JPH06264129A - 転炉製鋼の終点制御方法 - Google Patents

転炉製鋼の終点制御方法

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JPH06264129A
JPH06264129A JP13710793A JP13710793A JPH06264129A JP H06264129 A JPH06264129 A JP H06264129A JP 13710793 A JP13710793 A JP 13710793A JP 13710793 A JP13710793 A JP 13710793A JP H06264129 A JPH06264129 A JP H06264129A
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JP
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neural network
molten steel
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actual
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JP13710793A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kondo
寛 近藤
Hideaki Unzaki
秀明 運崎
Yasuto Mizushima
康人 水嶋
Masaya Hiyaji
雅也 飛矢地
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 経時的に操業条件等が変化する場合でも、転
炉製鋼の終点における溶鋼中炭素濃度及び溶鋼温度を目
標値に精度良く一致させる。 【構成】 測定時の凝固温度 t1 、吹止時の目標炭素濃
度 t2 、測定時の溶鋼温度 t3 、吹止時の目標溶鋼温度
t4 、測定時までに投入した副原料使用量 ti 、その他
のプロセス情報 tk を入力とし、上記測定時から吹止ま
での必要酸素量(YA )及び必要冷却剤量(YB )をそ
れぞれ出力とする第1及び第2ニューラルネットワーク
を構築し、該両ニューラルネットワークを用いて上記必
要酸素量及び必要冷却剤量を推定する。その際に、上記
各入力情報等の実績値を用いて上記ニューラルネットワ
ークの学習を行い、該ニューラルネットワークを構成す
るユニット間の結合の重み係数を修正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転炉製鋼における終点
制御方法、特に転炉製鋼終点(吹止時)の溶鋼中炭素濃
度及び溶鋼温度を目標値に精度良く的中させることがで
きる転炉製鋼の終点制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】転炉吹錬では、吹錬終了時における溶鋼
の温度や成分が目標範囲内に収まるようにすることが重
要である。そこで、転炉操業時には、メインランスから
送り込まれる高圧酸素により脱炭素昇温反応を進めると
共に、ランスの高さを調整する等により、溶鋼の温度や
成分の制御を行っている。又、その際には、吹錬中にサ
ブランスを炉内に挿入して溶鋼の温度や成分を測定し、
その結果に基づいて制御量を修正することによりこれら
溶鋼の温度や成分を目標値に到達させるようにしてい
る。
【0003】又、転炉製鋼では、一般に、吹止時(終
点)の溶鋼炭素濃度及び溶鋼温度を目標値に精度良く的
中させるために、例えば、吹錬末期にサブランス(セン
サランスともいう)を用いて溶鋼温度及び溶鋼の凝固温
度を測定し、その結果から炭素濃度を求めると共に、こ
れら測定値等及び前記目標値を予め設定された脱炭モデ
ル式及び昇温モデル式に代入してモデル計算を行い、上
記測定時から吹止までに要する必要酸素吹込量及び必要
冷却剤量を推定計算する終点制御方法が行われている。
【0004】終点炭素濃度制御方法としては、例えば脱
リン溶銑を使用した転炉精練法の場合であれば、次の
(1)式で表わされる脱炭モデル式を用いてモデル計算
を行い、必要吹込酸素量を求め、更に吹止後の吹錬実績
データより当ヒートの脱炭遷移点CT を逆算し、次ヒー
トへ該脱炭遷移点CT をフィードフォワードする方法
が、特開平1−247526に開示されている。
【0005】 −d C/d Q={β/(CT −α)} ×〔C+CT −2α−{(C−CT 2 +4(CT −α)(CL −α)}0.5 〕 …(1)
【0006】ここで、Cは鋼浴炭素濃度、Qは吹込酸素
量、CT は脱炭遷移点、CL は脱炭限界点、α、βは定
数である。
【0007】又、上記公報には、普通溶銑、即ち非脱珪
・脱リン銑を用いる転炉吹錬で、しかも転炉スラグ量が
多く(80Kg /T)、且つ鋼浴のマンガン含有率が低
い(0.2〜0.5%)の条件下で使用する次の(2)
式で表わされる脱炭モデル式も開示されている。
【0008】 −d C/d Q=(β/CT )〔C+CT −{(C−CT 2 +4CT L 0.5 〕 …(2)
【0009】又、終点溶鋼温度制御方法としては、例え
ば上底吹転炉における例として、次の(3)式で与えら
れる昇温モデル式を用いる方法が、特開平2−1153
14に開示されている。
【0010】 ΔT=〔H(Yi )+β〕ΔO2 +γ1 (1/CF −1/CS ) +γ2 (CF −CS )+f (WCL) …(3)
【0011】ここで、ΔT:サブランス測定から吹止ま
での昇温量、H:昇温速度関数、Yi :操業要因、β:
昇温熱率正項、ΔO2 :サブランス測定から吹止までの
所要酸素量、γ1 、γ2 :係数、CF :吹止の目標炭素
濃度、CS :サブランス測定時の炭素濃度、f
(WCL):サブランス測定から吹止までの冷却剤による
冷却量である。
【0012】更に、これらの制御モデル式の推定精度を
向上させる方法として、特開平1−230710号公報
には、下記(4)式で与えられる転炉のスタティック制
御モデル式又はサブランスを用いたダイナミック制御モ
デル式を用い、学習項Δ a0を吹錬実績データによりチ
ュージ毎に更新する学習手順として指数平滑法を用いる
と共に、誤差が数チャージ同方向に続く場合は、前記学
習項Δ a更新の割合を大きくして段階的に学習する工
程を用い、前記工程によって下記モデル式の推定精度を
向上させるようにし、誤差の絶対値がある定められた範
囲内にある場合は、前記学習項更新量の絶対値を零でな
い一定値とする工程を用い、前記工程によって下記モデ
ル式の推定精度を向上させるようにした転炉吹錬終点制
御方法が開示されている。
【0013】 y =F( x1 , x2 ,・・・ xm )+Δ a0 …(4) 但し、y , x1 ,・・・ xm は変数、Δ a0 は学習項で
ある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平1−247526に開示されている方法には、以下
の(A)、(B)の問題がある。
【0015】(A)脱リン溶銑にしか適用できない脱炭
モデル式(1)と、非脱リン溶銑用のモデル式(2)を
使い分ける必要があり、脱リン溶銑と非脱リン溶銑が混
在している場合には、炉内残留スラグ等の影響により精
度が悪化する。
【0016】(B)脱炭遷移点を下記(5)式により補
正して精度向上を図っているが、当ヒートで逆算した脱
炭遷移点CT i は計算では求められないために吹錬実績
データを重回帰して求めるしかなく、従って、上記脱炭
遷移点CT i 自体の精度が転炉操業回数の増加等に伴な
う経時変化により悪化するので、次ヒートの脱炭遷移点
T i+1 の推定精度も経時変化には追随できなくなり、
精度を維持できなくなる。
【0017】 CT i+1 =γCT i +(1−γ)CT i ′ …(5)
【0018】ここで、CT i+1 は次のヒートの脱炭遷移
点、CT i は当ヒートで採用した脱炭遷移点、CT i ′
は当ヒート逆算した脱炭遷移点、γは定数である。
【0019】又、前記特開平2−115314に開示さ
れている方法には、固定した重回帰式を用いているた
め、同様に転炉操業回数の増加等に伴う操業条件の変化
や経時変化に追随できず、推定精度が悪化するという問
題がある。
【0020】これに対して特開平1−230710号公
報に開示されている方法は、制御モデル式に学習項Δ a
0 を設け、この学習項Δ a0 を吹錬実績データによりチ
ャージ毎に更新する学習手順として指数平滑法を用い、
誤差の傾向によって学習項更新量を大きくしたり小さく
したりして、モデル式の推定精度の維持、向上を図って
いる点で優れているといえるが、モデル式自体の構成を
学習により変えていくものではないので、前記特開平1
−247526号公報の場合と同様に、脱リン銑と非脱
リン銑が混在している場合のように、モデル式自体が変
