JPH06317566A - 光音響分析方法および装置並びにこれを利用した血液成分測定装置 - Google Patents

光音響分析方法および装置並びにこれを利用した血液成分測定装置

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JPH06317566A
JPH06317566A JP5105224A JP10522493A JPH06317566A JP H06317566 A JPH06317566 A JP H06317566A JP 5105224 A JP5105224 A JP 5105224A JP 10522493 A JP10522493 A JP 10522493A JP H06317566 A JPH06317566 A JP H06317566A
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photoacoustic
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JP5105224A
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Osamu Ozawa
理 小沢
Kageyoshi Katakura
景義 片倉
Hideki Kanbara
秀記 神原
Hideaki Koizumi
英明 小泉
Yoshio Watanabe
吉雄 渡辺
Yutaka Masuzawa
裕 鱒沢
Yuji Miyahara
裕二 宮原
Toshiko Fujii
稔子 藤井
Kotaro Yamashita
浩太郎 山下
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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    • A61B5/0093Detecting, measuring or recording by applying one single type of energy and measuring its conversion into another type of energy
    • A61B5/0095Detecting, measuring or recording by applying one single type of energy and measuring its conversion into another type of energy by applying light and detecting acoustic waves, i.e. photoacoustic measurements

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光音響分析により生体内における血液中の成
分を直接測定する際、血液以外の組織等に含まれる成分
の影響を除去して、血液中の成分の正確な分析を行うこ
とを可能とする光音響分析方法および装置並びにこれを
利用する非侵襲血液成分分析装置を提供すること。 【構成】 光を吸収した成分が、無放射遷移により失活
する際に生成する熱を音響波の形で周囲に放射する現象
を観測することにより分析を行う光音響分析方法におい
て、受信した音響信号のうち、光源の変調周波数から周
波数偏移した信号成分を検出することにより、試料中の
速度を有する成分を選択的に定量することを特徴とする
光音響分析方法および装置並びにこれを利用する非侵襲
血液成分分析装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光音響分析方法および
装置並びにこれを利用して血液中の成分を採血すること
なく分析する非侵襲血液成分分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光音響分析装置を用いて血液中の
成分分析を行うに際しては、例えば、Science,181,pp.
657-658,(1973)に記載されているように、被検体である
患者の血液を採血し、体外に取り出してから測定するの
が一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、採血は患者の
苦痛や衰弱の原因となるばかりでなく、血液試料を取扱
う際に、看護婦や検査技師への感染の危険性が伴うこと
もあり、できれば採血することなしに分析することが望
