JPH0634660B2 - 新菌株の培養及び栽培方法 - Google Patents

新菌株の培養及び栽培方法

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JPH0634660B2
JPH0634660B2 JP61268656A JP26865686A JPH0634660B2 JP H0634660 B2 JPH0634660 B2 JP H0634660B2 JP 61268656 A JP61268656 A JP 61268656A JP 26865686 A JP26865686 A JP 26865686A JP H0634660 B2 JPH0634660 B2 JP H0634660B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、担子菌の新菌株に関し、更に詳しくはリオフ
イラム ウルマリウム(Lyophyllum ulmarium)の新菌
株の培養方法及び子実体の栽培方法に関する。
〔従来の技術〕
リオフイラム ウルマリウムは自然界においては秋季種
々の広葉樹の枯木又は生木に叢生あるいは孤生してお
り、従来より形や歯切れのよい肉質で極めて美味なきの
ことして採食されている。また、近年では主に鋸屑に米
糠を配合した培養基を用い、瓶又は箱で栽培を行う菌床
人工栽培が確立され、一年を通して四季に関係なく安定
してリオフイラム ウルマリウムが収穫できるようにな
っている。リオフイラム ウルマリウムの人工栽培にお
いては、菌かき後、子実体原基を形成させ、更に培養を
続けて子実体を得て収穫する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、従来より使用されている菌株では、完熟
子実体とした場合、子実体のカサが反り返り、著しく商
品価値を損うのが現状である。
本発明の目的は、上記現状にかんがみ、子実体完熟時に
おいて子実体のカサが反らないという優れた性質を有す
るリオフイラム ウルマリウムの新菌株の培養方法及び
その子実体の栽培方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明はリオフイラ
ム ウルマリウム新菌株の培養方法に関する発明であっ
て、人工栽培を行った際に、子実体完熟時において子実
体のカサが反らず、かつ子実体の収穫までの栽培期間が
100日を超えないリオフイラム ウルマリウム新菌株
を培地に接種し、菌糸体を生成させることを特徴とす
る。
また本発明の第2の発明はリオフイラム ウルマリウム
新菌株の子実体の栽培方法に関する発明であって、人工
栽培を行った際に、子実体完熟時において子実体のカサ
が反らず、かつ子実体の収穫までの栽培期間が100日
を超えないリオフイラム ウルマリウム新菌株を培地に
接種し、子実体を形成させることを特徴とする。
リオフイラム ウルマリウムの菌床人工栽培において、
従来より用いられている菌株では子実体完熟時に子実体
のカサが反り返るという性質を有している。本発明者ら
はこの欠点を改善するため、自然界よりリオフイラム
ウルマリウムのスクリーニングを行い一菌株を採取しリ
オフイラム ウルマリウムLu 1−8と命名した。こ
の菌株を用いた場合、成育がやや遅いため長い栽培期間
を要し、経済的に不利であるため、更にこの菌株と他に
自然界より採取した野性の一菌株との交配試験を行い鋭
意検討を重ねた結果、得られた一交配株が子実体完熟時
において子実体のカサが反ることなく、かつ短期間の栽
培で子実体が収穫できることを見出した。
なお、本明細書中子実体完熟時とは胞子の落下する時期
をさす。
以下、本発明における交配株について詳しく説明する。
交配株の育種は例として自然界より採取したリオフイラ
ム ウルマリウムの野性株2株の交配によって行った。
供試株としてはリオフイラム ウルマリウムLu 1−8
とリオフイラム ウルマリウムLu 1−17を用いた。
前者は子実体完熟時に子実体のカサが反らないという優
れた性質を持っているが、総栽培日数が約120日とかな
