JPH0624871A - 中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法 - Google Patents

中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法

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JPH0624871A
JPH0624871A JP8477293A JP8477293A JPH0624871A JP H0624871 A JPH0624871 A JP H0624871A JP 8477293 A JP8477293 A JP 8477293A JP 8477293 A JP8477293 A JP 8477293A JP H0624871 A JPH0624871 A JP H0624871A
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孝一 石橋
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 コンクリートのアルカリ度の低下により中性
化したコンクリート構造物のアルカリ度を回復するこ
と、特に、アルカリ度の低下により中性化した、鉄筋や
PC鋼材を補強材とする鉄筋コンクリート構造物やプレ
ストレストコンクリート構造物のコンクリート中のアル
カリ度を回復する方法を提供すること。 【構成】 コンクリート表面積当たり0.1A/m2を超えて1
0A/m2以下の電流密度の電流を流して、中性化した部分
のコンクリートのアルカリ度を回復する方法であり、コ
ンクリートの中性化した部分にある鋼材を内部電極と
し、コンクリート表面にアルカリ性雰囲気中の外部電極
を形成し、該内部電極と外部電極との間に、コンクリー
ト表面積当たり0.1A/m2を超えて10A/m2以下の電流密度
で電力を負荷することを特徴とする中性化したコンクリ
ートのアルカリ度の回復方法を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄筋やPC鋼材を補強
材とする鉄筋コンクリート構造物やプレストレストコン
クリート構造物の補修方法、特に、コンクリートのアル
カリ度の低下により中性化した部分を有するコンクリー
トのアルカリ度の回復方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、鉄筋コンクリート構造
物やプレストレストコンクリート構造物などのコンクリ
ート構造物は、圧縮強度の高いコンクリートと引張強度
の高い鋼材とを組み合わせることによって、力学的に圧
縮強度と引張強度のバランスの取れた構造体となり、種
々の重要な構造物に広く使用されてきた。
【0003】また、コンクリートは、一般には、水、
火、及び日光等の環境に対する抵抗性が強く、また、コ
ンクリートのアルカリ度がpHで11〜14の強アルカリ性
であるので、コンクリートの内部にある鋼材は、表面に
不動体被膜を形成して腐食から保護され、そのために、
コンクリート構造物は耐久性のある永久構造物であると
考えられてきた。
【0004】しかしながら、この永久構造物と考えられ
てきたコンクリート構造物も、最近種々の原因によりそ
の耐久性が低下し、コンクリート構造物としての寿命に
疑問が投げかけられるようになってきた。
【0005】コンクリート構造物が劣化する原因の一つ
として、コンクリートの中性化、例えば、「炭酸化」と呼
ばれる現象が挙げられる。
【0006】炭酸化とは、セメントの水和反応によって
生成した水酸化カルシウムが、大気中の二酸化炭素と反
応して炭酸カルシウムとなる現象であって、炭酸化によ
り、コンクリートのアルカリ度が通常のpH11〜14より
低下する。そして、pHが10程度にまで低下すると鋼材
表面の不動体被膜が破壊され、鋼材の腐食がはじまり、
コンクリート構造物としての強度バランスが崩れ、その
耐久性が大きく低下することになる。
【0007】このようなコンクリート構造物の劣化は、
さらに、コンクリート内部の鋼材の発錆、コンクリート
のひび割れ、及びコンクリートの欠落等の現象を引き起