ましい。また、採血を行って分析する場合は、一般に、
採血,坑凝固剤との混和,血球分離,分析装置への試料
の分注等、実際に分析が開始されるまでに多くの作業が
必要なため、時間がかかるばかりでなく、誤操作による
誤差が生じる可能性がある。更に、化学的,生物学的に
不安定な成分や、血球などにより消費または(代謝によ
り)放出されやすい成分などは、採血から血球分離や測
定までの時間が長かったり、保管方法が適切でない場
合、測定時の濃度が血液中での濃度を正しく反映しない
可能性もある。従って、採血せずに生体内の血液中の成
分を生体内でそのまま測定できれば理想的である。しか
し、血管内の血液を取り出さず、光音響分析装置を用い
て直接測定しようとすると、血液以外の生体組織等に含
まれる成分が大きな誤差を与えてしまい、正確な分析が
行えないという問題があった。本発明は上記事情に鑑み
てなされたもので、その目的とするところは、従来の技
術における上述の如き問題を解消し、光音響分析で生体
内における血液中の成分を採血せずに直接測定する際、
血液以外の組織等に含まれる成分の影響を除去して、血
液中の成分の正確な分析を行うことを可能とする光音響
分析方法および装置並びにこれを利用する非侵襲血液成
分分析装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、光
を吸収した成分が、無放射遷移により失活する際に生成
する熱を音響波の形で周囲に放射する現象を観測するこ
とにより分析を行う光音響分析方法において、受信した
音響信号のうち、光源の変調周波数から周波数偏移した
信号成分を検出することにより、試料中の速度を有する
成分を選択的に定量することを特徴とする光音響分析方
法および装置並びにこれを利用する非侵襲血液成分分析
装置によって達成される。
【0005】
【作用】本発明に係る光音響分析方法においては、光を
吸収した成分が無放射遷移により失活する際、熱を生成
してそれを音響波の形で周囲に放射する現象を観測し、
この熱変換に要する時間より充分長い周期で光源光を変
調し、この変調周波数成分の音響信号を検出することに
より、静止している成分の分析を行う。一方、生体内に
おける血液中の成分は、血流あるいは脈波により、一般
に速度を有するので、検出器をこの速度ベクトルに対し
て垂直以外の方向に設置して観測することにより、血液
中の成分から発せられる音響波のドプラ効果による周波
数偏移(ドプラシフト)を観測することが可能となる。従
って、得られる音響信号のうち、この周波数偏移した成
分を分離して検出,定量することにより、血液以外の組
織等に含まれる成分の影響を除去して、血液中の成分の
正確な非侵襲分析を行うことができる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図1は、本発明に係る光音響分析方法を適
用した光音響分析装置の第1の実施例の構成を示す概念
図である。まず、本実施例の構成を説明する。図1にお
いて、1は光源、2は波長選別装置、3は光遮断装置、
4は発振器、5はビーム分割器、6は光音響セル、7は
生体、8は血管、9は血液、10は音響検出器、11は
増幅器、12は周波数差検出器、13は基準光検出器、
14は増幅器、15は周波数分析装置、16は中央制御
装置を示している。なお、音響検出器10は、血管8の
測定部位における血流方向に対して垂直とならないよう
に設置されている。次に、本実施例の動作の概略を説明
する。本実施例に係る光音響分析装置においては、血中
成分の代表例として、グルコースを測定対象としてい
る。光源1と波長選別装置2との組合せにより、測定対
象であるグルコースが吸収する波長の光を得て、光遮断
装置3により断続する光(パルス光)に変調する。
【0007】この光遮断装置3は、直接には発振器4に
より制御され、この発振器4の出力がパルス光の点滅を
決定する。本実施例では、この発振器4を連続的に発振
させることにより、一定の周期で断続するパルス光を連
続的に発生させている。ビーム分割器5により、このパ
ルス光の一部を光音響セル6に導く。この光波の一部
は、生体7を透過して、血管8内を流れる血液9中の測
定対象成分(本実施例においては、グルコース)に吸収さ
れ、光音響放射を誘起する。放射された光音響波を光音
響セル6内の音響検出器10により電気信号に変換し、
増幅器11により増幅・波形整形した後、周波数差検出
器12の入力とする。この際、血管8を流れる血液9
は、光音響検出器10に対して速度を有するため、血中
の成分から発せられる光音響信号は、血流速(の検出器
