JPH06269514A - テニスラケット - Google Patents

テニスラケット

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JPH06269514A
JPH06269514A JP5055675A JP5567593A JPH06269514A JP H06269514 A JPH06269514 A JP H06269514A JP 5055675 A JP5055675 A JP 5055675A JP 5567593 A JP5567593 A JP 5567593A JP H06269514 A JPH06269514 A JP H06269514A
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健 山元
Teruo Nakamura
輝男 中村
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反発性能、コントロール性および打球感を兼
ね備えたテニスラケットを提供する。 【構成】 テニスラケットの打球面の全外周にわたっ
て、ストリング架設部10のフレーム断面形状をT形状
とし、ストリングが張架される打球面側の内側へ突出さ
せる突起部20と該突起部と直交する基部21とで構成
している。また、突起部20の中心より基部21に貫通
するガット穴25、24を設け、基部21のガット穴は
凹部23の底面に形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はテニスラケットに関し、
特に、テニスラケットフレームのストリング架設部の断
面形状を改良して、テニスラケットにおいて要求される
反発性、コントロール性および打球感を良好とするもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、テニスラケットの性能を向上
させるための研究が多数なされ、それに基づいて、現
在、種々の形状を持ったテニスラケットが提供されてお
り、それらを大別すると、下記の3種に分けられる。 標準のミッドサイズのラケット ラケットの打球面を拡大した所謂、デカラケ ラケットフレームのストリング架設部の断面を厚くし
た所謂、厚ラケ
【0003】テニスラケットに要求される性能として、
反発性能、コントロール性および打球感があり、これら
の性能を決定する主要な要因はバネ特性である。上記バ
ネ特性はラケットの構造から、図15(I)(II)(III)に示
す如き、下記の4つのバネに分類される。 ストリング1の変形による図15中の(A)で示すバネ ストリング1の支持部分(ストリング架設部)2の変形
による(B)で示すバネ ラケットフレーム3の面内変形による(C)で示すバネ ラケットフレーム3の面外変形による(D)で示すバネ ラケット全体としては、上記4つのバネが直列に連結し
たものと考えられ、従って、最も変形しやすいバネがラ
ケットの特性を決定することとなる。
【0004】上記した標準のミッドサイズラケットで
は、ボールが打球面に衝突する時の変形を観察すると、
図15(III)に示すように、フレーム3はスプーン状に
変形し、フレームの面外変形によるバネ(D)がラケット
の特性を決定する主体となっている。該ミッドサイズラ
ケットでは、打球面積がデカラケと比較して小さいた
め、面内剛性が高く、よって、面内安定性が良く、コン
トロール性が良い。また、ストリング支持部2の断面厚
さhは厚ラケと比較して薄いため、面外剛性が低く、よ
って、しなりがあり、柔らかい打球感を有する。
【0005】上記のように、ミッドサイズラケットでは
コントロール性および打球感は良好であるが、主体とな
るバネが面外変形のバネ(D)による変形であり、該バネ
(D)は反発性能向上に積極的に寄与するものではないた
め、反発性能を向上させるためにデカラケおよび厚ラケ
が開発された。
【0006】打球面積を拡大したデカラケは、ストリン
グの変形によるバネ(A)を主体とするバネ構造で、反発
性能が良い特性を持つ。一方、ストリング架設部2の断
面の厚さhを大とした厚ラケでは、ストリングの変形に
