JPH06240440A - 化合物薄膜形成装置、酸化物薄膜形成装置、および光学多層膜の成膜方法 - Google Patents
化合物薄膜形成装置、酸化物薄膜形成装置、および光学多層膜の成膜方法Info
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- JPH06240440A JPH06240440A JP5023911A JP2391193A JPH06240440A JP H06240440 A JPH06240440 A JP H06240440A JP 5023911 A JP5023911 A JP 5023911A JP 2391193 A JP2391193 A JP 2391193A JP H06240440 A JPH06240440 A JP H06240440A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 広い面積で均一な膜質を有する薄膜の作成装
置と方法を提供する。 【構成】 酸化物からなる薄膜層を有する光学多層膜を
成膜するにあたり、蒸発源23より発する蒸発粒子流2
2内に酸素ガス導入管21を設け、酸素ガスを導入しつ
つ酸化物を成膜する。 【効果】 上記の構成により、蒸発粒子と酸素ガスの空
間分布が近くなり、広い成膜面積で均一な膜質をもつ光
学多層膜が得られる。これにより従来、高精度な波長精
度を要求される光学多層膜にとって課題であったサンプ
ル間の耐環境性ばらつきを非常に少なくできるため、製
造上極めて有効である。
置と方法を提供する。 【構成】 酸化物からなる薄膜層を有する光学多層膜を
成膜するにあたり、蒸発源23より発する蒸発粒子流2
2内に酸素ガス導入管21を設け、酸素ガスを導入しつ
つ酸化物を成膜する。 【効果】 上記の構成により、蒸発粒子と酸素ガスの空
間分布が近くなり、広い成膜面積で均一な膜質をもつ光
学多層膜が得られる。これにより従来、高精度な波長精
度を要求される光学多層膜にとって課題であったサンプ
ル間の耐環境性ばらつきを非常に少なくできるため、製
造上極めて有効である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広い面積にて高精度に
均一な膜質を要求される薄膜を形成するに適した装置並
びに方法に関し、例えば特に光学多層膜の成膜に用いて
有用なものである。
均一な膜質を要求される薄膜を形成するに適した装置並
びに方法に関し、例えば特に光学多層膜の成膜に用いて
有用なものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、目的とする組成を有する化合
物薄膜を作成するために、蒸着中に反応ガスを導入する
反応性蒸着法がよく用いられている。例えばAlを蒸着
しながらNH3を導入すればAlNが得られ、Tiを蒸
着しながらC2H4を導入すればTiCが得られる。
物薄膜を作成するために、蒸着中に反応ガスを導入する
反応性蒸着法がよく用いられている。例えばAlを蒸着
しながらNH3を導入すればAlNが得られ、Tiを蒸
着しながらC2H4を導入すればTiCが得られる。
【0003】反応性蒸着法は化合物の成膜方法として極
めて有効なものであるが、このような蒸着法が特によく
利用される分野の一つに光学薄膜がある。光学薄膜の蒸
着材料として用いられるTiO2、ZrO2などの酸化物
は高融点であるため蒸発源として電子ビ−ム加熱源がよ
く使われる。しかし、これらの材料は原物質をそのまま
蒸着すると酸素が解離してしまい所望の光学薄膜が得ら
れにくい。
めて有効なものであるが、このような蒸着法が特によく
利用される分野の一つに光学薄膜がある。光学薄膜の蒸
着材料として用いられるTiO2、ZrO2などの酸化物
は高融点であるため蒸発源として電子ビ−ム加熱源がよ
く使われる。しかし、これらの材料は原物質をそのまま
蒸着すると酸素が解離してしまい所望の光学薄膜が得ら
れにくい。
【0004】そこで、原物質やTiO、Ti2O3、Ti
3O5、ZrOなどの低級酸化物を、酸素雰囲気中で蒸発
させることにより、TiO2、ZrO2などの膜を作成す
る反応蒸着法がこれらの酸化物を材料とする光学薄膜、
光学多層膜の成膜によく用いられている。
3O5、ZrOなどの低級酸化物を、酸素雰囲気中で蒸発
させることにより、TiO2、ZrO2などの膜を作成す
る反応蒸着法がこれらの酸化物を材料とする光学薄膜、
光学多層膜の成膜によく用いられている。
【0005】以下図面を参照しながら、従来の光学多層
膜の成膜装置、成膜方法の一例について説明する。
膜の成膜装置、成膜方法の一例について説明する。
【0006】図10は従来の光学多層膜を成膜する装置
の構成図である。排気ポンプ101によって真空状態に
保たれた真空槽102内に設けられた電子銃103によ
りハ−ス104内の蒸着材料105を加熱融解し蒸発さ
せる。例えばTiO2の薄膜を作成する際には蒸着材料
105として主にTi3O5、Ti2O3などの低級酸化物
を用いる。蒸発した蒸発粒子106はその一部が膜厚補
正板107によって進行を妨げられるが、残りは回転ド
−ム108上に設置された基板109に到達する。
の構成図である。排気ポンプ101によって真空状態に
保たれた真空槽102内に設けられた電子銃103によ
りハ−ス104内の蒸着材料105を加熱融解し蒸発さ
せる。例えばTiO2の薄膜を作成する際には蒸着材料
105として主にTi3O5、Ti2O3などの低級酸化物
を用いる。蒸発した蒸発粒子106はその一部が膜厚補
正板107によって進行を妨げられるが、残りは回転ド
−ム108上に設置された基板109に到達する。
【0007】この膜厚補正板107は均一膜厚が得られ
る領域を広げる効果をもつ。この際、蒸着時に基板10
9近くに設けられたリング状酸素ガス導入部1010か
ら噴出される酸素ガス1011と蒸発粒子106が反応
し、基板109上に酸素欠損のない酸化物薄膜が形成さ
れる。酸素ガス導入部は蒸発源から十分離れたところに
設けられることもある(光・薄膜技術マニユアル、オプ
トロニクス社、p236)。更に、第2、第3‥の蒸着
