JPH06209222A - 弾性表面波素子の製造方法 - Google Patents
弾性表面波素子の製造方法Info
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- JPH06209222A JPH06209222A JP233893A JP233893A JPH06209222A JP H06209222 A JPH06209222 A JP H06209222A JP 233893 A JP233893 A JP 233893A JP 233893 A JP233893 A JP 233893A JP H06209222 A JPH06209222 A JP H06209222A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】内部電力損失が低く、しかも耐電力性が高い、
特性良好で長寿命な弾性表面波素子が得られる製造方法
を提供することにある。 【構成】LiTaO3基板上に金属薄膜電極を形成させ
てから、素子を薄膜電極成膜時の基板温度以上で400
℃未満の所定の温度まで、600℃/分以下の所定の昇
温速度で上昇させ、上記温度に所定時間保持したのち、
600℃/分以下の所定の冷却速度で室温まで戻して電
極膜の焼鈍処理を行い、かつ、電極膜の静的応力を5×
109dyn/cm2以下に抑制する。
特性良好で長寿命な弾性表面波素子が得られる製造方法
を提供することにある。 【構成】LiTaO3基板上に金属薄膜電極を形成させ
てから、素子を薄膜電極成膜時の基板温度以上で400
℃未満の所定の温度まで、600℃/分以下の所定の昇
温速度で上昇させ、上記温度に所定時間保持したのち、
600℃/分以下の所定の冷却速度で室温まで戻して電
極膜の焼鈍処理を行い、かつ、電極膜の静的応力を5×
109dyn/cm2以下に抑制する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上に形成させた金
属薄膜よりなる電極の耐電力特性が高く、長期間にわた
って良好な特性を保持できる、LiTaO3を圧電性基
板として使用した弾性表面波素子の製造方法に関する。
属薄膜よりなる電極の耐電力特性が高く、長期間にわた
って良好な特性を保持できる、LiTaO3を圧電性基
板として使用した弾性表面波素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、LiTaO3基板に金属薄膜より
なる電極を形成させた弾性表面波素子は、小形で高性能
なバンドパスフィルタとして益々広く利用されるように
なり、それと共に、動作周波数は数百MHzから数GH
z程度の高周波域に広がり、耐電力性についても通信機
器の送信側にも使用できるように、従来例よりも遥かに
大きい入力電力にも耐えることが要求されるようになっ
てきた。
なる電極を形成させた弾性表面波素子は、小形で高性能
なバンドパスフィルタとして益々広く利用されるように
なり、それと共に、動作周波数は数百MHzから数GH
z程度の高周波域に広がり、耐電力性についても通信機
器の送信側にも使用できるように、従来例よりも遥かに
大きい入力電力にも耐えることが要求されるようになっ
てきた。
【0003】弾性表面波素子の電極には、すだれ状くし
形電極を用い、周知のように通常、λ/4幅の電極指を
電極指間の隙間がλ/4になるように(即ち電極指間ピ
ッチはλ/2)配設して形成するが、高周波化を図るた
めには基板上に形成する電極指の幅を細く、たとえば中
心周波数1GHzでは約1μmに、しなければならな
い。
形電極を用い、周知のように通常、λ/4幅の電極指を
電極指間の隙間がλ/4になるように(即ち電極指間ピ
ッチはλ/2)配設して形成するが、高周波化を図るた
めには基板上に形成する電極指の幅を細く、たとえば中
心周波数1GHzでは約1μmに、しなければならな
い。
【0004】上記のような微細な電極を用いた弾性表面
波素子を、高い入力電力で動作させていると、弾性表面
波によって生ずる圧電性基板の表面の歪が、その表面上
に形成された電極膜に内部応力を発生させ、その応力が
電極用金属薄膜の臨界剪断応力を越えた部分では、電極
材料の原子が結晶粒界を通路として移動し、累積動作時
間が長くなると、電極に空隙(void)、突起(hi
llock)を発生させ、特性の劣化および電極の破壊
が生じるようになる。
波素子を、高い入力電力で動作させていると、弾性表面
波によって生ずる圧電性基板の表面の歪が、その表面上
