JPH06183777A - 光学素子成形用ガラス素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法 - Google Patents
光学素子成形用ガラス素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法Info
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- JPH06183777A JPH06183777A JP5023940A JP2394093A JPH06183777A JP H06183777 A JPH06183777 A JP H06183777A JP 5023940 A JP5023940 A JP 5023940A JP 2394093 A JP2394093 A JP 2394093A JP H06183777 A JPH06183777 A JP H06183777A
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- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C23/00—Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
-
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- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
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- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C23/00—Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
- C03C23/008—Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments comprising a lixiviation step
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 金型でガラスを熱プレス成形してガラス光学
素子を形成する際、ガラス内部の鉛等を外部に析出し難
くして金型への鉛等の付着を生じ難くすることができ、
金型の面精度の劣化を抑えて金型の寿命を延ばすことを
目的とする。 【構成】 鉛及び鉛含有化合物を含有する光学素子成形
用ガラス素材において、化学処理及び物理処理が施され
るとともに、該ガラス表層から600オングストローム
の範囲における該修飾イオン成分の原子量濃度が、
(1)式で曲線近似される濃度勾配を有してなるように
該修飾イオン成分が含有してなるように構成する。 Y=A0+A1×X+A2×X^2+A3×X^3+A
4×X^4+A5×X^5+A6×X^6+A7×X^
7+A8×X^8+A9×X^9+A10×X^10+
e(x) (1) (但しYは修飾イオンの原子濃度、Xはガラス最表層か
らの深さを表す。)
素子を形成する際、ガラス内部の鉛等を外部に析出し難
くして金型への鉛等の付着を生じ難くすることができ、
金型の面精度の劣化を抑えて金型の寿命を延ばすことを
目的とする。 【構成】 鉛及び鉛含有化合物を含有する光学素子成形
用ガラス素材において、化学処理及び物理処理が施され
るとともに、該ガラス表層から600オングストローム
の範囲における該修飾イオン成分の原子量濃度が、
(1)式で曲線近似される濃度勾配を有してなるように
該修飾イオン成分が含有してなるように構成する。 Y=A0+A1×X+A2×X^2+A3×X^3+A
4×X^4+A5×X^5+A6×X^6+A7×X^
7+A8×X^8+A9×X^9+A10×X^10+
e(x) (1) (但しYは修飾イオンの原子濃度、Xはガラス最表層か
らの深さを表す。)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学素子成形用ガラス
素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法に係り、
詳しくは、カメラ、PPC、FAX、光ディスク等に用
いられるレンズ、プリズム、ミラー等の光学部品やハイ
ブリッドレンズ(プラスチック+ガラス)、X線ガラス
光学素子等に適用することができ、特に、金型でガラス
素材を熱プレス成形する際、ガラス素子から鉛等を析出
し難くして金型への鉛等の付着を生じ難くし、金型の面
精度の劣化を抑えることができる光学素子成形用ガラス
素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法に関す
る。
素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法に係り、
詳しくは、カメラ、PPC、FAX、光ディスク等に用
いられるレンズ、プリズム、ミラー等の光学部品やハイ
ブリッドレンズ(プラスチック+ガラス)、X線ガラス
光学素子等に適用することができ、特に、金型でガラス
素材を熱プレス成形する際、ガラス素子から鉛等を析出
し難くして金型への鉛等の付着を生じ難くし、金型の面
精度の劣化を抑えることができる光学素子成形用ガラス
素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のガラスを用いた光学素子は、古く
から様々な分野に利用されており、これらのガラス光学
素子は、研磨による球面又は非球面創成が行われてき
た。近年、プラスチック等と同様にガラス素材を400
度以上の温度に加熱した後加圧し、所望の光学素子形状
を得るといったガラス光学素子の加圧成形法が研究さ
れ、実用化されつつある。この加圧成形法においては、
高温下でガラスと所望の光学素子を得るために高精度な
形状加工処理をされた金型とが接し、加圧された金型の
形状がガラスに転写される。このため、金型には耐高温
又は耐酸化性及び高強度であることが要求されている。
から様々な分野に利用されており、これらのガラス光学
素子は、研磨による球面又は非球面創成が行われてき
た。近年、プラスチック等と同様にガラス素材を400
度以上の温度に加熱した後加圧し、所望の光学素子形状
を得るといったガラス光学素子の加圧成形法が研究さ
れ、実用化されつつある。この加圧成形法においては、
高温下でガラスと所望の光学素子を得るために高精度な
形状加工処理をされた金型とが接し、加圧された金型の
形状がガラスに転写される。このため、金型には耐高温
又は耐酸化性及び高強度であることが要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、様々な
素材の金型を用いても金型の劣化を完全になくすことは
不可能であり、特に高屈折率かつ高分散であるフリント
系のガラス素材等は、金型を著しく劣化させる。具体的
には、このように、金型でフリント系ガラスを熱プレス
成形してガラス光学素子を形成すると、熱プレス成形時
にガラスの構成成分である鉛イオンがガラス内部から表
面に析出し、型との界面に拡散して型表面に存在する微
量のハイドロカーボン等の還元性物質と反応して金属鉛
となって金型表面に付着してしまう。このように金型表
面に鉛が付着すると、金型の面精度が劣化してしまい、
金型の寿命を著しく短くしてしまうという問題があっ
た。
素材の金型を用いても金型の劣化を完全になくすことは
不可能であり、特に高屈折率かつ高分散であるフリント
系のガラス素材等は、金型を著しく劣化させる。具体的
には、このように、金型でフリント系ガラスを熱プレス
成形してガラス光学素子を形成すると、熱プレス成形時
にガラスの構成成分である鉛イオンがガラス内部から表
面に析出し、型との界面に拡散して型表面に存在する微
量のハイドロカーボン等の還元性物質と反応して金属鉛
となって金型表面に付着してしまう。このように金型表
面に鉛が付着すると、金型の面精度が劣化してしまい、
金型の寿命を著しく短くしてしまうという問題があっ
た。
【0004】そこで、本発明は、金型でガラスを熱プレ
ス成形してガラス光学素子を形成する際、ガラス内部の
鉛等を外部に析出し難くして金型への鉛等の付着を生じ
難くすることができ、金型の面精度の劣化を抑えて金型
の寿命を延ばすことができるガラス光学素材、ガラス光
学素子成形品及びその製造方法を提供することを目的と
している。
ス成形してガラス光学素子を形成する際、ガラス内部の
鉛等を外部に析出し難くして金型への鉛等の付着を生じ
難くすることができ、金型の面精度の劣化を抑えて金型
の寿命を延ばすことができるガラス光学素材、ガラス光
学素子成形品及びその製造方法を提供することを目的と
している。
【0005】
【課題を解決するための手段】まず、請求項1〜12の発
明の解決手段について説明する。本発明による光学素子
成形用ガラス素材は、上記目的達成のため、鉛及び鉛含
有化合物を含有する光学素子成形用ガラス素材におい
て、化学処理及び物理処理が施されるとともに、該ガラ
ス表層から600オングストロームの範囲における修飾
イオン(ここではガラス内のシリコン、酸素以外の元素
のイオンを全て修飾イオンと定義する)成分の原子量濃
度が、以下に示す(1)式で曲線近似される濃度勾配を
有してなるように該修飾イオン成分が含有してなること
を特徴とする光学素子成形用ガラス素材。
明の解決手段について説明する。本発明による光学素子
成形用ガラス素材は、上記目的達成のため、鉛及び鉛含
有化合物を含有する光学素子成形用ガラス素材におい
て、化学処理及び物理処理が施されるとともに、該ガラ
ス表層から600オングストロームの範囲における修飾
イオン(ここではガラス内のシリコン、酸素以外の元素
のイオンを全て修飾イオンと定義する)成分の原子量濃
度が、以下に示す(1)式で曲線近似される濃度勾配を
有してなるように該修飾イオン成分が含有してなること
を特徴とする光学素子成形用ガラス素材。
【0006】 Y=A0+A1×X+A2×X^2+A3×X^3+A4×X^4+ A5×X^5+A6×X^6+A7×X^7+A8×X^8+ A9×X^9+A10×X^10+e(x) (1) (但し(1)式において、Yは修飾イオンの原子濃度
(アトミックパーセント)を表し、Xはガラス最表層か
らの深さを表し、A0、A1、A2、A3、A4、A
5、A6、A7、A8、A9、A10は定数を表し、^
はべき乗を表し、e(x)は誤差成分を表す)本発明に
おいては、前記修飾イオンのうち鉛成分の原子濃度が前
