JPH06198475A - 連続波紫外線照射による有機固形物の切断法 - Google Patents

連続波紫外線照射による有機固形物の切断法

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JPH06198475A
JPH06198475A JP3308979A JP30897991A JPH06198475A JP H06198475 A JPH06198475 A JP H06198475A JP 3308979 A JP3308979 A JP 3308979A JP 30897991 A JP30897991 A JP 30897991A JP H06198475 A JPH06198475 A JP H06198475A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、工業的な工程、生物学的・医学的
な処理、及び研究を含む目的のために紫外線波長で操作
するレーザーを有機固形物の切断に使用することにおけ
る技術分野に関する。 【構成】 有機固形物により吸収される波長を有する連
続波紫外線の光線(12)の焦点を該有機固形物の表面
上の点(18)に合わせる。点(18)の大きさと共に
有効パルス幅を規定する速度で、光線(12)と有機固
形物(20)の間で相対的に移動させる。規定された範
囲の波長、パワー密度、および有効パルス幅で、パルス
された紫外線レーザー光源を予め必要とする切断の速度
及び質で有機固形物を切断しうる、新規な切断の規則性
を発見した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業的な工程、生物・
医学的な処理、及び研究を含む目的のために、紫外線波
長で操作するレーザーを有機固形物の切断に使用するこ
とにおける技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】合成重合物質から生物の組織までを含む
固形有機物は高密度の紫外線により分解される。十分な
エネルギーを持たないためにほとんどの有機重合物質の
構成分子間の結合電子を励起できない光量子を発する可
視光線及び赤外線に対して、紫外線は有機重合物質の鎖
間の分子結合を切り離す電子転移の形で有機物に吸収さ
れる光量子を発する。事実、特定のパワー密度の紫外線
において有機基質に紫外線レーザーパルスを相互作用さ
せることにより、超音速で基質から重合物質の小断片が
遊離される。この現象はアブレーション光分解と呼ばれ
る。
【0003】アブレーション光分解の現象は本発明者が
共同発明者である米国特許A−4414059号(ブル
ーム(Blum)ら)において最初に開示された。従
来、有機固形物は低密度(即ち1W/cm2以下)の酸
化的光分解を起こす紫外線により切断される(効率はよ
くないが)ことは知られていた。有機物により吸収され
る波長における紫外線の光量子は有機物の分子間の結合
を壊し、断片化された重合鎖は酸化されるので鎖の再結
合は阻害される。酸素は有機物内に十分な深さまで浸透
しないので、酸化的光分解によるエッチング速度は非常
に遅い。
【0004】有機物はより高密度(即ち1W/cm2
上)の紫外線により光熱分解を起こして切断できること
も知られていた。有機物により吸収されない波長の高密
度の紫外線は熱分解を引き起こすための熱を生じて有機
基質に蓄積することにより可視光線及び赤外線と同じよ
うに作用する。事実、光熱分解は実質的に紫外線により
蓄積されたエネルギーの蓄積により有機物が燃焼するこ
とによる方法である。有機物は光熱分解により容易に切
断されるが、基質の周りに高温による損傷が起きる。酸
化的光分解を起こす方法と同じ正確さで基質材料内への
切断の深さを制御することも不可能である。
【0005】上記のアブレーション光分解の方法は酸化
的光分解法の切断を保持するが、有機基質への高温によ
る損傷を残すことなしに光分解法の速度の少なくとも3
0倍エッチング速度を増加させる。2つの主要な条件が
有機物内におけるアブレーション光分解を開始するため
に見いだされた。一つは紫外線の波長が有機物により効
率よく吸収される範囲内でなければならないことであ
る。いま一つは、線源が短時間に十分に大量の光量子を
提供し(即ち1MW/cm2以上)、その結果重合鎖
が、蒸発するかあるいは基質から遊離する揮発性の断片
に壊されることが必要である。
【0006】有機物は重合鎖を構成する結合を電気的に
励起することにより分解され、それにより該鎖は揮発性
の断片に壊される。該断片は基質の未破壊の重合鎖より
も大きな体積を必要とし、そして基質から動力学的エネ
ルギーを奪って飛び去ると理解されている。アブレーシ
ョン光分解は波長及びパワー密度への重大な依存性を有
