JPH06256909A - 良好な曲げ性と優れたばね特性を有する電気接点ばね用金属板およびその製造方法 - Google Patents

良好な曲げ性と優れたばね特性を有する電気接点ばね用金属板およびその製造方法

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JPH06256909A
JPH06256909A JP268293A JP268293A JPH06256909A JP H06256909 A JPH06256909 A JP H06256909A JP 268293 A JP268293 A JP 268293A JP 268293 A JP268293 A JP 268293A JP H06256909 A JPH06256909 A JP H06256909A
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Kosaku Shioda
浩作 潮田
Satoru Nishimura
哲 西村
Yozo Suga
洋三 菅
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な曲げ性と優れたばね特性を有する電気
接点ばね用金属板を提供することを目的とする。 【構成】 重量%で10〜80%Cuを含有するFe−
Cu合金の薄肉鋳片をクロス圧延によりコイルの長手方
向および幅方向の両方に、Fe相とCu相からなる2相
組織を展伸させ、これにより、異方性の小さい良好な曲
げ性とばね性を有し、電気伝導度と耐熱クリープ性に優
れた電気接点ばね用金属板を製造する。 【効果】 本発明材は、現行材のBe−Cu合金やTi
−Cu合金と同等レベルの特性を有するので、Be−C
uにおける問題点;高価であること、環境を害するこ
と、Ti−Cu合金における問題点;ばね限界値が劣る
こと、高価であること、表面特性(はん田性など)が劣
ること、などを解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気接点・ばね材など
として用いられる金属板およびその製造方法に関する。
本発明材は、面内異方性が小さく、良好な曲げ性と、優
れたばね特性を有し、かつ良好な電気接点特性ならびに
優れた耐熱クリープ性をもつ材料であるので、電気接点
ばねなどの用途に好適の材料である。
【0002】
【従来の技術】近年の電気機器の小型化、高密度化に対
応するため、良好な曲げ性とばね特性を有し、優れた電
気接点特性(高い電気伝導度と低い接触抵抗)と耐熱ク
リープ特性を有する電気接点ばね材料が要求されてい
る。このような高級電気接点ばね用途には、従来からC
uを基にしたBe−Cu合金やTi−Cuなどが用いら
れている。Be−Cu合金は、時効処理により著しくば
ね性は向上するが曲げ性が劣化するので、一般的には加
工をした後に時効処理を施しばね性を改善している。し
かし、Be−Cu合金は、特性は優れているものの、そ
の特性を引き出すためには前述のような複雑な工程が必
要であり、また、環境を著しく害するBeを添加してい
るため、基本的な問題があった。したがって、長年Be
−Cu合金に替わる材料が熱望されてきた。
【0003】一方、Ti−Cu合金は、ばね限界値がB
e−Cu合金の100 kgf/mm2 以上に対し50〜80
kgf/mm2 と劣り、またTiを通常3%程度用いるため
安定な表面膜が形成され、接触抵抗やはんだ性などの表
面特性に問題があった。このような問題を解決するため
に高強度Cu基合金の開発が鋭意推進されている。たと
えば、特開平1−180930号公報記載の内容によれ
ば、CuにMg,Pなどを添加し60 kgf/mm2 程度ま
で高強度化することにより、ばね限界値として50 kgf
/mm2 のレベルまで改善した電気接点ばね材料の開発が
達成されている。しかし、Be−CuやTi−Cu合金
のような高級電気接点ばね材料と比較すると、ばね限界
値が不十分である。また、特開昭60−2318442
号公報記載のCu基合金では、Sn,Fe,Si,P,
Ni,Cr,Ti,Coなどを添加して高強度化を図っ
ている。しかし、これらの元素の添加は、合金コストの
上昇、電気伝導度の劣化といった問題を招くと同時に、
Cu基合金では本質的に上に述べた現行材並に高強度化
することが極めて困難であり、ばね限界値が劣るという
