JPH062223B2 - 酸化タングステン一酸化スズ複合ゾル及びその製造法 - Google Patents

酸化タングステン一酸化スズ複合ゾル及びその製造法

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JPH062223B2
JPH062223B2 JP28954289A JP28954289A JPH062223B2 JP H062223 B2 JPH062223 B2 JP H062223B2 JP 28954289 A JP28954289 A JP 28954289A JP 28954289 A JP28954289 A JP 28954289A JP H062223 B2 JPH062223 B2 JP H062223B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、安定な酸化タングステン−酸化スズ複合ゾル
及びその製造方法に関する。本発明の酸化タングステン
−酸化スズ複合ゾルは、繊維や紙の処理剤;金属,ガラ
ス,プラスチックス等の表面処理剤;塗料結合剤;繊
維,プラスチックス等の難燃助剤;セラミックスファイ
バー,ガラスファイバー,セラミックス等の結合剤;紙
やプラスチックス等の帯電防止剤;ハードコート剤の屈
折率向上剤,硬度向上剤等に用いられる。
(従来の技術) 酸化タングステン単独の安定なゾルは未だ知られていな
いが、珪酸塩の添加によって得られる WO3:SiO2:M2O(但し、Mはアルカリ金属原子又はアン
モニウム基を表わす。)モル比が4〜15:2〜5:1で
あるゾルが、特開昭54-52686号公報に提案されている。
また、特公昭50-40119号公報には、Si:Snのモル比が2
〜1000:1であるケイ酸−スズ酸複合ゾルが提案さ
れている。
(発明が解決しようとする課題) 上記特開昭54-52686号公報に記載の酸化タングステンの
ゾルは、タングステン酸塩の水溶液を脱陽イオン処理す
ることにより得られるタングステン酸の水溶液に、珪酸
塩を加えることにより得られているが、強酸性において
のみ安定であり、また、有用性についても広範囲に及ぶ
ものではない。例えば、難燃助剤として用いても、その
難燃性の向上効果は小さく、また、ハードコート剤とし
て用いる場合にも、塗膜の屈折率向上効果は小さい。
上記特公昭50-40119号公報に記載のケイ酸−スズ酸複合
ゾルは、ケイ酸アルカリとスズ酸アルカリの混合水溶液
を脱陽イオン処理することにより得られているが、上記
同様、やはり広い用途に適するものではない。
本発明は、種々の用途に適する新規なる酸化タングステ
ン−酸化スズ複合ゾルを提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の安定な酸化タングステン−酸化スズ複合ゾル
は、酸化タングステン(WO3)と酸化スズ(SnO2)の複
合コロイド粒子と、アルカリ金属、アンモニウム又はア
ミンの陽イオンとを含有し、好ましくは、このゾルに含
まれるWO3とSnO2の重量比がWO3/SnO2として2〜100
であり、そしてこのゾルに含まれるアルカリ金属、アン
モニウム又はアミンの陽イオンの量は、M2O/WO3+SnO2
(但し、Mはアルカリ金属原子、アンモニウム基又はア
ミン分子を表わす。)モル比として0.02〜0.7である
ことを特徴とするものである。
この本発明の安定な酸化タングステン−酸化スズ複合ゾ
ルは、好ましくは、タングステン酸塩の水溶液を水素型
陽イオン交換体で処理することにより得られるタングス
テン酸水溶液と、スズ酸塩の水溶液をWO3/SnO2として
2〜100の比率に混合し、そしてこの混合液中のアル
カリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム又はアミンとこ
れらタングステン酸のWO3とスズ酸塩のSnO2の合計とのM
2O/WO3+SnO2(但し、Mは、上記に同じ。)モル比を
0.02〜0.7に調節することを特徴とする方法によって
得られる。
本発明の酸化タングステン−酸化スズ複合ゾルに含まれ