するが、酸素の存在及び有機物の温度のどちらも本発明
の方法には重大でない。
【0007】励起二量体レーザーはアブレーション光分
解に必要なパワー密度を得るための最も標準的な紫外線
の光源である。励起二量体レーザーのパルスの幅(最大
値の半分における全体の幅)は通常5から35ナノ秒の
範囲であるが、幾つかの実験は300ナノ秒までに及ぶ
パルスを用いて行われてきた。ほとんどのレーザーの使
用においてパルスの幅は一定であるので、パワー密度は
通常パルスあたりの「fluence」(即ち単位面積
あたりのエネルギー)によって測定される。さらに、
ournal of Applied Physic
, 22 June 1987において公表された
「重合物質及び生物組織のXeClレーザー分解に対す
る光学的パルス持続の効果」と題された研究において見
いだされたことは、アブレーション光分解の誘発のため
の閾値は7から300ナノ秒の範囲のパルスにおいては
フルエンス(fluence)依存性であることであ
る。ほとんどの有機物は標準的なパルスの幅の範囲にわ
たって、アブレーション光分解の閾値フルエンスが少な
くとも10mJ/cm2である。
【0008】連続波紫外線もアブレーション光分解を開
始するために使用できるであろうと見なされている。し
かしながら、現在のところアブレーション光分解に必要
なパワー密度を供給するためにはパルス線源を使用しな
ければならない。アブレーション光分解の閾値は標準的
な範囲の励起二量体レーザー操作におけるパルスの幅に
あまり依存していないことが見いだされているが、時間
の間隔を引き伸ばしてより低いパワー密度において有機
物上に焦点を合わせた連続波レーザー(即ちcwレーザ
ー)は、アブレーション光分解を開始させることに成功
していない。
【0009】1985年9月15日にJournal
of Applied Physicsにおいて公表さ
れた「低出力の紫外光線を使用した自己現像性のレジス
トへの直接書き込み」と題された、連続波紫外線を使用
した半導体表面上の有機重合物質フィルムのエッチング
の研究により、エッチングの深度はフルエンス(エネル
ギー密度)に依存し、エネルギー蓄積率(即ちレーザー
のスキャニング率)に依存しないことが見いだされた。
しかしながら、エッチング速度は大変に低く、そして
0.15μm(マイクロメートル)以下の浅いエッチン
グにも酵素の存在が必要であった。
【0010】例えば、励起二量体レーザーを使用したア
ブレーション光分解を開始することが知られている密度
よりも約100倍低いパワー密度に有機重合物質ポリ
(メチルメタクリレート)(PMMA)を暴露した。し
かしながら、より長い間隔で紫外線に暴露した結果、
0.15μmのフィルムに浸透するのに必要なエネルギ
ー密度(fluence)は4kJ/cm2であり、こ
の値はアブレーション光分解によりPMMAにおいて同
様の深さをエッチングするのに必要な量のエネルギーの
一万倍以上である。たとえ励起二量体レーザーパルスの
間隔を広げることを考慮しても、アブレーション光分解
によるエッチング速度(単位時間あたりの除去された物
質の深さとして測定される)は、研究された連続波紫外
線により生じたエッチング速度よりも約100倍速い。
(注意:アブレーション光分解を用いたPMMAのエッ
チングの比較データは、Chemical Revie
ws,1989,89,1303−1316において公
表された「有機重合物質の紫外線レーザー分解」と題さ
れた、本発明者が共同著者である研究Iにおいて見いだ
される。)
【0011】アブレーション光分解を誘発する範囲内に
おいて操作する励起二量体レーザーが、研究されたcw
レーザー(連続波レーザー)の操作の範囲よりもはるか
に効果的に有機固形物を切断することが示されたが、ア
ブレーション光分解の方法に関して多くの問題が残され
ている。例えば、有機物においてアブレーション光分解
を開始するのに必要な高エネルギーのパルスの衝突がは
っきり聞きとれる騒音、しばしば衝撃音を発生する。そ
の衝撃音を伴うショック波は有機基質、特に生物組織に
損傷を引き起こす。また、アブレーション光分解により
有機基質から遊離される重合物質の幾つかは基質の表面
上に破片として蓄積する。この問題の研究はJourn
al of Applied Physicsにおいて
1986年9月1日に公表され、「励起二量体レーザー
により分解された重合物質の形態への破片の形成効果」
と題されている。
【0012】有機物を切断するために励起二量体レーザ
ーを使用する多くの欠点も知られている。例えば、市販
されている励起二量体レーザーの発光時間は全操作時間
の0.01パーセント以下である。これはレーザーが有
機物に沿って移動されるときのスキャニング速度をかな
り低下させる。また、励起二量体レーザーの光線の質が