化していく場合には対応し切れないという問題がある。
【0021】更に、前記各公報に開示されている技術に
は、以下に詳述する問題がある。前記各公報に開示され
ている、回帰式や学習モデル式に基づいた吹錬計算方法
は、計算が可能な桁数までの連続量として制御量の推定
値を出しているに過ぎない。
【0022】ところが、このような連続量として推定値
が得られても、例えば230トンの転炉製鋼の場合であ
れば、オペレータは酸素ガス吹込み量を、例えば50N
m3刻みで変化させたり、冷却剤投入量を、例えば50
0Kg 刻みで変化させたりするという、あたかも選択肢
を選ぶような考え方で操業している。
【0023】オペレータが上記のような考え方をする背
景には、以下のような根拠がある。
【0024】(1)230トンの底吹転炉製鋼では、酸
素吹込み量の差が50N m3 であれば、吹止時の炭素濃
度のずれが低炭素鋼の場合で目標値の±0.01%以内
に収めることができ、又、冷却剤(鉄鉱石)投入量の差
が500Kg であれば、吹止時の溶鋼温度が目標値の±
5℃以内に収めることができる。即ち、終点の目標炭素
濃度や目標溶鋼温度に対する許容誤差の範囲内である程
度の幅をもった操業が許容されている。
【0025】(2)酸素ガス吹込み制御装置や、冷却剤
計量・投入装置には本来制御誤差や計量誤差があるた
め、実際に吹込まれる酸素ガス量や冷却剤の投入量に
も、該誤差の範囲内で許容される幅があることから、そ
の誤差範囲より小さな桁数までの推定値は必ずしも必要
でない。
【0026】その理由を、具体的に説明すると、例え
ば、230トン転炉製鋼時の酸素ガスの吹込み量は、全
酸素底吹転炉や上底吹転炉では、吹止時に底吹ガスを窒
素ガスに切換えるが、その際に、切換え開始から終了ま
でに酸素ガス量にして標準偏差(σ)で最大20N m3
程度の切換え誤差が生じる。
【0027】又、プロセスコンピュータと下位制御用マ
イクロコンピュータ(DDC)、更には、転炉側の制御
用機器との間の信号のやりとりで最大1秒程度の遅れが
生じ、この遅れは10〜20N m3 の吹込み酸素量に相
当する。
【0028】又、サブランス投入指令信号が出力されて
から、実際に測定された凝固温度や溶鋼温度がプロセス
コンピュータに入力されるまでには約10秒±数秒のば
らつきをもった遅れが生じる。この±数秒のばらつきが
サブランスによる測定から吹止時までの必要酸素量及び
必要冷却剤量を推定計算する際の推定誤差として避けら
れない。
【0029】又、冷却剤投入量については、上記酸素ガ
スの吹込み量の場合と同様、サブランス投入指令信号が
プロセスコンピュータに入力されるまでの時間の遅れと
いう誤差要因の他に、230トン転炉用の冷却剤計量・
投入装置による計量誤差が±50Kg であり、この誤差
は、吹止温度で±0.75℃の誤差に相当する。
【0030】以上詳述した如く、前述した選択肢を選ぶ
ようなオペレータによる作業の仕方は、それなりの根拠
があり、終点(吹止)的中率を低下させることなく、迅
速な判断を行う上では効率的な方法であるにも拘らず、
このような作業には前記従来の技術では対応できない。
【0031】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
く成されたもので、転炉製鋼時に経時的に操業条件が変
化する場合で、しかも脱リン銑と非脱リン銑が混在して
いる場合であっても、転炉製鋼の終点における溶鋼中炭
素濃度及び溶鋼温度を目標値に精度良く一致させること
ができる転炉製鋼の終点制御方法を提供することを第1
の課題とする。
【0032】本発明は、又、上記第1の課題を解決する
と共に、オペレータが選択肢を選ぶような判断方法に近
付け、実際の転炉設備や操業方法に適合した吹錬計算方
法を計算機によって実現し、吹止時の溶鋼炭素濃度や溶
鋼温度の目標的中率を向上させつつ、オペレータに迅速
な判断をさせることが可能となる転炉製鋼の終点制御方
法を提供することを第2の課題とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】本第1発明は、転炉製鋼
の終点制御方法において、溶鋼温度及び凝固温度を転炉
吹錬途中で測定し、その結果を用いて吹止時の溶鋼中炭
素濃度及び溶鋼温度を目標値に一致させる転炉製鋼の終
点制御方法において、前記吹錬途中の測定時までの操業
情報と、測定した溶鋼温度及び凝固温度と、吹止時の目
標炭素濃度及び目標吹止溶鋼温度とを入力とし、前記測
定時から吹止までの必要酸素量及び必要冷却剤量を出力
とするニューラルネットワークを構築し、該ニューラル
ネットワークを用いて上記必要酸素量及び必要冷却剤量
を推定するに際し、実際に操業した際の、前記測定時ま
での操業情報と、吹錬途中測定した溶鋼温度及び凝固温
度と、吹止時の実績炭素濃度及び実績溶鋼温度とを用い
て、上記ニューラルネットワークの学習を行い、該ニュ
ーラルネットワークを構成するユニット間の結合係数を
修正することにより、前記第1の課題を達成したもので
ある。
【0034】本第1発明は、又、前記転炉製鋼の終点制
御方法において、ニューラルネットワークの学習に際
し、前処理として、前記測定時から吹止までの酸素量及
び冷却剤量を、それぞれ所定の差幅で設定された複数の
階級に分割し、実績酸素使用量及び実績冷却剤投入量の
それぞれが該当する階級の実績頻度が少ない場合には、
その階級に該当する操業実績データをコピーにより複製
を作って増やし、階級毎の学習データの度数分布がほぼ
均一となるように、予め学習データの度数分布均一化処
理を行うようにしたものである。
【0035】本第2発明は、溶鋼温度及び凝固温度を転
炉吹錬途中で測定し、その結果を用いて吹止時の溶鋼中
炭素濃度及び溶鋼温度を目標値に一致させる転炉製鋼の
終点制御方法において、前記吹錬途中の測定時までの操
業情報と、測定して得られた溶鋼温度及び凝固温度と、
吹止時の目標炭素濃度及び目標吹止溶鋼温度とを入力と
し、前記測定時から吹止までの必要酸素量及び必要冷却
剤量を出力とするニューラルネットワークを構築し、該
ニューラルネットワークを用いて必要酸素量及び必要冷
却剤量を推定するに際し、必要酸素量及び必要冷却剤量
の少なくとも一方を、同一の差幅で設定された複数の階
級に分割し、必要酸素量及び必要冷却剤量の少なくとも
一方を推定するニューラルネットワークの出力層を、上
記階級の数と同数のユニットで構成すると共に、出力層
を構成する各ユニットから、それぞれ対応する階級を選
択する基準である優先選択指標数が出力されるように、
実際に操業した際の、前記測定時までの操業情報と、吹
錬途中で測定した溶鋼温度及び凝固温度と、吹止時の実
績炭素濃度及び実績溶鋼温度とを用いて、上記ニューラ
ルネットワークの学習を行い、該ニューラルネットワー
クを構成するユニット間の結合係数を修正することによ
り、前記第2の課題を達成したものである。
【0036】本第2発明は、又、前記転炉製鋼の終点制
御方法において、階級の数と同数のユニットで構成され
た出力層を備えているニューラルネットワークの学習及
び出力に際し、実績酸素使用量又は実績冷却剤投入量が
該当する階級の出力ユニットに優先選択指標数1を、そ
れ以外の階級のユニットには優先選択指標数0を、それ
ぞれ教師データとして入力し、各出力ユニットが0から
1までの優先選択指標数を出力するようにしたものであ
る。
【0037】本第2発明は、又、前記転炉製鋼の終点制
御方法において、階級の数と同数のユニットで構成され
た出力層を備えているニューラルネットワークの学習に
際し、前処理として、実績酸素使用量又は実績冷却剤投
入量が該当する階級の実績に、例えば優先選択指標数1
が立っているデータの頻度が少ない場合には、その操業
実績データをコピーにより複製を作って増やし、階級毎
の学習データの度数分布がほぼ均一になるように、予め
学習データの度数分布均一化処理を行うようにしたもの
である。
【0038】本第2発明は、又、前記転炉製鋼の終点制
御方法において、出力層を単一のユニットで構成する場
合は、必要酸素量又は必要冷却剤量を連続量として出力
させ、学習に際しては、実績酸素使用量又は実績冷却剤
投入量を連続量として上記ユニットに入力するようにし
たものである。
【0039】本第2発明は、更に、出力層を単一のユニ
ットで構成する場合は、必要酸素量又は必要冷却剤量を
連続量として出力させ、学習に際しては、前処理として
前記測定時から吹止までの酸素量及び冷却剤量を、それ
ぞれ所定の差幅で設定された複数の階級に分割し、実績
酸素使用量及び実績冷却剤投入量のそれぞれが該当する
階級の実績頻度が少ない場合には、その階級に該当する
操業実績データをコピーにより複製を作って増やし、階
級毎の学習データの度数分布がほぼ均一となるように、
予め学習データの度数分布均一化処理を行うようにした
ものである。
【0040】
【作用】第1発明においては、前記の如く、溶鋼温度及