材料1012についても同様の過程を繰り返すことによ
って多層膜を作成する。
る領域を広げる効果をもつ。この際、蒸着時に基板10
9近くに設けられたリング状酸素ガス導入部1010か
ら噴出される酸素ガス1011と蒸発粒子106が反応
し、基板109上に酸素欠損のない酸化物薄膜が形成さ
れる。酸素ガス導入部は蒸発源から十分離れたところに
設けられることもある(光・薄膜技術マニユアル、オプ
トロニクス社、p236)。更に、第2、第3‥の蒸着
材料1012についても同様の過程を繰り返すことによ
って多層膜を作成する。
【0008】各層の膜厚については同時成膜されるモニ
タガラス1013の反射率を測定することで高精度に制
御され、設定した膜厚になるとシャッタ1014が閉じ
て一層の成膜が終了する。
タガラス1013の反射率を測定することで高精度に制
御され、設定した膜厚になるとシャッタ1014が閉じ
て一層の成膜が終了する。
【0009】従来よりこのような成膜装置にて、TiO
2、ZrO2などの酸化物薄膜からなる光学多層膜が製造
されている。
2、ZrO2などの酸化物薄膜からなる光学多層膜が製造
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年光学デバイ
スに要求される仕様は厳しくなってきており、極めて高
い波長精度をもつ光学多層膜を大量に製造する技術が必
要となっている。これを実現するためには、成膜時の蒸
着条件の精密な制御、あるいは膜厚補正板を有効に利用
して光学多層膜の光学特性を限られた精度内の収めるこ
と以外に、大気に取り出して後の経時変化のばらつきを
極めて少なくする必要がある。
スに要求される仕様は厳しくなってきており、極めて高
い波長精度をもつ光学多層膜を大量に製造する技術が必
要となっている。これを実現するためには、成膜時の蒸
着条件の精密な制御、あるいは膜厚補正板を有効に利用
して光学多層膜の光学特性を限られた精度内の収めるこ
と以外に、大気に取り出して後の経時変化のばらつきを
極めて少なくする必要がある。
【0011】しかしながら、従来の光学多層膜の成膜方
法では以下のような課題があることが検討の結果判明し
た。我々は図10に示すような従来の成膜装置、成膜方
法を用いて、TiO2とSiO2からなるバンドパスフィ
ルタをガラス基板上に作成し、その真空中と大気中での
半値波長(反射率が最大値の半分になる波長)のシフト
と、60℃、90%RHの恒温恒湿下に保管した場合の
半値波長の経時変化を評価した。
法では以下のような課題があることが検討の結果判明し
た。我々は図10に示すような従来の成膜装置、成膜方
法を用いて、TiO2とSiO2からなるバンドパスフィ
ルタをガラス基板上に作成し、その真空中と大気中での
半値波長(反射率が最大値の半分になる波長)のシフト
と、60℃、90%RHの恒温恒湿下に保管した場合の
半値波長の経時変化を評価した。
【0012】その結果、真空中と大気中での半値波長シ
フトが、ガラス基板の回転ド−ム上の位置よって異な
り、かつ同一位置であってもバッチ毎にそのシフト量に
ばらつきが存在することを見いだした。また、真空中と
大気中の半値波長シフトが大きいほど、恒温恒湿下での
半値波長の経時変化も大きいことが判った。
フトが、ガラス基板の回転ド−ム上の位置よって異な
り、かつ同一位置であってもバッチ毎にそのシフト量に
ばらつきが存在することを見いだした。また、真空中と
大気中の半値波長シフトが大きいほど、恒温恒湿下での
半値波長の経時変化も大きいことが判った。
【0013】一般に真空中と大気中での半値波長シフ
ト、および恒温恒湿下での半値波長の経時変化は膜質が
疎であるほど大きくなる。これは疎なほど空隙に水分が
多く入り、屈折率変化が大きくなるためである。光学多
層膜全体においてその環境変化時の特性変化に寄与して
いるのは、ガスを導入しているため膜質が疎になりやす
い酸化物層であり、成膜面積内でこの酸化物層の膜質分
布をなくすことが肝要である。
ト、および恒温恒湿下での半値波長の経時変化は膜質が
疎であるほど大きくなる。これは疎なほど空隙に水分が
多く入り、屈折率変化が大きくなるためである。光学多
層膜全体においてその環境変化時の特性変化に寄与して
いるのは、ガスを導入しているため膜質が疎になりやす
い酸化物層であり、成膜面積内でこの酸化物層の膜質分
布をなくすことが肝要である。
【0014】本発明は上記問題点に鑑み、広い面積で均
一な膜質、耐環境性を有する薄膜、特に光学多層膜を提
供することを目的とする。
一な膜質、耐環境性を有する薄膜、特に光学多層膜を提
供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに第1の発明は蒸発源から発する蒸発粒子流内に反応
ガス導入ポ−トを設けたことを特徴とする化合物薄膜形
成装置である。
めに第1の発明は蒸発源から発する蒸発粒子流内に反応
ガス導入ポ−トを設けたことを特徴とする化合物薄膜形
成装置である。
【0016】また、第2の発明は蒸発源から発する蒸発
粒子流内に第1の酸素ガス導入ポ−トを設け、成膜され
る基板近傍に第2の酸素ガス導入ポ−トを設けたことを
特徴とする酸化物薄膜形成装置である。
粒子流内に第1の酸素ガス導入ポ−トを設け、成膜され
る基板近傍に第2の酸素ガス導入ポ−トを設けたことを
特徴とする酸化物薄膜形成装置である。
【0017】さらに第3の発明は酸化物よりなる薄膜層
を有する光学多層膜において、前記酸化物の成膜を、蒸
発源から発する蒸発粒子流内にて上向きに酸素ガスを導
入して行う際、成膜される基板表面付近の前記蒸発粒子
の単位面積あたりの個数をN 1、酸素ガス分子の個数を
N2とするとき、 40>N1/N2>1 の範囲内にあることを特徴とする光学多層膜の成膜方法
である。
を有する光学多層膜において、前記酸化物の成膜を、蒸
発源から発する蒸発粒子流内にて上向きに酸素ガスを導
入して行う際、成膜される基板表面付近の前記蒸発粒子
の単位面積あたりの個数をN 1、酸素ガス分子の個数を
N2とするとき、 40>N1/N2>1 の範囲内にあることを特徴とする光学多層膜の成膜方法
である。
【0018】