問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような課題を解
決するために本発明者らは、Cu量が10%〜90%ま
での広い範囲で変化したFe−Cu合金の開発に取り組
んできた。すでに、特公平3−59131号公報および
特公平4−024420号公報に開示しているように、
Fe−Cu合金はFe相とCu相とからなる二相合金で
あり、基本的には強度をFe相で電気伝導度をCu相で
確保することにより、それぞれの相の特徴を最大限に活
用する点に特徴がある。この観点から、本合金は強度と
電気伝導度のバランスに優れている。しかし、一方向の
冷間圧延・焼鈍の工程を経て製造する場合には、二相合
金であるがゆえにたとえ再結晶焼鈍しても組織が圧延方
向に延びた形状を有するため特性の面内異方性、特に曲
げ性の面内異方性が大きくなる欠点を持つ。
【0005】従って、本発明が解決しようとする第1の
課題は、Fe−Cu合金の曲げ性の面内異方性を改善す
ることであり、さらに第2の課題は、上記合金のばね限
界値を改善することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために構築されたものであり、その要旨は以下の
とおりである。 (1)重量%で10〜90%Cuを含有するFe−Cu
合金であって、かつコイル長手方向および垂直方向の9
0度繰り返し曲げ回数(それぞれnL ,nC )が3回以
上でこれらの比(nC /nL )が1〜3と小さい面内異
方性を有し、さらにそれぞれの方向のばね限界値が60
kgf/mm2 以上で、常温の電気伝導度が10%IACS
以上有する耐熱クリープ性に優れた電気接点ばね用金属
板。
【0007】(2)上記(1)に記載の化学成分よりな
る溶融金属を10から1000℃/sの凝固冷却速度で
板厚0.5〜8mmの金属板に鋳造し、次に素材長手方向
の圧延圧下率(rL )と幅方向の圧延圧下率(rC )と
の比(rL /rC )を1〜10とするとともに全圧下率
が30%以上の冷間圧延を施し、次いで600〜110
0℃の温度範囲で焼鈍し、300〜650℃の温度範囲
で時効処理を施したのち、残留応力の均一化処理を行な
う面内異方性が小さく良好な曲げ性と優れたばね特性と
電気接点特性を有する電気接点ばね用金属板の製造方
法。
【0008】本発明者らは上記発明を完成するために、
まず第1に、曲げ性の改善について鋭意研究開発を行っ
た。その結果、本合金のように二相組織からなる合金の
曲げ特性の面内異方性を改善するためには、組織を等方
的にすることが基本であることに着目し、一方向のみに
圧延加工を施すのではなく、これと垂直方向にも圧延を
施せば、すなわちクロス圧延を行えば組織がより均一と
なるので、曲げ特性の面内異方性が著しく改善されると
いう工業的に極めて重要な知見を得た。これは、クロス
圧延により金属組織が一方向のみに展伸するのでなく、
これと垂直方向にも展伸するため面内異方性が小さくな
るものと考えられる。クロス圧延を施すためには、簡単
には切り板で圧延方向を互いに直行する二つの方向にと
ってもよく、あるいはコイル形状で連続的に処理しても
よい。
【0009】第2に、ばね限界値を向上する方法につい
ても研究を重ねた結果、従来から取り組まれている材料
の高強度化ではなく、ばね限界値が弾性変性からミクロ
的な降伏現象の生じる領域での降伏挙動と対応するもの
と考えられるので、材料特性的には縦弾性係数(ヤング
率)の向上およびミクロ降伏の改善が特に重要であるこ
とが判明した。
【0010】まずFe−Cu合金のヤング率の改善方法
について述べると、ヤング率は、同じ組成の材料でも、
結晶方位によって大きく異なる。たとえば、Feのラン
ダム方位のヤング率は、約21000 kgf/mm2 であ
り、最大方向の<111>には29000 kgf/mm2
なる。また、ヤング率は少量の元素を添加しても殆ど変
化しないが、本発明合金のようにFeに多量のCuを添
加する場合にはヤング率がかなり低下することが予想さ
れる。一方、CuはFeより融点が低いためヤング率が
約13000 kgf/mm2 とFeより著しく低い。
【0011】そこでFe−Cu合金のヤング率をFe並
に高く維持するために、次のような新たな発想に基づい
て改善に取り組んだ。すなわち、本発明者らは、まずC
u量が10%から90%の範囲のFe−Cu合金は二相
組織となることに着目した。もし、引張り試験方向にヤ
