JPH06279951A - 温水器用フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

温水器用フェライト系ステンレス鋼

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JPH06279951A
JPH06279951A JP6784393A JP6784393A JPH06279951A JP H06279951 A JPH06279951 A JP H06279951A JP 6784393 A JP6784393 A JP 6784393A JP 6784393 A JP6784393 A JP 6784393A JP H06279951 A JPH06279951 A JP H06279951A
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JP
Japan
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less
stainless steel
ferritic stainless
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Withdrawn
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JP6784393A
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English (en)
Inventor
Toshiro Adachi
俊郎 足立
Mitsuaki Nishikawa
光昭 西川
Yasuhiro Sugimoto
育弘 杉本
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接隙間部の耐食性に優れ、加工性及び溶接
性も良好な温水器用フェライト系ステンレス鋼を得る。 【構成】 このフェライト系ステンレス鋼は、C:0.
015%以下,Si:0.1〜0.4%,Mn:0.4
%以下,P:0.04%以下,S:0.01%以下,N
i:0.6%以下,Cr18〜25%,Mo:0.8〜
2.5%,N:0.02%以下,Al:0.01〜0.
5%,Nb:0.1〜0.6%及びTi:0.05〜
0.3%,必要に応じCu:0.1〜0.5%及び/又
はZr:0.05〜0.3%を含む。各合金成分間に
は、次の関係を成立させている。 Nb+Ti≧7(C+N)+0.15 B=Cr+3(Mo+Cu)≧23.5% P=5(Ti+Zr)+20(Al−0.01)≧1.
5% H=2.4(Cr−10)+19(Mo−0.01)+
27Si≦67% W=0.5(Si−0.1)+8(Ti−0.05)+
1.5Cu+3Zr−0.01Cr−Mo≧−1.5%

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接隙間部の耐食性に
優れた温水器用フェライト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼は、温水環境で優れた耐食
性を呈し、且つ必要な強度ももっていることから、電気
温水器,貯湯槽等の温水機器用材料として広く使用され
ている。しかし、使用条件によっては腐食を起こし、漏
水の原因となることがある。温水器において最も問題と
なる腐食は、溶接隙間部の腐食である。温水器の溶接隙
間部の腐食を防止するため、Al等の犠牲陽極を設置す
る犠牲防食法,外部電源から防食電流を供給する陰極防
食法等が採用されている。しかし、Alを犠牲陽極とし
て使用すると、Alの腐食生成物によって水が白濁した
り、フィルターに目詰りが生じる等のトラブルが発生し
易い。そのため、より耐食性に優れた鋼材を無防食で使
用することが最近の傾向である。なかでも、電気温水器
缶体のように比較的構造が単純なものでは、塩化物溶液
中での応力腐食割れの危険がほとんどなく、比較的安価
なフェライト系ステンレス鋼の使用が主流となってきて
いる。
【0003】温水器缶体は、その製造段階でロール成
形,フランジ成形,張出し成形等の種々の加工が施され
る。そのため、硬質の材料では、加工割れやスプリング
バック等が大きく、施工が困難になる。また、溶接時の