に形成された電極膜に内部応力を発生させ、その応力が
電極用金属薄膜の臨界剪断応力を越えた部分では、電極
材料の原子が結晶粒界を通路として移動し、累積動作時
間が長くなると、電極に空隙(void)、突起(hi
llock)を発生させ、特性の劣化および電極の破壊
が生じるようになる。
【0005】上記問題を回避するために、従来から例え
ば特公昭61−47010号公報に記載されているよう
に、それまで加工容易性などのため電極材料として好ん
で用いられていたAlにCuを少量添加させた合金電極
膜を使用することが行われるようになった。電極用金属
薄膜の耐電力性を向上させる手段としては、Al合金を
形成させる少量添加物として、Cuの他にも、Ti、N
i、Mg、Pdなども用いられている。
ば特公昭61−47010号公報に記載されているよう
に、それまで加工容易性などのため電極材料として好ん
で用いられていたAlにCuを少量添加させた合金電極
膜を使用することが行われるようになった。電極用金属
薄膜の耐電力性を向上させる手段としては、Al合金を
形成させる少量添加物として、Cuの他にも、Ti、N
i、Mg、Pdなども用いられている。
【0006】従来の弾性表面波素子の製造方法は、圧電
性基板の上に真空蒸着法またはスパッタリング法などで
電極用金属薄膜を形成させ、その後、フォトリソグラフ
ィ技術等の微細加工技術により所要の電極パターンを形
成させるという簡易なものであった。従って、形成され
た電極膜は、気相状態から固相状態に相変化したままの
状態であって、物理化学的に不安定状態にある。その不
安定状態では、欠陥も極めて多く比抵抗は高かった。A
lにCu、Ti、Ni、Mg、Pd等を添加して耐電力
性良好なAl合金とする際に、添加量を増加するのに伴
い機械的強度は増大し耐電力性は増大するが、一方、電
極膜の比抵抗が増大するために内部損失が増加するとい
う問題が生じ、添加する元素および添加する量に大幅な
制限があった。
性基板の上に真空蒸着法またはスパッタリング法などで
電極用金属薄膜を形成させ、その後、フォトリソグラフ
ィ技術等の微細加工技術により所要の電極パターンを形
成させるという簡易なものであった。従って、形成され
た電極膜は、気相状態から固相状態に相変化したままの
状態であって、物理化学的に不安定状態にある。その不
安定状態では、欠陥も極めて多く比抵抗は高かった。A
lにCu、Ti、Ni、Mg、Pd等を添加して耐電力
性良好なAl合金とする際に、添加量を増加するのに伴
い機械的強度は増大し耐電力性は増大するが、一方、電
極膜の比抵抗が増大するために内部損失が増加するとい
う問題が生じ、添加する元素および添加する量に大幅な
制限があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術は、電
極膜の機械的強度を増大させて耐電力性を向上させる点
で確かに貢献していたが、使用時の内部損失を抑制する
ために電極膜の比抵抗を減少させることは出来ないとい
う問題点を抱えていた。
極膜の機械的強度を増大させて耐電力性を向上させる点
で確かに貢献していたが、使用時の内部損失を抑制する
ために電極膜の比抵抗を減少させることは出来ないとい
う問題点を抱えていた。
【0008】本発明は、上記従来の弾性表面波素子の製
造方法のように電極膜の機械的強度は高くなるがそれに
伴って比抵抗が増大する問題点を克服し、LiTaO3
圧電性基板上に形成した電極膜の機械的強度が比較的高
く長期間の繰返し応力に良く耐え、しかも比抵抗の増大
を比較的低く抑制して内部損失の増大を抑制した弾性表
面波素子を製造できるようにした弾性表面波素子の製造
方法を提供することを課題とする。
造方法のように電極膜の機械的強度は高くなるがそれに
伴って比抵抗が増大する問題点を克服し、LiTaO3
圧電性基板上に形成した電極膜の機械的強度が比較的高
く長期間の繰返し応力に良く耐え、しかも比抵抗の増大
を比較的低く抑制して内部損失の増大を抑制した弾性表
面波素子を製造できるようにした弾性表面波素子の製造
方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明においては、LiTaO3基板上に金属薄膜電
極を形成させてから、素子を薄膜電極成膜時の基板温度
以上で400℃未満の所定の温度まで、600℃/分以
下の所定の昇温速度で上昇させ、上記温度に所定時間保
持したのち、600℃/分以下の所定の冷却速度で室温