【作用】従来の反応蒸着法における薄膜の成膜におい
て、成膜面積内で膜質の差が生じる最大原因は導入する
反応ガスが分布を有しているためである。これにより、
各成膜域における化合物の組成、膜中に取り込まれる反
応ガスの量に差ができ、膜質分布が生じる。従来の方法
では反応ガスを蒸発粒子流の周辺から導入するため、そ
の圧力差によって反応ガスが周辺にかたよっていた。
て、成膜面積内で膜質の差が生じる最大原因は導入する
反応ガスが分布を有しているためである。これにより、
各成膜域における化合物の組成、膜中に取り込まれる反
応ガスの量に差ができ、膜質分布が生じる。従来の方法
では反応ガスを蒸発粒子流の周辺から導入するため、そ
の圧力差によって反応ガスが周辺にかたよっていた。
【0019】以上の点を鑑み、第1の発明の作用は以下
のようになる。蒸発源から発する蒸発粒子流内に反応ガ
スの導入ポ−トを設け、上向きに反応ガスを導入するこ
とにより、蒸発粒子と反応ガスの空間分布を近くし、成
膜される化合物層の膜質を均一にするものである。
のようになる。蒸発源から発する蒸発粒子流内に反応ガ
スの導入ポ−トを設け、上向きに反応ガスを導入するこ
とにより、蒸発粒子と反応ガスの空間分布を近くし、成
膜される化合物層の膜質を均一にするものである。
【0020】次に第2の発明の作用は以下のようにな
る。酸化物薄膜を形成する際には、蒸発粒子と酸素ガス
の反応は気相反応と基板上における表面反応の両方の寄
与があり、第1の発明のごとく蒸発源から発する蒸発粒
子流内に酸素ガスの導入ポ−トを設け、上向きに酸素ガ
スを導入することに加えて、基板表面付近に第2の酸素
ガス導入ポ−トを設けることにより、作成される酸化物
膜の更なる膜質の均一化を図るものである。
る。酸化物薄膜を形成する際には、蒸発粒子と酸素ガス
の反応は気相反応と基板上における表面反応の両方の寄
与があり、第1の発明のごとく蒸発源から発する蒸発粒
子流内に酸素ガスの導入ポ−トを設け、上向きに酸素ガ
スを導入することに加えて、基板表面付近に第2の酸素
ガス導入ポ−トを設けることにより、作成される酸化物
膜の更なる膜質の均一化を図るものである。
【0021】さらに第3の発明の作用は酸化物層を含む
光学多層膜において、その酸化物層を第1、あるいは第
2の発明の成膜装置を用いて成膜する際、基板表面にお
ける蒸着粒子と酸素分子の比を限定することにより、光
吸収がなく、クラックや剥離の生じない光学多層膜を実
現するものである。
光学多層膜において、その酸化物層を第1、あるいは第
2の発明の成膜装置を用いて成膜する際、基板表面にお
ける蒸着粒子と酸素分子の比を限定することにより、光
吸収がなく、クラックや剥離の生じない光学多層膜を実
現するものである。
【0022】
【実施例】以下本発明の一実施例の光学多層膜の成膜装
置および方法について、図面を参照しながら説明する。
置および方法について、図面を参照しながら説明する。
【0023】図1は本発明の化合物薄膜を成膜する装置
の構成図である。排気ポンプ11によって真空状態に保
たれた真空槽12内に設けられた電子銃13によりハ−
ス14内の蒸着材料15を加熱融解し蒸発させる。ここ
ではTiO2の薄膜を作成するために蒸着材料15とし
て低級酸化物のTi3O5としている。ハ−ス14は複数
個あるため、多層膜の形成が可能である。
の構成図である。排気ポンプ11によって真空状態に保
たれた真空槽12内に設けられた電子銃13によりハ−
ス14内の蒸着材料15を加熱融解し蒸発させる。ここ
ではTiO2の薄膜を作成するために蒸着材料15とし
て低級酸化物のTi3O5としている。ハ−ス14は複数
個あるため、多層膜の形成が可能である。
【0024】蒸発源であるハ−ス14からは蒸発粒子流
16が発するが、その蒸発粒子流16内にハ−ス14か
ら斜め上、距離約50mmのところに酸素ガス導入ポ−
ト17があり、ここから上向きに酸素ガスが導入され
る。酸素ガスは真空計18と制御弁19によって圧力制
御されている。
16が発するが、その蒸発粒子流16内にハ−ス14か
ら斜め上、距離約50mmのところに酸素ガス導入ポ−
ト17があり、ここから上向きに酸素ガスが導入され
る。酸素ガスは真空計18と制御弁19によって圧力制
御されている。
【0025】蒸発した蒸発粒子16はその一部が膜厚補
正板110によって進行を妨げられるが残りは回転ド−
ム111上に設置された基板112に到達する。この膜
厚補正板110は均一膜厚が得られる領域を広げる効果
をもつ。また、基板112はヒ−タにより約300℃に
加熱されている。ハ−ス14を切り替えることにより多
層膜を作成するが、各層の膜厚については同時成膜され
るモニタガラス113の反射率を測定することで高精度
に制御され、設定した膜厚になるとシャッタ114が閉
じて一層の成膜が終了する。図2に蒸着源と反応ガス導
入ポ−ト部の拡大図を示す。
正板110によって進行を妨げられるが残りは回転ド−
ム111上に設置された基板112に到達する。この膜
厚補正板110は均一膜厚が得られる領域を広げる効果
をもつ。また、基板112はヒ−タにより約300℃に
加熱されている。ハ−ス14を切り替えることにより多
層膜を作成するが、各層の膜厚については同時成膜され
るモニタガラス113の反射率を測定することで高精度
に制御され、設定した膜厚になるとシャッタ114が閉
じて一層の成膜が終了する。図2に蒸着源と反応ガス導
入ポ−ト部の拡大図を示す。
【0026】以下、従来例と比較しつつ、本発明の効果
について説明する。膜材料として、TiO2とSiO2の
2材料を用い、(表1)のような膜構成をもつバンドパ
スフィルタとなる光学多層膜を成膜した。
について説明する。膜材料として、TiO2とSiO2の
2材料を用い、(表1)のような膜構成をもつバンドパ
スフィルタとなる光学多層膜を成膜した。
【0027】
【表1】
【0028】このような膜構成にてガラス基板に成膜し
た光学多層膜の代表的な反射特性を図3に示す。
た光学多層膜の代表的な反射特性を図3に示す。
【0029】まず、従来例として図10のような一般的
な成膜装置を用いて以上のような光学多層膜を成膜した
サンプルについてその真空中と大気中の光学特性を評価
