JPH06340876A - 土壌修復用微生物剤、微生物保持用担体及びこれらを用いた土壌修復方法 - Google Patents

土壌修復用微生物剤、微生物保持用担体及びこれらを用いた土壌修復方法

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JPH06340876A
JPH06340876A JP6029399A JP2939994A JPH06340876A JP H06340876 A JPH06340876 A JP H06340876A JP 6029399 A JP6029399 A JP 6029399A JP 2939994 A JP2939994 A JP 2939994A JP H06340876 A JPH06340876 A JP H06340876A
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soil
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microorganism
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Toshiyuki Komatsu
利行 小松
Kazusane Tanaka
和實 田中
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Shinya Furusaki
眞也 古崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 土壌修復用微生物を担体空孔中に高濃度に維
持でき、かつ空孔中の微生物を効果的に放出することが
できる微生物保持用担体、該担体に土壌修復用微生物を
保持させた微生物剤およびこれを用いた土壌修復方法を
提供すること。 【構成】 微生物保持用担体を、土壌修復用微生物が吸
着し易い空孔内壁面と、該微生物が吸着しにくい空孔内
壁面とを有するように構成する。あるいは微生物保持用
担体を3次元網目構造を有するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土壌中の有害物質の分
解による土壌修復を行うための微生物もしくは微生物群
を、土壌中で効果的に活動させるための微生物保持用担
体に関し、より詳しくは、担体に保持させた微生物及び
各種物質の土壌への放出・流入性を高めた微生物保持用
担体に関する。更に、本発明は、該担体に土壌修復処理
を行うための微生物を保持させた土壌修復剤およびこの
土壌修復剤を用いた土壌修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族炭化水素、パラフィン、ナ
フテン等の炭化水素、あるいはトリクロロエチレン、テ
トラクロロエチレン等の有機塩素系化合物等による環境
汚染が問題となっている。これらの深刻な環境汚染の拡
大を防止するとともに、すでに汚染されてしまった環境
を浄化し、もとの状態に戻していく技術の確立が強く望
まれている。この環境修復技術の例としては、爆気処
理、天日処理、真空釜、真空抽出等の物理化学的処理が
行われているが、コスト、操作性、投下エネルギー量、
処理範囲、難分解性物質の分解性などの点から総合的に
みた場合、必ずしも有利な方法とはいえない。
【0003】そこで、物理化学的処理の問題を解決また
は補完する方法として微生物による生物的な処理による
環境修復の利用が検討されてきている。
【0004】さて、土壌汚染を引き起こしている難分解
性化合物、例えば、芳香族炭化水素や有機塩素系化合物
を分解する微生物は数多く知られている。しかしなが
ら、現実の土壌汚染にこれらの微生物を単にそのまま散
布した場合、散布時の微生物の初期濃度に対して土壌中
での微生物濃度は時間の経過とともにどんどん減少して
しまい、これが汚染現場の修復効率を低下させる主因と
なっている。そのため、微生物散布をたびたび繰り返さ
なければならないなどの不都合が生じてくる。従って、
例えば、土壌に投与した微生物の増殖能を維持させ、土
壌中でのその濃度を高く保持することが実用上強く求め
られている。
【0005】そこで問題となるのが微生物を土壌中で高
濃度に保持する方法であるが、従来より医薬品工業、食
品工業、廃水処理システム等で用いられているバイオリ
アクターでは、このような目的のもとにさまざまな微生
物保持用担体が提案されてきている。例えば、多孔質ガ
ラス、セラミックス、金属酸化物、活性炭、ゼオライ
ト、アンスラサイト等の微粒子担体、寒天、ポリビニル
アルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミド、カラギ
ーナン等のゲル状担体等である。
【0006】土壌中への汚染物質分解微生物の導入にお
いて、特にその土壌にとっての外来の微生物を土壌に導
入する場合において、導入された微生物の土壌環境への
適合を計るために、微生物と同時に、この導入微生物を
生残・増殖させるための微生物保持用担体を土壌に与え
ることが試みられている。この方法として、土粒子の構
造化により形成される団粒を担体として利用する方法が
ある。この団粒からなる担体は、土壌改良剤として広く
知られている。また、多孔質セラミックス、ガラスなど
の無機材料、高分子ポリマー等の有機材料、あるいはオ
ガクズ、ワラ等の植物由来繊維材料等の担体としての利
用も検討されてきた。これらの担体は、ミクロ構造が不
揃いで均一性に欠け、かつ微生物や各種物質(水、ガ
ス、有機物質、無機物質等)の担体への流出入に対して
閉空間を形成し、閉鎖性や空間の大きさに違いはあって
も、担体に導入された微生物の増殖という観点からは、
バッチ培養を行う環境を与えるものとなっている。つま
り、担体内における導入微生物の増殖に関しては、担体
内に初期に存在した基質、菌数、酸素濃度等の条件に依
存し、担体内での導入微生物の増殖は、ある期間(数十
時間〜数日)である定常値で停止し、その後、増殖活性
は急激に低下して、菌数も低下し、最終的には基質等を
使い切った段階で消滅する。
【0007】一方、微生物保持用担体において、親水性
のものと疎水性のものを使用する例としては、特公平5
−68499号公報に開示の親水性土壌(砂)に対して
疎水性の海砂を混合して通水性を向上させた担体を挙げ
ることができる。しかしながら、該公報には担体での微
生物の吸着・放出に関する技術的な改良についての開示
は見当たらない。
【0008】このように、従来技術において土壌修復に
微生物保持用の担体を利用することについての各種の検
討がなされてきたが、それらは土壌中の導入微生物の増
殖特性にバッチ培養の特性を与えるものであり、連続培
養の特性を与えるものではなかった。従って、従来技術
において、広範囲にわたる汚染土壌を月や年の単位で修
復する技術は未だ確立されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】土壌処理に用いる微生
物の土壌中での濃度を高く維持するための微生物保持用
担体としては、材料表面に孔隙を多数有し、微生物が付
着できる表面積が大きく、かつ原生動物等の大型の微生
物が侵入できない程度に孔隙の径が小さいものが好まし
い。しかしながら、このような微小孔隙においては孔隙
と外界との間での物質移動が極めて緩慢であり、孔隙の
外にある汚染物質を分解する場合、有用微生物が担体の
孔隙中にとどまっていることは、土壌中の環境汚染物質
の分解等の各種の土壌処理を行う上ではなはだ不都合で
ある。更に、バイオリアクターや廃液処理等の液媒体中
での処理と異なり、土壌中での物質移動自体が極めて緩
慢であるため、担体の極近傍においてしか汚染物質の分
解等の処理が行われないという問題もある。
【0010】従って、土壌処理に用いる微生物保持用担
体としては、例えば汚染物質の処理においては、担体に
高濃度の微生物を維持しつつも、孔隙中の微生物が担体
外に脱離、放出されてより積極的に汚染物質に接触し、
また担体内に容易に汚染物質が流入して担体内微生物に
より分解が進むようなものが望ましい。
【0011】ところが、バイオリアクター等で用いられ
ている担体は、架橋法、包括法等の固定法で微生物が固
定されているために、微生物の脱離が望めず、上記のよ
うな効果が期待できない。また、他の従来のおける物理
吸着、イオン吸着といった固定法においても同様に微生
物の脱離を目的としていないので、担体の構成材料とし
て吸着性の強い材料が用いられており、微生物の脱離、
放出による上記の効果を期待することはできない。
【0012】また、これとは逆に、積極的な固定手段、
