JPH06233692A - γ−サイクロデキストリンの増収方法 - Google Patents

γ−サイクロデキストリンの増収方法

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JPH06233692A
JPH06233692A JP5045747A JP4574793A JPH06233692A JP H06233692 A JPH06233692 A JP H06233692A JP 5045747 A JP5045747 A JP 5045747A JP 4574793 A JP4574793 A JP 4574793A JP H06233692 A JPH06233692 A JP H06233692A
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cgtase
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茂治 森
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明はγ−サイクロデキストリン・グルカノ
トランスフェラーゼを使用しγ−サイクロデキストリン
のより安価な工業的製造法を提供する。 【構成】澱粉にγ−サイクロデキストリン・グルカノト
ランスフェラーゼを作用させてγ−サイクロデキストリ
ンとβ−サイクロデキストリンを生成せしめる反応液中
にエチルアルコールを添加することにより、β−サイク
ロデキストリンの生成を抑制しつつγ−サイクロデキス
トリンの生成を促進することを特徴とするγ−サイクロ
デキストリンの増収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、澱粉にγ−サイクロデ
キストリン・グルカノトランスフェラーゼ(以下γ−CG
Taseという)を作用させ、γ−サイクロデキストリン
(以下γ-CDという)とβ−サイクロデキストリン
(以下β−CDという)を生成せしめる反応液中にエチ
ルアルコールを添加することによって、β−CDの生成
を抑制しつつγ−CDの生成を促進することを特徴とす
る総サイクロデキストリン(以下T−CDという)の増
収を伴なわず、且つγ−CDの収量を高めるところのγ
−CDの増収方法に関する。
【0002】サイクロデキストリン(以下CDという)
は、6〜8個のグルコース分子がα−1,4−グルコシド
結合で環状に結合した非還元性のマルトオリゴ糖であ
り、その分子空洞内に種々の物質を取り込んで包接化合
物を形成し、取り込まれた物質の物理、化学的性質を変
化させることができ、そのため、酸化しやすい化合物や
光分解し易い化合物の安定化、揮発性化合物の不揮発
化、難溶性化合物の可溶化、臭気性物質の無臭化が可能
であり、医薬品、化粧品、農薬及び食品への広い分野で
利用されている。
【0003】CDには、グルコース分子数が6個からな
るα−CD、グルコース分子数が7個からなるβ−C
D、そしてグルコース分子数が8個からなるγ−CDが
よく知られているが、このうちγ−CDは、溶解度が大
きく、且つ包接能力にも優れているので、医薬品、化粧
品、農薬及び食品工業等への利用が、より有用視されて
いる。
【0004】
【従来の技術】これまでに知られたγ−CGTaseとして
は、バチルス属の僅かな菌株に知られているに過ぎな
い。例えば、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)AL6
のCGTase(特開昭61-274680号)、バチルス・エスピー
(Bacillus sp.)No.313のCGTase(特開昭62-25976号)
及びバチルス・フィルムス(Bacillus firmus)290-3の
CGTase〔New trend in cyclodextrins and derivatives
25頁(1991年),サンテ(Sante)社(フランス,パ
リ)〕が挙げられるのみであり、それ故、γ−CDの産
業上の利用に関してはほとんど行われていない。
【0005】そこで、本発明者らは、先に、γ−CGTase
生産能を有する微生物を見いだし、該微生物を培養し、
培養物中にγ−CGTaseを産生せしめ、これを採取すると
共に、該酵素を使用してのγ−CDの工業的製造法を提
供した(特願平4-293801号及び特願平4-293802号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
先に見いだしたγ−CGTaseを用いてγ−CDをより安価
に提供するため、基質の澱粉濃度を高めたり、酵素の作
用時間を長くするとγ−CD量が減少し、β−CD量が
増加するという新たな問題点を生じた。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
この問題を解決するために、高濃度の澱粉にγ−CGTase
を作用させてγ−CDとβ−CDを生成せしめる反応液
中にエチルアルコールを添加することによってγ−CD
の生成をより促進させることを試みたところ、エチルア
ルコールの添加は、単にγ−CDの生成を促進させるだ
けの効果ではなく、β−CDの生成を抑制しつつγ−C
Dの生成を促進させる効果、即ち、T−CDの増収を伴
うことなくγ−CDの生成を促進せしめる効果であるこ
とを新たに見いだした。
【0008】これまでに、α−CGTaseを用いて反応液中
にエチルアルコールを添加することによるα−CDの増
収法が報告されている(特公昭60-25118号)が、しか
し、この方法は、同時に生成するβ−CDやγ−CDを
抑制しないところの、換言すれば、T−CDの増収を伴
うところのα−CDの増収法であった。
【0009】又、γ−CGTaseを用いて反応液中にエチル
アルコールを添加することによるγ−CDの増収法も報
告されている(特開昭62-25976号)が、この方法におい
ても副生するβ−CDの生成抑制については何も記載さ
れていない。
【0010】そもそも、β-CDは、水に対する溶解度
が他のCD(α−CD及びγ−CD)に比べて極端に低
く、結晶化し易いため、他のCD中に混在するとCD水
飴等の商品価値を減ずるので、その生成は、できるだけ
抑制されることが望ましい。
【0011】従って、β−CDの生成を抑制し、γ−C