大変悪く、そして有毒ガス例えば、フッ素あるいは塩化
水素がレーザーの媒体に必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は紫外線を用い
て有機固形物を切断するための新しい方法の発見に基づ
いている。新しい方法は波長、パワー密度、及び暴露時
間の範囲を限定することにより、慣用的なパルスの幅で
励起二量体レーザーを操作してアブレーション光分解に
より達成される速度と同様のエッチング速度を有機固形
物中で達成するために、連続波紫外線を使用しうる範囲
内で規定される。この発見は、連続波紫外線からのエッ
チング速度は、エネルギーが蓄積する暴露時間よりもむ
しろ蓄積したエネルギー密度(fluence)に依存
するという従来の教示を否定する。さらに、連続波紫外
線についての従来の教示と比較すると、より短い暴露時
間により引き起こされる、少量の蓄積エネルギー密度が
エッチング速度を数倍増加させることがみいだされた。
【0014】波長、パワー密度、及び暴露時間の特定の
組み合わせがエッチングの実行においてこの予期されな
かった変化を引き起こすことによる機構は完全に理解さ
れていないが、この新しい現象は有機固形物が紫外線に
よりエッチングされるための他の機構の必要条件及び結
果から明らかに区別される。以後「フォトカイネティッ
ク効果」あるいは「PKE」と呼ぶ、この新しい切断現
象は、連続波紫外線により伝えられた光量子の衝突が聞
き取れる衝撃音を生ぜず、アブレーション光分解に特有
な表面上の破片をほとんど生じないパワー密度において
開始される。フォトカイネティック効果はエッチング速
度、有機固形物への酸素の拡散速度によって制限されず
にエッチング深度が数倍に増大し、及び高温による有機
固形物基質への目に見える損傷跡がつかない点におい
て、連続波紫外線照射を用いる既知の切断機構とも部分
的に相違する。
【0015】干渉性光源(即ちcwレーザー)の使用に
より有機固形物により吸収される波長を有する連続波紫
外線の光線を生じさせる。光線は、既知の光学的に焦点
を集中させる要素により有機固形物の表面上の点に当て
られる。該点に当てられた紫外光は、同様の有機固形物
においてアブレーション光分解を開始するのに必要な密
度よりも低いパワー密度で有機固形物の表面の、予め決
定された領域に照射される。好ましくは1kW/cm2
から1000kW/cm2の範囲内のパワー密度であ
る。
【0016】しかしながら、点により照射された各々の
領域の範囲内に、励起二量体レーザーの慣用的なパルス
の幅で、同様の有機固形物内においてアブレーション光
分解を開始するのに必要なエネルギー量を大きく越える
エネルギー量を蓄積する速度で、光線と有機固形物は互
いに相対的に動かされる。有機固形物の表面を横切る照
射点の相対的な移動は、相対的な移動方向への点の直線
距離を、点と表面の間の相対的な速度で割った値として
「有効パルスの幅」を規定する。効果的なパルスの幅
は、表面の各々の領域が紫外線照射に暴露される時間に
一致し、1μsから1000μsの範囲に限定すること
が好ましい。その範囲の下限は励起二量体レーザーの最
長のパルス幅よりも長い;上限は紫外線照射により有機
固形物をエッチングするためにcwレーザーを操作する
ために用いられている最短の暴露時間よりも短い。
【0017】エッチング速度の数倍の増加が明らかに示
されるエネルギーの蓄積の正確な割合を制御するために
は、パワー密度あるいは効果的なパルス幅のいずれかを
規定された範囲内で変更できる。事実、アブレーション
光分解を用いて達成されるのと同様なフォトカイネティ
ック効果をもってパルス当たりのエッチングの深度を達
成することができる。PKEを開始するために必要な効
果的なパルスの幅は励起二量体レーザーの慣用的なパル
スの幅よりもはるかに長いが、同様な深度のエッチング
に必要な量の時間も、励起二量体レーザーのデューティ
ーサイクルが効率的でないため(即ち、パルスが放出さ
れている作動時間のパーセンテージが比較的小さいこ
と)比較できる程度である。
【0018】有機固形物はかなりの深度でエッチングさ
れるかまたは、同じ領域上に光線の通過を繰り返すこと
によって切断さえもできる。好ましい通過の時間間隔は
いまだ決定されていないが、有機固形物がエッチングさ
れる距離の大小にかかわらず、通過の時間間隔は、フォ
トカイネティック効果を維持するための制限因子にはな
らないと信じられている。
【0019】連続波紫外線照射を用いて顕著なエッチン
グ速度を達成することに加えて、フォトカイネティック
効果は有機固形物内に驚くべき良質の切断を生じる。典
型的には、その切断は検出できる程の熱損傷や、表面へ
の切り屑を生ぜず、そして切断幅の割に深い切断を生じ
る。フォトカイネティック効果は合成有機重合物および