まで低下させることにより、基板の特性を損なうことな
く金属薄膜電極の焼鈍処理を行うことにした。上記焼鈍
処理は、真空中またはAr、N2、H2の少なくとも一つ
からなる不活性または非酸化性雰囲気中で行う。上記焼
鈍処理を行ったのちの電極薄膜内の残留応力は、この電
極薄膜の形成作業時の条件によっても変化するが、その
条件が適切で、かつ、焼鈍処理が正しく行われていれ
ば、焼鈍処理後の電極薄膜内部の残留応力は、室温にお
いて5×109dyn/cm2以下になっている筈(なっ
ていなければ電極薄膜の形成作業や焼鈍作業について再
検討する必要がある)である。量産品の個々について測
定することは勿論できないが、特別な試料について、例
えばいわゆる円板法によって、品質管理試験を行って確
かめる必要がある。
に本発明においては、LiTaO3基板上に金属薄膜電
極を形成させてから、素子を薄膜電極成膜時の基板温度
以上で400℃未満の所定の温度まで、600℃/分以
下の所定の昇温速度で上昇させ、上記温度に所定時間保
持したのち、600℃/分以下の所定の冷却速度で室温
まで低下させることにより、基板の特性を損なうことな
く金属薄膜電極の焼鈍処理を行うことにした。上記焼鈍
処理は、真空中またはAr、N2、H2の少なくとも一つ
からなる不活性または非酸化性雰囲気中で行う。上記焼
鈍処理を行ったのちの電極薄膜内の残留応力は、この電
極薄膜の形成作業時の条件によっても変化するが、その
条件が適切で、かつ、焼鈍処理が正しく行われていれ
ば、焼鈍処理後の電極薄膜内部の残留応力は、室温にお
いて5×109dyn/cm2以下になっている筈(なっ
ていなければ電極薄膜の形成作業や焼鈍作業について再
検討する必要がある)である。量産品の個々について測
定することは勿論できないが、特別な試料について、例
えばいわゆる円板法によって、品質管理試験を行って確
かめる必要がある。
【0010】
【作用】LiTaO3基板に電極膜を形成する方法とし
ては、スパッタリング法および真空蒸着法が一般的であ
るが、膜の緻密性および合金膜の組成安定性の点から現
在は主にスパッタリング法が用いられる。スパッタリン
グ法により形成された電極膜は多くの結晶粒からなる多
結晶薄膜にすることがほとんどであり、多数の粒界およ
び転位等の欠陥が存在し自由エネルギー的に高い状態に
ある。従来の弾性表面波素子の製造方法では、上記のよ
うに電極膜を形成させた後、フォトリソグラフィなどの
微細加工技術により所望の形状にパターニングを行い、
その後、完成した大径の基板のウェーハから小さなチッ
プへのダイシング、電極間接続等のボンディング、各チ
ップを保護筐体内に収納するパッケージングなどの工程
を経て素子を製造していた。この従来の方法では、電極
膜に多数の欠陥が残存していたために比抵抗が高く、素
子としての内部損失が大きいという欠点があった。ま
た、耐電力性を向上させるために、AlにCu、Ti、
Ni、Mg、Pd等を添加し粒界拡散を防止してきた
が、上記添加物の添加量増加に伴って比抵抗が大幅に増
加し、素子の内部損失を増大させるという問題が別に生
ずるために、添加元素および添加量が制約されていた。
ては、スパッタリング法および真空蒸着法が一般的であ
るが、膜の緻密性および合金膜の組成安定性の点から現
在は主にスパッタリング法が用いられる。スパッタリン
グ法により形成された電極膜は多くの結晶粒からなる多
結晶薄膜にすることがほとんどであり、多数の粒界およ
び転位等の欠陥が存在し自由エネルギー的に高い状態に
ある。従来の弾性表面波素子の製造方法では、上記のよ
うに電極膜を形成させた後、フォトリソグラフィなどの
微細加工技術により所望の形状にパターニングを行い、
その後、完成した大径の基板のウェーハから小さなチッ
プへのダイシング、電極間接続等のボンディング、各チ
ップを保護筐体内に収納するパッケージングなどの工程
を経て素子を製造していた。この従来の方法では、電極
膜に多数の欠陥が残存していたために比抵抗が高く、素
子としての内部損失が大きいという欠点があった。ま
た、耐電力性を向上させるために、AlにCu、Ti、
Ni、Mg、Pd等を添加し粒界拡散を防止してきた
が、上記添加物の添加量増加に伴って比抵抗が大幅に増
加し、素子の内部損失を増大させるという問題が別に生
ずるために、添加元素および添加量が制約されていた。
【0011】本発明者は、電極膜材料のAlへの他元素
添加に伴う比抵抗の増加を抑制し、耐電力性の向上およ
び素子の内部損失の低減を両立させるために、製造工程