ング率の高いFe相が展伸しておれば、その方向のヤン
グ率を高めることが可能となる。従って、クロス圧延と
焼鈍の基本工程で製造したFe−Cu合金では、Fe相
が圧延方向およびこれに直角な方向の二つの方向に展伸
しているので、これら両方向におけるヤング率はFeの
ヤング率に近い高い値が得られることになる。
【0012】次に、Fe−Cu合金のミクロ降伏強度を
最大限に上昇させる方策について述べる。後述するよう
に、本発明においては双ロール法で鋳片を製造するが、
この方法のように急冷凝固するとFe相に多量のCuが
過飽和に固溶する(Fe−Cuの平衡状態図によれば約
10%Cuと予想。ただし、従来のプロセスでは約2%
である。)ので、この過飽和Cuをその後の適正な時効
析出処理で著しく微細に析出させることにより、ミクロ
降伏強度を最大限に高めることが可能となる。
【0013】なお、本発明の基本組成であるCu量が1
0%から90%の範囲のFe−Cu合金を製造するため
には、溶融金属を急冷して0.5mmから8mmの板厚の鋼
帯に直接鋳造することが必須である。すなわち、特公平
4−024420号公報記載のように、従来からの基本
工程である熱間圧延を本発明合金に適用すると、Cu相
は圧延温度域で未だ融液状態にあるため、熱間脆化が発
生する。これを抜本的に防止するために、急冷凝固を活
用したストリップキャスト法例えば双ロール法を採用す
る。さらに、この方法によれば、Fe相にCuを最大限
過飽和に固溶させることも可能である。
【0014】一方、このようにして鋳造したFe−Cu
合金は良好な冷間圧延性をもっており、電気接点ばね材
として通常用いられる0.1mm以下の金属箔の領域ま
で、冷間圧延することが可能となる。また、このような
固溶Cuが最後の時効析出処理で微細に析出し、ミクロ
降伏強度を向上させるのは、上に述べた通りである。ま
た、このような機構を活用しているので、通電発熱時に
耐えられるばね性、すなわち耐熱クリープ性にも優れる
ことが期待できる。
【0015】本発明はこのような従来にない新しい知見
に基づいて成されたものである。
【0016】
【作用】本発明において材料特性、鋼組成および製造条
件を上述のように限定する理由について詳細に説明す
る。
【0017】(1)曲げ性:4方向に曲げ加工が入る電
気接点ばね材料においては、良好な曲げ加工性でかつ面
内異方性の小さいことが求められる。まず、曲げ加工性
を満足するためには、コイル長手方向に垂直(nC )お
よび平行(nl )に90度曲げる場合の繰り返し曲げ回
数がそれぞれ3回以上あることが必要である。次に、こ
れらの比(nC /nL )を1〜3の範囲とする。nC
L が3を超すと面内異方性が大きくなる。
【0018】(2)ばね限界値:Be−CuあるいはT
i−Cuなどの高級電気接点ばね材料の代替となり得る
ためには、ばね限界値は60 kgf/mm2 の値となる必要
がある。また、薄型化してもスティフネスを維持し、か
つ優れたばね限界値を有するためには、ヤング率の向上
が必須である。現行の高強度Cu合金のヤング率は約1
3000 kgf/mm2 程度であるので、13000 kgf/
mm2 以上のヤング率を目標とする。
【0019】(3)電気伝導度、接触抵抗:Be−C
u、Ti−Cu合金の電気伝導度は、大略10%IAC
S程度であるので、10%IACS以上を必要特性とし
た。
【0020】(4)組成:基本組成は、重量%で10〜
90%Cuを含有するFe−Cu合金とするが、これに
耐食性を維持する目的でCrを0.1〜10%,Moを
0.001〜1.5%の範囲でそれぞれ添加してもよ
く、また強度、加工性、メッキ性などを改善する目的
で、選択元素としてTi,Zr,Si,Al,Ni,Z
n,Sn,Nb,P,La,Ce,Y,V,Ca,B
e,MgまたははHfの1種または2種以上を合計で
0.005〜8%添加してもよい。
【0021】(5)製造方法 (イ)凝固冷却速度と鋳造板厚:溶融金属を10から1
000℃/sの凝固冷却速度で板厚0.5〜8mmの金属
板に鋳造する。凝固冷却速度が10℃/s未満となると
Fe相とCu相とからなる凝固組織が極めて粗くなり、
いわゆる急冷凝固の効果が消失する。また、凝固冷却速
度が1000℃/s超となると、凝固シェルの発達が不
十分となるため、鋳造がきわめて不安定になる。また、
鋳造厚は上記凝固冷却速度との関係から0.5から8.