した。その結果を(表2)に示す。なお、サンプル成膜
時の基板はガラス、基板温度は300℃、導入した酸素
ガスの分圧は0.01Pa、TiO2の成膜レ−トは約
0.3nm/sec、SiO2の成膜レ−トは約1.2
nm/secとした。また、大気中の光学特性は真空中
から取り出して約2時間経過したものを20℃、50%
RHの雰囲気下にて測定した。
な成膜装置を用いて以上のような光学多層膜を成膜した
サンプルについてその真空中と大気中の光学特性を評価
した。その結果を(表2)に示す。なお、サンプル成膜
時の基板はガラス、基板温度は300℃、導入した酸素
ガスの分圧は0.01Pa、TiO2の成膜レ−トは約
0.3nm/sec、SiO2の成膜レ−トは約1.2
nm/secとした。また、大気中の光学特性は真空中
から取り出して約2時間経過したものを20℃、50%
RHの雰囲気下にて測定した。
【0030】
【表2】
【0031】(表2)の半値波長とは反射率が最大値の
半分になるところの波長を示している。また半値波長測
定における誤差は±0.5nmである。なお、ド−ム上
の段数とは、図4に示すようにド−ムの回転軸から近い
順に1段目、2段目…の基板の配置となっており、用い
た成膜装置の実寸は蒸発源と回転ド−ムの回転軸の距離
が15cm、回転ド−ムの曲率半径が38cm、曲率中
心の高さが22cm、ド−ムの最大径が31cmであ
る。
半分になるところの波長を示している。また半値波長測
定における誤差は±0.5nmである。なお、ド−ム上
の段数とは、図4に示すようにド−ムの回転軸から近い
順に1段目、2段目…の基板の配置となっており、用い
た成膜装置の実寸は蒸発源と回転ド−ムの回転軸の距離
が15cm、回転ド−ムの曲率半径が38cm、曲率中
心の高さが22cm、ド−ムの最大径が31cmであ
る。
【0032】(表2)の結果より、従来の成膜装置によ
って成膜した光学多層膜は真空中から大気中への半値波
長シフトが各段数間で18nmから26nmまで分布を
もつとともに同一段数でも最大±2.5nmの範囲でば
らついていることがわかる。
って成膜した光学多層膜は真空中から大気中への半値波
長シフトが各段数間で18nmから26nmまで分布を
もつとともに同一段数でも最大±2.5nmの範囲でば
らついていることがわかる。
【0033】さらに、以上と同一のサンプルの表面を接
着剤でシ−ルした後、60℃、90%RHの恒温恒湿環
境下にて1000時間保管したときの半値波長の移動量
を(表3)に示す。
着剤でシ−ルした後、60℃、90%RHの恒温恒湿環
境下にて1000時間保管したときの半値波長の移動量
を(表3)に示す。
【0034】
【表3】
【0035】(表2)、(表3)の結果、真空中から大
気中への半値波長シフトに対し、恒温恒湿試験時の経時
変化量は、その絶対量、ばらつき量とも比例して大きく
なっていることがわかる。
気中への半値波長シフトに対し、恒温恒湿試験時の経時
変化量は、その絶対量、ばらつき量とも比例して大きく
なっていることがわかる。
【0036】近年では、ハイパス、ロ−パス、バンドパ
スフィルタなどの光学多層膜を用いた光学部品、デバイ
スにおいては極めて高い波長精度が求められてきてい
る。特に高温、高湿環境下にて安定であり、かつサンプ
ル間でばらつきの少ないことが極めて要求される。今回
おこなった60℃、90%RH、1000時間の恒温恒
湿放置試験は光学部品の環境試験としては一般的なもの
であり、本試験において特性変化が数nmから10nm
以下であることが望まれている。(表3)の結果は、従
来の薄膜形成装置、方法によるサンプルは環境変化に対
して不安定であることを示す。
スフィルタなどの光学多層膜を用いた光学部品、デバイ
スにおいては極めて高い波長精度が求められてきてい
る。特に高温、高湿環境下にて安定であり、かつサンプ
ル間でばらつきの少ないことが極めて要求される。今回
おこなった60℃、90%RH、1000時間の恒温恒
湿放置試験は光学部品の環境試験としては一般的なもの
であり、本試験において特性変化が数nmから10nm
以下であることが望まれている。(表3)の結果は、従
来の薄膜形成装置、方法によるサンプルは環境変化に対
して不安定であることを示す。
【0037】一方、本発明の一実施例として図1の成膜
装置を用いることによって作成した光学多層膜について
(表2)、(表3)と同様の評価を行った結果をそれぞ
れ(表4)、(表5)に示す。なおサンプル成膜時の成
膜条件は従来例と同じとした。
装置を用いることによって作成した光学多層膜について
(表2)、(表3)と同様の評価を行った結果をそれぞ
れ(表4)、(表5)に示す。なおサンプル成膜時の成
膜条件は従来例と同じとした。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】(表4)から本発明の化合物形成装置によ
り得られた光学多層膜はド−ム上の段数間の半値波長の
シフト分布が少ないことがわかる。それにともない(表
5)のように環境試験による経時変化が小さく、サンプ
ル間のばらつきもほとんどないことが示された。以上
(表2)から(表5)までの結果を図5と図6に示し
た。これらの図には、酸素ガス導入位置として図10の
従来例以外に、従来例2として蒸発源と同一高さ、距離
30cmのところから酸素ガスを導入したときの結果も
併記した。図5、図6から本発明の化合物形成装置は極
めて有効であることがわかる。
り得られた光学多層膜はド−ム上の段数間の半値波長の
シフト分布が少ないことがわかる。それにともない(表
5)のように環境試験による経時変化が小さく、サンプ
ル間のばらつきもほとんどないことが示された。以上
(表2)から(表5)までの結果を図5と図6に示し
た。これらの図には、酸素ガス導入位置として図10の
従来例以外に、従来例2として蒸発源と同一高さ、距離
30cmのところから酸素ガスを導入したときの結果も
併記した。図5、図6から本発明の化合物形成装置は極
めて有効であることがわかる。
【0041】従来では蒸着粒子流の外から反応ガスを供
給するために、蒸着粒子流の圧力が蒸発源近くで反応ガ
