JPH0617252A - ダイヤモンド類被覆部材およびその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド類被覆部材およびその製造方法

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JPH0617252A
JPH0617252A JP18652292A JP18652292A JPH0617252A JP H0617252 A JPH0617252 A JP H0617252A JP 18652292 A JP18652292 A JP 18652292A JP 18652292 A JP18652292 A JP 18652292A JP H0617252 A JPH0617252 A JP H0617252A
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JP18652292A
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English (en)
Inventor
Atsuhiko Masuda
敦彦 増田
Kazuyuki Fukumoto
和之 福本
Toshimichi Ito
利通 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0617252A publication Critical patent/JPH0617252A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/52Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、基材とこれを被覆するダ
イヤモンド類膜との密着性に優れ、優れた耐久性を発揮
し、使用寿命が著しく改善されたダイヤモンド類被覆部
材およびその製造方法を提供することである。 【構成】 この発明は、周期律表(IUPAC)の第I
VA族、第VA族および第VIA族に属する金属から選
択される二種以上の金属の炭化物、窒化物及び/または
炭窒化物からなる固溶体層を表面に有する基材と、その
固溶体層上に形成されたダイヤモンド類層とを有するこ
とを特徴とするダイヤモンド類被覆部材およびその製造
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ダイヤモンド類被覆
部材およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、基材
とこれを被覆するダイヤモンド類膜との密着性に優れ、
優れた耐久性を発揮し、使用寿命が著しく改善されたダ
イヤモンド類被覆部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高い表面硬度と耐摩耗性とが
要求される切削工具、研削工具および研磨工具等の工具
類や機械部品等の耐摩耗部材に、硬度や耐摩耗性などの
点で著しく優れたダイヤモンドが利用されている。例え
ば、一般に、CVD法やPVD法等の気相法によるダイ
ヤモンド合成技術を利用し、工具類や耐摩耗部材等の基
材の表面にダイヤモンド類を析出させてダイヤモンド類
被膜を形成させる方法が知られている。このようにダイ
ヤモンド類被膜で基材を被覆することにより、工具類や
耐摩耗部材に高度の表面硬度と耐摩耗性とを付与するこ
とができるのである。
【0003】しかしながら、基材の表面とダイヤモンド
類被膜とは、一般に密着性が悪い。それゆえ、この密着
性を向上させるために様々な提案がなされている。その
ような提案の1つとして、各種の材質の基材の面上にそ
の基材成分と炭素成分とからなる中間層を形成させ、あ
るいは基材成分とダイヤモンドとの混合物とからなる中
間層を形成させ、該中間層の面上に気相合成法によって
ダイヤモンド膜(ダイヤモンド類薄膜)を形成させ、そ
の中間層によって基材とダイヤモンド膜の密着性を向上
させようとする試みがなされている(特開昭60−20
8473号公報、特開昭61−106478号公報、特
開昭61−106493号公報、特開昭61−1064
94号公報等)。
【0004】しかしながら、中間層を用いる技術におい
ては、中間層は基材とダイヤモンド類薄膜の双方に対
して高い密着性を保持することが求められ、しかも、
中間層自体の強度も十分に高くなければならない、とい
う厳しい要求を満たす必要があるので、その最適な材質
の選定は極めて難しい。実際、上記例示の従来法のよう
に中間層の材質の選定やその形成法等に種々の工夫がな
されてきているが、従来法によって得られるところの、
中間層を有するダイヤモンド被覆部材は、いずれの場合
も、上記およびを共に十分に満足するに至ってはお
らず、特に、切削工具や摺動部材等の過酷な条件で使用
に供する場合、十分な耐久性や使用寿命が得られないと
いう問題点があった。
【0005】また、特開昭62−47480号公報にお
いては、サーメットからなる基材の表面を酸処理してC
oやNiなどの金属成分を除去しておく方法が提案され
ている。しかしながら、この方法においては、基材表面
が脆くなるという難点があり、炭化タングステンとダイ
ヤモンド膜との熱応力の相違等によって、サーメットか
らなる基材に対するダイヤモンド膜の十分な密着性を得
ることができず、高温時にダイヤモンド膜が基材から容
易に剥離するという欠点がある。
【0006】さらに、基材にダイヤモンド膜を被覆し、
その後に得られたダイヤモンド被覆部材を熱処理する方
法も知られている。しかしながら、この方法において
は、表面の微細なクラックを除去することにより精密加
工に適するようなダイヤモンド被覆部材を得ることはで
きても、基材とダイヤモンド膜との密着性を向上させる
という効果は殆ど奏することができない。
【0007】一方、基材とダイヤモンド類薄膜との密着
性を改善する方法として、主として基材の材質の選定や
改質に着目する方法も種々検討されている。例えば、基
材とダイヤモンド類薄膜との密着性の悪さがそれらの熱
膨張係数の違いにあることに注目して、基材の組成や燒
結条件を調整して熱膨張係数を制御する方法等がある。
【0008】こうした方法として、例えば、WC−Co
系の超硬合金基材の組成を調節する方法、窒化珪素等の
セラミックス基材の組成や燒結条件を調整する方法(特
開昭61−109628号公報等)等が提案されてい
る。しかしながら、超硬合金製基材の場合には、一般
に、超硬合金の組成や製造条件の調節によってその熱膨
張係数をダイヤモンド類薄膜のそれに十分に近い値にす
ること自体が難しく、実際、密着性の改善効果は十分に
なされていないのが現状であった。一方、セラミックス
系基材の場合には、該基材自体の熱膨張係数の制御に重
点をおいているので、基材の材質や組成が極めて狭い範
囲に限定されてしまい、たとえ密着性を向上させること
ができたとしても、基材自体の硬度と破壊靭性等の特性
をも十分に満足させることが困難であるという問題点が
あった。
【0009】さらに、特開平1−246361号公報に
は、周期律表のIVa,Va,VIa族金属の炭化物、
窒化物、炭酸化物、窒酸化物及びこれらの相互固溶体の
中の少なくとも一種の硬質層とCoおよび/またはNi
を主成分とする結合層とからなる燒結合金を加熱処理も
しくは研磨処理した後、その表面にダイヤモンド状カー
ボン及び/又はダイヤモンドからなる被覆膜を形成する
方法が提案されている。
【0010】しかしながら、この公開公報に記載の実施
例により示される減圧の下での加熱処理を行なった場合
は、表面の結合層が消失することによりダイヤモンド膜
の焼結合金に対する密着性の向上が見られるものの、実
用的レベルには達していない。
【0011】このような問題を解決すべく、特開平3−
115571号公報には、浸炭処理により基材表面の結
合層の濃度を減少させる方法が提案されている。しかし
ながら、基材表面に形成された炭素の多い炭化タングス
テン層は脆いので、炭化タングステン層に対するダイヤ
モンド膜の密着性が向上しても炭化タングステン層にお
ける凝集剥離が生じるので、結局のところ、ダイヤモン
ド膜の剥離が生じ易いという問題点が残る。
【0012】本発明は、前記課題を解決することを目的
とする。即ち、本発明の目的は、基材とこれを被覆する
ダイヤモンド類膜との密着性に優れ、優れた耐久性を発
揮し、使用寿命が著しく改善されたダイヤモンド類被覆
部材を提供することにある。
【0013】また、本発明の他の目的は、基材表面にダ
イヤモンド類層を効率良く形成し、しかも形成されたダ