0mmとなる。
【0022】(ロ)冷間圧延条件:上記した鋳造板を必
要に応じて酸洗あるいは表面研削したのちに冷間圧延す
る。冷間圧延条件は面内異方性が小さく良好な曲げ性を
確保するために、本発明において最も重要な構成要件で
ある。まず、全圧下率は強度と製品厚を満足するために
30%以上とする。次に、素材長手方向の圧延圧下率
(rL )と幅方向の圧延圧下率(rC )との比(rL
C )が1〜10となるような範囲でクロス圧延を施
す。このようなクロス圧延は切り板は勿論のこと、コイ
ルでも可能である。また、rL /rC の値が1未満およ
び10超の値となると、クロス圧延の効果がなくなり曲
げ性の面内異方性が目標を満たさなくなる。また、素材
長手方向への圧延と幅方向への圧延の順序は曲げ性の面
内異方性に基本的には影響しないので問わないが、最終
製品の表面性状の観点から、最終の5%以上の冷間圧延
は、素材長手方向に施すのが好ましい。
【0023】(ハ)冷間圧延後の焼鈍条件:上記冷間圧
延材を600〜1100℃の範囲、好ましくは800〜
1050℃で連続焼鈍する。焼鈍温度が600℃未満に
なると、延性が不足するため曲げ性が悪い。一方、11
00℃超の温度で焼鈍すると、Cuの融点を越えるので
品質状の欠陥が生じたり、板破断する問題が発生する。
また、焼鈍中にCuが析出することを極力抑制するため
に焼鈍は極力短時間とする。
【0024】(ニ)調質圧延の条件:上記焼鈍の後、必
要に応じて1〜10%の調質圧延を施す。調質圧延は、
a)上記焼鈍で劣化した板形状を改善し、次の研磨工程
において均一な研磨が可能となるような役割、b)さら
に後の300〜650℃の時効処理において所望の強度
を得る役割、を有する。調質圧延率が1%未満では上に
述べた二つの役割が達成されない。一方、10%超にな
ると曲げ性が劣化する。
【0025】(ホ)時効処理温度条件:300〜650
℃の温度範囲、好ましくは400〜550℃の温度範囲
で時効処理を行う。時効処理は、Fe相においては著し
く過飽和に固溶しているCu微細に析出させ強度を上昇
させること、Cu相においては固溶FeをTi,Zrな
どで固定し電気伝導度を向上させること、が役割であ
る。時効処理温度が300℃未満になると上に述べた析
出や固定の反応が生じない。一方、650℃超では過時
効となりむしろ強度が低下する。
【0026】(ヘ)酸洗条件:本発明合金を通常の塩
酸、硝酸、硫酸などを用いた酸洗条件で酸洗すると、表
面がCuとなる。その機構については必ずしも明確でな
いが、Cuの置換析出機構などが考えられる。したがっ
て、冷間圧延前あるいは冷間圧延後の適正なところで酸
洗し、表面にCu相を形成すると、接触抵抗を著しく低
下することもできる。
【0027】かくして、本発明によれば、面内異方性の
小さい良好な曲げ性をもち、70 kgf/mm2 以上の優れ
たばね限界値を有し、10%IACS以上の電気伝導度
と耐熱クリープ特性に優れた、重量%で10〜90%C
uを含有するFe−Cu合金電気接点ばね用途金属板を
得ることができる。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕表1に示す組成を有するFe−30%Cu
合金を実験室的に真空溶製した。すなわち、基本組成は
Fe−30%Cu合金であるが、耐食性を確保するため
にCr,Moを、強度と電気伝導度のバランスを改善す
るためにZr,Tiを、さらに鋳造性を改善するために
Alを添加した。双ロール鋳造機を用いて、320℃/
sの表面冷却速度で板厚2.0mmを鋳造した。その後
1.9mm厚までコイル研削機でコイルの両面を研削し
た。続いて0.13mm厚まで冷間圧延を施すにあたり、
素材の長手方向の圧下率rL とその垂直方向の圧下率r
C との比(rL /r C )を表2に示すように種々変化さ
せた。なお簡単のために、最初に素材長手方向に(1−
(1−rL 1/2 )の圧下率で圧延し、続いてその垂直