び凝固温度を測定した時点から吹止までの必要酸素量及
び必要冷却剤量を出力とするニューラルネットワークを
構築し、該ニューラルネットワークを用いて上記必要酸
素量及び必要冷却剤量を推定するに際し、直近の操業実
績に基づいて上記ニューラルネットワークの自己学習を
行い、該ニューラルネットワークの機能を修正するよう
にしたので、操業条件及び予測対象等の変化に追従する
ことが可能となり、上記必要酸素量及び必要冷却剤量を
常に高精度に推定することが可能となる。
【0041】又、上記ニューラルネットワークを用いる
場合は、人間の経験則や主観が入ることがない上に、線
形、非線形を問わずモデル化が可能であるため、重回帰
等の統計的手法よりも精度的に優れており、この点から
も極めて高精度な推定が可能となる。
【0042】又、第1発明において、前記の学習に際
し、前処理として、前記測定時から吹止までの酸素量及
び冷却剤量を、それぞれ所定の差幅で設定された複数の
階級に分割し、実績酸素使用量及び実績冷却剤投入量の
それぞれが該当する階級の実績頻度が少ない場合には、
その階級に該当する操業実績データをコピーにより複製
を作って増やし、階級毎の学習データの度数分布がほぼ
均一となるように、予め学習データの度数分布均一化処
理を行う場合には、実績頻度の少ない階級に属する操業
パターンに対する推定精度を向上させる上で極めて効果
的である。
【0043】第2発明においては、前記の如く、吹錬途
中で溶鋼温度及び凝固温度を測定した時点から吹止まで
の必要酸素量及び必要冷却剤量を出力とするニューラル
ネットワークを構築し、該ニューラルネットワークを用
いて上記必要酸素量及び必要冷却剤量を推定するに際
し、必要酸素量及び必要冷却剤量の少なくとも一方を、
同一の差幅で設定された複数の階級に分割し、その階級
の数と同数のユニットで出力層を構成する場合には、各
ユニットからそれぞれ対応する階級を選択する基準であ
る、例えば0から1までの優先選択指標数が出力される
ように、直近の操業実績に基づいて上記ニューラルネッ
トワークの自己学習を行い、該ニューラルネットワーク
の機能を修正するようにしたので、操業条件及び予測対
象等の変化に追従することが可能となり、実操業上の吹
止時の目標炭素濃度や目標溶鋼温度の許容誤差、及び実
際の酸素ガス吹込制御設備や冷却剤計量・投入設備等の
計量誤差や制御誤差を考慮したオペレータの判断方法に
近付け、且つ終点(吹止)的中率を向上させることがで
きる、吹錬計算を計算機により実現することが可能とな
る。
【0044】又、前記2つのニューラルネットワークの
いずれか一方の出力層を単一のユニットで構成する場合
には、同様に直近の操業実績に基づいてニューラルネッ
トワークの自己学習を行い、該ニューラルネットワーク
の機能を修正することにより、同様に操業条件及び予測
対象等の変化に追従することが可能となり、上述した如
くオペレータの判断方法に近付けることが可能であると
同時に、必要酸素量又は必要冷却剤使用量を連続量とし
て常に高精度に推定することが可能となる。
【0045】第2発明で、出力層のユニット数、即ち階
級の数は、測定時から吹止時までに要する必要酸素量又
は必要冷却剤量を等分割して決めるが、その際の幅(階
級の差幅)は、吹止時の溶鋼炭素濃度及び溶鋼温度のそ
れぞれの許容誤差、及び酸素吹込み制御設備や冷却剤計
量・投入設備それぞれの制御精度や計量精度、オペレー
タの経験的知識等から総合的に判断して決定される。
【0046】又、前記の如く、複数の階級に分割し、そ
の階級の数に対応するユニットで出力層を構成する場合
には、これら出力層ユニットには、例えば0から1まで
の優先選択指標数を出力するようにし、出力された優先
選択指標数の中で最大値(例えば1に最も近い値)を示
す階級の幅の中から、一定のルールに従い、例えば中央
値を選んで必要酸素量及び/又は必要冷却剤量を決定す
るようにする。
【0047】又、第2発明において、階級の数に対応す
る出力層ユニットを有するニューラルネットワークに対
する学習及び出力に際しては、実績酸素使用量及び/又
は実績冷却剤投入量が該当する階級のユニットに優先選
択指標数1を、該当しないその他の階級のユニットには
優先選択指標数0を入力し、各出力ユニットが0から1
まの優先選択指標数を出力するようにする場合には、複
数の出力層ユニットの対応する階級、即ち吹止時までに
必要な酸素量又は冷却剤量がガイダンス値として可能性
の程度を定量的に出力させることが可能となる。
【0048】又、第2発明において、上記学習に際して
は、前処理として、実績酸素使用量又は実績冷却剤投入
量が該当する階級の実績頻度が少ない場合には、その操
業実績のデータをコピーにより複製を作って増やすこと
により階級毎の学習データの度数分布が均一になるよう
に、予め学習データの度数分布均一化処理を行う場合に
は、実績頻度の少ない操業パターンに対する推定精度を
向上させる上で極めて効果的である。
【0049】又、第2発明において、出力層を単一のユ
ニットで構成する場合は、必要酸素量又は必要冷却剤量
を連続量として出力させ、学習に際しては、実績酸素使
用量又は実績冷却剤投入量を連続量として上記ユニット
に入力する場合には、ニューラルネットワークに対して
適切な学習を行うことができると共に、高精度に各推定
値を出力させることができる。
【0050】更に、第2発明において、出力層を単一の
ユニットで構成する場合は、必要酸素量又は必要冷却剤
量を連続量として出力させる場合においても、学習に際
しては、前処理として前記測定時から吹止までの酸素量
及び冷却剤量を、それぞれ所定の差幅で設定された複数
の階級に分割し、実績酸素使用量及び実績冷却剤投入量
のそれぞれが該当する階級の実績頻度が少ない場合に
は、その階級に該当する操業実績データをコピーにより
複製を作って増やし、階級毎の学習データの度数分布が
ほぼ均一となるように、予め学習データの度数分布均一
化処理を行う場合には、実績頻度の少ない操業パターン
に対する推定精度を向上させる上で極めて効果的であ
る。
【0051】なお、本発明において、測定時までの操業
情報とは、最初に転炉に仕込む主・副原料の成分組成や
配合量、吹錬開始から測定時までの間に、転炉内に投入
する造滓剤、鉄鉱石、屑鉄等の主・副原料の成分組成や
投入時期、投入量等である。
【0052】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0053】図1は、第1発明に係る第1実施例に適用
可能な必要酸素量を推定する第1ニューラルネットワー
クの構成の概略を示す線図であり、図2は、同じく必要
冷却剤量を推定する第2ニューラルネットワークの要部
構成の概略を示す線図である。これらニューラルネット
ワークは入力層、中間層及び出力層の3層で構成されて
いる。
【0054】図3は、本実施例に適用される装置構成の
概略を示す説明図である。図2中符号10は転炉であ
り、該転炉10におけるプロセス情報がプロセス計算機
12に入力されるようになっている。このプロセス計算
機12には以下詳細に説明する第1及び第2のニューラ
ルネットワークが構築されており、該プロセス計算機1
2においてオンライン入力されるプロセス情報を上記両
ニューラルネットワークに入力することにより、目的と
する、サブランスによる測定時から吹止までに要する必
要酸素量及び必要冷却剤量がそれぞれ出力されるように
なっている。
【0055】又、上記プロセス計算機12は、学習用サ
ーバ14が連結されており、該学習用サーバ14におい
てプロセス計算機12からプロセス情報を収集し、その
情報を用いて上記両ニューラルネットワークの自己学習
を行って修正情報を算出し、該修正情報に基づいてプロ
セス計算機12内の各ニューラルネットワークの重み係
数の修正を行うようになっている。
【0056】上記両ニューラルネットワークは、その構
成が実質的に同一であるので、上記第1ニューラルネッ
トワークを中心に説明する。上記第1ニューラルネット
ワークは、入力層が、n 個の入力ユニットIi (i =1
〜n )で、中間層がm 個の中間ユニットHj (j =1〜
m )で、出力層が1つの出力ユニットOA でそれぞれ構
成されている。
【0057】このニューラルネットワークでは、n 個の
入力ユニットIi それぞれが、m 個の中間ユニットHj
の全てにそれぞれ異なる重み係数Wij(i =1〜n 、j
=1〜m )で結合されている。即ち、入力ユニットI1
の場合は、中間ユニットH1〜Hm のそれぞれに対して
重み係数W11〜W1mで結合され、図示はしていないが入
力ユニットI2 〜In-1 についても同様に結合され、最
後の入力ユニットInは重み係数Wn1〜Wnmで結合され
ている。
【0058】又、中間層を構成する上記m 個の中間ユニ
ットHj は、それぞれ出力層を構成する出力ユニットO
A と重み係数WjA(j =1〜m )で結合されている。