イヤモンド類層と基材との密着性を著しく高めることが
できたダイヤモンド類被覆部材を製造することのできる
方法を提供することにある。
【0014】さらに本発明の他の目的は、基板表面に密
着性良くダイヤモンド類層を形成し、しかも得られたダ
イヤモンド類被覆部材を研削工具あるいは研磨工具等と
して使用した場合に、被加工部材の加工面の精度を著し
く向上させることのできるダイヤモンド類被覆部材を製
造することのできる方法を提供することにある。
【0015】
【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ための請求項1に記載の発明は、周期律表の第IVA
族、第VA族および第VIA族に属する金属よりなる群
から選択される二種以上の金属の炭化物、窒化物および
炭窒化物よりなる群から選択される少なくとも一種から
なる固溶体層を表面に有する基材と、その固溶体層上に
形成されたダイヤモンド類層とを有することを特徴とす
るダイヤモンド類被覆部材であり、請求項2に記載の発
明は、周期律表の第IVA族、第VA族および第VIA
族に属する金属よりなる群から選択される二種以上の金
属を含有する基材、または周期律表の第IVA族、第V
A族および第VIA族に属する金属から選択される少な
くとも一種の金属を含有する被覆層を有する基材を、不
活性ガス雰囲気中で1,000〜1,600℃で加熱処
理して基材表面に固溶体層を形成し、その固溶体層上に
気相法によりダイヤモンド層を形成することを特徴とす
るダイヤモンド類被覆部材の製造方法であり、請求項3
に記載の発明は、周期律表の第IVA族、第VA族およ
び第VIA族に属する金属よりなる群から選択される二
種以上の金属を含有する基材、または周期律表の第IV
A族、第VA族および第VIA族に属する金属から選択
される少なくとも一種の金属を含有する被覆層を有する
基材を、不活性ガス雰囲気中で1,000〜1,600
℃で加熱処理して基材表面に固溶体層を形成し、その固
溶体層に脱コバルト処理を施してから、その固溶体層上
に気相法によりダイヤモンド層を形成することを特徴と
するダイヤモンド類被覆部材の製造方法であり、請求項
4に記載の発明は、周期律表の第IVA族、第VA族お
よび第VIA族に属する金属よりなる群から選択される
二種以上の金属を含有する基材、または周期律表の第I
VA族、第VA族および第VIA族に属する金属から選
択される少なくとも一種の金属を含有する被覆層を有す
る基材を、不活性ガス雰囲気中で1,000〜1,60
0℃で加熱処理して基材表面に固溶体層を形成し、その
固溶体層表面に平滑化処理を施してから、その固溶体層
上に気相法によりダイヤモンド層を形成することを特徴
とするダイヤモンド類被覆部材の製造方法である。
【0016】以下に、本発明のダイヤモンド類被覆部材
についてその製造方法と共に詳細に説明する。 (1)ダイヤモンド類被覆部材 本発明のダイヤモンド類被覆部材は、周期律表の第IV
A族、第VA族および第VIA族に属する金属から選択
される二種以上の金属の炭化物、窒化物および炭窒化物
からなる群から選択される少なくとも一種からなる固溶
体層を表面に有する基材と、その固溶体層上に形成され
たダイヤモンド類層とを有する。
【0017】後述するように、基材に固溶体層が設けら
れ、この固溶体層の表面にダイヤモンド類層が形成され
るので、本発明のダイヤモンド類被覆部材は、基材から
容易に剥離することがない。
【0018】本発明のダイヤモンド類被覆部材は、固溶
体層に脱コバルト処理をするという本発明の方法により
製造すると、そのダイヤモンド類被覆部材を切削工具等
の加工工具として使用する場合、加工時の高温度によっ
ても容易に剥離を生じない、極めて密着性の高いダイヤ
モンド類層を備えた優れた工具となり得る。
【0019】また、本発明のダイヤモンド類被覆部材
は、固体層に表面平滑化処理をするという本発明の方法
により製造すると、ダイヤモント類被覆部材を切削工具
等の加工工具に適用した場合、相手部材の加工面を面精
度良く仕上げることのできる、優れた加工特性を有する
工具となり得る。
【0020】基材 基材としては、その表面に存在する固溶体層をどのよう
にして形成するかによってその材質が決定される。
【0021】固溶体層は、基材を加熱することにより基
材自体の表面を変質させることにより形成することがで
きるし、また、基材の表面に、周期律表の第IVA族、
第VA族および第VIA族に属する金属またはその炭化
物、窒化物および炭窒化物から選択される少なくとも一
種を、基材の表面に成膜し、加熱することにより形成す
ることができる。
【0022】a.固溶体を基材の変質により形成する場
前者の場合における基材材料としては、基材の内部から
固溶体成分を基材表面に析出させる必要上、周期率表
(IUPAC)の第IVA族、第VA族および第VIA
族に属する金属から選択される二種以上の金属を含有す
る超硬合金もしくはサーメットを使用するのが良い。
【0023】炭化タングステン系超硬合金の具体例とし
ては、WC、W−WC、WC−C、W−WC−C等のW
−C系、WC−Co、WC−Co−W、WC−Co−
C、WC−Co−W−C等のW−Co系、WC−TaC
−Co、WC−TaC−Co−C等のW−Ta−Co
系、WC−TiC−Co、WC−TiC−Co、WC−
TiCN−Co等のW−Ti−Co系、WC−TaC−
Co、WC−TiC−TaC−Co−C等のW−Ti−
Ta−Co−C系、WC−Nb−Co等の超硬合金を挙
げることができる。炭化タングステン系超硬合金は、上
記のように炭化タングステン、炭化タンタル、炭化チタ
ン等から得ることができる。本発明に用いられる炭化タ
ングステン系超硬合金としては、Ti、Co、Ta、M
o、Cr、Ni等の金属を含有しているものが好まし
い。なお、これらの超硬合金には「フリーカーボン」な
どと称される炭素が含まれていることがある。
【0024】本発明において、基材として使用される炭
化タングステン系超硬合金の内、好ましい組成の具体例
としては、WC−TiC−Co、WC−TaC−Co、
WC−TiC−TaC−Co、WC−Co、及びWC−
Nb−Coの超硬合金を挙げることができる。
【0025】WC−TiC−Coの組成を有する超硬合
金としては、炭化タングステン50〜95重量%、好ま
しくは70〜94重量%と、炭化チタン1〜30重量
%、好ましくは2〜20重量%と、コバルト2〜20重
量%、好ましくは4〜10重量%とを有するものを挙げ
ることができる。
【0026】WC−TaC−Coの組成を有する超硬合
金としては、炭化タングステン80〜93重量%、好ま
しくは85〜92重量%と、炭化タンタル1〜20重量
%、好ましくは2〜10重量%と、コバルト3〜10重
量%、好ましくは4〜6重量%とを有するものを挙げる
ことができる。
【0027】WC−Coの組成を有する超硬合金として
は、炭化タングステン90〜98重量%、好ましくは9
4〜97重量%と、コバルト2〜10重量%、好ましく
は3〜6重量%とを有するものを挙げることができる。
【0028】上記炭化タングステンとしては、従来の工
具等に使用されるものなどを使用することができ、具体
的には、WC、WCx(但し、xは1以外の正の実数を
表わし、通常、このxは1より大きいかあるいは1より
小さい数である。)で表わされる定比化合物および不定
比化合物、あるいはこれらに酸素等の他の元素が結合、
置換または侵入したもの等を挙げることができる。これ
らの中でも、通常、WCが特に好適に使用される。な
お、これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併
用してもよく、あるいは二種以上の混合物、固溶体との
組成物等として用いてもよい。
【0029】上記炭化チタンとしては、特に限定はな
く、通常の合金を製造するのに用いられるものを使用す
ることができる。具体的には、TiC、TiCy(但
し、yは1以外の正の実数を表わし、通常、このyは1
より大きいかあるいは1より小さい数である。)で表わ
される定比化合物および不定比化合物、あるいはこれら
に酸素等の他の元素が結合、置換または侵入したもの等
を挙げることができる。これらの中でも、通常、TiC
が特に好適に使用される。
【0030】上記炭化タンタルとしては、特に限定はな
く、通常の合金を製造するのに用いられるものを使用す
ることができる。具体的には、TaC、TaCz(但
し、zは1以外の正の実数を表わし、通常、このzは1
より大きいかあるいは1より小さい数である。)で表わ
される定比化合物および不定比化合物、あるいはこれら
に酸素等の他の元素が結合、置換または侵入したもの等