スよりも2〜3桁高く、反応ガスは周辺に偏っていた。
そのため図5に示したようにド−ム上の周辺部(高段数
部)で半値波長変化量が大きくなっている。一方、本発
明によれば蒸着粒子流内で反応ガスが拡散するために、
両者の分布が比較的近づき、膜質のド−ム段数方向の均
一性が高まるとともに、各段数でのばらつきも比較的少
なくできることが判った。
給するために、蒸着粒子流の圧力が蒸発源近くで反応ガ
スよりも2〜3桁高く、反応ガスは周辺に偏っていた。
そのため図5に示したようにド−ム上の周辺部(高段数
部)で半値波長変化量が大きくなっている。一方、本発
明によれば蒸着粒子流内で反応ガスが拡散するために、
両者の分布が比較的近づき、膜質のド−ム段数方向の均
一性が高まるとともに、各段数でのばらつきも比較的少
なくできることが判った。
【0042】なお、蒸発源と反応ガス導入ポ−トとの距
離についてはあまり敏感ではなく、蒸発粒子流内にあれ
ばほぼ同一の結果が得られた。また、反応ガスの導入方
向について検討したところ、水平に導入した場合には本
発明の効果は得られず、上向きに導入することが効果的
であると判明した。
離についてはあまり敏感ではなく、蒸発粒子流内にあれ
ばほぼ同一の結果が得られた。また、反応ガスの導入方
向について検討したところ、水平に導入した場合には本
発明の効果は得られず、上向きに導入することが効果的
であると判明した。
【0043】本実施例においては膜材料としてTiO2
とSiO2の酸化物を用い、光学多層膜を対象とした
が、AlNのような窒化物における電気的バンドギャッ
プ、あるいはTiCなどの炭化物の耐摩耗性についても
顕著な効果を確認した。これは本発明の作用が蒸発粒子
と反応ガスとが同じ空間分布をとることに基づくもので
あり、反応性蒸着法の範囲ならば本発明が如何なる膜材
料に対しても有効であることを示している。
とSiO2の酸化物を用い、光学多層膜を対象とした
が、AlNのような窒化物における電気的バンドギャッ
プ、あるいはTiCなどの炭化物の耐摩耗性についても
顕著な効果を確認した。これは本発明の作用が蒸発粒子
と反応ガスとが同じ空間分布をとることに基づくもので
あり、反応性蒸着法の範囲ならば本発明が如何なる膜材
料に対しても有効であることを示している。
【0044】また、膜構成にも制限はなく、単層膜ある
いは多層膜にも有効である。また、本実施例では成膜方
式を電子ビ−ム蒸着としたがスパッタ等の他の成膜方式
であっても同様に有効である。また、本実施例では反応
ガス導入ポ−トの形状を円管状としたが、ラッパ状、あ
るいは多数の穴を開けたシャワ−状であってもかまわな
い。さらに回転ド−ム以外の基板ホルダであってもかま
わない。
いは多層膜にも有効である。また、本実施例では成膜方
式を電子ビ−ム蒸着としたがスパッタ等の他の成膜方式
であっても同様に有効である。また、本実施例では反応
ガス導入ポ−トの形状を円管状としたが、ラッパ状、あ
るいは多数の穴を開けたシャワ−状であってもかまわな
い。さらに回転ド−ム以外の基板ホルダであってもかま
わない。
【0045】以下、第2の発明の実施例の光学多層膜の
成膜装置および方法について、図面を参照しながら説明
する。
成膜装置および方法について、図面を参照しながら説明
する。
【0046】図7は本実施例の酸化物薄膜を成膜する装
置の構成図である。この装置の構成は図1の装置に第2
の酸素ガス導入ポ−トとしてリング状酸素ガス導入ポ−
ト715を付加したものである。酸素ガスは真空計78
と第1の制御弁79、第2の制御弁716により圧力制
御される。両制御弁の設定により、第1の酸素ガス導入
ポ−ト77と第2の酸素ガス導入ポ−ト715からの酸
素ガスの流量比を変えることが可能である。
置の構成図である。この装置の構成は図1の装置に第2
の酸素ガス導入ポ−トとしてリング状酸素ガス導入ポ−
ト715を付加したものである。酸素ガスは真空計78
と第1の制御弁79、第2の制御弁716により圧力制
御される。両制御弁の設定により、第1の酸素ガス導入
ポ−ト77と第2の酸素ガス導入ポ−ト715からの酸
素ガスの流量比を変えることが可能である。
【0047】以下、従来例と比較しつつ、本発明の効果
について説明する。膜材料として、TiO2とSiO2の
2材料を用い、(表1)のような膜構成をもつバンドパ
スフィルタとなる光学多層膜を成膜した。これについ
て、真空中と大気中での半値波長のシフト、およびサン
プル表面を接着剤でシ−ルした後、60℃、90%RH
の恒温恒湿環境下にて1000時間保管したときの半値
波長の移動量を(表6)、(表7)に示す。成膜条件、
半値波長の測定条件は先の実施例と同様とし、第1の酸
素ガス導入ポ−ト77と第2の酸素ガス導入ポ−ト71
3からの酸素ガスの流量比を3:1とした。
について説明する。膜材料として、TiO2とSiO2の
2材料を用い、(表1)のような膜構成をもつバンドパ
スフィルタとなる光学多層膜を成膜した。これについ
て、真空中と大気中での半値波長のシフト、およびサン
プル表面を接着剤でシ−ルした後、60℃、90%RH
の恒温恒湿環境下にて1000時間保管したときの半値
波長の移動量を(表6)、(表7)に示す。成膜条件、
半値波長の測定条件は先の実施例と同様とし、第1の酸
素ガス導入ポ−ト77と第2の酸素ガス導入ポ−ト71
3からの酸素ガスの流量比を3:1とした。
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】(表6)より本発明の酸化物薄膜形成装置
を用いて作成した光学多層膜はド−ム上の段数間の半値
波長のシフト分布が極めて少ないことがわかる。それに
ともない(表7)のように環境試験による経時変化が小
さく、サンプル間のばらつきもほとんどないことが示さ
れた。これは従来の成膜装置や第1の発明の薄膜形成装
置による光学多層膜の評価結果である(表2)、(表
3)および(表4)、(表5)よりも良好な結果であっ
た。
を用いて作成した光学多層膜はド−ム上の段数間の半値
波長のシフト分布が極めて少ないことがわかる。それに
ともない(表7)のように環境試験による経時変化が小
さく、サンプル間のばらつきもほとんどないことが示さ