【0059】上記ニューラルネットワークにおいては、
n 個の入力ユニットIi に対し、それぞれ対応する信号
ti (i =1〜n )が入力されるようになっている。こ
の信号 ti は、前記転炉10からプロセス計算機12に
オンライン入力されるプロセス情報として入力される。
このように各入力ユニットIi に信号入力されると、例
えばユニットI1 からは、中間ユニットH1 〜Hm に対
して入力信号 t1 に重み係数が乗じられたW11・ t1
W1m・ t1 がそれぞれ入力されるようになっており、同
様に入力ユニットI2 〜In からも中間ユニットH1 〜
Hm に対して各入力信号 t2 〜 tn にそれぞれ重み係数
が乗じられた信号が入力されるようになっている。従っ
て、各中間ユニットHj のそれぞれにはi =1〜n の和
を求める次の(6)式で表わされる信号 uj が入力され
ることになる。
【0060】uj =ΣWij・ ti …(6)
【0061】上記の如く、各中間ユニットHj に信号 u
j が入力されると、該中間ユニットHj は出力ユニット
A に対して信号 ujA(j =1〜m )を出力する。この
信号ujAは、次の(7)式で示すように、上記入力信号
uj を取り込んだ関数f ( u j )に重み係数WjAを乗じ
た値として与えられる。又、上記関数f ( uj )として
は、例えば次の(8)式のシグモイド関数を用いること
ができる。
【0062】ujA=WjA・f ( uj ) …(7) f ( uj )=1/(1+exp (− uj )) …(8)
【0063】上記の如く、出力ユニットOに各中間ユニ
ットH1 〜Hm からそれぞれ u1A〜umAが入力される
と、該出力ユニットOA は最終出力として、測定後から
吹止までに要する必要酸素量:(YA )を出力する。こ
の出力(YA )は次の(9)式で与えられる。この式で
も関数f としてはシグモイド関数を使用できる。
【0064】 (YA )=f ( u1A+ u2A+ u3A+・・・+ umA) …(9)
【0065】前記図2に示した第2ニューラルネットワ
ークは、入力層を図示していないが、中間層H1 〜Hm
に出力ユニットOB が、重み係数WjB(j=1〜m )で
それぞれ結合され、最終出力として、測定時から吹止ま
でに要する必要冷却剤量(Y B )が出力されるようにな
っている以外は、実質的に前記第1ニューラルネットワ
ークと同一である。
【0066】従って、第2ニューラルネットワークで
は、出力ユニットOB に入力される各信号が前記(7)
式に対応する次の(10)式で、又、最終出力(YB
が上記(9)式に対応する下記(11)式で、それぞれ
表わすことができる。
【0067】ujB=WjB・f ( uj ) …(10) (YB )=f ( u1B+ u2B+ u3B+・・・+ umB) …(11)
【0068】本実施例においては、第1及び第2のニュ
ーラルネットワークについて、前記入力ユニットI1 〜
In のそれぞれに対し、プロセス情報としての信号、 t
1 =凝固温度(サブランスによる測定時)、 t2 =目標
吹止炭素濃度、 t3 =溶鋼温度(サブランスによる測定
時)、 t4 =目標吹止溶鋼温度、 ti =サブランスによ
る測定時までに投入した副原料使用量、 tk =その他の
プロセス情報をそれぞれ入力することにより、第1ニュ
ーラルネットワークの出力ユニットOA から推定値とし
ての、サブランスによる測定時から吹止までに要する必
要酸素量(YA)が、又、第2ニューラルネットワーク
の出力ユニットOB から、同じく必要冷却剤量(YB
がそれぞれ連続値として出力される。ここで、信号
ti 、 tk は測定時までの操業情報に相当する。
【0069】又、前述した如く、前記両ニューラルネッ
トワークに対しては、実際に操業したときの実績値、即
ちサブランスによる測定凝固温度 t1 、実績吹止炭素濃
度 t 2 、サブランスによる測定溶鋼温度 t3 、実績吹止
溶鋼温度 t4 、サブランスによる測定時までの操業情報
ti 、 tk 及び実際にサブランス測定時から吹止時まで
に使用された実績酸素量及び実績冷却剤投入量、を用い
て各ユニット間の結合の重み係数を修正する学習を行
う。なお、学習を行う際、ユニット間の重み係数の初期
値は乱数表を用いて設定することができる。
【0070】この学習方法としては、バックプロパゲー
ション(誤差逆伝播)法を用いることができる。このバ
ックプロパゲーション法は、ニューラルネットワークに
より推定した必要酸素量及び必要冷却剤量と、実操業結
果に基づく必要酸素量及び必要冷却剤量それぞれとの誤
差δの2乗の値を小さくするようにネットワークを構成
するユニット間の重み係数を変化させるもので、順方向
計算と、逆方向の誤差逆伝播計算を繰り返すことにより
達成される。
【0071】このように、ニューラルネットワークに対
する学習を操業を繰り返すと共に実行することにより、
操業条件が変化していく場合でも、該ニューラルネット
ワークにより常に正しい推定を行うことができる。
【0072】本実施例によれば、上述の如く、操業を繰
り返すと共に、例えばその直近操業実績に基づいて第1
及び第2のニューラルネットワークに対する自己学習を
行うようにしてあるので、測定時から吹止までに要する
必要酸素量と必要冷却剤量とを常に高精度に推定するこ
とができる。
【0073】又、上記ニューラルネットワークの学習に
際して、前処理として、例えば、以下のような学習デー
タの度数分布均一化処理を行うことが推定精度を向上さ
せる上で効果的である。
【0074】まず、吹錬中の測定時から吹止までの酸素
量及び冷却剤量を、それぞれ所定の差幅で設定された複
数の階級に分割し、実績酸素使用量及び実績冷却剤投入
量が該当する階級について、それぞれ実績頻度分布をと
る。
【0075】次いで、実績頻度の最も高い階級の頻度数
を、酸素量についてはFA (MAX)、冷却剤量については
B (MAX)、それよりも実績頻度の小さい階級の頻度数
を、酸素量についてはFA (X)、冷却剤量についてはF
B (X) したとき、この実績頻度の小さい階級に属するそ
れぞれの操業実績のデータを、酸素量についてはFA(M
AX)/FA (X)、冷却剤量についてはFB (MAX)/FB
(X)倍の頻度になるように、コピーにより複製を作って
増やす。
【0076】その際、上記FA (MAX)/FA (X)、FB
(MAX)/FB (X)が整数にならない場合は、切捨て、四
捨五入、切上げのいずれかの予め決められた一定の整数
化ルールにより、整数化するものとする。
【0077】このように処理することにより、それぞれ
の階級に属する学習データの数を、ほぼ均一にするとが
できる。従って、実績頻度の少ない階級に属する操業パ
ターンに対する推定精度を効果的に向上させることがで
きる。
【0078】次に、本実施例を適用した具体例について
説明する。
【0079】転炉10としては230トンの上底吹転炉
を用い、該転炉10に溶銑230トンを入れて吹錬を行
い、静的吹錬計算により求めた吹錬開始から吹止までに
使用する推定全酸素量から1000N m3 だけ少ない酸
素使用量の時点で、サブランスにより溶鋼温度及び凝固
温度の測定を行い、その測定結果と前記吹止時の目標炭
素濃度及び目標溶鋼温度と、前記測定時までの操業情報
を用いて、本実施例に従って測定時から吹止までの必要
酸素量及び必要冷却剤(鉄鉱石)量とを推定した。その
際の推定精度をそれぞれ図4及び図5に本発明法(1−
1)、(1−2)として示す。
【0080】なお、測定時までに投入した副原料は、鉄
鉱石、コークス、生石灰、等であり、その他のプロセス
情報は、溶銑温度、溶銑成分、上吹及び底吹酸素流量、
上吹きランス高さやサブランスによる測定後吹止までに
投入が予定されている副原料の予定投入量等である。
【0081】図4は、横軸が実績必要酸素量と本実施例
による推定必要酸素量との差(N m 3 )であり、縦軸が
度数である。又、図5は、横軸が実績必要鉄鉱石量と本
実施例による推定鉄鉱石量との差(Kg )であり、縦軸
は同じく度数である。
【0082】図4、図5で空白の棒グラフは、学習に際
し、予め学習データの度数分布均一化を行わなかった場
合の結果(本発明法(1−1)であり、斜線を施した棒
グラフは、予め学習データの度数分布均一化処理を行っ
た場合の結果(本発明法(1−2)である。
【0083】なお、必要酸素量及び必要鉄鉱石量の推定
精度は、過去の操業においてサブランスによる測定デー
タ(凝固温度 t1 と溶鋼温度 t3 )及びサブランス測定
迄に使用した副原料使用量 ti 、その他のプロセス情報
tk と共に、実績吹止炭素濃度を目標吹止炭素濃度 t2
として、実績吹止溶鋼温度を目標吹止溶鋼温度 t4 とし
て、ニューラルネットワークに入力し推定計算して得ら
れた実績必要酸素量又は実績必要鉄鉱石量と、本実施例
による推定必要酸素量又は推定必要鉄鉱石量とのそれぞ
れの差(誤差)によって評価する。