溶込み不足は継ぎ手強度を低下させるため、溶込み性が
悪いと溶接速度が遅くなる。また、十分な溶込みを得る
ため大きな溶接電流が必要とされ、生産性を阻害した
り、多量の溶接スケールの発生によって耐食性が低下す
ることがある。したがって、温水器用材料には、耐食性
の他に、加工性及び溶接性を考慮した成分設計が要求さ
れる。一般的に、フェライト系ステンレス鋼は、オース
テナイト系ステンレス鋼に比較して加工性及び溶接性に
劣り、溶接によって耐食性が低下する傾向も強い。フェ
ライト系ステンレス鋼の耐食性を改善する手段として、
Crの増量,Moの添加等が採用されている。しかし、
CrやMo含有量の増加は、材料を硬質にし、温水器缶
体の施工を困難にする。
【0004】C及びNを低減することによって、材料を
軟質にすることも知られている。C及びNの低減は、耐
粒界腐食性の向上にも有効である。しかし、C及びNの
低減には、製鋼上で限界があり、商業的及び工業的に到
達することができるC及びNのレベルでは粒界腐食感受
性を完全に無くすことができない現状である。そこで、
温水器として要求される耐食性,加工性及び溶接性を考
慮し、無防食の温水器用材料として低炭素・低窒素18
Cr−2.0Mo−Nb/Ti鋼が使用されるようにな
ってきている。この鋼においては、粒界腐食に及ぼすC
及びNの影響を、C及びNを固定することができるT
i,Nb等の安定化元素を単独又は複合で添加すること
によって抑制している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】低炭素・低窒素18C
r−2.0Mo−Nb/Ti鋼は、耐粒界腐食性に優
れ、加工性及び溶接性もある程度満足できる材料であ
る。しかし、塩素イオンや残留塩素等の腐食性成分を多
量に含む環境で低炭素・低窒素18Cr−2.0Mo−
Nb/Ti鋼を使用すると、溶接隙間部に腐食が発生
し、漏水に至る場合がある。すなわち、この鋼において
も、溶接隙間部の耐食性に関しては未だ十分とはいえな
い。溶接隙間部の耐食性に問題があるのは、次のように
推察される。フェライト系ステンレス鋼は、オーステナ
イト系ステンレス鋼に比較して再不動態化能は強いもの
の、溶接部の耐食性低下が大きい。そのため、酸素の供
給が少ない溶接隙間内では、再不動態化しにくくなる。
そして、一旦腐食が発生すると、腐食の成長を停止させ
ることができない。
【0006】この腐食メカニズムを前提にすると、溶接
隙間部においても再不動態化能に優れ、加工性及び溶接
性も満足する温水器用材料の開発が要求される。本発明
は、このような要求に応えるべく案出されたものであ
り、Alの優先酸化でCr欠乏層が鋼材表層部に形成さ
れることを防止し、再不動態化能が高く維持される合金
設計により、溶接隙間部の耐食性に優れ、加工性及び溶
接性も良好なフェライト系ステンレス鋼を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の温水器用フェラ
イト系ステンレス鋼は、その目的を達成するため、C:
0.015重量%以下,Si:0.1〜0.4重量%,
Mn:0.4重量%以下,P:0.04重量%以下,
S:0.01重量%以下,Ni:0.6重量%以下,C
r18〜25重量%,Mo:0.8〜2.5重量%,
N:0.02重量%以下,Al:0.01〜0.5重量
%,Nb:0.1〜0.6重量%及びTi:0.05〜
0.3重量%を含む。更に、必要に応じてCu:0.1
〜0.5重量%及び/又はZr:0.05〜0.3重量
%を含有させることもできる。
【0008】各合金元素の間には、次の関係を成立させ
る。 Nb+Ti≧7(C+N)+0.15 B=Cr+3(Mo+Cu)≧23.5重量% P=5(Ti+Zr)+20(Al−0.01)≧1.
5重量% H=2.4(Cr−10)+19(Mo−0.01)+
27Si≦67重量% W=0.5(Si−0.1)+8(Ti−0.05)+
1.5Cu+3Zr−0.01Cr−Mo≧−1.5重
量%
【0009】
【作用】本発明者等は、溶接隙間部の再不動態化能に及
ぼす合金元素の影響について、加工性及び溶接性も考慮
した詳細な検討を行ってきた。その結果、溶接隙間部の
再不動態化能は、Cr及びMoの含有量を増加させるこ
とによって向上するが、更にTi及びAlを複合添加す
るとき著しく改善されることを見い出した。再不動態化