記ガラス最表層から深さ30Åから150Å間の領域に
おいて該領域以外の領域よりも小さくなるように鉛成分
が含有してなる場合が好ましく、このように、ガラス表
層から深さ30〜150Åの領域の鉛濃度をこの領域以
外の領域(30Åよりも浅い領域と150Åよりも深い
領域)の鉛濃度よりも小さくなるようにすると、熱プレ
ス成形時より効果的にガラス表層から深さ30〜150
Åの領域内に内部から拡散してくる鉛を閉じ込めること
ができる。これは鉛がガラス内に多量に含まれている場
合に特に有効である。また、前記ガラス表層から深さ3
0〜150Åまでの領域における鉛成分の原子濃度は2
at%以下である場合が好ましく、この場合、2at%
より大きい場合よりも該領域内に内部から拡散してくる
鉛を効率良く閉じ込めることができ、外部により析出し
難くすることができる。なお、この場合、本発明におい
ては、鉛成分の原子濃度は、深さが150オングストロ
ームから600オングストロームでバルクの鉛成分の原
子濃度まで回復する場合に好ましく適用させることがで
きる。
(アトミックパーセント)を表し、Xはガラス最表層か
らの深さを表し、A0、A1、A2、A3、A4、A
5、A6、A7、A8、A9、A10は定数を表し、^
はべき乗を表し、e(x)は誤差成分を表す)本発明に
おいては、前記修飾イオンのうち鉛成分の原子濃度が前
記ガラス最表層から深さ30Åから150Å間の領域に
おいて該領域以外の領域よりも小さくなるように鉛成分
が含有してなる場合が好ましく、このように、ガラス表
層から深さ30〜150Åの領域の鉛濃度をこの領域以
外の領域(30Åよりも浅い領域と150Åよりも深い
領域)の鉛濃度よりも小さくなるようにすると、熱プレ
ス成形時より効果的にガラス表層から深さ30〜150
Åの領域内に内部から拡散してくる鉛を閉じ込めること
ができる。これは鉛がガラス内に多量に含まれている場
合に特に有効である。また、前記ガラス表層から深さ3
0〜150Åまでの領域における鉛成分の原子濃度は2
at%以下である場合が好ましく、この場合、2at%
より大きい場合よりも該領域内に内部から拡散してくる
鉛を効率良く閉じ込めることができ、外部により析出し
難くすることができる。なお、この場合、本発明におい
ては、鉛成分の原子濃度は、深さが150オングストロ
ームから600オングストロームでバルクの鉛成分の原
子濃度まで回復する場合に好ましく適用させることがで
きる。
【0007】本発明によるガラス光学素子成形品は、上
記目的達成のため、前記請求項1乃至4記載の光学素子
成形用ガラス素材を用いて光学面の加圧成形を行った後
も前記請求項1の形式で表され、かつ前記請求項2乃至
4の条件を満たす濃度勾配を有してなるように鉛成分が
含有してなることを特徴とするものである。なお、熱プ
レス成形後のガラス光学素子成形品の鉛濃度は、熱プレ
ス成形前のガラス素材と比較して変化するのは言うまで
もない。
記目的達成のため、前記請求項1乃至4記載の光学素子
成形用ガラス素材を用いて光学面の加圧成形を行った後
も前記請求項1の形式で表され、かつ前記請求項2乃至
4の条件を満たす濃度勾配を有してなるように鉛成分が
含有してなることを特徴とするものである。なお、熱プ
レス成形後のガラス光学素子成形品の鉛濃度は、熱プレ
ス成形前のガラス素材と比較して変化するのは言うまで
もない。
【0008】本発明においては、前記請求項1の修飾イ
オンのうちカリウム成分の原子濃度が前記ガラス最表層
から、深さ30オングストロームから100オングスト
ローム間での領域において、該領域以外の領域よりも小
さくなるようにカリウム成分が含有してなる場合が好ま
しく、このように、ガラス表層から深さ30〜100Å
の領域のカリウム濃度をこの領域以外の領域(30Åよ
りも浅い領域と100Åよりも深い領域)のカリウム濃
度よりも小さくなるようにすると、熱プレス成形時より
効果的にガラス表層から深さ30〜100Åの領域内に
内部から拡散してくるカリウムを閉じ込めることができ
る。これはカリウムがガラス内に多量に含まれている場
合に特に有効である。また、前記ガラス表層から深さ3
0〜100Åまでの領域におけるカリウム成分の原紙濃
度は1.5at%以下である場合が好ましく、この場
合、1.5at%より大きい場合よりも該領域内に内部
から拡散してくるカリウムを効率良く閉じ込めることが
でき、外部により析出し難くすることができる。なお、
この場合、本発明においては、カリウム成分の原子濃度
は、深さが100オングストロームから600オングス
トロームでバルクのカリウム成分の原子濃度まで回復す
る場合に好ましく適用させることができる。
オンのうちカリウム成分の原子濃度が前記ガラス最表層
から、深さ30オングストロームから100オングスト
ローム間での領域において、該領域以外の領域よりも小
さくなるようにカリウム成分が含有してなる場合が好ま
しく、このように、ガラス表層から深さ30〜100Å
の領域のカリウム濃度をこの領域以外の領域(30Åよ
りも浅い領域と100Åよりも深い領域)のカリウム濃
度よりも小さくなるようにすると、熱プレス成形時より
効果的にガラス表層から深さ30〜100Åの領域内に
内部から拡散してくるカリウムを閉じ込めることができ
る。これはカリウムがガラス内に多量に含まれている場
合に特に有効である。また、前記ガラス表層から深さ3
0〜100Åまでの領域におけるカリウム成分の原紙濃
度は1.5at%以下である場合が好ましく、この場
合、1.5at%より大きい場合よりも該領域内に内部
から拡散してくるカリウムを効率良く閉じ込めることが
でき、外部により析出し難くすることができる。なお、
この場合、本発明においては、カリウム成分の原子濃度
は、深さが100オングストロームから600オングス
トロームでバルクのカリウム成分の原子濃度まで回復す
る場合に好ましく適用させることができる。
【0009】本発明によるガラス光学素子成形品の製造
方法は、上記目的達成のため、前記鉛成分濃度の濃度勾
配を得るために鉛含有ガラスを化学処理及び物理処理を
同時に行った後、該ガラスを加圧成形してガラス光学素
子成形品を形成する工程を含むものである。なお、この
場合、化学処理及び物理処理の後に水酸化ナトリウムや
水酸化カリウム等のアルカリ水溶液中での物理処理を施
してもよく、より品質に優れたガラス光学素子成形品を
得ることができる。
方法は、上記目的達成のため、前記鉛成分濃度の濃度勾
配を得るために鉛含有ガラスを化学処理及び物理処理を
同時に行った後、該ガラスを加圧成形してガラス光学素
子成形品を形成する工程を含むものである。なお、この
場合、化学処理及び物理処理の後に水酸化ナトリウムや
水酸化カリウム等のアルカリ水溶液中での物理処理を施
してもよく、より品質に優れたガラス光学素子成形品を
得ることができる。
【0010】本発明においては、前記化学処理は、酢
酸、硝酸、硫酸、塩酸等の酸の水溶液に浸漬して処理す
る場合が好ましく、この場合、ガラス内の鉛、カリウム
等を析出させることができる。なお、硝酸水溶液を用い
る場合は、その処理速度の点で好ましい濃度範囲は0.
5〜1.0mol以下である。そして更に、前記物理処
理は、超音波処理又はレーザー照射処理する場合が好ま
しく、この場合、超音波処理又はレーザー照射処理によ
りガラス表面部分を内部よりも効率良く加温することが
できるので、表面部分から、より効果的に鉛成分を析出
させることができる。またこの時、ガラスにカリウム以
外Na等のアルカリ金属や鉛以外の遷移金属が含有して
いる場合は、このような金属等も上記鉛、カリウムと同
様にガラス内部で濃度勾配を付けることができるものと
推定される。これにより、鉛、カリウム以外の金属への
付着も抑えられ、より効果が挙がるものと推定される。
また、前記加圧成形は、屈伏点以上で、かつ屈伏点から
60度以下の温度範囲で行う場合(更に好ましくは、屈
伏点以上で、かつ屈伏点から40度以下の温度範囲)が
好ましく、この場合、ガラス内部の鉛を溶け難くするこ
とができ、表面処理によって得られたガラス内部の鉛の
温度勾配を崩し難くすることができる。
酸、硝酸、硫酸、塩酸等の酸の水溶液に浸漬して処理す
る場合が好ましく、この場合、ガラス内の鉛、カリウム
等を析出させることができる。なお、硝酸水溶液を用い
る場合は、その処理速度の点で好ましい濃度範囲は0.
5〜1.0mol以下である。そして更に、前記物理処
理は、超音波処理又はレーザー照射処理する場合が好ま
しく、この場合、超音波処理又はレーザー照射処理によ
りガラス表面部分を内部よりも効率良く加温することが
できるので、表面部分から、より効果的に鉛成分を析出
させることができる。またこの時、ガラスにカリウム以
外Na等のアルカリ金属や鉛以外の遷移金属が含有して
いる場合は、このような金属等も上記鉛、カリウムと同
様にガラス内部で濃度勾配を付けることができるものと
推定される。これにより、鉛、カリウム以外の金属への
付着も抑えられ、より効果が挙がるものと推定される。
また、前記加圧成形は、屈伏点以上で、かつ屈伏点から
60度以下の温度範囲で行う場合(更に好ましくは、屈
伏点以上で、かつ屈伏点から40度以下の温度範囲)が
好ましく、この場合、ガラス内部の鉛を溶け難くするこ
とができ、表面処理によって得られたガラス内部の鉛の
温度勾配を崩し難くすることができる。
【0011】本発明に係るガラス光学素子成形品はカメ
ラ、複写機、ファクシミリ、プリンタ、光ディスク、C
D、CD−ROM、レンズ及びプリズム等を用いる光学
系に搭載して好ましく適用させることができる。本発明
に係るガラス光学素子成形品には、そのガラスレンズ表
面にMgF等の反射防止膜等のコーティングを行うよう
にしてもよいし、また、その光学面にコーティングを行
って反射ミラーを構成するようにしてもよい。
ラ、複写機、ファクシミリ、プリンタ、光ディスク、C
D、CD−ROM、レンズ及びプリズム等を用いる光学
系に搭載して好ましく適用させることができる。本発明
に係るガラス光学素子成形品には、そのガラスレンズ表
面にMgF等の反射防止膜等のコーティングを行うよう
にしてもよいし、また、その光学面にコーティングを行
って反射ミラーを構成するようにしてもよい。
【0012】次に、本発明においては、次のような手段
を好ましく適用させることができる。本発明において
は、光学素子のプレス成形に用いるガラスブランクの表
面にプレス時の融着を防止する改質層を生成させてなる
プレス成形用ガラス材において、上記改質層をガラスブ
ランクを酸溶液中で超音波処理を行って生成するように
した構成とする場合が好ましい。この場合、プレス成形
用ガラス材は、上記改質層がガラスブランク中の装飾イ