【0084】又、本実施例の効果を明らかにするため
に、同一の転炉操業について従来法により必要酸素量及
び必要冷却剤量を推定した際の、前記図4及び図5に相
当する推定精度を表わすグラフを図6及び図7に示す。
この従来法による必要酸素量の推定は、次の(12)式
に示すexp 型のモデル式により推定したものであり、
又、必要鉄鉱石量は、下記(13)式のモデル式を用い
て推定したものである。具体的には、必要冷却剤量の推
定は、サブランス測定時から出鋼までの間の熱収支を
(13)式を用いて計算して求めたものである。又、推
定精度は前記図4及び図5の場合と同様にして求めたも
のである。
【0085】 −d C/d O2 =α+βexp (γC) …(12) ここで、C:炭素濃度、α:定数、β=f (CT )、γ
=f ′(CT )、CT:遷移炭素濃度
【0086】 ΔT=f (CS/L ,Cf ,副原料使用量,・・・) …(13) ここで、ΔT:溶鋼温度(サブランスによる測定時)−
目標出鋼温度、CS/L:サブランス測定時の溶鋼炭素濃
度、Cf :目標出鋼炭素濃度。
【0087】図4と図6の比較、及び図5と図7の比較
から明らかなように、本発明法(1−1)、(1−2)
の推定誤差は、従来法と比べて著しく小さくなっている
ことが判る。更に予め度数分布均一処理を行った本発明
法(1−2)の方が、度数分布均一化処理を行わなかっ
た本発明法(1−1)に比べて、若干推定誤差が小さく
なっていることが判る。
【0088】又、ニューラルネットワークに対して1日
1回の割合で学習させた場合の経時変化による必要酸素
量及び必要冷却剤量の推定誤差(実績値−推定値)の推
移を、前記従来のモデル式を用いて推定した場合の結果
と共に、それぞれ図8及び図9に示す。この図8及び図
9から、本実施例(ニューラルネットワークを使用)の
方が従来法に比べて経時的に推定誤差のばらつきが小さ
く、安定していることが分る。
【0089】以上詳述した本実施例によれば、サブラン
スによる測定時から吹止までの必要酸素量及び必要冷却
剤量をニューラルネットワークにより推定すると共に、
自己学習によりニューラルネットワークを構成するユニ
ット間の結合の重み係数を修正するようにしたので、操
業条件が経時的に変化する場合でも推定精度を高く維持
することが可能となる。
【0090】その結果、吹止時の溶鋼中炭素濃度及び溶
鋼温度を同時に目標値に的中させる的中率が従来のモデ
ル式を用いた方法の89%から98.5%に向上させる
ことができた。又、その結果、出鋼炭素濃度の下げ過ぎ
によるスラグ中の鉄及び鋼中溶存酸素量の上昇が少なく
なり、出鋼歩留りを向上させ、しかも脱酸用アルミニウ
ムの原単位を低下させることができた。
【0091】次に、第2発明に係る第2実施例について
説明する。この第2実施例では、前記第1実施例で用い
た第1、第2ニューラルネットワークと共に、以下に詳
述する第3、第4ニューラルネットワークをも用いる。
【0092】図10は、前記第1ニューラルネットワー
クと同様に必要酸素量を推定する第3ニューラルネット
ワークの構成の概略を示す線図であり、図11は、前記
第2ニューラルネットワークと同様に必要冷却剤量を推
定する第4ニューラルネットワークの要部構成の概略を
示す線図である。
【0093】本実施例には、第1実施例と同様前記図3
に示した転炉制御装置が適用され、転炉10におけるプ
ロセス情報がプロセス計算機12に入力されるようにな
っている。
【0094】このプロセス計算機12には、第1〜第4
のニューラルネットワークのうちで、第3と第4、第2
と第3、又は第1と第4の各ニューラルネットワークの
組合せで使用が可能なように構築されている。そして、
このプロセス計算機12において、オンライン入力され
るプロセス情報を上記各組合せのニューラルネットワー
ク毎に入力することにより、目的とするサブランスによ
る測定時から吹止までに要する必要酸素量及び必要冷却
剤量がそれぞれ、第1、第2ニューラルネットワークか
らは連続量(アナログ値)として、又、第3、第4ニュ
ーラルネットワークからは階級の優先選択指標数(1〜
0)として、出力されるようになっている。
【0095】本実施例に適用される第1、第2ニューラ
ルネットワークは、前記第1実施例で既に詳述してある
ので、以下、第3、第4ニューラルネットワークについ
て詳細に説明する。
【0096】第3及び第4ニューラルルネットワーク
は、いずれも、入力層、中間層及び出力層の3層で構成
され、各層がそれぞれ複数のユニットで構成されてい
る。
【0097】第3ニューラルネットワークの出力層の数
は、吹錬途中の測定時から吹止までの必要酸素量を所定
の幅で等分割して決められ、第4ニューラルネットワー
クの出力層の数も同様に、測定時から吹止までの必要冷
却剤量を所定の幅で等分割して決定される。
【0098】上記第3及び第4ニューラルネットワーク
において、出力層の数を規定する所定の幅(階級の差
幅)は、いずれも、吹止時の炭素濃度及び溶鋼温度それ
ぞれの許容誤差、酸素ガス吹込み制御設備や冷却剤計量
・投入設備それぞれの制御誤差や計量誤差、及びオペレ
ータの経験的知識等から総合的に判断して決められる。
例えば、230トン底吹転炉では、酸素ガス量について
は、例えば50N m3 の幅とし、冷却剤投入量について
は例えば、500Kg の幅とすることができる。又、上
記第3及び第4ニューラルネットワークの各出力ユニッ
トからは、0から1の間の優先選択指標数が出力される
ようになっている。
【0099】上記第3、第4の両ニューラルネットワー
クについて更に詳細に説明するが、この両者は、その構
成が実質的に同一であるので、上記第3ニューラルネッ
トワークを中心に説明する。
【0100】上記第3ニューラルネットワークは、前記
図10に示すように、入力層が、n個の入力ユニットIi
(i =1〜n )で、中間層がm 個の中間ユニットHj
(j=1〜m )で、出力層がk 個の出力ユニットOx (x
=1〜k )でそれぞれ構成されている。
【0101】この第3ニューラルネットワークでは、前
記第1、第2ニューラルネットワークと同様に、n 個の
入力ユニットIi それぞれが、m 個の中間ユニットHj
の全てにそれぞれ異なる重み係数Wij(i =1〜n 、j
=1〜m )で結合されていが、中間層を構成する上記m
個の中間ユニットHj は、それぞれ出力層を構成するk
個の出力ユニットOx (x =1〜k )と重み係数W
jx(j =1〜m ,x =1〜k )で結合されている。
【0102】従って、上記第3ニューラルネットワーク
においては、n 個の入力ユニットIi に対し、それぞれ
対応する信号 ti (i =1〜n )が入力された際の中間
層までの信号処理は、第1又は第2ニューラルネットワ
ークの場合と同様に実行され、各中間ユニットHj のそ
れぞれには前記(6)式で表わされる信号 uj が入力さ
れることになる。
【0103】上記の如く、各中間ユニットHj に信号 u
j が入力されると、該中間ユニットHj はk 個の出力ユ
ニットOx (x =1〜k )に対して信号 ujx(j =1〜
m ,x =1〜k )をそれぞれ出力する。この信号 u
jAは、次の(14)式で示すように、上記入力信号 uj
を取り込んだ関数f ( uj )に重み係数Wjxを乗じた値
として与えられる。又、上記関数f ( uj )としては、
例えば次の(15)式のシグモイド関数で与えることが
できる。
【0104】ujx=Wjx・f ( uj ) …(14) f ( uj )=1/(1+exp (− uj )) …(15)
【0105】上記の如く、k 個の出力ユニットOx (x
=1〜k )に各中間ユニットH1 〜Hm からそれぞれ u
1x〜 umxが入力されると、該出力ユニットOx は、階級
x が規定する範囲の酸素量が、測定時から吹止めまでに
要する必要酸素量のガイダンス値として適合する可能性
を表わす0〜1の優先選択指標数αx を出力する。即
ち、優先選択指標数αx が1に近ければ近いほどその階
級がガイダンス値として相応しいことを意味し、逆に0
に近ければ近いほど、その階級が相応しくないことを意
味する。最終的には、αx が1に最も近い階級を選択
し、その階級の代表値(例えば中央値)を出力とする処
理を経て必要酸素量のガイダンス値とする。
【0106】前記図11に示した第4ニューラルネット
ワークは、入力層を図示していないが、中間層H1 〜H
m にl (小文字のエル)個の出力ユニットOy (y =1
〜l)が、重み係数Wjy(j =1〜m ,y =1〜l )で
それぞれ結合され、該出力ユニットOy は、階級y が規
定する範囲の冷却剤量が、測定時から吹止までに要する
必要冷却剤量のガイダンス値として適合する可能性を表
わす0〜1の優先選択指標数βx を出力するようになっ
ている以外は、実質的に前記第3ニューラルネットワー
クと同一である。