よるバネ(A)と、ストリング支持部の変形によるバネ
(B)が主体となり、特に、ストリング支持部に曲面の変
形が生じ、断面外周面の変形の戻りによる強力なバネが
デカラケ以上の高反発性能を発揮する。
【0007】尚、従来のテニスラケットフレームのスト
リング架設部2の断面形状は、図16(I)に示すような
略長方形、(II)に示すような略八角形、(III)に示すよ
うに略楕円形があり、外面側の中央部にストリング張設
用グロメット嵌合用の凹部2aを備え、該凹部2aの底
面中央および対向した内面側(打球面側)に夫々ガット穴
2b、2cを備えている。ミッドサイズラケットでは厚
さ(h)が最も大きい部分で通常約20mmであり、厚ラケ
では約30mmである。また、打球面積は、ミッドサイズ
では約93〜95平方インチ、デカラケでは約105〜
108平方インチである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、デカラ
ケおよび厚ラケは、標準のミッドサイズラケットに比較
して反発性能が向上するが、下記の理由より、コントロ
ール性能および打球感を犠牲にしている点は否めない。
【0009】即ち、デカラケでは打球面積が大きいた
め、打球面の面内剛性はミッドサイズラケットに比べて
低くなり、かつ、変形量が大きくなる。そのため、面安
定性が劣り、コントロール性が悪くなる。
【0010】一方、厚ラケでは、主体となるストリング
の支持部のバネ(B)による変形は他のバネ(A)(C)(D)
による変形と比較して非常に短時間で復元するため、ボ
ールとの接触時間が短くなり、コントロールがしにくく
なる。また、断面形状が厚いことより、面外変形が生じ
ず、非常に硬い打球感を持つこととなる。さらに、打撃
時の衝撃が直接プレーヤーの腕に伝わり、長時間プレー
を続けると腕、肘にテニスエルボーを引き起こす要因と
なる。
【0011】本発明は、上記した問題に鑑みてなされた
もので、反発性能、コントロール性および打球感のいず
れの点においても優れたテニスラケットを提供すること
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、テニスラケットの打球面の全外周にわた
って、ストリング架設部のフレーム断面形状をT形状と
し、ストリングが張架される打球面側の内側へ突出させ
る突起部と該突起部と直交する基部とで構成しているこ
とを特徴とするテニスラケットを提供するものである。
【0013】上記ストリング架設部は断面T形状の中空
体として、その突起部の内側面の中心部と上記基部の外
側面に貫通するガット穴を設けている。基部外側面のガ
ット穴は、基部外側面に形成したグロメット嵌合用の凹
部の底面に設けている。上記突起部と基部とは突起部の
中心軸線に対して対称に設けており、また、上記ガット
穴は突起部の軸線に沿って設けている。ただし、突起部
と基部とを必ずしも中心軸線に対して対称に設けること
に限定されず、設計上で偏位させる方が好ましい場合も
あり、また、ガット穴も軸線に対して多少傾斜させるこ
とが好ましい場合もある。尚、該テニスラケットフレー
ムは繊維強化樹脂により一体成形して設けている。
【0014】上記断面T形状のストリング架設部では、
その各隅部にアールを与えることが好ましい。さらに、
上記基部の厚さを(h)、該基部と連続する突起部を含め
た全幅を(B)、突起部の厚さをh1、該突起部の幅をb1
すると、 3mm≦b1≦0.7B、 3mm≦h1≦0.75h とすることが好ましい。
【0015】
【作用】上記のように、テニスラケットフレームのスト
リング架設部の断面形状をT形状とすると、打球時にお
いてストリング架設部にねじれ変形が生じ、この変形の
復元力がこれまでのテニスラケットになかった新しいバ
ネを付与することを可能とする。さらに、この新しいバ
ネはデカラケあるいは厚ラケのように他のバネを犠牲に
して一つを強調するものとは性質を異にして、前記4つ
のバネに協調する形で、そのバネ力を発揮することが可
能な特性を有している。即ち、 ミッドサイズのラケットとした場合、該ミッドサイズ
ラケットの特性であるコントロール性能とソフトな打球
感を保持しつつ、厚ラケなみの反発性能を可能とする。 デカラケとした場合、面安定性を向上させ、コントロ