こし、構造的にも、また、外見上でも大きな課題となっ
ている。
【0008】このようなコンクリートの中性化現象は、
二酸化炭素による炭酸化以外にも、酸化イオウ(SOX)や
酸化窒素(NOX)などによっても、同様に引き起こされて
いる。
【0009】従来、このような劣化したコンクリート構
造物の補修方法としては、鋼材の発錆に対してはその周
囲のコンクリートを、また、コンクリートのひび割れや
欠落に対してはその部分のコンクリートを、「はつり」取
ったのち、新しいコンクリートやモルタルを充填する、
いわゆる、断面修復方法が主体であった。
【0010】この断面修復方法は、鋼材の発錆、コンク
リートのひび割れ、及び欠落という目に見える劣化現象
についてのみ補修を行うのであって、補修時に劣化現象
が確認できていない部分、即ち、潜在的にはコンクリー
トの劣化が進行しているが、表面的にはその劣化が顕在
化していない、いわゆる、危険部分については、全く処
置を行うことができなかった。また、この断面修復方法
は、コンクリートが劣化した根本的な原因については、
何ら対策を行っておらず、劣化現象の根本的な解決は期
待できるものではなかった。
【0011】このような、潜在的な危険部分の課題解決
や根本原因の課題解決を目的として、中性化したコンク
リート部分にある鋼材とコンクリート表面、または、ア
ルカリ度がpHで12以上のアルカリ性雰囲気中にあるコ
ンクリート部分にある電極との間に直流電流を印加する
ことによって、アルカリ性雰囲気中にあるアルカリ性物
質、例えば、カルシウム、ナトリウム又はカリウムの水
酸化物が移動し、中性化によって劣化したコンクリート
部分がpH12以上になり、再アルカリ化する、電気化学
的な手法を用いた補修工法が提案されている(特開平1
−176287号公報)。
【0012】しかしながら、この工法では、コンクリー
トに流す電力は電圧にて制御しているため、コンクリー
ト構造物の大きさや抵抗値が異なると、コンクリートの
アルカリ度が回復する度合いと電圧との関係が異なり、
したがって、アルカリ度の回復を行うコンクリート構造
物ごとに、処理に要する時間が異なり、回復処理の効果
の判定が非常に難しいという課題があった。
【0013】さらに、水セメント比の大きいコンクリー
トを修復する場合は、コンクリートの抵抗値が小さいた
めに過電流となりがちであり、コンクリートの破壊につ
ながる恐れがあるなどの課題があった。
【0014】一方、水セメント比の小さいコンクリート
を修復する場合は、コンクリートの抵抗値が大きいため
に、処理時間が膨大に長くなったり、全く効果を発揮し
ないなどの課題があった。
【0015】本発明者等は、上記課題を解消すべく種々
検討した結果、特定の電流密度で供給する電力を制御す
れば、安定した効果を奏することができるとの知見を得
て本発明を完成するに至った。
【0016】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、コンク
リート表面積当たり0.1A/m2を超えて10A/m2以下の電流
密度の電流を流して、中性化した部分のコンクリートの
アルカリ度を回復する方法であり、中性化した部分を有
するコンクリート内及び/又は中性化した部分を有する
コンクリート表面に1以上の電極を設置し、中性化した
部分にある鋼材を陰極とし、コンクリート中のアルカリ
性雰囲気中の、及び/又は、コンクリート表面のアルカ
リ性雰囲気中の電極を陽極とし、若しくは、中性化した
部分をはさんで、陰極及び陽極を設置し、両極間に、コ
ンクリート表面積当たり0.1A/m2を超えて10A/m2以下の
電流密度で電流を流すことを特徴とする中性化した部分
を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法であり、
コンクリートの中性化した部分にある鋼材を陰極とし、
コンクリート表面にアルカリ性雰囲気中の陽極を形成
し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/m2を超
えて10A/m2以下の電流密度で電流を流すことを特徴とす
る中性化したコンクリートのアルカリ度の回復方法であ
り、コンクリート内の中性化した部分に陰極を設置し、
