材料を冷却し下地固体材料
に対応して所定の温度以下に保持して熱拡散を防止する
とともに、高エネルギー電子のチャネリング現象を利用
できる一定条件下で薄膜側から照射し、照射領域に目的
とする異種原子を過飽和に至るまでの任意の量を、領域
の大きさおよび深さを制御して注入させる電子線による
異種原子の固体内注入方法にある。
【0021】(1) 異種原子注入の機構とその条件 異種原子を固体内に注入するには 使用する電子線の条件 注入する異種原子の条件および 注入される母相固体条件 が総て満足されねばならない。従って、本発明は従来の
電子線注入又はイオン注入とは原理的に全く異なる方法
によるものである。
【0022】1.使用する電子線の条件 これには大別して加速電圧と照射面積とがある。異種原
子注入で最も大切なことは、異種原子の注入された固体
(以下母相固体という)内の挙動で、そのために種々の
条件を必要とする。
【0023】まず、加速電圧については、異種原子より
なる物質から異種原子をはじき出さねばならないが、そ
れには物質固有の“しきいエネルギー”があり、そのエ
ネルギーを得るための電子の加速電圧が決っている。こ
の電圧はPdでは1000kVを越えているが、以下に述べ
る母相固体での条件を満たさない限り、異種原子はこの
臨界電圧近傍の加速電圧では単に注入目的の母相固体と
の界面に留まるのみで固体内には注入されない。このこ
とは走査型電子顕微鏡で試料表面にコンタミネーション
が起ることと同一原理である。
【0024】異種物質を母相固体内に注入するために
は、目的とする固体内に電子線照射損傷を起させること
が必要となり、電子線を用いた異種原子の固体内注入は
母相固体の電子線照射損傷(結晶格子の歪み)および或
る限界のエネルギー以上で起る電子チャネリング現象に
よって決定される。その結果、注入を行うためには、 (a)母相固体内で電子チャンネリングが著しくなる電
圧(上述のしきいエネルギーとは逆に軽い元素ほど高い
電圧、例えばPd,Siでは1000kV以上を必要とす
る)以上を使用することが必要である。 (b)固体内では注入原子は点欠陥と強く結合して行動
を共にするので、点欠陥(固体の原子より注入原子が
大きい場合には原子空孔、小さい原子では格子間原子)
の動きを防止するために固体の温度を電子線照射下で臨
界温度(下地固体がSiの時−110 ℃)以下に保つこと
が必要である。
【0025】第2の電子線の照射面積については、加速
電圧が上述の条件を満さない場合には、異種原子は界面
近くに広がるだけで注入は行われない。もし、行なわれ
たとすると、そのような場合の注入は電子による直接注
入ではなく、温度が上昇して熱拡散によって(時として
表面は照射によって溶解する)注入されたものであり、
イオン注入での利点も失われる。従って、電子線照射に
よる注入を行うためには、母相固体の温度を上述の臨界
温度以下に保つことが必要条件であるが、照射面積を広
げると母相固体の温度は急上昇する。そのため、1ケ所
で行う電子線の照射面積は固体温度を上昇させない(通
常10μm以下)の範囲に縮小することが必要である。
【0026】2. 注入する異種原子および注入される母
相固体での条件 この2つの条件の中、前者についてはまず臨界電圧(し
きいエネルギー以上のエネルギーを与える電子の加速電
圧)以上ではじき出されることが必要であるが、母相固
体に注入されるためには前述の如くに母相固体中に電子
線照射損傷によって生じた点欠陥の挙動によって決定さ
れる。
【0027】その結果、母相固体の温度が注入原子と作
用する点欠陥の移動し得る温度より高い時には、異種原
子は母相固体の界面形状を少し変化させるだけで、全く
母相固体の中には注入されない。
【0028】以上の如く、異種原子の固体内注入は母相
固体内の異種原子の挙動によって決定され、特に母相内
に形成される点欠陥との相互作用によって決定される。
本発明者は3000kVの超高電圧電子顕微鏡を用いて上述