天然の有機重合物においても同様に改良された切断を生
じる。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は操作のパラメー
ターの独特な組み合わせにおいてフォトカイネティック
効果の開始のために実行されるが、これにより有機固形
物はアブレーション光分解により生じるのと同様なエッ
チング速度で連続波紫外線照射により切断される。従来
の教示によれば、切断深度は連続波紫外線への暴露時間
をより長くすることにより深くなることが示唆されてい
たが、はるかに短い暴露時間で切断深度が顕著に増加す
ることが本発明者により発見された。しかしながら、そ
れより短い暴露時間では(有効パルス幅として測定し
て)切断は迅速に悪化する。フォトカイネティックを生
じるための最適なパルス幅はパワー密度及び有機物の吸
収特性の変化にも敏感である。
【0021】にもかかわらず、有機物のフォトカイネテ
ィックの開始の要件は特定の波長範囲、パワー密度、及
び該効果が起こることが知られている範囲の有効パルス
幅に限定される。本発明の目的のための波長の範囲は1
80nmから400nmの紫外線であると考えられる。
パワー密度は1kW/cm2から1000kW/cm2
範囲に限定されることが好ましい。1kW/cm2以下
のパワー密度はエネルギーを伝える速度が遅すぎるため
にポリマー分子を十分なパーセンテージで分解工程に蓄
積できないエネルギーを伝えると信じられている。10
00kW/cm2以上のパワー密度はアブレーション光
分解を生じてしまう。
【0022】フォトカイネティック効果が生じるための
有効パルス幅が、もう一つの要因としてつきとめられ
た。有効パルス幅は1μsから1000μsの間に限定
されることが好ましい。1μsの有効パルス幅は、アブ
レーション光分解を開始する為に使用される最も長い励
起二量体レーザーよりも長い。1000μsの有効パル
ス幅は連続波紫外線照射を用いて有機固形物を切断する
目的で従来実施されたことが知られているどのようなも
のよりも短い。
【0023】フォトカイネティック効果は、連続波照射
の波長を照射される有機物の吸収スペクトルに正確に合
致させるとき、より顕著なことも示されている。好まし
くは、有機物は合致させた波長において中程度ないし強
い吸収特性(即ち102cm- 1以上)を有する。しかし
ながら、有機物の最大の吸収特性は級数的に(eの10
乗程度も)変化しうる。与えられた単位時間内において
有機物中に蓄積されうる光量子の密度は広範囲に変化す
るので、与えられたパワー密度における有効パルス幅も
有機物に適応させるために変化させなければならない。
【0024】図1は本発明を実行するための例示的なシ
ステムの模式的なレイアウトである。10の位置に設置
されたレーザーは連続波紫外線照射の光線12を生じる
ための干渉光源を提供する。多数の別々のレーザーが、
所望の連続波紫外線照射を生じるために利用できる。こ
れらにはアルゴン−イオンレーザー、クリプトン−イオ
ンレーザー、並びに高周波可視レーザーあるいは赤外線
レーザーが含まれる。
【0025】14に配置した完全反射鏡あるいは光線ベ
ンダーにより光線12をフォーカシングレンズ16を含
む光学系に導入する。光線はフォーカシングレンズ16
を通して有機固形物20の表面上の点18に伝達され
る。予め決定された領域の点18において測定すると、
光線12のパワー密度は1kW/cm2から1000k
W/cm2の範囲内である。
【0026】マイクロドライブシステム26により制御
されているモーター24により、光線12に対して移動
できるテーブル22の上に有機固形物20をのせる。光
線12の入射区域に実質的に平行に広がる軸26のまわ
りにテーブル22を回転させるために単一のモーター2
4を図示しているが、光線12と有機固形物20の間に
フルレンジの相対的な回転運動および平行移動運動を提
供するために、別の数値制御ドライブを使用することも
できる。
【0027】この分野においてよく知られた方法にした
がうと、有機固形物に関して光線を移動させうるか、光
線に関して固形物を移動させうるか、または光線と固形
物の間の相対的な移動を互いに部分的に作用させうる。
さらに、光線は相対移動可能な光ファイバーを通して伝
達してもよく、また光ファイバーの列を適当なパターン
に並べて、移動する光線ベンダーにより各ファイバーか
ら順々に光を伝達してもよい。光を照射する点も円、四
角、あるいは線を含む、予め決定された形状で形成され
得る。直線あるいは曲線に沿って短い距離を通して光線
の焦点を繰り返し照射する光線発信器を使用して、最初
の相対的な運動に付加的な運動を付加することにより、
光線と固形物の間の相対的な経路に沿ってエッチングの
幅と深度を増加させることもできる。
【0028】光線12と有機固形物20との間の相対的