ール性を高め、かつ、ソフトな打球感を保持し、反発性
能を高める。 厚ラケとした場合、打球感を和らげ、接触時間を増大
させてコントロール性および打球感を高める。
【0016】上記断面T形状とすることで反発性能を向
上させることが出来る理由は、下記の通りである。即
ち、反発性能は、打球時のラケットの変形の復元力の大
きさと接触時間の長さに依存する。即ち、力と力が加え
られている時間との積である力積の大きさがボールに加
えられるエネルギーの大きさを決定するからである。図
17に示す3つの実線で示す曲線は、従来のミッドサイ
ズラケット(I),デカラケ(II),厚ラケ(III)の三種のラケ
ットにおいて、ボールとラケットが接触してから離れる
までの時間経過による力を表したものである。図中、
1,T2,T3は接触時間、F1,F2,F3は最大バネ力であ
る。横軸と縦軸に囲まれた面積(図中、斜線部分)の大き
さがそれぞれの力積である。これらの面積、つまり、力
積が等しければ反発性能は同等であると言える。したが
って、反発性能を高めるためには、バネ力を高めること
と接触時間を長くすることの両方から行うことが出来
る。
【0017】本発明では、ストリング架設部を断面T形
状としたことによる生じるねじれによる新しいバネは、
ストリングの復元を加速する効果によりバネ力を高める
他に、ねじれによる突起部の変形によりボールを包みこ
む作用を生じせしめるため、接触時間を長くする効果も
加えることになる。これらの効果により、ミッドサイズ
ラケットにおいて、図18において点線(I')で示すよう
に、接触時間T1’を長く出来ると共に、最大バネ力
1’を大として、その積である力積が大きくなるよう
に変えることができる。よって、ミッドサイズラケット
の特徴を保持しつつ、なおかつ、その反発性能を高める
ことが可能となる。
【0018】また、テニスラケットフレームにおいて
は、実際にプレーする上から重量に制限が加えられてい
る。デカラケにおいては、ラージフェイスのゆえに、そ
の面内剛性が低下しがちであるが、これを防ぐために重
量を増加して断面剛性を高めると、上記重量制限を越え
る問題が生じる。一方、厚ラケについても、断面厚さを
厚くして、かつ、重量を制限するためには、断面の横幅
を小さくする必要がある。即ち、ラケット材料が同一で
肉厚が同一であれば、断面形状の周長は重量により限界
が定められており、厚さを大とすると、大とした分だけ
横幅を小さくする必要が生じる。よって、厚ラケの場
合、断面厚さを増加した分だけ、横幅が小さくなり、デ
カラケと同様に面内剛性が低下する。これに対して、本
発明のようにストリング架設部の断面形状を略T形状と
した場合、内面側の突起部の存在で、重量制限を越えな
いで、面内剛性を高めることが出来る。
【0019】即ち、断面の剛性は断面二次モーメントで
評価され、例えば、図19に示す厚さをh、幅bの長方
形断面の場合、断面二次モーメントは、 Ix=b・h3/12、Iy=b3・h/12 という式で表される。Ix(Xに対する二次モーメント)
はラケットの面外剛性、Iy(Yに対する二次モーメン
ト)はラケットの面内剛性を夫々決定する断面係数とな
る。上記式に示されるように、断面二次モーメントは曲
げの回転中心軸からの距離の3乗に比例する性質を有す
る。従って、周長を変ずに、厚さhを大とすると、幅b
が減り、面内剛性はその3乗に比例して減少する。逆
に、面内剛性を高めるために幅bを大とすると、厚さh
が減少し、その3乗に比例して面外剛性が低下する。具
体的には、厚さhを2倍、幅bを1/2とすると、上式
から面外剛性の指標であるIxは4倍となるが、面内剛
性の指標であるIyは1/4となり、Iy/Ixは1/
16倍となる。
【0020】本発明では、断面T形状としているため、
断面の厚さと幅との相関関係を任意に選択して、面外剛
性を大きく低下させることなく、面内剛性を高めること
が出来る。具体的には、断面T形状の内側面の突起部
が、基部全周の内周面に沿って “たが”を嵌めた状態
となる。この “たが”の存在により、内方への変形を
効果的に抑制でき、今までのラケットフレームになかっ
た新しい 「たが効果」を発生させることが出来る。