Dの増収方法を提供する本願発明は、有益且つ新規なγ
−サイクロデキストリンの増収方法である。
【0012】そして、本発明者らは、上記の知見をもと
に、鋭意検討の結果、T−CDの増収を伴わない、即ち
β−CDの生成を抑制しつつγ−CDの生成を増加させ
るところのγ−CDの増収方法を確立することにより、
本発明を完成したものである。
【0013】本発明において使用されるγ−CGTaseは、
澱粉に作用し、γ−CDとβ−CDを生成するものであ
ればいずれをも使用できるが、好ましくは、本発明者ら
が先に土壌から分離したブレビバクテリウム・エスピー
及びバチルス・メガテリウム由来のγ−CGTaseを使用す
ることができる。
【0014】新たに土壌から発見、分離されたブレビバ
クテリウム・エスピー菌株の菌学的性質は下記の通りで
ある。
【0015】(1)形態 細胞の形および大きさ:細い桿菌(菌端は膨張する) 0.5〜0.7×5.0〜20μ 細胞の多形成の有無:認められる 運動性の有無:あり(周鞭毛) 胞子の有無:形成しない グラム染色性:陰性 抗酸性:陰性
【0016】(2)各培地における生育状態 肉汁寒天平板培養:発育はやや弱い、全縁半透明の粘性
あるコロニーで表面平滑(φ2〜3mm) 肉汁寒天斜面培養:発育やや弱い、直状、生色、半透明 肉汁液体培養:培地は全体に薄く白濁し、底部に粘性の
菌泥沈殿がみられる。 リトマスミルク培養:変化しない
【0017】(3)生理学的性質 酸素に対する態度:偏性好気性 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陰性 OFテスト:発酵、酸化共になし ブドウ糖からのガスの産生:陰性 インドールの生成:陰性 硝酸塩の還元:陽性 チロシンの加水分解:陰性 澱粉の加水分解:陽性 カゼインの加水分解:陰性 ゼラチンの加水分解:陽性 ジヒドロキシアセトン:陰性 フェニルアラニンデアミナーゼ:陰性 エッグヨーク反応:陰性 0.001%リゾチーム生育:陰性 ウレアーゼ:陰性 TSI寒天培地(斜面の酸):赤/赤 硫化水素の生成:陰性 マッコンキー培地の生育:陰性 YMA培地の生育:陰性 ビスマスブイヨンでの生育:陰性 3−ケト−乳酸の生成:陰性 食塩に対する生育性:(0.5〜15%で陽性、20%で陰
性) 生育温度の範囲:16〜45℃(最適は36〜38℃) 生育pHの範囲:8.0〜11.6(最適は8.5〜9.0) 糖類からの酸生成の有無: L−アラビノース − キシロース − グルコース − マンニット − サリシン − 澱粉 −
【0018】そして、本菌をBergey's Manual of Syste
matic Bacteriology,第2巻(1986)を参照し、同定し
た結果、本菌はグラム陰性、チトクロムオキシダーゼ陰
性、周鞭毛、無胞子、糖より酸非産生等の諸性質を有す
ることから、アシネトバクター(Acinetobater)、リゾ
ビウム(Rhizobium)、アグロバクテリウム(Agrobacter
ium)、ナトロノバクテリウム(Natronobacterium)、
バチルス(Bacillus)等のいずれの属にも相当せず、コ
リネフォームタイプ(Coryneform Type)に属することか
ら、その内の一つの属であるブレビバクテリウム(Brev
ibacterium)属に属するものとした。
【0019】そして又、上記の菌学的性質を有する本菌
株は、既知のブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
の何れの種にも属さず、新菌種であり、本菌株をブレビ
バクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)No.960
5と命名し、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研
菌寄第13141号(FERM P-13141)として寄託した。
【0020】又、新たに土壌から発見、分離されたバチ
ルス・メガテリウム菌株の菌学的性質は下記の通りであ
る。
【0021】(1)形態 細胞の形および大きさ:太い桿菌(菌端は膨張する) 1.1〜1.4×4.0〜6.0μ 運動性の有無:あり(周鞭毛) 胞子の有無:あり(細胞は膨張しない) グラム染色性:陽性 抗酸性:陰性
【0022】(2)各培地における生育状態 肉汁寒天平板培養:発育は良好、全縁不透明の光沢ある
コロニーで表面平滑(φ1.0〜1.5 mm) 肉汁寒天斜面培養:発育良好、直状、台状、白色、バタ
ー 肉汁液体培養:培地は全体に薄く白濁し、液面に微かに
菌蓋、底部に粘性の菌泥沈殿がみられる。 リトマスミルク培養:変化しない
【0023】(3)生理学的性質 酸素に対する態度:偏性好気性 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陰性 OFテスト:発酵、酸化共になし ブドウ糖からのガスの産生:陰性 インドールの生成:陰性 硝酸塩の還元:陽性(亜硝酸塩も還元) チロシンの加水分解:陽性 澱粉の加水分解:陽性 カゼインの加水分解:陰性 ゼラチンの加水分解:陽性 ジヒドロキシアセトン:陰性 フェニルアラニンデアミナーゼ:陰性 クエン酸の利用:陽性 エッグヨーク反応:陰性 0.001%リゾチーム生育:陰性 ウレアーゼ:陰性 TSI寒天培地(斜面の酸):黄/赤 硫化水素の生成:陰性 マッコンキー培地の生育:陰性 食塩に対する生育性:(0.5〜7.0%で陽性、10%で陰
性) 生育温度の範囲:12〜39℃(最適は31〜33℃) 生育pHの範囲:7.7〜11.6(最適は8.5) 糖類からの酸生成の有無: L−アラビノース − キシロース − グルコース +(ガス発生せず) マンニット +(ガス発生せず) サリシン + 澱粉 +
【0024】そして、本菌をBergey' Manual of Determ
inative Bacteriology,第8版(1974)、Bergey' Manu
al of Systematic Bacteriology,第2巻(1986)及び
『TheGenus Bacillus』U.S.Department of Agriculture
Handbook No.427 p-160 を参照し、同定したところ、
本菌はグラム陽性、周鞭毛、有胞子であることから、バ
チルス(Bacillus)属に属する菌であることがわかり、