な移動はさまざまな方法により達成され得るが、移動す
る点の直線距離と相対的な速度(即ちスキャニング速
度)により規定された有効パルス幅を1μsから100
0μsの範囲に限定することが好ましい。この範囲内に
おいて、有効パルス幅を調整することにより有機固形物
のパワー密度と吸収特性の変化を適合させる。
【0029】本発明の実施の一例として、波長を350
nmから380nmの間に操作し、公称スポットサイズ
100μmにおいて約75kW/cm2のパワー密度に
焦点を合わされたアルゴン−イオン レーザーを使用し
てポリイミド フィルム(Kapton,E.I.du
Pont de Nemours and Co.か
ら市販されている)をエッチングした。有機固形物の試
料を、電気モーターにより回転するターンテーブルにの
せた。テーブルの回転軸から、予め決定された距離離れ
た試料の上の点に光線の焦点を合わせた。
【0030】テーブルを4つの別々の回転速度で各々1
分間回転させた。光線の経路内のシャッターを使用して
各々4サンプルの暴露時間を一分間に制限した。したが
って、各々のサンプルは同じ量の放射エネルギーに暴露
された。しかしながら、100μmの点をそれぞれのサ
ンプルの表面上を移動させるときの相対的な直線速度は
テーブルの異なる回転速度により変更され、そして有効
パルス幅は各々の速度で計算された。
【0031】図2は4つの別々のパルス幅でサンプルに
切り込みを入れたエッチングの深度のプロットである。
期待された中間値の基準として試験結果を相互につなぐ
ために斜線を引いた。エッチング深度の鋭い増加は約1
00から150μsのパルス幅で明らかである。しかし
ながら、エッチング深度は約150から550μsの有
効パルス幅にかけて徐々に減少する。
【0032】各々のサンプルにおいて蓄積されたエネル
ギーの量は一定であったが、エッチングの深度は、連続
波紫外線照射をサンプルに照射した有効パルス幅によっ
て顕著に変化した。550μsより大きい有効パルス幅
における傾向は、エッチング深度が有効パルス幅によっ
て顕著に変化しない、連続波紫外線光のための既知の切
断状況に近づくことが予測される。しかしながら、10
0μsよりも小さい有効パルス幅の傾向は、75kW/
cm2のパワー密度がアブレーション光分解を開始する
ために必要な最小値よりも小さいため、ポリイミド材料
をほとんどまたは全くエッチングしないようになること
が期待される。
【0033】他の実施例において、ポリイミド材料のサ
ンプルを、別々の有効パルス幅で一定数のパルスに暴露
した。光線の大きさ及びパワー密度は最初のサンプルと
同じであった。しかしながら、異なるパルス幅は、光線
がサンプルの表面に当たるように軸を変えることにより
一定の回転速度で達成された。
【0034】図3は3つの異なる有効パルス幅でエッチ
ングの深度を測定した結果のプロットである。この実施
例において、約200μsから250μsの有効パルス
幅においてエッチング深度に大変鋭い上昇が見られる。
250μsの有効パルス幅において光はサンプルを完全
に透過した。図2と図3のプロットには明らかな違いが
あるが、後者の値は各データポイント間で同一量の蓄積
エネルギーの効果ではなく同一のパルス数の効果を測定
したものである。パワー密度におけるわずかな違いを生
じた実験条件上の理由があり、このことから最適有効パ
ルス幅がパワー密度に敏感に影響されることが示唆され
る。
【0035】にもかかわらず両実施例は、エッチング深
度がこの実験でのパワー密度と波長においては有効パル
ス幅に依存していることを証明している。また、切断深
度が深いほど検出できる程の高温による損傷を伴わない
より良質の切断を示した。同じ範囲の波長におけるアブ
レーション光分解の慣用的な結果と比較すると、ごくわ
ずかな削り屑しかサンプルの表面に残らず、サンプル上
へのレーザー光線の衝突に伴う衝撃音もなかった。
【0036】ドープを塗ったポリ(メチルメタクリレー
ト)(PMMA)のサンプルを用いて他の実験を行な
い、このサンプルにおいても有効パルス幅に同様な強い
依存性が見られた。PMMAは350nmから380n
mの範囲では殆ど吸収を示さないので、約2%のチヌビ
ン(Tinuvin)(チバガイギー社、Ardsle
y,New York,から市販されている)と呼ばれ
る市販材料をサンプルでドーピングした。一定の角速度
でサンプルを回転させながら種々の直径の円をサンプル
にエッチングした。各々の直径の円は672回のパルス
を受けた。140μsの有効パルス幅において、わずか
何10ミクロンかがエッチングされた。しかしながら、
240μsの有効パルス幅においてはサンプルが約1m
mの深度までエッチングされた。672あまりのパルス
を平均すると、240μsの効果的なパルス幅における