【0021】上記したように、面内剛性を自由に設計す
ることが可能となり、打球面積を大きくして反発性能を
高めながら、面内剛性を低下させないことが出来る。よ
って、例えば、反発性能が良いデカラケとしながら面内
剛性を高めて、面内安定性を図ることが出来る。
【0022】また、厚ラケにおいては、その厚みの大き
さのために面外剛性が大となり、硬い打球感が生じると
共に接触時間が短くなる欠点があり、この欠点を解消す
るために、厚みを保持したままで、曲げ剛性を低くし
て、ある程度の面外変形(しなり)を生じる設計をして
も、従来の長方形もしくは楕円断面では幅が極端に小さ
くなり、面内剛性を保つことが困難であった。この点に
おいて、本発明のように断面T形状とすると、前記 「た
が効果」により面内変形を抑制することが出来、よっ
て、厚ラケにしなりを与え、打球感を和らげ、かつ接触
時間を長くする設計が可能となる。
【0023】さらに、ストリング架設部の断面形状をT
形状としているため、詳細な理由は後述するが、打球時
にガット穴から伝わるストリングの振動がフレーム全体
にスムーズに伝播されず、ストリングの振動に共鳴しに
くくなり、その結果、ストリングの振動が抑制され、打
球感が向上する。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係わるテニスラケットを図面
に示す実施例により詳細に説明する。図1(I)(II)(III)
(IV)は第1実施例のテニスラケットフレームを示し、1
0がストリング架設部、11はスロート部、12がシャ
フト部である。上記ストリング架設部10の断面形状は
(III)(IV)に示すように、ストリング13を張架する打
球面S側に突起部20が突出する断面T形状の中空体で
ある。
【0025】上記T形状で、突起部20と基部21とか
らなるストリング架設部10は、突起部20の中心軸線
Xを中心として対称に形成している。基部21の外側面
21aの中央部にはグロメット嵌合用の凹部23を設
け、かつ、該凹部23の中心で上記中心軸線X上の位置
に外側ガット穴24を所要間隔をあけて設けると共に、
突起部20の内側面20aの中心で中心軸線X上の位置
に内側ガット穴25を上記外側ガット穴24と対向して
設けている。
【0026】上記ストリング架設部10の各隅部、即
ち、基部21の先端隅部21b、21c、突起部20の
先端隅部20b、凹部23の隅部23aにはアールを施
しているが、これらのアールの曲率は任意である。一
方、突起部20が基部21と連続する隅部20cに設け
るアールは、点P1とP2を結ぶ直線(一点鎖線で示す)
より内側にある正曲率を有する曲線としている。尚、点
P1は上記隅部20bからb1/4の距離にある点であ
る。また、点P2は隅部21bから(h−h2)/8の距
離にある点である。 上記b 1、 h 1はそれぞれ突起部2
0の幅、厚さであり、上記hは基部の厚さである。
【0027】上記基部21の厚さh、突起部20のの厚
さh1、突起部20の幅b1、基部21の幅bと突起部
20の幅b1との全幅は、 3mm≦b1≦0.7B、 3mm≦h1≦0.75h に設定することが好ましい。
【0028】図1の第1実施例の各部の寸法およびスト
リング架設部の面外剛性の指標となる断面二次モーメン
トIx、面内剛性の指標となる断面二次モーメントIy
は、下記の表1に示すとおりであり、表中Bはストリン
グ架設部10の全幅を示す。表に記載していないが、基
部21の幅b=6mmで、かつ、フレームの肉厚は1mmで
ある。さらに、ラケットフレームの全長Lは685mmで
ある。また、第1実施例ではストリング架設部10のト
ップ部10−1の厚さとスロート部11のシャフト部側
端部の厚さとは同厚としている。
【0029】
【表1】
【0030】図2(I)(II)は第2実施例を示し、ストリ
ング架設部10はトップ10−1にかけて厚さ(基部2
1の厚さh)を次第に大となるようにテーパをつけてい
る。即ち、トップ10−1では21mmであり、スロート
部11のシャフト部側先端は19mmである。また、スト
リング架設部10の断面T形状において、基部21の外
側面の両側端縁にテーパ部26、27をつけている。