を挙げることができる。これらの中でも、通常、TaC
が特に好適に使用される。上記コバルトとしては、特に
制限がないが、単体金属を好適に使用することができ
る。
【0031】前記炭化タングステン、前記炭化チタン、
前記炭化タンタルおよび前記コバルトは、特に純粋であ
る必要はなく、本発明の目的を達成するのに支障のない
範囲であれば不純物を含有していてもよい。例えば、前
記炭化タングステンにおいては、微量の過剰炭素、過剰
金属、酸化物等の不純物等を含有していてもよい。
【0032】本発明に用いられるサ−メットとしては、
例えば、Ti、W、Mo、Cr、Ta、Nb、V、Z
r、Hf等の炭化物および窒化物に、Co、Ni、C
r、Mo、Fe等の金属を燒結助材として含有している
サ−メット材を挙げることができ、一般にサ−メット材
として知られているものであれば、特に制限なく用いる
ことができる。
【0033】具体例としては、WC、Mo2 C、Cr3
2 、TaC、NbC、VC、TiC、ZrC、Hf
C、TaN、NbN、VN、TiN、ZrN、HfN、
Ta(C,O)、Ti(C,O)、Ti(N,O)、
(W,Ti)C、(W,Ta,Ti)C、(W,Ta,
Nb,Ti)C、Ti(C,N)、Ti(C,N,
O)、(Ti,Zr)C、(Ti,Zr)(C,N)等
に、燒結助材としてCoおよび/またはNiや、Coお
よび/またはNiの他にCr,Mo,Fe等を含有した
もの等を挙げることができる。
【0034】サーメットにつき上記とは別の表現をする
とすれば、次のような記述も可能である。すなわち、本
発明に使用することのできるサーメットとしては、Ti
CにWCやTaCやTiNを添加し、結合相としてNi
やMoを添加したものを言い、例えばTiC−TaC−
Ni、TiC−TaC−Mo、TiC−TaC−Ni−
Mo、TiC−TiN−Ni、TiC−TiN−Mo、
TiC−TiN−Ni−Mo、TiC−TiN−TaC
−WC−Ni、TiC−TiN−TaC−WC−Mo、
TiC−TiN−TaC−WC−Ni−Mo、TiN−
TaN−Ni、TiN−TaN−Mo、TiN−TaN
−Ni−Mo、TiC−TaN−Ni、TiC−TaN
−Mo、TiC−TaN−Ni−Mo、TiC−Ni、
TiC−Mo、TiC−Ni−Mo、TiC−Ni、T
iC−Mo、TiC−Ni−Mo、TiC−TaN−N
i、TiC−TaN−Mo、TiC−TaN−Ni−M
o等を挙げることができる。なお、これらはその他の元
素またはその炭化物を含有していても良い。
【0035】これらの中でも、炭化チタン、炭化タング
ステンおよび窒化チタン系のサ−メットが好適に使用さ
れる。特に好ましいものとしては、TiC,TiN,T
iCN等にNi、CoあるいはMoを燒結助材として用
いたサ−メット材を挙げることができる。
【0036】いずれの超硬合金およびサーメットを採用
するにしても、後述する固溶される金属が基材表面に露
出してくることによりこの発明における固溶体が形成さ
れるのであるから、基材としては固溶体を形成する成分
を含有しているのが好ましい。
【0037】なお、前記基材においては、市販されてい
るものをも使用することができる。また、市販されてい
ないものを使用する場合においては、前記成分を適宜の
割合で配合した後に、燒結等の方法によって基材を得る
ことができる。
【0038】なお、燒結に先立ち、前記成分とともに、
必要に応じて、パラフィン、ステアリン酸、しょうのう
等を主成分とする補助結合剤等を含有していてもよい。
前記焼結の方法としては、特に制限がなく、従来から公
知の焼結方法に従って行なうことができる。
【0039】前記燒結の方法においては、前記各成分を
粉末状、微粉末状、超微粒子状、ウイスカー状、あるい
は他の各種の形状のものとして使用することが可能であ
るが、平均粒径が、通常、0.05〜4μm、好ましく
は、1〜3μm程度の微粒子もしくは超微粒子状のもの
や、アスペクト比が20〜200程度のウイスカー状の
もの等を好適に使用することができる。
【0040】燒結温度しては、通常、1,200〜1,
600℃であるが、場合によっては1,300〜1,6
00℃あるいは1,300〜1,550℃あるいは1,
350〜1,550℃の範囲内にするのが適当である。
燒結時間は、通常、0.5時間以上、好ましくは、1〜
2時間程度の範囲内にするのが適当である。
【0041】ダイヤモンド類被覆部材を製造するのに使
用される基材の形状については、特に制限はない。前記
基材は、例えば、前記燒結に際して予め所望の形状にし
ておいてから燒結をすることができるし、あるいは、前
記燒結後、必要に応じて所望の形状に加工して、この発
明のダイヤモンド類被覆部材の基材として用いることが
できる。
【0042】b.基材の表面に特定成分の被覆層を形成
して固溶体を形成する場合 この場合、基材表面に成膜された被覆物が、周期律表の
第IVA族、第VA族および第VIA族に属する金属か
ら選択される少なくとも一種の金属またはその炭化物、
窒化物および/または炭窒化物であって、基材および被
覆層を共に加熱することにより被覆層を固溶体層に変質
させることができるのであれば、基材は、固溶体層を形
成するのに必要な成分によって形成されねばならない必
要はない。
【0043】一方、基材表面に成膜された被覆層が周期
律表の第IVA族、第VA族および第VIA族に属する
金属から選択される少なくとも一種の金属またはその炭
化物、窒化物および/または炭窒化物であるときには、
基材は、その成分と被覆層の成分とで加熱によりこの発
明で規定する固溶体層を形成することができるように、
基材の材質が適宜に選択される。この場合、加熱により
基材中の例えばWC成分が基材表面に拡散移動すること
によりこの発明で規定する固溶体層が形成される。
【0044】基材自身を加熱により変質させて固溶体層
を形成するときのその基材材料と、基材の表面に特定の
被覆層を形成し、加熱により固溶体層を形成するときの
その基材原料とは互いに重複していることがある。つま
り、基材自身を加熱により変質させて固溶体層を形成す
るときに使用されるその基材材料を用いて基材を形成
し、その基材の表面に特定の被覆層を形成し、加熱によ
りその被覆層と基材中の成分とで固溶体層を形成するこ
ともできる。したがって、基材の表面に特定の被覆層を
形成することにより固溶体層を形成するときの基材原料
を例示すると、基材自身を変質させて固溶体層を形成す
るときの基材材料の例示と重複することにはなるが、敢
えて例示するとすると、以下のようになる。
【0045】すなわち、この基材としては、特に制限は
なく、一般に知られている各種の種類および組成のもの
が使用可能であり、たとえば、W、Mo、Cr、Co、
Ni、Fe、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Al、
B、Ga、Siなどの一種または二種以上の金属からな
る超硬合金類、これらの金属一種または二種以上と、炭
素、窒素、酸素および/またはホウ素等からなる各種の
組成の超硬合金類(具体的には、たとえば、WC、W−
WC、WC−C、W−WC−C等のW−C系、Co−C
系、Co−WC、Co−W−WC、Co−WC−C、C
o−W−WC−C等のCo−W−C系、TaCx 等のT
a−C系、TiC等のTi−C系、MoCx 、Mo−M
oCx 、MoCx −C系等のMo−C系、SiC等のS
i−C系、Fe−FeCx 系等のFe−C系、Al2
3 −Fe系等のAl−Fe−O系、TiC−Ni系等の
Ti−Ni−C系、TiC−Co系等のTi−Co−C
系、BN系、B4 C−Fe系等のFe−B−C系、Ti
N系等のTi−N系、AlNx 系等のAl−N系、Ta
x 系等のTa−N系、WC−TaC−Co−C系等の
W−Ta−Co−C系、WC−TiC−Co−C系等の
W−Ti−Co−C系、WC−TiC−TaC−Co−
C系等のW−Ti−Ta−Co−C系、W−Ti−C−
N系、W−Co−Ti−C−N系など)など多種多様の
超硬合金を挙げることができる。これらの中でも、特に
好ましい例として、たとえば、切削工具用などに好適な
WC系超硬合金(具体的には、たとえば、JIS B
4053において使用分類記号P01、P10、P2
0、P30、P40、P50等のPシリーズ、M10、
M20、M30、M40等のMシリーズ、K01、K1
0、K20、K30、K40等のKシリーズなどの切削
工具用等の超硬合金チップ、V1、V2、V3等のVシ
リーズなどの線引ダイス用、センタ用、切削工具用等の
超硬合金チップなどのWC−Co系等のW−Co−C系
超硬合金、WC−TiC−TaC−Co系等のW−Ti