コンクリート内部のアルカリ性雰囲気中に陽極を設置
し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/m2を超
えて10A/m2以下の電流密度の電流を流すことを特徴とす
る中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の
回復方法であり、さらには、コンクリート内の中性化し
た部分を挟んで陰極と陽極を設置し、両極間に、コンク
リート表面積当たり0.1A/m2を超えて10A/m2以下の電流
密度の電流を流すことを特徴とする中性化した部分を有
するコンクリートのアルカリ度の回復方法である。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】一般に、硬化したコンクリート内部には、
飽和状態の水酸化カルシウム水溶液である間隙水が充分
に存在している。
【0019】そのため、コンクリートに電流を流すと、
この間隙水が電解質溶液の役割をし、コンクリート自身
が持つ抵抗と負荷した電力とに応じた電流が流れる。
【0020】しかしながら、中性化したコンクリートで
は、通常、コンクリート内部の電解質溶液であるCa(OH)
2水溶液が極度に減少しているために、電流を流すこと
がかなり困難になっている。
【0021】一方、電解質溶液は、コンクリートに直流
電流を流すことによって、徐々に陰極側へと浸透してい
くため、コンクリートの表面に電解質溶液を与えるこ
と、もしくは、コンクリート内のアルカリ雰囲気にある
電解質溶液を用いることが重要となる。
【0022】この時の浸透速度は、コンクリート中を流
れる電流密度に依存しており、コンクリートの水セメン
ト比が異なっても、電流密度による浸透速度はほぼ一定
である。
【0023】本発明における電流密度としては、電流を
直接流すコンクリートの表面積、即ち、電流の流れに直
行する表面積又は断面積当たり、0.1A/m2を超え10A/m2
以下であり、0.5〜5A/m2が好ましく、1〜2.5A/m2がよ
り好ましい。0.1A/m2以下では、コンクリートの中性化
している部分のアルカリ度が回復するまでには長い時間
を必要とし、また、10A/m2を超えると、電極として使用
するコンクリートに埋設されている鋼材、通常は内部鉄
筋の周囲に水素ガスが発生して、そのガス圧でコンクリ
ートが破壊される恐れがある。
【0024】電解質溶液として、好ましいのは、アルカ
リ性溶液であるが、中性域の溶液でも使用できる場合が
あり、さらに、各種の支持電解液を含有するものも充分
に使用が可能である。
【0025】アルカリ性溶液中のアルカリイオンの発生
源としては、各種のアルカリ塩、例えば、リチウム、ナ
トリウム、及びカリウム等のアルカリ金属塩や、カルシ
ウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙
げられ、リチウム、カルシウム、マグネシウム、及びア
ルミニウム等の塩の使用が好ましい。
【0026】また、コンクリートのアルカリ度は、pH
が10程度より低くなると、鋼材が発錆しはじめるので、
pH10以上が好ましく、pH11以上がより好ましい。
【0027】本発明で使用する電解質溶液をコンクリー
ト表面に与えてアルカリ性雰囲気とする方法としては、
コンクリート表面に電解質溶液を保持する容器を設け
て、その中に電解質溶液を溜める方法や電解質溶液を何
らかの物質に吸着、若しくは、保持させた状態でコンク
リート表面に供給する方法などが考えられる。コンクリ
ートの表面が水平上向き面だけでなく、垂直面や天井面
もありうることを考えると、液体である電解質溶液を漏
らさずに溜める容器を設けることは通常は難しく、電解
質溶液を何らかの材料に吸着、若しくは、保持させた状
態でコンクリート表面に供給する方法が好ましい。
【0028】電解質溶液を何らかの材料に吸着、若しく
は、保持した状態でコンクリート表面に供給する方法で
あれば、水平上向き面だけでなく、垂直面や天井面で
も、十分に電解質溶液をコンクリート表面に供給するこ
とが可能である。
【0029】電解質溶液を吸着、若しくは、保持する材
料としては、パルプ、布、及び不織布等の繊維状物質、