あるいは微生物との吸着性を強くするための手段が施さ
れていないような無機担体等では、微生物の保持能力に
欠けるために容易に微生物が担体孔隙中より分散してし
まい、担体中に微生物を高濃度に維持することが困難で
あるという問題がある。
【0013】以上のように、微生物を利用した土壌処理
を行う場合、有用微生物を担体孔隙中に高濃度に維持し
つつも、更に孔隙中の微生物を脱離、放出することので
きる担体が強く求められており、更に、高濃度に増殖活
性化した担体内の微生物と土壌の成分を担体内において
も接触させて所望の処理が行える担体が求められてい
る。しかしながら、従来技術においては、これらの要望
を満足する担体は見当らないのが現状である。
【0014】すなわち、従来から、微生物を利用した排
水処理システムや、土壌処理での土壌中の生態系のよう
に複雑な微生物生態系を有する系において、新しくこれ
らの系に導入される微生物の生残・維持、増殖、活性化
のために、導入すべき微生物を担体に担持させて導入す
ることが行われているが、こうした担体は、種々工夫さ
れているものの、微生物の安定な吸着や包接のための担
体素材の選択や、吸着表面を大きくするための多孔性構
造等の改良といった点に留まるものに過ぎない。例え
ば、土壌はヘテロな複雑な系(固体、液体及び気体を含
むランダムな3相系)からなり、しかも固体土壌粒子が
密な積層構造を有しているため、土壌中での物質移動は
極めて緩慢である。従って、水性媒体により反応領域を
形成する場合に有効な担体を、単に土壌中で用いても水
性媒体中と同様の効果を得ることは困難である場合が多
い。つまり、本発明者によれば、従来の担体に微生物を
担持させて土壌中に導入しても、土壌中での微生物の増
殖過程は実験的にバイアルビン中で観察されるバッチ培
養過程をとることが観察された。微生物相にとって実質
的に閉空間の集合として構成されるので、導入から数日
以内でその増殖は停止し、続いて菌数は減少していく。
また、通常、増殖が停止すると、導入した微生物の汚染
物質の分解活性も減少する。
【0015】一方、土壌中での導入微生物での汚染物質
の分解浄化には、数日〜数ヶ月、場合によっては年単位
で行うことが理想である。なぜなら、通常の土壌の汚染
は、広範囲・大規模にわたっており、投入できる微生物
の総数や単位面積や単位堆積あたりの微生物の密度や均
一性にも相当の限界があるためである。従って、土壌に
投入された微生物が、長期にわたって生残し、かつ増
殖、移動、伝搬して、連続的かつ広範に汚染物質の分解
活性を長期間維持できることが必須となる。
【0016】本発明の目的は、土壌処理用微生物を担体
孔隙中に高濃度に維持し、かつ孔隙中の微生物を脱離、
放出することができ、更に、高濃度に増殖活性化した担
体内の微生物と土壌の成分とが担体内でも接触して所望
の処理が行える微生物保持用担体を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、かかる微生物保持用担体に土
壌修復処理用の微生物を担持させた土壌修復用微生物剤
を提供することにある。
【0017】本発明の他の目的は、土壌中に投与した土
壌修復用の微生物を長期にわたって連続的に増殖させる
ことのできる微生物保持用担体、及び該微生物保持用担
体に土壌修復用微生物を担持させた土壌修復用微生物剤
を提供することにある。本発明の他の目的は、かかる土
壌修復用微生物剤を用いて分解対象とする土壌中の汚染
物質を広範囲にわたって、長期に分解浄化できる土壌修
復方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の微生物保持用担
体の第1の構成は、実質的にμm単位以上の空孔径を有
する相互に連通する多数の空孔を構成する3次元網目構
造をなし、保持させる微生物の吸着性が得られる吸着用
表面を有することを特徴とする。
【0019】この吸着用表面は、例えば、該担体を保持
させる微生物の吸着性が得られる素材で構成することに
よって形成することができる。また、担体表面(空孔内
壁表面を含む)を、静電的に、あるいは親水性により前
記微生物に対する親和性を有する表面状態として、前記
吸着用表面を得ることもできる。この吸着用表面には、
疎水性の面等からなる前記微生物に対して非親和性の表
面が部分的に形成されていても良い。この微生物保持用
担体に土壌修復用微生物を保持させることで、土壌修復
用微生物剤を得ることができる。この保持方法として
は、微生物保持用担体を、土壌修復用微生物の懸濁液に
浸漬して、または該懸濁液を該担体の孔隙に通過させる
ことで、該担体の孔隙内に該微生物を導入させて保持さ
せる方法が利用できる。得られた土壌修復用微生物剤を
処理対象の土壌に投与することで土壌修復を行うことが
できる。
【0020】本発明の微生物保持用担体の第2の構成
は、土壌修復に用いる微生物を保持させる孔隙を有する
担体であって、該微生物が吸着し易い孔隙内壁面と、該
微生物が吸着しにくい孔隙内壁面を構成し得る構造を有
することを特徴とする。この微生物保持用担体に土壌修
復用微生物を保持させることで土壌修復用微生物剤を得
ることができ、それを処理対象の汚染土壌に投与して土
壌修復を行うことができる。この第2の構成の担体も上
述の3次元網目構造を有するものであってもよい。
【0021】以下、本発明の各種態様について詳細に説
明する。
【0022】本発明の上記の第1の構成は3次元網目構
造を有するので、微生物の担体への保持操作が容易とな
り、また保持させた微生物が増殖して吸着領域を満たし
た後に担体外へ放出され易く、さらに、土壌中の成分の
担体内への侵入も容易となるという利点を有する。
【0023】本発明における3次元網目構造は、実質的
にμm単位以上の空孔径を有する相互に連通する多数の
空孔を構成する3次元網目構造をなすものである。この
3次元網目構造は、網状構造が3次元的方向に多層に接
合したもので、各網目を構成する繊維状部分により仕切
られた空孔の多数が互いに連通した構成を有する。各空
孔は、実質的にμm単位以上の空孔径を有する。すなわ
ち、担体全体での物質の流出入量に対して、毛細管現象
の効果が実質的に無視し得る程度の空孔径を有し、さら
に数μmから1μm以下の大きさの微生物の移動が容易
になされ得るものである。
【0024】この3次元網目構造における各空孔の連通
部は比較的大きなもので、各空孔間での微生物や各種成
分の移動が容易なものである。更に、担体内部の空孔は
担体表面に開口する空孔と連通している構造をとり、互
いに連通する空孔によって担体を貫通する貫通孔が形成
されているのが好ましい。この3次元網目構造の一例の
模式図を図1に示す。図1は土壌粒1の間にポリマー繊
維2からなる3次元網目構造を有する担体に微生物3を
保持させて投与した状態を模式的に示したものである。
【0025】本発明の微生物保持用担体の3次元網目構
造における空孔の空孔径は、平均空孔径が、1〜50μ
mであることが好ましい。また、空孔率は、例えば、5
0%以上、好ましくは70%以上とされ、保持用担体と
しての土壌中での剛直性を確保できるという点からは9
8%以下が望ましい。
【0026】このような3次元網目構造によって担体に
適度な開放性が付与され、保持させた微生物の担体外へ
の放出や担体外部からの各種成分の担体内への侵入、通
過が容易となり、担体内外での保持微生物による処理が
可能で、相乗的な処理効果が得られる。この相乗効果を
得る上で担体の空孔率を大きくとることは重要であり、
特に、テフロン系の高分子の延伸フィルムや、ポリビニ
ルホルマールの多孔性フィルム等においては90%を超
える空孔率のものも得られるので好ましい。例えば図1
に示したような汚染物質や処理用供給物等の流入や、排
泄物や分解物等の流出が容易となる。
【0027】また、この適度な開放性によって、担体内
部の孔隙中の環境と担体外部の土壌中の環境とがほぼ同
等に保たれるようになり、担体内で増殖した微生物が担
体外に放出された後に直ちにこれが失活または死滅する
ことが防止できる。更に、この適度な開放性によって、
土壌のpH、酸素濃度の調整や、土壌への各種栄養素の
補給等を行った際に、これらの効果が土壌に散布した担
体内部にも及び易くなるという効果も得られる。また、
こうした開放性は、微生物が生成する排泄物や微生物の
死骸やその分解物等の生成物の担体外への放出にも有効
であり、これらによる保持微生物への悪影響を排除する
上でも効果的である。
【0028】この本発明の微生物保持用担体の従来の担
体との作用効果における特徴的な優位点は、本発明の担
体によれば土壌中で長期にわたり投与微生物を増殖さ