さらに、本菌は、上記の菌学的諸性質からバチルス・メ
ガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・セレ
ウス(Bacillus cereus)、バチルス・フィルムス(Bac
illus firmus)のいずれかに属することが分かるが、し
かし、バチルス・フィルムス(Bacillusfirmus)とは、
菌幅とクエン酸利用で異なり、バチルス・セレウス(Ba
cilluscereus)とは、エッグヨーク反応陰性、偏性好気
性、菌幅が大きいこと、及び食塩10%で生育しないこと
等で異なるので、本菌をバチルス・メガテリウム(Baci
llus megaterium)に属するものとし、本菌株をバチル
ス・メガテリウム(Bacillus megaterium)No.9604と命
名した。本菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研菌寄第13142号(FERM P-13142)として寄託されて
いる。
【0025】これらの菌株を利用して、γ−CGTaseを製
造するためには、当該微生物が良好に生育し、酵素を順
調に生産するために必要な炭素源、窒素源、無機塩、必
要な栄養源等を含有する合成培地又は天然培地中でこれ
を培養する。炭素源としては、澱粉又はその組成画分、
焙焼デキストリン、加工澱粉、澱粉誘導体、物理処理澱
粉及びα−澱粉等の炭水化物が使用できる。具体例とし
ては、可溶性澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘
藷澱粉、デキストリン、アミロペクチン、アミロース等
があげられる。
【0026】窒素源としては、ポリペプトン、カゼイ
ン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー或
いは大豆又は大豆粕などの抽出物等の有機窒素源物質、
硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機塩窒素
化合物、グルタミン酸等のアミノ酸類が挙げられる。
【0027】そして無機塩類としては、リン酸1カリウ
ム、リン酸2カリウム等のリン酸塩、硫酸マグネシウム
等のマグネシウム塩、塩化カルシウム等のカルシウム
塩、炭酸ナトリウム等のナトリウム塩等が用いられる。
【0028】培養は、振盪培養若しくは、通気攪拌培養
等の好気的条件下に於いて、培地をpH7〜11の範囲、好
ましくはpH8〜10の範囲に調製し、温度10〜40℃の範
囲、好ましくは、25〜37℃で実施するのが望ましいが、
この条件以外であっても微生物が生育し、目的とする酵
素を生成する条件であれば特に制限されない。
【0029】このようにして培養を行うと、通常は培養
を開始して2〜7日間で培養液中にγ−CGTaseが生産さ
れる。次いで、培養液から菌体を除去し、培養ろ液を
得、限外ろ過膜で脱塩、濃縮した後、硫安塩析又は有機
溶媒沈降等により酵素を回収する。こうして得られた粗
製のγ−CGTaseは、そのままでもCD生成反応に使用で
きるが、必要に応じて、更にDEAE−セファデックス
(商品名、ファルマシア社製)による吸着溶出、セファ
デックス(商品名、ファルマシア社製)による分画等に
より精製して使用する。
【0030】こうして得られたブレビバクテリウム・エ
スピー由来のγ−CGTaseの酵素化学的性質を以下に述べ
る。 作用及び基質特異性:澱粉、デキストリン、アミロペ
クチン、アミロース等に作用して、γ−CD及びβ−C
Dを生成するが、α−CDを生成しない。 至適pH:8〜9 至適温度:45℃付近 安定pH:pH6〜8 温度安定性:40℃、30分処理で85%の残存活性を示
す。尚、本酵素は、カルシウム塩の添加により安定化さ
れ、20mMの塩化カルシウム添加により45℃の処理におい
ても、100%の残存活性を示した。
【0031】更に、バチルス・メガテリウム由来のγ−
CGTaseの酵素化学的性質を以下に述べる。 作用及び基質特異性:澱粉、デキストリン、アミロペ
クチン、アミロース等に作用して、γ−CD及びβ−C
Dを生成するが、α−CDを生成しない。 至適pH:10 至適温度:40〜45℃ 安定pH:8〜9 温度安定性:40℃、30分処理で85%の残存活性を示
す。尚、10mMカルシウム塩の添加により、45℃、30分処
理でも100%の残存活性を示す。
【0032】尚、これら酵素の活性測定法は、基質〔1.
5%可溶性澱粉、0.1M アトキンス・パンチン(Atkins
& Pantin)緩衝液(pH10.0)〕0.5mlに酵素液0.05mlを
添加し、40℃にて30分間反応した。その後、0.1N塩酸
5mlを加え反応を停止し、0.5mlを抜き取り、ヨウ素液
5mlを加え、660nmでの吸光度の減少を測定した。1単
位は、本条件下、1分間に660nmの吸光度を1%減少さ
せる酵素量とした。
【0033】これらのγ−CGTaseを澱粉に作用させ、γ
−CDを製造するには、例えば、先ず1〜30%の澱粉
(澱粉又はその組成画分、加工澱粉等を含む)を含有す
る水溶液にγ−CGTase(精製品又は粗製品)を0.5〜20
単位(乾燥澱粉1g当たり)加えてpH4〜10、温度20〜
70℃にて、1〜50時間酵素反応を行う。尚、この澱粉
は、必要に応じて予め加熱し、液化処理を施して用い
る。
【0034】こうしてγ−CDを工業的に製造すること
が可能となったのであるが、より多量にγ−CDを製造
するためには、基質の澱粉濃度をできるだけ高くし、且
つ反応時間を長くする必要があるが、この場合、γ−C
Dの量が減少し、β−CDの量が増加するという問題点
を有していることが分かった。
【0035】そこで、本発明者らは、より安価にγ−C
Dを製造するために、鋭意検討の結果、高濃度澱粉下又
は長時間作用下にγ−CGTaseを反応させる反応液中に、
エチルアルコールを添加することによって、β−CDの
生成を抑制しつつ、γ−CDの生成を促進せしめること
で、この問題を解決したのである。
【0036】この場合のエチルアルコールの添加量は、
何れの酵素を何れの基質濃度にて使用する場合にも、基
質溶液に対して終濃度で5〜30%を添加するのが好ま
しい。
【0037】そして又、反応の際に添加するエチルアル
コールの添加時期としては、反応中であれば特に制限は
