JPH0636698B2 - イネ半数体を効率良く得る方法 - Google Patents

イネ半数体を効率良く得る方法

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JPH0636698B2
JPH0636698B2 JP62223075A JP22307587A JPH0636698B2 JP H0636698 B2 JPH0636698 B2 JP H0636698B2 JP 62223075 A JP62223075 A JP 62223075A JP 22307587 A JP22307587 A JP 22307587A JP H0636698 B2 JPH0636698 B2 JP H0636698B2
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とも子 根岸
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三井東圧化学株式会社
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、イネの葯、または花粉からカルスを経て半
数体植物を得る技術であり、イネの育種を効率良く行う
ために利用される。
(従来の技術) イネの葯培養による半数体作出法は、1968年に最初に報
告(Niizeki and Oono(1968)Proc.Jan.Acad 44,554-5
57)されて以来、多くの研究がなされてきた。
彼らの方法、およびその後に改良された方法は、基本的
にはイネの葯を寒天培地上に植え込みカルスを得、その
カルスから植物体を分化させる方法で、以後種々の改良
がなされた。
培地の改良としては、イネ科植物の葯培養に適した、N6
培地の開発(Chuら(1975)Scientia Sinica 18,659-66
8)がある。また、カルス形成および分化の誘導に適し
た種々のホルモンの選択、分化率向上のためのポテトエ
クストラクトの培地への添加等の報告がある。イネの穂
を低温(5〜10℃)で前処理することによりカルス化率
を向上させた報告もある。
しかし、寒天培地に葯をそのまま置床し培養する従来の
方法では、いかに改良された培地を用いたり、前処理を
施したりしたとしても、植え込んだ葯当りのカルスの形
成率は、高々10%前後と非常に低かった。形成したカル
スからの植物体の形成率も、改良された培地を用いた場
合でも、植え込んだカルス当りやはり高々10%である。
従来の技術を用いた場合、全体として植え込んだ葯当り
の植物体の形成率は最も高い場合でも1%程度である。
一般にイネの育種の現場では1万個体以上が試験に供さ
れるが、それだけの個体を従来の技術を利用して作り出
すとすると、百万個以上の葯を植え込まなくてはならな
い。すなわち従来の技術を実際の育種の作業に適用する
ことは効率が悪く、全く実用的ではなかった。
さらにこれらの方法を用いて形成させた植物体の多くは
2倍体であり、半数体の植物個体の役割は高々50%であ
ると報告されている。すなわち全体として見るとこの方
法は到底実用的な技術とは言えないものであった。
(発明が解決しようとする問題点) イネの葯を寒天培地で培養する従来の方法は高い頻度で
植物体を再生させることができず、また再生させた植物
体も2倍体の頻度が高く、育種には実際に利用すること
が不可能である。
葯培養を用いる半数体育種の技術は原理的にはイネの育
種に対する貢献度は非常に大きいと考えられるが、上述
のような葯からの植物体の再生頻度の低さが実用化への
隘路となっている。
より高い頻度で植物体を葯から再生させる技術を開発
し、この半数体育種の技術のイネ育種への適用の道を開
くことが解決すべき課題である。
(問題点を解決するための手段) より高い頻度で葯から植物体を再生させるためには、ま
ず第一の段階として、一つの葯からより多くのカルスを
形成させる必要がある。
そして次に植物体を再生させるのであるが、第一段階で
形成したカルスからは直接には植物体は分化しにくい。
そこで第二の段階においては、第一段階で形成したカル
スをいったん増殖培地で増殖させる。このとき問題とな
るのは、一般にイネのカルスは培養の継代を進めると植
物体への分化率が急速に低下する性質があり、短期間に
効率よく増殖を行なわせる必要があることである。次の
植物体を効率良く再分化させるための第三の段階ではこ
の第二段階が不可欠であるが、しかしこの第三の段階に