【0031】ストリング架設部10の各部の寸法および
面外剛性の指標となる断面二次モーメントIxおよび面
内剛性の指標となる断面二次モーメントIyは前記表1
に示す通りであり、肉厚は1mmで第1実施例と同一であ
り、かつ、全長Lも第1実施例と同一である。
【0032】上記第1実施例および第2実施例のように
ストリング架設部10の断面形状をT形状とし、突起部
20を打球面側に突出させた形状とした場合、下記に列
挙する作用を生じる。
【0033】第一に、ねじれ変形のバネが加わることに
より、反発性能が向上する。即ち、打球時におけるスト
リングの変形により、図3(I)に示すように、ストリン
グ13の張力は打球面内と打球面外の二つの成分に分解
されて、 ストリング架設部10のガット穴25に伝え
らえる。断面T形状のストリング架設部では、打球面内
周に突起部20の先端に加わる面外成分により、図中矢
印で示すような、ねじれが発生し、この変形の戻りのバ
ネが従来型にはない新しいバネを加えることとなる。ま
た、該ねじれは図3(II)に二重矢印で示す示すように、
打球面を一周するものとなり、このねじれはスロート部
11で支えられ、シャフト部12に伝えられる。このよ
うに、ねじれによるバネが新しく加わることにより、ラ
ケットの反発性能を向上させることが出来る。
【0034】第二に、面内剛性および面外剛性につい
て、従来は自由に設計することが困難であったが、本発
明ではストリング架設部を断面T形状としているため、
断面の厚さと横幅とを選択して、自由に設計できるよう
になる。即ち、前記したように、ラケットフレームにお
いては重量に制限が加わり、よって、ストリング架設部
の断面形状の周長は重量により限界が定められており、
重量の制限を満たそうとするならば、おのずと周長に制
限が加わり、厚さhを大とすると、大とした分だけ幅b
を小とする必要が生じる。ラケットの剛性は断面二次モ
ーメント、 Ix=b・h3/12、 Iy=b3・h/12 という式で現され、Ixはラケットの面外剛性、Iyは
面内剛性をそれぞれ決定する断面係数となることは前述
した通りである。
【0035】本発明のように、ストリング架設部10を
断面T形状とすると、その基部21の厚さh、突起部2
0の厚さh1および突起部の幅b1、全体の幅Bを適当
に選択することにより、面内剛性を必要な数値の範囲に
維持するように設計することが可能となる。よって、打
球面積を大きくしても、面内剛性の指標となる断面二次
モーメントIyを高く設計することが可能となり、デカ
ラケでコントロール性を向上させることが出来る。
【0036】さらに、上記厚さh、h1および幅b、b
1を選択することにより、面外剛性の指標となる断面二
次モーメントIxを高めることなく、厚さhを大きくす
る設計も可能となる。即ち、厚ラケあるいは中厚ラケ以
上のラケットを設計するに際して、打球面の面外剛性を
その厚みの割りには小さく押さえて、スプーン形状の曲
げ変形を厚ラケのバネに加えることも可能となる。
【0037】このように、本発明によれば、打球面積を
大きく設計しても面内剛性を高くでき、デカラケであり
ながらコントロール性を向上させることが出来る。さら
に、厚さを大として面外剛性を押さえることにより、厚
ラケでありながら、コントロール性を向上させ、かつ、
打球感を柔らかくすることが出来る。
【0038】第三に、ストリングの振動を抑制する。ボ
ールがストリングに衝突して、ストリングから離れた後
に、ストリングは縦糸横糸が一体となってほぼ膜の振動
と同一の挙動をとり、はじめの一次モードから急速に高
周波モードに移り、減衰する。ストリングの振動は、打
球面内周のガット穴周囲にストリングが接触して打球面
内周面に振動を伝え、この振動波がラケットを伝わって
シャフト部12に達する。
【0039】従来のラケットでは、打球面の内周面に、
ガット穴から伝わるストリングの振動により弾性波が発
生して、フレーム全体に伝播する。これに対して、本発
明のストリング架設部10はその断面形状をT形状とし
ているため、ガット穴25、24から伝わるストリング
の振動により発生する弾性波は曲折し、フレーム全体に
スムーズに伝播されず、伝播の過程で振動が減衰され、