パルスあたりのエッチング深度は約1.5μmであっ
た。この値はアブレーション光分解により生じたパルス
のエッチング深度と比べて大変優れている。アスペクト
比(深度/幅)は約10:1であった。300nmから
330nmの範囲の波長へレーザー出力を変化させるこ
とにより同様な結果が得られた。試験をした両方の波長
の範囲はドープを施したサンプルの吸収スペクトルの範
囲内であった。
【0037】PMMAサンプルに作られた切断面の強拡
大写真を図4に示す。200μmのスケールを含む写真
右上部分はPMMAサンプルの表面を示す。サンプルに
作られた切断面は写真左下部分にはっきり見える。PM
MA材料はフィラメント状にはがれて、ある程度の加熱
および融解により切断面の側面に差し込まれたようであ
る。多少の熱が切断面の狭い溝の中にトラップされたで
あろうと推測されるが、焦げ跡または他の高温による損
傷は見られない。サンプル表面にはほとんど破片が見ら
れない。しかしながら、アセトンのような溶剤を用いて
切断面の側面およびサンプル表面の周りからフィラメン
トの材料を除去してもよい。
【0038】アルミニウムの薄層(0.05μm)を置
いてエポキシポリマー物質の7μmのコーティングで覆
ったポリエステル物質の層からなるフィルム(Myla
r,E.I.du Pont de Nemours
and Co.から市販されている)を用いた実験から
他の興味ある結果が得られた。従来、アルミニウム層を
切除することなしに上層のエポキシ物質を除去すること
は融除性光分解の慣用的な方法では不可能であった。し
かしながら、フォトカイネティック効果を開始するため
に波長、パワー密度、および有効パルス幅の各変数を調
整することにより電気的な接続を達成する目的でアルミ
ニウムを露出させることが可能であることが本発明者に
より見いだされた。
【0039】300nmから330nmの範囲の波長に
おいて操作される上述の実験と同じcwレーザーを、約
12kW/cm2のパワー密度において照射した。レー
ザー光線とサンプル複合体の間の相対的な直線速度はサ
ンプルの回転中心から各々異なる半径の位置に光線をフ
ォーカスすることにより制御された。相対直線速度の変
化を伴うレーザー光線は、有効パルス幅を200μsか
ら400μsの範囲に規定した。別々の有効パルス幅の
すべてにおいてエッチングされた円はアルミニウムの伝
導層を露出させた。明らかに、アルミニウム層は試験で
使用されたパワー密度および効果的なパルス幅において
損傷されない穏やかなエッチングストップとして機能し
た。しかしながら、エッチングされた直線の幅はより長
い露出時間とともに増加した。
【0040】他の試験は天然源の有機固形物を用いて実
行され、同様に良好な結果を得た。例えば、フォトカイ
ネティック効果は動物(ブタ)筋肉組織および紙におい
て十分に良質な切断面を生じた。
【0041】
【発明の効果】本発明は、工業的および生物学的・医学
的用途およびこれらの分野における新しい応用へのさら
なる研究という広い範囲に有用である。工業的な応用
は:マーキング、刻印、彫刻、輪郭の表示、穴あけ、切
断操作、写真平版、および有機固形物の浸透に必要な操
作を含み;そして考えうる生物学的・医学的な応用は外
科手術、血管形成、眼科、歯科、および生体組織の浸透
を注意深く制御するために必要な他の治療を含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を実行するための装置の模式図
である。
【図2】図2は、等量の蓄積したエネルギーに対して、
エッチングの深さの実験結果を有効パルス幅の函数とし
てプロットした図である。
【図3】図3は、同数のパルスに対して、エッチングの
深さを示す実験結果を有効パルス幅の函数としてプロッ
トした図である。
【図4】図4は、フォトカイネティック効果に独特な特
徴を表す有機物において作られた切断部分を拡大した写
真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を実行するための装置の模式図
である。
【図2】図2は、等量の蓄積したエネルギーに対して、
エッチングの深さの実験結果を有効パルス幅の函数とし
てプロットした図である。
【図3】図3は、同数のパルスに対して、エッチングの
深さを示す実験結果を有効パルス幅の函数としてプロッ
トした図である。
【図4】図4は、フォトカイネティック効果に独特な特
徴を表す有機物において作られた切断部分を拡大して示
す図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機固形物の表面上の一点に連続波紫外線
    の光線を向けて、 有機固形物に吸収される波長、並びに有機固形物内にお
    いてアブレーション光分解(ablative pho