も細心の注意が必要である。
第三の段階においては第二段階で増殖したカルスからの
植物の効率の良い再生が必要である。
上記に付いてさらに詳しく説明する。
第一段階において高い率で一つの葯からより多くのカル
スを形成させる方法についてであるが、従来の技術では
葯を寒天培地の上において培養していたために、理論的
には最も多い場合でも、一つの葯から一個のカルスしか
再生させることができなっかた。これに対して、一つの
葯は数千の花粉を含有しており、これらの花粉をすべて
を有効に利用してカルスを形成させることができるなら
ば、理論的には一つの葯から数千のカルスを形成するこ
とが出来るはずである。
このことを可能とするためには次の二つの方法が考えら
れる。第一の方法としては、葯を液体培地の上に浮かべ
て培養し、葯の内部で花粉が分裂して形成したカルスが
葯からこぼれ落ち、液体培地中でカルス一つ一つが独立
して増殖できるような方法、すなわち葯の浮遊培養法で
ある。
第二方法としては、葯から花粉を直接取り出し、その花
粉を注意深く培養し、花粉粒から直接に各々が分裂して
形成したカルスを得る方法、即ち、花粉培養法である。
これら二つの方法ともに、原理的には雄性の配偶子を液
体中に分散させて培養することにより、一つの葯から数
千のカルスを形成させるものであり、方法それ自体は新
規なものでない。
しかし、これら第一の方法および第二の方法ともにイネ
においては今迄に試みられたことはなかった。
以下に、これらの方法を用いて第一段階を本発明の目的
に合致するように適用する具体的な方法を記す。
イネの若い穂(一核期の花粉を含む)を採取し、4〜10
℃の温度に5〜14日間保つ。この穂全体を70%エチルア
ルコールで滅菌し、穎花を取り出しさらに、穎花から葯
を一つずつ取り出す。第一の方法においてはこのように
取り出した葯を以下に述べるような液体培地に浮遊させ
て培養する。用いる培地はイネの葯培養に利用されたこ
とのある培地(たとえばMS,B5)であればほとんどのも
のが利用できる。しかしイネの葯培養のために開発され
たN6培地はさらに良い結果をもたらす。これらの培地
に、5ないし15%のポテトエクストラクト、30g/のシ
ョ糖を添加したものを基本培地とし、これにオーキシン
であるNAA(ナフタレン酢酸)、2,4-D(2,4-ジクロロフ
ェノキシ酢酸)、またはIAA(インドール酢酸)を0.1な
いし10ppm,およびサイトカイニンであるカイネチン、
ゼアチン、ベンジルアデニルまたはイソペンテニルアデ
ニンを0.5〜10ppmを添加したものを培地とした。
植物ホルモンについてはそれぞれを単独で与えても良い
がイネの品種によっては組み合わせて用いるとさらに再
現性の良い結果をもたらすことがある。
このように培養すると培養開始後約20日目に液体培地中
に微小な細胞塊(カルス)の形成を見る。培養を継続す
ると約一ケ月にわたって微小なカルスの形成数は増大す
る。
このようにして形成したカルスは、大きさがその直径で
1mmを越えないうちに逐次第二段階の培養に移す。
また第二の方法では、第一の方法と同様な方法での7日
間だけ葯を培養し、さらに葯から花粉を単離し、その花
粉を以下に述べるような培地で培養する。
花粉を培養するための培地は、2,4-D 0.5〜5ppm、B5培
地でビタミンおよびショ糖3%を含むものや、N6または
R2の培地を用いた。培養2〜3週間後に花粉が分裂して
形成した小さなカルスが形成する。形成したカルスは第
一の方法と同様にその大きさが直径で1mmを越えないう
ちに逐次第二段階の培養に移す。
第二段階においては第一段階で形成したカルスを次のよ
うな寒天培地の上で培養する。
用いる培地は通常組織培養に用いられるような培地であ
ればいずれでも良いが、N6またはMSの培地が特に良い結
果をもたらした。
これらの培地に1〜5g/のカゼイン加水分解物、10〜1
5g/の蔗糖、および0.5〜1.2%の寒天を加えたものを
基本培地とし、これにオーキシンであるNAA、2,4-Dもし
くはIAAを0.1〜10ppm、およびサイトカイニンであるカ
イチネン、ゼアチンもしくはベンジルアデニンを0.5〜1
0ppm添加した培地を用いた。
この培地で10〜20日間培養し、大きさが直径3〜5mmに
まで、高々7mmを越えない程度に成長したカルスを第三
段階の培養に移す。
第三段階においては、第二段階で増殖させたカルスを次
のような寒天培地で培養し、植物体を再分化させる。
用いる培地はN6又はMSの培地に30g/のショ糖および0.