ないが、反応の初期、例えば、反応と同時が好ましい。
【0038】以下に試験例及び実施例にて本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定され
るものではない。
【0039】試験例1 2〜15%の可溶性澱粉〔0.01Mマッキルバイン(McIl
vaine)緩衝液(pH7.0)〕にブレビバクテリウム・エス
ピー由来及びバチルス・メガテリウム由来の各γ−CGTa
se酵素液5単位(乾燥澱粉1g当たり)をそれぞれ添加
し、40℃にて3〜44時間反応せしめて各種CDの生成率
を調べた。そして、ブレビバクテリウム・エスピー由来
のγ−CGTaseを使用した場合の各種CDの生成率を表1
に、バチルス・メガテリウム由来のγ−CGTaseを使用し
た場合の各種CDの生成率を表2にそれぞれ示す。尚、
各種CDの生成率は基質に対する重量比で示される。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表1及び表2より明かなように、何れの酵
素も、基質濃度が2%の低濃度ではγ−CDを収率よく
生成するが基質濃度を高くしたり、又基質濃度が2%で
あっても反応時間を長くするとγ−CD量が減少し、β
−CD量が増加することが分かる。
【0043】試験例2 5〜10%の可溶性澱粉〔0.01Mマッキルバイン(McIl
vaine)緩衝液(pH7.0)〕にブレビバクテリウム属由来
及びバチルス・メガテリウム由来の各γ−CGTase酵素液
5単位(乾燥澱粉1g当たり)をそれぞれ添加し、40℃
にて22時間反応せしめてCDを生成せしめるにあたり、
基質溶液当たり5〜30%量のエチルアルコールを添加
することにより各種CDの生成促進効果を調べた。その
結果、ブレビバクテリウム・エスピー由来のγ−CGTase
を使用した場合の各種CDの生成率は表3に、バチルス
・メガテリウム由来のγ−CGTaseを使用した場合の各種
CDの生成率は表4にそれぞれ示される。尚各種CDの
生成率は基質に対する重量比で示される。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表3及び表4中のEtOHは、エチルアル
コールを示す。
【0047】表3及び表4より明かなように、何れの酵
素の場合も、終濃度として5〜30%のエチルアルコー
ルの添加によって、γ−CDの生成が促進され、一方β
−CDの生成が抑制されることが分かる。これより、エ
チルアルコールの添加によって高濃度基質においてもβ
−CDの生成を抑制しつつ、γ−CDを収率よく生成す
ることが可能となった。
【0048】
【実施例】
実施例1 可溶性澱粉 1.0%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス
0.25%、硫酸アンモニウム0.1%、K2HPO4 0.05%、MgSO
4・7H2O 0.025%、CaCl2 0.01%、Na2CO3 1.0%(別殺
菌)からなる培地(pH10.0)100 mlを500 ml容坂口フラ
スコに入れ、常法により殺菌後ブレビバクテリウム・エ
スピー(Brevibacterium sp.)No.9605(FERM-P 1314
1)を接種し、37℃で40時間振盪培養した。培養後、培
養菌体を遠心分離にて除去し、除菌液2Lを得た。この
除菌液を限外ろ過膜(モジュールSIP,旭化成社製)
にかけ、濃縮液30ml(CGTase活性は6.7単位/mlであっ
た。)を得た。ついで、20%エタノールを含む10%可
溶性澱粉溶液〔0.01Mマッキルバイン(McIlvaine)緩
衝液(pH7.0)〕10mlにブレビバクテリウム由来のγ−C
GTaseを5.0単位(乾燥澱粉1g当たり)加え、40℃にて
20時間反応させた。反応により得られた、γ−CD及び
β−CDの生成率(基質に対する重量比で示す)は、そ
れぞれ16.5%及び3.5%であり、α−CDの生成は、認
められなかった。
【0049】実施例2 可溶性澱粉 1.0%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス
0.25%、硫酸アンモニウム 0.1%、K2HPO4 0.05%、MgS
O4・7H2O 0.025%、CaCl2 0.01%、Na2CO3 1.0%(別殺
菌)からなる培地(pH10.0)100 mlを500 ml容坂口フラ
スコに入れ、常法により殺菌後バチルス・メガテリウム
(Bacillus megaterium)No.9604(FERM-P 13141)を接
種し、37℃で40時間振盪培養した。培養後、培養菌体を
遠心分離にて除去し、除菌液2Lを得た。この除菌液を
限外ろ過膜(モジュールSIP,旭化成社製)にかけ、
濃縮液30ml(CGTase活性は8.7単位/mlであった。)を
得た。ついで、25%エタノールを含む5%可溶性澱粉
溶液〔0.01M H3BO3,KCl-NaOH緩衝液(pH8.0)〕10mlに
バチルス・メガテリウム由来のγ−CGTaseを5.0単位
(乾燥澱粉1g当たり)加え、55℃にて20時間反応させ
た。反応により得られたγ−CD及びβ−CDの生成率
(基質に対する重量比で示す)は、それぞれ16.3%及び
3.2%であり、α−CDの生成は、認められなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明は、高濃度澱粉にγ−CGTaseを作
用させてγ−CD及びβ−CDを生成せしめる反応液中
にエチルアルコールを添加して、β−CDの生成を抑制
しつつγ−CDの生成を促進せしめることによって、T
−CDの増収を伴わずに、γ−CDを安価に工業的に製
造する方法を可能にしたものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、澱粉にγ−サイクロデ
キストリン・グルカノトランスフェラーゼ(以下γ−CG
Taseという)を作用させ、γ−サイクロデキストリン
(以下γ-CDという)とβ−サイクロデキストリン
(以下β−CDという)を生成せしめる反応液中にエチ
ルアルコールを添加することによって、β−CDの生成
を抑制しつつγ−CDの生成を促進することを特徴とす
る総サイクロデキストリン(以下T−CDという)の増
収を伴なわず、且つγ−CDの収量を高めるところのγ
−CDの増収方法に関する。