方向成分)に応じた周波数偏移(ドプラシフト)を生じ
る。
【0008】一方、血液中ばかりでなく、光路内の生体
組織等に含まれるグルコースからも同様のメカニズムに
より光音響波が放射されるが、生体組織は速度を有しな
いため、生体組織に含まれるグルコースからの光音響信
号は周波数偏移を生じない。ハーフミラー5からのもう
一方の光波を、基準光検出器13により光電変換した
後、増幅器14により増幅・波形整形し、基準信号とし
て周波数差検出器12に入力する。周波数差検出器12
は、この基準光の周波数に対する光音響信号の周波数偏
移を検出・出力し、これを、更に周波数分析装置15で
解析することにより、ドプラシフトの周波数スペクトル
が得られる。中央制御装置16により、このスペクトル
のうち血流速に応じた周波数偏移を有する成分を検出・
定量することにより、血液以外の組織等に含まれる成分
の影響を除去して、血液中の成分の正確な分析を行うこ
とができる。
【0009】以下、本実施例の各構成要素について、詳
細に説明する。光音響分析に使用する光波の波長として
は、生体組織による吸収と比較して、測定対象成分の吸
収が十分大きい波長が好適に用いられる。本実施例で
は、特開昭60-236631号 公報に開示されているのと同様
に、グルコースの近赤外領域における2280nmの吸収を用
いて光音響分析を行った。このような波長の光を放出す
る光源1として、上記公知例と同様に色温度が3300°K
のハロゲンランプを使用している。当然ながら、グルコ
−スの測定には、上記以外のグルコ−スの吸収波長、例
えば、1575nm,1765nm,2100nmもしくは2290nm付近の吸収
ピ−クを用いても良く、また、他の成分の分析には、そ
の成分の吸収波長を用いればよい。例えば、他の成分の
例としてはヘモグロビン,コレステロール,尿素,トリグ
リセライド,血漿たん白質等があり、それぞれ、700nm,1
720nm,6760nm,6990nm,6060nm等に 吸収ピークがある。
【0010】本実施例では、波長選別装置2として、上
記公知例と同様に、モノクロメータを使用している。な
お、光音響分析に使用する光波を得る手段は、光源1と
波長選別装置2との組合せには限らない。例えば、目的
とする波長の単色光を発生するレーザを使用してもよ
い。このようなレーザとしては、各種の半導体レーザが
好適に用いられる。この他、ガスレーザと色素レーザと
の組合せも使用できる。もちろん、測定対象成分の吸収
が、生体組織による吸収と比較して十分大きければ他の
波長も使用可能であり、モノクロメータの制御もしくは
単色光源の選択により、その波長の光波を得れば良い。
ところで、ドプラシフトが生じるためには、同一の血流
セグメントから少なくとも2回光音響放射が発生しなけ
ればならない。
【0011】従って、光束の幅Wに関し、血流速度Vと
光変調の周波数fとを用いて、 W>(V/f) ・・・・(1) という条件が満たされる必要がある。当然のことなが
ら、上述の光束の幅Wに関する制約は、流路と平行な方
向について規定するものであり、流路と直角な方向につ
いては、光束の幅は上述の値以下であっても良い。本実
施例では、光遮断装置3として、電気光学光変調器を用
いた。同様の効果は、超音波光変調器を使用しても得ら
れる。また、より低い変調周波数を用いる場合には、機
械式の回転チョッパを使用したり、光遮断装置を用いる
代わりに、光源を直接輝度変調する電源変調方式を用い
てもよい。本実施例では、発振器4として、水晶発振器
を原発振器とし、それを中央制御装置からの指示により
希望する周波数に逓減し、波形整形して基本パルスの連
なり(搬送波)として出力するプログラマブルオシレータ
を使用している。
【0012】本実施例では、この搬送波の周波数fは、
f=200kHz、デューティ比は50%とした。搬送波の周
期に関しては、1周期のうち、無光状態の期間が光音響
放射の熱失活に要する時間より充分長いことが必要条件
である。しかし、光波のエネルギーを十分大きく保つた
めには、デューティ比を極端に低下させるのは好ましく
ない。また、光の拡散長は周波数の-1/2乗に比例するた
め、皮膚表面から血管までの距離が長い場合は、周波数
を低くした方が大きな信号が得られる。もちろん、以上
の条件が許す限り、別の周波数,別のデューティ比でも
同様に使用可能である。なお、後に述べる他の実施例に
おける場合のように、この発信器4は、中央制御装置1
4の指示により、任意のシーケンスで搬送波を変調して
パルスの列(パルストレイン)を発生させることもできる
が、本実施例では、搬送波は変調せず、基本パルスを単