そのパネルやシート、さらには、ゼオライト、シラスバ
ルーン、及び発泡ビーズ等の無機や有機の多孔質材料、
吸水性の有機高分子等、並びに、それらの組み合わせの
使用が好ましい。
【0030】繊維状物質や多孔質材料は、コンクリート
の表面に電解質の保持材を設置する際に、水や電解質と
ともに吹き付けや塗り付けて保持層を形成できるので、
コンクリートの表面形状に関わりなく、作業をすること
が可能である。なお、この場合、付着を良くするため
に、接着性や粘着性を改善するものや増粘剤などを添加
することも可能である。
【0031】また、繊維状物質や多孔質材料は、パネル
やシート状に加工して使用することも可能である。
【0032】パネルやシートは、コンクリート表面に釘
や角材などで固定するだけで、使用することが可能であ
り、さらに、それらの表面を加工することで、電解質溶
液の蒸発や凍結を防止することも可能である。
【0033】吸水性の有機高分子の例としては、ポリア
クリル酸系のものが挙げられる。
【0034】吸水性高分子の場合は、多孔質材料と同じ
ように、吹き付けてコンクリート表面に保持層を形成し
たり、他の種々の材料と組み合わせてパネルやシート状
にしたりすることが可能である。さらに、工事中に水分
を補給する作業の軽減を目的に、工事期間中に電解質溶
液から蒸発する水分を計算しておいて、その量を予め余
分に吸水させておくことも可能である。
【0035】なお、本発明で使用する電解質溶液とし
て、コンクリート内のアルカリ雰囲気中にある電解質溶
液を用いる場合は、上記の方法を採らなくても可能であ
る。
【0036】コンクリート内のアルカリ雰囲気中にある
電解質溶液、即ち、コンクリート中の中性化していない
部分に1以上の電極を設け、この電極を陽極とする。
【0037】陽極を設ける方法は、コンクリート内部の
鋼材を利用することも可能であるが、コンクリートにド
リル等で穿孔し、その中に電極となる導電材を挿入して
電極とした後、孔を埋める方法も可能である。
【0038】一方、陰極は、コンクリートの中性化した
部分を介して及び/又は中性部分に設けることが可能で
ある。この場合の陰極は、陽極と導通していない鋼材に
設けることが好ましいが、陽極と同様に別途設けること
も可能である。
【0039】本発明に用いるアルカリ性雰囲気中にある
電極は、一般には、陽極側になるため、電気的な腐食作
用が働く。
【0040】本発明では、電流を流す期間が比較的短期
なため、電極として、普通の鉄筋や金網なども使用可能
であるが、資源の有効利用や再利用を考えると、電気的
な腐食に対する抵抗性が高いものの使用が好ましい。
【0041】具体的には、チタン、チタン合金、及び白
金又はそれらでメッキした金属、炭素繊維や炭素棒など
の炭素、並びに、体積電気抵抗率が103Ω・cm以下の導電
性を有する有機高分子等が使用可能である。チタンや白
金は電気的な腐食に対して安定であり、炭素や有機高分
子もほぼ安定である。
【0042】なお、通常のコンクリートの体積電気抵抗
率は、103〜104Ω・cm程度であるので、導電性を有する
有機高分子としては、103Ω・cm以下が好ましく、102Ω・
cm以下がより好ましく、10Ω・cm以下が最も好ましい。
【0043】このように、アルカリ性雰囲気中にある電
解質溶液を強制的に、コンクリート中の中性化した部分
にまで浸透させることにより、コンクリートのpHを11
〜14にまで高め、さらに、内部の鋼材表面の不動体被膜
を再形成することによって、「中性化」という現象を解消
することが可能となる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいてさらに説
明する。
【0045】実施例1 セメント/砂重量比1/2、水・セメント重量比60%の
モルタルを用いて、直径10cm、高さ10cmの円柱体を作
り、その中心にφ10mmの鋼棒を、かぶり厚4.5cmになる
ように設置して試験体を作製した。この試験体を材令28
日まで室内保管養生を行い、その後、炭酸ガス濃度80%
の雰囲気下、3kg/cm2の圧力に加圧された密閉容器に、
3ヶ月間保管して試験体を炭酸化した。次に、この円柱
体の上下面をエポキシ系樹脂を塗布して完全にシール