【0002】サイクロデキストリン(以下CDという)
は、6〜8個のグルコース分子がα−1,4−グルコシド
結合で環状に結合した非還元性のマルトオリゴ糖であ
り、その分子空洞内に種々の物質を取り込んで包接化合
物を形成し、取り込まれた物質の物理、化学的性質を変
化させることができ、そのため、酸化しやすい化合物や
光分解し易い化合物の安定化、揮発性化合物の不揮発
化、難溶性化合物の可溶化、臭気性物質の無臭化が可能
であり、医薬品、化粧品、農薬及び食品への広い分野で
利用されている。
【0003】CDには、グルコース分子数が6個からな
るα−CD、グルコース分子数が7個からなるβ−C
D、そしてグルコース分子数が8個からなるγ−CDが
よく知られているが、このうちγ−CDは、溶解度が大
きく、且つ包接能力にも優れているので、医薬品、化粧
品、農薬及び食品工業等への利用が、より有用視されて
いる。
【0004】
【従来の技術】これまでに知られたγ−CGTaseとして
は、バチルス属の僅かな菌株に知られているに過ぎな
い。例えば、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)AL6
のCGTase(特開昭61-274680号)、バチルス・エスピー
(Bacillus sp.)No.313のCGTase(特開昭62-25976号)
及びバチルス・フィルムス(Bacillus firmus)290-3の
CGTase〔New trend in cyclodextrins and derivatives
25頁(1991年),サンテ(Sante)社(フランス,パ
リ)〕が挙げられるのみであり、それ故、γ−CDの産
業上の利用に関してはほとんど行われていない。
【0005】そこで、本発明者らは、先に、γ−CGTase
生産能を有する微生物を見いだし、該微生物を培養し、
培養物中にγ−CGTaseを産生せしめ、これを採取すると
共に、該酵素を使用してのγ−CDの工業的製造法を提
供した(特願平4-293801号及び特願平4-293802号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
先に見いだしたγ−CGTaseを用いてγ−CDをより安価
に提供するため、基質の澱粉濃度を高めたり、酵素の作
用時間を長くするとγ−CD量が減少し、β−CD量が
増加するという新たな問題点を生じた。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
この問題を解決するために、高濃度の澱粉にγ−CGTase
を作用させてγ−CDとβ−CDを生成せしめる反応液
中にエチルアルコールを添加することによってγ−CD
の生成をより促進させることを試みたところ、エチルア
ルコールの添加は、単にγ−CDの生成を促進させるだ
けの効果ではなく、β−CDの生成を抑制しつつγ−C
Dの生成を促進させる効果、即ち、T−CDの増収を伴
うことなくγ−CDの生成を促進せしめる効果であるこ
とを新たに見いだした。
【0008】これまでに、α−CGTaseを用いて反応液中
にエチルアルコールを添加することによるα−CDの増
収法が報告されている(特公昭60-25118号)が、しか
し、この方法は、同時に生成するβ−CDやγ−CDを
抑制しないところの、換言すれば、T−CDの増収を伴
うところのα−CDの増収法であった。
【0009】又、γ−CGTaseを用いて反応液中にエチル
アルコールを添加することによるγ−CDの増収法も報
告されている(特開昭62-25976号)が、この方法におい
ても副生するβ−CDの生成抑制については何も記載さ
れていない。
【0010】そもそも、β-CDは、水に対する溶解度
が他のCD(α−CD及びγ−CD)に比べて極端に低
く、結晶化し易いため、他のCD中に混在するとCD水
飴等の商品価値を減ずるので、その生成は、できるだけ
抑制されることが望ましい。
【0011】従って、β−CDの生成を抑制し、γ−C
Dの増収方法を提供する本願発明は、有益且つ新規なγ
−サイクロデキストリンの増収方法である。
【0012】そして、本発明者らは、上記の知見をもと
に、鋭意検討の結果、T−CDの増収を伴わない、即ち
β−CDの生成を抑制しつつγ−CDの生成を増加させ
るところのγ−CDの増収方法を確立することにより、
本発明を完成したものである。
【0013】本発明において使用されるγ−CGTaseは、
澱粉に作用し、γ−CDとβ−CDを生成するものであ
ればいずれをも使用できるが、好ましくは、本発明者ら
が先に土壌から分離したブレビバクテリウム・エスピー
及びバチルス・メガテリウム由来のγ−CGTaseを使用す
ることができる。
【0014】新たに土壌から発見、分離されたブレビバ
クテリウム・エスピー菌株の菌学的性質は下記の通りで
ある。
【0015】(1)形態 細胞の形および大きさ:細い桿菌(菌端は膨張する) 0.5〜0.7×5.0〜20μ 細胞の多形成の有無:認められる 運動性の有無:あり(周鞭毛) 胞子の有無:形成しない グラム染色性:陰性 抗酸性:陰性
【0016】(2)各培地における生育状態 肉汁寒天平板培養:発育はやや弱い、全縁半透明の粘性
あるコロニーで表面平滑(φ2〜3mm) 肉汁寒天斜面培養:発育やや弱い、直状、生色、半透明 肉汁液体培養:培地は全体に薄く白濁し、底部に粘性の
菌泥沈殿がみられる。 リトマスミルク培養:変化しない
【0017】(3)生理学的性質 酸素に対する態度:偏性好気性 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陰性 OFテスト:発酵、酸化共になし ブドウ糖からのガスの産生:陰性 インドールの生成:陰性 硝酸塩の還元:陽性 チロシンの加水分解:陰性 澱粉の加水分解:陽性 カゼインの加水分解:陰性 ゼラチンの加水分解:陽性 ジヒドロキシアセトン:陰性 フェニルアラニンデアミナーゼ:陰性 エッグヨーク反応:陰性 0.001%リゾチーム生育:陰性 ウレアーゼ:陰性 TSI寒天培地(斜面の酸):赤/赤 硫化水素の生成:陰性 マッコンキー培地の生育:陰性 YMA培地の生育:陰性 ビスマスブイヨンでの生育:陰性 3−ケト−乳酸の生成:陰性 食塩に対する生育性:(0.5〜15%で陽性、20%で陰