の条件を確かめると同時に、実際に異種原子の電子線に
よる固体内注入を可能なことを発見したもので、本発明
によって初めてイオン注入による欠点(母相固体の著し
い温度上昇、注入深さの浅さ、注入が表面からのみに限
定されること、固体の破損が著しいなど)を除去し、1
nmφの微小個所への異種原子注入をも可能とした画期
的な発明が達成されたものである。
【0029】なお、異種原子を過飽和に電子線で注入で
きるのは上述の条件を総て満足した時であり、注入の機
構が、異種原子を中性のまま又はイオン化して直接固体
内に注入する(その時のエネルギーは電子線のそれとは
桁違いに高くなる)いわゆる従来のイオン注入法と本発
明とは上述の点では根本的に異なるものである。
【0030】本発明の方法は異種原子の基板固体への注
入に電子線を使うもので、従来の方法とは全く異なる次
の特徴を有する。
【0031】(1) 本発明では固体内における電子と原
子の衝突過程(球撞き現象)を利用するので、直接原子
を低温で基板固体に注入することができる。このために
基板固体を低温に保つ必要がある。
【0032】(2) 注入された原子(異種原子)はその
後の電子の衝突回数に比例して、深く基板固体の内部に
注入される。従って、電子線のエネルギーが低くても、
下地固体中の原子変位のためのしきいエネルギーより高
いものであれば、容易に数十〜数百μm程度の深さまで
異種原子を注入できる。電子線のエネルギーを上げると
その効率は更に良くなる。例えば、Pdを2.4 MeVの
電子線で照射すると注入に必要なエネルギーをもった電
子が数mmの厚さを透過するので、その厚さ程度まで異種
原子を注入できる。
【0033】(3) 本発明方法は高エネルギー電子を結
晶に入射させるもので、基板固体が単結晶であれば適当
な結晶方位の選択により電子チャネリング現象が利用で
きる。その結果、入射電子線は基板固体内で照射領域外
には拡がらず、(通常は粒子線が固体内に入射すると多
重散乱のために粒子は照射領域よりも遙に広い範囲に分
散する)且つ、より深く侵入できる。その結果、原子の
注入は電子線の照射領域内に正確に限定され、且つ、電
子の注入は深い領域まで効率よく行なえる。
【0034】(4) チャネリングを起させるために電子
線照射による基板固体の温度上昇は極めて少ない。その
結果、注入される原子の濃度は熱平衡濃度より遙に高く
することができ、容易に過飽和状態にできる。さらに基
板固体の冷却能率を効率よくしてやれば上述の高濃度注
入はより容易となる。
【0035】(5) 電子の質量が小さいため1回の衝突
によって注入される基板固体の構成原子へのエネルギー
の伝達が小さい。従って、本発明の電子線による異種原
子の固体内注入方法が試料に与える損傷は極めて少な
い。特にイオン、中性子、プロトン等の粒子線照射で問
題となる試料表面の損傷は皆無に近い。
【0036】(6) 電子線のエネルギーを制御して最も
効率のよい注入エネルギーを選択することができ、照射
損傷を最少限に抑制することができる。
【0037】(7) 電子線の形状や位置を電子レンズや
偏光コイルで容易に制御することができるので、注入原
子の濃度および注入場所を熱拡散なしに正確に制御でき
る。
【0038】(8) 本発明方法は半導体のみならず、全
ての物質に適用可能である。この製造方法を利用すれ
ば、前述の従来の製造方法に内在する数々の欠点を克服
できるばかりでなく、電子線照射法のいくつかの利点を
生して複合化による新機能材料の開発を行うことができ
る。
【0039】本発明の構成を図1に基づいて説明する。
固体材料2に注入する元素を含む薄膜1を真空蒸着、ス
パッタリング、ビーム・アニール、電着などの方法によ
って下地の固体材料2に付着させる。この材料を二層構
造材料3と呼ぶ。
【0040】図1(a)に示した如く薄膜1側から下記
のエネルギーをもつ細束の電子線4を一定条件(照射面
積、電子線の強度、入射角および開き角、照射温度およ
び時間)で二層構造材料3に照射すると、図1(b)に