    todecomposition)が開始するのに必要
    な密度より低いパワー密度で連続波紫外線の光線を該点
    に照射し、そして有機固形物において慣用的な励起二量
    体レーザーを使用したアブレーション光分解により得ら
    れるのと同様なエッチング速度を生ぜしめるために、相
    対的に移動する光線の方向における該点までの直線距離
    を光線と該有機固形物表面の間の相対的な速度で割った
    値である有効パルス幅を1マイクロ秒から1000マイ
    クロ秒の範囲内に規定する速度で、該有機固形物に光線
    を相対的に移動させる工程からなる、連続波紫外線によ
    り有機固形物を切断する方法。
  2. 【請求項2】前記の規定された範囲内の有効パルス幅で
    蓄積したエネルギーの量が、励起二量体レーザーの慣用
    的パルス幅の範囲内でアブレーション光分解を開始する
    のに必要なエネルギーの量より大きい、特許請求の範囲
    第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】有効パルス幅を有機材料の吸収特性に応じ
    て調節し、そしてエネルギー蓄積率をコントロールする
    ための光線のパワー密度を、エッチング深度がエネルギ
    ーの蓄積率に依存する範囲内に調節する、特許請求の範
    囲第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】光線のパワー密度が1センチメートル四方
    あたり1キロワットから1センチメートル四方あたり1
    000キロワットである、特許請求の範囲第3項記載の
    方法。
  5. 【請求項5】有機固形物により吸収される波長を有する
    連続波紫外線光の光線を生じさせ、 1センチメートル四方1000キロワットより小さいパ
    ワー密度で有機固形物の表面上の一点に光線の焦点を合
    わせ、 励起二量体レーザーの慣用的なパルスの幅で同様の有機
    材料においてアブレーション光分解を開始するのに必要
    な量のエネルギーを大きく上回る一定量のエネルギーが
    上記点内に蓄積する速度で有機固形物の表面上に該点の
    道筋を描くために、該光線を有機固形物に対して相対的
    に移動させ、 有機固形物内への酸素の透過性による制約を受けない深
    度まで有機固形物をエッチングすることを可能にする速
    度で該道筋をなぞって光線を移動させ続けることからな
    る、連続波紫外線光の光線の移動により有機固形物を切
    断する方法。
  6. 【請求項6】光線の相対移動がさらに光線と有機固形物
    の表面の間の相対速度で、該点の相対移動方向の直線距
    離を割った値として求まる有効パルス幅により規定さ
    れ、そしてその有効パルス幅の値はアブレーション光分
    解を開始するのに使用される励起二量体レーザーの慣用
    的なパルスの最長の幅より長く、そして連続波紫外線に
    より有機固形物を切断するために慣用的に実施される最
    短の暴露時間よりも短い範囲の時間である、特許請求の
    範囲第5項記載の方法。
  7. 【請求項7】有効パルス幅を1マイクロ秒から1000
    マイクロ秒の範囲内に制御して、エッチング速度をより
    長い暴露時間連続波紫外線を使用して有機固形物を切断
    するための慣用的な実施により達成される速度に比べて
    エッチング速度を多数倍増加させることからなる、特許
    請求の範囲第6項記載の方法。
  8. 【請求項8】有機材料基質に熱損傷が残らないように有
    効パルス幅を限定することからなる、特許請求の範囲第
    7項記載の方法。
  9. 【請求項9】有機固形物の表面上の道筋を、アスペクト
    比で少なくとも10:1程度に該道筋の幅より深度が大
    きくなるまでエッチングすることからなる、特許請求の
    範囲第8項記載の方法。
  10. 【請求項10】180ナノメートルから400ナノメー
    トルの範囲の波長で実質的に単色の紫外光の連続波を発
    光するための干渉性光源を用意し、 1センチメートル四方あたり1キロワットから1センチ
    メートル四方あたり1000キロワットのパワー密度で
    有機固形物の表面上に点を形成しながら該表面にあたる
    光線の形で紫外光を伝達し、 該点と有機固形物との間の相対速度で該点の移動方向の
    直線距離を割った値として求まる有効パルス幅を規定す
    るために、有機固形物の表面上に該点を相対移動させ、 該点と有機固形物の表面との間の相対速度を制御して、
    有効パルス幅を1マイクロ秒から1000マイクロ秒の
    範囲に規定することからなる、制御された速度で連続波