れた。これは従来の成膜装置や第1の発明の薄膜形成装
置による光学多層膜の評価結果である(表2)、(表
3)および(表4)、(表5)よりも良好な結果であっ
た。
【0051】酸化物を反応性蒸着法で成膜する場合、蒸
発粒子と酸素ガスが気相にて反応する気相反応と、成膜
される基板上にて反応する表面反応の両方が起こってお
り、第1の実施例にて示したような気相反応を制御する
のみでは(表4)に示したようにド−ム上の段数間の半
値波長シフト分布は比較的小さくできても、高段数部の
半値波長シフトばらつきは少し残っていた。本発明は第
1の発明に対し、基板近傍に新たに第2の酸素ガス導入
ポ−トを付加することで、基板付近の酸素ガス量をさら
に厳密に制御可能とし、ド−ム上の段数間の半値波長シ
フト分布のみならず、高段数部の半値波長シフトばらつ
きをも減らすものである。
発粒子と酸素ガスが気相にて反応する気相反応と、成膜
される基板上にて反応する表面反応の両方が起こってお
り、第1の実施例にて示したような気相反応を制御する
のみでは(表4)に示したようにド−ム上の段数間の半
値波長シフト分布は比較的小さくできても、高段数部の
半値波長シフトばらつきは少し残っていた。本発明は第
1の発明に対し、基板近傍に新たに第2の酸素ガス導入
ポ−トを付加することで、基板付近の酸素ガス量をさら
に厳密に制御可能とし、ド−ム上の段数間の半値波長シ
フト分布のみならず、高段数部の半値波長シフトばらつ
きをも減らすものである。
【0052】上記検討より、本発明の酸化物形成装置は
極めて有効であることが判明した。なお、第1の酸素ガ
ス導入ポ−ト77と第2の酸素ガス導入ポ−ト713か
らの酸素ガスの流量比について検討したところ、検討範
囲の10:1から2:1まで同様の結果を得た。また、
本実施例においては膜材料としてTiO2 とSiO2を
用い、光学多層膜を対象としたが、酸化物であれば如何
なる材料にも効果があり、その用途も光学多層膜に限定
されない。また、膜構成にも制限はなく、単層膜あるい
は多層膜にも有効である。また、本実施例では成膜方式
を電子ビ−ム蒸着としたがスパッタ等の他の成膜方式で
あっても同様に有効である。また、本実施例では反応ガ
ス導入ポ−トの形状を円管状としたが、ラッパ状、ある
いは多数の穴を開けたシャワ−状であってもかまわな
い。さらに回転ド−ム以外の基板ホルダであってもかま
わない。
極めて有効であることが判明した。なお、第1の酸素ガ
ス導入ポ−ト77と第2の酸素ガス導入ポ−ト713か
らの酸素ガスの流量比について検討したところ、検討範
囲の10:1から2:1まで同様の結果を得た。また、
本実施例においては膜材料としてTiO2 とSiO2を
用い、光学多層膜を対象としたが、酸化物であれば如何
なる材料にも効果があり、その用途も光学多層膜に限定
されない。また、膜構成にも制限はなく、単層膜あるい
は多層膜にも有効である。また、本実施例では成膜方式
を電子ビ−ム蒸着としたがスパッタ等の他の成膜方式で
あっても同様に有効である。また、本実施例では反応ガ
ス導入ポ−トの形状を円管状としたが、ラッパ状、ある
いは多数の穴を開けたシャワ−状であってもかまわな
い。さらに回転ド−ム以外の基板ホルダであってもかま
わない。
【0053】本実施例、および第1の実施例のそれぞれ
の効果を実証するにあたって、酸素ガスあるいは蒸着時
のレ−トなどの蒸着パラメ−タについて検討した。その
結果、以下に示す事柄を見いだした。
の効果を実証するにあたって、酸素ガスあるいは蒸着時
のレ−トなどの蒸着パラメ−タについて検討した。その
結果、以下に示す事柄を見いだした。
【0054】図1の第1の発明の化合物形成装置を用い
て、(表1)の膜構成をもつ光学多層膜を作成するにあ
たり、TiO2成膜時の酸素ガス分圧を変化させて場合
の真空中と大気中での半値波長シフト、および大気中で
の反射率特性を評価した。基板はガラスとし、基板温度
300℃、基板上の成膜レ−トは0.3nm/secと
した。SiO2成膜時には酸素ガス分圧を0.01Pa
固定とした。各酸素ガス分圧におけるド−ム上の各段数
での真空中と大気中での半値波長シフトを図8に、各酸
素ガス分圧に対する光学多層膜の可視域での最大反射率
を図9にそれぞれ示す。
て、(表1)の膜構成をもつ光学多層膜を作成するにあ
たり、TiO2成膜時の酸素ガス分圧を変化させて場合
の真空中と大気中での半値波長シフト、および大気中で
の反射率特性を評価した。基板はガラスとし、基板温度
300℃、基板上の成膜レ−トは0.3nm/secと
した。SiO2成膜時には酸素ガス分圧を0.01Pa
固定とした。各酸素ガス分圧におけるド−ム上の各段数
での真空中と大気中での半値波長シフトを図8に、各酸
素ガス分圧に対する光学多層膜の可視域での最大反射率
を図9にそれぞれ示す。
【0055】図8より酸素ガス分圧が低いほど半値波長
シフトは小さくなっている。これは分圧が低いほど膜質
がち密であることを意味している。一方、図9より最大
反射率は酸素ガス分圧が1×10-3Paより下がると低
下していることがわかる。これは分圧が低いと得られる
酸化膜の組成が十分にTiO2になっておらず、酸素が
組成的に不足し、光吸収が生じるせいである。ただし、
酸素ガス分圧が0.04Paより大きくなると膜にクラ
ックが発生した。つまり基板上の成膜レ−トが0.3n
m/secのとき1×10-3から0.04Paが有効酸
素ガス分圧域といえる。
シフトは小さくなっている。これは分圧が低いほど膜質
がち密であることを意味している。一方、図9より最大
反射率は酸素ガス分圧が1×10-3Paより下がると低
下していることがわかる。これは分圧が低いと得られる
酸化膜の組成が十分にTiO2になっておらず、酸素が
組成的に不足し、光吸収が生じるせいである。ただし、
酸素ガス分圧が0.04Paより大きくなると膜にクラ
ックが発生した。つまり基板上の成膜レ−トが0.3n
m/secのとき1×10-3から0.04Paが有効酸
素ガス分圧域といえる。
【0056】次に電子銃のエミッション電流値を変化さ
せ、基板上での成膜レ−トを変化させたときの有効酸素
ガス分圧の最大値、および最小値を検討した。この結