−Ta−Co−C系超硬合金、あるいはこれらのTaの
一部をNbに変えたもの等々)などを挙げることができ
る。なお、これらには、上記以外の他の元素や添加成分
を含有しているものであってもよい。どのような材質お
よび形状の超硬合金を採用するかは、使用目的等に応じ
て適宜に選択すればよい。上記超硬合金の他に前述した
サーメットも基材の材料として使用することができる。
【0046】b−1.基材表面に形成される被覆層 基材表面に形成される被覆層としては、周期律表(IU
PAC)第IVA族に属する金属、殊にTi、Zr、H
f、同族VA族に属する金属、殊にV、Nb、Ta、お
よび同族VIA族に属する金属、殊にCr、Mo、Wか
らなる群から選択される少なくとも一種の金属、または
その炭化物、窒化物及び/または炭窒化物が用いられ
る。
【0047】これらの中でもさらに好ましいのは、金属
チタン、窒化チタン、炭化チタンおよび炭窒化チタンで
あり、また金属ニオブ、窒化ニオブ、炭化ニオブおよび
炭窒化ニオブである。これらはその一種で使用されても
良いし、また二種以上の各種の組成をもって使用されて
も良い。
【0048】前記窒化チタンとしては、たとえば、Ti
N、あるいは、TiNx 、TiN−Ti、Ti−N等に
よって表されるものなどを挙げることができる。前記炭
化チタンとしては、たとえば、TiC、あるいは、Ti
x 、TiC−C、TiC−Ti、TiC−Ti−C、
Ti−C等によって表されるものを挙げることができ
る。前記炭窒化チタンとしては、たとえば、TiCN、
TiC・TiN、TiCX ・TiNx 、TiC・TiN
−C、TiC・TiN−Ti、TiC・TiN−Ti−
C、Ti−N−C等によって表されるものを挙げること
ができる。
【0049】すなわち、前記チタンコートとしては、通
常Ti、TiN、TiCまたはTiCNで表されるもの
が好ましいが、これらの二種以上からなるものであって
もよく、さらには、これらの一種または二種以上に、T
i、Cおよび/またはN成分が過剰に含有しているもの
であってもよい。また、このチタンを含有する被覆層に
は、本発明の目的を阻害しない範囲で、Ti、Cおよび
N以外の他の元素もしくは成分を含有してもよい。
【0050】該被覆層を前記超硬合金製の基材の面上に
形成させる方法としては、一般に用いられている方法、
例えば一般に用いられるイオンプレーティング法やスパ
ッタ法等を採用することができる。
【0051】前記被覆層の膜厚としては、特に制限はな
いが、通常、100〜50,000Å、好ましくは1,
000〜30,000Åの範囲から、所望の厚みの固溶
体層が得られるように選択される。この膜厚が100Å
未満では中間層の効果が期待しがたく、また50,00
0Åを超えると中間層自身に内部応力を生ずることがあ
る。
【0052】−固溶体層− 基材自身を変質させる場合および基材の表面に形成した
被覆層を変質させる場合のいずれにおいても、形成され
る固溶体層は、周期律表(IUPAC)の第IVA族、
第VA族および第VIA族に属する金属から選択される
二種以上の金属の炭化物、窒化物および炭窒化物よりな
る群から選択される少なくとも一種からなる。
【0053】この「固溶体」は、例えば二種の金属から
なる場合には一般式M1 A12 A2 C、一般式M1 A12
A2 Nあるいは一般式M1 A12 A2 CNで表すことがで
きる。
【0054】ただし、M1 、M2 はそれぞれ周期律表
(IUPAC)の第IVA族(Ti,Zr,Hf)、第
VA族(V,Nb,Ta)および第VIA族(Cr,M
o,W)から選択される互いに異なる金属であり、A1
、A2 は正の実数である。また、三種以上の金属から
なる場合においても同様にM1 A12 A23 A34 A4
・・Mn An として表すことができる。
【0055】例えばM1 A12 A2 Cの状態を定性的に説
明すると、M1 原子とC原子とが一定の結晶構造を形成
しているところへ、M2 原子が結晶間に侵入したり、M
1 原子を置換したりして、固相の溶体を形成する、と言
える。
【0056】この固溶体は、X線回折法により容易に判
定することができる。この固溶体は、その断面をEDA
X(正式名称;Energy Dispersive Analysisof X-ray
s)で分析することにより、固溶する金属原子の組成及
び分布状態を確認することができる。そして前記EDA
Xによると、この固溶体は基材の表面から基材の内部に
向かって、固溶する金属の濃度が変化していくことが認
められる。前記固溶体に使用することのできる金属とし
て、具体的には、W、Ti、Ta、Mo、Nb、Cr、
V、Zr、Hfを挙げることができる。
【0057】前記固溶体の組成としては、特に制限がな
く、また固溶している金属の数にもよるが一つの金属が
全金属中において10〜90原子%、好ましくは40〜
80原子%で、残りを他の金属とするものが好ましい。
一つの金属が10原子%未満または90原子%を超える
ときには、ダイヤモンド類層との密着性が不十分になる
ことがある。具体的には、基材がWTiC系であるとき
には、Wが10〜90原子%、Tiが10〜90原子
%、WTiTaC系であるときにはWが10〜60原子
%、Tiが40〜80原子%、Taが10〜30原子%
であるものが好ましい。
【0058】固溶体層は、その表面(基材の表面とも言
い得る。)の粗さRaが、通常0.05〜1.5μmで
あり、好ましくは0.1〜1.0μmである。固溶体層
の表面粗さRaが前記値よりも大きいと、かえってダイ
ヤモンド類層との密着性が低下するし、また、前記値よ
りも小さいと、これまたダイヤモンド類層との密着性が
低下することがある。
【0059】形成された固溶体層の厚みは、均一で、か
つ薄いほど好ましい。厚いと、脆くなる傾向がある。固
溶体層の厚みとしては、通常0.1μm以上、好ましく
は0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜10μmで
ある。固溶体層が多孔質であるときの厚みは、特に、
0.1〜40μmであるのが良い。ここで、固溶体層の
厚みは、次のようにして決定することができる。すなわ
ち、固溶体層を有する基材をダイヤモンドホイールで切
断し、その切断断面をSEMにより観察することによ
り、多孔質層の厚みを決定することができる。
【0060】固溶体層は基材本体との明確な界面を形成
しているよりは、連続的に基材の組成へと固溶体層の組
成が移行していくのが好ましい。また、固溶体層は表面
全体を被覆しているのが好ましいのであるが、密着性を
阻害しない範囲で基材の表面に固溶体層で被覆されてい
ない非被覆部分が存在しても良い。
【0061】(2)ダイヤモンド類被覆部材の製造方法 上記したダイヤモンド類被覆部材は、基本的には、周期
律表の第IVA族、第VA族および第VIA族に属する
金属よりなる群から選択される二種以上の金属を含有す
る基材、または周期律表の第IVA族、第VA族および
第VIA族に属する金属から選択される少なくとも一種
の金属を含有する被覆層を有する基材を、不活性ガス雰
囲気中で1,000〜1,600℃で加熱処理して基材
表面に固溶体層を形成する加熱処理工程、および、その
固溶体層上に気相法によりダイヤモンド層を形成するダ
イヤモンド類層形成工程を経て製造される。もっとも、
本発明においては、前記加熱処理工程とダイヤモンド類
層形成工程との間に、脱コバルト処理工程および/また
は表面平滑化処理工程を挿入しても良い。以下、工程毎
に詳述する。
【0062】加熱処理工程 この工程においては、基材を所定の雰囲気下で所定の温
度に加熱することにより基材自体の表面を変質させ、あ
るいは基材の表面に特定の被覆層を形成し、しかる後に
所定の雰囲気下で所定の温度に加熱することによりその
特定の被覆層と基材との相互作用により、固溶体が形成
される。
【0063】基材自体の表面を変質させて固溶体を形成
する場合のその基材については前述の通りであり、また
基材の表面に特定の被覆層を形成し、しかる後に加熱処
理することにより固溶体を形成する場合のその基材およ
び被覆層についても前述の通りである。基材自体を加熱
して基材の表面層を変質させる加熱処理は、前記基材の
表面を、不活性ガスの雰囲気中において、一定の圧力下
で加熱することにより行われる。
【0064】前記不活性ガスとしては、アルゴンガス、
ヘリウムガス、ネオンガス、キセノンガス等の希ガスあ
るいは窒素ガス等を挙げることができる。そのなかでも
特にアルゴンガスを好適に使用することができる。ま
た、前記不活性ガス中に酸素ガス等の基材と反応するガ