【0107】従って、第4ニューラルネットワークで
は、l 個の出力ユニットOy (y =1〜l )に入力され
る各信号が前記(14)式に相当する次の(16)式で
表わすことができる。
【0108】ujy=Wjy・f ( uj ) …(16)
【0109】本実施例においては、前記第1実施例で説
明した第1及び第2のニューラルネットワークの場合と
同様に、第3及び第4ニューラルネットワークについ
て、前記入力ユニットI1 〜In のそれぞれに対し、プ
ロセス情報としての信号、 t1=凝固温度(サブランス
による測定時)、 t2 =目標炭素濃度、 t3 =溶鋼温度
(サブランスによる測定時)、 t4 =目標吹止温度、 t
i =サブランスによる測定時までに投入した副原料使用
量、 tk =その他のプロセス情報をそれぞれ入力する。
その結果、第3ニューラルネットワークのk 個の出力ユ
ニットOx から、サブランスによる測定時から吹止まで
に要する必要酸素量の階級に該当する優先選択指標数α
1 〜αk が1〜0の範囲の値として出力され、ガイダン
ス値とされる。又、第4ニューラルネットワークのl 個
の出力ユニットOy から、必要冷却剤量の階級に該当す
る優先選択指標数β1 〜βl が同じく1〜0の値として
出力され、ガイダンス値とされる。
【0110】又、前述した如く、前記第3、第4の両ニ
ューラルネットワークに対しては、実際に操業したとき
の実績値、即ちサブランスによる測定凝固温度 t1 、実
績吹止炭素濃度 t2 、サブランスによる測定溶鋼温度 t
3 、実績吹止溶鋼温度 t4 、測定時までの操業情報
ti 、 tk 及び実際にサブランス測定時から吹止時まで
に使用した実績酸素量及び実績冷却剤量を用いて、各ユ
ニット間の結合の重み係数を修正する学習を行う。
【0111】その際、実績酸素量及び実績冷却剤量それ
ぞれが該当する出力ユニットOx (x =1〜k )、Oy
(y =1〜l )の中のそれぞれ1つの出力ユニットには
1を、該当しないその他の出力ユニットには全て0を教
師データとして入力する。
【0112】又、前処理として、実績酸素量及び実績冷
却剤量が該当する実績頻度の少ない階級の操業実績デー
タをそれぞれコピーにより複製を作って増し、階級毎の
学習データの度数分布がほぼ均一になるように、学習デ
ータの度数分布均一化処理を行っておく。この均一化処
理の具体的方法としては、前記第1実施例で説明した方
法を用いることができる。又、その学習には、前記第1
実施例で説明したと同様のバックプロパゲーション(誤
差逆伝播)法を用いることができ、その際にも、ユニッ
ト間の重み係数の初期値は乱数表を用いて設定すること
ができる。
【0113】本実施例においては、サブランス測定時か
ら吹止時までの必要酸素量及び必要冷却剤量の推定と、
過去の操業実績データに基づくニューラルネットワーク
の学習は、以下の組合せのいずれかによって行われる。
【0114】(A)第3と第4のニューラルネットワー
ク(図10と図11) (B)第2と第3のニューラルネットワーク(図2と図
10) (C)第1と第4のニューラルネットワーク(図1と図
11)
【0115】上記(A)の組合せでは、第3ニューラル
ネットワークに対する学習時には、実績酸素使用量を、
k 個の階級として分割されたk 個の出力ユニットO
x (x =1〜k )に0又1の優先選択指標数として入力
し、同出力ユニットOx から推定必要酸素量が0〜1の
優先選択指標数として出力されるようにする。又、第4
ニューラルネットワークに対しても、学習時には、実績
冷却剤量を、l 個の階級に分割されたl 個の出力ユニッ
トOy (y =1〜l )に0又1の優先選択指標数として
入力し、同出力ユニットOy から推定必要冷却剤量が0
〜1の優先選択指標数として出力されるようにする。
【0116】上記(B)の組合せでは、酸素量を推定す
る第3ニューラルネットワークについては上記(A)の
組合せの場合と同じように出力又は入力されるが、第2
ニューラルネットワークでは、前記第1実施例と同様に
推定必要冷却剤量は1個の出力ユニットOB から、例え
ば前記(11)式で示したようなシグモイド関数として
出力され、実績冷却剤料量は、そのままのアナログ値と
して入力される。
【0117】推定時の出力及び学習時の入力にあたって
は、ニューラルネットワークの初期学習の際に使った実
績値の換算指数(1〜0)を用いて、実際に使用される
単位のアナログ値に換算して推定値が出力され、又学習
に際しては、初期学習に使った換算指数(1〜0)を用
いて、実績値が実際に使用される単位のアナログ値の換
算値として入力される。
【0118】上記(C)の組合せでは、冷却剤量を推定
する第4ニューラルネットワークについては、上記
(A)の組合せの場合と同じように出力又は入力される
が、第1ニューラルネットワークでは、前記第1実施例
の場合と同様に推定必要酸素量は1個の出力ユニットO
A から、例えば前記(9)式で示したようなシグモイド
関数として出力され、実績酸素量は、そのままアナログ
値として入力される。
【0119】この場合の酸素量の出力及び入力にあたっ
ては、初期学習の際に使った実績値の換算指数(1〜
0)を用いて実際に使用される単位のアナログ値との間
で換算が行われるのは、上記(B)の組合せの冷却剤量
の場合と同様である。
【0120】このように、ニューラルネットワークに対
する学習を操業を繰り返すと共に実行することにより、
操業条件が変化していく場合でも、該ニューラルネット
ワークにより常に正しい推定を行うことができる。
【0121】本実施例によれば、上述の如く、操業を繰
り返すと共に、例えばその直近操業実績に基づいて、例
えば、前記(A)、(B)及び(C)のニューラルネッ
トワークの組合せのそれぞれに対する自己学習を行うよ
うにしてあるので、測定時から吹止までに要する必要酸
素量と必要冷却剤量とを常に高精度に推定することがで
きる。
【0122】又、前記第3及び第4ニューラルネットワ
ークの構成及び学習に際しては、前述した如く、出力層
は、吹止時の炭素濃度及び溶鋼温度の許容誤差、酸素ガ
ス吹込制御設備や冷却剤計量・投入設備の制御誤差や計
量誤差、オペレータの経験的知識等から総合的に判断し
て、測定時から吹止迄に必要とされる酸素量及び/又は
冷却剤量をそれぞれ同一の幅を持つ複数の階級に分割
し、それら階級の数と同数の出力ユニットで出力層を構
成し、各出力ユニットには、例えば0〜1の値からなる
1つの優先選択指標数が出力されるようにしたので、従
来のように固定したモデル式により連続したアナログ値
として推定値を出力する方法に比べて、終点の炭素濃度
及び溶鋼温度の目標的中率を向上させることができる。
【0123】又、本実施例によれば、自己学習によりニ
ューラルネットワークを構成するユニット間の結合係数
を修正しつつ、連続したアナログ値として推定値を出力
する前記第1実施例の方法と比べると、同等の終点の炭
素濃度及び/又は溶鋼温度の目標的中率を維持しなが
ら、あたかもオペレータが選択肢を選ぶような判断方法
に一段と近付けた吹錬計算方法を計算機により実現する
ことが可能となる。
【0124】次に、本実施例を適用した具体例について
説明する。転炉10としては230トンの上底吹転炉を
用い、該転炉10に溶銑230トンを入れて吹錬を行
い、静的吹錬計算により求めた吹錬開始から吹止までに
使用する推定全酸素量から1000N m3 だけ少ない酸
素使用量の時点で、サブランスによる溶鋼温度及び凝固
温度の測定を行い、その測定結果と前記吹止時の目標炭
素濃度及び目標溶鋼温度と、前記測定時までの操業情報
を用いて、本実施例に従って測定時から吹止までの必要
酸素量及び必要冷却剤(鉄鉱石)量とを推定した。
【0125】ここでは、ニューラルネットワークの組合
せとしては、前記(A)〜(C)をそれぞれ用いた。な
お、第3ニューラルネットワークの出力層としては、前
述した理由により酸素量の階級幅を50N m3 とし、図
10に括弧で囲んで示したように1000〜1499N
m3 までの10の階級に相当するユニットで出力層を構
成した。又、第4ニューラルネットワークの出力層は、
同様の理由により、冷却剤(鉄鉱石)量の階級幅を50
0Kg とし、図11に括弧で囲んで示したように0〜3
999Kg までの8の階級に相当するユニットで出力層
を構成した。
【0126】低炭素鋼の吹錬データを500チャージ分
揃え、初期学習により第1〜第4ニューラルネットワー
クの構成を行った。その際、第3、第4ニューラルネッ
トワークの酸素量又は冷却剤量の実績データが該当する
階級の出力ユニットには1を入力し、該当しないその他
の階級の出力ユニットに対しては0を入力した。又、第
1〜第4のニューラルネットワークについて、該当する
階級のデータ数の少ないものについてはコピーにより複
製を作って増やし、全階級のデータ数がほぼ均一となる
ように、予め、前記第1実施例で説明したと同様の方法
により学習データの均一化処理を行った。