ストリングの振動がシャフト部12に抑制して伝わるこ
ととなる。さらに、ストリング13の張力の面外成分に
より発生するフレームのねじれは、フレームの共鳴を抑
制する作用を生じ、この点からも、ストリングの振動に
よりグリップに伝わる振動が抑制されることとなる。
【0040】本発明のテニスラケットの反発性能および
剛性を、従来例と比較するため、図4〜図8に示す第1
比較例〜第5比較例のテニスラケットを設けた。各部の
寸法は前記表1に示している。尚、テニスラケットフレ
ームの全長Lおよびフレームの肉厚は第1、第2実施例
と同一である。
【0041】上記表1に示す寸法より明らかであるが、
第1比較例から第3比較例は厚さを同一として打球面積
を順次大きくしたものであり、第1比較例、第2比較例
は言わば標準のミッドサイズラケットであり、第3比較
例は厚さは標準であるがデカラケとしたものである。第
4および第5比較例は厚さを大とした厚ラケであり、か
つ、第5比較例は打球面積も大とした厚ラケ+デカラケ
としたものである。
【0042】上記した第1、第2実施例と第1〜第5比
較例について、反発性能についてテストをおこなった。
上記反発性能のテストは、図9に示すように、ストリン
グが張設されたテニスラケットにボール30を衝突さ
せ、ボールがラケット打球面に当たる前の入射速度V1
と、ボールがラケット打球面に当った後の反射速度V2
を測定した。上記V1とV2とより、反発係数V2/V
1を算出した。その結果は下記の表2および図10に示
す通りであり、下記の事項が確認された。
【0043】
【表2】
【0044】(a) 第1比較例〜第3比較例(厚さh=2
0.21mm)の標準の厚さのラケットは打球面積が大とな
るほど反発係数が大となり、所謂デカラケ効果があるこ
とは確認された。 (b) 第4比較例と第5比較例の厚ラケでは、第1〜第
3比較例の標準厚さのラケットより反発係数が大で、所
謂厚ラケ効果があり、しかも、打球面積が大きい第5比
較例が第4比較例より反発係数が大であるため、デカラ
ケ効果もあることが確認された。 (c) 第1実施例は標準厚さ(厚さh=21mm、基部長さ
b1=6mm)であるが、突起部のねじれのバネ効果によ
り、厚ラケと同等のレベルにまで反発係数が高くなって
いた。 また、突起部を長くした第2実施例(b1=10mm)は、
さらに、厚ラケ+デカラケ効果をあわせ持った第5比較
例と同等のレベルまで反発係数が高くなっていることが
確認された。
【0045】次に、第1、第2実施例および第1〜第5
比較例について、頂圧剛性、側圧剛性、平圧剛性をテス
トした。上記頂圧剛性テストは、図11(I)に示すよう
に、フレームのサイド部とヨーク部の間の打球面の下部
両側部を支持具31で固定して、垂直にラケットを保持
し、トップ部に向かって加圧具32で荷重を加え、その
時のたわみ量からバネ定数(剛性)kgf/cmを求めたもの
である。尚、頂圧剛性は面内剛性を比較する指標とな
る。上記側圧剛性テストは、図11(II)に示すように、
フレームを横向きとしてサイド部を固定台33において
垂直に保持し、この状態で上側のサイド部に加圧具32
で同一の荷重を加えて測定している。尚、側圧剛性は面
内剛性を比較する指標となる。上記平圧剛性テストは、
図11(III)に示すように、フレームを水平とした状態
で、トップ部側とグリップエンド側の近傍の下部を支持
具34で支持し、トップ部とグリップエンド部の間の中
央点に上方より加圧具32で同一の荷重を加えて測定し
て求めたものである。尚、平圧剛性は面外剛性を比較す
る指標となる。
【0046】上記平圧剛性テストの結果は表2に示す通
りであり、かつ、打球面積と平圧剛性測定値との関係は
図12に示す通りである。表2および図12より明らか
なように、第1実施例および第2実施例のテニスラケッ
トはストリング架設部の厚さhを21mmに設計している
ため、第1〜第3比較例の厚さhが20.21mmの標準
の厚さのラケットと同じレベルとなっている。一方、第
4、第5比較例の厚さhが30mmの厚ラケは、標準の厚
さの第1、第2実施例および第1〜第3比較例の標準厚
さのラケットより平圧剛性レベルが高いことが確認され