るWO3とSnO2の複合コロイド粒子は、電子顕微鏡によっ
て観測され、約7ミリミクロン以下、通常5〜2ミリミ
クロンの粒子径を有する。このゾルのコロイド粒子の分
散媒としては、水、親水性有機溶媒のいずれでもよい。
この親水性有機溶媒の例としてはメチルアルコール,エ
チルアルコール,イソプロピルアルコール等の低級アル
コール;ジメチルホルムアミド,N,N′−ジメチルアセ
トアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリド
ン等の環状アミド類;エチルセロソルブ,ブチルセロソ
ルブ,エチレングリコール等のグリコール類が挙げられ
る。
本発明のゾルに含まれるアルカリ金属、アンモニウム又
はアミンの例としては、Li,Na,K,Rb,Cs,NH4,エ
チルアミン,トリエチルアミン,イソプロピルアミン,
n−プロピルアミン等のアルキルアミン;ベンジルアミ
ン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式アミ
ン;モノエタノールアミン,トリエタノールアミン等の
アルカノールアミンが挙げられる。これらは2種以上の
混合として含有されてもよい。
本発明の好ましいゾルは、WO3とSnO2をWO3/SnO2重量比
として2〜100の比率に含有し、また、これらWO3とS
nO2の合計に対し上記アルカリ金属、アンモニウム、ア
ミン等をM2O/WO3+SnO2モル比として0.02〜0.7の比
率に含有する。
本発明のゾルに含まれるWO3とSnO2の合計の濃度は、通
常40重量%以下、実用上好ましくは2重量%以上、好
ましくは10〜30重量%である。
本発明のゾルは、本発明の目的が達成される限り、他の
任意の成分を含有することができる。特にオキシカルボ
ン酸類をWO3とSnO2の合計量に対し約30重量%以下含
有させると更に改良されたゾルが得られる。用いられる
オキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、くえん
酸、グルコン酸、りんご酸、グルコール酸等が挙げられ
る。
本発明の好ましいゾルは、1〜9のpHを示し、無色の、
透明又はほぼ透明な液である。そして、室温では3ケ月
以上、60℃でも1ケ月以上安定であり、このゾル中に
沈降物が生成することがなく、また、このゾルが増粘し
たり、ゲル化を起すようなことはない。
本発明のゾルの製造に用いられるタングステン酸塩、ス
ズ酸塩の例としては、上記アルカリ金属、アンモニウ
ム、アミン等のタングステン酸塩、スズ酸塩等が挙げら
れる。特に、タングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O及
びスズ酸ナトリウムNa2SnO3・3H2Oが好ましい。また。
酸化タングステン,タングステン酸、スズ酸等をアルカ
リ金属水酸化物の水溶液に溶解したものも使用すること
が出来る。
用いられる水素型陽イオン交換体としては、通常のもの
でよく、好都合には、水素型陽イオン交換樹脂を市販品
として入手することができる。用いられるアルカリ金属
水酸化物、水酸化アンモニウム、アミン等も市販工業製
品でよい。アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げ
られる。アミンの例としては、上記例示のものが挙げら
れる。
本発明のゾルの製造に用いられるタングステン酸の水溶
液は、上記タングステン酸塩の水溶液を上記陽イオン交
換樹脂で100℃以下、好ましくは室温〜60℃位の温
度で処理することにより容易に得られる。このタングス
テン酸の水溶液は、コロイド性を有しているためにゲル
化し易い性質を有するので、好都合にはゲル化前に用い
るのがよい。このタングステン酸の水溶液をつくるのに
用いられる上記タングステン酸塩の水溶液としては、WO
3として0.1〜15重量%濃度のものが好ましく、タン
グステン酸の水溶液としても、そのWO3濃度は、0.1〜
15重量%程度が好ましい。
本発明のゾルの製造に用いられるスズ酸塩の水溶液とし
ては、SnO2濃度0.1〜30重量%程度が好ましいが、こ
れより濃くてもよい。場合によっては固体のスズ酸塩を