せ、分解活性を維持させることができる点にある。すな
わち、本発明の担体を用いれば、土壌中においても投与
微生物の増殖特性は、バッチ培養の特性とはならず、連
続培養の増殖特性となる。連続培養系では、物質の系へ
の入出力を一定化して、培養系内の所定のパラメーター
(微生物数、複数の微生物が含まれる場合の各微生物の
分布、栄養物や酸素等の濃度、系のpH等の物理的条件
等から選択される)を定常化させることが必要となる。
これらの条件設定や各パラメーターの制御は、水性媒体
を用いるバイオリアクター等では比較的容易であるが、
気体、液体及び固体からなる3相のヘテロでミクロな構
造の土壌への担体の利用では、担体自体に物質や微生物
の流動性が得られない場合には、上記の連続培養の特性
を得るための条件を土壌中で得ることは難しい。そこ
で、本発明の担体の第1の構成は実質的にμm単位以上
の空孔を有する3次元網目を有するので、これを土壌中
に投与した際には、担体内及びその周辺における水分、
酸素、基質、誘導物質、必須栄養素、更には汚染物質と
その分解物等の移動に自由度が与えられ、これらの担体
内への流入や担体外への流出が容易となり、投与した微
生物の土壌中での連続培養の特性での増殖が可能とな
る。その結果、投与微生物の増殖を土壌中で所定のレベ
ルで維持でき、長期にわたりその汚染物質の分解活性を
得ることが可能となる。つまり、3次元網目構造を有す
る担体を土壌中に投与することで、土壌中に実質的に閉
空間を形成しない開放系の領域を形成でき、この領域に
おいて各種物質や微生物の過度の蓄積を生じさせずに、
これらの定常状態を保つことが可能となる。
【0029】この3次元網目構造の各網目を構成する繊
維状部分及び各繊維状部分の接合部の表面は用いる微生
物の吸着性を有する必要がある。この吸着性は、荷電性
を利用した吸着(静電的吸着)、親水性表面への吸着、
表面エネルギーを利用した吸着、ファンデルワース力に
よる吸着等によって得ることができる。3次元網目構造
が、微生物の吸着性を有することで、担体内での微生物
数を高い状態に維持でき、吸着性を有する表面に増殖、
保持され得る量を超えた微生物や、死滅した微生物は3
次元網目構造の空孔内を容易に移動し、最終的に担体外
部へ放出される。
【0030】この3次元網目構造を有する担体の形成に
用いる材料としては、ポリカーボネート、ポリメチルメ
タクリレート、フッ化ビニリデン系高分子、テフロン等
のフッ素化高分子、ニトロセルロース、セルロースアセ
テート、ポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコー
ル系高分子、ポリビニルホルマール系高分子、ポリウレ
タン系高分子等が利用できる。3次元網目構造の連続空
孔を形成する方法としては、例えば、1軸または2軸延
伸による方法、溶媒等相分離膜からの溶媒蒸発放出によ
る方法、シリカ等の充填材を混練して成形した後に充填
材を抽出して微孔を形成する方法等の公知の方法が利用
できる。
【0031】また、土壌処理後に担体や導入した微生物
が土壌中に残存することが問題となる場合には、担体を
バクテリアセルロース、セルロース・キトサン複合体の
フィルムや発泡体、微生物ポリエステル、ポリ乳酸、ポ
リラクトン、ポリグリオキシル酸、ポリリンゴ酸、デン
プン添加プラスチック、ポリカプロラクトン、(ヒドロ
キシ酪酸)−(ヒドロキシ吉草酸)共重合体、ポリアミ
ノ酸、多糖類ポリマー等の生分解性の高分子材料で構成
することで、保持させた微生物によって、あるいは土壌
中の微生物によって担体が分解されるので、このような
問題を解消することが可能となる。なお、この場合、担
体の分解が土壌処理とほぼ同時かそれより遅くなるよう
に担体構成材料とその形状を選択する。
【0032】本発明の担体における空孔径、空孔率等
は、3次元網目構造の形成時の条件によって所望のもの
に設定できる。空孔径としては、保持させる微生物の大
きさにもよるが、細菌、酵母、カビ等を利用する場合
で、原生動物等の微小動物等による捕食からこれらを保
護する目的からは、数μm〜数十μmに設定すると良い
が、先に述べた開放性を得る上で、あるいは保持させる
べき微生物の導入操作などの観点からは、孔径はなるべ
く大きいものであるのが好ましい。以上の点を総合的に
考慮すれば、先に述べたように、平均空孔径が、1μm
〜50μmの範囲内であることが好ましく、空孔率は、
例えば、50%以上、好ましくは70%以上98%以下
とされる。
【0033】本発明の担体の形状には特に制限はない
が、取扱の容易性や土壌処理の効率等の観点からは、フ
ィルムやシート状のものがよく、一方の面から他方の面
に連通する多数の空孔によって貫通孔が形成されている
ものが好ましい。また、フィルムやシート状のものを用
いることで、その表裏に加えた圧力差を利用して微生物
を分散した液体を担体内の空孔に通過させて微生物を容
易に保持させることができる。
【0034】本発明の担体の空孔内に導入された微生物
はそこに吸着されて担体に保持される。本発明の担体に
おいては、特に網目の多数の接点部位とその近傍の領域
が毛細管現象による微生物の付着部として有効に働き、
付着した微生物の増殖活性を増大させることができる。
なお、必要に応じて、担体の表面(孔隙内面を含む)に
親水化処理等の表面改質処理、例えばH2プラズマ処
理、Arボンバードメント処理等を用いることによって
微生物の吸着性を改善することができる。
【0035】本発明の担体には、保持させる微生物の栄
養素となる物質を含有させてもよい。このような物質と
しては、保持させる微生物の炭素源や窒素源となり得る
物質、や無機物質、ビタミン等の微量栄養素等を挙げる
ことができる。
【0036】一方、上記の本発明の微生物保持用担体の
第1の構成において、微生物の吸着性を有する面に、微
生物の非吸着性の面が部分的に形成されていても良い。
この非吸着性の面は、例えば吸着性の面と混在して、あ
るいは吸着性の面の周辺に設けることができる。このよ
うな非吸着性の面を設けることで、吸着性の面に吸着し
きれなくなった微生物や物質、あるいは死滅した微生物
の担体内での移動がよりスムーズとなり、担体内での微
生物及び各種物質の移動や、死滅した微生物や不用な物
質の担体外への放出がより容易となる。このような、吸
着性の面と非吸着性の面の両方を有する担体の製造に
は、以下に述べる第2の構成の製造に用いる方法が採用
できる。
【0037】本発明の微生物保持用担体の第2の構成
は、先にのべたように、土壌修復に用いる微生物を保持
させる孔隙を有する担体であって、該微生物が吸着し易
い孔隙内壁面と、該微生物が吸着しにくい孔隙内壁面を
構成し得る構造を有することを特徴とする。
【0038】この本発明の第2の構成の担体では、担体
が3次元網目構造であることは必ずしも要求されない
が、3次元網目構造とすることで担体内での微生物や各
種物質の移動性を更に高めることができるという効果を
得ることができる。
【0039】この本発明の微生物保持用担体の第2の構
成によれば、土壌修復に用いる微生物が吸着し易い空孔
内壁面に該微生物を常に活性化し増殖させて高濃度で保
持でき、該吸着し易い面で増殖飽和して脱離した該微生
物が吸着しにくい空孔内壁面によって該微生物の担体内
での移動性を高めて土壌中への放出を容易とするもので
あり、該担体によれば、土壌中において保持させた微生
物を活性化して高濃度に維持しつつ、効果的に該微生物
を土壌中に放出させることができる。
【0040】微生物の吸着性を有する(吸着し易い)部
位を親水性の材料から、また、微生物が吸着性の(吸着
しにくい)部位を疎水性の材料から形成することによっ
て、液相の担体内での移動や担体からの放出をより積極
的に行うことが可能となる。こうした理由から、微生物
の吸着性を有する部位と、非吸着性の部位とを併せ持つ
担体では、担体内での微生物の増殖形態として、バッチ
培養系のように微生物数の減少がなく、微生物を維持す
ることが可能となる。なお、この作用効果は、先の3次
元網目構造からなる第1の構成において、吸着性の面と
非吸着性の面を空孔内等に形成する場合には、より連続
培養系の特性を得ることができる。
【0041】すなわち、3次元網目構造を持つ担体にお
いては、その構造の持つ高度な物質の流出入性が、気体
・液体の担体内への供給を促進し、連続培養系の特性を
達成することができる。また、微生物の吸着性を有する
部位と非吸着性の部位とを併せ持つ担体では、親水性・
疎水性の複合的な構成から、気液相の分配を交代的に変
化させ得ることによって物質の流出能を高め、増殖した
微生物の放出性をも持たせることでバッチ培養系におい
て微生物数減少をもたらす原因を排除し、微生物数の維