見られるように、電子が薄膜1中の原子をはじき出し
て、予め冷却された固体材料2に打込む。その際、熱拡
散によらない原子移動によって薄膜1と固体材料2の界
面から薄膜1中の異種原子が固体材料2へ過飽和に注入
され、それらの混合相を作る。
【0041】ここで、照射に利用する電子線のエネルギ
ーは、薄膜1中に含まれる原子を変位させるに十分であ
ると同時に、注入された原子が固体材料2の中を移動す
るのに十分であることが必要である。
【0042】なお、固体材料2中に形成させる過飽和混
合相の種類、過飽和度、形状、大きさなどは、薄膜1中
の元素成分、電子線のエネルギー、ビーム径、照射強
度、照射時間および照射温度などを適当に選択すること
により制御できる。この際、電子線4の径を1〜10nm
程度にしぼった細束電子線として照射しながら移動する
ことによって、図1(a)の照射痕跡5に示すような任
意形状の混合相を形成することができる。
【0043】また、図2に示すように、電子線を収束さ
せたり、逆に発散させたり、または入射角を連続的に変
えることにより固体材料2内部における電子線強度を制
御することによって、混合相6の膜厚方向の注入原子の
濃度分布を制御することができる。この方法によって図
のように注入異種原子濃度を深さ方向に制御すると同時
に、その領域の大きさも制御することができる。
【0044】本発明に用いる下地固体材料は半導体材
料、セラミックス材料、金属材料等があげられる。この
方法によれば電子線の照射条件と、注入原子の種類を組
合せることによって、材料を結晶体、非晶質、固溶体等
の所望の形態で得ることができる。
【0045】従って、本発明は次のような製品に適用で
きる。 異種原子の注入で寸法、濃度、形状および深さを数
nm単位で正確に制御した各種電子材料。 異種金属または異種合金を任意の形状、濃度、寸法
および形状、深さを任意に制御し、しかも他とのつなが
りを良くして分布させた各種複合材料の作製。 異種原子を過飽和に注入することにより得られた過
飽和固溶体。 各種過飽和固溶体およびそのを処理することによっ
て得られる新素材作製。
【0046】本発明では異種原子を高エネルギー電子線
を用いて下地固体内に注入するので、製造される複合材
料は以下のような長所をもつ。 電子線のビーム径を電子レンズで容易に変化するこ
とができ、最小1nmφ程度まで小さくできるので、極
微細組織をもつ電子材料および複合材料を製造できる。 電子線のビーム径や照射位置を電磁場で自由に制御
できるから、異種原子注入箇所の形状を自由に変化させ
ることができ、直接素材にnm幅の微細模様に至る目的
通りのものを記入することができる。 電子線は透過力が強いので、混合相の厚さを1mm程
度まで厚くすることができる。 短時間の照射で混合相を作ることができるから、材
料の複合化が迅速にできる。 電子線のエネルギー、照射角度の制御、ビームの絞
り方、照射温度などを適当に選択することにより異種原
子の注入濃度を任意に制御することができる。 混合相と固体材料2との界面で混合相を地と連続的
につなぐことによって界面固有の物性を制御できる。 熱拡散によらずに混合相を作るために、平衡状態で
は存在しない合金相が実現できる。
【0047】
【実施例】
実施例1 固体材料2をシリコンとし、これの表面にパラジウムの
薄膜1をスパッタリング、蒸着、その他の方法で被着
し、薄膜1の側より電子線4を電子線エネルギー2.4 M
eV以上、電子線強度が1×1020e/cm2 ・sec以上
となるよう、照射温度20℃ないし−110 ℃で30分間照射
して、Pd2 Siの結晶が得られた。
【0048】本発明の方法による薄膜1と下地の固体材
料2の混合相を作った照射条件の具体例を下表に示す。
【0049】
【表1】
【0050】実施例2 図1(a)に示すように、電子線のビーム径を電子レン
ズにより1nmφに絞って、照射しながら電磁場で電子
線の位置を図1の符号5に示す照射痕跡の如く、移動す