た。また、第1〜第3比較例の標準厚さのラケットおよ
び、第4、第5比較例の厚ラケとも、打球面積が大きく
なると平圧剛性が下がる傾向にあることが推察される
が、厚さhの違いほど、平圧剛性のレベルは変わってい
ない。
【0047】上記した点より、第1、第2実施例は標準
厚さのラケットの優れた点であるフレームのしなりによ
る “柔らかい打球感”を維持しているといえる。ま
た、このしなりの変形によって接触時間が長くなり、厚
ラケよりはコントロールしやすいこととなる。
【0048】上記頂圧剛性測定の結果は表2に示すとお
りであり、打球面積との関係を図13に示す。上記表2
および図13に示すように、第1〜第5比較例は、その
厚さhに拘わらず、打球面積が大きくなるほど、頂圧が
下がる傾向がある。これは打球面積を大きくしてデカラ
ケになるほど、面内剛性が下がり、打球時におけるフレ
ーム変形が大きくなりコントロール性が悪くなることを
裏付けている。一方、第1、第2実施例は、通常のスト
リング架設部が断面T形状でない同等の打球面積(10
0平方インチ)のラケットが示すと推定される頂圧剛性
値よりはるかに高い剛性値を示している。即ち、第1、
第2実施例のラケットの面内剛性値は、比較例で示す通
常のラケットよりも面内剛性が高くなっている。これ
は、断面T形状として、突起部20により基部21の内
周面に沿って “たが”を嵌めた状態となって面内変形
を押さえる 「たが効果」を発生させ、面安定性を向上さ
せている結果を示すものである。
【0049】上記側圧剛性測定の結果は表2に示す通り
であり、該側圧剛性測定値と打球面積との関係を図14
に示す。上記表2および図14に示すように、第1、第
2実施例のラケットは、通常の比較例のラケットよりも
高い側圧剛性値を示している。
【0050】上記した結果より、通常の比較例のラケッ
トより、第1、第2実施例のラケットは面内剛性を高く
することができ、かつ、基部の突起の長さを種々変更す
ることにより、面内剛性値を自由に設定することができ
ることが確認できた。また、本発明のラケットでは、デ
カラケ効果を出すために、打球面積を大としても、面内
剛性を高く設計して、コントロール性を向上させること
が出来ることが判明した。
【0051】上記した反発性能および剛性の結果より、
まず、ストリング架設部を断面T形状とした場合に、ね
じれのバネにより反発性能を向上させることが確認され
た。さらに、このようにストリング架設部を断面T形状
として反発性能を向上させたラケットを、より反発性能
を向上させるために、打球面積を大としてデカラケとし
た場合、あるいは、ストリング架設部の厚さを大として
厚ラケとした場合、即ち、ストリング架設部の断面T形
状化+デカラケ、厚ラケとした場合、従来の断面形状の
ラケットにおいてデカラケおよび厚ラケとした場合に発
生した欠点を解消でき、標準のミッドサイズラケットの
良い点であるコントロール性および打球感を付与するこ
とができる。言い替えれば、打球感およびコントロール
性に優れ、しかも、反発性能が非常に高いデカラケ、厚
ラケを提供することが可能となる。
【0052】上記測定結果を確認するために、第1、第
2実施例と第1〜第5比較例のラケットを用いて、実打
テストを行った。実打テストは10人で行い、各第1、
第2実施例および第1〜第5比較例のラケットにより性
能テストを行った。その結果は下記に示す通りである。 反発性能について「 第1、第2実施例とも第3比較例のデカラケ、第5比
較例の厚ラケと同等である。また、第1実施例と第2実
施例では、第2実施例の方が良い。」と答えた人……
8人 コントロール性について「 第1、第2実施例とも、第1、第2比較例と同等であ
る。これら第1、第2実施例および第1、第2比較例と
比べて、第3比較例および第5比較例はやや悪い。第1
実施例と第2実施例とでは差はない。」と答えた人……
7人 打球感「 第1、第2実施例は第1、第2、第3比較例と同等
で、第4、第5比較例の厚ラケよりは柔らかい打球感を
もつ。」と答えた人…… 10人 ストリングの振動抑制効果「 振動抑制効果がある。」と答えた人…… 6人「 振動抑制効果は無い。」と答えた人…… 4人