り長いのに対し、後者は子実体完熟時カサが反り返える
が、総栽培日数は約100日である。
供試したリオフイラム ウルマリウムLu 1−8は、鳥
取県大山で枯木に叢生していた子実体より、本発明者ら
が純粋分離したものであり、その子実体及び胞子の形態
的特徴は以下のとおりである。
子実体は叢生、カサは径5〜15cm、円形又は不正形で
丸山形、表面は平滑、湿潤、白色〜帯褐クリーム色を呈
しており、往々やや濃色の斑紋を現し、老時中央部に亀
裂を生ずることがある。肉は白色、厚く緻密でやや粉臭
がある。ヒダは白色、幅広く、茎に上生する。茎は偏心
生で湾曲し、3〜7×1〜2cm、カサとほぼ同色、頂部
は白色で綿毛状ないし粉状である。胞子はほぼ球形、平
滑、無色、4.5〜5.5×3.5〜4.5μm、紋は白色。
以上の特徴を伊藤誠哉著「日本菌類誌」第2巻、第5
号、1955年 養賢堂出版の記載と比較すると、本菌
はリオフイラム ウルマリウムであることが明りょうで
ある。なお、このLu 1−8株は、Lyophyllum ulmariu
m Lu 1−8と表示し、工業技術院微生物工業技術研
究所に微工研条寄第1416号(FERM BP−1416)
として寄託されている。
次に、リオフイラム ウルマリウムLu 1−8の諸性質
を示す。
(1)麦芽エキス寒天培地(25℃) 7日目でコロニー径は41mm、白色で密な菌糸、気菌糸
を多量に生じる。10日目でコロニー径は61mm、白色
で密な菌糸。17日目でシャーレ全体に菌糸が生育す
る。白色で密な菌糸で、直線的に伸びている。気菌糸多
い。
(2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地(25℃) 7日目でコロニー径は31mm、白色で密な菌糸、気菌糸
を多量に生じる。10日目でコロニー径は51mm、白色
で密な菌糸。17日目でシャーレ全体に菌糸が生育す
る。表面全体に気菌糸が多量に生じる。菌糸は白色であ
る。
(3)ツアペック・ドックス寒天培地(25℃) 7日目でコロニー径は30mm、菌糸は樹状に伸長し極め
て希薄、菌糸は白色、気菌糸は少ない。17日目でシャ
ーレ全体に菌糸が生育。菌糸は樹状で白色、希薄であ
る。
(4)サブロー寒天培地(25℃) 7日目でコロニー径は38mm、白色、密な菌糸で直線的
に伸びている。気菌糸はあまり多くない。10日目でコ
ロニー径57mm、白色、気菌糸は多くない。17日目、
シャーレ全体に菌糸が生育し、菌糸は樹状で白色、希薄
である。
(5)オートミール寒天培地(25℃) 7日目でコロニー径は45mm、菌糸は白色でよく分枝し
て伸び気菌糸は少ない。10日目でコロニー径は70m
m、白色で菌糸は密である。気菌糸がかなり増えて綿状
である。17日目でシャーレ全体に菌糸が生育。気菌糸
が多量に生じ、よく絡みあって綿状になっている。白色
である。
(6)合成ムコール寒天培地(25℃) 7日目で小程度の生育、コロニー径は20mm、菌糸は白
色で放射状に伸びる。気菌糸は部分的に密である。10
日目でコロニー径は33mm、白色で気菌糸を多量に生じ
る。17日目でコロニー径は68mm。白色で気菌糸が多
い。
(7)YpSs寒天培地(25℃) 7日目でコロニー径は55mm、菌糸は白色で気菌糸を多
量に生じる。マット状に生育。10日目でコロニー径は
76mm、菌糸は白色。気菌糸が多い。マット状である。
17日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸も大量
に発生し、綿状になる。菌糸は白色であるが、培地はや
や黄色に変化する。
(8)フェノールオキシダーゼ検定用培地(25℃) 0.5%没食子酸添加ポテト−グルコース寒天培地 7日目小程度の生育、コロニー径は15mm。菌糸は白色
で、気菌糸は多い。培地は少し褐変。17日目ではコロ
ニー径は20mm。菌糸は白色で気菌糸が多い。褐変半径
は40mm。雑菌の新旧によって生育速度に差が生じる。
(9)最適発育温度 PGY寒天培地に直径5mmの種菌を接種し、各温度でそ