オンを欠乏させたイオン溶出層を生成させてなる構成と
するのが好ましく、また、上記イオン溶出層が、装飾イ
オン濃度がバルクの10%以下で厚さが50〜150Å
である低イオン濃度層と、厚さが150〜300Åでバ
ルクの金属濃度まで回復する濃度勾配層とからなる構成
とするのが好ましい。
を好ましく適用させることができる。本発明において
は、光学素子のプレス成形に用いるガラスブランクの表
面にプレス時の融着を防止する改質層を生成させてなる
プレス成形用ガラス材において、上記改質層をガラスブ
ランクを酸溶液中で超音波処理を行って生成するように
した構成とする場合が好ましい。この場合、プレス成形
用ガラス材は、上記改質層がガラスブランク中の装飾イ
オンを欠乏させたイオン溶出層を生成させてなる構成と
するのが好ましく、また、上記イオン溶出層が、装飾イ
オン濃度がバルクの10%以下で厚さが50〜150Å
である低イオン濃度層と、厚さが150〜300Åでバ
ルクの金属濃度まで回復する濃度勾配層とからなる構成
とするのが好ましい。
【0013】上記酸溶液には酢酸、硝酸、硫酸、塩酸等
の酸の水溶液を好適に用いることができる。上記改質層
は、超音波処理の後に水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ム等のアルカリ水溶液中での超音波処理を追加して生成
した構成とするのが好ましく、また、酸溶液中のガラス
ブランクに対してレーザー照射を行って生成させた構成
とするのが好ましい。
の酸の水溶液を好適に用いることができる。上記改質層
は、超音波処理の後に水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ム等のアルカリ水溶液中での超音波処理を追加して生成
した構成とするのが好ましく、また、酸溶液中のガラス
ブランクに対してレーザー照射を行って生成させた構成
とするのが好ましい。
【0014】次に、本発明においては、次のような手段
を好ましく適用させることができる。図8は本発明と比
較例の場合における熱プレス成形後のガラス最表面から
の各深さに対する鉛及びカリウム濃度と成形時の現象を
示す図である。なお、ここでの成形条件は後述する実施
例と同条件である。
を好ましく適用させることができる。図8は本発明と比
較例の場合における熱プレス成形後のガラス最表面から
の各深さに対する鉛及びカリウム濃度と成形時の現象を
示す図である。なお、ここでの成形条件は後述する実施
例と同条件である。
【0015】本発明においては、ガラス光学素子は、鉛
含有ガラス光学素子において、該ガラス最表面から10
0Åの深さまでの層中の鉛原子濃度が1at%以下にな
るように鉛系成分が含有してなるように構成するのが好
ましい。この場合、図8から判るように、ガラス最表面
から100Åの深さまでの層中の鉛原子濃度が1at%
以下の本発明1〜3では、ガラス表面の曇り及び型融着
は生じていなかったのに対し、鉛原子濃度が1at%よ
り大きい比較例1〜3では、ガラス表面の曇り及び型融
着が生じて実用上好ましくなかった。
含有ガラス光学素子において、該ガラス最表面から10
0Åの深さまでの層中の鉛原子濃度が1at%以下にな
るように鉛系成分が含有してなるように構成するのが好
ましい。この場合、図8から判るように、ガラス最表面
から100Åの深さまでの層中の鉛原子濃度が1at%
以下の本発明1〜3では、ガラス表面の曇り及び型融着
は生じていなかったのに対し、鉛原子濃度が1at%よ
り大きい比較例1〜3では、ガラス表面の曇り及び型融
着が生じて実用上好ましくなかった。
【0016】本発明においては、前記ガラス最表面から
50Åの深さまでの層中の鉛原子濃度は0.5at%以
下である場合(図8の本発明1〜3)が好ましく、この
場合、熱プレス成形時、ガラス最表面から深さ50Åに
おける鉛原子濃度が0.5at%以下の小さい領域内
に、鉛原子濃度が0.5at%よりも大きい場合(比較
例1〜3)よりも内部から拡散してくる鉛を効率良く閉
じ込めることができ、外部により析出し難くすることが
できる。図8から判るように、50Åでの鉛濃度は0.
5at%以下の本発明1〜3では、ガラス表面の曇り及
び型融着は生じていなかったのに対し、0.5at%よ
り大きい比較例1〜3では、ガラス表面の曇り及び型融
着が生じて実用上好ましくなかった。ところで、前述し
た従来の特公平4−21606号公報のものでは、10
00Å以下で易蒸発成分濃度(鉛、カリウム濃度)が母
体の0.01〜0.9としているが、母体に10at%
の易蒸発成分が存在すると1000Å以下で0.1at
%〜9at%の易蒸発成分が存在することになる。しか
しながら、この値は成形前のものであるため、成形後に
は、熱拡散によってこの値以上になるのは明白である。
従って、本発明1〜3の如く、0.1at%以下である
ならば問題はないが、公知例では明らかに成形後のもの
は0.1at%より大きくなってしまうので、前述した
比較例1〜3と同様なガラス表面の曇りや型融着という
問題が生じる。
50Åの深さまでの層中の鉛原子濃度は0.5at%以
下である場合(図8の本発明1〜3)が好ましく、この
場合、熱プレス成形時、ガラス最表面から深さ50Åに
おける鉛原子濃度が0.5at%以下の小さい領域内
に、鉛原子濃度が0.5at%よりも大きい場合(比較
例1〜3)よりも内部から拡散してくる鉛を効率良く閉
じ込めることができ、外部により析出し難くすることが
できる。図8から判るように、50Åでの鉛濃度は0.
5at%以下の本発明1〜3では、ガラス表面の曇り及
び型融着は生じていなかったのに対し、0.5at%よ
り大きい比較例1〜3では、ガラス表面の曇り及び型融
着が生じて実用上好ましくなかった。ところで、前述し
た従来の特公平4−21606号公報のものでは、10
00Å以下で易蒸発成分濃度(鉛、カリウム濃度)が母
体の0.01〜0.9としているが、母体に10at%
の易蒸発成分が存在すると1000Å以下で0.1at
%〜9at%の易蒸発成分が存在することになる。しか
しながら、この値は成形前のものであるため、成形後に
は、熱拡散によってこの値以上になるのは明白である。
従って、本発明1〜3の如く、0.1at%以下である
ならば問題はないが、公知例では明らかに成形後のもの
は0.1at%より大きくなってしまうので、前述した
比較例1〜3と同様なガラス表面の曇りや型融着という
問題が生じる。
【0017】本発明においては、前記ガラス最表面から
100Åの深さまでの層中のカリウム原子濃度は1at
%以下になるようにカリウム系成分が含有してなる場合
(本発明1〜3)が好ましく、この場合、鉛と同様ガラ
ス最表面から深さ100Åのカリウム原子濃度が1at
%以下の小さい領域内に、カリウム原子濃度が1at%
よりも大きい場合(比較例1〜3)よりも内部から拡散
してくるカリウムを効率良く閉じ込めて外部に析出し難
くすることができる。このため、鉛と同様、カリウムの
金型への付着も抑えることができ、より効果を上げるこ
とができる。図8から判るように、100Åでのカリウ
ム濃度が1at%以下の本発明1〜3では、ガラス表面
の曇り及び型融着が生じていなかったのに対し、1at
%より大きい比較例1〜3ではガラス表面の曇り及び型
融着が生じて実用上好ましくなかった。
100Åの深さまでの層中のカリウム原子濃度は1at
%以下になるようにカリウム系成分が含有してなる場合
(本発明1〜3)が好ましく、この場合、鉛と同様ガラ
ス最表面から深さ100Åのカリウム原子濃度が1at
%以下の小さい領域内に、カリウム原子濃度が1at%
よりも大きい場合(比較例1〜3)よりも内部から拡散
してくるカリウムを効率良く閉じ込めて外部に析出し難
くすることができる。このため、鉛と同様、カリウムの
金型への付着も抑えることができ、より効果を上げるこ
とができる。図8から判るように、100Åでのカリウ
ム濃度が1at%以下の本発明1〜3では、ガラス表面
の曇り及び型融着が生じていなかったのに対し、1at
%より大きい比較例1〜3ではガラス表面の曇り及び型
融着が生じて実用上好ましくなかった。
【0018】本発明においては、ガラス光学素子は熱プ
レス成形後のものであると上記の如く効果的であるが、
熱プレス成形前のものも含む。なお、熱プレス成形後と
熱プレス成形前は多少鉛濃度、カリウム濃度が変化する
のは言うまでもない。さて、成形前の鉛やカリウムの濃
度を規定しているのであれば、ここでは成形条件、特に
成形温度と成形時間に依存するはずであるが、ここでは
成形された後の製品段階でのレンズ表面濃度を好ましく
規定したものであるので、成形温度や成形時間等の成形
条件に依存するものではない。従って、様々な成形条件
において、成形後に上記規定する表面濃度になるように
成形前のガラスブランクを設計しなければならないのは
言うまでもない。
レス成形後のものであると上記の如く効果的であるが、
熱プレス成形前のものも含む。なお、熱プレス成形後と
熱プレス成形前は多少鉛濃度、カリウム濃度が変化する
のは言うまでもない。さて、成形前の鉛やカリウムの濃
度を規定しているのであれば、ここでは成形条件、特に
成形温度と成形時間に依存するはずであるが、ここでは
成形された後の製品段階でのレンズ表面濃度を好ましく
規定したものであるので、成形温度や成形時間等の成形
条件に依存するものではない。従って、様々な成形条件
において、成形後に上記規定する表面濃度になるように
成形前のガラスブランクを設計しなければならないのは
言うまでもない。
【0019】本発明においては、前記ガラス最表面には
コーティング膜が形成されてなる場合に好ましく適用さ
せることができる。この場合、鉛やカリウムが付着して
いない透明度の高いガラス表面にコーティング膜を形成
することができるので、鉛やカリウムが付着していた場
合に生じていたコーティング膜の剥離、白濁等の問題を
解消することができる。
コーティング膜が形成されてなる場合に好ましく適用さ
せることができる。この場合、鉛やカリウムが付着して
いない透明度の高いガラス表面にコーティング膜を形成
することができるので、鉛やカリウムが付着していた場
合に生じていたコーティング膜の剥離、白濁等の問題を
解消することができる。
【0020】本発明においては、上記した物理的処理を
行うことは成形前処理においては大きな意味があり、ま
ず、物理的処理を行うことによって、処理層の厚さを稼
ぐことができる。即ち、処理速度を速くすることができ
るうえ、ガラス表面に硝酸塩(KNO3 、Pb(N
O3 )2 )を残留させないようにすることができる。本
発明においては、前記加圧形成後にガラス表面を研磨加
工する場合が好ましく、この場合、仮に熱プレス形成後