スが混入していると、これらが前記基材と反応してしま
うので、前記不活性ガスにおいては、酸素ガス等の活性
ガスを極力除去しておくのが望ましい。
【0065】前記圧力は、基材の種類によって微妙に相
違するのであるが、一般的には通常、常圧もしくは3,
000気圧以下であり、好ましくは5〜3,000気圧
であり、特に好ましくは1,000〜3,000気圧で
ある。圧力が常圧よりも低い場合には、前記基材の表面
が望ましい状態に改良されない。また、圧力が3,00
0気圧を越えても、3,000気圧で行なった場合に得
られる効果に比べてそれ以上の効果が得られない。
【0066】前記温度は、基材の種類によって微妙に相
違するのであるが、一般的には1,000〜1,600
℃が好ましく、場合によっては1,200〜1,600
℃あるいは1,300〜1,450℃が好ましい。一般
的に温度が前記範囲外の場合には、前記基材の表面が望
ましい固溶体層に改良されない。
【0067】加熱処理をする時間は、温度条件によって
決まるので一概には言えないが、通常は1分間〜500
分間であるものの、場合によっては15分〜300分あ
るいは60〜300分間である。加熱処理をする時間が
1分間未満の場合には前記基材の表面の改質が不十分に
なる。また、加熱処理をする時間が500分間を越えた
場合には、表面の改質が進みすぎるので、前記基板の表
面において凹凸が増大し、基板の変形を招く危険性を伴
うので、好ましくない。なお、加熱処理は、プラズマ加
熱、光などの照射、通電、レーザー加熱、電解など、適
宜の方法で行なうことができる。
【0068】基材の表面に特定の被覆層を形成し、その
後に加熱処理をする場合、その加熱処理条件として加熱
温度は、通常は1,000〜1,600℃であるが、場
合によっては、1,200〜1,600℃あるいは13
00〜1,550℃である。また、加熱処理の雰囲気と
しては、アルゴン、ヘリウム、窒素ガス等の不活性ガス
である。加熱処理時の圧力としては、常圧もしくは3,
000気圧以下の加圧下、好ましくは5〜3,000気
圧の範囲から適宜に選択される。これらの雰囲気ガスや
圧力は、上記被覆層中の金属種によって適宜に決定され
る。
【0069】加熱処理をする時間は、温度条件によって
決まるので一概には言えないが、通常は1分間〜500
分間が好ましいのであるが、場合によっては15分〜3
00分あるいは60〜300分間が好ましいこともあ
る。加熱処理をする時間が1分間未満の場合には前記被
覆膜の改質が不十分になる。また、加熱処理をする時間
が500分間を越えた場合には、前述したのと同じよう
な不都合を生じるので、好ましくない。
【0070】いずれにしても加熱処理は、プラズマ加
熱、光などの照射、通電、レーザー加熱、電解など、適
宜の方法で行なうことができる。この加熱処理によって
基板の表面に、周期律表(IUPAC)の第IVA族、
第VA族および第VIA族に属する金属またはその炭化
物、窒化物及び炭窒化物からなる群から選択される少な
くとも一種からなる固溶体層が形成される。
【0071】脱コバルト処理工程 この脱コバルト処理工程では、ダイヤモンド類層形成工
程においてダイヤモンド類層を形成する際に固溶体層上
に形成されるダイヤモンド類を分解ないし他の炭素化合
物に変化させる触媒のような機能を有する金属種例えば
CoやNi等を前記固溶体層から除去する。なお、固溶
体層上に単に密着性の向上したダイヤモンド類層を形成
するのであれば、この脱コバルト処理工程を省略して、
次のダイヤモンド類層形成工程に進んでも良い。一方、
加工時の高温度によってもダイヤモンド類層が基材から
容易に剥離することのない加工工具としてのダイヤモン
ド類被覆部材を製造するときには、この脱コバルト処理
工程を実施するのが好ましい。
【0072】ともあれ、このような機能を有する脱コバ
ルト処理工程で実施される処理としては、例えば、酸に
よるエッチング処理、プラズマによるエッチング処理等
を挙げることができる。
【0073】上記酸としては、特に限定はないが、例え
ば、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸等を挙げることができ
る。また、上記酸の内その一種を単独で使用することも
できるし、また複数種の酸を併用することもできる。上
記の酸の中でも、硝酸とフッ酸との混酸、フッ化水素と
硝酸とから得られる混酸が特に好ましい。
【0074】以下、酸によるエッチング処理の一例とし
て、硝酸とフッ酸との混酸もしくはフッ化水素と硝酸と
から得られる混酸を使用する場合について詳細に記載す
る。ただし、本発明における酸によるエッチング処理
は、これに限定されない。
【0075】フッ化水素と硝酸とから得られる混酸を調
製するときのフッ化水素としては、フッ化水素そのもの
を使用することができるし、フッ化水素の水溶液である
フッ化水素酸の形態で使用することもできる。上記混酸
を使用する場合においては、フッ化水素と硝酸とから得
られる混酸中、フッ化水素が分解していないと仮定した
場合のそのフッ化水素の含有量は、通常5〜50モル
%、好ましくは10〜40モル%である。また、この混
液中における硝酸濃度としては、通常5〜65モル%で
あり、好ましくは15〜60モル%である。上記の範囲
内で混酸中にフッ化水素と硝酸とが含有されていると、
そのような混酸で処理した固溶体層上に密着性の高いダ
イヤモンド類膜を形成することができる。上記した範囲
内にフッ化水素が含有されるようにするには、フッ化水
素酸を使用するときには、10〜50%、好ましくは2
0〜46%のフッ化水素を含有するフッ化水素酸が好ま
しい。また、硝酸としては、濃度が30〜70%、特に
30〜61%である硝酸が好ましい。実際的見地からす
ると、フッ化水素と硝酸とから得られる混酸としては、
実質的にフッ化水素酸と硝酸とからなる混合物が好まし
く、必要に応じて他の無機酸、例えば硫酸等を混合して
なる混合物を使用することもできる。実質的にフッ化水
素酸と硝酸とからなる混合物を採用する場合、フッ化水
素および硝酸が前述した含有量になるようにフッ化水素
酸および硝酸それぞれの濃度を調製するのがよい。
【0076】本発明における酸によるエッチング処理と
しては、通常、前記酸中に基材を浸漬する手法、固溶体
層の表面に前記酸をスプレイする手法等、各種の方法を
採用することができる。要するに、ダイヤモンド類膜を
形成するべき固溶体層の所定表面を前記酸と接触させる
ことができればよいのである。
【0077】前記酸によるエッチング処理の温度として
は、特に限定はないが、例えば、上記混酸を使用する場
合には、通常20〜100℃が好ましく、特に50〜9
5℃が好ましい。処理温度が20℃より低い場合には、
固溶体層の表面のエッチングに時間を要したり、Coが
十分にエッチングされないことがある。また、処理温度
が100℃より高い場合には、固溶体層の表面のエッチ
ングが激しく進行するため制御性が悪くなる。
【0078】前記酸によるエッチング処理の時間として
は、十分にエッチングが施される限り特に限定はない
が、例えば、上記混酸を使用する場合には、通常0.5
秒〜300秒が好ましく、特に1秒〜120秒が好まし
い。処理時間が0.5秒より短い場合には、エッチング
処理が不十分になる場合がある。また、300秒より長
い場合には、エッチング処理が進み過ぎて密着性が低下
する場合がある。
【0079】前記酸によるエッチング処理の圧力として
は、特に限定はないが、例えば、上記混酸を使用する場
合には、加圧下で行なってもよい。圧力としては、通
常、1〜5気圧の加圧下に行なうのが好ましく、特に好
ましくは、2〜5気圧の加圧下である。
【0080】前記プラズマによるエッチング処理におい
ては、例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、フ
ッ化炭素、炭素化合物、窒素ガス、酸素ガス等、あるい
はこれらの混合物等のプラズマを挙げることができる。
そのなかでも、特にアルゴン、あるいは、炭酸ガス60
〜90%および水素ガス40〜10%の混合ガス、窒素
ガスが好ましい。
【0081】プラズマ化する方法としては、特に制限は
なく、一般的なダイヤモンドあるいはダイヤモンド膜の
気相合成法に利用されるプラズマ化法等の各種の方法に
よるプラズマ処理法が適用可能である。具体的には、例
えば、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズマC
VD法、熱フィラメント法、ECR法等、あるいこれら
の組み合わせ法等を挙げることができる。これらの中で