純に繰り返し発生させて使用している。
【0013】本実施例では、ビーム分割器5として、石
英にアルミニウムを蒸着し、透過率(光音響セル方向)95
%、反射率(基準光検出器方向)5%としたものを用い
た。光源からの光波を、光音響セルだけでなく基準光検
出器へも導ければ、他の材料,他の透過率のものを用い
てもよい。本実施例では、光音響セル6の光の導入部の
材料として、石英を用いたが、光源の波長の光をよく通
す材料であれば、他の材料を用いてもよい。また、下記
の第2の実施例のように、この材料を用いて光学ファイ
バを形成し、光音響セルの光の導入部だけに使用するば
かりでなく、ビーム分割器5と光音響セル6との間の光
伝送にも、この光学ファイバを使用することにより、光
音響セルの配置に柔軟性を持たせることも可能である。
この場合、この光学ファイバと音響検出器10とを特定
の位置,特定の角度で固定可能な治具を使用するのが好
ましい。この治具を使用することにより、両者の空間的
配置を再現性良く規定できる。
【0014】本実施例では、生体7の測定部位として、
上腕手首部,血管8として静脈を用いた。血管として
は、体表面からの距離が短く、内径の太いものを選択す
ることにより、血液への照射光強度を強め、また、多く
測定対象物質からの光音響信号が生じるので、高い感度
が得られる。体表面からの距離が十分短く、また、太さ
も十分太ければ、別の部位の静脈あるいは動脈を用いて
もよい。本実施例では、音響検出器10として、PbZr
3-PbTiO3系 圧電セラミクスと発泡ウレタンとを組
み合わせた複合圧電素子を、圧電材料として用いた。圧
電セラミクスと発泡ウレタンとの混合比率を最適化する
ことにより、音響インピーダンスが人体のそれ(1.5M Ra
yls)に近く、また電気機械結合係数の高い材料が得られ
る。圧電材料としては、この他にも、圧電セラミクスや
高分子圧電材料を単独で用いることも可能である。この
圧電材料の前面に音響レンズと音響整合層を設け、ま
た、背面に背面負荷を設けることにより、音響検出器を
構成した。音響検出器としては、また、エレクトレット
コンデンサ等を、受感素子として用いるマイクロホン
も、使用可能である。
【0015】なお、一般に、血流に対する観測角度(測
定部位から音響検出器へのベクトルが血流ベクトルとな
す角)がθであるとき、光音響信号のドプラシフトの大
きさfdは、光源を変調する搬送波の周波数f、血流速
v(検出器方向を正とする)、血液中での音速c(≒1500m
/s)を用いて、 fd=(vfcosθ)/(c−vcosθ)≒(vfcosθ)/c ・・・・(2) と表わされる。本実施例における血流に対する観測角度
θは約30°であり、静脈での血流速が約0.2m/sであった
ため、fd≒23Hzのドプラシフトが生じる。本実施例
では、周波数差検出器12として、混合回路17,低域
通過フィルタ18,高域通過フィルタ19から成るもの
を使用している。この回路の前半は、無線における復調
回路と同様に動作する。
【0016】つまり、基準光検出器からの角周波数ω=
2πfの搬送波(Bsin(ωt))とドプラ角周波数成分ωd
=2πfdを含む 光音響信号(Acos(ω+ωd)t)とを、
混合回路17により掛け合わせ(2乗検波)、低域通過フ
ィルタ18により不要な高周波成分を除去することによ
り、両信号の差周波数であるAB/2sin(ωdt)、つま
り、ドプラシフト信号が得られる。周波数差検出器の他
の構成法としては、上述の各構成要素をそれぞれ2つず
つ用いて2系列の回路を構成し、各系列に対して発振器
4から互いに90°位相が異なる基準信号を供給する90°
位相差検波方式も可能である。この場合、出力としてA
B/2sin(ωdt)およびAB/2cos(ωdt)の 2種のド
プラシフト信号がそれぞれ得られるため、ωdの絶対値
だけでなく符号も得ることができる。高域通過フィルタ
19は心臓壁や弁運動による低周波のドプラ信号や静止
物体からのDC信号を除去するためのもので、本実施例
では遮断周波数0.1Hz、3次のフィルタを用いた。
【0017】本実施例では基準信号を得るためにハーフ
ミラー5と基準光検出器13の組合せを用いたが、光遮
断装置3自体から十分正確な基準信号が得られる場合
は、それを直接周波数差検出器12へ入力してもよい。
本実施例では周波数分析装置15として、A/Dコンバ
ータを内蔵し高速フーリエ変換法を用いるデジタル式周
波数分析装置を用いたが、そのほかの原理に基づく周波
数分析方法を用いても、同様にドプラシフトの周波数ス