能の改善は、Crに比較してTi及びAlが溶接時に優
先的に酸化し、Crの酸化に起因したCr欠乏層が鋼材
表層部に生成することが抑制されることに起因する。し
かし、Ti又はAlの単独添加では、再不動態化能に顕
著な改善はみられない。すなわち、Alの酸化物の標準
生成自由エネルギーは非常に低く、溶接時の雰囲気でA
l酸化物を生成するには酸素ポテンシャルが高すぎる。
しかし、Ti及びAlを複合添加しているとき、Tiの
優先酸化によって酸素ポテンシャルが下げられ、Alの
酸化が容易になる。その結果、Alの酸化皮膜が形成さ
れ、Crの酸化防止に有効に作用する。
【0010】Tiは、このように溶接時にCrが酸化す
ることを防止する上で有効な元素である。しかし、一定
量を超えるTi添加は、鋼材表面に傷を発生させたり、
溶接金属部における侵食を深くする傾向を示す。したが
って、Ti含有量は、必要最小限に設定することが要求
される。Ti添加に対する制約により、Tiの単独添加
で粒界腐食の発生を十分に抑制することができない。そ
こで、耐粒界腐食性を確保するため、更にNbを添加す
る必要がある。Ti及びNbの複合添加は、溶接性の向
上にも有効である。また、適正量のCu及び/又はZr
を添加することにより、再不動態化能が強くなり、溶接
部の耐食性が一層向上する。
【0011】温水器缶体の施工を考慮すると、材料の硬
さは低いほど好ましく、HV9.8Nで180を超えるよう
になると、加工割れやスプリングバックが大きくなる等
の問題が顕在化する。材料を軟質にするには、Siの低
減が有効である。Cr及びMoの増量は、材料を硬質に
する。溶接性の面からは、Siの低減及びMoの増量に
より溶込み性が低下する。この溶込み性の低下は、T
i,Cu及びZrの添加によって抑制される。このよう
にして、本発明によるとき、耐食性のみならず、加工性
及び溶接性に優れた温水器用フェライト系ステンレス鋼
が得られる。必要な特性を得るため、各合金元素の含有
量及び合金元素間の成分関係は、次のように定められ
る。
【0012】C,N: 鋼中に含まれる不可避的成分で
あり、C含有量及びN含有量の低減によって材料が軟質
になり、加工性が向上する。また、炭化物,窒化物の生
成が少なくなることから、溶接性及び溶接部の耐食性が
向上する。この点で、C含有量及びN含有量は低い方が
好ましく、本発明ではそれぞれの上限を0.015重量
%及び0.02重量%と規定した。 Si: 溶接時の溶込み性を向上させる上で、有効な合
金成分である。しかし、材料を硬質にする作用を呈す
る。Si含有量が0.1重量%未満では、溶接時の溶込
み性を悪くし、0.4重量%を超えるSi含有量では、
溶接部の高温割れや靭性低下の原因となる。また、材料
を硬質にすることから、温水器缶体の施工も困難にな
る。したがって、本発明においては、0.1〜0.4重
量%の範囲にSi含有量を定めた。
【0013】Mn: 鋼中に微量に存在するSと結合
し、腐食発生の起点となる可溶性硫化物MnSを生成す
る。しかも、MnSは、再不動態化を弱める作用を呈す
る。このことから、Mn含有量は、低い方が好ましく、
本発明においてはその上限を0.4重量%に規定した。 P: 母材及び溶接部の靭性を劣化させることから、低
い方が望ましい。しかし、含Cr鋼の脱Pは困難であ
り、過度にP含有量を低減することは製造コストの上昇
を招く。そこで、本発明においては、P含有量の上限を
0.04重量%に規定した。 S: Mnと結合し、MnSを生成する。MnSは、腐
食発生の起点となると共に、再不動態化を抑制する悪影
響を及ぼす。しかも、Sによって溶接部の高温割れが助
長される。したがって、S含有量は、低い方が好まし
く、本発明では上限を0.01重量%に規定した。
【0014】Ni: フェライト系ステンレス鋼の靭性
を改善する上で、有効な合金成分である。しかし、多量
にNiを添加することは、鋼材コストを上昇させるばか
りでなく、応力腐食割れの原因にもなる。したがって、
本発明においては、通常のフェライト系ステンレス鋼で
規定されている0.6重量%以下にNi含有量を定め
た。 Cr: フェライト系ステンレス鋼の再不動態化能の高
める上で重要な合金成分であり、溶接部の耐孔食性,耐
隙間腐食性及び一般耐食性を著しく向上させる。これら
耐食性の向上は、Cr含有量18重量%以上で顕著にな