持を可能とする。そしてさらに、これら両者の担体の性
質を併せ持たせることによって、より理想的な連続培養
系の実現が可能となる。
【0042】こうした担体を土壌中に用いて投与微生物
の増殖に連続培養系としての特性をより良好に持たせる
ために、土壌中の担体に対して、空気の吹き込み等の方
法による酸素の導入、水の流下、投与微生物にとっての
栄養素の導入を行うことは極めて有効な手段である。こ
のような観点から、保持させる微生物に対する栄養素と
なる成分を該担体の空孔内に予め、あるいは微生物と同
時に保持させて供給しておく方法も有効である。
【0043】更に、必要に応じて、保持させる微生物に
対する栄養素となる成分を該担体の空孔内に含有させて
該微生物の活性や増殖をより高めてもよい。このような
栄養素となる成分としては、保持させる微生物の炭素源
や窒素源となり得る物質、無機物質、ビタミン等の微量
栄養素などを挙げることができる。
【0044】本発明の担体の第2の構成における微生物
が吸着し易い空孔内壁面は、例えば微生物との親和性の
高い材料から形成することができ、そのような材料とし
ては、親水性を有する材料、保持させるべき微生物の持
つ表面電位と逆の極性の表面電位を有する材料等を挙げ
ることができる。具体的には、でんぷん、グルテン、キ
チン、コラーゲン、ゼラチン、寒天、アルギン酸、カラ
ギーナン等の天然材料、ポリビニルアルコール等の親水
性高分子、Au、Ag、Pd、Fe、Cu等の金属、Z
nO、TiO2 、SnO2 、InO2 等の酸化物半導
体、SeやAs等のカルコゲナイド化合物など種々の金
属、酸化物、イオン結合性無機物等を挙げることができ
る。
【0045】親水性を有する材料は、水に対する濡れ性
を有し、そこに付着した水分を利用した微生物の生存、
活性化、あるいは増殖が可能となるのでより好ましく、
水の表面張力(約75dyn/cm)以上の表面張力を
有する表面を構成できる材料がより好ましい。
【0046】なお、微生物の吸着し易い部分は、微生物
が吸着しにくい材料からなる表面を親水化等の処理で改
質して形成したものでも良い。
【0047】本発明の担体における微生物が吸着しにく
い空孔内壁面は、例えば微生物に対する親和性を持たな
い材料から構成することができ、そのような材料として
は、疎水性材料、保持させるべき微生物の持つ表面電位
と同じ極性の表面電位を有する材料等を挙げることがで
きる。具体的には、ガラス、シリカゲル、疎水性高分子
材料、セラミックス等を挙げることができ、これらの材
料からなる表面に、疎水化処理や表面電位を調整する表
面改質処理を施して微生物がより吸着しにくくなるよう
にしたものを用いることもできる。疎水性とする場合に
は、例えば、表面張力が水のものよりも低い面として、
例えば70dyn/cm以下の面とすることで達成でき
る。
【0048】本発明の担体における孔径、空孔率等は、
保持微生物の種類等に応じて選択すればよいが、孔径と
しては、保持させる微生物の大きさにもよるが、細菌、
酵母、カビ等を利用する場合で、原生動物等の微小動物
等による捕食からこれらを保護する目的からは、平均孔
径で1μm〜50μmの範囲内に設定すると良い。ま
た、空孔率は、微生物が付着できる面積を大きくする上
でより大きな方がよく、例えば50%以上、好ましくは
70%以上とされ、土壌中での剛直性を保てる担体とい
う点からは98%以下が望ましい。
【0049】本発明の微生物保持用担体の具体的な構成
としては、例えば、(a)保持微生物が吸着しにくい空
孔内壁面に、保持微生物が吸着し易く、かつ生分解性の
材料を全面被覆し、保持微生物などによってこの被覆層
の一部が分解されて保持微生物が吸着しにくい空孔内壁
面が露出し、下記(b)の構成となるものと、(b)空
孔内に保持微生物が吸着しにくい内壁面と、保持微生物
が吸着し易い内壁面とが混在する構成とを挙げることが
できる。
【0050】(a)の構成の担体としては、例えば、微
生物が吸着しにくい多孔質材料からなる基材の少なくと
も空孔内壁面全面に、微生物が吸着し易く、かつ生分解
性の材料からなる被覆層を設けた構造を有するものが挙
げられる。このような構造とすることで、微生物を保持
させた状態でこの担体を土壌中に撒いた場合に、被覆層
が部分的に分解されて基材の空孔内壁面が露出し、本発
明の効果を得ることができる。
【0051】この構造における基材は、例えば、ガラ
ス、シリカゲル、疎水性高分子材料、セラミックス等か
らなる多孔質体が利用でき、また、被覆層は、でんぷ
ん、グルテン、キチン、コラーゲン、ゼラチン、寒天、
アルギン酸、カラギーナン等の天然材料、ポリビニルア
ルコール等の親水性高分子などから形成することができ
る。更に、被覆層を保持微生物により分解される材料で
形成することで、この担体に微生物を保持させて土壌に
散布した際に、被覆層の分解にともなって、そこに保持
させた微生物が放出され、しかも、基材の表面が微生物
が吸着しにくい材料から形成されているので、その部分
での微生物の移動や放出が促進され、担体からの微生物
の放出がよりスムーズに行われる。なお、被覆層を保持
微生物の栄養物で形成することによっても、同様の良好
な放出性を得ることができ、しかも保持微生物の活性、
増殖に有利な環境を提供することができる。
【0052】基材の孔径、空孔率等は、保持微生物の種
類等に応じて選択すればよいが、これらの平均孔径や空
孔率としては先に挙げた範囲のものが利用できる。
【0053】一方、(b)の構成の担体は、空孔内に、
保持微生物が吸着し易い内壁面と、吸着しにくい内壁面
とが混在しているもので、このような構成とすること
で、吸着し易い内壁面に付着増殖した微生物がその部分
から吸着しにくい内壁面に侵入した際に、そこに留まる
ことなく移動し易くなり、最終的に担体外部へ放出され
やすくなる。なお、保持微生物が吸着し易い内壁面と吸
着しにくい内壁面とは1つの空孔内で混在していもよい
し、多数の空孔にわたって混在していてもよい。微生物
が吸着しにくい空孔内壁面は、前述のように、例えば、
その表面張力を水の表面張力よりも小さくすることで形
成できる。すなわち、細菌等の微生物はその表面に水層
を形成して活性化されていると考えられ、水に対する濡
れ性のない表面には付着しにくい。(b)の構成におけ
る微生物が吸着しにくい空孔内壁面及び吸着し易い空孔
内壁面は、先に挙げた材料で形成することができる。例
えば、微生物が吸着しにくい材料と吸着し易い材料とを
混合して多孔質体を形成する方法、微生物が吸着しにく
い材料からなる多孔質基材の空孔内壁面に微生物が吸着
し易い材料を部分的に被覆あるいは固着する方法等によ
って得ることができる。
【0054】(b)の構成の場合の多孔質体の空孔構造
としては、先に第1の構成において説明した3次元網目
構造のものが、微生物の保持操作を容易とし、また保持
させた微生物の放出性をより良好なものとする上で好適
である。この3次元網目構造は、3次元方向に配置され
た互いに連通する多数の空孔が網状構造によって形成さ
れているものであり、各空孔の連通部が比較的大きなも
ので各空孔間での微生物や各種成分の移動が容易なもの
である。更に、担体内部の空孔は担体表面に開口する空
孔と連通している構造をとり、互いに連通する空孔によ
って担体を貫通する貫通孔が形成されているのが好まし
い。この3次元網目構造の一例の模式図を図2に示す。
この3次元網目構造とすることで、担体の空孔率を上げ
て、微生物の保持量および微生物の放出性をより向上さ
せることができ、例えば、空孔率として70%、特にテ
フロン系の高分子の延伸フィルムやポリビニルホルマー
ルの多孔性化フィルム等においては90%を超える高空
孔率のものを得ることができる。その構成例を図2に示
す。図2は、ポリマー繊維5からなる3次元網目構造の
担体に微生物を保持させて土壌粒内に投与した状態を示
す。
【0055】また、この3次元網目構造における開放性
によって、担体内部の空孔中の環境と担体外部の土壌中
の環境とがほぼ同等に保たれるようになり、担体内で増
殖した微生物が担体外に放出された後に直ちにこれが失
活または死滅することが防止できる。更に、この開放性
によって、土壌のpH、酸素濃度の調整や、土壌への各
種栄養素の補給等を行った際に、これらの効果が土壌に
散布した担体内部にも及び易くなるという効果も得られ
る。また、こうした開放性は、微生物が生成する排泄物
や微生物の死骸やその分解物の担体外への放出にも有効
であり、これらによる保持微生物への悪影響を排除する
上でも効果的である。例えば、図2に矢印で示したよう
な汚染物質等の流入や、分解物、排泄物、放出された微
生物の流出を容易に得ることができる。