れぞれ培養して、12日後に各コロニー径を測定したと
ころ、最適発育温度は25℃付近であった。また、5
℃、35℃では生育しなかった。
(10)最適発育PH PGY液体培地(PGY寒天培地から寒天を除いたも
の)60mずつを殺菌後、各PHに調整、種菌を接種
し、25℃、15日間静置培養後、乾燥重量を測定した
ところ、最適発育PHは7〜8であった。また、本菌株
の生育限界はPH3.5〜10の範囲であった。
供試した他の一株リオフイラム ウルマリウムLu 1−
17は、三重県奥志摩で枯木に叢生していた子実体よ
り、本発明者らが純粋分離したものであり、その子実体
及び胞子の形態的特徴は以下のとおりである。
子実体は叢生、カサは径4.5〜13cm、円形又は不正形
で平皿形、表面は平滑、湿潤、帯褐クリーム色を呈し、
中央部褐色を帯びる場合がある。往々不明りょうなやや
濃色の斑紋があり、時に老時中央部に亀裂がある。肉は
白色、厚く緻密でやや粉臭がある。ヒダは白色又は淡黄
土色、やや疎で幅広い。茎は偏心生又は中心生で、3〜
7×1〜2cm、カサとほぼ同色、少し軟毛がみられる。
胞子は球形、平滑、無色、4〜5×3.5〜4.5μm、紋
は白色。
以上の特徴を伊藤誠哉著「日本菌類誌」第2巻、第5
号、1955年 養賢堂出版の記載と比較すると、本菌
はリオフイラム ウルマリウムであることが明りょうで
ある。なお、このLu 1−17株は、Lyophyllum ulmar
ium Lu 1−17と表示し、工業技術院微生物工業技術
研究所に微工研条寄第1417号(FERM BP−141
7)として寄託されている。
これら野性株2株の交配は常法により以下のごとく行っ
た。
例えば、鋸屑と米糠を混合した培地より発生させたリオ
フイラム ウルマリウムLu 1−8の子実体のカサ部を
柄より切り離し、殺菌済のシャーレのフタに接着し、1
5℃で2日間放置すると、胞子が落下する。滅菌水をシ
ャーレに加えて胞子懸濁液を作り、1×10/mの
濃度に希釈したものをPGY寒天平板培地(ポリペプト
ン0.2%、酵母エキス0.2%、グルコース2%、KH2PO4
の0.05%、MgSO4・7HO0.05%及び寒天2%)
に植菌し、25℃で7〜10日間培養する。該培地より
発芽した一核菌糸を実体顕微鏡下で分離し、約50の一
核菌糸を得た。同様に処理しリオフイラム ウルマリウ
ムLu 1−17より、約50の一核菌糸を得た。
両株の一核菌糸を、PGY寒天平板の中央付近に約1cm
離して植菌し、25℃にて7日間培養後、コロニーの一
部をとり、光学顕微鏡下で二核化を確認したものをPG
Y寒天斜面培地に分離した。このようにして、リオフイ
ラム ウルマリウムLu 1−8とLu 1−17の交配株
約100株を得た。該100株のうち、成長速度の早い
20株を選択し、鋸屑・米糠培地に植菌し、発生した子
実体より優良なものを5株選び、再度鋸屑・米糠培地に
て子実体を得、最良なものとして1菌株を選び、リオフ
イラム ウルマリウムM−8171と命名した。
なお、このM−8171株は、Lyophyllum ulmarium
M−8171と表示し、工業技術院微生物工業技術研究
所に微工研条寄第1415号(FERM BP−1415)と
して寄託されている。
次に、リオフイラム ウルマリウムM−8171の諸性
質を示す。
(1)麦芽エキス寒天培地(25℃) 7日目で旺盛な生育で、コロニー径は41mm、白色で密
な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全
体に菌糸が生育する。17日目で表面全体に密な気菌糸
を生じる。菌糸は白色である。
(2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地(25℃) 7日目で旺盛な生育、コロニー径は37mm、白色で密な
菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体
に菌糸が生育。17日目には表面全体を気菌糸が覆い、
中央部付近がやや黄色、他部は白色となる。