【0127】以上の前処理の後に、中間層のユニット数
等の調整を行い、前記操業データを用いて検証し、最も
推定精度の高い構成のニューラルネットワークを選択し
て構成の最適化を行った。
【0128】ニューラルネットワークの構成が決まった
ら、最新の操業データ500チャージ分を入力して再学
習を行い、以後の実操業での使用に供した。
【0129】以上の如く構成したニューラルネットを用
いて推定した際の推定精度をそれぞれ図12及び図13
に示した。なお、測定時までに投入した副原料は、鉄鉱
石、コークス、生石灰等であり、その他のプロセス情報
は溶銑温度、溶銑成分、上吹及び底吹酸素流量、上吹ラ
ンス高さやサブランスによる測定後吹止までに投入が予
定されている副原料の予定投入量等である。
【0130】図12は、横軸が実績必要酸素量と本実施
例による推定必要酸素量との差(Nm3 )であり、縦軸
が度数である。又、図13は、横軸が実績必要鉄鉱石量
と本実施例による推定必要鉄鉱石量との差(Kg )であ
り、縦軸は同じく度数である。又、図12、図13にお
いて、破線で囲んだ斜線部分のヒストグラムは、それぞ
れ第3及び第4ニューラルネットワークを用いた場合の
推定精度を示し、実線で囲んだ空白部分のヒストグラム
は、それぞれ第1及び第2のニューラルネットワークを
用い、前処理としての学習データの均一化処理を行わな
い場合(本発明法(1−1))の推定精度を示す。
【0131】図12から明らかなように、酸素量の推定
にあたって第1ニューラルネットワークを用いた場合
と、第3ニューラルネットワークを用いた場合との間に
は、推定精度の差はほとんど見られず、又、図13から
同様に鉄鉱石量の推定にあたって第2ニューラルネット
ワークを用いた場合と、第4ニューラルネットワークを
用いた場合との間にも、推定精度の差はほとんど見られ
ないことが分かる。
【0132】なお、必要酸素量及び必要鉄鉱石量の推定
精度は、過去の操業においてサブランスによる測定デー
タ(凝固温度 t1 と溶鋼温度 t3 )及びサブランス測定
時までに使用した副原料使用量 ti 、その他のプロセス
情報 tk と共に、実績吹止炭素濃度を目標吹止炭素濃度
t2 として、実績吹止溶鋼温度を目標吹止溶鋼温度 t 4
としてニューラルネットワークに入力し、推定計算して
得られた実績必要酸素量又は実績必要鉄鉱石量と、本実
施例による推定必要酸素量又は推定必要鉄鉱石量とのそ
れぞれの差(誤差)によって評価した。なお、第3及び
第4ニューラルネットワークを用いた場合は、優先選択
指標数が1に最も近い階級の中央値を出力値として用い
た。
【0133】本実施例による結果を示した図12、図1
3と、従来法による結果を示した前記図6、図7をそれ
ぞれ比較すると明らかなように、本実施例によれば極め
て推定精度が高いことが分る。
【0134】又、本発明の効果を更に明らかにするため
に、同一の転炉操業について前記(12)式、(13)
式のモデル式を用いる従来法により、必要酸素量及び必
要冷却剤量を推定した場合(従来法)と、前記第1実施
例に示した連続量(アナログ値)を出力する第1、第2
ニューラルネットワークのみによる場合(第1発明法)
と、本実施例(第2発明法)による前記(A)〜(C)
のニューラルネットワークの3組の組合せ(第2発明法
(A)〜(C)と表記)のそれぞれにより、必要酸素量
及び必要鉄鉱石量を推定した場合の吹止炭素濃度と吹止
溶鋼温度との同時目標的中率を表1に示した。
【0135】ここで、同時目標的中率とは、実績の吹止
炭素濃度が目標値±0.01%の範囲に、又、実績の吹
止溶鋼温度が目標値±5℃の範囲にそれぞれ同一チャー
ジで入った場合のチャージ数の全チャージ数に対する百
分率で示したものである。
【0136】
【表1】
【0137】上記表1から明らかなように、第1発明法
と、第2発明法(A)〜(C)の同時的中率はほぼ同じ
レベルで、従来法に比べると飛躍的に向上していること
が分かる。
【0138】又、ニューラルネットワークに対して1日
1回の割合で学習させた場合の経時変化による必要酸素
量及び必要冷却剤量の推定誤差(実績値−推定値)の推
移を、前記従来のモデル式を用いて推定した場合の結果
(従来法)と共に、それぞれ図14及び図15に示す。
この図14及び図15から、ニューラルネットワークを
使用する第2発明法(A)、(B)、(C)(図には本
発明法(A)、(B)、(C)と表記)のいずれもが従
来法に比べて経時的に推定誤差のばらつきが小さく、安
定していることが分る。
【0139】以上詳述した本実施例によれば、サブラン
スによる測定時から吹止までの必要酸素量及び必要冷却
剤量をニューラルネットワークにより推定すると共に、
自己学習によりニューラルネットワークを構成するユニ
ット間の結合の重み係数を修正するようにしたので、操
業条件が経時的に変化する場合でも推定精度を高く維持
することが可能となる。
【0140】又、前記第3及び第4ニューラルネットワ
ークの構成及び学習に際しては、前述した如く、出力層
は、吹止時の炭素濃度及び溶鋼温度の許容誤差、酸素ガ
ス吹込み制御設備や冷却剤計量・投入設備の制御誤差や
計量誤差、オペレータの経験的知識等から総合的に判断
して、酸素量及びは冷却剤量をそれぞれ同一の幅を持つ
複数の階級に分割し、それら階級の数と同数の出力ユニ
ットで出力層を構成し、各出力ユニットには0〜1の値
からなる1つの優先選択指標数が出力されるようにした
ので、従来のように固定したモデル式により連続したア
ナログ値として推定値を出力する方法に比べて、終点の
炭素濃度及び溶鋼温度の目標的中率を向上させることが
できる。
【0141】又、本実施例を、自己学習によりニューラ
ルネットワークを構成するユニット間の結合係数を修正
しつつ、連続したアナログ値として推定値を出力する、
前記第1実施例の方法と比べると、同等の終点の炭素濃
度及び/又は溶鋼温度の目標的中率を維持しながら、あ
たかもオペレータが選択肢を選ぶような判断方法に一段
と近付けた吹錬計算方法を計算機により実現することが
可能となる。
【0142】その結果、吹止(出鋼)時の溶鋼中炭素濃
度及び溶鋼温度を同時に目標値に的中させる同時的中率
が従来のモデル式を用いた方法の89%から98.4%
〜98.6%に向上させることができた。又、その結
果、吹止炭素濃度の下げ過ぎによるスラグ中の鉄及び鋼
中溶存酸素量の上昇が少なくなり、出鋼歩留りを向上で
き、しかも脱酸用アルミニウムの原単位を低下させるこ
とができた。
【0143】以上、本発明について具体的に説明した
が、本発明は、前記実施例に示したものに限られるもの
でなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
る。
【0144】例えば、前記第1実施例では必要酸素量を
出力する第1ニューラルネットワークと、必要冷却剤量
を出力する第2ニューラルネットワークの2つが分離さ
れた構成である場合を示したが、ニューラルネットワー
クを一体とし、必要酸素量を出力するユニットOA と必
要冷却剤量を出力するユニットOB の2つで出力層を構
成してもよい。
【0145】又、前記第2実施例では必要酸素量を出力
する第3ニューラルネットワークと、必要冷却剤量を出
力する第4ニューラルネットワークの2つが分離された
構成である場合を示したが、ニューラルネットワークを
一体とし、必要酸素量を出力する複数のユニットOX
必要冷却剤量を出力する複数のユニットOY の2群で出
力層を構成してもよい。又、第1ニューラルネットワー
クと第4ニューラルネットワークとを、あるいは第2ニ
ューラルネットワークと第3ニューラルネットワークを
ぞれぞれ一体化して、それぞれ1個の出力ユニットOA
と複数の出力ユニットOY とで、あるいは複数の出力ユ
ニットOX と1個の出力ユニットOB とで出力層を構成
してもよい。
【0146】又、前記実施例では、必要酸素量を出力す
る第1及び第3ニューラルネットワーク(図1及び図1
0)と、必要冷却剤量を出力する第2及び第4ニューラ
ルネットワーク(図2及び図11)の入力層と中間層の
構成が同一の場合を示したが、それぞれ異なっていても
よいことは言うまでもない。
【0147】又、前記実施例では、3層構造のニューラ
ルネットワークを用いる場合について説明したが、これ
に限られるものでなく、4層以上にすることもできる。
又、優先選択指標数は0〜1に限定されるものではな
く、任意の数値範囲を設定できる。
【0148】又、溶鋼温度及び凝固温度を測定する手段
はサブランスに限定されない。
【0149】又、冷却剤としては鉄鉱石のみを示した
が、これに限らず、生石灰、石灰石、スクラップ等であ
ってもよい。
【0150】又、前記実施例では、上底吹転炉の場合に
ついて説明したが、底吹転炉又は上吹転炉等の他の吹錬
炉であっても、本発明を適用可能であることはいうまで
もない。
【0151】
【発明の効果】以上説明した通り、第1発明によれば、