中に、基板上に形成させた電極膜の焼鈍処理(アニー
ル)を追加して導入することを検討し、その有効性を確
認した。電極へのアニールプロセスは、半導体LSI分
野では既に実施されているが、LiTaO3は圧電性お
よび焦電性を有する基板であるために、LSI分野で使
用しているアニール方法をそのまま導入することはでき
ない。なすわち、LiTaO3基板は、昇温速度および
冷却速度が速い場合には、上記のような特有の性質に基
づくサーマルショックによって亀裂が入ったり破損した
りする。本発明者が、昇温速度および冷却速度とサーマ
ルショックによる基板の亀裂または破損の関係を検討し
たところ、600℃/分以下の昇温速度および冷却速度
が必要であることが判明した。昇温速度および冷却速度
は、600℃/分以下でないと歩留が低く、焼鈍処理の
量産への適用は不可能に近く、基板の熱的特性の不均一
性を考慮すると100℃/分以下が望ましく、50℃/
分以下であれば一層好ましい。
添加に伴う比抵抗の増加を抑制し、耐電力性の向上およ
び素子の内部損失の低減を両立させるために、製造工程
中に、基板上に形成させた電極膜の焼鈍処理(アニー
ル)を追加して導入することを検討し、その有効性を確
認した。電極へのアニールプロセスは、半導体LSI分
野では既に実施されているが、LiTaO3は圧電性お
よび焦電性を有する基板であるために、LSI分野で使
用しているアニール方法をそのまま導入することはでき
ない。なすわち、LiTaO3基板は、昇温速度および
冷却速度が速い場合には、上記のような特有の性質に基
づくサーマルショックによって亀裂が入ったり破損した
りする。本発明者が、昇温速度および冷却速度とサーマ
ルショックによる基板の亀裂または破損の関係を検討し
たところ、600℃/分以下の昇温速度および冷却速度
が必要であることが判明した。昇温速度および冷却速度
は、600℃/分以下でないと歩留が低く、焼鈍処理の
量産への適用は不可能に近く、基板の熱的特性の不均一
性を考慮すると100℃/分以下が望ましく、50℃/
分以下であれば一層好ましい。
【0012】また、昇温後の保持温度すなわちアニール
温度は、電極膜の成膜時の基板温度たとえば200℃以
上で、しかも400℃未満にする必要がある。アニール
温度が、電極成膜時温度未満の場合は、比抵抗低減効果
が無く、400℃以上の温度でアニールを行うと、Li
TaO3基板が薄く着色した。着色したLiTaO3基板
の表面を薄膜X線回折分析により評価したところ、Li
TaO3結晶の他にLiTa3O3結晶が発現しており、
LiTaO3基板の特性が失われていることが判明し
た。従って、アニール温度は400℃未満にすることが
必要である。LiTa3O3結晶の発現過程の詳細は、現
在明らかではないが、基板表面のLi2Oの外部拡散と
関係があるものと考えられている。アニール手段として
は、電極膜の成膜後、成膜装置内でアニールする方法、
成膜装置以外の装置で、成膜後または微細加工技術によ
るパターニング後にアニールする方法がある。アニール
雰囲気は、電極膜の酸化防止のために、真空中またはA
r、N2、H2の少なくとも一者からなる不活性または非
酸化性ガス中が望ましい。
温度は、電極膜の成膜時の基板温度たとえば200℃以
上で、しかも400℃未満にする必要がある。アニール
温度が、電極成膜時温度未満の場合は、比抵抗低減効果
が無く、400℃以上の温度でアニールを行うと、Li
TaO3基板が薄く着色した。着色したLiTaO3基板
の表面を薄膜X線回折分析により評価したところ、Li
TaO3結晶の他にLiTa3O3結晶が発現しており、
LiTaO3基板の特性が失われていることが判明し
た。従って、アニール温度は400℃未満にすることが
必要である。LiTa3O3結晶の発現過程の詳細は、現
在明らかではないが、基板表面のLi2Oの外部拡散と
関係があるものと考えられている。アニール手段として
は、電極膜の成膜後、成膜装置内でアニールする方法、
成膜装置以外の装置で、成膜後または微細加工技術によ
るパターニング後にアニールする方法がある。アニール
雰囲気は、電極膜の酸化防止のために、真空中またはA
r、N2、H2の少なくとも一者からなる不活性または非
酸化性ガス中が望ましい。
【0013】弾性表面波素子では、基板表面上を、レー
リー波、SH波などの弾性波が伝搬する。素子の高出力
化を図るのに伴い、弾性波から受ける電極膜の応力が増
大するようになる。電極膜は、内部応力があるしきい値
以上に達すると転位の移動および滑りなどが生じ、ボイ