用いることができる。
本発明によるゾルの製造は、上記タングステン酸の水溶
液と上記スズ酸塩の水溶液とを混合することにより行わ
れる。この混合は充分な撹拌下に、室温〜100℃、好
ましくは、室温〜60℃位で行うのがよい。混合すべき
液量としては、WO3/SnO2重量比2〜100程度が好ま
しい。この混合により、得られた混合液中には、M2O
(Mは前記に同じ。)がWO3とSnO2の合計に対しモル比
約0.015〜0.44の量含まれる。本発明による好まし
いゾルは、この液中のM2O/WO3+SnO2モル比が0.02〜
0.7であるから、場合によっては、上記混合によって得
られた液中のM2O/WO3+SnO2モル比の調節が行われる。
上記混合によって得られた液中の上記モル比を高める方
法としては、この混合液にアルカリ金属酸化物、水酸化
アンモニウム、アミン等を加えることによっても行うこ
とができるが、上記混合液を水素型陽イオン交換樹脂で
処理した後に、M2O/WO3+SnO2モル比が0.02〜0.7と
なるようにアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウ
ム、アミン等を加えることによって行うことができる。
上記混合により、或いは上記混合とM2O/WO3+SnO2モル
比の調節とにより、本発明による安定な酸化タングステ
ン−酸化スズ複合水性ゾルが得られる。この水性ゾルの
濃度が低いときには、所望に応じ、この水性ゾルを通常
の濃縮方法、例えば、蒸発法、限外濾過法等により、ゾ
ルの濃度を高めることができる。特に、限外濾過法は好
ましい。この濃縮においても、ゾルの温度は約100℃
以下、特に60℃以下に保つことが好ましい。
上記水性ゾルの水を上記親水性有機溶媒で置換すること
によりオルガノゾルと呼ばれる親水性有機溶媒ゾルが得
られる。上記水と親水性有機溶媒との置換は、通常の方
法、例えば、蒸留置換法、限外濾過法等によって容易に
行うことができる。水性ゾルのpHが高い場合には、上記
置換の前又は同時に水性ゾルに上記オキシカルボン酸を
加えるのがよい。このオキシカルボン酸の有無に係わら
ず、上記ゾルの媒体の置換の際にもゾルの温度は約10
0℃以下、特に60℃以下に保つことが好ましい。
(作用) タングステン酸塩の水溶液を水素型陽イオン交換樹脂で
処理することにより得られるタングステン酸の水溶液
と、スズ酸塩の水溶液とをWO3/SnO2重量比2〜100
に混合することにより安定なゾルが得られることが見い
出された。このゾルの安定性は、上記混合によって生成
した酸化スズのコロイド粒子と酸化タングステンのコロ
イド粒子又はポリアニオンとの結合による酸化タングス
テンと酸化スズの複合コロイド粒子に、スズ酸塩によっ
て導入されたアルカリ金属、アンモニウム、アミン等の
陽イオンが結合して、安定なコロイド粒子が生成したこ
とによるものと考えられる。
けれども、得られたゾル中のWO3/SnO2重量比が2未満
では、ゾルが酸性のとき不安定であり、また、この重量
比が100を越えると、やはりゾルは安定性を示さな
い。ゾル中に含まれているアルカリ金属、アンモニウ
ム、アミン等の陽イオンの量が前記M2O/WO3+SnO2モル
比として0.02未満のときにも、このようなゾルは安定性
に乏しく、また、このモル比が0.7を越えると、このよ
うなゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性は低く、実
用上好ましくない。高いpHの水性ゾルから上記オルガノ
ゾルをつくる際に加えられるオキシカルボン酸も、ゾル
の安定化に貢献するが、その添加量がゾル中のWO3とSnO
2の合計に対し30重量%以上にも多いと、このような
ゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性が低下する。ゾ
ル中のアルカリ金属、アンモニウム、アミン、オキシカ
ルボン酸等の量に対応して、そのゾルのpHが変わる。ゾ
ルのpHが1以下では、ゾルは不安定であり、pHが9以上
では、酸化タングステンと酸化スズの複合コロイド粒子
が液中に溶解し易い。ゾル中のWO3とSnO2の合計濃度が