ペクトルが得られる。中央制御装置16は、上記各構成
要素をオペレータの指示に基づき制御する。これによっ
て得られたドプラシフトの周波数スペクトルを模式的に
示したのが、図6である。23Hz付近に 光音響信号の
ピークが見られるが、この周波数は、前述の如く、静脈
の血流速vに対応するドプラシフトであり、このピーク
強度が静脈中のグルコースの濃度に対応する。一方、0
Hz付近にも、やや 大きな光音響信号が見られるが、こ
れは組織などに含まれる静止したグルコースによる信号
のうち、高域透過フィルタ19によっても除去し切れな
かった成分である。
【0018】しかし、両ピークは、周波数軸上で良好に
分離しているため、中央制御装置のプログラムまたはオ
ペレータの指示等により、容易に前者から後者を分離し
て検出,定量することができる。これは、すなわち、血
液以外の組織等に含まれる成分の影響を除去して、血液
中のグルコースの正確な分析が行えることを意味する。
なお、従来公知の技術では、ドプラシフトの影響を考慮
せず、周波数偏移した成分としない成分の和を観測する
ことになるが、この場合は、血液中のグルコースと組織
中のグルコースとを区別できず、大きな誤差を生ずる原
因となる。なお、本実施例では,静脈血を観測したため
血流速は脈の影響をほとんど受けず、ほぼ一定であった
が、動脈血を観測する場合は、検出した血流速の時間変
化を追跡し、脈と同期した信号解析を行うことにより、
分析精度を向上することも可能である。また、脈を他の
手法により観測し、それと同期させた信号解析を行うこ
とも、当然可能である。
【0019】本実施例特有の効果としては、光源変調用
の信号として、基本パルスを単純に繰り返し発生させた
搬送波をそのまま使用することにより、信号の発生およ
び処理が簡単であること、また、血流速度に関する制限
がないことである。次に、本発明の第2の実施例につい
て説明する。図3は、第2の実施例の構成を示す概念図
である。第2の実施例と第1の実施例との構成上の主な
相違点は、ハーフミラー5を使用しないことと、サンプ
リングパルス発生回路20を新たに使用し、周波数差検
出回路として内部構成の異なるもの(12’)使用するこ
とである。また、細部の相違点としては、光遮断装置3
と生体7との間を光学ファイバ21で結合したことと、
ハーフミラーの省略に伴う基準光検出器13と増幅器1
4の省略である。図4は、第2の実施例で用いる周波数
差検出回路12’の構成を示す概念図であり、混合回路
17’,低域通過フィルタ18’,サンプルホールド回
路22,帯域通過フィルタ23とから構成される。次
に、第2の実施例の動作を図3,図4を用いて説明す
る。
【0020】本実施例では、基本的には第1の実施例と
同様の構成部品を用いたが、発振器4に単純な繰り返し
パルス(搬送波)を生成させて、周波数差検出回路12’
に供給するだけでなく、その第2の出力として、中央制
御装置16からの送信ゲート信号に基づき、この搬送波
を変調したパルスの列(パルストレイン)生成させた。本
実施例では、搬送波の 周波数fを1MHz、デューティ
比を50%、パルストレインの発生間隔を決定するパルス
繰り返し周波数(PRF)として 2KHzを採用した。ま
た、各パルストレイン当たりのパルス数を50としたた
め、パルス持続時間は50nsである。このようなトーンバ
ースト様の発振器4の第2の出力を用いて光遮断装置3
を制御したため、その出力光も同様のパルス列からなる
間欠的断続光波となる。
【0021】本実施例では、この光波を、光学ファイバ
21で光音響セル6に直接導くことにより、装置配置の
自由度が高まり、また、光損失を低減することができ
る。生体7中の血管8に照射された光波により、血液中
のグルコースが励起されて光音響放射を行い、これを音
響検出器10,増幅器11,混合回路17’,低域通過
フィルタ18’を通して、ドプラシフト信号を得る点
は、第1の実施例とほぼ共通である。一方、中央制御装
置16からの送信ゲート信号をサンプリングパルス発生
回路20に入力すると、可変自在なディレイの働きによ
り、特定時間後に特定幅の受信ゲート信号が生成され
る。この受信ゲート信号を用いて、サンプルホールド回
路22は、低域通過フィルタ18’からのドプラシフト
信号をサンプル,ホールドする。このことの物理的な意
味は、このディレイ時間に対応する特定の距離(深度)に
ある、受信ゲート信号の幅に対応する特定のサンプリン
グ体積からの情報だけを選択できる点にある。
【0022】本実施例では、この後の帯域通過フィルタ
23での波形整形後の処理として、第1の実施例と同様