ると、電子線の照射位置は自由に移動することができる
ので、複雑構造の超微細組織をもつ複合材料を直接製造
することができた。また、混合相の大きさ、形状と分布
は電子レンズで電子線のビーム径を変えることと、電子
線で照射範囲を移動することで任意に制御できた。
【0051】
【発明の効果】
(イ)本発明の方法を利用すれば、下記の他の手法と組
合せると最大数mm程度までの任意の厚さの過飽和混合相
を形成することができるうえ、その界面と地とのつなが
りをよくすることができるために新しい機能をもつ材料
開発が期待できる。
【0052】(ロ)電子レンズで電子線のビーム径を容
易に1nmφ程度に小さくしたり、電磁場で電子線の位
置を自由に移動することができるので、複雑構造の超微
細組織をもつ複合材料を直接製造したり、混合相の大き
さ、形状と分布を任意に制御できる。
【0053】(ハ)照射に用いる電子線4が固体材料2
中の原子の変位のためのエネルギー以上であれば、照射
により固体材料2中に点欠陥が導入される。この点欠陥
は熱拡散の速度を増強する担い手になるから、固体中に
注入された異種原子は注入後に固体材料2を加熱するこ
とによって点欠陥の助けで長距離移動をさせることも可
能である。従って電子線の高い透過力と生成された点欠
陥による増強拡散の相乗作用により混合相の厚さを容易
に数mm程度まで厚くすることができる。もし固体材料2
が単結晶であれば高エネルギー電子のチャネリング現象
を利用できるから電子線の透過力はさらに大きくなり厚
い混合相を作ることができる。さらに応力を印加した状
態で照射すると注入原子の拡散が特定方向に増強された
り減衰されたりするから混合相の厚さの制御が容易にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明方法の実施例を示す説明図であ
り、図1(a)および(b)は固体材料に注入する異種
原子を含む薄膜1を固体材料2に付着させた二層構造材
料3を薄膜1側から高エネルギー電子で照射している状
態を示す図である。
【図2】図2は二層構造材料3に電子線の開き角を変化
させて電子線を照射している状態を示す図である。
【符号の説明】
1 薄膜 2 固体材料 3 二層構造材料 4 電子線 5 照射痕跡 6 過飽和混合相

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンよりなる固体材料に注入する異
    種原子であるパラジウムよりなる薄膜を付着させた二層
    構造の下地固体材料に、目的とする薄膜中の異種原子の
    パラジウムを固体材料中で変位させるためのしきいエネ
    ルギーを超えた高エネルギーをもつ電子線を、前記下地
    固体材料を−110 ℃以下に冷却することによって原子空
    孔の拡散を凍結しながら、前記薄膜側から電子線のビー
    ム径を最小1nmまでしぼって照射し、照射領域に目的
    とする異種原子を過飽和に至るまで注入し、異種原子の
    注入量および注入深さを照射時間および照射電子密度を
    制御して注入させることを特徴とする電子線による異種
    原子の固体内注入方法。
  2. 【請求項2】 電子線のビーム径を電子レンズで制御し
    て最小1nmまで小さくして異種原子を過飽和に至るま
    で照射し、1〜10nmφ程度の超微細組織をもった複合
    電子材料を得る請求項1記載の注入方法。
  3. 【請求項3】 下地固体材料中に異種原子注入により生
    じた混合相の厚さを0.1 mmないし数mmまで厚くする請求
    項1記載の注入方法。
  4. 【請求項4】 下地固体材料を−110 ℃以下に冷却しな
    がら、異種金属を熱拡散によらず、高エネルギーの電子
    線で照射することにより異種原子を下地固体材料に注入
    する請求項1記載の注入方法。
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