40重量%以上にも高いと、ゾルはやはり安定性に乏し
い。この濃度が薄すぎると非実用的であり、工業製品と
して好ましい濃度は10〜30重量%である。
本発明の製法に代えて、タングステン酸塩とスズ酸塩と
が溶解している水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂で処
理すると、生成コロイド粒子が小さ過ぎたり、酸化スズ
の析出が起り易い。この水素型陽イオン交換樹脂による
処理で得られた液に、上記アルカリ金属水酸化物、水酸
化アンモニウム、アミン等を加えることによるゾルの製
法は効率的でない。
また、用いられるタングステン酸の水溶液のWO3濃度が
0.1重量%以下では、得られたゾルの濃度が低下し、濃
縮の際多量の水の除去を要し効率的でない。反応にこの
タングステン酸の水溶液のWO3濃度が15重量%以上に
も高いと、このような水溶液は安定性に乏しく、取り扱
いに困難を来たし易い。
濃縮法として限外濾過法を用いると、ゾル中に共存して
いる酸化タングステンのポリアニオン、極微小粒子等が
水と一緒に限外濾過膜を通過するので、ゾルの不安定化
の原因であるこれらポリアニオン、極微小粒子等をゾル
から除去することができる。
本発明の水性ゾルは、100℃以上の温度において、こ
のゾル中の酸化タングステンと酸化スズの複合コロイド
粒子が加水分解を受けて溶解したり、これら酸化物が析
出し易いので、上記陽イオン交換樹脂による処理、混
合、濃縮等の際に100℃以下に保たれる。かかる変化を
起させない安全な温度として60℃以下が好ましい。
(実施例) 実施例1 タングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(試薬一級)の
550gを水4850gに溶かすことにより、タングス
テン酸ナトリウムの水溶液5400gを得た。この水溶液
は、比重1.086、pH9.79、WO3含量7.16重量%で
あった。
次いで、上記水溶液全量を、水素型陽イオン交換樹脂
(オルガノ社製、アンバーライト120B)充填のカラ
ムに通すことにより、タングステン酸の水溶液5690
gを得た。この水溶液は、比重1.068、pH1.60、粘
度2.0cp、WO3含量6.8重量%、Na2O含量0.04重量%
であり、黄色透明液であった。また、この水溶液は、室
温で放置すると、1時間後にゲル状に変った。
別途、スズ酸ナトリウムNa2SnO3・3H2O(試薬一級)を
水に溶かすことにより、比重1.244、pH12.8、SnO2
含量15.0重量%、Na2O含量6.2重量%のスズ酸ナトリ
ウム水溶液を得た。
次いで、上記製造直後のタングステン酸の水溶液569
0gに、上記スズ酸ナトリウムの水溶液505gを、室
温で強撹拌下に加えることにより、本発明の酸化タング
ステン−酸化スズ複合水性ゾルを得た。このゾルは、わ
ずかにコロイド色を呈していたが、ほぼ無色透明であっ
た。そして、比重1.073、pH5.03、粘度1.5cp、WO
3含量6.25重量%、SnO2含量1.22重量%、Na2O含量
0.54重量%、電子顕微鏡観察によるコロイド粒子径約
5ミリミクロンであった。また、このゾルは、密閉下の
室温放置3ケ月以上の安定性を有していた。尚、上記値
から、このゾル中のWO3とSnO2の重量比WO3/SnO2の値は
5.12、Na2O/WO3+SnO2モル比の値は0.25と夫々算
出される。
実施例2 実施例1で得られた水性ゾル3100gを水素型陽イオ
ン交換樹脂充填のカラムに通すことにより、比重1.06
2、pH1.53、粘度1.5cp、WO3含量5.69重量%、SnO
2含量1.11重量%、Na2O含量0.04重量%の本発明の
水性ゾルを得た。上記値から、このゾルのNa2O/WO3+S
nO2モル比は0.02と算出される。
次いで、このpH1.53のゾル3400gと、実施例1で
得られたpH5.03のゾル3095gを室温で混合するこ
とにより本発明の水性ゾルを得た。ここに得られたゾル
は、少しコロイド色を呈していたが、ほぼ無色透明であ
り、比重1.068、pH2.36、粘度1.5cp、WO3含量5.