【0056】この3次元網目構造の製造には、先に第1
の構成で挙げた材料及び方法が利用できるが、この第2
の構成においては、この3次元網目構造を有する担体の
空孔内に微生物が吸着し易い内壁面と吸着しにくい内壁
面が形成される。このような構成を得るには、疎水性材
料、例えば表面張力が70dyn/cm以下の面を形成
する有機高分子材料と、微生物が吸着し易い面を形成で
きる材料からなる微粒子等を練混して、これを用いて3
次元網目構造を有する多孔質体を形成する方法、微生物
が吸着しにくい材料からなる3次元網目構造を有する多
孔質体の空孔内壁に必要に応じて結着剤をもちいて微生
物が吸着し易い面を形成する材料からなる微粒子等を付
着させる方法、微生物が吸着しにくい材料からなる3次
元網目構造を有する多孔質体の空孔内壁に微生物が吸着
し易い材料、例えば親水性高分子等の層を部分的に被覆
する方法など利用できる。
【0057】該微粒子としては、例えばAu、Ag、P
d、Fe、Cu等の金属、ZnO、TiO2 、SnO
2 、InO2 等の酸化物半導体、SeやAs等のカルコ
ゲナイド化合物等の種々の金属、酸化物、イオン結合性
物質などからなり、0.1μm〜10μm程度の粒径の
粒子が好適に利用できる。これら微粒子の有機高分子材
料への配合割合は、堆積比で1%〜90%程度とされ、
好適には5%〜50%程度とされる。該親水性高分子と
しては、水溶性ポリアミドイミドやポリビニルアルコー
ル系高分子等が利用でき、その被覆量は5〜90%程度
とするとよい。
【0058】この3次元網目構造を有する担体における
孔径、空孔率等は、3次元網目構造の形成時の条件によ
って所望のものに設定でき、その孔径、空孔率としては
先に第1の構成において例示した範囲のものが利用でき
る。
【0059】この3次元網目構造を有する担体の形状に
は特に制限はないが、取扱の容易性や土壌処理の効率等
の観点からは、フィルムやシート状のものがよく、一方
の面から他方の面に連通する多数の空孔によって貫通孔
が形成されているものが好ましい。また、フィルムやシ
ート状のものを用いることで、その表裏に加えた圧力差
を利用して微生物を分散した液体を担体内の空孔に通過
させて微生物を容易に保持させることができる。
【0060】以上説明した、本発明の第1の構成及び第
2の構成の担体に、所望の土壌処理用の微生物を保持さ
せて土壌処理用の微生物剤を得ることができる。本発明
の担体に保持させる微生物は、処理目的に応じて選択す
れば良いが、例えば土壌修復における塩素化有機化合物
の分解処理用としては、Pseudomonas属、A
cinetobacter属、Methylosinu
s属、Methylocystis属、Methylo
monas属、Mycobacterium属、Nit
orosomonas属等に属する細菌などで塩素化有
機合物の分解能を有するものなどを挙げることができ
る。
【0061】本発明の担体に微生物を保持させる方法と
しては、微生物を分散させた液体に担体を浸漬する方法
や、担体の孔隙内を、必要に応じて圧力を用いて、微生
物を分散させた液体を通過させる方法等が利用できる。
【0062】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。なお、下記の実施例において用いたKK01株は
以下の方法により得られたものである。また、用いたM
9培地は下記の組成を有するものである。 M9培地組成(1リットル中); Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4Cl 1.0g (pH7.0) (フェノールによるスクリーニング)タカサゴシロアリ
のハタラキシロアリを10匹シャーレにとり、エチルア
ルコール(95%)をこれに注ぎシロアリ表面を殺菌し
た。次に、0.05%のフェノールを含有するM9培地
でシロアリを2回洗い、その表面からエチルアルコール
を除去した。洗浄後、シロアリの腸をピンセットで摘み
出し、それを0.05%のフェノールを含有するM9培
地中ですり潰し、腸破砕物を含む液状混合物を得た。こ
の混合物の一部を、0.05%フェノール及び0.05
%酵母エキストラクトを含有するM9培地に接種し、3
0℃で好気条件下で培養した。培地中のフェノール量の
変化を常法により求め、シロアリ腸内にフェノール資化
性の微生物が存在することを確認した。 (フェノールを用いた単離株の取得)上記のM9培地
(0.05%フェノール及び0.05%酵母エキストラ
クトを更に含有する)での培養により得られた培地(増
殖菌体を含む)を、フェノール含有M9寒天培地(0.
05%フェノール及び1.2%寒天を含む)の表面に塗
布し、30℃で2日間培養した。寒天培地上に良好に生
育してきたコロニーを単離株として得た。単離株の1つ
についてその菌学的性質を調べたところ下記の結果が得
られ、この単離株はシュードモナス・セパシアに属する
ものであるとの結論に至った。 A.形態的性状 (1)グラム染色:陰性 (2)菌の大きさ及び形:長さ1.0〜2.0μm、幅
0.5μm前後の桿菌 (3)運動性:あり B.各種培地における生育状況
【0063】
【表1】 C.生理的性質 (1)好気性、嫌気性の区別:偏性好気性 (2)糖の分解様式: 酸化型 (3)オキシダーゼの生成: + (4)硝酸銀の還元: + (5)硫化水素の生成: − (6)インドールの生成: − (7)ウレアーゼの生成: − (8)ゼラチンの液化: − (9)アルギニンの加水分解:− (10)リジンの脱炭酸: + (11)オルニチンの脱炭酸:− (12)クエン酸の利用: + (13)メチルカルビノールアセチル反応(VP反
応):− (14)トリプトファンデアミナーゼの検出:− (15)ONPG: − (16)炭水化物類の利用性: ブドウ糖: + 果糖: + 麦芽糖: + ガラクトース:+ キシロース: + マンニット: ± 白糖: − 乳糖: + エスクリン: − イノシット: − ソルビット: − ラムノース: − メリビオース:− アミグダリン:− L−(+)−アラビノース:+ この単離菌株をKK01株と命名して、通商産業省工業
技術院微生物工業技術研究所(新名称:生命工学工業技
術研究所)に寄託した[寄託日:平成4年3月11日、
寄託番号FERM P−12869、平成5年3月9日
付けで国際寄託(受託番号:FERM BP−423
5)に移管]。 実施例1 ポリビニルアルコール(PVA)にホルムアルデヒドを
ホルマール反応させて得られるポリビニルホルマール
(PVF)を、気孔生成剤を用いて多孔質化した1mm
厚の縦400mm×横400mm大の多孔性フィルム
(商品名:カネボーベルイーター Aシリーズ、A−3
160:鐘紡株式会社製)を基材として用いた。この多
孔性フィルムの空孔の平均孔径は30μm、空孔率は9
1%で、完全な連続空孔構造の3次元網目構造を有する
もので、良好な親水性を有し、また機械的強度も高いも
のであった。
【0064】上記のKK01株を50mlの0.05%
の酵母エキストラクトを含むM9培地に接種し、30℃
で培養して、OD(550nm)が約0.7の菌懸濁液
を調製し、以下の操作に用いた。
【0065】上記の多孔性フィルムを真空吸引ビンの口
にセットし、KK01株の懸濁液をこの多孔性フィルム
に、ゆっくり均一に計3回吸引通過させた。この吸引通
過によって多孔性フィルム内に保持された菌数は105
個/cm2であった。この保持菌数は以下の方法で算出
した。
【0066】まず、菌懸濁液のOD(550nm)と菌
数との関係の検量線を、一連のODの懸濁液のそれぞれ
を、必要に応じて更に希釈して、フェノール含有M9寒
天培地(0.05%フェノール及び1.2%寒天を含
む)に撒き、培養し、表われたコロニー数を計測して作
成しておいた。次に、多孔性フィルムを通過させる前の
菌懸濁液のOD(0.7)から、通過処理後の菌懸濁液
のODを差し引いて得られた値から、先の検量線に基づ
いて菌数を求め、その菌数を用いて算出した。
【0067】こうして得られたKK01株を導入した多
孔性フィルムを一辺が1mmの立方体状に切断し、土壌
に導入する微生物剤とした。
【0068】試験土壌として、自然林の約40cm深さ
から採取された黒色表土を含む関東ローム層土に含水率
100%、テトラクロロエチレン(TCE)濃度が土壌
重量当り3.0ppm、フェノール濃度が土壌重量当り
100ppmとなるようにこれらを均一に混合させた均
一土を作成し、これを密閉できる分解土壌槽(30cm
×30cm×30cm)に平均密度1.3になるように
充填した。その際、均一土に、上記の微生物剤(400
mm×400mm×1mmのフィルム全量分)を均一に