にガラス表面に曇り(白濁微小傷、鉛及びカリウムの着
色層等)が生じても、その曇りを除去することができる
ので、熱プレス成形後劣化したものを再利用することが
できる。
行うことは成形前処理においては大きな意味があり、ま
ず、物理的処理を行うことによって、処理層の厚さを稼
ぐことができる。即ち、処理速度を速くすることができ
るうえ、ガラス表面に硝酸塩(KNO3 、Pb(N
O3 )2 )を残留させないようにすることができる。本
発明においては、前記加圧形成後にガラス表面を研磨加
工する場合が好ましく、この場合、仮に熱プレス形成後
にガラス表面に曇り(白濁微小傷、鉛及びカリウムの着
色層等)が生じても、その曇りを除去することができる
ので、熱プレス成形後劣化したものを再利用することが
できる。
【0021】
【作用】まず、請求項1〜12の発明の作用について説明
する。なお、各請求項毎の作用は具体的には解決手段に
記載した。図1、2は本発明の原理説明図であり、図1
(a)は従来のフッ酸と硝酸処理した後におけるガラス
深さに対する鉛原子濃度と、このウエット処理されたガ
ラス素材を成形した後におけるガラス深さに対する鉛原
子濃度とを示す図である。図2は各条件によるガラス深
さに対する鉛原子濃度を示す図であり、図1(b)は本
発明に係る物理処理の超音波処理と化学処理の硝酸処理
を同時に行った後におけるガラス深さに対する鉛原子濃
度と、この本発明により処理されたガラス素材を成形し
た後におけるガラス深さに対する鉛原子濃度を示す図で
あり、M1は本発明の硝酸処理と超音波処理した場合で
あり、M2はM1処理後に成形した場合であり、M3は
M1処理後にアニールした場合であり、M4は未処理の
場合である。なお、M1の硝酸及び超音波処理条件とM
2の成形条件は後述する実施例と同様である。
する。なお、各請求項毎の作用は具体的には解決手段に
記載した。図1、2は本発明の原理説明図であり、図1
(a)は従来のフッ酸と硝酸処理した後におけるガラス
深さに対する鉛原子濃度と、このウエット処理されたガ
ラス素材を成形した後におけるガラス深さに対する鉛原
子濃度とを示す図である。図2は各条件によるガラス深
さに対する鉛原子濃度を示す図であり、図1(b)は本
発明に係る物理処理の超音波処理と化学処理の硝酸処理
を同時に行った後におけるガラス深さに対する鉛原子濃
度と、この本発明により処理されたガラス素材を成形し
た後におけるガラス深さに対する鉛原子濃度を示す図で
あり、M1は本発明の硝酸処理と超音波処理した場合で
あり、M2はM1処理後に成形した場合であり、M3は
M1処理後にアニールした場合であり、M4は未処理の
場合である。なお、M1の硝酸及び超音波処理条件とM
2の成形条件は後述する実施例と同様である。
【0022】従来、ガラスプレス成形法においては、高
温で金型とガラスが接触するため、ガラス成分、特に鉛
成分を含有する光学ガラスにおいては、鉛が金型に付着
し、金型の劣化を生じる。このため、成形前のガラスに
様々なコーティングを施して成形を行う方法が知られて
いる。しかしながら、この方法では工程が複雑になるだ
けでなく、コストが高くなり、実用的ではなかった。そ
こで、特開昭62−207728号公報で報告されたも
のでは、フッ酸と硝酸の処理によって成形前のガラスの
表面部に鉛成分を内部よりも少なくした表面改質層を形
成する方法を採っている。
温で金型とガラスが接触するため、ガラス成分、特に鉛
成分を含有する光学ガラスにおいては、鉛が金型に付着
し、金型の劣化を生じる。このため、成形前のガラスに
様々なコーティングを施して成形を行う方法が知られて
いる。しかしながら、この方法では工程が複雑になるだ
けでなく、コストが高くなり、実用的ではなかった。そ
こで、特開昭62−207728号公報で報告されたも
のでは、フッ酸と硝酸の処理によって成形前のガラスの
表面部に鉛成分を内部よりも少なくした表面改質層を形
成する方法を採っている。
【0023】しかしながら、本発明者等の研究成果で
は、上記特開昭62−207728号公報による方法で
ガラス表面から鉛成分を少なくして表面改質層を形成し
てみると、図1(a)に示す如く、成形後は全体の鉛濃
度がガラス表層部に向かって移動する。しかも、表面部
分のみ鉛原子濃度が小さく、内部は表面部に対して極端
に鉛原子濃度が大きくなっているため、熱処理すると内
部の鉛が表面部に向かって一度に多量に移動し易い状態
になっている。このため、何も表面処理をしない場合よ
り多少効果があるというものの成形時、この表面改質層
は極めて不安定状態であるので、一部に鉛濃度の移動が
生じ、結局金型とガラスとの間に鉛が急激に析出して、
金型との融着を生じてしまうという欠点があった。ま
た、この表面改質層は歪取り等の再加熱、又はアニール
等の熱処理工程が入ると、やはり鉛成分の析出によって
レンズ表面が白くなってしまうという欠点があった。
は、上記特開昭62−207728号公報による方法で
ガラス表面から鉛成分を少なくして表面改質層を形成し
てみると、図1(a)に示す如く、成形後は全体の鉛濃
度がガラス表層部に向かって移動する。しかも、表面部
分のみ鉛原子濃度が小さく、内部は表面部に対して極端
に鉛原子濃度が大きくなっているため、熱処理すると内
部の鉛が表面部に向かって一度に多量に移動し易い状態
になっている。このため、何も表面処理をしない場合よ
り多少効果があるというものの成形時、この表面改質層
は極めて不安定状態であるので、一部に鉛濃度の移動が
生じ、結局金型とガラスとの間に鉛が急激に析出して、
金型との融着を生じてしまうという欠点があった。ま
た、この表面改質層は歪取り等の再加熱、又はアニール
等の熱処理工程が入ると、やはり鉛成分の析出によって
レンズ表面が白くなってしまうという欠点があった。
【0024】これに対し本発明では、物理処理である超
音波洗浄と化学処理である硝酸による洗浄を同時に行っ
ているため、ガラス表面からの鉛の原子濃度は、図2の
M1に示す如く、なだらかな曲線を描くようになり、特
に表層から30から150の範囲に鉛の原子濃度が最も
低い点を有する。これは、鉛成分の溶出を超音波洗浄が
補助しているが、超音波はガラス表層でガラス成分を激
しく振動させるとともに最表層部の温度を高くする。こ
のため、表層部付近での鉛の移動は極めて速くなる。こ
こで処理を終了すると、ガラス内部と最表層との鉛の移
動速度の差によって、このようなくびれを持つ曲線を生
じるのである。このため、成形時(又はアニール時)に
鉛濃度が表層に向かって移動する際、この濃度が低い点
が圧力調整弁の如く一度に表層に押し寄せようとする鉛
成分をガラス内部にとどめる役割をする。この結果、図
2のM2(又はM3)の如く、ガラス表層から30から
600 の鉛濃度は、若干上昇するものの10分程度の
成形サイクルの時間内では最表面への鉛成分の析出は抑
えられる。更に、歪取り及びアニール(M3)等の熱処
理を行っても鉛の析出はほとんど抑えられる。このた
め、金型への負担が極めて小さくなっただけでなく、突
然の金型とガラスとの融着を生じないようにすることが
できる。また、成形前のガラスにコーティング等の複雑
で高価な処理を行わなくて良く、極めて簡便に金型の劣
化を抑制することができる。
音波洗浄と化学処理である硝酸による洗浄を同時に行っ
ているため、ガラス表面からの鉛の原子濃度は、図2の
M1に示す如く、なだらかな曲線を描くようになり、特
に表層から30から150の範囲に鉛の原子濃度が最も
低い点を有する。これは、鉛成分の溶出を超音波洗浄が
補助しているが、超音波はガラス表層でガラス成分を激
しく振動させるとともに最表層部の温度を高くする。こ
のため、表層部付近での鉛の移動は極めて速くなる。こ
こで処理を終了すると、ガラス内部と最表層との鉛の移
動速度の差によって、このようなくびれを持つ曲線を生
じるのである。このため、成形時(又はアニール時)に
鉛濃度が表層に向かって移動する際、この濃度が低い点
が圧力調整弁の如く一度に表層に押し寄せようとする鉛
成分をガラス内部にとどめる役割をする。この結果、図
2のM2(又はM3)の如く、ガラス表層から30から
600 の鉛濃度は、若干上昇するものの10分程度の
成形サイクルの時間内では最表面への鉛成分の析出は抑
えられる。更に、歪取り及びアニール(M3)等の熱処
理を行っても鉛の析出はほとんど抑えられる。このた
め、金型への負担が極めて小さくなっただけでなく、突
然の金型とガラスとの融着を生じないようにすることが
できる。また、成形前のガラスにコーティング等の複雑
で高価な処理を行わなくて良く、極めて簡便に金型の劣
化を抑制することができる。
【0025】次に、解決手段で述べた本発明に適用でき
る好適な手段の作用について説明する。フリント系ガラ
スを用いたガラスプレスレンズの成形における融着の原
因は、ガラスに含まれる鉛イオンが成形型と成形される
ガラスブランクの界面において還元反応により金属鉛と
なって型材と反応することに起因する。そのため、ガラ
スブランクの表面部に鉛イオンの欠乏した層を生成させ
ることにより融着防止する方法が用いられおり、この方
法を大別すると、ガラス内部に組成の異なる改質層を生
成する方法と、ガラス表面に膜を生成する方法がある。
る好適な手段の作用について説明する。フリント系ガラ
スを用いたガラスプレスレンズの成形における融着の原
因は、ガラスに含まれる鉛イオンが成形型と成形される
ガラスブランクの界面において還元反応により金属鉛と
なって型材と反応することに起因する。そのため、ガラ
スブランクの表面部に鉛イオンの欠乏した層を生成させ
ることにより融着防止する方法が用いられおり、この方
法を大別すると、ガラス内部に組成の異なる改質層を生
成する方法と、ガラス表面に膜を生成する方法がある。
【0026】この改質層を生成する方法の一つとして、
硝酸をはじめとする酸によってガラスの表面部から鉛イ
オンを溶出させる方法が用いられている。特開昭62−
207728号公報に記載されている方法は、この方法
の一例で、硝酸処理または赤外線加熱を用いてガラスプ
レスレンズのブランクの表面部(<1000Å)から易
蒸発成分(Pb、Ba)を除去するというもので、図1
のように50Å以下の最表面部に比較的金属濃度の高い
層があり、それに続いて濃度が徐々に変化する濃度勾配
層が存在するような分布を示し、融着防止とコーティン
グ膜の密着性の上昇を図ったものである。また特開平3
−252321号公報には、フリント系ガラスの素材表
面を酸(硝酸、酢酸、塩酸)により処理して水和層を形
成するという技術が開示されている。
硝酸をはじめとする酸によってガラスの表面部から鉛イ
オンを溶出させる方法が用いられている。特開昭62−