し、この試験体を、図1に示すように、亜硝酸リチウム
水溶液を水酸化カルシウムでpH調節した、pH=12.5
の電解質溶液に浸漬した。通電装置で1週間所定の電流
密度の直流を流し、通電終了時点で、試験体を二つに割
裂し、その割裂面にフェノールフタレインを塗布して、
試験体の表面から赤色に変化した深さを測定した。ま
た、通電処理中に、この円柱体にひび割れが発生するか
どうかの観察も行った。結果を表1に併記する。
【0046】<使用材料> セメント :普通ポルトランドセメント、電気化
学工業社製 砂 :5号硅砂 鋼棒 :普通鋼棒、φ10mm 亜硝酸リチウム :日産化学化学工業社製商品名「LN
−25」、25%水溶液 水酸化カルシウム:和光純薬工業社製試薬1級
【0047】
【表1】
【0048】なお、表1で電流密度は試験体の電解質溶
液に浸漬している部分で、塗料でシールした部分は除く
表面積当たりの電流量を示す。また、赤色に変化した深
さ(mm)欄の「全面」とは、試験体の割裂面全面が赤く変化
したことを示す。
【0049】実施例2 実施例1と同様に試験体を作製した。この試験体を材令
28日まで室内保管養生を行い、その後、炭酸ガス濃度5
%で相対湿度65%の雰囲気下で炭酸化の促進養生を6ヶ
月間行い、試験体を炭酸化した。つぎに、この円柱体の
上下面をエポキシ・タール系の塗料にて完全にシールし
た。この試験体を、図1に示すように、0.1mol/lの亜硝
酸リチウムと0.5 mol/lの濃度の炭酸ナトリウムの水溶
液の電解質溶液に浸漬した。通電装置で2週間所定の電
流密度の直流を流し、通電終了時点で、試験体を二つに
割裂し、その割裂面にフェノールフタレインを塗布し
て、試験体の表面から赤色に変化した深さを測定した。
結果を表2に示す。また、通電処理中に、この円柱体に
ひび割れが発生するかどうかの観察も行ったので、その
結果も併せて表2に併記する。
【0050】<使用材料> 炭酸ナトリウム:和光純薬工業社製試薬1級
【0051】
【表2】
【0052】実施例3 実施例1と同様に試験体を作製した。この試験体を材令
28日まで室内保管養生を行い、その後、炭酸ガス濃度5
%、相対湿度65%の雰囲気下で炭酸化の促進養生を3ヶ
月間行い、試験体を表面から1〜1.5cmのみ炭酸化し
た。つぎに、この円柱体の上下面をエポキシ・タール系
の塗料にて完全にシールした。この試験体を、図1に示
すように1mol/lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液の電解
質溶液に浸漬した。通電装置にて、1週間所定の電流密
度の直流を流した。通電終了時点で、試験体を二つに割
裂し、その割裂面にフェノールフタレインを塗布して、
試験体の表面から赤色に変化した深さを測定した。結果
を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】実施例4 セメント/砂重量比1/2、水・セメント比60%のモル
タルを用いて、断面10×10cm、長さ20cmの直方体の試験
体を作製した。なお、その試験体には、白金メッキした
φ10mmのチタン鋼棒2本を10cm離して埋設した。この試
験体の半分にエポキシ系樹脂を塗布して完全にシールし
た後、炭酸ガス濃度5%、相対湿度65%の雰囲気下で4
ケ月養生を行い、シールしていない部分を中性化した。
中性化養生を終了してから、中性化した部分にあるチタ
ン鋼棒を陰極とし、中性化していない部分にあるチタン
鋼棒を陽極として、両極間に10mAの電流を流した。試験
体の断面積が0.01m2であるので、電流密度は1A/m2とな
る。2週間通電処理後、試験体の中央部を長さ方向に、
ダイヤモンドカッターで切断し、その切断面にフェノー
ルフタレイン溶液を塗布して、赤く変色した部分を観察
したところ、中性化した部分にあるチタン鋼棒の周辺部
まで赤変し、チタン鋼棒が高アルカリ雰囲気に覆われて
いることが確認された。
【0055】実施例5 セメント/砂重量比1/2、水・セメント重量比60%の
モルタルを用いて、図2に示すような、縦20cm、横20c
m、厚さが各々2、3、6、11、16、及び21cmである立
方体を作り、その中心にφ10mmの鋼棒をかぶり厚さ0.