(3)ツアペック・ドックス寒天培地(25℃) 7日目で小程度の生育、コロニー径は25mm、菌糸は樹
状に伸長し極めて希薄、気菌糸は少ない。17日目でシ
ャーレ全体に菌糸が生育。菌糸は樹状で白色、希薄であ
る。
(4)サブロー寒天培地(25℃) 7日目で旺盛な生育、コロニー径は42mm、白色で綿状
の密な菌糸、気菌糸やや多い。10日目でシャーレ全体
に菌糸が生育し、気菌糸極めて多く、綿状で白色であ
る。
(5)オートミール寒天培地(25℃) 7日目で旺盛な生育、コロニー径は37mm。菌糸はよく
分枝して伸び、気菌糸は少ない。10日目でシャーレ全
体に菌糸が生育、綿状の気菌糸を多量に生じる。白色で
ある。
(6)合成ムコール寒天培地(25℃) 7日目で小程度の生育、コロニー径は23mm、菌糸は白
色で直線状に伸び、放射繊維状に見える。17日目で菌
糸はコロニー径全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。
菌糸は白色である。
(7)YpSs寒天培地(25℃) 7日目で旺盛な生育、コロニー径は42mm。菌糸は白
色、密で気菌糸を多量に生じる。マット状に生育、10
日目では菌糸はコロニー全体に生育し、気菌糸も多量に
生じる。菌糸は白色であるが、培地は黄色に変化する。
(8)フェノールオキシダーゼ検定用培地(25℃) 0.5%没食子酸添加ポテト−グルコース寒天培地 7日目小程度の生育、コロニー径は19mm。菌糸は白色
で短かくマット状、気菌糸は少ない。培地は褐変、褐変
半径は39mm。17日目では中程度の生育、コロニー径
は38mm、褐変半径は40mm。種菌の新旧により著しく
生育速度に差(約2倍)が生じる。
(9)最適発育温度 PGY寒天培地に直径5mmの種菌を接種し、各温度でそ
れぞれ培養して、12日後に各コロニー径を測定したと
ころ、最適発育温度は25℃付近であった。また、5
℃、35℃では生育しなかった。
(10)最適発育PH PGY液体培地(PGY寒天培地から寒天を除いたも
の)60mずつ殺菌後、各PHに調整、種菌を接種
し、25℃、15日間静置培養後、乾燥重量を測定した
ところ、最適発育PHは7〜8であった。また、本菌株
の生育限界はPH3.5〜10の範囲であった。
次に、リオフイラム ウルマリウムM−8171と他の
リオフイラム ウルマリウム株との異同判定として、両
菌糸が持っている性因子が異なれば、その菌糸は互いに
異なる菌糸であるという菌類分類学的事実に基づき、性
因子の異同を寒天培地上における対峙培養によって調べ
た。供試したリオフイラム ウルマリウム株としてはリ
オフイラム ウルマリウムIFO 9637、リオフイラ
ム ウルマリウムIFO 30525、リオフイラム ウ
ルマリウムIFO 30775、リオフイラム ウルマリ
ウムLu 1−8、リオフイラム ウルマリウムLu 1−
17、リオフイラム ウルマリウムLu 1−2及び種菌
業者から購入したリオフイラム ウルマリウム3株であ
る。ここでリオフイラム ウルマリウムLu 1−2は群
馬県霧積で採取され、本発明者らによって純粋分離され
た野性株である。種菌業者から購入した3株とは、株式
会社 神子種菌研究所、日本農林種菌株式会社及び藤田
食用菌研究所よりそれぞれ購入したリオフイラム ウル
マリウム株である。これらの各菌株の二核菌糸を保存ス
ラント(PGY寒天斜面培地)より3mm×3mm×3mmの
ブロックとして切り出し、それぞれをPGY寒天平板培
地の中央部に、リオフイラム ウルマリウムM−817
1の二核菌糸ブロック(3mm×3mm×3mm)と対峙して
植菌し(2cm間隔)、25℃、14日間培養後、両コロ
ニー境界部に帯線が生じるか否かを判定した。結果を第
1表に示す。(帯線を生じた場合+、生じなかった場合
−)。
第1表に示したように、前記各菌株は、リオフイラム
ウルマリウムM−8171との対峙培養ですべて帯線を
生じ、このことからリオフイラム ウルマリウムM−8
171は新しい株であることは明白である。
なお、リオフイラム ウルマリウムLu 1−8と前記各
株(Lu 1−8株を除く)との対峙培養を上記と同様な