の方法を用いたので、やはり、血液以外の組織等に含ま
れる成分の影響を除去して、血液中のグルコースの正確
な分析を行うことができる。本実施例固有の効果の第1
は、光学ファイバ21を用いて光波を光音響セル6に直
接導くことにより、装置配置の自由度が高まり、また、
光損失を低減できることである。本実施例固有の効果の
第2は、光源をパルス変調し、特定時間のディレイによ
るサンプリングを行うことにより、特定深度にある速度
を有する成分だけを、選択的に分析できることである。
第3の実施例では、上述の第2の実施例とほぼ同様の構
成を用いたが、基準信号との混合による周波数差検出
や、帯域通過フィルタ23で波形整形した後の周波数分
析を省略して、単にサンプリングにより得られた信号強
度の平均値を観測した。この第3の実施例固有の特長
は、特定深度にある成分のみを選択的に分析できること
である。
【0023】更に、第4の実施例では、上述の第3の実
施例とほぼ同様の構成を用いたが、サンプリングパルス
発生回路20として、可変自在な複数のディレイの働き
により、特定時間後に特定幅のパルスを複数個、それぞ
れ別個の出力端子から生成するものを使用した。更に、
サンプルホールド回路22およびそれ以降の回路を複数
個並列に用いて、各受信ゲート信号ごとにそれぞれの信
号強度の平均値を観測した。各ゲート信号のディレイ時
間と生体中の音速(約1530m/s)との積とから光音響信
号の信号源と音響検出器との距離が算出でき、更に、光
照射部位と音響検出器との距離を用いて、信号源の深度
が求められる。このようにして求めた各ディレイ時間に
対応する深度ごとの光音響信号の例を模式的に図7に示
した。約1.5mmと約2.3mmを中心とする2つの深度か
らの信号ピークが観測されているが、それぞれ、別の静
脈を流れる血液中のグルコースに由来する光音響信号で
ある。なお、ベースラインは、組織中に含まれるグルコ
ースに由来する。
【0024】本実施例固有の特徴は、試料中の光路に沿
った一次元の情報を一度に得ることができることであ
る。また、組織中の成分と血液中の成分とを深度の差を
利用して検出,定量できるという効果もある。なお、デ
ータ処理の速度が十分大きければ、複数の受信ゲート信
号に対応する別々の処理を一つの回路を時分割で使用し
て、最終的な出力は見かけ上同時に得ることも可能であ
る。この場合は、サンプリングパルス発生回路20から
の複数個の受信ゲート信号は単一の出力端子から生成
し、サンプルホールド回路22およびそれ以降の回路も
一組でよいため、構成が簡単になるという特長がある。
本発明の第5の実施例は、上記第4の実施例のごとく複
数の受信ゲート信号を用いるものの、その他の構成は第
2の実施例と同様として、各深度における光音響信号の
周波数偏移を独立に検出、定量した。本実施例固有の効
果は、血液以外の組織等に含まれる成分の影響を除去し
て、血液中の成分の正確な分析を各深度毎について同時
に行うことができることである。
【0025】本発明の第6,第7および第8の実施例
は、それぞれ、上記第1,第3および第5の実施例と同
様の構成を用い、その使用方法を、以下のようにしたも
のである。すなわち、上述の実施例では、周波数分析の
際、特定の試料速度に対応するドプラシフトを生じた周
波数成分のみを検出したが、周波数スペクトル全体を用
いて、試料中の成分量の速度分布を計測することが可能
である。第6,第7および第8の実施例それぞれ固有の
効果の第1は、試料中の成分の速度分布を計測できるこ
とである。各実施例それぞれ固有の効果の第2は、試料
中の速度を有する成分の速度がたとえ変化したとして
も、速度の変化と成分量の変化とを容易に切り分けて観
測できることである。次に、本発明に係る第9の実施例
を、図5を用いて説明する。図5は、本発明第9の実施
例の構成を示す概念図である。本実施例は、基本的には
前記第2の実施例と同様の構成を用いるが、図5に示す
ように、光源1,波長選別装置2,光遮断装置3の他に
もう一組光源1’,波長選別装置2’,光遮断装置3’
を用いて、各組の出力を、混合器24を用いて同一光路
上に導入した点が異なる。
【0026】本実施例の光源1および波長選別装置2の
組合せからは、前第2の実施例と同様に、目的成分であ
るグルコースの吸収波長である2280nmの光波を発生さ
せ、光源1’および波長選別装置2’の組合せからは、
溶媒である水の吸収波長である980nmの光波を 発生させ
た。発振器からは、光遮断装置3および3’に、位相の
180°ずれた 制御信号を送ることにより、目的成分を励