果、基板上での成膜レ−トが0.1から3nm/sec
に対し、有効酸素ガス分圧の最大、最小とも比例してい
ることがわかった。これは蒸着材料をTiO2、Ti2O
3、Ti3O5のいずれとしても同じであった。この結果
から、基板近傍における蒸発粒子と酸素ガス分子の個数
比が光学多層膜の特性に大きく関係していることが判明
した。
せ、基板上での成膜レ−トを変化させたときの有効酸素
ガス分圧の最大値、および最小値を検討した。この結
果、基板上での成膜レ−トが0.1から3nm/sec
に対し、有効酸素ガス分圧の最大、最小とも比例してい
ることがわかった。これは蒸着材料をTiO2、Ti2O
3、Ti3O5のいずれとしても同じであった。この結果
から、基板近傍における蒸発粒子と酸素ガス分子の個数
比が光学多層膜の特性に大きく関係していることが判明
した。
【0057】本実験における真空計の位置と基板表面の
相対関係を考慮することによって算出される、基板上の
単位面積あたりの酸素ガス分子の個数N2と、基板上で
の成膜レ−トから算出される基板上の単位面積あたりの
蒸発粒子の個数をN1とすると、40>N1/N2>1で
あれば成膜レ−トに関わらず光学多層膜として良好な特
性をもつことが見いだせた。N1/N2が40以上であれ
ば作成される酸化物膜は酸素欠損のため吸収が大きくな
り、光学特性に影響を及ぼす。一方、N1/N2が1以下
のときは膜中に取り込まれる酸素ガスが多く、機械強度
的に極めて弱い膜になってしまい製品として不適であ
る。
相対関係を考慮することによって算出される、基板上の
単位面積あたりの酸素ガス分子の個数N2と、基板上で
の成膜レ−トから算出される基板上の単位面積あたりの
蒸発粒子の個数をN1とすると、40>N1/N2>1で
あれば成膜レ−トに関わらず光学多層膜として良好な特
性をもつことが見いだせた。N1/N2が40以上であれ
ば作成される酸化物膜は酸素欠損のため吸収が大きくな
り、光学特性に影響を及ぼす。一方、N1/N2が1以下
のときは膜中に取り込まれる酸素ガスが多く、機械強度
的に極めて弱い膜になってしまい製品として不適であ
る。
【0058】同様の検討をZrO2およびSiO2でも行
った。その結果、反射率の低下する波長域は異なるもの
のTiO2と同じ結果が得られた。
った。その結果、反射率の低下する波長域は異なるもの
のTiO2と同じ結果が得られた。
【0059】以上のように酸化物よりなる薄膜層を有す
る光学多層膜において、本発明が極めて有効であること
が言える。
る光学多層膜において、本発明が極めて有効であること
が言える。
【0060】なお、本実施例においては膜材料としてT
iO2 とSiO2 を用いたが、酸化物であれば如何なる
材料にも効果がある。また、光学薄膜であれば膜構成に
も制限はなく、単層膜にも有効である。また、本実施例
では成膜方式を電子ビ−ム蒸着としたがスパッタ等の他
の成膜方式であっても同様に有効である。また、本実施
例では反応ガス導入ポ−トの形状を円管状としたが、ラ
ッパ状、あるいは多数の穴を開けたシャワ−状であって
もかまわない。さらに回転ド−ム以外の基板ホルダであ
ってもかまわない。
iO2 とSiO2 を用いたが、酸化物であれば如何なる
材料にも効果がある。また、光学薄膜であれば膜構成に
も制限はなく、単層膜にも有効である。また、本実施例
では成膜方式を電子ビ−ム蒸着としたがスパッタ等の他
の成膜方式であっても同様に有効である。また、本実施
例では反応ガス導入ポ−トの形状を円管状としたが、ラ
ッパ状、あるいは多数の穴を開けたシャワ−状であって
もかまわない。さらに回転ド−ム以外の基板ホルダであ
ってもかまわない。
【0061】
【発明の効果】以上に述べたように、第1の発明によれ
ば蒸発源から発する蒸着粒子流内に反応ガス導入ポ−ト
を設けることによって、蒸発粒子と反応ガスの空間分布
をより近づけ、膜質の均一化が図れる。
ば蒸発源から発する蒸着粒子流内に反応ガス導入ポ−ト
を設けることによって、蒸発粒子と反応ガスの空間分布
をより近づけ、膜質の均一化が図れる。
【0062】第2の発明によれば酸化物を反応蒸着法に
て形成する際には、第1の発明の酸素ガス導入ポ−トに
加えて、基板近傍に第2の酸素導入ポ−トを設けること
により、蒸着粒子と酸素ガスの反応を気相、および基板
表面の両方で行わせ、さらに膜質の均一化を図ることが
可能になる。
て形成する際には、第1の発明の酸素ガス導入ポ−トに
加えて、基板近傍に第2の酸素導入ポ−トを設けること
により、蒸着粒子と酸素ガスの反応を気相、および基板
表面の両方で行わせ、さらに膜質の均一化を図ることが
可能になる。
【0063】さらに第3の発明により、第1あるいは第
2の発明による薄膜形成装置をもちいて光学薄膜を作成
する際に、基板表面、単位面積あたりの蒸着粒子数と酸
素ガス分子数の個数比を規定することによって、成膜レ
−トに関わらず、膜質が均一で、光吸収がなく、剥離の
ないものが得られ、製造上極めて効果がある。
2の発明による薄膜形成装置をもちいて光学薄膜を作成
する際に、基板表面、単位面積あたりの蒸着粒子数と酸
素ガス分子数の個数比を規定することによって、成膜レ
−トに関わらず、膜質が均一で、光吸収がなく、剥離の
ないものが得られ、製造上極めて効果がある。
【図1】本発明の第1の実施例の化合物薄膜形成装置の
構成を示す要部断面図
構成を示す要部断面図
【図2】同実施例装置の反応ガス導入ポ−トと蒸着源の
拡大図
拡大図
【図3】同実施例装置により成膜した光学多層膜の代表
的な光学特性図
的な光学特性図
【図4】同実施例装置における回転ド−ムの概略図
【図5】同実施例装置で作成した光学多層膜における半
値波長シフトの関係図
値波長シフトの関係図
【図6】同実施例装置で作成した光学多層膜における半
値波長変化量の関係図
値波長変化量の関係図
【図7】本発明の第2の実施例の酸化物薄膜形成装置の
構成を示す要部断面図
構成を示す要部断面図
【図8】本発明における、酸素ガス分圧をパラメ−タと
したときの、成膜されたド−ム上の位置(段数)と真空
中から大気中への半値波長との関係の一例を示す特性図
したときの、成膜されたド−ム上の位置(段数)と真空