性) 生育温度の範囲:16〜45℃(最適は36〜38℃) 生育pHの範囲:8.0〜11.6(最適は8.5〜9.0) 糖類からの酸生成の有無: L−アラビノース − キシロース − グルコース − マンニット − サリシン − 澱粉 −
【0018】そして、本菌をBergey's Manual of Syste
matic Bacteriology,第2巻(1986)を参照し、同定し
た結果、本菌はグラム陰性、チトクロムオキシダーゼ陰
性、周鞭毛、無胞子、糖より酸非産生等の諸性質を有す
ることから、アシネトバクター(Acinetobater)、リゾ
ビウム(Rhizobium)、アグロバクテリウム(Agrobacter
ium)、ナトロノバクテリウム(Natronobacterium)、
バチルス(Bacillus)等のいずれの属にも相当せず、コ
リネフォームタイプ(Coryneform Type)に属することか
ら、その内の一つの属であるブレビバクテリウム(Brev
ibacterium)属に属するものとした。
【0019】そして又、上記の菌学的性質を有する本菌
株は、既知のブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
の何れの種にも属さず、新菌種であり、本菌株をブレビ
バクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)No.960
5と命名し、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研
菌寄第13141号(FERM P-13141)として寄託した。
【0020】又、新たに土壌から発見、分離されたバチ
ルス・メガテリウム菌株の菌学的性質は下記の通りであ
る。
【0021】(1)形態 細胞の形および大きさ:太い桿菌(菌端は膨張する) 1.1〜1.4×4.0〜6.0μ 運動性の有無:あり(周鞭毛) 胞子の有無:あり(細胞は膨張しない) グラム染色性:陽性 抗酸性:陰性
【0022】(2)各培地における生育状態 肉汁寒天平板培養:発育は良好、全縁不透明の光沢ある
コロニーで表面平滑(φ1.0〜1.5 mm) 肉汁寒天斜面培養:発育良好、直状、台状、白色、バタ
ー 肉汁液体培養:培地は全体に薄く白濁し、液面に微かに
菌蓋、底部に粘性の菌泥沈殿がみられる。 リトマスミルク培養:変化しない
【0023】(3)生理学的性質 酸素に対する態度:偏性好気性 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陰性 OFテスト:発酵、酸化共になし ブドウ糖からのガスの産生:陰性 インドールの生成:陰性 硝酸塩の還元:陽性(亜硝酸塩も還元) チロシンの加水分解:陽性 澱粉の加水分解:陽性 カゼインの加水分解:陰性 ゼラチンの加水分解:陽性 ジヒドロキシアセトン:陰性 フェニルアラニンデアミナーゼ:陰性 クエン酸の利用:陽性 エッグヨーク反応:陰性 0.001%リゾチーム生育:陰性 ウレアーゼ:陰性 TSI寒天培地(斜面の酸):黄/赤 硫化水素の生成:陰性 マッコンキー培地の生育:陰性 食塩に対する生育性:(0.5〜7.0%で陽性、10%で陰
性) 生育温度の範囲:12〜39℃(最適は31〜33℃) 生育pHの範囲:7.7〜11.6(最適は8.5) 糖類からの酸生成の有無: L−アラビノース − キシロース − グルコース +(ガス発生せず) マンニット +(ガス発生せず) サリシン + 澱粉 +
【0024】そして、本菌をBergey' Manual of Determ
inative Bacteriology,第8版(1974)、Bergey' Manu
al of Systematic Bacteriology,第2巻(1986)及び
『TheGenus Bacillus』U.S.Department of Agriculture
Handbook No.427 p-160 を参照し、同定したところ、
本菌はグラム陽性、周鞭毛、有胞子であることから、バ
チルス(Bacillus)属に属する菌であることがわかり、
さらに、本菌は、上記の菌学的諸性質からバチルス・メ
ガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・セレ
ウス(Bacillus cereus)、バチルス・フィルムス(Bac
illus firmus)のいずれかに属することが分かるが、し
かし、バチルス・フィルムス(Bacillusfirmus)とは、
菌幅とクエン酸利用で異なり、バチルス・セレウス(Ba
cilluscereus)とは、エッグヨーク反応陰性、偏性好気
性、菌幅が大きいこと、及び食塩10%で生育しないこと
等で異なるので、本菌をバチルス・メガテリウム(Baci
llus megaterium)に属するものとし、本菌株をバチル
ス・メガテリウム(Bacillus megaterium)No.9604と命
名した。本菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研菌寄第13142号(FERM P-13142)として寄託されて
いる。
【0025】これらの菌株を利用して、γ−CGTaseを製
造するためには、当該微生物が良好に生育し、酵素を順
調に生産するために必要な炭素源、窒素源、無機塩、必
要な栄養源等を含有する合成培地又は天然培地中でこれ
を培養する。炭素源としては、澱粉又はその組成画分、
焙焼デキストリン、加工澱粉、澱粉誘導体、物理処理澱
粉及びα−澱粉等の炭水化物が使用できる。具体例とし
ては、可溶性澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘
藷澱粉、デキストリン、アミロペクチン、アミロース等
があげられる。
【0026】窒素源としては、ポリペプトン、カゼイ
ン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー或
いは大豆又は大豆粕などの抽出物等の有機窒素源物質、
硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機塩窒素
化合物、グルタミン酸等のアミノ酸類が挙げられる。
【0027】そして無機塩類としては、リン酸1カリウ
ム、リン酸2カリウム等のリン酸塩、硫酸マグネシウム
等のマグネシウム塩、塩化カルシウム等のカルシウム
塩、炭酸ナトリウム等のナトリウム塩等が用いられる。