方法で行った結果、すべて帯線を生じたことにより、リ
オフイラム ウルマリウムLu 1−8も新しい株であ
る。
次に、本発明の新菌株の特徴である子実体のカサの反り
について説明する。
下記第2表に、リオフイラム ウルマリウムM−817
1、リオフイラム ウルマリウムLu 1−8及び野性株
リオフイラム ウルマリウムLu 1−2の各々の栽培試
験を行い、子実体を発生させ、カサの反り具合を測定し
た結果を示す。
なお、リオフイラム ウルマリウムM−8171は61
日培養後、菌かきを行い、リオフイラム ウルマリウム
Lu 1−8は93日培養後、菌かきを行い、リオフイラ
ム ウルマリウムLu 1−2は94日培養後、菌かきを
行った。
そして、カサ部分の測定角aは、第1図に示したように
定めた。すなわち第1図は、測定角aの測定位置を示す
子実体の断面概略図である。第1図において、符号1は
カサ、2はヒダ、3は柄を意味する。
第1図に示したように、測定角aは、カサ中心線とカサ
の頂点との交点と、カサの先端とを結ぶ直線が、該カサ
中心線となす角度である。したがって、カサが反れば、
測定角aは大となる。
試験条件は以下のとおりである。針葉樹鋸屑50g、広
葉樹鋸屑50g、米糠90gをよく混合し、水道水で水
分65gに調整した鋸屑固形培養基を、ポリプロピレン
製の850m広口瓶に圧詰した。該培養基を120
℃、60分間高圧殺菌した後、リオフイラム ウルマリ
ウムの固体種菌を接種し、暗所、25℃、湿度50%の
条件下で25日間培養して培養菌糸を得た。
該培養菌糸を同条件下で更に培養(リオフイラム ウル
マリウムM−8171は36日間、リオフイラム ウル
マリウムLu 1−8は68日間、リオフイラム ウルマ
リウムLu 1−2は69日間)して子実体発生基を得
た。該発生基の上部より1cmの菌糸層を、中央部を残し
て除去し(菌かき)、水道水20mを加えて充分吸水
させた後、水を取除いて、照度20ルクス、15℃、湿
度90%の条件下で9日間培養して子実体原基を得、更
に照度200ルクスとして、11〜14日間培養を続け
て成熟子実体を、16〜19日間培養を続けて完熟子実体
を得た。
第2表から明らかなように、リオフイラム ウルマリウ
ムM−8171及びリオフイラム ウルマリウムLu 1
−8では、子実体完熟時において子実体のカサが反って
いないのに対し、リオフイラム ウルマリウムLu 1−
2ではカサが反り返り著しく商品価値を損なっているの
は明白である。
以上説明したように、本発明方法の新菌株として、例え
ばリオフイラム ウルマリウムM−8171が挙げられ
るが、前記菌株の特性を有するリオフイラム ウルマリ
ウムに属する菌株は、すべて本発明の新菌株に属するも
のである。
次に、リオフイラム ウルマリウムM−8171の親株
の1つであるリオフイラム ウルマリウムLu 1−17
の人工栽培例を実験例として示す。
実験例1 針葉樹鋸屑50g、広葉樹鋸屑50g、米糠90gをよ
く混合し、水道水にて水分含有率65%に調整したもの
を、ポリプロピレン製850m容広口瓶に圧詰めし
て、瓶口部中央より下方に向い直径1cmの穴をあけた
後、キヤップで打栓した鋸屑固形培養基を120℃、6
0分間高圧蒸気滅菌したものに、リオフイラム ウルマ
リウムLu 1−17(FERM BP−1417)の固体種菌
を接種した。
該培養基を暗所、25℃、湿度50%の条件下で25日
間培養して培養菌糸を得た。該培養菌糸を同条件下で更
に53日間培養して子実体発生基を得た。該子実体発生
基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌か
き)、水道水20mを加えて、充分に吸水させた後、
水を取除いて15℃、湿度90%、照度20ルクスの条
件下で10日間培養して子実体原基を形成させ、更に照
度200ルクスに上げて13日間培養を続けて成熟子実
体を得、更に3日間培養を続けて完熟子実体を得た。得
られた成熟子実体のカサは反り返ることなく丸形であっ
たが、完熟子実体のカサは平皿形で反り返っていた。成