ド、ヒロックの発生および隣接電極膜との短絡等が発生
し、電極膜の破壊が生ずるようになる。素子の動作時に
電極膜に印加される応力は、電極膜の静的な内部応力と
弾性波から受ける動的な応力を加算したものとなる。高
出力化に伴い弾性波から受ける動的な応力が増加するた
めに、電極膜の静的な内部応力を極力小さくする必要が
ある。Al合金系の場合、その室温における静的な内部
応力は5×109dyn/cm2以下であることが望まし
い。
リー波、SH波などの弾性波が伝搬する。素子の高出力
化を図るのに伴い、弾性波から受ける電極膜の応力が増
大するようになる。電極膜は、内部応力があるしきい値
以上に達すると転位の移動および滑りなどが生じ、ボイ
ド、ヒロックの発生および隣接電極膜との短絡等が発生
し、電極膜の破壊が生ずるようになる。素子の動作時に
電極膜に印加される応力は、電極膜の静的な内部応力と
弾性波から受ける動的な応力を加算したものとなる。高
出力化に伴い弾性波から受ける動的な応力が増加するた
めに、電極膜の静的な内部応力を極力小さくする必要が
ある。Al合金系の場合、その室温における静的な内部
応力は5×109dyn/cm2以下であることが望まし
い。
【0014】
【実施例】以下、本発明を図面を用いて更に詳しく説明
する。
する。
【0015】実施例1 図1(a)は、36°回転Y軸切断X軸伝搬LiTaO
3基板の上にAl膜を100nmの膜厚に成膜させた試
料の、アニール時の昇温速度または冷却速度と、その時
の試料の歩留との関係を示している。ここで、試料の歩
留とは、10枚の試料中、試料に亀裂または破損が生じ
なかった試料枚数の割合を表している。歩留80%以上
を得るためには、昇温速度または冷却速度を600℃/
分以下にする必要がある。昇温速度または冷却速度を速
くできればスループット向上に有効ではあるが、一方、
歩留を高めるためには昇温速度または冷却速度をさらに
遅くすることが望ましい。本実施例では昇温速度または
冷却速度は50℃/分で行った。その結果、歩留を10
0%にすることが出来た。
3基板の上にAl膜を100nmの膜厚に成膜させた試
料の、アニール時の昇温速度または冷却速度と、その時
の試料の歩留との関係を示している。ここで、試料の歩
留とは、10枚の試料中、試料に亀裂または破損が生じ
なかった試料枚数の割合を表している。歩留80%以上
を得るためには、昇温速度または冷却速度を600℃/
分以下にする必要がある。昇温速度または冷却速度を速
くできればスループット向上に有効ではあるが、一方、
歩留を高めるためには昇温速度または冷却速度をさらに
遅くすることが望ましい。本実施例では昇温速度または
冷却速度は50℃/分で行った。その結果、歩留を10
0%にすることが出来た。
【0016】図1(b)は、36°回転Y軸切断X軸伝
搬LiTaO3基板上に成形させたAl−0.2wt%
Ti合金の膜厚100nmの膜の比抵抗の増減の程度と
アニール温度との関係を示す図である。電極膜の形成
は、DCマグネトロンスパッタリング法で行い、成膜時
の基板温度を50℃から200℃まで変化させた場合、
及び、成膜時のArガス圧力を0.2Paから2.0P
aまで変化させた場合においても、図1(b)と同様な
比抵抗の増減が見られた。アニールは、N2ガス雰囲気
中で1時間行った。アニール温度の上昇に伴い450℃
までに、比抵抗は約0.2μΩcm低減できる。500
℃以上では比抵抗が増加して好ましくない。500℃以
上では、電極膜とLiTaO3が相互拡散するものと考
えられる。しかし、400℃以上の温度においては、L
iTaO3基板の表面が極めて薄く着色していた。その
基板表面を薄膜X線回折法により分析した結果、LiT
aO3結晶の他にLiTa3O3結晶が現れていることが
判明した。図2に、400℃の温度でN2ガス雰囲気中
1時間アニールを行ったLiTaO3基板表面の薄膜X
線回折分析結果を示す(横軸はX線照射方向、縦軸はそ
の方向に対応するカウント数で、結晶面間の距離から対
象物質が判る)。LiTa3O3結晶が現れることは、L
iTaO3基板の特性が失われることを意味するため好
ましくなく、従って、アニール温度は400℃未満に限
定される。一方、成膜時の基板温度未満の温度でアニー
ルを行っても、電極膜の比抵抗が低減する効果が得られ
ないため、アニール温度は成膜時の基板温度以上にする
必要がある。従って、アニール温度は、成膜時の基板温
度以上で400℃未満に限定される。
搬LiTaO3基板上に成形させたAl−0.2wt%