も、特に、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズ
マCVD法等が好ましい。また、後述するダイヤモンド
の気相合成に際して採用されるCVD法と同じCVD法
を採用すると、装置構成上便利である。
【0082】プラズマによりエッチング処理を行なう場
合の反応条件としては、従来通りの条件によって行うこ
とができる。例えば、処理圧力としては、10〜100
torrの範囲内が好ましい。圧力が前記の範囲より高
いと処理の制御性が悪く、また、低いと処理に時間がか
かる。固溶体層の表面の温度としては、500〜1,1
00℃の範囲内、好ましくは700〜900℃である。
温度が前記の範囲より高いと処理の制御性が悪く、再現
性が悪いし、また、低いと処理に時間がかかる。処理時
間は、1分〜200分、好ましくは60分である。
【0083】本発明において上記のようなエッチング処
理を行なうことにより、固溶体層の表面に存在する活性
金属例えばCo等を除去することができる。それゆえ、
基材とダイヤモンド類膜との密着性を向上させることが
でき、ダイヤモンド類被覆部材を加工工具として使用し
た場合に、加工時の高温度によってダイヤモンド類層が
劣化し、ないし剥離することが有効に防止される。
【0084】表面平滑化処理工程 この表面平滑化処理工程は、固溶体層の表面粗さを低減
させ、これによって固溶体層上に形成されるダイヤモン
ド類層の表面粗さを小さくすることを目的とする。ダイ
ヤモンド類層の表面粗さが小さくなると、このダイヤモ
ンド類被覆部材を研削工具、切削工具、研磨工具等の加
工部材として使用した場合に、相手被加工部材の加工面
を極めて平滑にすることができ、加工面精度の向上を図
ることができるようになる。したがって、この表面平滑
化処理工程を経て製造されたダイヤモンド類被覆部材
は、精密加工、精密仕上げの可能な加工工具として使用
することができる。
【0085】表面平滑化処理工程においては、固溶体層
の表面を平滑にすることができる処理操作を含んでいる
限りにおいてその処理操作につき特に制限がなく、具体
的には、研削、ラッピング、ポリッシング、ケミカルエ
ッチング、エレクトロケミカルエッチング(電解研
磨)、レーザーエッチング等の処理操作を含むことがで
きる。
【0086】例えば、上記ラッピングの方法において
は、砥粒を用いて固溶体層の表面を砥ぐ方法を挙げるこ
とができ、上記砥粒としては、例えばダイヤモンドスラ
リー、炭化珪素スラリー等を挙げることができる。ま
た、例えば、下記のような電解研磨を行なうことができ
る。
【0087】上記電解研磨においては、基材が正極に、
対向電極が負極になるように、対向電極を設けて前記固
溶体層の表面の電解研磨を行なう。上記電極の材質とし
ては、電解研磨中に基材の表面を阻害するような物質例
えばガスを発生するものでなければよく、特に制限はな
いが、例えば、ステンレスカーボン等を挙げることがで
きる。
【0088】前記電解研磨における電圧は、通常2〜1
0Vが好ましく、特に、3〜10Vが好ましい。電圧が
2Vよりも低い場合には、研磨速度が小さく、非能率的
である。また、電圧が10Vより高い場合には、研磨速
度が大きくなり過ぎて制御性が悪く、必要以上に研磨さ
れることがある。
【0089】前記電解研磨における電流は、単位面積当
たりの電流が0.01〜5A/cm2 であるのが好まし
く、特に、0.1〜1A/cm2 が好ましい。単位面積
当たりの電流が0.01A/cm2 より小さい場合に
は、研磨速度が小さくて効率が悪く、5A/cm2 より
大きい場合には、研磨速度が大きくなり過ぎて制御性が
低下する。
【0090】前記電解研磨における処理時間は、前記基
材の形状および前記電流の大きさ等により一概に決定す
ることはできないが、通常0.1〜60分間であるのが
好ましく、特に1〜30分間であるのが好ましい。前記
電解研磨における電解液としては、特に限定はないが、
例えば塩酸と過酸化水素酸との混合溶液、硝酸水溶液等
を挙げることができる。
【0091】本発明においては、どのような処理操作を
実行するにしても、処理後の固溶体層の表面粗度Ra
が、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜
0.4μmで、Rmaxが0.3〜3μmになるように
表面平滑化処理を行なうのが好ましい。
【0092】一般に、ダイヤモンド類層の膜質、および
ダイヤモンド類層の合成条件にもよるが、ダイヤモンド
類層を合成する固溶体層の表面粗度Ra(s)とその表
面に形成されるダイヤモンド類層の表面粗度Ra(d)
との間に、Ra(d)≒k・Ra(s)(kは通常1〜
10、主に1〜3)の関係がある。したがって、Ra
(s)の値が小さいほどダイヤモンド類層の表面粗度R
a(d)の値を低減することができ、仕上面の粗さに優
れたダイヤモンド類被覆部材を得ることができる。
【0093】しかしながら、本発明の方法において、前
記加熱処理工程を施すことにより、基材の表面粗度Ra
(s)が固溶体層形成前の基材の表面粗度に比べて10
倍程度大きくなる。それゆえ、ダイヤモンド類の合成を
行なうのに先立って上記表面平滑化処理を施こしてRa
(s)の値を上記範囲内にすることにより、その結果、
Ra(d)の小さい優れたダイヤモンド類層を形成する
ことができる。
【0094】本発明においては、表面平滑化処理後の固
溶体層の厚みは、均一で、かつ薄いほど好ましく、通常
0.1μm以上、好ましくは0.5〜30μm、さらに
好ましくは1〜10μmである。このように、本発明に
おいて、上記表面平滑化処理を行なうことにより、ダイ
ヤモンド類層を形成する基材の表面を平滑化することが
できるので、仕上り面粗度に優れたダイヤモンド被覆部
材を製造することができる。それゆえ、被削材ないし被
加工部材を切削ないし加工する際にダイヤモンド類被覆
部材に被削材が溶着するのを防ぐことができ、被覆部材
の寿命を延ばすことができるという効果がある。
【0095】本発明においては、上述の表面平滑化処理
を行なった後、通常の場合、この基材を純水で洗浄し、
乾燥する。また、純水で洗浄した後に、例えば、アセト
ン等の有機溶媒による洗浄を行なってもよい。
【0096】ダイヤモンド類層形成工程 このダイヤモンド類層形成工程においては、上述の固溶
体形成工程により形成された固溶体層上に、もしくは、
さらに脱コバルト処理工程および/または表面平滑化処
理工程を経た固溶体層上に、ダイヤモンド類を合成す
る。
【0097】なお、ここでいうダイヤモンド類とは、ダ
イヤモンドの他に、ダイヤモンド状炭素を一部において
含有するダイヤモンドおよびダイヤモンド状炭素を含
む。
【0098】ダイヤモンド類層の形成方法としては、従
来から各種の方法が知られており、特に限定はないが、
本発明の方法においては、以下に示すように、炭素源ガ
スを使用する気相合成法を好適に採用することができ
る。
【0099】上記炭素源ガスとしては、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水
素;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系
炭化水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化
水素;ブタジエン、アレン等のジオレフィン系炭化水
素;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シクロブタジエ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳
香族炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコ
ール類;このほかの含酸素炭化水素;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のアミン類;このほかの含窒素
炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭素、過酸化炭素等を挙げ
ることができる。これらの中でも、好ましいのはメタ
ン、エタン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エタ
ノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、ベン
ゾフェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、
特に一酸化炭素が好ましい。