5、1、2.5、5、7.5、及び10cmに設置して試験体を作
製し、この試験体を材令28日まで20℃の室内に入れ、湿
潤養生を行った。つぎに、この試験体の6面のうち、か
ぶり厚が所定の厚みになっている2面を除いた残り4面
にエポキシ系樹脂を塗布して完全にシールした。この試
験体を、図1に示すように水酸化カルシウムで、pH=
12.5の電解質溶液に浸漬し、通電装置で2週間直流の電
気を流した。直流電流の制御方法として、10Vと20Vの
一定電圧で行う場合と、0.75と1.5A/m2の一定電流密度
で行う場合の比較を行い、それぞれにおける試験体の状
態を観察した。結果を表4に示す。
【0056】<使用材料> 砂 :姫川産川砂 鋼棒 :磨き鋼棒、φ10mm それ以外は実施例1と同様
【0057】
【表4】
【0058】通常、コンクリート構造物は、その重要度
や周囲の環境によってかぶり厚さが変化しており、同一
コンクリート構造物の表面であってもかぶり厚さは一様
ではない。表4より明らかなように、定電圧で電力を制
御した場合、コンクリートのかぶり厚さが変化するとコ
ンクリートに過大な電流が流れてひび割れが発生する危
険性がある。また、一方、定電流密度で制御する場合、
かぶり厚さが変化しても、コンクリート構造物に与える
影響は少なく、ひび割れの危険性が大きく減少する。
【0059】実施例6 実施例5と同様に試験体を作製し、湿潤養生を行った。
つぎに、この試験体の6面のうち、かぶり厚が所定の厚
みになっている2面を除いた残り4面をエポキシ・ター
ル系の塗料にて完全にシールして、実施例5と同様に1
週間、直流の電気を流した。直流電流の制御方法とし
て、一定電圧で行う場合と一定電流密度で行う場合の比
較を行い、それぞれにおけるモルタル試験体の状態を観
察した。一定電圧としては、10と20ボルトとし、一定電
流密度としては、0.75と1.5A/m2とした。結果を表5に
示す。
【0060】
【表5】
【0061】表5より、定電圧で電力を制御した場合、
コンクリートのかぶり厚さが変化すると、コンクリート
に過大な電流が流れて、ひび割れが発生する危険性があ
る。また、通常コンクリート構造物は、その重要度や周
囲の環境によって、かぶり厚さが変化しているので、同
一構造物の表面であっても、かぶり厚さは一様ではな
い。一方、定電流密度で制御する場合、かぶり厚さが変
化しても、コンクリート構造物に与える影響は少なく、
ひび割れの危険性が大きく減少する。
【0062】実施例7 高さ1m、周囲20m、厚み25cmで、かぶり厚約4cmの鉄
筋コンクリート製の防油堤の一部、長さ4mを用いて試
験を行った。この防油堤は、築後約20年経過しており、
中性化深さは約30mmであった。このコンクリートを部分
的にはつり、コンクリート内部の鉄筋を陰極とし、さら
に、コンクリートの表面に直径4mmで10cm間隔のワイヤ
ーメッシュを固定した後、紙パルプの粉砕品と炭酸ナト
リウム水溶液を同時に吹き付けて、コンクリート表面に
陽極を形成した。これに、電流密度1.0A/m2の直流電流
を1週間かけて、電解質溶液をコンクリート内部へと浸
透させた。1週間後、コンクリート表面の陽極と紙パル
プとを取り除き、実施例1と同様にコンクリートの中性
化深さを測定したところ、コアリングして採取したコン
クリートサンプル全面にわたって、フェノールフタレイ
ンで赤色に変化したので、中性化していた部分のpHが
高くなり、再アルカリ化が可能になったことが確認でき
た。なお、炭酸ナトリウム水溶液を用いたのは、このコ
ンクリートに使用された骨材がアルカリ骨材反応を引き
起こす危険性がなかったためである。
【0063】実施例8 実施例7と同様に陰極と陽極を形成した。これに、電流
密度1.0A/m2の直流電流を1ヶ月間流し、電解質溶液を
コンクリート内部へと電気的に浸透させた。1ヶ月後、
コンクリート表面の陽極と紙パルプとを取り除き、実施
例1と同様にコンクリートの中性化深さを測定したとこ
ろ、コンクリートの深さ全体にわたって、フェノールフ
タレインにて赤色に変化したので、中性化していた部分
のpHが高くなり、再アルカリ化が可能になったことが
確認できた。
【0064】実施例9 築後約30年経過した、高さ1m、周囲20m、厚み25cm
で、かぶり厚4cmのダブル配筋の鉄筋コンクリート製の
防油堤の一部、長さ4mを用いて、試験を行った。この
防油堤の中性化深さは、外側45mmで、内側30mmであっ
た。このコンクリートを部分的にはつり、コンクリート
内部の鉄筋を内部電極とし、コンクリート表面に、径4
mmで間隔10cmのワイヤーメッシュを固定した後、紙パル
プに水酸化カルシウムと炭酸ナトリウム水溶液を含ませ
たものを吹付け、外部電極とした。中性化した部分にあ
る外側の鉄筋を陰極とし、中性化していない部分にある
内側の鉄筋と外部電極を陽極とした。両極間に、電流密
度1.5A/m2の直流電流を2週間かけて、電解質溶液を電
気的に移動した。2週間後、コンクリート表面の外部電