Ti合金の膜厚100nmの膜の比抵抗の増減の程度と
アニール温度との関係を示す図である。電極膜の形成
は、DCマグネトロンスパッタリング法で行い、成膜時
の基板温度を50℃から200℃まで変化させた場合、
及び、成膜時のArガス圧力を0.2Paから2.0P
aまで変化させた場合においても、図1(b)と同様な
比抵抗の増減が見られた。アニールは、N2ガス雰囲気
中で1時間行った。アニール温度の上昇に伴い450℃
までに、比抵抗は約0.2μΩcm低減できる。500
℃以上では比抵抗が増加して好ましくない。500℃以
上では、電極膜とLiTaO3が相互拡散するものと考
えられる。しかし、400℃以上の温度においては、L
iTaO3基板の表面が極めて薄く着色していた。その
基板表面を薄膜X線回折法により分析した結果、LiT
aO3結晶の他にLiTa3O3結晶が現れていることが
判明した。図2に、400℃の温度でN2ガス雰囲気中
1時間アニールを行ったLiTaO3基板表面の薄膜X
線回折分析結果を示す(横軸はX線照射方向、縦軸はそ
の方向に対応するカウント数で、結晶面間の距離から対
象物質が判る)。LiTa3O3結晶が現れることは、L
iTaO3基板の特性が失われることを意味するため好
ましくなく、従って、アニール温度は400℃未満に限
定される。一方、成膜時の基板温度未満の温度でアニー
ルを行っても、電極膜の比抵抗が低減する効果が得られ
ないため、アニール温度は成膜時の基板温度以上にする
必要がある。従って、アニール温度は、成膜時の基板温
度以上で400℃未満に限定される。
【0017】実施例2 寿命は、電極膜に生じている静的な内部応力により大き
な影響を受ける。
な影響を受ける。
【0018】図3は、36°回転Y軸切断X軸伝搬Li
TaO3基板とAl−0.6wt%Ti電極からなる多
電極型弾性表面波素子における、寿命と電極膜の静的な
応力の関係を示している。電極膜の膜厚は100nmで
ある。アニールは、N2ガス雰囲気中で370℃で1時
間行った。この時、電極膜の比抵抗は、アニールを行わ
ない場合よりも0.4μΩcm低減した。電極膜の静的
応力は、電極膜形成時のスパッタリング条件を変化する
ことによって変化させた。図示の応力は室温におけるも
のである(但し、応力測定は既述の如く、いわゆる円板
法で特別の円板形状の試料によって行った)。加速劣化
試験条件は、素子を周囲温度120℃において、周波数
880MHz、出力電力1Wで動作させ、ネットワーク
アナライザで測定して880MHzでの出力が0.5d
B低下するまでの時間を寿命とした。電極膜の応力が小
さいほど長寿命化している。本加速劣化試験条件では1
0時間以上の寿命を保持することが実用上必要となる。
従って、応力は5×109dyn/cm2以下にすること
が必要になる。なお、アニールを行わない場合には、ア
ニールを行った場合の約1/5の寿命であった。
TaO3基板とAl−0.6wt%Ti電極からなる多
電極型弾性表面波素子における、寿命と電極膜の静的な
応力の関係を示している。電極膜の膜厚は100nmで
ある。アニールは、N2ガス雰囲気中で370℃で1時
間行った。この時、電極膜の比抵抗は、アニールを行わ
ない場合よりも0.4μΩcm低減した。電極膜の静的
応力は、電極膜形成時のスパッタリング条件を変化する
ことによって変化させた。図示の応力は室温におけるも
のである(但し、応力測定は既述の如く、いわゆる円板
法で特別の円板形状の試料によって行った)。加速劣化
試験条件は、素子を周囲温度120℃において、周波数
880MHz、出力電力1Wで動作させ、ネットワーク
アナライザで測定して880MHzでの出力が0.5d
B低下するまでの時間を寿命とした。電極膜の応力が小
さいほど長寿命化している。本加速劣化試験条件では1
0時間以上の寿命を保持することが実用上必要となる。
従って、応力は5×109dyn/cm2以下にすること
が必要になる。なお、アニールを行わない場合には、ア
ニールを行った場合の約1/5の寿命であった。
【0019】図4(a)は加速劣化試験に用いた多電極
型弾性表面波素子の上面図、図4(b)は図4(a)中
に示すA−A’線断面図である。圧電性基板1はSHモ
ードの擬似表面波を伝搬する36°回転Y軸切断X軸伝
搬のLiTaO3である。電極構成は、入力電極2、出
力電極3が交互に配置されており、入出力電極の個数
は、入力電極2は2個、出力電極3は3個の多電極型構
造となっている。入力電極2及び出力電極3は、それぞ