起する光波と溶媒を励起する光波とを交互に(時分割で)
同一の光路に沿って試料に照射した。光音響放射の検出
と解析は、第2の実施例とほぼ同様の手順で行ったが、
発振器から光遮断装置への制御信号の位相に応じて、目
的成分および溶媒に対してそれぞれ独立に検出,解析を
行い、最終的に前者を後者で除した値を出力させた。本
実施例固有の効果は、単位溶媒量当たりの目的成分量、
すなわち目的成分の溶媒中の濃度を測定できることであ
る。なお、上述の原理を本発明の第2の実施例ばかりで
なく他の実施例に適用することにより、目的成分の量だ
けでなく、濃度を同様に測定することができる。
【0027】なお、上記実施例は本発明の一例を示した
ものであり、本発明はこれに限定されるべきものではな
いことは言うまでもないことである。
【0028】
【発明の効果】以上、詳細に説明した如く、本発明によ
れば、光音響分析により生体内における血液中の成分を
直接測定する際、受信音響信号のうち、光源の変調周波
数から周波数偏移(ドプラシフト)した音響信号成分を検
出,定量することにより、血液以外の組織等に含まれる
成分の影響を除去して、血液中の成分の正確な分析を行
うことができるという顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光音響分析装置の第1の実施例の
構成概念図である。
【図2】本発明による光音響分析装置の第1の実施例に
おける周波数差検出器の構成概念図である。
【図3】本発明による光音響分析装置の第2の実施例の
構成概念図である。
【図4】本発明による光音響分析装置の第2の実施例に
おける周波数差検出器の構成概念図である。
【図5】本発明による光音響分析装置の第9の実施例の
構成概念図である。
【図6】本発明による光音響分析装置の第1の実施例に
よって得られる光音響信号のドプラシフトの周波数スペ
クトルの模式図である。
【図7】本発明による光音響分析装置の第4の実施例に
よって得られる光音響信号の深度分布の模式図である。
【符号の説明】
1,1':光源、2,2':波長選別装置、3,3':光
遮断装置、4:発振器、5:ビーム分割器、6:光音響
セル、7:生体、8:血管、9:血液、10:音響検出
器、11:増幅器、12,12’:周波数差検出器、1
3:基準光検出器、14:増幅器、15:周波数分析装
置、16:中央制御装置、17,17':混合回路、1
8,18':低域通過フィルタ、19:高域通過フィル
タ、20:サンプリングパルス発生回路、21:光学フ
ァイバ、22:サンプルホールド回路、23:帯域通過
フィルタ、24:混合器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小泉 英明 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 渡辺 吉雄 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 鱒沢 裕 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 宮原 裕二 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 藤井 稔子 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 山下 浩太郎 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を吸収した成分が、無放射遷移により
    失活する際に生成する熱を音響波の形で周囲に放射する
    現象を観測することにより分析を行う光音響分析方法に
    おいて、受信した音響信号のうち、光源の変調周波数か
    ら周波数偏移した信号成分を検出することにより、試料
    中の速度を有する成分を選択的に定量することを特徴と
    する光音響分析方法。
  2. 【請求項2】 前記光源の変調に用いる搬送波を送信ゲ
    ート信号を用いてパルス変調し、前記送信ゲート信号を
    時間遅延させて得た受信ゲート信号により受信信号をサ
    ンプルすることにより、特定深度からの信号を選択的に
    測定することを特徴とする請求項1記載の光音響分析方
    法。
  3. 【請求項3】 前記光源の変調に用いる搬送波を送信ゲ
    ート信号を用いてパルス変調し、前記送信ゲート信号を
    時間遅延させて得た受信ゲート信号により受信信号をサ
    ンプルし、光源の変調周波数から周波数偏移した信号成