7〜1.2%の寒天を添加したものを基本培地としこれにオ
ーキシンであるNAAまたはIAAを0.1〜3ppm,およびサイ
トカイニンであるカイネチンまたはベンジルアデニンを
1〜5ppmを添加したものを培地とした。
このようにして培養すると、培養開始後5〜10日目で、
白色のカルスの表面に緑色の小さな斑点すなわちグリー
ンスポットが形成する。ここからさらに分化は進行し、
20〜30日目にシュートおよび根の分化が見られる。
このように第二段階の培養を一旦行った後に、この第三
段階の培養を行うことにより第三段階における植物体の
分化率は、植え込んだカルス当りの30〜50%に達した。
再生した植物個体の根端をペクチナーゼで柔らかくした
後、火炎法およびギムザ染色によって染色し顕微鏡を用
いて染色体数を計測したところ再生植物体中約75%が半
数体であった。
これらの再分化した小植物を十分成長させた後、育苗培
土を入れたポットに移植し、室温内で成育させ健全な植
物体にまでする。成育した植物体は開花し結実する。こ
のとき、2n=24本の染色体を有する植物体は結実する。
一方、半数体の植物体は結実することがなく、その果実
はしいなである。
(作用) 従来行われてきた方法を利用した場合に比べ、本発明に
よる方法を用いれば、葯ないし花粉から効率よく、飛躍
的に多くのカルスを形成させることができる。さらに良
いことに、この方法を用いて葯ないし花粉由来のカルス
から形成させた植物体の多くは半数体である。
実施例1 イネ(品種:日本晴、ササニシキ)の植物体の穂孕み期
の穂を採取し、10℃で10日間低温処理を行った後、葉鞘
全体を70%エタノールで滅菌し、滅菌水で洗浄した。こ
のようにして滅菌した葉鞘から、無菌的に花穂を取り出
し、一核期花粉を含む穎花から内部の葯を摘出しカルス
誘導のための液体培地に植え込んだ。
葯を培養する培地は、N6の基本培地に植物ホルモンとし
てNAA(ナフタレン酢酸)を4ppmおよびカイネチン2pp
mを加えショ糖を3%、ポテトエクストラクトを15%添
加し、pHを5.8に調整した。
このように調整した培地3mを直径35mmのプラスチッ
クシャーレに分注した。その液体培地上に葯を50個浮遊
させ、26℃、約1001uxの条件下で、培養した。
培養後3から4週間で花粉由来のカルスが形成した。各
々のカルスの直径が0.5〜1mmにまで成長した時点で、
そのカルスを増殖用の培地に移植した。形成したシャー
レ当りのカルスの数は少ないもので25個、多いもので22
5個あった。
これらのカルスを実施例3および4で述べるような法で
培養したところ多くの半数体植物を得ることができた。
実施例2 イネ(品種:日本晴、ササニシキ)の植物体の穂孕み期
の穂を採取し、10℃で10日間低温処理を行った後、葉
鞘全体を70%エタノールで滅菌し、滅菌水で洗浄した。
このようにして滅菌した葉鞘から無菌的に花穂を取り出
し、一核期花粉を含む穎花から内部の葯を摘出しカルス
誘導のための液体培地に植え込んだ。
葯を培養する培地は、N6の基本培地に植物ホルモンとし
てNAAを4ppmおよびカイネチン2ppmを加えショ糖を3
%、ポテトエクストラクトを15%添加し、pHを5.8に調
整した。
この培地上で葯を7日間培養した後、葯を取り出し、軽
く乳鉢と乳棒でホモジェナイズして花粉を取り出した。
この花粉を1〜2×105/mの濃度に懸濁し花粉培養用
の培地で培養した。花粉培養用の培地としては2,4-D 2p
pm,B5のビタミンおよびショ糖3%を含むN6またはR2培
地を用いた。培養開始後2〜3週間で花粉が分裂し小さ