れ、くし形すだれ状に配列された電極指4から構成さ
れ、図4(b)の断面図に示すように、電極指4の電極
幅と電極指4のない部分(スペース部)の幅は等しく、
それぞれ、λ/4(但し、λは素子の中心周波数におけ
る波長)になっている。また、入出力電極2、3の間に
は接地用電極パターン5が形成されている。更に、電圧
性基板1の表面は、入出力電極2、3及び接地用電極パ
ターン5と電気的に絶縁された浮き電極パターン6で覆
われている。
型弾性表面波素子の上面図、図4(b)は図4(a)中
に示すA−A’線断面図である。圧電性基板1はSHモ
ードの擬似表面波を伝搬する36°回転Y軸切断X軸伝
搬のLiTaO3である。電極構成は、入力電極2、出
力電極3が交互に配置されており、入出力電極の個数
は、入力電極2は2個、出力電極3は3個の多電極型構
造となっている。入力電極2及び出力電極3は、それぞ
れ、くし形すだれ状に配列された電極指4から構成さ
れ、図4(b)の断面図に示すように、電極指4の電極
幅と電極指4のない部分(スペース部)の幅は等しく、
それぞれ、λ/4(但し、λは素子の中心周波数におけ
る波長)になっている。また、入出力電極2、3の間に
は接地用電極パターン5が形成されている。更に、電圧
性基板1の表面は、入出力電極2、3及び接地用電極パ
ターン5と電気的に絶縁された浮き電極パターン6で覆
われている。
【0020】なお、この多電極型弾性表面波素子の中心
周波数は880MHzで、入出力電極2、3のくし形電
極指の電極幅、スペース幅は共に1.2μm、接地用電
極パターン5の幅は5μmである。
周波数は880MHzで、入出力電極2、3のくし形電
極指の電極幅、スペース幅は共に1.2μm、接地用電
極パターン5の幅は5μmである。
【0021】以上、上記実施例では、単層膜からなる電
極のアニールについて述べたが、2層以上からなる多層
膜においてアニールを行っても有効である。また、上記
実施例では電極膜材料は、Al−Ti系であったが、A
lへの添加材料として、Tiの他、Pd、Nb、W、
V、Ni、Mg、Ge、Si、Co、Zn、Li、T
a、Au、Ag、Pt、Cr、Hf、Zr、Cd、Cu
のなかの少なくとも一つの金属を20wt%以下添加し
たAl合金であっても差支えない。電極膜の膜厚は上記
実施例では100nmの場合について行ったが、更に厚
くとも薄くとも差支えない。膜厚が薄い場合には、臨界
剪断応力はペッチの関係により増大するが、比抵抗が増
大するため、従来は好ましくなかった。しかし、本発明
によりアニールを行うことにより比抵抗が低減できるた
めに、電極膜厚が薄くても使用可能になる。また、上記
実施例ではアニール時の保持時間を1時間としたが、こ
れに限定するものではない。
極のアニールについて述べたが、2層以上からなる多層
膜においてアニールを行っても有効である。また、上記
実施例では電極膜材料は、Al−Ti系であったが、A
lへの添加材料として、Tiの他、Pd、Nb、W、
V、Ni、Mg、Ge、Si、Co、Zn、Li、T
a、Au、Ag、Pt、Cr、Hf、Zr、Cd、Cu
のなかの少なくとも一つの金属を20wt%以下添加し
たAl合金であっても差支えない。電極膜の膜厚は上記
実施例では100nmの場合について行ったが、更に厚
くとも薄くとも差支えない。膜厚が薄い場合には、臨界
剪断応力はペッチの関係により増大するが、比抵抗が増
大するため、従来は好ましくなかった。しかし、本発明
によりアニールを行うことにより比抵抗が低減できるた
めに、電極膜厚が薄くても使用可能になる。また、上記
実施例ではアニール時の保持時間を1時間としたが、こ
れに限定するものではない。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、L
iTaO3基板の特性を損なうことなく、電極膜の内部
応力や比抵抗を低減できるので、作動中の内部損失が低
く、耐電力性が大幅に向上した、長寿命、高信頼性の弾
性表面波素子を製造することが可能になる。
iTaO3基板の特性を損なうことなく、電極膜の内部
応力や比抵抗を低減できるので、作動中の内部損失が低
く、耐電力性が大幅に向上した、長寿命、高信頼性の弾
性表面波素子を製造することが可能になる。
【図1】図1(a)は36°回転Y軸切断X軸伝搬Li
TaO3基板にAl膜を100nmの膜厚に成膜させた
試料のアニール時の昇温速度または冷却速度と試料の歩
留との関係を示す図、図1(b)は、36°回転Y軸切
断X軸伝搬LiTaO3基板上に形成させたAl−0.