【0028】培養は、振盪培養若しくは、通気攪拌培養
等の好気的条件下に於いて、培地をpH7〜11の範囲、好
ましくはpH8〜10の範囲に調製し、温度10〜40℃の範
囲、好ましくは、25〜37℃で実施するのが望ましいが、
この条件以外であっても微生物が生育し、目的とする酵
素を生成する条件であれば特に制限されない。
【0029】このようにして培養を行うと、通常は培養
を開始して2〜7日間で培養液中にCGTaseが生産され
る。次いで、培養液から菌体を除去し、培養ろ液を得、
限外ろ過膜で脱塩、濃縮した後、硫安塩析又は有機溶媒
沈降等により酵素を回収する。こうして得られた粗製の
CGTaseは、そのままでもCD生成反応に使用できるが、
必要に応じて、更にDEAE−セファデックス(ファル
マシア社製)、ブチル−トヨパール(東ソー社製)によ
る吸着溶出、セファデックス(ファルマシア社製)、ト
ヨパール(東ソー社製)による分画、γ−CD−セファ
ロースによるアフィニティクロマトグラフィー等により
精製して使用する。
【0030】こうして得られたブレビバクテリウム・エ
スピー由来のγ−CGTaseの酵素化学的性質を以下に述べ
る。 作用及び基質特異性:澱粉、デキストリン、アミロペ
クチン、アミロース等に作用して、γ−CD及びβ−C
Dを生成するが、α−CDを生成しない。 至適pH:8〜9 至適温度:45℃付近 安定pH:pH6〜8 温度安定性:40℃、30分処理で85%の残存活性を示
す。尚、本酵素は、カルシウム塩の添加により安定化さ
れ、20mMの塩化カルシウム添加により45℃の処理におい
ても、100%の残存活性を示した。 各種金属塩の影響:本酵素を1mMの各種金属塩によ
り、0.1M H3BO3,KCl-NaOH緩衝液(pH8.0)中で、40℃、
10分処理し、残存活性を測定した結果は、表1に示され
る。表1より明らかなように、本酵素は、ニッケル、
銅、亜鉛、銀により阻害され、水銀及びカドミウムにて
ほぼ失活した。
【0031】
【表1】
【0032】各種阻害剤の影響:本酵素を1mMの各種
阻害剤により、0.1M H3BO3,KCl-NaOH緩衝液(pH8.0)中
で、40℃、10分処理し、残存活性を測定した結果は、表
2に示される。表2より明らかなように、本酵素は、使
用したいずれの阻害剤によっても殆ど阻害されない。
尚、表2中のEDTAは(ethylenediaminetetraacetic aci
d)の、SDSは(sodium dodecyl sulfate)の、PCMBは
(p-chloromercuribenzoicacid)の、MIAは(monoiodoa
cetic acid)の、NEMは(N-ethylmaleimide)のそれぞ
れの略である。
【0033】
【表2】
【0034】分子量:本酵素の分子量は約75,000であ
る(SDS−電気泳動法による)。 等電点:本酵素の等電点(pI)は2.8である(焦点電
気泳動法による)。
【0035】更に、バチルス・メガテリウム由来のγ−
CGTaseの酵素化学的性質を以下に述べる。 作用及び基質特異性:澱粉、デキストリン、アミロペ
クチン、アミロース等に作用して、γ−CD及びβ−C
Dを生成するが、α−CDを生成しない。 至適pH:10 至適温度:40〜45℃ 安定pH:8〜9 温度安定性:40℃、30分処理で85%の残存活性を示
す。尚、10mMカルシウム塩の添加により、45℃、30分処
理でも100%の残存活性を示す。
【0036】尚、これら酵素の活性測定法は、基質〔1.
5%可溶性澱粉、0.1M アトキンス・パンチン(Atkins
& Pantin)緩衝液(pH10.0)〕0.5mlに酵素液0.05mlを
添加し、40℃にて30分間反応した。その後、0.1N塩酸
5mlを加え反応を停止し、0.5mlを抜き取り、ヨウ素液
5mlを加え、660nmでの吸光度の減少を測定した。1単
位は、本条件下、1分間に660nmの吸光度を1%減少さ
せる酵素量とした。
【0037】これらのγ−CGTaseを澱粉に作用させ、γ
−CDを製造するには、例えば、先ず1〜30%の澱粉
(澱粉又はその組成画分、加工澱粉等を含む)を含有す
る水溶液にγ−CGTase(精製品又は粗製品)を0.5〜20
単位(乾燥澱粉1g当たり)加えてpH4〜10、温度20〜
70℃にて、1〜50時間酵素反応を行う。尚、この澱粉
は、必要に応じて予め加熱し、液化処理を施して用い
る。
【0038】こうしてγ−CDを工業的に製造すること
が可能となったのであるが、より多量にγ−CDを製造
するためには、基質の澱粉濃度をできるだけ高くし、且
つ反応時間を長くする必要があるが、この場合、γ−C
Dの量が減少し、β−CDの量が増加するという問題点
を有していることが分かった。
【0039】そこで、本発明者らは、より安価にγ−C
Dを製造するために、鋭意検討の結果、高濃度澱粉下又
は長時間作用下にγ−CGTaseを反応させる反応液中に、
エチルアルコールを添加することによって、β−CDの
生成を抑制しつつ、γ−CDの生成を促進せしめること
で、この問題を解決したのである。
【0040】この場合のエチルアルコールの添加量は、
何れの酵素を何れの基質濃度にて使用する場合にも、基
質溶液に対して終濃度で5〜30%を添加するのが好ま
しい。
【0041】そして又、反応の際に添加するエチルアル
コールの添加時期としては、反応中であれば特に制限は
ないが、反応の初期、例えば、反応と同時が好ましい。
【0042】以下に試験例及び実施例にて本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定され
るものではない。
【0043】試験例1 2〜15%の可溶性澱粉〔0.01Mマッキルバイン(McIl
vaine)緩衝液(pH7.0)〕にブレビバクテリウム・エス
ピー由来及びバチルス・メガテリウム由来の各γ−CGTa
se酵素液5単位(乾燥澱粉1g当たり)をそれぞれ添加
し、40℃にて3〜44時間反応せしめて各種CDの生成率
を調べた。そして、ブレビバクテリウム・エスピー由来
のγ−CGTaseを使用した場合の各種CDの生成率を表3
に、バチルス・メガテリウム由来のγ−CGTaseを使用し
た場合の各種CDの生成率を表4にそれぞれ示す。尚、
各種CDの生成率は基質に対する重量比で示される。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表3及び表4より明かなように、何れの酵