なるように同時に混合した。次に、この分解土壌槽を密
閉し、25℃の状態に一ヶ月間放置し、その間の土壌中
のKK01株の菌数の増減をTCEの含有濃度とともに
測定した。
【0069】土壌はサンプリング用のポートから10g
ずつ採取し、一部を即座に所定量ヘキサン溶液に投入し
て、TCEの抽出を行い、抽出されたTCEを、ECD
ガスクロマトグラフィーで定量した。また、KK01株
の菌数は、リン酸緩衝液(pH7.0)に土壌の所定量
を分散させ、得られた分散液に、分散剤を加えてホモジ
ナイザーで処理して、多孔性担体及び土壌粒子から菌を
分離させた後、フィルター等を用いる分離操作で担体を
分離し、さらに遠心処理を利用する操作によって土壌粒
子と菌体を分離し、分離した菌体の懸濁液を調製し、そ
の菌数を0.05%フェノール含有M9寒天培地を用い
た希釈平板法によって測定した。
【0070】図3は、放置日数に対してKK01株の菌
数(菌数/g土壌)の変化を示しており、結果は曲線A
で示されている。また、図4には、同様の土壌サンプル
のTCE濃度変化が示されている。図4の曲線aに示さ
れるように10日目で約0.1ppmまで分解が進み、
30日目で0.03ppmまで分解されることが確認さ
れた。菌数の変化(曲線A)は2日目から急激な増加が
観察され、5日目で約106/g土壌まで増加し、その
後、30日目まで約106個/g土壌を維持し続け、極
めてゆっくりと減少する傾向を示した。
【0071】比較例1 実施例1と同様の分解土壌槽に同様にTCE、フェノー
ルを含有させた土壌を用意した。その際、微生物剤の代
わりに、KK01株の懸濁液(実施例1で調製したOD
(550nm)約0.7の菌懸濁液の0.3mlを10
0mlの水で希釈したもので実施例1の投与菌数に相当
する菌数を含む)を土壌に均一に散布混合した。更に、
実施例1と同様に分解土壌槽を密閉して、25℃に放置
し、約10gの土壌を採取して、菌数の経時変化(図
3、曲線C)及びTCE濃度の変化(図4、曲線c)を
測定した。
【0072】菌数変化は、5〜10日目まで約3×10
4まで増加したが、その後徐々に減少し、20〜30日
目では104以下まで減少した。この結果は、KK01
株は、自然土壌の中では、充分生育できず、生育のため
の担体が有効であることが示された。この場合TCE分
解は、曲線cに示されるように5日以内に0.5ppm
以内の分解は見られるもののその後全く分解は進行しな
かった。
【0073】比較例2 多孔質セルロース担体(マイクロキャリアCPB:旭化
成工業(株)製、平均粒子径約200μm、平均開孔径
30μm)を菌保持用担体として用いた。この多孔質セ
ルロース担体は、1粒子が、バラの花びらのような薄い
シートが集合した形態を有する完全連続気孔構造ではな
い親水性の多孔質体である。
【0074】この担体10gを、実施例1におけるKK
01株の培養菌懸濁液(OD=0.7)に混合浸漬した
後、担体のみ取り出して半乾燥の状態とした。このKK
01株を保持した担体を実施例1と同様にTCE、フェ
ノールを含有した分解土壌槽の土壌内へ均一に混合し
て、同様に密閉状態で試験した。なお、投与菌数は実施
例1と同様となるように調製した。
【0075】図3の曲線Dが実施例1と同様の方法で求
めた経時的なKK01株の菌数変化を示している。2〜
3日目では急速な菌数増加が観測された。しかしなが
ら、5日以降菌数の増加が106個/g土壌以下で飽和
し、10日目以降急激な減少を示し、30日目では約1
5個/g土壌まで減少した。このKK01菌の菌数変
化は、通常のバッチ培養で観察される誘導期、対数増殖
期、減速定常期を経て対数死滅期を示す培養過程におけ
る増殖曲線と同一である。
【0076】図4には、この時のTCE濃度変化が曲線
dで示されている。5日目には良好な分解を示すが、そ
の後分解はゆっくりとなり、20日目以降分解は停止
し、30日目でも約0.15ppmのTCEが残留し
た。
【0077】実施例2 実施例1で用いたPVFの多孔性フィルムを真空吸収ビ
ンの口にセットし、これに、スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合粒子(粒子径5μm、日本合成ゴム株式会社、
DYNOSPHERES)の0.1重量%水分散液に、
アクリル酸エステル系エマルション(ガラス転移温度−
20℃)を添加(対スチレン−ジビニルベンゼン共重合
粒子10重量%)して得た混合液を流下後、乾燥させ
た。
【0078】この操作によって、多孔性フィルムの3次
元網目構造内にスチレン−ジビニルベンゼン共重合粒子
を部分的に付着させた。このスチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合粒子は疎水性であり、KK01株の菌体が付着
しにくいものである。これによって3次元網目構造内に
は、親水性の表面と疎水性の表面と混在する構造が形成
された。
【0079】こうして得られた多孔性フィルムに実施例
1と同様の操作によってKK01株を通過させ付着させ
た。このフィルムに保持された菌数を実施例1と同様に
求めたところ約6×104個であった。更に、このフィ
ルムを一辺が1mmの立方体状に切断して微生物剤を得
た。
【0080】実施例1と同様にフェノール及びTCEを
含有する土壌を、分解土壌槽内に調製した。その際、上
記の微生物剤(400mm×400mm×1mmのフィ
ルム全量分)を土壌に均一に混合した。槽を密閉後、実
施例1と同様に密閉して25℃での試験を行った。
【0081】図3の曲線Bが実施例1と同様にして求め
た菌数の経時的変化である。曲線A及びDに比べ、増加
速度(対数増殖期)は若干小さいが、5日目以降106
個/g土壌以上に増加し、その後30日目まで減少する
ことなく高い菌数を維持した。この増殖過程では、バッ
チ培養で得られ対数死滅期は全く観察されなかった。こ
の間連続培養系で見られる菌数の維持が可能であること
が判明した。
【0082】図4曲線bがこのときのTCE濃度変化で
ある。10日目で約0.05ppm、30日目で0.0
1ppm以下まで分解が進行した。
【0083】実施例3 KK01株を50mlの0.05%の酵母エキストラク
トを含むM9培地にて30℃で培養し、OD(550n
m)が約0.7の菌懸濁液を調製し、この菌懸濁液に、
更に1gの酵母エキストラクト、及びM9培地の組成分
としてのNa2HPO4の0.6g、KH2PO4の0.3
g、NaClの0.05g及びNH4Clの0.1gを
栄養素として加えた。この栄養素を添加した菌懸濁液を
実施例1と同様にして真空吸引ビンを用いて、PVFの
多孔性フィルム(400mm×400mm×1mm)に
均一に吸引通過させた。この時の保持菌数を実施例1と
同様に測定したところ、約1×105個/cm2であっ
た。
【0084】この多孔性フィルムを一辺が1mmの立方
体に切断して微生物剤を得た。得られた微生物剤を実施
例1と同様に分解土壌槽に混合し、同様に試験した。2
5℃での放置日数に対するKK01株の菌数(菌数/g
土壌)は、図3の曲線Eに示され、菌数の増殖速度は栄
養素の添加によって加速され、飽和菌数も3×106
/g土壌に達した。この菌数は、30日目においても極
めて小さな減少に留まった。このときTCE濃度変化
は、図4の曲線eに示した。10日目で0.04pp
m、30日目で0.02ppmまで分解されることが確
認された。
【0085】実施例4 上記のKK01株を10mlの0.05%の酵母エキス
トラクトを含むM9培地に接種し、30℃で培養し、収
菌、洗浄後、菌体をリン酸緩衝液(pH7.0)に分散
してOD(550nm)が約0.7の菌懸濁液を調製
し、以下の操作に用いた。
【0086】ポリ(4−フッ化エチレン)(PTFE)
の2軸延伸フィルム(縦10cm、横10cm、厚さ1
00μm;孔隙率95%、平均孔径3μm;孔径分布約
0.2〜約7μm)を真空プラズマ装置内にセットし、
10-3Torr、H2−Ar混合ガス(H2濃度10%、
流量5SCCM)の雰囲気で13.56MHzのプラズ
マを発生させ、該フィルムを15分間プラズマ処理して
親水化した。こうして得られた親水化フィルムを真空吸
収ビンの口にセットし、先に調製した菌懸濁液をこの親
水化フィルムに計3回吸引通過させた。
【0087】親水化フィルムに保持された菌数を求めた
ところ、約105個/cm2であった。なお、この保持菌
数は実施例1と同様にして求めた。
【0088】こうして得られたKK01株導入フィルム
を縦2mm、横2mmの正方形状に切断し、フィルム片
の多数からなる微生物剤を得た。
【0089】次に、未滅菌褐色森林土200gに、0.