なカルスが多数形成した。このカルスが直径0.5〜1mm
にまで成長した時点でカルス増殖用の培地に移植した。
これらのカルスを実施例3および4で述べるような方法
で培養すると多くの半数体植物体が形成した。
実施例3 花粉および葯を培養して形成したカルスを、カルス増殖
培地に移し、カルスを増殖させた。カルス増殖培地はカ
ルス誘導培地からポテトエクストラクトを除き、カゼイ
ン加水分解物を3g/および寒天を1%加えたものを用
いた。滅菌したこの培地20mを直径9cmのシャーレに
分注し固化した後、実施例1および2で形成したカルス
を一つのシャーレ当り100個植え込んだ。植え込んだカ
ルスの直径が3ないし5mmまで成長したら各々のカルス
を分化誘導用の培地に移植した。
このように注意深く増殖させたカルスを分化誘導用の培
地に移すと容易に分化して植物体を形成した。
実施例4 葯の浮遊培養および花粉培養によって形成したカルス
を、さらに、カルス増殖用培地上で増殖させたのち、増
殖したカルスをその分化培地に移植し、植物体の分化を
誘導した。培地は、NAA1ppm,カイチネン2ppm、ショ
糖3%、寒天1%を含みpHを5.8に調整したN6培地成分
から成っている。移植後約1週間で緑色のスポットの形
成が見られ、約1ケ月で小植物体へと分化した。植え込
んだカルス当りの小植物体の再生率は30〜50%に達し
た。
この小植物体を寒天培地を含むマジェンタボックスへ移
植し、十分成長させた後、育苗培土を入れたポットに移
植し、温室内で成育させた。
成熟したイネの染色体数および稔実の度合を調べたとこ
ろ、25%が正常な2倍体であった。残りの75%は半数体
であった。
(発明の効果) この発明による方法を用いて葯培養を行うと、効率良く
植物体が形成する。植え込んだ100個の葯当りの形成し
た植物体の数は25から200個である。これは従来行われ
ていた方法にくらべて非常に高い値である。しかも再現
性が非常に良い。さらにこの方法で再生した植物体の集
団に特徴的なことは、半数体の割合が、従来行われてい
た方法(50%)に比べて非常に高い(75%)ことであ
る。
すなわち、本発明によって考案された方法を用いれば、
葯ないしは花粉から、非常に効率良く半数体の植物個体
を得ることが出来る。すなわち、この方法を利用するこ
とによって、従来原理的には非常に魅力的な技術だと考
えていたが実用的ではなかった半数体育種の技術が、実
際にイネに利用可能となった。これによってイネの育種
が効率良く行えるようになった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イネの葯、または花粉を液体培地に分散さ
    せて培養し、直径1mmを越えないカルスを形成させ、つ
    いでこのカルスを固型培地上で高々7mmを越えない大き
    さのカルスにまで増殖させて、さらに増殖したカルスを
    分化培地に移植し植物体を形成させることを特徴とする
    イネ半数体を効率よく得る方法。
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CN104686372B (zh) * 2015-04-04 2016-06-15 黄伟洪 一种籼稻花药诱导培养改良培养基
CN109258468A (zh) * 2018-10-22 2019-01-25 王开 一种马铃薯耐盐碱改良育种方法

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