207728号公報に記載されている方法は、この方法
の一例で、硝酸処理または赤外線加熱を用いてガラスプ
レスレンズのブランクの表面部(<1000Å)から易
蒸発成分(Pb、Ba)を除去するというもので、図1
のように50Å以下の最表面部に比較的金属濃度の高い
層があり、それに続いて濃度が徐々に変化する濃度勾配
層が存在するような分布を示し、融着防止とコーティン
グ膜の密着性の上昇を図ったものである。また特開平3
−252321号公報には、フリント系ガラスの素材表
面を酸(硝酸、酢酸、塩酸)により処理して水和層を形
成するという技術が開示されている。
【0027】ガラス表面に膜を生成する方法としては、
特開平3−265547号方法に示されるように、フロ
ートガラスに金属コーティングする際に燐酸酸性溶液と
必要に応じてフッ酸、珪フッ酸を加えた溶液で浸漬洗浄
を行い、コーティングの密着力を上げるというものがあ
る。ところで、プレス成形の際、鉛イオンは後述する図
7に示すようにおよそ100 までの領域に鉛イオン濃
度が成形後のレンズ品質に最も大きな影響を及ぼす。従
って、単なる浸漬によってイオン溶出層を生成させる改
質層生成方法ではこの領域の修飾イオン濃度の融着を引
き起こし、レンズの品質、特に透明度を下げる不具合が
起き、型の寿命を下げることになる。
特開平3−265547号方法に示されるように、フロ
ートガラスに金属コーティングする際に燐酸酸性溶液と
必要に応じてフッ酸、珪フッ酸を加えた溶液で浸漬洗浄
を行い、コーティングの密着力を上げるというものがあ
る。ところで、プレス成形の際、鉛イオンは後述する図
7に示すようにおよそ100 までの領域に鉛イオン濃
度が成形後のレンズ品質に最も大きな影響を及ぼす。従
って、単なる浸漬によってイオン溶出層を生成させる改
質層生成方法ではこの領域の修飾イオン濃度の融着を引
き起こし、レンズの品質、特に透明度を下げる不具合が
起き、型の寿命を下げることになる。
【0028】そこで本発明では、ガラスブランクの表面
から100Åの領域の温度を高めて反応を促進するため
に超音波を用いたものである。超音波によって生成する
キャビテーションがガラスと溶液の界面に熱を発生さ
せ、この熱によってイオンの溶出を極めて促進させる。
そして、酸によって100Åまでの領域の金属濃度を極
めて下げることができる。以下、その作用を具体的に説
明する。
から100Åの領域の温度を高めて反応を促進するため
に超音波を用いたものである。超音波によって生成する
キャビテーションがガラスと溶液の界面に熱を発生さ
せ、この熱によってイオンの溶出を極めて促進させる。
そして、酸によって100Åまでの領域の金属濃度を極
めて下げることができる。以下、その作用を具体的に説
明する。
【0029】上記プレス成形用ガラス材は以上説明して
きたように、ガラスブランクを酸溶液中で超音波処理を
行ってガラスブランクの表面から100Åの領域の温度
を高めて改質層の生成反応を促進するのが好ましく、こ
の場合、プレス成形後のレンズにおいて透過率の低下等
の不具合のない高品質のレンズが得られ、成形型の寿命
も大幅に延ばすことができるようになる。
きたように、ガラスブランクを酸溶液中で超音波処理を
行ってガラスブランクの表面から100Åの領域の温度
を高めて改質層の生成反応を促進するのが好ましく、こ
の場合、プレス成形後のレンズにおいて透過率の低下等
の不具合のない高品質のレンズが得られ、成形型の寿命
も大幅に延ばすことができるようになる。
【0030】上記プレス成形用ガラス材は、ガラスブラ
ンク中の装飾イオンを欠乏させたイオン溶出層を生成さ
せて改質層を生成したものとするのが好ましいので、上
記共通の効果に加え、プレス成形の時に型とガラスの界
面に鉛をはじめとする修飾イオンが拡散するのを抑える
ことができるようになる。上記プレス成形用ガラス材
は、装飾イオン濃度がバルクの10%以下で厚さが50
〜150Åである低イオン濃度層と、厚さが150〜3
00Åでバルクの金属濃度まで回復する濃度勾配層によ
ってイオン溶出層が形成されたものとするのが好まし
く、この場合、上記共通の効果に加え、鉛が型とガラス
の界面に拡散する量を極めて少なくすることができるよ
うになる。
ンク中の装飾イオンを欠乏させたイオン溶出層を生成さ
せて改質層を生成したものとするのが好ましいので、上
記共通の効果に加え、プレス成形の時に型とガラスの界
面に鉛をはじめとする修飾イオンが拡散するのを抑える
ことができるようになる。上記プレス成形用ガラス材
は、装飾イオン濃度がバルクの10%以下で厚さが50
〜150Åである低イオン濃度層と、厚さが150〜3
00Åでバルクの金属濃度まで回復する濃度勾配層によ
ってイオン溶出層が形成されたものとするのが好まし
く、この場合、上記共通の効果に加え、鉛が型とガラス
の界面に拡散する量を極めて少なくすることができるよ
うになる。
【0031】上記プレス成形用ガラス材は、酢酸、硝
酸、硫酸、塩酸等の酸水溶液を用いた酸化水素中で超音
波処理を行うことにより、上記共通の効果に加え、表面
から100Åの領域でのヒドロニウムイオンと修飾イオ
ンの交換反応が加速され、転写精度の高いレンズを得る
ことができるようになる。上記プレス成形用ガラス材
は、一旦超音波処理を施した後に水酸化ナトリウムや水
酸化カリウム等のアルカリ水溶液中での超音波処理を追
加して改質層を生成するのが好ましく、この場合、上記
共通の効果に加え、表面に再付着した修飾イオンの塩を
効果的に除去することができ、改質層の修飾イオン濃度
を更に低くすることができるようになる。
酸、硫酸、塩酸等の酸水溶液を用いた酸化水素中で超音
波処理を行うことにより、上記共通の効果に加え、表面
から100Åの領域でのヒドロニウムイオンと修飾イオ
ンの交換反応が加速され、転写精度の高いレンズを得る
ことができるようになる。上記プレス成形用ガラス材
は、一旦超音波処理を施した後に水酸化ナトリウムや水
酸化カリウム等のアルカリ水溶液中での超音波処理を追
加して改質層を生成するのが好ましく、この場合、上記
共通の効果に加え、表面に再付着した修飾イオンの塩を
効果的に除去することができ、改質層の修飾イオン濃度
を更に低くすることができるようになる。
【0032】上記プレス成形用ガラス材は、超音波処理
に代えてレーザー照射を行うようにするのが好ましく、
この場合、上記共通の効果に加え、表面近傍の温度を上
昇させて修飾イオンとヒドロニウムイオンの交換反応を
加速させることができ、品質の高いレンズを得ることが
できるようになる。さて、従来のガラスを用いた光学素
子成形品は、古くから様々な分野に利用されており、こ
れらのガラス光学素子は、研磨による球面または非球面
創成が行われてきた。
に代えてレーザー照射を行うようにするのが好ましく、
この場合、上記共通の効果に加え、表面近傍の温度を上
昇させて修飾イオンとヒドロニウムイオンの交換反応を
加速させることができ、品質の高いレンズを得ることが
できるようになる。さて、従来のガラスを用いた光学素
子成形品は、古くから様々な分野に利用されており、こ
れらのガラス光学素子は、研磨による球面または非球面
創成が行われてきた。
【0033】近年、プラスチック等と同様にガラス素材
を400℃以上の温度に加熱した後加圧し、所望の光学
素子形状を得るといったガラス光学素子の加圧成形法が
研究され、実用化されつつある。この加圧形成法におい
ては、高温下でガラスと所望の光学素子を得るために高
精度な形状加工処理をされた金型とが接し、加圧され金
型の形状がガラスに転写される。
を400℃以上の温度に加熱した後加圧し、所望の光学
素子形状を得るといったガラス光学素子の加圧成形法が
研究され、実用化されつつある。この加圧形成法におい
ては、高温下でガラスと所望の光学素子を得るために高
精度な形状加工処理をされた金型とが接し、加圧され金
型の形状がガラスに転写される。
【0034】しかしながら、高屈折率かつ高分散なフリ
ント系のガラス素材等を成形用型で熱プレス成形してガ
ラス光学素子を形成すると、熱プレス形成時にガラスの
構成成分である鉛やカリウムイオンがガラス内部から析
出し、型との界面に拡散して型表面に存在する微量のハ
イドロカーボン等の還元性物質と反応して金型鉛及び金
属カリウムが生じてしまい、このようにガラス表面に析
出される鉛、カリウムによりガラスと型が融着を引き起
こしたり、ガラス表面に鉛、カリウムの着色膜が形成さ
れて曇りが生じたりするという問題があった。このよう
にガラス表面に曇りが生じると、透過率が低下して所望
の特性のガラス光学素子が得られなくなることがあっ
た。また、ガラス表面に鉛、カリウムの着色膜が形成さ
れている状態で反射防止膜等のコーティング膜を形成す
ると、清浄なガラス表面に形成する場合よりもコーティ
ング膜が剥離し易かった。
ント系のガラス素材等を成形用型で熱プレス成形してガ
ラス光学素子を形成すると、熱プレス形成時にガラスの
構成成分である鉛やカリウムイオンがガラス内部から析
出し、型との界面に拡散して型表面に存在する微量のハ
イドロカーボン等の還元性物質と反応して金型鉛及び金
属カリウムが生じてしまい、このようにガラス表面に析
出される鉛、カリウムによりガラスと型が融着を引き起
こしたり、ガラス表面に鉛、カリウムの着色膜が形成さ
れて曇りが生じたりするという問題があった。このよう
にガラス表面に曇りが生じると、透過率が低下して所望
の特性のガラス光学素子が得られなくなることがあっ
た。また、ガラス表面に鉛、カリウムの着色膜が形成さ
れている状態で反射防止膜等のコーティング膜を形成す
ると、清浄なガラス表面に形成する場合よりもコーティ
ング膜が剥離し易かった。
【0035】そこで、上記問題を解消するために、従来
では、例えば特公平4−210606号公報(特開昭6
2−207727号公報)で報告されたものがあり、こ
こでは、熱プレス成形前のガラス素子をフッ化水素酸水
溶液でコーティングした後水洗・乾燥する工程を繰り返
し行った後、熱プレス成形するようにしている。また、
例えば特開平4−21606号公報で報告されたもので
は、熱プレス成形前のガラス素材でフッ化水素酸に浸漬
した後、硝酸に浸漬し、純水で洗浄して乾燥した後、熱
プレス成形するようにしている。両者共、熱プレス成形
前のガラス素材を溶剤により表面処理することにより、
表面部分をエッチングしたり、ガラス内部から構成成分
を溶出させたりすることができるで、熱プレス成形後の
ガラス表面の曇り、型とガラスとの融着を生じ難くする
ことができる。しかしながら、両者共後述する本発明に
おける超音波処理等の物理的処理を用いないで単に溶剤
による化学的処理のみで表面処理していたため、その表