96重量%、SnO2含量1.17重量%、Na2O含量0.28重
量%、電子顕微鏡観察によるコロイド粒子径約5ミリミ
クロンであった。室温放置のテストにより3ケ月以上安
定であった。尚、上記値から算出すると、WO3/SnO2
量比5.12、Na2O/WO3+SnO2モル比0.135である。
次いで、このpH2.36のゾル6495gを限外濾過法に
より濃縮したところ、1840gの高濃度ゾルが得られ
た。このゾルも、すこしコロイド色を呈していたが、ほ
ぼ無色透明であり、比重1.212、pH2.34、粘度2.5
cp、WO3含量17.1重量%、SnO2含量3.93重量%、Na2O
含量0.88重量%、電子顕微鏡観察によるコロイド粒子
径約5ミリミクロン、動的光散乱法(米国、コールター
社製N4の装置)による粒子径90ミリミクロンであっ
た。尚、この高濃度ゾルのWO3/SnO2重量比は4.35、N
a2O/WO3+SnO2モル比は0.14と算出される。また、上
記限外濾過により、濾過前のぞる中のWO3の約20%が
減少している。この減少は、限外濾過膜を通過するWO3
のポリアニオン又は極微小粒子が濾過前のゾル中に存在
していたことを示している。
更に、上記高濃度ゾルについてテストしたところ、メタ
ノールへの分散は良好であり、室温3ケ月以上の安定性
を有していた。また、このゾルを乾燥したものについて
光の屈折率を測定したところ、1.84であった。
実施例3 WO3含量7.16重量%のタングステン酸ナトリウムの水
溶液5400gを水素型陽イオン交換樹脂充填のカラム
に通すことにより、タングステン酸の水溶液6135g
を得た。この水溶液は、比重1.062、pH1.48、粘度
2.5cp、WO3含量6.16重量%、Na2O含量0.03重量%
であった。従って、Na2O/WO3モル比は、0.018と算
出される。
次いで、上記製造直後のタングステン酸の水溶液613
5gに、スズ酸ナトリウムの水溶液(SnO2含量15.0重
量%、Na2O含量62重量%)765gを室温で強撹拌下
に加えることにより、本発明の水性ゾル6900gを得
た。このゾルは、比重1.073、pH6.72、粘度1.5c
p、WO3含量5.60重量%、SnO2含量1.67重量%、Na2O
含量0.71重量%であった。計算により、WO3/SnO2
量比3.35、Na2O/WO3+SnO2モル比0.33である。
次いで、上記ゾルをロータリーエバポレーターにより、
減圧下濃縮したところ、1610gの高濃度水性ゾルが
得られた。この高濃度ゾルは、わずかにコロド色を呈し
たが、ほぼ無色透明であり、比重1.385、pH6.68、
粘度2.6cp、WO3含量24.0重量%、SnO2含量7.14重
量%、Na2O含量3.06重量%であり、電子顕微鏡による
コロイド粒子径約5ミリミクロンであった。室温放置テ
ストでも3ケ月以上安定であった。
実施例4 実施例2で得られた比重1.068、pH2.36の水性ゾル
3250gに撹拌下、n−プロピルアミン22gと酒石
酸19gとを加えることにより水性ゾルを得た。このゾ
ルは、比重1.067、pH3.82、粘度1.5cp、WO3含量
5.88重量%、SnO2含量1.16重量%、Na2O含量0.28
重量%、上記アミン含量0.67重量%、酒石酸含量0.5
8重量%であった。計算により、Na2O+アミン)2O/WO
3+SnO2モル比0.31、酒石酸/WO3+SnO29.52重量%
である。
次いで、このゾルをロータリーエバポレーターにより減
圧下濃縮することにより、高濃度水性ゾル970gを得