【0053】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に係わるテニスラケットでは、そのストリング架設部の
断面形状をT形状としたことにより、打球時に新しいね
じれ変形のバネを生じさせることができ、該バネにより
反発性能を向上させることが出来る。よって、打球面積
をデカラケ程大きくすることなく、また、フレームの厚
さを厚ラケ程厚くすることなく、標準のミッドサイズで
デカラケおよび厚ラケの反発性能を持たせることが出来
る。
【0054】さらに、ストリング架設部の断面をT形状
とすることにより、面内剛性を自由に設計することがで
き、よって、打球面積を大きくしても面内剛性を高く保
持できる。特に、断面T形状として内側面に突起部を設
け、外側面の内周に沿って突起部が“たが”をはめる状
態となり、いままでのラケットにない新しい「たが効
果」を生じさせ、面内安定性を飛躍的に向上させること
が出来る。その結果、反発性能を高めるために打球面積
を大としたデカラケにおいて、コントロール性を良好と
することが出来る。
【0055】さらに、打球時のストリング振動を抑制す
ることができ、打球感を向上させることが出来る等の種
々の利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のテニスラケットの第1実施例を示
し、(I)は正面図、(II)は平面図、(III)は(II)のIII−I
II線断面図、(IV)はストリング架設部の断面図である。
【図2】 本発明のテニスラケットの第2実施例を示
し、(I)は正面図、(II)はストリング架設部の断面図で
ある。
【図3】 本発明のテニスラケットの作用を示し、(I)
はストリング架設部の断面図、(II)は要部平面図であ
る。
【図4】 第1比較例のテニスラケットを示し、(I)は
正面図、(II)は(I)のII−II線断面図である。
【図5】 第2比較例のテニスラケットを示し、(I)は
正面図、(II)は(I)のII−II線断面図である。
【図6】 第3比較例のテニスラケットを示し、(I)は
正面図、(II)は(I)のII−II線断面図である。
【図7】 第4比較例のテニスラケットを示し、(I)は
正面図、(II)は(I)のII−II線断面図である。
【図8】 第5比較例のテニスラケットを示し、(I)は
正面図、(II)は(I)のII−II線断面図である。
【図9】 反発性能テスト方法を示す概略図である。
【図10】 反発係数と打球面積との関係を示す線図で
ある。
【図11】 (I)(II)(III)は剛性テスト方法を示す概略
図である。
【図12】 平圧剛性と打球面積との関係を示す線図で
ある。
【図13】 頂圧剛性と打球面積との関係を示す線図で
ある。
【図14】 側圧剛性と打球面積との関係を示す線図で
ある。
【図15】 (I)(II)(III)はテニスラケットに生じるバ
ネを示す概略図である。
【図16】 (I)(II)(III)従来のテニスラケットのスト
リング架設部の断面図である。
【図17】 標準ミッドサイズラケット、デカラケ、厚
ラケの反発性能を比較する線図である。
【図18】 本発明のラケットの反発性能を従来の標準
ミッドサイズラケットと比較した線図である。
【図19】 長方形の断面剛性を説明するための概略図
である。
【符号の説明】
10 ストリング架設部 11 スロート部 12 シャフト部 13 ストリング 20 縦軸部 21 突起部 h 厚さ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テニスラケットの打球面の全外周にわた
    って、ストリング架設部のフレーム断面形状をT形状と
    し、ストリングが張架される打球面側の内側へ突出させ
    る突起部と該突起部と直交する基部とで構成しているこ
    とを特徴とするテニスラケット。
  2. 【請求項2】 上記ストリング架設部は断面T形状の中
    空体として、その突起部の内側面の中心部と上記基部の
    外側面に貫通するガット穴を設けている請求項1記載の
    テニスラケット。
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