る。しかし、25重量%を超える多量のCrが含有され
ると、材料が硬質化し、温水器缶体の施工が困難にな
る。そのため、本発明においては、Cr含有量を18〜
25重量%の範囲に定めた。
【0015】Mo: Crと共に再不動態化能を高める
有効な合金成分である。Moの効果は、Cr含有量の増
加に応じて大きく現れる。本発明フェライト系ステンレ
ス鋼におけるCr量のレベルでは、Mo含有量0.8重
量%以上で再不動態化能の改善に与える影響が顕著にな
る。しかし、2.5重量%を超える多量のMoが含有さ
れると、材料が硬質化し、溶接時の溶込み性も低下す
る。そのため、温水器缶体の施工が困難になり、生産性
も低下する。したがって、本発明においては、Mo含有
量を0.8〜2.5重量%の範囲に定めた。 Al: 本発明フェライト系ステンレス鋼における重要
な合金成分であり、Tiとの複合添加によって、溶接時
に優先的に酸化皮膜を生成し、Crの酸化を防止する。
その結果、再不動態化能の低下が抑制される。しかし、
0.01重量%未満のAl含有量では、Alの酸化皮膜
が形成されにくい。逆に、0.5重量%を超えるAl含
有量では、鋼材の表面品質が劣化し、溶接性も悪くな
る。したがって、本発明においては、0.01〜0.5
重量%の範囲にAl含有量を定めた。
【0016】Nb: 本発明で規定したC量レベルのフ
ェライト系ステンレス鋼において問題となる粒界腐食を
Tiと共同して防止する不可欠の合金成分である。Nb
添加による効果は、含有量0.1重量%以上で顕著にな
る。しかし、0.6重量%を超えるNb含有量では、溶
接部の靭性が劣化する。したがって、本発明において
は、0.1〜0.6重量%の範囲にNb含有量を定め
た。 Ti: 本発明フェライト系ステンレス鋼における重要
な合金成分であり、Alとの複合添加によって、溶接時
に鋼材の表層部にAlの酸化皮膜を容易に形成させる。
Alの酸化皮膜は、Ti含有量0.05重量%以上で促
進される。Alの酸化皮膜形成によりCrの酸化ロスが
防止され、再不動態化能の低下が抑制される。更に、T
iは、C及びNを固定し耐粒界腐食を向上させる作用を
呈し、溶接時の溶込み性を改善することにも有効であ
る。しかし、0.3重量%を超える多量のTiが含まれ
ると、鋼材の表面品質及び溶接金属部の耐食性が劣化す
る。したがって、本発明においては、Ti含有量を0.
05〜0.3重量%の範囲に定めた。
【0017】Cu,Zr: 本発明フェライト系ステン
レス鋼に必要に応じて添加される合金成分であり、共に
溶接部の耐食性低下を抑制し、溶接時の溶込み性を改善
する。この効果を得るためには、0.1重量%以上のC
u含有量及び/又は0.05重量%以上のZr含有量が
必要である。しかし、CuやZrを多量に添加すると、
溶接部の靭性が阻害される。したがって、Cu含有量及
びZr含有量は、それぞれ上限が0.5重量%及び0.
3重量%に規制される。本発明においては、更に合金成
分の間に以下の関係を成立させる。これら成分間の関係
は、本発明者等が行った多数の実験結果から求められた
ものであり、全てが満足されるときに初めて温水器用材
料として好適な特性をもったフェライト系ステンレス鋼
が得られる。
【0018】Nb+Ti≧7(C+N)+0.15 本発明においては、Tiに、C及びNを固定する作用の
他に、Alの酸化皮膜を優先的に形成させる作用を持た
せている。また、含有量の上限が規定されるTiの作用
を補完するため、Nbを添加している。これら作用は、
フェライト系ステンレス鋼のマトリックスにNb及びT
iが固溶体として存在するときに得られるものである。
そこで、C及びNの固定に消費される量を除いて、十分
な固溶量を確保するため、Nb+Ti≧7(C+N)+
0.15としている。これにより、Tiの酸化に起因し
た鋼材表面における酸素ポテンシャルの上昇によって優
先的なAlの酸化皮膜形成が確実になり。しかも優れた
耐粒界腐食性が得られる。
【0019】B=Cr+3(Mo+Cu)≧23.5 B値は、温水環境において溶接隙間部の耐食性に影響を
与える値である。溶接隙間部の耐食性を改善する上で
は、Cr及びMoが基本成分である。Moによる改善効
果は、Crの3倍程度であり、Cuによる改善効果とほ
ぼ等しい。B値が23.5重量%未満では、溶接隙間部
の十分な耐食性が得られない。
【0020】P=5(Ti+Zr)+20(Al−0.