た。このゾルは、少しコロイド色を呈していたが、ほぼ
無色透明であり、比重1.282、pH3.68、粘度2.3c
p、WO3含量1.99重量%、SnO2含量3.93重量%、Na2O
含量0.95重量%、上記アミン含量2.27重量%、酒石
酸含量1.97重量%であった。このゾルは、メタノール
への分散性が良好であり、室温放置3ケ月以上の安定性
を有していた。
実施例5 実施例2で得られた比重1.212、pH2.34の水性ゾル
215gをロータリーエバポレーターに投入し、これに
減圧下メタノール3を少量づつ連続的に加えながら、
ゾルの媒体を留出させることにより、水性ゾルの水がメ
タノールで置換されたメタノールゾル376gを得た。
このゾルは、少しコロイド色を呈していたが、ほぼ無色
透明であり、比重0.932、pH3.46(このゾルと水と
の等重量混合物)、粘度6.2cp、WO3含量9.78重量
%、SnO2含量2.25重量%、水分7.5重量%であった。
このゾルは、放置中に極微量の沈降物を生じさせたが、
その量は放置期間を延ばしても増えず、安定であった。
実施例6 実施例4で得られた好濃度水性ゾル300gについて
も、実施例5と同様にして、媒体の水をメタノール置換
することにより、メタノールゾル350gを得た。この
ゾルは、少しコロイド色を呈したが、ほぼ無色透明であ
り、比重0.978、pH5.28(このゾルと水との等重量
混合物)、粘度4.0cp、WO3含量17.1重量%、SnO2含量
3.37重量%、Na2O含量0.81重量%、n−プロピルア
ミン含量1.94重量%、酒石酸含量1.69重量%、水分
3.5重量%であり、室温放置3ケ月時点で沈降物は全く
生成せず、安定であった。
比較例1 WO3含量7.16重量%のタングステン酸ナトリウムの水
溶液を、水素型陽イオン交換樹脂充填のカラムを通すこ
とによりタングステン酸の水溶液1420gを得た。こ
の水溶液は、比重1.068、pH1.60、粘度2.0cp、WO
3含量6.8重量%、Na2O含量0.04重量%であった。
別途調製されたSnO2含量15.0重量%、Na2O含量6.2重
量%のスズ酸ナトリウムの水溶液5gを、上記タングス
テン酸の水溶液1420g中に強撹拌下加えることによ
り水性ゾルを得たが、このゾルは約1時間後にゲル化し
た。製造直後のこのゾルは、比重1.068、pH1.62、
WO3含量6.78重量%、SnO2含量0.053重量%、Na2O
含量0.062重量%であり、WO3/SnO2重量比は12
8、Na2O/WO3+SnO2モル比は0.034と算出される。
比較例2 実施例2で得られた比重1.062、pH1.53の水性ゾル
2100gと、SnO2含量15.0重量%、Na2O含量6.2重
量%のスズ酸ナトリウム水溶液300gとを強撹拌下に
混合することにより水性ゾルを得た。このゾルは、わず
かにコロイド色を呈し、ほぼ無色透明であり、比重1.0
79、pH8.02、粘度1.5cp、WO3含量4.98重量%、S
nO2含量2.85重量%、Na2O含量0.81重量%であっ
た。
次いで、このゾルをロータリーエバポレーター中、減圧
下に濃縮したところ、濃縮の進行と共に白濁を呈した。
別途、上記ゾルに撹拌下、水素型陽イオン交換樹脂を加
えることによりpHを低下させたところ、pHが約5に至っ
たときゾルは増粘を起し、安定なゾルは得られなかっ
た。
上記WO3、SnO2、Na2Oの各含量によれば、このゾルはWO3
/SnO2重量比1.75、Na2O/WO3+SnO2モル比0.32で
ある。