熟子実体の収量は108g(総栽培日数101日)、完
熟子実体の収量は124g(総栽培日数104日)であ
った。
〔実施例〕
以下に本発明によるリオフイラム ウルマリウム新菌株
の人工栽培実施例を示すが、本発明は以下の実施例の範
囲のみに限定されるものではない。
実施例1 グルコース2.0%、ペプトン0.2%、酵母エキス0.2
%、KH2PO4の0.05%及び、MgSO4・7HO0.05%
(PH5.5)の組成の培地100mにリオフイラム
ウルマリウムM−8171(FERM BP−1415)を接
種して、25℃で10日間培養して液体種菌を得た。一
方、針葉樹鋸屑50g、広葉樹鋸屑50g、米糠90g
をよく混合し、水道水を加えて水分含有率を65%に調
整したものを、ポリプロピレン製850m容広口瓶に
圧詰めして、瓶口部中央より下方に向い直径1cmの穴を
あけた後、キヤップで打栓した。該培養基を120℃、
60分間高圧蒸気滅菌した後、前記液体種菌20mを
接種した。
暗所、25℃、湿度50%の条件下で該培養基を25日
間培養すると、瓶全体に菌糸が充満し(菌まわし)、培
養菌糸が得られた。次いで該培養菌糸を同条件下て34
日間培養し、子実体発生基を得た。該子実体発生基の上
部菌糸層1cmを除去し(菌かき)、水道水20mを加
え、充分に吸水させた後、水を取除いて15℃、湿度9
0%、照度20ルクスの条件下で、9日間培養して子実
体原基を形成させ、更に照度200ルクスに上げて13日
間培養を続けて成熟子実体を得、更に5日間培養を続け
て完熟子実体を得た。得られた成熟子実体及び完熟子実
体のカサは反り返ることなく丸形であった。成熟子実体
の収量は113g(総栽培日数82日)、完熟子実体の
収量は128g(総栽培日数87日)であった。なお、
どちらの子実体も粉臭がなく食味は極めて美味であっ
た。
実施例2 針葉樹鋸屑50gと広葉樹鋸屑50g、米糠90gをよ
く混合し、水道水で水分含有率65%に調整したものを、
ポリプロピレン製850m容広口瓶に圧詰めし、瓶口
部中央より下方に向けて直径1cmの穴を開け、キヤップ
で打栓した鋸屑固形培地に、実施例1で得た、菌まわし
終了後の固体種菌を接種した。該培養基を暗所、25
℃、湿度50%の条件下で、25日間培養して培養菌糸
を得た。該培養菌糸を同条件下で32日間培養し、子実
体発生基を得た。該子実体発生基の上部菌糸層1cmを除
去し(菌かき)、水道水20mを加え、充分に吸水さ
せた後、水を取除いて15℃、湿度90%、照度20ルク
スの条件下で10日間培養して子実体原基を形成させ、
培養瓶口部に、長さ28cm、幅15cmの紙を筒状に巻き
つけ、プラスチック製のクリップで止め(紙まき)、更
に同条件下で培養を続け、18日間培養して成熟子実体
を得た。更に3日間培養を継続して完熟子実体を得た。
得られた成熟子実体及び完熟子実体のカサは反り返って
なく、エノキタケ様の形状であった。成熟子実体の収量
は、123g(総栽培日数85日)、完熟子実体の収量は
130g(総栽培日数88日)であった。
なお、どちらの子実体も粉臭がなく、食味は極めて美味
であった。
参考例1 針葉樹鋸屑50g、広葉樹鋸屑50g、米糠90gをよ
く混合し、水道水にて水分含有率65%に調整したもの
を、ポリプロピレン製850m容広口瓶に圧詰めし
て、瓶口部中央より下方に向い直径1cmの穴をあけた
後、キヤップで打栓した鋸屑固形培養基を120℃、6
0分間高圧蒸気滅菌したものに、リオフイラム ウルマ
リウムLu 1−8(FERM BP−1416)の固体種菌を
接種した。
該培養基を暗所、25℃、湿度50%の条件下で25日
間培養して培養菌糸を得た。該培養菌糸を同条件下で更
に66日間培養して子実体発生基を得た。該子実体発生
基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌か
き)、水道水20mを加えて、充分に吸水させた後、
水を取除いて15℃、湿度90%、照度20ルクスの条
件下で9日間培養して子実体原基を形成させ、更に照度
200ルクスに上げて13日間培養を続けて成熟子実体