02%フェノール水溶液を加え、更に上記の微生物剤の
全量(投与菌数約107個)をこれに加えて均一に混合
し、土壌還流装置に入れた。この状態で、2ml/分の
流速で25℃の水200mlを還流させ、還流液中のフ
ェノール濃度をHPLCで2週間経時的に計測した。そ
の結果を図5に示す。
【0090】比較例3 親水化フィルムにKK01株を保持させずに用いる以外
は実施例4と同様にして土壌処理を行った。還流液中の
フェノール濃度の変化を図5に示した。
【0091】比較例4 親水化フィルムを用いずに、KK01株の菌体を含む溶
液を直接土壌に混合(投与菌数約107個)した以外は
実施例4と同様にして土壌処理を行った。還流液中のフ
ェノール濃度の変化を図5に示した。
【0092】実施例5 (微生物保持担体の調製)20%ポリビニルアルコール
(PVA)水溶液10ml中に2g(湿菌体量)のKK
01株菌体を加え、懸濁させた。得られた懸濁液に更に
旭硝子(株)の多孔質ガラスMPG(孔径20μm、粒
径2〜3mm、密度0.35cc/g)の20gを添加
して、超音波処理により該懸濁液をMPGの孔隙内に浸
透させた。この後、この混合物を飽和ホウ酸中に滴下し
て、PVAをゲル化し、微生物保持担体を得た。
【0093】実施例6 (KK01株の増殖、放出性)実施例5と同様にして得
た微生物保持担体の10gを滅菌した褐色森林土100
gに添加、混合し、30℃で培養を行い、経日的にこの
土壌より10gずつ土壌試料(担体を含まない)をサン
プリングした。得られた各サンプルをそれぞれホモジナ
イザーを用いてリン酸緩衝液(pH7.0)50mlに
分散し、得られた分散液中の菌数を0.05%酵母エキ
ストラクトを含むM9培地を用いた希釈平板法で求め
た。実験は5連で行い、土壌1gあたりの菌数の平均を
とった。得られた結果を図6に示す。
【0094】比較例5 水10ml中に2g(湿菌体量)のKK01株菌体を加
えて得られた懸濁液に実施例5で用いたのと同様の多孔
質ガラスMPGの20gを添加して、超音波処理により
該懸濁液をMPGの孔隙内に浸透させて、微生物保持担
体を得た。その10gを滅菌した褐色森林土100gに
添加、混合し、30℃で培養を行い、経日的にこの土壌
より10gずつ土壌試料(担体を含まない)をサンプリ
ングし、実施例6と同様にしてサンプルに含まれる菌数
を計測した。得られた結果を図6に示す。
【0095】実施例7 (Escherichia coliの増殖、放出性)
ベクターpHSG298よりクロラムフェニコール耐性
遺伝子を含む断片を切り出し、さらに断片長を短くした
後平滑末端化し、これをベクターpHSG298の制限
酵素HincII分解物と結合させてカナマイシン耐性
遺伝子及びクロラムフェニコール耐性遺伝子の両方を有
する図7に示す組換えベクターを構築し、これを
oli HB101株(宝酒造(株))に塩化カルシウ
ム法で導入して両方の耐性を発現する形質転換体を得
た。この形質転換体をLB培地(バクトペプトン10g
/l、酵母エキストラクト5g/l、塩化ナトリウム1
0g/l、pH7.5)の100mlに接種し、37℃
で対数増殖期にいたるまで振盪培養の後、遠心分離で集
菌した。得られた湿菌体を実施例5と同様に処理し、形
質転換体を保持した担体を得た。
【0096】この形質転換体を保持した担体の10gを
滅菌した褐色森林土100gに添加、混合し、30℃で
培養を行い、経日的にこの土壌より10gずつ土壌試料
(担体を含まない)をサンプリングした。得られた各サ
ンプルをそれぞれホモジナイザーを用いてリン酸緩衝液
(pH7.0)50mlに分散し、得られた分散液中の
菌数をカナマイシン(50μg/ml)及びクロラムフ
ェニコール(50μg/ml)を含むLB培地を用いた
希釈平板法で求めた。実験は5連で行い、土壌1gあた
りの菌数の平均をとった。得られた結果を図8に示す。
【0097】比較例6 水10ml中に実施例7で得た形質転換体(湿菌体量2
g)を加えて得られた懸濁液に実施例5で用いたのと同
様の多孔質ガラスMPGの20gを添加して、超音波処
理により該懸濁液をMPGの孔隙内に浸透させて、微生
物保持担体を得た。その10gを滅菌した褐色森林土1
00gに添加、混合し、30℃で培養を行い、経日的に
この土壌より10gずつ土壌試料(担体を含まない)を
サンプリングし、実施例7と同様にしてサンプルに含ま
れる菌数を計測した。得られた結果を図8に示す。
【0098】実施例8 上記のKK01株を50mlの0.05%の酵母エキス
トラクトを含むM9培地に接種し、30℃で培養し、集
菌、洗浄後、菌体をリン酸緩衝液(pH7.0)に分散
してOD(550nm)が約0.7の菌懸濁液を調製
し、以下の操作に用いた。
【0099】ポリ(4−フッ化エチレン)(PTFE)
の2軸延伸フィルム(縦10cm、横10cm、厚さ1
00μm;孔隙率92%、平均孔径3μm;孔径分布約
0.2〜約7μm)を真空吸引ビンの口にセットた。
【0100】次に、平均粒経0.5μmのZnO粉末1
0g及び結着用シリコンレジン2gを200mlのトル
エンに分散した分散液を、上記の真空吸引ビンにセット
したフィルム面に均一に広がるように滴下し、吸引しな
がらフィルムに通過させた。このフィルムを乾燥させた
後、再び真空吸引ビンの口にセットし、先に調製した菌
懸濁液をこの親水化フィルムに計3回吸引通過させた。
【0101】親水化フィルムに保持された菌数を求めた
ところ、約105 個/cm2 であった。なお、この保持
菌数は実施例1と同様の方法で求めた。
【0102】こうして得られたKK01株導入フィルム
を縦2mm、横2mmの正方形状に切断し、未滅菌褐色
森林土200gに、0.02%フェノール水溶液を加
え、更に上記の微生物剤の全量(投与菌数約107 個)
をこれに加えて均一に混合し、土壌還流装置に入れた。
この状態で、2ml/分の流速で25℃の水200ml
を還流させ、還流液中のフェノール濃度をHPLCで2
週間経時的に計測した。その結果を図9に示す。
【0103】比較例7 ZnO粉末を導入したフィルムにKK01株を保持させ
ずに用いる以外は実施例8と同様にして土壌処理を行っ
た。還流液中のフェノール濃度の変化を図9に示した。
【0104】比較例8 フィルムを用いずに、KK01株の菌体を含む溶液を直
接土壌に混合(投与菌数約107 個)した以外は実施例
8と同様にして土壌処理を行った。還流液中のフェノー
ル濃度の変化を図9に示した。
【0105】
【発明の効果】本発明の3次元網目構造を有する微生物
保持用担体は適度な開放性を有するので、該担体への微
生物の導入操作が容易であり、しかも該担体に保持させ
た微生物の担体外への放出や担体外部からの土壌中の各
種成分の担体内への侵入、通過が容易となり、投与微生
物の増殖について連続培養の特性を得ることができ、ま
た、担体内外での保持微生物による土壌処理が可能で、
相乗的な処理効果が得られる。更に、本発明の微生物保
持用担体で、微生物が吸着し易い孔隙内壁面と微生物が
吸着しにくい孔隙内壁面を有するものでは、土壌修復に
用いる微生物が吸着し易い孔隙内壁面に該微生物を高濃
度で保持でき、該微生物が吸着しにくい孔隙内壁面によ
って該微生物の担体内での移動性を高めて土壌中への放
出を容易とするものであり、該担体によれば、土壌中に
おいて保持させた微生物を高濃度に維持しつつ、効果的
に該微生物を土壌中に放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微生物保持用担体の構造の一例を示す
模式図である。
【図2】本発明の微生物保持用担体の構造の他の例を示
す模式図である。
【図3】実施例1、2、3及び比較例1、2で得られた
菌数の経日変化を示す図である。
【図4】実施例1、2、3及び比較例1、2で得られた
TCEの経日変化を示す図である。
【図5】実施例4、比較例3、4で得られたフェノール
の経日変化を示す図である。
【図6】実施例6、比較例5で得られたフェノールの経
日変化を示す図である。
【図7】実施例7で得られた組換えベクターの構成を示
す図である。
【図8】実施例7、比較例6で得られたフェノールの経
日変化を示す図である。
【図9】実施例8、比較例7、8で得られたフェノール
の経日変化を示す図である。
【符号の説明】
1 土壌粒 2、5 ポリマー繊維 3、6 保持または放出された微生物 4 吸着性微粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 11/14 (72)発明者 古崎 眞也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にμm単位以上の空孔径を有する
    相互に連通する多数の空孔を構成する3次元網目構造を
    なし、保持させる微生物の吸着性が得られる吸着用表面
    を有することを特徴とする微生物保持用担体。
  2. 【請求項2】 前記保持させる微生物の吸着性が得られ
    る素材からなる請求項1に記載の微生物保持用担体。
  3. 【請求項3】 前記吸着用表面が、静電的な、または親
    水性による前記微生物に対する親和性を有することで該
    微生物の吸着性を得るものである請求項1に記載の微生
    物保持用担体。