    紫外線により有機固形物を切断する方法。
  11. 【請求項11】有効パルス幅を有機材料の吸収特性に応
    じて調節し、そしてエネルギー蓄積率をコントロールす
    るための光線のパワー密度を、エッチング深度がエネル
    ギーの蓄積率に依存する範囲内に調節する、特許請求の
    範囲第10項記載の方法。
  12. 【請求項12】より高いパワー密度におけるアブレーシ
    ョン光分解により達成されるのと同様なエッチング速度
    を達成するために、パルスあたりのエッチング深度を最
    大にするように有効パルス幅をさらに調整することから
    なる、特許請求の範囲第11項記載の方法。
  13. 【請求項13】有機固形物内への酸素の透過性による制
    約を受けない深さまで有機固形物をエッチングするため
    に光線を相対移動させる上記工程が、有機固形物の表面
    上に道筋を規定し、そして該道筋に光線を何度も移動さ
    せることを含むことからなる、特許請求の範囲第12項
    記載の方法。
  14. 【請求項14】連続波紫外光を使用して有機固形物の表
    面を照射し、 アブレーション光分解を開始するのに必要とされるより
    も低いパワー密度で有機固形物の表面上の点に光線を集
    中させ、 道筋上の各点を予め決定された時間照射するスキャニン
    グ速度で、該道筋に沿って有機固形物の表面に光線を相
    対移動させ、そして光線を集中させるパワー密度および
    該光線を相対移動させるスキャニング速度のうちの少な
    くとも一方を、下記変数が大きすぎる場合および小さす
    ぎる場合のどちらから得られるものよりも多数倍増大し
    たエッチング速度により特徴づけられるフォトカイネテ
    ィック効果を開始させるための変数として制御すること
    からなる、有機基質に顕著な熱損傷を与える事なく効率
    よく有機固形物を切断する方法。
  15. 【請求項15】有機固形物の表面上への光線の衝突に伴
    う聞き取れる衝撃音がなく、そして有機固形物の表面上
    に顕著な削り屑の蓄積がないことにより、フォトカイネ
    ティック効果がアブレーション光分解とはさらに区別さ
    れる、特許請求の範囲第14項記載の方法。
  16. 【請求項16】エッチング速度と、有機固形物内への酸
    素の透過性による制御を受けないエッチング深度とが数
    倍増加し、そして検知される熱損傷が残らないことによ
    り、紫外光を用いて有機固形物を切断するための他の既
    知の方法の機構とは区別される、特許請求の範囲第15
    項記載の方法。
  17. 【請求項17】エッチング速度が光線を移動させるとき
    のスキャニング速度に依存する、特許請求の範囲第16
    項記載の方法。
  18. 【請求項18】エッチング速度がアブレーション光分解
    により生じる速度と同様である、特許請求の範囲第17
    項記載の方法。
  19. 【請求項19】有機固形物上の道筋が該道筋のエッチン
    グされた側面に差し込まれた複数のフィラメントの形成
    を含むことからなる、特許請求の範囲第18項記載の方
    法。
  20. 【請求項20】紫外線の特定の波長を吸収する有機重合
    物質;上記有機重合物質により吸収される波長の範囲内
    の、実質的に単色の紫外光の連続波を発光するための干
    渉性光源;基質から分離すべき上記有機重合物質の選択
    された領域の一部分を規定する点に、1センチメートル
    四方あたり1000キロワットより小さいパワー密度で
    連続波紫外線の光線をあてる手段;選択された領域の各
    部分を1マイクロ秒から1000マイクロ秒の範囲の予
    め決定された時間照射する速度で、連続波紫外線により
    照射される点を有機重合物質の該選択された領域内の他
    の複数の部分に相対移動させる手段;及び基質に熱損傷
    を残さないこと及び慣用的な励起二量体レーザーを使用
    してアブレーション光分解で得られる速度と同様なエッ
    チング速度により部分的に特徴づけられるフォトカイネ
    ティック効果を選択された領域において開始するため
    に、照射される点の相対移動速度を調整するための制御
    手段;からなる連続波紫外線を使用した有機重合物質の
    選択された領域を分解するためのシステム。
JP3308979A 1990-12-19 1991-11-25 連続波紫外線照射による有機固形物の切断法 Pending JPH06198475A (ja)

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