素も、基質濃度が2%の低濃度ではγ−CDを収率よく
生成するが基質濃度を高くしたり、又基質濃度が2%で
あっても反応時間を長くするとγ−CD量が減少し、β
−CD量が増加することが分かる。
【0047】試験例2 5〜10%の可溶性澱粉〔0.01Mマッキルバイン(McIl
vaine)緩衝液(pH7.0)〕にブレビバクテリウム属由来
及びバチルス・メガテリウム由来の各γ−CGTase酵素液
5単位(乾燥澱粉1g当たり)をそれぞれ添加し、40℃
にて22時間反応せしめてCDを生成せしめるにあたり、
基質溶液当たり5〜30%量のエチルアルコールを添加
することにより各種CDの生成促進効果を調べた。その
結果、ブレビバクテリウム・エスピー由来のγ−CGTase
を使用した場合の各種CDの生成率は表5に、バチルス
・メガテリウム由来のγ−CGTaseを使用した場合の各種
CDの生成率は表6にそれぞれ示される。尚各種CDの
生成率は基質に対する重量比で示される。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】表5及び表6中のEtOHは、エチルアル
コールを示す。
【0051】表5及び表6より明かなように、何れの酵
素の場合も、終濃度として5〜30%のエチルアルコー
ルの添加によって、γ−CDの生成が促進され、一方β
−CDの生成が抑制されることが分かる。これより、エ
チルアルコールの添加によって高濃度基質においてもβ
−CDの生成を抑制しつつ、γ−CDを収率よく生成す
ることが可能となった。
【0052】
【実施例】 実施例1 可溶性澱粉 1.0%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス
0.25%、硫酸アンモニウム0.1%、K2HPO4 0.05%、MgSO
4・7H2O 0.025%、CaCl2 0.01%、Na2CO3 1.0%(別殺
菌)からなる培地(pH10.0)100 mlを500 ml容坂口フラ
スコに入れ、常法により殺菌後ブレビバクテリウム・エ
スピー(Brevibacterium sp.)No.9605(FERM-P 1314
1)を接種し、37℃で40時間振盪培養した。培養後、培
養菌体を遠心分離にて除去し、除菌液2Lを得た。この
除菌液を限外ろ過膜(モジュールSIP,旭化成社製)
にかけ、濃縮液30ml(CGTase活性は6.7単位/mlであっ
た。)を得た。ついで、20%エタノールを含む10%可
溶性澱粉溶液〔0.01Mマッキルバイン(McIlvaine)緩
衝液(pH7.0)〕10mlにブレビバクテリウム由来のγ−C
GTaseを5.0単位(乾燥澱粉1g当たり)加え、40℃にて
20時間反応させた。反応により得られた、γ−CD及び
β−CDの生成率(基質に対する重量比で示す)は、そ
れぞれ16.5%及び3.5%であり、α−CDの生成は、認
められなかった。
【0053】実施例2 可溶性澱粉 1.0%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス
0.25%、硫酸アンモニウム 0.1%、K2HPO4 0.05%、MgS
O4・7H2O 0.025%、CaCl2 0.01%、Na2CO3 1.0%(別殺
菌)からなる培地(pH10.0)100 mlを500 ml容坂口フラ
スコに入れ、常法により殺菌後バチルス・メガテリウム
(Bacillus megaterium)No.9604(FERM-P 13141)を接
種し、37℃で40時間振盪培養した。培養後、培養菌体を
遠心分離にて除去し、除菌液2Lを得た。この除菌液を
限外ろ過膜(モジュールSIP,旭化成社製)にかけ、
濃縮液30ml(CGTase活性は8.7単位/mlであった。)を
得た。ついで、25%エタノールを含む5%可溶性澱粉
溶液〔0.01M H3BO3,KCl-NaOH緩衝液(pH8.0)〕10mlに
バチルス・メガテリウム由来のγ−CGTaseを5.0単位
(乾燥澱粉1g当たり)加え、55℃にて20時間反応させ
た。反応により得られたγ−CD及びβ−CDの生成率
(基質に対する重量比で示す)は、それぞれ16.3%及び
3.2%であり、α−CDの生成は、認められなかった。
【0054】
【発明の効果】本発明は、高濃度澱粉にγ−CGTaseを作
用させてγ−CD及びβ−CDを生成せしめる反応液中
にエチルアルコールを添加して、β−CDの生成を抑制
しつつγ−CDの生成を促進せしめることによって、T
−CDの増収を伴わずに、γ−CDを安価に工業的に製
造する方法を可能にしたものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】澱粉にγ−サイクロデキストリン・グルカ
    ノトランスフェラーゼを作用させてγ−サイクロデキス
    トリンとβ−サイクロデキストリンを生成せしめる反応
    液中にエチルアルコールを添加することにより、β−サ
    イクロデキストリンの生成を抑制しつつγ−サイクロデ
    キストリンの生成を促進することを特徴とするγ−サイ
    クロデキストリンの増収方法。
  2. 【請求項2】澱粉にブレビバクテリウム属又はバチルス
    ・メガテリウム由来のγ−サイクロデキストリン・グル
    カノトランスフェラーゼを作用させてγ−サイクロデキ
    ストリンとβ−サイクロデキストリンを生成せしめる反
    応液中にエチルアルコールを添加することにより、β−
    サイクロデキストリンの生成を抑制しつつγ−サイクロ
    デキストリンの生成を促進することを特徴とするγ-サ
    イクロデキストリンの増収方法。
  3. 【請求項3】澱粉にγ−サイクロデキストリン・グルカ
    ノトランスフェラーゼを作用させてγ−サイクロデキス
    トリンとβ−サイクロデキストリンを生成せしめる反応
    液中に、基質溶液に対し終濃度5〜30%量のエチルア
    ルコールを添加することにより、β−サイクロデキスト
    リンの生成を抑制しつつγ−サイクロデキストリンの生
    成を促進することを特徴とするγ−サイクロデキストリ
    ンの増収方法。
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