中から大気中への半値波長との関係の一例を示す特性図
【図9】本発明における、酸素ガス分圧と光学多層膜の
最大反射率との関係の一例を示す特性図
最大反射率との関係の一例を示す特性図
【図10】従来の光学多層膜の成膜装置の概略図
11 排気ポンプ 12 真空槽 13 電子銃 14 ハ−ス 15 Ti3O5 16 蒸発粒子流 17 酸素ガス導入ポ−ト 18 真空計 19 制御弁 110 膜厚補正板 111 回転ド−ム 112 基板 113 モニタガラス 114 シャッタ 21 酸素ガス導入管 22 蒸発粒子流 23 蒸発源 41 回転ド−ム 42 ガラス基板 71 排気ポンプ 72 真空槽 73 電子銃 74 ハ−ス 75 Ti3O5 76 蒸発粒子流 77 第1の酸素ガス導入ポ−ト 78 真空計 79 第1の制御弁 710 膜厚補正板 711 回転ド−ム 712 基板 713 モニタガラス 714 シャッタ 715 第2の酸素ガス導入ポ−ト(リング状) 716 第2の制御弁 101 排気ポンプ 102 真空槽 103 電子銃 104 ハ−ス 105 蒸着材料 106 蒸発粒子流 107 膜厚補正板 108 回転ド−ム 109 ガラス基板 110 膜厚補正板 1010 リング状酸素ガス導入ポ−ト 1011 酸素ガス 1012 第2の蒸着材料 1013 モニタガラス 1014 シャッタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢田 亮人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】蒸発源から発する蒸発粒子流内に反応ガス
導入ポ−トを有し、前記反応ガス導入ポ−トが上向きに
反応ガスを導入することを特徴とする化合物薄膜形成装
置。 - 【請求項2】蒸発源から発する蒸発粒子流内に第1の酸
素ガス導入ポ−トと、成膜される基板近傍に第2の酸素
ガス導入ポ−トを有し、前記第1の酸素ガス導入ポ−ト
が上向きに酸素ガスを導入することを特徴とする酸化物
薄膜形成装置。 - 【請求項3】酸化物よりなる薄膜層を有する光学多層膜
において、前記酸化物の成膜を、蒸発源から発する蒸発
粒子流内にて上向きに酸素ガスを導入して行う際、成膜
される基板表面付近の前記蒸発粒子の個数N1と酸素ガ
ス分子の個数N2の比N1/N2が 40>N1/N2>1 の範囲内にあることを特徴とする光学多層膜の成膜方
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5023911A JPH06240440A (ja) | 1993-02-12 | 1993-02-12 | 化合物薄膜形成装置、酸化物薄膜形成装置、および光学多層膜の成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5023911A JPH06240440A (ja) | 1993-02-12 | 1993-02-12 | 化合物薄膜形成装置、酸化物薄膜形成装置、および光学多層膜の成膜方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06240440A true JPH06240440A (ja) | 1994-08-30 |
Family
ID=12123673
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5023911A Pending JPH06240440A (ja) | 1993-02-12 | 1993-02-12 | 化合物薄膜形成装置、酸化物薄膜形成装置、および光学多層膜の成膜方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06240440A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2003005077A1 (en) * | 2001-07-04 | 2003-01-16 | Hamamatsu Photonics K.K. | Thin film forming method and thin film forming device |
| JP2009235545A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Toray Ind Inc | 金属酸化物薄膜形成装置ならびに金属酸化物薄膜付きシートの製造方法 |
| JP2009263740A (ja) * | 2008-04-28 | 2009-11-12 | Toray Ind Inc | 金属酸化物薄膜付きシートの製造方法および製造装置 |
-
1993
- 1993-02-12 JP JP5023911A patent/JPH06240440A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2003005077A1 (en) * | 2001-07-04 | 2003-01-16 | Hamamatsu Photonics K.K. | Thin film forming method and thin film forming device |
| US7445813B2 (en) | 2001-07-04 | 2008-11-04 | Hamamatsu Photonics K.K. | Method for forming thin films and apparatus therefor |
| JP2009235545A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Toray Ind Inc | 金属酸化物薄膜形成装置ならびに金属酸化物薄膜付きシートの製造方法 |
| JP2009263740A (ja) * | 2008-04-28 | 2009-11-12 | Toray Ind Inc | 金属酸化物薄膜付きシートの製造方法および製造装置 |
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