    分を検出することにより、特定深度において速度を有す
    る成分を選択的に定量することを特徴とする請求項1記
    載の光音響分析方法。
  4. 【請求項4】 前記光源の変調に用いる搬送波を送信ゲ
    ート信号を用いてパルス変調し、前記送信ゲート信号に
    対して互いに異なる複数の時間遅延を有する複数の受信
    ゲート信号を用いて受信信号を別個にサンプルすること
    により、試料中の光路に沿った異なる深度のセグメント
    中の成分をそれぞれ独立に測定することを特徴とする請
    求項1記載の光音響分析方法。
  5. 【請求項5】 前記光源の変調に用いる搬送波を送信ゲ
    ート信号を用いてパルス変調し、前記送信ゲート信号に
    対して互いに異なる複数の時間遅延を有する複数の受信
    ゲート信号を用いて受信信号を別個にサンプルし、それ
    ぞれについて光源の変調周波数から周波数偏移した信号
    成分を検出することにより、試料中の光路に沿った異な
    る深度のセグメント中において速度を有する成分をそれ
    ぞれ選択的に定量することを特徴とする請求項1記載の
    光音響分析方法。
  6. 【請求項6】 目的成分に固有のスペクトル波長の光
    と、溶媒のスペクトル波長の光とを交互に測定に用い、
    両者の解析結果を比較することにより、試料中の目的成
    分の濃度を定量することを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載の光音響分析方法。
  7. 【請求項7】 光を吸収した成分が、無放射遷移により
    失活する際に生成する熱を音響波の形で周囲に放射する
    現象を観測することにより分析を行う光音響分析方法に
    おいて、受信した音響信号の周波数分布を解析すること
    により、試料中の成分の速度分布を測定することを特徴
    とする光音響分析方法。
  8. 【請求項8】 前記光源の変調に用いる搬送波を送信ゲ
    ート信号を用いてパルス変調し、前記送信ゲート信号を
    時間遅延させて得た受信ゲート信号により受信信号をサ
    ンプルして、周波数分布を解析することにより、特定深
    度における試料中の成分の速度分布を測定することを特
    徴とする請求項7記載の光音響分析方法。
  9. 【請求項9】 前記光源の変調に用いる搬送波を送信ゲ
    ート信号を用いてパルス変調し、前記送信ゲート信号に
    対して互いに異なる複数の時間遅延を有する複数の受信
    ゲート信号を用いて受信信号を別個にサンプルして、周
    波数分布を解析することにより、試料中の光路に沿った
    異なる深度のセグメント中における試料中の成分の速度
    分布をそれぞれ測定することを特徴とする請求項7記載
    の光音響分析方法。
  10. 【請求項10】 目的成分に固有のスペクトル波長の光
    と、溶媒のスペクトル波長の光とを交互に測定に用い、
    両者の解析結果を比較することにより、試料中の目的成
    分の速度分布を測定することを特徴とする請求項7〜9
    のいずれかに記載の光音響分析方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の光
    音響分析方法を利用する光音響分析装置であって、前記
    音響信号を受信するセンサと試料との間に音響レンズを
    配し、試料中の特定部位からの信号を効率的に集音する
    ことを特徴とする光音響分析装置。
  12. 【請求項12】 前記光源からの光を導く光学ファイバ
    と前記音響信号を受信するセンサとを、任意の位置,任
    意の角度で固定できる治具を用い、前記光学ファイバと
    センサ相互の空間的配置を調節自在とすることを特徴と
    する請求項11記載の光音響分析装置。
  13. 【請求項13】 請求項1〜10のいずれかに記載の光
    音響分析方法を利用する血液成分測定装置であって、血
    液中の成分を選択的に定量することを特徴とする非侵襲
    血液成分測定装置。
  14. 【請求項14】 前記受信音響信号のうち光源の変調周
    波数から周波数偏移した信号成分を検出し、脈と同期し
    て解析することにより、血液中の成分を選択的に定量す
    ることを特徴とする請求項13記載の非侵襲血液成分測
    定装置。
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