極と紙パルプを取り除き、コンクリートの中性化深さを
測定した。その結果、コンクリートの深さ全体にわたっ
て、フェノールフタレインで赤色に変化したので、中性
化していた部分のpHが高くなり、再アルカリ化が可能
になったことが確認できた。なお、このコンクリートに
使用された鉄筋は、外側と内側が接触しておらず、電気
的に絶縁されていたために、内側の鉄筋にも陽極を設置
した。
【0065】
【発明の効果】本発明の方法を用いると、中性化したコ
ンクリート構造物のpHを高めて、再度コンクリートの
アルカリ性を回復できるので、鋼材表面の不動体被膜の
再形成が可能となる。従って、コンクリートと鋼材との
組み合わせによって、成り立っているコンクリート構造
物の耐久性をほぼ完ぺきに回復させることが可能であ
る。また、本発明の方法では、対象とするコンクリート
の表面積当たりの電流密度で電力の制御を行うため、コ
ンクリートのかぶり厚さに影響されることなく、電力供
給時間と回復効果の関係が一定となり、回復作業の簡便
化が期待できる。さらに、過電流によるコンクリートの
ひび割れ発生を防止することが可能なために、より安全
な回復作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、試験に用いた時の電流の通電方法の概
略図である。
【図2】図2は、試験に用いた試験体の斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼棒 2 モルタル硬化体 3 容器 4 電解質溶液 5 陽極 6 定電流直流電源又は定電圧直流電源 7 電流計又は電圧計 8 樹脂塗布面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート表面積当たり0.1A/m2を超
    えて10A/m2以下の電流密度の電流を流して、中性化した
    部分のコンクリートのアルカリ度を回復する方法。
  2. 【請求項2】 中性化した部分を有するコンクリート内
    及び/又は中性化した部分を有するコンクリート表面に
    1以上の電極を設置し、中性化した部分にある鋼材を陰
    極とし、コンクリート中のアルカリ性雰囲気中の、及び
    /又は、コンクリート表面のアルカリ性雰囲気中の電極
    を陽極とし、若しくは、中性化した部分をはさんで、陰
    極及び陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当
    たり0.1A/m2を超えて10A/m2以下の電流密度で電流を流
    すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリー
    トのアルカリ度の回復方法。
  3. 【請求項3】 コンクリートの中性化した部分にある鋼
    材を陰極とし、コンクリート表面にアルカリ性雰囲気中
    の陽極を形成し、両極間に、コンクリート表面積当たり
    0.1A/m2を超えて10A/m2以下の電流密度で電流を流すこ
    とを特徴とする中性化したコンクリートのアルカリ度の
    回復方法。
  4. 【請求項4】 コンクリート内の中性化した部分に陰極
    を設置し、コンクリート内部のアルカリ性雰囲気中に陽
    極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A
    /m2を超えて10A/m2以下の電流密度の電流を流すことを
    特徴とする中性化した部分を有するコンクリートのアル
    カリ度の回復方法。
  5. 【請求項5】 コンクリート内の中性化した部分を挟ん
    で陰極と陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積
    当たり0.1A/m2を超えて10A/m2以下の電流密度の電流を
    流すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリ
    ートのアルカリ度の回復方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006232559A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd コンクリートの電気防食工法

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US6846054B2 (en) 2000-11-10 2005-01-25 Canon Kabushiki Kaisha Liquid discharging method, image forming method, liquid discharge apparatus, and liquid discharge head
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