方向に圧下率rC の圧延を施し、最後に素材長手方向に
圧下率(1−(1−rL 1/2 )の圧延を施した。
【0029】このように作製された冷間圧延板を光輝焼
鈍炉にて焼鈍した。焼鈍条件は、1000℃−20sで
ある。次に、圧下率4%の調質圧延を施したのち、表面
膜を研磨法で除去した。続いて、真空炉にて450℃で
6時間の時効処理焼鈍を行い、その後残留歪を除去する
ために450℃でテンションアニールした。最後に酸洗
(50℃の20%塩酸水溶液に10s浸漬)し、表面に
Cu相を形成した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】引張り特性はJIS13号B試験片を用い
て10mm/min のクロスヘッド変位速度で評価した。繰
り返し曲げ試験は、MIL−STD−883/2004
に準拠して行い、0.5mm幅×30mm長×0.13mm板
厚の試験片に225gfの荷重を加え90°曲げを繰り返
し施した。曲げ回数1回とは、90度曲げ1回に相当す
る。ばね限界値(KB 値)は、薄板ばね試験機(JIS
H3130)を用いて測定した。ヤング率は共振法を用
いて求めた。また、電気伝導度は4端子法を用いて評価
した。また、表2に比較のために、市販のBe−Cu
(C−1720P)、およびTi−Cu合金(YCU
T)の結果も示した。
【0033】表2から明らかなように、クロス圧延技術
を活用した本発明材は良好な曲げ性を有しかつその面内
異方性が小さい。さらに、ばね限界値に優れておりその
面内異方性も小さい。また、研磨(#500)後、SQ
メーターで測定した本発明合金の接触抵抗は、約0.9
Ωであり、従来材並である。耐熱クリープ特性は、次の
ように評価した。幅12.7mm×長さ120mm(LO
の試験片を使用し、この試験片を長さ110mm(L1
×深さ3mmの水平縦長溝を有する治具に中央部が上部に
湾曲するようにセットし、この状態で200℃に500
時間保持し、前記治具から取り外した状態における前記
試験片の両端部間の距離(L2 )を測定し、応力緩和率
(L0 −L2 )/(L0 −L1 )×100%をもって、
耐熱クリープ特性とした。本合金の応力緩和率は約3%
と極めて良好である。さらに、表面粗度も1.0μmと
十分小さい。ここで、表面粗度は、25mm長にわたる粗
度測定におけるRmaxである。耐食性の評価を48時
間の塩水噴霧試験による赤錆発生率から実施したが、本
発明材はCu基合金並の実力を有し何ら問題はなかっ
た。また、本発明材の半田性は、濡れ面積率から評価し
た結果良好であることを確認した。
【0034】〔実施例2〕実施例1の知見を基に、表3
に示す化学組成を有する鋼B(Fe−50%Cu合
金)、鋼C(Fe−75%Cu)を実験室的に溶製し
た。これらの鋼には、実験例1と同様にCr,Mo,Z
r,Ti,Alを添加している。さらに、双ロール鋳造
機を用いて、板厚2.0mmの鋳片を鋳造した。1.9mm
厚までコイル研削機でコイルの両面を研削した後、酸洗
した(50℃の20%塩酸水溶液に60s浸漬)。続い
て0.13mm厚まで冷間圧延を施すにあたり、素材の長
手方向の圧下率rL とその垂直方向の圧下率rC との比
(rL /rC )を表4に示すように種々変化させた。な
お簡単のために、最初に素材圧延方向に(1−(1−r
L 1/2 )の圧下率で圧延し、続いてその垂直方向に圧
下率rC の圧延を施し、最後に素材長手方向に圧下率
(1−(1−rL 1/2 )の圧延を施した。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】このように作製された冷間圧延板を光輝焼
鈍炉にて焼鈍した。焼鈍条件は、1000℃−60sで
ある。次に、圧下率2%の調質圧延を施したのち、真空
炉にて475℃で7時間の時効処理焼鈍を行い、続いて
残留歪を除去するために450℃でテンションアニール