【0100】なお、これらは一種単独で用いても良く、
二種以上の化合物を混合して用いることもできる。ま
た、通常の場合、これらは水素等の活性ガスやヘリウ
ム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素等の不活性ガス
と混合して用いられる。炭素源ガスの濃度は用いるガス
の種類により相違して一概に決定することはできない
が、通常0.5〜50容量%、好ましくは1〜20容量
%である。炭素源ガス濃度が高いとダイヤモンド膜中に
ダイヤモンド状炭素が含有量が高くなる傾向が見られ
る。
【0101】前記ダイヤモンド類層の形成には、公知の
方法、例えば、CVD法、PVD法、あるいはこれらを
組み合わせた方法等、各種のダイヤモンド類薄膜気相合
成法を使用することができ、これらの中でも、通常、E
ACVD法を含めた各種の熱フィラメント法、熱プラズ
マ法を含めた各種の直流プラズマCVD法、熱プラズマ
法を含めたマイクロ波プラズマCVD法等を好適に使用
することができる。
【0102】ダイヤモンド類層の形成条件としては、特
に制限はなく、前記の気相合成法に通常に用いられる反
応条件を適用することができる。例えば、反応圧力とし
ては、通常、10-6〜103 Torrが好ましく、特に
1〜800Torrの範囲内であるのが好ましい。反応
圧力が10-6Torrよりも低い場合には、ダイヤモン
ド類層の形成速度が遅くなることがある。また、103
Torrより高い場合には、103 Torrの時に得ら
れる効果に比べて、それ以上の効果がない。
【0103】前記基材の表面温度としては、前記原料ガ
スの活性化手段等により異なるので、一概に規定するこ
とはできないが、通常、300〜1,200℃、好まし
くは、450〜1,000℃の範囲内にするのがよい。
この温度が300℃よりも低い場合には、結晶性のダイ
ヤモンド類層の形成が不十分になることがある。また、
温度が1,200℃を超える場合においては、形成され
たダイヤモンド類層のエッチングが生じ易くなる。
【0104】反応時間としては、特に限定はなく、ダイ
ヤモンド類層が所望の厚みとなるように、ダイヤモンド
類層の形成速度に応じて適宜に設定するのが好ましい。
前記基材の表面に形成させるダイヤモンド類層の厚み
は、ダイヤモンド類被覆部材の使用目的等により異なる
ので一律に定めることはできないが、工具の場合、通常
は1μm以上、好ましくは、3〜50μm以上が適当で
ある。ダイヤモンド類層が薄すぎる場合には、基材の表
面を十分に被覆することができないことがある。このよ
うにして、前記中間層の表面にダイヤモンド薄膜が形成
される際に、原料の炭素源ガスと中間層の金属とが反応
して、中間層の金属が炭化され、次いでダイヤモンドが
生成することになるので、中間層とダイヤモンド薄膜と
の間の密着性が向上する。
【0105】以上のようにして、本発明の方法により、
ダイヤモンド類被覆部材を製造することができる。以下
のようにして得られたダイヤモンド類被覆部材を切削工
具として用いる場合には、切削用チップの刃先の部分の
整形を行なう。
【0106】この整形には、切削チップの逃げ面に堆積
したダイヤモンド被膜も、ダイヤモンド砥石によって一
部あるいは全部を削り落とし、切削チップの表面と逃げ
面との稜線の角度が70度ないし100度をなす鋭利な
刃先となるように加工する。このように整形することに
より、切削性能に優れた切削チップとすることができ
る。
【0107】
【実施例】以下、本発明の実施例およびその比較例によ
って本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実
施例および比較例におけるダイヤモンド類層と基材との
密着性、表面粗度および仕上面の粗さの評価は次のよう
にして行なった。
【0108】ダイヤモンド類層の密着性の評価法(イン
デンテーション法) ロックウェル硬さ計を用いて、荷重60kg・f、保持
時間30秒間の条件で、試験片(ダイヤモンド類層被覆
基材)のダイヤモンド類層面から圧子を基材に押し込
み、該圧子によるそのダイヤモンド類層の剥離面積を求
め、この測定値の大小によってダイヤモンド類層の基材
に対する密着性の良否(大小)を評価した。
【0109】触針式の表面粗さ計を用い、基材表面の3
mmの区間について測定した結果で評価した。また、以
下の実施例および比較例において形成された固溶体層の
確認は次のようにして行なった。
【0110】固溶体層の確認 固溶体層をX線分析した。各実施例における基材表面を
X線分析することにより測定された格子定数を表1およ
び表2に示した。なお、WCの格子定数は4.214Å
である。表1および表2に示した格子定数がWCのそれ
とは異なっていることから、固溶体を形成していること
がわかる。またSEMによると、加熱処理面を有する基
材の断面写真における表面のコントラストが基材内部の
それと異なっていることと、EDAXによる表面組成か
らもその存在が確認された。
【0111】(実施例1〜7)表1に示されるサイズ1
2.7mmx12.7mm角の超硬合金製の基材を、表
1に示す各々の固溶体層形成条件で加熱処理した。実施
例1〜7につき、加熱処理により固溶体層を形成した基
材の表面に下記の条件でダイヤモンド類層を形成させ、
各ダイヤモンド類被覆部材を得た。なお、形成したダイ
ヤモンド類層の膜厚は、いずれの場合もほぼ25μmで
あった。
【0112】ダイヤモンド類層の合成条件 原料ガス:CO(15容量%)とH2 (85容量%)と
の混合ガス ガス流量:10sccm 合成条件:反応圧力40Torr,基板温度900℃,
合成時間10時間 合成方法(原料ガス励起法):マイクロ波プラズマCV
D法 マイクロ波周波数:2,45GHz(350W) 形成された膜がダイヤモンドであることは、ラマンスペ
クトルによって確認された。上記で得た、各ダイヤモン
ド類被覆部材(試験片)に対して、前記のインデンテー
ション法によって、ダイヤモンド類層と基材との密着性
を評価した。その結果を、表1に示す。
【0113】(実施例8〜19)表2に示す切削工具用
チップであるサイズ12.7mmx12.7mm角の超
硬合金製の基材の表面に、スパッタリング法により表2
に示す被覆物からなる厚み1.5μmの薄層を被覆し
た。次いで表2に示す各々の固溶体層生成条件でこれを
加熱処理した。ここで、それぞれの超硬合金製基材に用
いたK01、K10、K20およびP10は、それぞ
れ、JIS B 4053に基づく、超硬合金チップの
使用分類記号を示し、これらの超硬合金は、それぞれ、
以下に示す組成を有している。
【0114】超硬合金製基材の組成 K01:WC−Co系(W:91重量%,Co:5重量
%,C:4重量%) K10:WC−Co系(W:87重量%,Co:7重量
%,C:6重量%)の超硬合金 K20:WC−Co系(W:87重量%,Co:8重量
%,C:5重量%)の超硬合金 P10:WC−TiC−TaC−Co系(W:50重量
%,Ti:16重量%,Ta:17重量%,Co:9重
量%,C:8重量%)の超硬合金 加熱処理により固溶体層を形成した基材の表面に、前記
実施例1〜7におけるのと同様にしてダイヤモンド類層
を形成させ、各ダイヤモンド類被覆部材を得た。なお、
形成したダイヤモンド類層の膜厚は、いずれの場合もほ
ぼ25μmであった。形成された膜がダイヤモンドであ
ることは、ラマンスペクトルによって確認された。上記
で得た、各ダイヤモンド類被覆部材(試験片)に対し
て、前記のインデンテーション法によって、ダイヤモン
ド類層と基材との密着性を評価した。その結果を、表2
に示す。
【0115】(比較例1〜5)比較例1〜4について
は、切削工具用チップであるサイズ12.7mm×1
2.7mm角の超硬合金製の基材の表面に、比較例5に
ついては表1に示す組成の超硬合金製の基材の表面に、
それぞれ固溶体層を形成することなく、前記実施例と同
じ条件にてダイヤモンド類層を形成した。前記実施例と
同様にしてダイヤモンド類層の密着性を評価し、比較例
5の結果を表1に、比較例1〜4の結果を表2に示し
た。
【0116】(実施例20)基材として炭化タングステ
ン系超硬合金(W:84.9重量%,Ti:2.3重量
%,Ta:1.6重量%,Co:4.9重量%,C:
6.3重量%)からなるサイズ12.8mm×12.8
mm角のJIS B 4053に基づくチップ(SPG
N422)を用いた。この基材の表面をアルゴンガス雰
囲気下において2,000気圧、1,350℃で、1時
間加熱処理をした。次に、この加熱処理済の基材を、フ
ッ酸(濃度46%)と硝酸(濃度61%)とを1:1の
混合比で混合した溶液に含浸して基材の表面にエッチン