(発明の効果) 本発明の新規な酸化タングステン−酸化スズ複合ゾル
は、高濃度においても長期間安定である他、数々の有用
な特性を持っている。このゾルのコロイド粒子は、酸化
タングステンのコロイド粒子と酸化スズのコロイド粒子
の結合によって生じた複合コロイド粒子であって、アル
カリ金属、アンモニウム、アミン等の陽イオンによって
安定化され、粒子径約7ミリミクロン以下であり、負に
帯電している。そして、このゾルは、pH約1〜9の範囲
で安定であり、ほぼ無色透明である。
このゾルは、コロイド粒子が負に帯電しているから、他
の負帯電のコロイド粒子からなるゾルとの混和性が良好
であり、例えば、シリカゾル、五酸化アンチモンゾル、
アニオン性又はノニオン性の界面活性剤、ポリビニルア
ルコール等の水溶液、アニオン性又はノニオン性の樹脂
エマルジョン、水ガラス、りん酸アルミニウム等の水溶
液の如き分散体と安定に混合し得る。
このゾルの乾燥塗膜は、透明であって、約1.8〜1.9の
高い屈折率を示し、また、結合強度、硬度のいずれも高
く、耐水性及び付着性も大である。更に、帯電防止性、
耐熱性、耐摩耗性等も良好である。従って、このゾル
は、数多くの用途に用いられる。例えば、難燃性或いは
不燃性付与剤、被膜の屈折率向上剤、ハードコート剤、
帯電防止剤、滑り防止剤、染色性向上剤、濡れ性向上
剤、防蝕性向上剤、各種塗料、接着剤、成形用結合剤、
無機繊維の粉立ち防止剤、ガラス、セラミックス、プラ
スチックス、金属等の表面処理剤、触媒等に用いること
ができる。
このような本発明のゾルは、タングステン酸塩の水溶液
とスズ酸塩の水溶液から、本発明の方法により簡易に、
かつ効率よく、工業製品として製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化タングステン(WO3)と酸化スズ(SnO
    2)の複合コロイド粒子と、アルカリ金属、アンモニウ
    ム又はアミンの陽イオンとを含有することを特徴とする
    安定な酸化タングステン−酸化スズ複合ゾル。
  2. 【請求項2】請求項(1)に記載の安定な酸化タングステ
    ン−酸化スズ複合ゾルは、このゾルが含有するWO3とSnO
    2の重量比がWO3/SnO2として2〜100であり、そして
    これらWO3とSnO2の合計量に対しこのゾルが含有するア
    ルカリ金属、アンモニウム又はアミンの陽イオンの量が
    M2O/WO3+SnO2(但し、Mはアルカリ金属原子、アンモ
    ニウム基又はアミン分子を示す。)モル比として0.02
    〜0.7であることを特徴とする安定な酸化タングステン
    −酸化スズ複合ゾル。
  3. 【請求項3】タングステン酸塩の水溶液を水素型陽イオ
    ン交換体で処理することにより得られたタングステン酸
    の水溶液と、スズ酸塩の水溶液をWO3/SnO2重量比とし
    て2〜100の比率に混合することを特徴とする酸化タ
    ングステン−酸化スズ複合ゾルの製造法。
  4. 【請求項4】請求項(3)に記載の混合によって得られた
    混合液を、この混合液中のWO3とSnO2の合計モル数に対
    するM2O(但し、Mはアルカリ金属原子、アンモニウム
    基又はアミン分子を表わす。)のモル数の比M2O/WO3
    SnO2が0.02〜0.7となるようにモル比調節することを
    特徴とする酸化タングステン−酸化スズ複合ゾルの製造
    法。
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