  4. 【請求項4】 前記吸着用表面に、前記微生物に対して
    非親和性の表面が部分的に形成された請求項3に記載の
    微生物保持用担体。
  5. 【請求項5】 前記非親和性の表面が、疎水性の面から
    なる請求項4に記載の微生物保持用担体。
  6. 【請求項6】 前記微生物の栄養素となる成分を含む請
    求項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体。
  7. 【請求項7】 前記空孔の空孔率が50〜98%である
    請求項1〜6のいずれかに記載の微生物保持用担体。
  8. 【請求項8】 前記空孔径の平均が、1〜50μmの範
    囲内にある請求項1〜7に記載の微生物保持用担体。
  9. 【請求項9】 フィルム状に形成された請求項1〜8に
    記載の微生物保持用担体。
  10. 【請求項10】 前記微生物が、土壌中の汚染物質を分
    解する土壌修復用の微生物である請求項1〜9のいずれ
    かに記載の微生物保持用担体。
  11. 【請求項11】 前記土壌修復用の微生物が、塩素化有
    機化合物で汚染された土壌を、該塩素化有機化合物を分
    解してこれを修復するためのものである請求項10に記
    載の微生物保持用担体。
  12. 【請求項12】 前記塩素化有機化合物がトリクロロエ
    チレンである請求項11に記載の微生物保持用担体。
  13. 【請求項13】 前記微生物がシュードモナス属の細菌
    である請求項1〜12のいずれかに記載の微生物保持用
    担体。
  14. 【請求項14】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアである請求項13に記載の微生物保
    持用担体。
  15. 【請求項15】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアKK01株である請求項13に記載
    の微生物保持用担体。
  16. 【請求項16】 請求項1〜9のいずれかに記載の微生
    物保持用担体に土壌修復用微生物を保持させてなること
    を特徴とする土壌修復用微生物剤。
  17. 【請求項17】 前記土壌修復用微生物が、塩素化有機
    化合物で汚染された土壌を、該塩素化有機化合物を分解
    してこれを修復するためのものである請求項16に記載
    の土壌修復用微生物剤。
  18. 【請求項18】 前記塩素化有機化合物がトリクロロエ
    チレンである請求項17に記載の土壌修復用微生物剤。
  19. 【請求項19】 前記土壌修復用微生物がシュードモナ
    ス属の細菌である請求項17または18に記載の土壌修
    復用微生物剤。
  20. 【請求項20】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアである請求項19に記載の土壌修復
    用微生物剤。
  21. 【請求項21】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアKK01株である請求項19に記載
    の土壌修復用微生物剤。
  22. 【請求項22】 請求項16〜21のいずれかに記載の
    土壌修復用微生物剤を土壌に投与することを特徴とする
    土壌修復方法。
  23. 【請求項23】 請求項1〜9のいずれかに記載の微生
    物保持用担体を、土壌修復用微生物の懸濁液に浸漬し
    て、または該懸濁液を該担体の孔隙に通過させること
    で、該担体の孔隙内に該微生物を導入させて保持させる
    ことを特徴とする土壌修復用微生物剤の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記土壌修復用微生物が、塩素化有機
    化合物で汚染された土壌を、該塩素化有機化合物を分解
    してこれを修復するためのものである請求項−23に記
    載の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記塩素化有機化合物がトリクロロエ
    チレンである請求項24に記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記土壌修復用微生物がシュードモナ
    ス属の細菌である請求項23〜25のいずれかに記載の
    製造方法。
  27. 【請求項27】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアである請求項26に記載の製造方
    法。
  28. 【請求項28】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアKK01株である請求項26に記載
    の製造方法。
  29. 【請求項29】 土壌修復に用いる微生物を保持させる
    孔隙を有する担体であって、該微生物が吸着し易い孔隙
    内壁面と、該微生物が吸着しにくい孔隙内壁面を構成し
    得る構造を有することを特徴とする微生物保持用担体。
  30. 【請求項30】 前記微生物が吸着しにくい孔隙内壁面
    を、多孔質無機材料で形成した請求項29に記載の微生
    物保持用担体。
  31. 【請求項31】 前記多孔質無機材料からなる基材の所
    定面に、前記微生物が吸着し易い孔隙内壁面を有する被
    覆層を設けた構造を有する請求項30に記載の微生物保
    持用担体。
  32. 【請求項32】 前記被覆層が前記微生物により分解可
    能な材料である請求項31に記載の微生物保持用担体。
  33. 【請求項33】 前記孔隙内に、微生物が吸着し易い内
    壁面と該微生物が吸着しにくい内壁面とが混在している
    請求項29〜32のいずれかに記載の微生物保持用担
    体。
  34. 【請求項34】 相互に連通する多数の空孔からなる3
    次元網目構造を有する請求項29または33のいずれか
    に記載の微生物保持用担体。
  35. 【請求項35】 生分解性の高分子材料からなる部分を
    有する請求項29〜34のいずれかに記載の微生物保持
    用担体。
  36. 【請求項36】 前記微生物の栄養素となる成分を含む
    請求項29〜35のいずれかに記載の微生物保持用担
    体。
  37. 【請求項37】 前記微生物が、土壌中の汚染物質を分
    解する土壌修復用の微生物である請求項29〜26のい
    ずれかに記載の微生物保持用担体。
  38. 【請求項38】 前記土壌修復用の微生物が、塩素化有
    機化合物で汚染された土壌を、該塩素化有機化合物を分
    解してこれを修復するためのものである請求項37に記
    載の微生物保持用担体。
  39. 【請求項39】 前記塩素化有機化合物がトリクロロエ
    チレンである請求項38に記載の微生物保持用担体。
  40. 【請求項40】 前記微生物がシュードモナス属の細菌
    である請求項29〜39のいずれかに記載の微生物保持
    用担体。
  41. 【請求項41】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアである請求項40に記載の微生物保
    持用担体。
  42. 【請求項42】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアKK01株である請求項40に記載
    の微生物保持用担体。
  43. 【請求項43】 請求項29〜36のいずれかに記載の
    微生物保持用担体に土壌修復用微生物を保持させてなる
    ことを特徴とする土壌修復用微生物剤。
  44. 【請求項44】 前記土壌修復用微生物が、塩素化有機
    化合物で汚染された土壌を、該塩素化有機化合物を分解
    してこれを修復するためのものである請求項43に記載
    の土壌修復用微生物剤。
  45. 【請求項45】 前記塩素化有機化合物がトリクロロエ
    チレンである請求項44に記載の土壌修復用微生物剤。
  46. 【請求項46】 前記微生物がシュードモナス属の細菌
    である請求項43〜45のいずれかに記載の土壌修復用
    微生物剤。
  47. 【請求項47】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアである請求項46に記載の土壌修復
    用微生物剤。
  48. 【請求項48】 前記シュードモナス属の細菌がシュー
    ドモナス・セパシアKK01株である請求項46に記載
    の土壌修復用微生物剤。
  49. 【請求項49】 請求項43〜48のいずれかに記載の
    土壌修復用微生物剤を修復すべき土壌に投与することを
    特徴とする土壌修復方法。
JP6029399A 1993-04-08 1994-02-28 土壌修復用微生物剤、微生物保持用担体及びこれらを用いた土壌修復方法 Pending JPH06340876A (ja)

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