面処理効果は必ずしも十分であるとはいえず、近時の厳
しい光学特性の要求に伴い、上記方法では十分対応し切
れなくなるということがあり、歩留りが悪くなることが
あるという問題があった。
では、例えば特公平4−210606号公報(特開昭6
2−207727号公報)で報告されたものがあり、こ
こでは、熱プレス成形前のガラス素子をフッ化水素酸水
溶液でコーティングした後水洗・乾燥する工程を繰り返
し行った後、熱プレス成形するようにしている。また、
例えば特開平4−21606号公報で報告されたもので
は、熱プレス成形前のガラス素材でフッ化水素酸に浸漬
した後、硝酸に浸漬し、純水で洗浄して乾燥した後、熱
プレス成形するようにしている。両者共、熱プレス成形
前のガラス素材を溶剤により表面処理することにより、
表面部分をエッチングしたり、ガラス内部から構成成分
を溶出させたりすることができるで、熱プレス成形後の
ガラス表面の曇り、型とガラスとの融着を生じ難くする
ことができる。しかしながら、両者共後述する本発明に
おける超音波処理等の物理的処理を用いないで単に溶剤
による化学的処理のみで表面処理していたため、その表
面処理効果は必ずしも十分であるとはいえず、近時の厳
しい光学特性の要求に伴い、上記方法では十分対応し切
れなくなるということがあり、歩留りが悪くなることが
あるという問題があった。
【0036】そこで本発明は、鉛含有ガラス光学素子に
おいて、該ガラス最表面から100Åの深さまでの層中
の鉛原子濃度が1at%以下になるように鉛系成分が含
有してなるように構成するのが好ましく、この場合、従
来の表面処理を行わない場合や単に溶剤に表面処理する
場合よりもガラス表面部分の鉛濃度が極めて低いので、
成形用型でガラスを熱プレス成形してガラス光学素子を
形成する際、表面部分の鉛濃度の小さい領域内に内部か
ら拡散してくる鉛を効率良く閉じ込めて外部に析出し難
くすることができる。このため、鉛析出に伴うガラスと
型との融着及びガラス表面の曇りを生じ難くすることが
でき、透明度の高い安定した特性のガラス光学素子を歩
留り良く得ることができる。
おいて、該ガラス最表面から100Åの深さまでの層中
の鉛原子濃度が1at%以下になるように鉛系成分が含
有してなるように構成するのが好ましく、この場合、従
来の表面処理を行わない場合や単に溶剤に表面処理する
場合よりもガラス表面部分の鉛濃度が極めて低いので、
成形用型でガラスを熱プレス成形してガラス光学素子を
形成する際、表面部分の鉛濃度の小さい領域内に内部か
ら拡散してくる鉛を効率良く閉じ込めて外部に析出し難
くすることができる。このため、鉛析出に伴うガラスと
型との融着及びガラス表面の曇りを生じ難くすることが
でき、透明度の高い安定した特性のガラス光学素子を歩
留り良く得ることができる。
【0037】しかも、型寿命を著しく延ばすことができ
るで、ガラス光学素子1個当たりのコストを低減するこ
とができる。更には、ガラス光学素子に反射防止膜等の
コートをする場合もしない場合もレンズ表面の化学的、
機械的耐久性を向上させることができる。即ち、反射防
止膜等のコートをした場合は、コーティング膜の剥離や
表面の白濁を極端に抑えることができる。一方、コート
しない場合は、白やけや青やけ等の現象を抑えることが
できるうえ、表面硬度を向上させることができるので、
レンズ自体の寿命を延ばすことができる。
るで、ガラス光学素子1個当たりのコストを低減するこ
とができる。更には、ガラス光学素子に反射防止膜等の
コートをする場合もしない場合もレンズ表面の化学的、
機械的耐久性を向上させることができる。即ち、反射防
止膜等のコートをした場合は、コーティング膜の剥離や
表面の白濁を極端に抑えることができる。一方、コート
しない場合は、白やけや青やけ等の現象を抑えることが
できるうえ、表面硬度を向上させることができるので、
レンズ自体の寿命を延ばすことができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。 (実施例1)図3は本発明の実施例1に則したガラス光
学素子(硝酸SF11)の一例を示す図であり、4は本
発明の一実施例に則した表面処理工程を説明する図であ
る。図4において、1は表面処理される鉛系ガラスであ
り、2は鉛系ガラス1を表面処理する硝酸水溶液であ
り、このガラス1及び硝酸水溶液2は容器3内に入れら
れる。そして、4は水5が充填された超音波処理装置で
あり、この超音波処理装置4の水5の中にガラス1及び
硝酸水溶液2が入った容器3が収められる。
する。 (実施例1)図3は本発明の実施例1に則したガラス光
学素子(硝酸SF11)の一例を示す図であり、4は本
発明の一実施例に則した表面処理工程を説明する図であ
る。図4において、1は表面処理される鉛系ガラスであ
り、2は鉛系ガラス1を表面処理する硝酸水溶液であ
り、このガラス1及び硝酸水溶液2は容器3内に入れら
れる。そして、4は水5が充填された超音波処理装置で
あり、この超音波処理装置4の水5の中にガラス1及び
硝酸水溶液2が入った容器3が収められる。
【0039】次に、そのガラス光学素子の製造方法につ
いて説明する。まず、1molの硝酸水溶液2を純水及
びEL級硝酸によって作成し、容器3の硝酸水溶液2内
に表面処理すべきSF11鉛系ガラス1を入れ、このガ
ラス1と硝酸水溶液2が入った容器3を超音波処理装置
4の水5の中に入れて15分間超音波処理を行いながら
表面処理を行った。その後、純水によって洗浄して表面
処理を終了する。この時、鉛成分の分布は、A0からA
10までの11個の係数は、以下の通りとなった。
いて説明する。まず、1molの硝酸水溶液2を純水及
びEL級硝酸によって作成し、容器3の硝酸水溶液2内
に表面処理すべきSF11鉛系ガラス1を入れ、このガ
ラス1と硝酸水溶液2が入った容器3を超音波処理装置
4の水5の中に入れて15分間超音波処理を行いながら
表面処理を行った。その後、純水によって洗浄して表面
処理を終了する。この時、鉛成分の分布は、A0からA
10までの11個の係数は、以下の通りとなった。
【0040】例1:(10次まで全て近似した例) A0=5.93×10^−1 A1=−2.24×10^−2 A2=5.65×10^−4 A3=−7.40×10^−6 A4=6.31×10^−8 A5=−3.23×10^−10 A6=1.01×10^−12 A7=1.96×10^−15 A8=2.29×10^−18 A9=−1.49×10^−21 A10=4.11×10^−25 Y=A0+A1×X+A2×X^2+A3×X^3+A
4×X^4+A5×X^5+A6×X^6+A7×X^
7+A8×X^8+A9×X^9+A10×X^10 ここで、Yは鉛の原子濃度(アトミックパーセント)、
Xはガラス最表層からの深さ、A0、A1、A2、A
3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10は定
数、^はべき乗を表す。
4×X^4+A5×X^5+A6×X^6+A7×X^
7+A8×X^8+A9×X^9+A10×X^10 ここで、Yは鉛の原子濃度(アトミックパーセント)、
Xはガラス最表層からの深さ、A0、A1、A2、A
3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10は定
数、^はべき乗を表す。
【0041】例2:(4次までの近似の場合) A0=4.54×10^−1 A1=−8.78×10^−3 A2=1.23×10^−4 A3=−2.26×10^−7 A4=1.68×10^−10 Y=A0+A1×X+A2×X^2+A3×X^3+A
4×X^4 ここで、Yは鉛の原子濃度(アトミックパーセント)、
Xはガラス最表層からの深さ、A0、A1、A2、A
3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10は定
数、^はべき乗を表す。
4×X^4 ここで、Yは鉛の原子濃度(アトミックパーセント)、
Xはガラス最表層からの深さ、A0、A1、A2、A
3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10は定
数、^はべき乗を表す。
【0042】このように、A6からA10までを0とし
て近似曲線を行っても極めて良い近似が可能な場合もあ
り、必ずしも10次までの多項式でなくても十分であ
る。また、この表面処理によって鉛の濃度が最低になる
部分は、前述した図2に示す如く、30〜150Åの間
であり、濃度及び処理時間を延ばしても150Å以上の
深さに最低濃度の部分が生じることはない。ここで、鉛
濃度及び濃度の最低深さを基に、金型及び成形レンズの
評価を図5に示す。
て近似曲線を行っても極めて良い近似が可能な場合もあ
り、必ずしも10次までの多項式でなくても十分であ
る。また、この表面処理によって鉛の濃度が最低になる
部分は、前述した図2に示す如く、30〜150Åの間
であり、濃度及び処理時間を延ばしても150Å以上の
深さに最低濃度の部分が生じることはない。ここで、鉛
濃度及び濃度の最低深さを基に、金型及び成形レンズの
評価を図5に示す。
【0043】この図5から判るように、比較例1のガラ
ス表層からの深さ20Åで鉛原子濃度0.2%の場合、
比較例2の20Å、0.4%の場合、比較例3の20
Å、0.6%の場合、比較例4の50Å、0.6%の場
合、比較例5の100Å、0.6%の場合及び比較例6
の150Å、0.6%の場合では、金型とレンズに融着
が生じるとともに、レンズ表面に地肌荒れが生じ、しか
も熱処理後のレンズ表面に曇りが生じていたのに対し、
本発明1の50Å、0.2%の場合、本発明2の10
Å、0.2%の場合、本発明3の150Å、0.2%の
場合、本発明4の50Å、0.4%の場合、本発明5の
100Å、0.4%の場合及び本発明6の150Å、
0.4%の場合では、金型の表面状態、レンズの表面状
態及び熱処理後のレンズ全てが良好であった。
ス表層からの深さ20Åで鉛原子濃度0.2%の場合、
比較例2の20Å、0.4%の場合、比較例3の20
Å、0.6%の場合、比較例4の50Å、0.6%の場
合、比較例5の100Å、0.6%の場合及び比較例6
の150Å、0.6%の場合では、金型とレンズに融着
が生じるとともに、レンズ表面に地肌荒れが生じ、しか
も熱処理後のレンズ表面に曇りが生じていたのに対し、
本発明1の50Å、0.2%の場合、本発明2の10
Å、0.2%の場合、本発明3の150Å、0.2%の
場合、本発明4の50Å、0.4%の場合、本発明5の
100Å、0.4%の場合及び本発明6の150Å、
0.4%の場合では、金型の表面状態、レンズの表面状
態及び熱処理後のレンズ全てが良好であった。