グ処理を施し、基材表面におけるCoを除去した。その
後、原料ガスをCO(20容量%)とH2 (80容量
%)との混合ガスに代えた他は、実施例1と同様にし
て、マイクロ波プラズマCVD法を用いてダイヤモンド
類層を基材の表面に合成した。なお、得られたダイヤモ
ンド類層の厚さは25μmであった。
【0117】形成された膜がダイヤモンドであること
は、ラマンスペクトルによって確認された。上記で得
た、各ダイヤモンド類被覆部材(試験片)に対して、前
記のインデンテーション法によって、ダイヤモンド類層
と基材との密着性を評価した。その結果、ダイヤモンド
類層の剥離面積は極めて小さく、密着性は大であった。
【0118】(実施例21)基材を、窒化チタン系サー
メット(TiN:59重量%,Ni:6重量%,Co:
9重量%,MoC:26重量%)に代えた他は実施例1
と同様にして基材上にダイヤモンド類層を合成した。形
成された膜がダイヤモンドであることは、ラマンスペク
トルによって確認された。上記で得た、各ダイヤモンド
類被覆部材(試験片)に対して、前記のインデンテーシ
ョン法によって、ダイヤモンド類層と基材との密着性を
評価した。その結果、ダイヤモンド類層の剥離面積は極
めて小さく、密着性は大であった。
【0119】(実施例22)エッチング処理の代わりに
窒素のプラズマによる処理を20分間行なった他は実施
例20と同様にして、基材上にダイヤモンド類層を合成
した。形成された膜がダイヤモンドであることは、ラマ
ンスペクトルによって確認された。上記で得た、各ダイ
ヤモンド類被覆部材(試験片)に対して、前記のインデ
ンテーション法によって、ダイヤモンド類層と基材との
密着性を評価した。その結果、ダイヤモンド類層の剥離
面積は極めて小さく、密着性は大であった。
【0120】(実施例23〜26)基材として、WC−
TiC−Co系超硬合金(WC:92.5重量%,Ti
C:2.5重量%,Co:5重量%)またはWC−Ta
C−Co系超硬合金(WC:90重量%,TaC:5重
量%,Co:5重量%)を用いた。この基材に、アルゴ
ンガス雰囲気下で2000気圧において、表1に示す各
々の固溶体層形成条件でヒーターによる加熱処理を行な
った。形成された固溶体層の各々の厚みを表3に示す。
【0121】その後、形成された固溶体層の表面に、粒
径が0〜1μmのダイヤモンドスラリーを砥粒としてラ
ッピング処理を施した。ラッピング後の固溶体層の表面
粗度Ra(s)を上記表面粗度の評価法により評価し
た。その結果を、表3に示した。次に、ラッピングされ
た固溶体層の表面に、実施例1と同様にしてダイヤモン
ド類層を合成した。形成された膜がダイヤモンドである
ことは、ラマンスペクトルによって確認された。
【0122】得られた各ダイヤモンド類被覆部材につ
き、前記のインデンテーション法によって、ダイヤモン
ド類層と基材との密着性を評価した。また、各ダイヤモ
ンド類層の表面粗度Ra(d)について、上記表面粗度
の評価法により評価した。これらの結果を、表3に示
す。
【0123】(実施例27〜29)表3に示す基材を各
々使用し、実施例23と同様の方法で固溶体層を形成し
た。得られた固溶体層の厚みを、表3に示す。次に、得
られた固溶体層に、下記の条件で電解研磨を行なった。
【0124】電解研磨の条件 電解液: HCl濃度10%の水溶液1,000mlと
22 25mlの混合溶液 カソード:SUS304板 電圧:3V 電解時間:5秒 電解研磨された固溶体層の表面粗度を実施例23と同様
の方法で測定した結果を表3に示す。
【0125】次に、上記電解研磨を行なった固溶体層の
表面に、実施例23と同様にしてダイヤモンド類層を合
成しダイヤモンド類被覆部材を製造した。得られた各ダ
イヤモンド類被覆部材に対して、実施例23と同様にし
て、ダイヤモンド類層と基材との密着性、ダイヤモンド
類層の表面粗度Ra(d)を評価した。これらの結果を
表に示す。
【0126】なお、参考のため、実施例23におけるラ
ッピング処理をする前の基材表面の固溶体層の表面粗度
Ra(s)と、ラッピング処理することなくダイヤモン
ド類層を形成したときの該層の表面粗度Ra(d)を参
考例1として、表3中に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
【効果】この発明によると、基材がその表面に固溶体層
を有し、しかも固溶体層の表面にダイヤモンド類層を形
成しているので、基材に対する密着性の著しく向上した
ダイヤモンド類層を有するダイヤモンド類被覆部材を提
供することができる。このダイヤモンド類被覆部材は、
切削工具、研磨工具、研削工具等の加工工具として好適
に使用される。
【0131】また、この発明によると、このダイヤモン
ド類被覆部材を製造するに当たり、固溶体層を形成した
後に、脱コバルト処理を実施すると、ダイヤモンド類層
の形成時に固溶体層に析出したダイヤモンド類が分解な
いし劣化することなく、ダイヤモンド類層を効率良く形
成することのできるダイヤモンド類被覆部材の製造方法
を提供することができる。そしてこのダイヤモンド類被
覆部材の製造方法によると、固溶体層の表面にはダイヤ
モンド類の分解あるいは劣化に寄与するコバルト等の金
属種の量が著しく低減しているので、このダイヤモンド
類被覆部材の製造方法によって得られるダイヤモンド類
被覆部材は、それを加工工具として使用した場合に、加
工時の高温度によってもダイヤモンド類層の劣化ないし
剥離のない優れた工具とすることができる。
【0132】さらにまた、この発明によると、固溶体層
の表面を平滑化する処理を行っているので、表面平滑な
固溶体層上に形成されたダイヤモンド類層の表面も平滑
にすることができ、得られるダイヤモンド類被覆部材を
加工工具として使用する場合において、相手被加工部材
の加工面における面精度を著しく向上させることのでき
るダイヤモンド類被覆部材を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期律表の第IVA族、第VA族および
    第VIA族に属する金属よりなる群から選択される二種
    以上の金属の炭化物、窒化物および炭窒化物よりなる群
    から選択される少なくとも一種からなる固溶体層を表面
    に有する基材と、その固溶体層上に形成されたダイヤモ
    ンド類層とを有することを特徴とするダイヤモンド類被
    覆部材。
  2. 【請求項2】 周期律表の第IVA族、第VA族および
    第VIA族に属する金属よりなる群から選択される二種
    以上の金属を含有する基材、または周期律表の第IVA
    族、第VA族および第VIA族に属する金属から選択さ
    れる少なくとも一種の金属を含有する被覆層を有する基
    材を、不活性ガス雰囲気中で1,000〜1,600℃
    で加熱処理して基材表面に固溶体層を形成し、その固溶
    体層上に気相法によりダイヤモンド層を形成することを
    特徴とするダイヤモンド類被覆部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 周期律表の第IVA族、第VA族および
    第VIA族に属する金属よりなる群から選択される二種
    以上の金属を含有する基材、または周期律表の第IVA
    族、第VA族および第VIA族に属する金属から選択さ
    れる少なくとも一種の金属を含有する被覆層を有する基
    材を、不活性ガス雰囲気中で1,000〜1,600℃
    で加熱処理して基材表面に固溶体層を形成し、その固溶
    体層に脱コバルト処理を施してから、その固溶体層上に
    気相法によりダイヤモンド層を形成することを特徴とす
    るダイヤモンド類被覆部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 周期律表の第IVA族、第VA族および
    第VIA族に属する金属よりなる群から選択される二種
    以上の金属を含有する基材、または周期律表の第IVA
    族、第VA族および第VIA族に属する金属から選択さ
    れる少なくとも一種の金属を含有する被覆層を有する基
    材を、不活性ガス雰囲気中で1,000〜1,600℃
    で加熱処理して基材表面に固溶体層を形成し、その固溶
    体層表面に平滑化処理を施してから、その固溶体層上に
    気相法によりダイヤモンド層を形成することを特徴とす
    るダイヤモンド類被覆部材の製造方法。
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