経時的に操業条件が変化する場合で、しかも脱リン銑と
非脱リン銑とが混在するような場合であっても、転炉製
鋼の終点における溶鋼中炭素濃度及び溶鋼温度を目標値
に精度良く一致させることができる。
【0152】又、第2発明によれば、上記第1発明の効
果に加えて、転炉の動的吹錬計算において、サブランス
による測定時から吹止時までの必要酸素量及び/又は必
要冷却剤量の階級をニューラルネットワークによって選
択させるようにしたので、的中率を低下させることな
く、オペレータの間隔や判断に近い操業ができるように
なる。
【0153】又、本発明によれば、データを階級に分類
する場合には、実績頻度の少ない操業パターンも学習デ
ータの均一化によって取り込むことが可能となり、終点
的中率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明に係る一実施例に適用される第1ニュ
ーラルネットワークを示す概略構成図
【図2】同実施例に適用される第2ニューラルネットワ
ークの一部を示す概略構成図
【図3】同実施例に適用される装置構成の概略を示す説
明図
【図4】同実施例による必要酸素量の推定精度を示すグ
ラフ
【図5】同実施例による必要鉄鉱石量の推定精度を示す
グラフ
【図6】従来法による必要酸素量の推定精度を示すグラ
【図7】従来法による必要鉄鉱石量の推定精度を示すグ
ラフ
【図8】必要酸素量の推定精度の経時的なばらつきを示
す線図
【図9】必要鉄鉱石量の推定精度の経時的なばらつきを
示す線図
【図10】第2発明に係る一実施例に適用される第3ニ
ューラルネットワークを示す概略構成図
【図11】同実施例に適用される第4ニューラルネット
ワークの一部を示す概略構成図
【図12】同実施例による必要酸素量の推定精度を示す
グラフ
【図13】同実施例による必要鉄鉱石量の推定精度を示
すグラフ
【図14】必要酸素量の推定精度の経時的なばらつきを
示す他の線図
【図15】必要鉄鉱石の推定精度の経時的なばらつきを
示す他の線図
【符号の説明】
10…転炉 12…プロセス計算機 14…学習用サーバ 16…メインランス 18…サブランス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水嶋 康人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 飛矢地 雅也 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶鋼温度及び凝固温度を転炉吹錬途中で測
    定し、その結果を用いて吹止時の溶鋼中炭素濃度及び溶
    鋼温度を目標値に一致させる転炉製鋼の終点制御方法に
    おいて、 前記吹錬途中の測定時までの操業情報と、測定した溶鋼
    温度及び凝固温度と、吹止時の目標炭素濃度及び目標吹
    止溶鋼温度とを入力とし、前記測定時から吹止までの必
    要酸素量及び必要冷却剤量を出力とするニューラルネッ
    トワークを構築し、該ニューラルネットワークを用いて
    上記必要酸素量及び必要冷却剤量を推定するに際し、 実際に操業した際の、前記測定時までの操業情報と、吹
    錬途中で測定した溶鋼温度及び凝固温度と、吹止時の実
    績炭素濃度及び実績溶鋼温度とを用いて、上記ニューラ
    ルネットワークの学習を行い、該ニューラルネットワー
    クを構成するユニット間の結合係数を修正することを特
    徴とする転炉製鋼の終点制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 ニューラルネットワークの学習に際し、前処理として、
    前記測定時から吹止までの酸素量及び冷却剤量を、それ
    ぞれ所定の差幅で設定された複数の階級に分割し、実績
    酸素使用量及び実績冷却剤投入量のそれぞれが該当する
    階級の実績頻度が少ない場合には、その階級に該当する
    操業実績データをコピーにより複製を作って増やし、階
    級毎の学習データの度数分布がほぼ均一となるように、
    予め学習データの度数分布均一化処理を行うことを特徴
    とする転炉製鋼の終点制御方法。
  3. 【請求項3】溶鋼温度及び凝固温度を転炉吹錬途中で測
    定し、その結果を用いて吹止時の溶鋼中炭素濃度及び溶
    鋼温度を目標値に一致させる転炉製鋼の終点制御方法に
    おいて、 前記吹錬途中の測定時までの操業情報と、測定して得ら
    れた溶鋼温度及び凝固温度と、吹止時の目標炭素濃度及
    び目標吹止溶鋼温度とを入力とし、前記測定時から吹止
    までの必要酸素量及び必要冷却剤量を出力とするニュー
    ラルネットワークを構築し、該ニューラルネットワーク
    を用いて必要酸素量及び必要冷却剤量を推定するに際
    し、 必要酸素量及び必要冷却剤量の少なくとも一方を、同一
    の差幅で設定された複数の階級に分割し、 必要酸素量及び必要冷却剤量の少なくとも一方を推定す
    るニューラルネットワークの出力層を、上記階級の数と
    同数のユニットで構成すると共に、 出力層を構成する各ユニットから、それぞれ対応する階
    級を選択する基準である優先選択指標数が出力されるよ
    うに、実際に操業した際の、前記測定時までの操業情報
    と、吹錬途中で測定した溶鋼温度及び凝固温度と、吹止
    時の実績炭素濃度及び実績溶鋼温度とを用いて、上記ニ
    ューラルネットワークの学習を行い、該ニューラルネッ
    トワークを構成するユニット間の結合係数を修正するこ
    とを特徴とする転炉製鋼の終点制御方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、 階級の数と同数のユニットで構成された出力層を備えて
    いるニューラルネットワークの学習及び出力に際し、 実績酸素使用量又は実績冷却剤投入量が該当する階級の
    ユニットに優先選択指標数1を、それ以外の階級のユニ
    ットには優先選択指標数0を、それぞれ教師データとし
    て入力し、各出力ユニットが0から1迄の優先選択指標
    数を出力するようにしたことを特徴とする転炉製鋼の終
    点制御方法。
  5. 【請求項5】請求項3において、 階級の数と同数のユニットで構成された出力層を備えて
    いるニューラルネットワークの学習に際し、 前処理として、実績酸素使用量又は実績冷却剤投入量が
    該当する階級の実績頻度が少ない場合には、その操業実
    績データをコピーにより複製を作って増やし、階級毎の
    学習データの度数分布がほぼ均一になるように、予め学
    習データの度数分布均一化処理を行うことを特徴とする
    転炉製鋼の終点制御方法。
  6. 【請求項6】請求項3において、 出力層を単一のユニットで構成する場合は、必要酸素量
    又は必要冷却剤量を連続量として出力させ、 学習に際しては、実績酸素使用量又は実績冷却剤投入量
    を連続量として上記ユニットに入力することを特徴とす
    る転炉製鋼の終点制御方法。
  7. 【請求項7】請求項3において、 出力層を単一のユニットで構成する場合は、必要酸素量
    又は必要冷却剤量を連続量として出力させ、 学習に際しては、前処理として前記測定時から吹止まで
    の酸素量及び冷却剤量を、それぞれ所定の差幅で設定さ
    れた複数の階級に分割し、実績酸素使用量及び実績冷却
    剤投入量のそれぞれが該当する階級の実績頻度が少ない
    場合には、その階級に該当する操業実績データをコピー
    により複製を作って増やし、階級毎の学習データの度数
    分布がほぼ均一となるように、予め学習データの度数分
    布均一化処理を行うことを特徴とする転炉製鋼の終点制
    御方法。
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JP5-5754 1993-01-18
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007146218A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Nippon Steel Corp 製鋼法,コンピュータプログラム,コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及び装置
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CN120930101A (zh) * 2025-10-14 2025-11-11 天津开发区精诺瀚海数据科技有限公司 一种转炉炼钢终点预报方法、装置及存储介质

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