2wt%Ti合金の膜厚100nmの膜の比抵抗の増減
の程度とアニール温度との関係を示す図である。
TaO3基板にAl膜を100nmの膜厚に成膜させた
試料のアニール時の昇温速度または冷却速度と試料の歩
留との関係を示す図、図1(b)は、36°回転Y軸切
断X軸伝搬LiTaO3基板上に形成させたAl−0.
2wt%Ti合金の膜厚100nmの膜の比抵抗の増減
の程度とアニール温度との関係を示す図である。
【図2】温度400℃でN2ガス雰囲気中1時間アニー
ルを行ったLiTaO3基板表面の薄膜X線回折分析結
果を示す図である。
ルを行ったLiTaO3基板表面の薄膜X線回折分析結
果を示す図である。
【図3】36°回転Y軸切断X軸伝搬LiTaO3基板
上にAl−0.6wt%Ti電極を形成させた多電極型
弾性表面波素子における寿命と電極膜の静的な応力の関
係を示す図である。
上にAl−0.6wt%Ti電極を形成させた多電極型
弾性表面波素子における寿命と電極膜の静的な応力の関
係を示す図である。
【図4】図4(a)は加速劣化試験に用いた本発明に係
る多電極型弾性表面波素子の上面図、図4(b)は図4
(a)中に示すA−A’線断面図である。
る多電極型弾性表面波素子の上面図、図4(b)は図4
(a)中に示すA−A’線断面図である。
1…LiTaO3基板、 2…入力電極、 3…出力電極、 4…電極指、 5…接地用電極パターン、 6…浮き電極パターン。
Claims (2)
- 【請求項1】LiTaO3基板上に金属薄膜よりなる電
極を形成させた弾性表面波素子の製造方法において、L
iTaO3基板上に金属薄膜電極を形成させてから、素
子を薄膜電極成膜時の基板温度以上で400℃未満の所
定の温度まで、600℃/分以下の所定の昇温速度で上
昇させ、上記温度に所定時間保持したのち、600℃/
分以下の所定の冷却速度で室温まで低下させることによ
り、基板の特性を損なうことなく金属薄膜電極の焼鈍処
理を行うことを特徴とする弾性表面波素子の製造方法。 - 【請求項2】LiTaO3基板上に形成させた電極用金
属薄膜内の焼鈍処理後の応力が、室温で、5×109d
yn/cm2以下であることを特徴とする請求項1記載
の弾性表面波素子の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP233893A JPH06209222A (ja) | 1993-01-11 | 1993-01-11 | 弾性表面波素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP233893A JPH06209222A (ja) | 1993-01-11 | 1993-01-11 | 弾性表面波素子の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06209222A true JPH06209222A (ja) | 1994-07-26 |
Family
ID=11526521
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP233893A Pending JPH06209222A (ja) | 1993-01-11 | 1993-01-11 | 弾性表面波素子の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06209222A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001211045A (ja) * | 2000-01-26 | 2001-08-03 | Sanyo Electric Co Ltd | 弾性表面波素子の製造方法 |
| JP2006352377A (ja) * | 2005-06-14 | 2006-12-28 | Epson Toyocom Corp | 弾性表面波デバイスとその製造方法 |
-
1993
- 1993-01-11 JP JP233893A patent/JPH06209222A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001211045A (ja) * | 2000-01-26 | 2001-08-03 | Sanyo Electric Co Ltd | 弾性表面波素子の製造方法 |
| JP2006352377A (ja) * | 2005-06-14 | 2006-12-28 | Epson Toyocom Corp | 弾性表面波デバイスとその製造方法 |
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