01)≧1.5重量% P値は、再不動態化能を表す指標である。再不動態化能
の向上においても、Cr,Moの増量及びCuの添加は
有効であるが、更にAl及びTiを複合添加することに
より、溶接時に鋼材表層部におけるAlの酸化皮膜の形
成が容易になる。形成されたAlの酸化皮膜は、鋼材表
層部のCrの酸化損失を防止し、Cr欠乏層の生成を抑
制する。その結果、再不動態化能の低下が防止される。
Zrも、同様に再不動態化能の低下防止に有効に働く。
このような各合金成分の作用を総合的に勘案し、Ti及
びZrとAlとの間にP=5(Ti+Zr)+20(A
l−0.01)で定義されるP値を1.5重量%以上と
するとき、良好な再不動態化能が確保され、溶接隙間部
が腐食から保護される。
【0021】H=2.4(Cr−10)+19(Mo−
0.01)+27Si≦67重量% H値は、温水器缶体の施工に関し、加工を容易にするた
めに必要な指標である。加工性は、材料を硬質にするC
r,Mo,Siにより影響される。特に、Mo及びSi
は、鋼材を著しく硬くする作用を呈し、その影響はCr
の数倍である。本発明の成分系においては、H=2.4
(Cr−10)+19(Mo−0.01)+27Siで
定義されるH値を67重量%以下に維持することによ
り、温水器の施工に際し良好な加工性が得られる。H値
が67重量%を超えると、Cr,Mo,Si等による硬
質化の影響が現れ、施工が困難になる。
【0022】W=0.5(Si−0.1)+8(Ti−
0.05)+1.5Cu+3Zr−0.01Cr−Mo
≧−1.5重量% W値は、スムーズに溶接を行い且つ温水器缶体として必
要な溶接継ぎ手部の強度を得るために必要な指標であ
る。Cr及びMoは、溶融金属の粘性を大きくし、溶接
時の溶込み性を低下させる。他方、Si,Ti,Cu及
びZrは、溶融金属の流動性を増加させ、溶込み性を改
善する。そこで、W=0.5(Si−0.1)+8(T
i−0.05)+1.5Cu+3Zr−0.01Cr−
Moで定義されるW値が−1.5重量%以上となるよう
に、Si,Ti,Cu,Zr,Cr及びMoの間に成分
バランスを図るとき、溶接性が改良され、溶接継ぎ手部
の強度が高くなる。
【0023】
【実施例】化学成分を表1に示した各種ステンレス鋼を
溶製し、熱間圧延により板厚3.5mmの熱延板を製造
した。熱延板を板厚1.0mmまで冷間圧延し1000
〜1050℃で仕上げ焼鈍を施した。表1のAグループ
は、本発明で規定する要件を満足したフェライト系ステ
ンレス鋼であり、何れも固定化元素としてNb及びTi
を複合添加しており、微量元素としてAlを含有してい
る。そのうち、A5はCu含有鋼、A6はZr含有鋼、
A7はCu,Zr含有鋼である。Bグループの比較鋼
も、同様な熱履歴を受けたフェライト系ステンレス鋼で
ある。B1はTi無添加、B2はTi,Al無添加、B
3はNb無添加、B4はAl無添加、B5はB値が低い
材料である。
【表1】
【0024】各焼鈍材の表面を目視観察し、表面傷の発
生状況を調査した。調査結果を、B値,P値,H値,W
値等と対比させて表2に示す。Aグループの鋼材には、
何れも表面傷が検出されなかった。しかし、多量のTi
を含み、H値が74.29重量%と高いB3の鋼では、
表面傷が発生していた。このことから、Tiの過剰添加
は、表面傷の原因になることが判る。本発明に従った成
分設計では、(C+N)量の上限が0.035重量%で
ある。このことから、粒界腐食の発生を防止するために
0.395重量%以上のTiを含有させることが通常要
求される。しかし、このような量でTiを含有させると
き、鋼B3にみられるように表面傷が発生する。本発明
例では、Ti含有量を抑え、Tiの一部をNbで補完し
ている。その結果、Aグループの何れも、表面傷のない
板材に仕上げることができた。
【表2】
【0025】各焼鈍材から切り出した2枚の試験片を重
ね合わせ、電極径5mm,加圧力3000〜4000N
及び溶接電流6500〜7500Aの条件下でスポット
溶接した。溶接された各試験片を、溶接隙間部の再不動
態化能及び耐食性を調査するため浸漬試験に供した。浸
漬試験には、塩素イオンを1000ppmの濃度で加え
た上水を80℃に保持した腐食試験液を使用した。腐食
試験液に、溶接された各試験片を30日間浸漬した。ま