した。そして、コイルを連続的に酸洗(50℃の20%
塩酸水溶液に20s浸漬)したのち、次に述べる電気接
点ばね用途としての基本的な性能を評価した。
【0038】すなわち、引張り試験、繰り返し曲げ試
験、ばね限界値、ヤング率、電気伝導度測定、表面粗度
測定などを評価した。これらの評価測定法は、実施例1
と全く同様である。結果を表4にまとめて示す。また、
比較のために同表に、市販のBe−Cu合金(C−17
20P)、およびTi−Cu合金(YCUT)の結果も
示す。表から明らかなように、本発明材はクロス圧延技
術により面内異方性の小さい良好な曲げ性を有する。さ
らに、優れたばね限界値を有しかつその面内異方性も小
さい。さらに、実施例1と同様に、耐熱クリープ試験、
接触抵抗、表面粗度を測定した。本発明合金の鋼Bの応
力緩和率は約4%、鋼Cは約6%であり、いずれも良好
である。接触抵抗は、それぞれ0.9Ω,0.8Ωであ
り、良好である。また、粗度も約1.0μmであり十分
小さい。また、耐食性、ハンダ性も良好であることを確
認した。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明材は優れた
曲げ性、ばね限界値を有しかつその面内異方性が小さ
く、優れた電気接点特性と耐熱クリープ特性を有するの
で、従来から用いられているBe−CuやTi−Cuな
どの高級電気接点ばね用途に好適である。本発明によ
り、Be−Cu合金の環境問題が緩和され、低コストで
Ti−Cuを上回る性能の高級電気接点ばね材が供給で
きるので、本発明の工業的意義は極めて高く、多くの分
野に影響を及ぼすので、その効果は著しい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/18 C22F 1/08 B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でCu:10〜90%を含有する
    Fe−Cu合金であって、かつコイル長手方向および垂
    直方向の90度繰り返し曲げ回数(それぞれnL
    C )が3回以上でこれらの比(nC /nL )が1〜3
    と小さい面内異方性を有し、さらにそれぞれの方向のば
    ね限界値が60 kgf/mm2 以上で、常温の電気伝導度が
    10%IACS以上あることを特徴とする良好な曲げ性
    と優れたばね特性を有する電気接点ばね用金属板。
  2. 【請求項2】 請求項(1)に記載の化学成分よりなる
    溶融金属を10から1000℃/sの凝固冷却速度で板
    厚0.5〜8mmの金属板に鋳造し、素材長手方向の圧延
    圧下率(rL )と幅方向の圧延圧下率(rC )との比
    (rL /rC )を1〜10とするとともに全圧下率が3
    0%以上の冷間圧延を施し、次いで600〜1100℃
    の温度範囲で焼鈍し、300〜650℃の温度範囲で時
    効処理を施して残留応力の均一化処理を行なうことを特
    徴とする良好な曲げ性と優れたばね特性を有する電気接
    点ばね用金属板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004022803A1 (ja) * 2002-09-04 2004-03-18 Dept Corporation 電子部品用金属材料、電子部品、電子機器、金属材料の加工方法、電子部品の製造方法及び電子光学部品
JP2007084928A (ja) * 2005-08-26 2007-04-05 Hitachi Cable Ltd 銅合金製バッキングプレートおよび該銅合金の製造方法
WO2011142005A1 (ja) * 2010-05-12 2011-11-17 Aimアセットマネジメント株式会社 銅鉄基合金鋳片の製造方法

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