【0044】そして、表面処理後、成形温度510℃、
圧力200kg/cm2 、加圧時間1分の条件で加圧成
形して所望の形状のガラス光学素子成形品を形成した。
この時、図2のM1からM2の如く成形後の鉛の原子濃
度は最大で80Å表層に向かって移動を行っていた。そ
して、本実施例では500回の成形後の金型の変化は表
面粗さでRMAX=0.01μmであり、従来のような
突然融着するといった現象は全く生じなかった。また、
歪取りのアニールを行った場合でも、図3のM3の如
く、鉛の原子濃度の移動は、最大で120Åであり、鉛
濃度の低い部分による圧力調整弁のような成分の急激な
析出を抑える効果によって、最表面層の濃度も0.8ア
トミックパーセント以下であり、ガラス表面に曇りは生
じなかった。
圧力200kg/cm2 、加圧時間1分の条件で加圧成
形して所望の形状のガラス光学素子成形品を形成した。
この時、図2のM1からM2の如く成形後の鉛の原子濃
度は最大で80Å表層に向かって移動を行っていた。そ
して、本実施例では500回の成形後の金型の変化は表
面粗さでRMAX=0.01μmであり、従来のような
突然融着するといった現象は全く生じなかった。また、
歪取りのアニールを行った場合でも、図3のM3の如
く、鉛の原子濃度の移動は、最大で120Åであり、鉛
濃度の低い部分による圧力調整弁のような成分の急激な
析出を抑える効果によって、最表面層の濃度も0.8ア
トミックパーセント以下であり、ガラス表面に曇りは生
じなかった。
【0045】次に、図6(a)、(b)は本発明に適用
できる光学系の応用例を示す図である。図6(a)はセ
ル11に本発明のガラス光学素子12を設置した光学ユニッ
トの一例を示しており、6(b)は本発明ガラス光学素
子12にアルミニウム薄膜からなる光学反射面12aをコー
ティングしている光学ミラーの一例を示している。 (実施例2) 工程1:ガラスブランクを硝酸20%水溶液中に入れ、
15分の超音波処理を施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 工程1において、超音波を用いることにより、キャビテ
ーションによる発熱によってガラスブランク表面から1
00Å程度の深さまで水素イオンと鉛イオンの相互拡散
速度が加速され、装飾イオン濃度がバルクの10%以下
で厚さが50〜150Åである低イオン濃度層と、厚さ
が150〜300Åでバルクの金属濃度まで回復する濃
度勾配層によってイオン溶出層が形成され、通常の浸漬
による方法(図7中の21)に比べて極めて鉛イオン濃度
の低い層が形成される(図7の22)。この低イオン濃度
層ができると、プレス成形の際に界面に拡散によって供
給される鉛の量を極めて低く押さえられる(図7中の2
3)。従って超音波を用いないときに比べて透過率の高
い高品質のレンズを供給することができる。なお超音波
の振動数はキャビテーションが効率良く発生するように
調整する。
できる光学系の応用例を示す図である。図6(a)はセ
ル11に本発明のガラス光学素子12を設置した光学ユニッ
トの一例を示しており、6(b)は本発明ガラス光学素
子12にアルミニウム薄膜からなる光学反射面12aをコー
ティングしている光学ミラーの一例を示している。 (実施例2) 工程1:ガラスブランクを硝酸20%水溶液中に入れ、
15分の超音波処理を施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 工程1において、超音波を用いることにより、キャビテ
ーションによる発熱によってガラスブランク表面から1
00Å程度の深さまで水素イオンと鉛イオンの相互拡散
速度が加速され、装飾イオン濃度がバルクの10%以下
で厚さが50〜150Åである低イオン濃度層と、厚さ
が150〜300Åでバルクの金属濃度まで回復する濃
度勾配層によってイオン溶出層が形成され、通常の浸漬
による方法(図7中の21)に比べて極めて鉛イオン濃度
の低い層が形成される(図7の22)。この低イオン濃度
層ができると、プレス成形の際に界面に拡散によって供
給される鉛の量を極めて低く押さえられる(図7中の2
3)。従って超音波を用いないときに比べて透過率の高
い高品質のレンズを供給することができる。なお超音波
の振動数はキャビテーションが効率良く発生するように
調整する。
【0046】(実施例3) 工程1:ガラスブランクを硝酸20%水溶液中に入れ、
15分の超音波処理を施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:水酸化ナトリウム水溶液(pH10)で1分の
超音波処理を施す。 工程4:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程5:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程6:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 本実施例は実施例2に工程3、4を加えたものとなって
おり、工程3によってガラスブランクの最表面における
比較的金属濃度の高い層が酸化珪素のフレームごと取り
除かれ、より品質のよいレンズが得られる。この工程3
の10%フッ化水素に置き換えても同様の効果が得られ
るが、ハンドリングの難しさとアルカリ珪フッ酸塩の沈
澱が生成することを考慮すると水酸化ナトリウムの方が
より効果的である。
15分の超音波処理を施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:水酸化ナトリウム水溶液(pH10)で1分の
超音波処理を施す。 工程4:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程5:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程6:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 本実施例は実施例2に工程3、4を加えたものとなって
おり、工程3によってガラスブランクの最表面における
比較的金属濃度の高い層が酸化珪素のフレームごと取り
除かれ、より品質のよいレンズが得られる。この工程3
の10%フッ化水素に置き換えても同様の効果が得られ
るが、ハンドリングの難しさとアルカリ珪フッ酸塩の沈
澱が生成することを考慮すると水酸化ナトリウムの方が
より効果的である。
【0047】(実施例4) 工程1:20%硝酸に10%過酸化水素水溶液を加え、
その中にガラスブランクを入れて15分の超音波処理を
施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 この実施例は最初の工程におけるガラスブランクを浸漬
させる水溶液の組成を変えたもので、酸化剤として過酸
化水素を用いることにより界面が活性化されて金属イオ
ン層における金属濃度を更に下げることができるように
したものである。
その中にガラスブランクを入れて15分の超音波処理を
施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 この実施例は最初の工程におけるガラスブランクを浸漬
させる水溶液の組成を変えたもので、酸化剤として過酸
化水素を用いることにより界面が活性化されて金属イオ
ン層における金属濃度を更に下げることができるように
したものである。
【0048】(実施例5) 工程1:20%硝酸に10%フッ化水素水溶液を加え、
その中にガラスブランクを入れて15分の超音波処理を
施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 この実施例では、酸による溶出層形成時に少量のフッ化
水素を混ぜることにより、表面への硝酸塩の吸着を抑え
ることができる。
その中にガラスブランクを入れて15分の超音波処理を
施す。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で1分間のプレ
ス成形を行う。 この実施例では、酸による溶出層形成時に少量のフッ化
水素を混ぜることにより、表面への硝酸塩の吸着を抑え
ることができる。
【0049】(実施例6) 工程1:20硝酸水溶液中の成形用ガラス材にYAGレ
ーザーを照射する。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で分間のプレス
成形を行う。 この実施例では、レーザーを照射することによってガラ
スブランクの表面近傍の温度を上昇させて修飾イオンと
ヒドロニウムイオンの交換反応を加速させることができ
る。
ーザーを照射する。 工程2:超純水で30秒の洗浄を行う。 工程3:窒素雰囲気中での乾燥する。 工程4:525℃、100kg/cm2 で分間のプレス
成形を行う。 この実施例では、レーザーを照射することによってガラ
スブランクの表面近傍の温度を上昇させて修飾イオンと
ヒドロニウムイオンの交換反応を加速させることができ
る。
【0050】(実施例7)まず、所望の非球面ガラスレ
ンズ形状に近いガラスブランク(硝種SF8)を研磨す
ることによって作成し、熱プレス成形前に次のような表
面処理を施す。表面処理は0.5モルの硝酸水溶液で2
0分間超音波処理を施した後、水洗、窒素ブローによる
乾燥によって行う。次いで、このように表面処理された
ガラスブランクをプレス成形装置にセットされた一対の
金型の下型上に置き、金型の周囲の雰囲気を窒素置換し
て500℃に加熱し、60kg/cm2 の圧力を50秒
かけて熱プレス成形する。その後、400℃になるまで
徐冷し、次に急冷して150℃で形成室から取り出す。
次いで、取り出されたガラス光学素子を蒸着装置にセッ
トし、1500Å程度の膜厚のMgF2 をコートして、
ガラス光学素子製品とした。そして、表面処理後と完成
後(熱プレス成形後)のガラス光学素子におけるガラス
最表面からの深さに対する鉛とカリウムの濃度プロファ
イルをエスカ(ESCA)又はXTSにより測定したと
ころ、図9に示す如く、表面処理後と熱プレス成形後の
両者共、ガラス最表面から100Åの深さまでの層中の
鉛及びカリウム原子濃度を1at%以下にすることがで
きた。そして、熱プレス成形後では、ガラス最表面から
50Åの深さまでの層中の鉛原子濃度を0.5at%以
下にすることができた。このため、従来の単にフッ酸等
の溶剤で表面処理していた場合では、ガラス表面に曇り
等が生じていたのに対し、本実施例の溶剤中で超音波処
理した場合では、ガラス表面での曇り及びガラスと型と
の融着を生じないようにすることができた。しかも、レ