た、腐食性を強めるため、図1に示すように試験片1に
PtめっきしたTi板2を補助カソードとして組み合わ
せ、送気管3から腐食試験液4中に空気を吹き込んだ。
【0026】各試験片の再不動態化能をP値及びB値で
整理した結果を、図2に示す。再不動態化能は、再不動
態皮膜が形成されるまでの時間で判定した。なお、寒天
質の塩橋5を介して照合電極6を試験片1に接続し、試
験片1に流れる腐食電流が1mA未満になったときを再
不動態化皮膜が形成されたものとした。図2から明らか
なように、本発明に従ったAグループの試験片では、何
れも1週間以内に再不動態化していることが判る。他
方、Bグループの試験片では、B3を除き、何れも浸漬
30日間にわたって腐食が進行していた。また、Ti単
独添加鋼B3の試験片でも、P値及びB値に関する条件
を満足するものの、再不動態化するには1週間以上の期
間が必要であった。
【0027】30日間の浸漬後に、各試験片を腐食試験
液から引き上げ、侵食の深さを調査した。そして、最大
侵食深さで各試験片の耐食性を評価した。調査結果を示
す図3から明らかなように、Aグループの試験片は、最
大侵食深さが何れも0.1mm未満となっており、耐食
性に優れていることが判る。これに対し、Bグループの
試験片は、0.1mmを超える深さで侵食されていた。
なかでも、P値が低いB1及びB2の試験片は、深さ
0.2mm近くまで侵食が進行していた。溶接時の溶込
み性を調査するため、各焼鈍材から切り出された試験片
をTIG溶接し、トーチシール側及びバックシール側に
おける溶接金属部の幅を測定した。TIG溶接は板厚
1.0mmの試験片にビードオンプレートで行い、溶接
速度50cm/分,溶接電流80A,電極径1.6mm
の溶接条件を採用した。また、トーチシール側及びバッ
クシール側共に、流量10リットル/分のアルゴンでガ
スシールした。測定された溶接金属部の幅を、W値で整
理して図4に示す。図4において、丸印はトーチシール
側における溶接金属部の幅を、三角印はバックシール側
における溶接金属部の幅を示す。丸印と三角印が接近し
ているほど、溶込み性が良好であることを示す。
【0028】Aグループの試験片に形成された溶接金属
部は、何れもバックシール側の幅が1.9mm以上とな
っており、トーチシール側とバックシール側との間で幅
の差が小さくなっている。このことから、本発明に従っ
たAグループは、溶込み性が溶鋼であることが判る。こ
れに対し、Bグループの試験片に形成された溶接金属部
のうち、B1,B4及びB5では、バックシール側の幅
が1.0mm前後と狭く、トーチシール側との間に大き
な幅の差が生じている。B3では、トーチシール側とバ
ックシール側との間で幅の差が小さくなっているもの
の、Tiの過剰添加によって溶接金属部の幅が狭くなっ
ている傾向が窺われる。各試験片の加工性を調査するた
め、硬さを測定した。測定は、ビッカース硬度計を使用
し、加圧力9.8Nで行った。測定結果をH値で整理し
て、図5に示す。Aグループの試験片は、何れも硬さが
HV9.8Nで180未満になっており、加工性が良好であ
ることが判る。
【0029】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のフェラ
イト系ステンレス鋼は、温水環境で主な腐食要因となる
塩化物溶液中でも優れた再不動態化能を呈し、且つ加工
性及び溶接性も良好で、温水器用材料として適してい
る。このフェライト系ステンレス鋼は、Tiを多量に添
加した鋼に比較して表面傷が発生しにくいため、冷延工
程での歩留りが高く、比較的安価に製造することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 腐食試験液に試験片を浸漬した状態
【図2】 P値及びB値が再不動態化能に与える影響を
表したグラフ
【図3】 浸漬試験後に各試験片に発生した侵食の最大
深さ
【図4】 トーチシール側とバックシール側との溶接金
属部の幅差で溶接時の溶込み性を評価したグラフ
【図5】 フェライト系ステンレス鋼の硬さに及ぼすH
値の影響を表したグラフ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.015重量%以下,Si:0.
    1〜0.4重量%,Mn:0.4重量%以下,P:0.