を得、更に5日間培養を続けて完熟子実体を得た。得ら
れた成熟子実体及び完熟子実体のカサは共に反り返るこ
となく丸形であった。成熟子実体の収量は112g総栽
培日数113日)、完熟子実体の収量は123g(総栽
培日数118日)であった。
比較例1 比較例としてリオフイラム ウルマリウムLu 1−2に
よる試験結果を以下に示す。
グルコース2.0%、ペプトン0.2%、酵母エキス0.2
%、KH2PO4の0.05%及び、MgSO4・7HO0.05%
(PH5.5)の組成の培地100mにリオフイラム
ウルマリウムLu 1−2を接種して、25℃で10日間
培養して液体種菌を得た。一方、針葉樹鋸屑50g、広
葉樹鋸屑50g、米糠90gをよく混合し、水道水にて
水分含有率を65%に調整したものを、ポリプロピレン
製850m容広口瓶に圧詰めして、瓶口部中央より下
方に向い直径1cmの穴を開けた後、キヤップで打栓した
鋸屑固形培養基を120℃、60分間高圧蒸気滅菌した
ものに、前記液体種菌20mを接種した。
該培養基を暗所、25℃、湿度50%の条件下で、25
日間培養して培養菌糸を得た。該培養菌糸を同条件下で
66日間培養し、子実体発生基を得た。該子実体発生基
の上部菌糸層1cmを除去し(菌かき)、水道水20m
を加え充分に吸水させた後、水を取除いて15℃、湿度
90%、照度20ルクスの条件下で、10日間培養して
子実体原基を形成させ、更に照度200ルクスに上げて、
12日間培養を続けて成熟子実体を得、更に5日間培養
を続けて完熟子実体を得た。得られた成熟子実体のカサ
は反り返ることなく丸形であったが、完熟子実体のカサ
は平皿形で反り返っていた。成熟子実体の収量は110
g(総栽培日数113日)、完熟子実体の収量は130
g(総栽培日数118日)であった。なお、どちらの子
実体にもやや粉臭が認められた。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、子実体のカサが
反ることなく、良品質なリオフイラム ウルマリウムを
短い栽培期間で得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、リオフィラム ウルマリウムのカサの反り返
りの程度を表す測定角aの測定位置を示す子実体の断面
概略図である。 1:カサ、2:ヒダ、3:柄
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 侑 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 谷口 勉 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 大林 晃 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】人工栽培を行った際に、子実体完熟時にお
    いて子実体のカサが反らず、かつ子実体の収穫までの栽
    培期間が100日を超えないリオフイラム ウルマリウ
    ム新菌株を培地に接種し、菌糸体を生成させることを特
    徴とするリオフイラム ウルマリウム新菌株の培養方
    法。
  2. 【請求項2】該リオフイラム ウルマリウム新菌株がリ
    オフイラム ウルマリウムM−8171である特許請求
    の範囲第1項記載の培養方法。
  3. 【請求項3】人工栽培を行った際に、子実体完熟時にお
    いて子実体のカサが反らず、かつ子実体の収穫までの栽
    培期間が100日を超えないリオフイラム ウルマリウ
    ム新菌株を培地に接種し、子実体を形成させることを特
    徴とするリオフイラム ウルマリウム新菌株の子実体の
    栽培方法。
  4. 【請求項4】該リオフイラム ウルマリウム新菌株がリ
    オフイラム ウルマリウムM−8171である特許請求
    の範囲第3項記載の培養方法。
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