ンズ使用中にMgF2 反射防止膜の剥離や表面の曇りを
生じないようにすることができた。
ンズ形状に近いガラスブランク(硝種SF8)を研磨す
ることによって作成し、熱プレス成形前に次のような表
面処理を施す。表面処理は0.5モルの硝酸水溶液で2
0分間超音波処理を施した後、水洗、窒素ブローによる
乾燥によって行う。次いで、このように表面処理された
ガラスブランクをプレス成形装置にセットされた一対の
金型の下型上に置き、金型の周囲の雰囲気を窒素置換し
て500℃に加熱し、60kg/cm2 の圧力を50秒
かけて熱プレス成形する。その後、400℃になるまで
徐冷し、次に急冷して150℃で形成室から取り出す。
次いで、取り出されたガラス光学素子を蒸着装置にセッ
トし、1500Å程度の膜厚のMgF2 をコートして、
ガラス光学素子製品とした。そして、表面処理後と完成
後(熱プレス成形後)のガラス光学素子におけるガラス
最表面からの深さに対する鉛とカリウムの濃度プロファ
イルをエスカ(ESCA)又はXTSにより測定したと
ころ、図9に示す如く、表面処理後と熱プレス成形後の
両者共、ガラス最表面から100Åの深さまでの層中の
鉛及びカリウム原子濃度を1at%以下にすることがで
きた。そして、熱プレス成形後では、ガラス最表面から
50Åの深さまでの層中の鉛原子濃度を0.5at%以
下にすることができた。このため、従来の単にフッ酸等
の溶剤で表面処理していた場合では、ガラス表面に曇り
等が生じていたのに対し、本実施例の溶剤中で超音波処
理した場合では、ガラス表面での曇り及びガラスと型と
の融着を生じないようにすることができた。しかも、レ
ンズ使用中にMgF2 反射防止膜の剥離や表面の曇りを
生じないようにすることができた。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、金型でガラスを熱プレ
ス成形してガラス光学素子を形成する際、ガラス内部の
鉛を外部に析出し難くして金型への鉛の付着を生じ難く
することができ、金型の面精度の劣化を抑えて金型の寿
命を延ばすことができるという効果がある。
ス成形してガラス光学素子を形成する際、ガラス内部の
鉛を外部に析出し難くして金型への鉛の付着を生じ難く
することができ、金型の面精度の劣化を抑えて金型の寿
命を延ばすことができるという効果がある。
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明の原理説明図である。
【図3】本発明の実施例1に則したガラス光学素子の一
例を示す図である。
例を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に則した表面処理工程を説明
する図である。
する図である。
【図5】本発明及び比較例の場合における金型及び成形
レンズの評価を示す図である。
レンズの評価を示す図である。
【図6】本発明に適用できる光学系の応用例を示す図で
ある。
ある。
【図7】ガラス材における鉛イオン濃度と深さ分布を示
すグラフである。
すグラフである。
【図8】本発明と比較例の場合における熱プレス成形後
のガラス最表面からの各深さに対する鉛及びカリウム濃
度と成形時の現象を示す図である。
のガラス最表面からの各深さに対する鉛及びカリウム濃
度と成形時の現象を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に則した表面処理後と熱プレ
ス成形後のガラス光学素子におけるガラス最表面からの
深さに対する鉛及びカリウムの濃度プロファイルを示す
図である。
ス成形後のガラス光学素子におけるガラス最表面からの
深さに対する鉛及びカリウムの濃度プロファイルを示す
図である。
1 ガラス 2 硝酸水溶液 3 容器 4 超音波処理装置 5 水 11 セル 12 ガラス光学素子 12a 光学反射面 21 浸漬のみの場合の鉛イオン濃度の変化曲線 22 超音波処理後の鉛イオン濃度の変化曲線 23 プレス成形後の鉛イオン濃度の変化曲線
フロントページの続き (72)発明者 上野 洋 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 湊 明人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内
Claims (12)
- 【請求項1】鉛及び鉛含有化合物を含有する光学素子成
形用ガラス素材において、化学処理及び物理処理が施さ
れるとともに、該ガラス表層から600オングストロー
ムの範囲における修飾イオン成分の原子量濃度が、以下
に示す(1)式で曲線近似される濃度勾配を有してなる
ように該修飾イオン成分が含有してなることを特徴とす
る光学素子成形用ガラス素材。 Y=A0+A1×X+A2×X^2+A3×X^3+A4×X^4+ A5×X^5+A6×X^6+A7×X^7+A8×X^8+ A9×X^9+A10×X^10+e(x) (1) (但し(1)式において、Yは修飾イオンの原子濃度
(アトミックパーセント)を表し、Xはガラス最表層か
らの深さを表し、A0,A1,A2,A3,A4,A
5,A6,A7,A8,A9,A10は定数を表し、^
はべき乗を表し、e(x)は誤差成分を表す) - 【請求項2】前記請求項1の修飾イオンのうち鉛成分の
原子濃度が前記ガラス最表層から、深さ30オングスト
ロームから150オングストローム間の領域において該
領域以外の領域よりも小さくなるように鉛成分が含有し
てなることを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用
ガラス素材。 - 【請求項3】前記請求項2の鉛成分の原子濃度が2アト
ミックパーセント以下になる領域を有することを特徴と
する請求項2記載の光学素子成形用ガラス素材。 - 【請求項4】前記請求項3の鉛成分の原子濃度は、深さ
が150オングストロームから600オングストローム
でバルクの鉛成分の原子濃度まで回復することを特徴と
する請求項3記載の光学素子成形用ガラス素材。 - 【請求項5】前記請求項1乃至4記載の光学素子成形用
ガラス素材を用いて光学面の加圧成形を行った後も前記
請求項1の形式で表され、かつ前記請求項2乃至4の条
件を満たす濃度勾配を有してなるように鉛成分が含有し
てなることを特徴とするガラス光学素子成形品。 - 【請求項6】前記請求項1の修飾イオンのうちカリウム
成分の原子濃度が前記ガラス最表層から、深さ30オン
グストロームから100オングストローム間での領域に
おいて、該領域以外の領域よりも小さくなるようにカリ
ウム成分が含有してなることを特徴とする請求項1記載
の光学素子成形用ガラス素材。 - 【請求項7】前記請求項6のカリウム成分の原子濃度が
1.5アトミックパーセント以下になる領域を有するこ
とを特徴とする請求項6記載の光学素子成形用ガラス素
材。 - 【請求項8】前記請求項7のカリウム成分の原子濃度
は、深さが100オングストロームから600オングス
トロームでバルクのカリウム成分の原子濃度まで回復す
ることを特徴とする請求項7記載の光学素子成形用ガラ
ス素材。 - 【請求項9】前記請求項5記載のガラス光学素子成形品
の製造方法において、前記鉛成分の濃度勾配を得るため
に鉛含有ガラスを化学処理及び物理処理を同時に行った
後、該ガラスを加圧成形してガラス光学素子成形品を形
成する工程を含むことを特徴とするガラス光学素子成形
品の製造方法。 - 【請求項10】前記請求項9記載の化学処理及び物理処理
の後にアルカリ水溶液中での物理処理を施すことを特徴
とする請求項9記載のガラス光学素子成形品の製造方
法。 - 【請求項11】前記化学処理は、酸の水溶液に浸漬して処
理するものであることを特徴とする請求項1乃至10記載
の光学素子成形用ガラス素材及びガラス光学素子成形品
とその製造方法。 - 【請求項12】前記物理処理は、超音波処理又はレーザー
照射処理するものであることを特徴とする請求項1乃至
11記載の光学素子成形ガラス素材及びガラス光学素子成
形品とその製造方法。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5023940A JPH06183777A (ja) | 1992-04-06 | 1993-02-12 | 光学素子成形用ガラス素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法 |
| US08/396,082 US5622904A (en) | 1992-04-06 | 1995-02-28 | Glass material for molding optical elements |
Applications Claiming Priority (7)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11410392 | 1992-04-06 | ||
| JP4-114103 | 1992-04-06 | ||
| JP4-255173 | 1992-09-25 | ||
| JP25517392 | 1992-09-25 | ||
| JP4-276434 | 1992-10-15 | ||
| JP27643492 | 1992-10-15 | ||
| JP5023940A JPH06183777A (ja) | 1992-04-06 | 1993-02-12 | 光学素子成形用ガラス素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06183777A true JPH06183777A (ja) | 1994-07-05 |
Family
ID=27458065
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5023940A Pending JPH06183777A (ja) | 1992-04-06 | 1993-02-12 | 光学素子成形用ガラス素材、ガラス光学素子成形品及びその製造方法 |
Country Status (2)
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| JP (1) | JPH06183777A (ja) |
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-
1993
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1995
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