    04重量%以下,S:0.01重量%以下,Ni:0.
    6重量%以下,Cr18〜25重量%,Mo:0.8〜
    2.5重量%,N:0.02重量%以下,Al:0.0
    1〜0.5重量%,Nb:0.1〜0.6重量%及びT
    i:0.05〜0.3重量%を含み、Nb+Ti≧7
    (C+N)+0.15を満足し、且つB1 =Cr+3M
    oで定義されるB1 値が23.5重量%以上,P1 =5
    Ti+20(Al−0.01)で定義されるP1 値が
    1.5重量%以上,H=2.4(Cr−10)+19
    (Mo−0.01)+27Siで定義されるH値が67
    重量%以下,W1 =0.5(Si−0.1)+8(Ti
    −0.05)−0.01Cr−Moで定義されるW1
    が−1.5重量%以上である温水器用フェライト系ステ
    ンレス鋼。
  2. 【請求項2】 C:0.015重量%以下,Si:0.
    1〜0.4重量%,Mn:0.4重量%以下,P:0.
    04重量%以下,S:0.01重量%以下,Ni:0.
    6重量%以下,Cr18〜25重量%,Mo:0.8〜
    2.5重量%,N:0.02重量%以下,Al:0.0
    1〜0.5重量%,Nb:0.1〜0.6重量%,T
    i:0.05〜0.3重量%及びCu:0.1〜0.5
    重量%を含み、Nb+Ti≧7(C+N)+0.15を
    満足し、且つB2 =Cr+3(Mo+Cu)で定義され
    るB2 値が23.5重量%以上,P1 =5Ti+20
    (Al−0.01)で定義されるP1 値が1.5重量%
    以上,H=2.4(Cr−10)+19(Mo−0.0
    1)+27Siで定義されるH値が67重量%以下,W
    2 =0.5(Si−0.1)+8(Ti−0.05)+
    1.5Cu−0.01Cr−Moで定義されるW1 値が
    −1.5重量%以上である温水器用フェライト系ステン
    レス鋼。
  3. 【請求項3】 C:0.015重量%以下,Si:0.
    1〜0.4重量%,Mn:0.4重量%以下,P:0.
    04重量%以下,S:0.01重量%以下,Ni:0.
    6重量%以下,Cr18〜25重量%,Mo:0.8〜
    2.5重量%,N:0.02重量%以下,Al:0.0
    1〜0.5重量%,Nb:0.1〜0.6重量%,T
    i:0.05〜0.3重量%及びZr:0.05〜0.
    3重量%を含み、Nb+Ti≧7(C+N)+0.15
    を満足し、且つB1 =Cr+3Moで定義されるB1
    が23.5重量%以上,P2 =5(Ti+Zr)+20
    (Al−0.01)で定義されるP2 値が1.5重量%
    以上,H=2.4(Cr−10)+19(Mo−0.0
    1)+27Siで定義されるH値が67重量%以下,W
    2 =0.5(Si−0.1)+8(Ti−0.05)+
    3Zr−0.01Cr−Moで定義されるW2 値が−
    1.5重量%以上である温水器用フェライト系ステンレ
    ス鋼。
  4. 【請求項4】 C:0.015重量%以下,Si:0.
    1〜0.4重量%,Mn:0.4重量%以下,P:0.
    04重量%以下,S:0.01重量%以下,Ni:0.
    6重量%以下,Cr18〜25重量%,Mo:0.8〜
    2.5重量%,N:0.02重量%以下,Al:0.0
    1〜0.5重量%,Nb:0.1〜0.6重量%,T
    i:0.05〜0.3重量%,Cu:0.1〜0.5重
    量%及びZr:0.05〜0.3重量%を含み、Nb+
    Ti≧7(C+N)+0.15を満足し、且つB2 =C
    r+3(Mo+Cu)で定義されるB2 値が23.5重
    量%以上,P2 =5(Ti+Zr)+20(Al−0.
    01)で定義されるP2 値が1.5重量%以上,H=
    2.4(Cr−10)+19(Mo−0.01)+27
    Siで定義されるH値が67重量%以下,W3 =0.5
    (Si−0.1)+8(Ti−0.05)+1.5Cu
    +3Zr−0.01Cr−Moで定義されるW3 値が−
    1.5重量%以上である温水器用フェライト系ステンレ
    ス鋼。
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