JPH0640610B2 - 弾性表面波共振子 - Google Patents

弾性表面波共振子

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JPH0640610B2
JPH0640610B2 JP6170185A JP6170185A JPH0640610B2 JP H0640610 B2 JPH0640610 B2 JP H0640610B2 JP 6170185 A JP6170185 A JP 6170185A JP 6170185 A JP6170185 A JP 6170185A JP H0640610 B2 JPH0640610 B2 JP H0640610B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は弾性表面波を応用した共振子に関する。
〔発明の技術的背景とその問題点〕
従来広く知られている弾性表面波共振子の基体構成はク
リントン・シルベスター・ハートマンらによる発明(特
公昭56−46289)に基づくものである。すなわ
ち、第14図に示すように圧電性基板21上に、該基板
21上を伝搬する弾性表面波の波長をλとしたとき、幅
λ/4の弾性表面波反射ストリップ22を多数本λ/2
周期で配列してなるグレーティング反射器26と、幅λ
/4の電極指23からなるインディジタル変換器27が
設けられて構成される。
ところで、このような弾性表面波共振子の特性は主にグ
レーティング反射器で決定されるため、グレーティング
反射器の特性向上は極めて重要な課題である。一般に、
ストリップ,リッジ,グループ等の弾性表面波反射体1
本当りの反射率εが大きい時には反射体の本数は少なく
てよいが、εが小さくなるに従い反射体は多数本必要と
なる。ピーター・クロスは、文献1:IEEE Tran
s.on Sonics&Ultrason.(vol su-23,N0.4pp.255-26
2)1976において、十分な反射量を得るにはグレーティ
ング反射器における反射体の本数はN≒3/ε本以上が
必要であると述べている。これは例えば≒0.01の反射体
では300 本以上という多数本が必要であることになり、
一般に共振器ではグレーティング反射器を2個以上使用
することを考えると、共振器全体が非常に大型になつて
しまうという問題がある。
一方、反射体1本当りのεを増加させるためにストリッ
プの厚さ,リッジの高さ、グループの深さを大きくして
ゆくと、それに従い弾性表面波からバルク波へのモード
変換が増加し、その変換損失により共振器のQの低下を
招く。
これらの問題を解決する手段として、発明者らは電子通
信学会超音波研究会(文献2:通信学会技術報告US84
−30 昭和59年9月)において、使用周波数の表面波波
長λに対しλ/8幅で、かつ反射係数が互いに逆である
2種の反射体を交互にλ/4周期で配列したグレーティ
ング反射器を提案している。この構造のグレーティング
反射器では、正の反射係数を有する反射体での反射波と
負の反射係数を有する反射体での反射波とが相加される
ことにより、反射体をλ/2周期で配列した従来一般の
グレーティング反射器に比べ、単位長さ当りの反射量は
2倍近くに増加する。一方、バルク波へのモード変換損
失は1.4倍の増加にとどまる。従って、従来一般のも
のと反射量を同一にして比較すると、バルク波へのモー
ド変換損失に低減されることになる。
しかしながら、グレーティング反射器におけるこのよう
なバルク波へのモード変換損失の抑圧効果は、第14図
(b)に示すように中央部24でのみ起り、インタディ
ジタル変換器に対向した端部25付近では抑圧効果は得
られない。すなわち、反射体がλ/4周期で周期的に配
列されているグレーティング反射器中央部24では、音
響インピーダンスが実質的に無限周期と見なせるため放
射バルク波は相殺されるのに対し、グレーティング反射
器端部25では隣接したインタディジタル変換器におけ
る電極指との間隔がλ/4以下と、グレーティング反射
器中央部での反射体配列周期とは異なった値となり、音
響インピーダンスが無限周期とは見なせなくなるので、
放射バルク波が残ってしまい、モード変換損失が生じる
のである。
このように正負の反射係数を有する反射体を組合わせた
グレーティング反射器では、反射効率が高く小型化が可
能であり、かつ反射器内部での弾性表面波からバルク波
へのモード変換損失が少ないという特徴を有していた
が、反射器端部でのモード変換損失が抑圧できず、この
ことがQの高い弾性表面波共振子を実現する上で大きな
妨げとなっていた。
〔発明の目的〕
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、正負
の反射係数を有する2種の弾性表面波反射体を弾性表面
波波長の1/4の周期で配列した基本構造を持つ反射効
率の高いグレーティング反射器を用い、かつそのグレー
ティング反射器の内部のみならず端部での弾性表面波か
らバルク波へのモード変換損失も効果的に抑圧して、小
型でしかもQ値の高い弾性表面波共振子を提供すること
を目的とする。
〔発明の概要〕
本発明は、圧電性基板上に複数のグレーティング反射器
と、これらのグレーティング反射器の間に形成された少
なくとも1つのインタディジタル変換器とを設けてなる
弾性表面波共振子において、グレーティング反射器を圧
電性基板上に弾性表面波に対して正負の反射係数を有し
少なくとも一方が導電性材料からなる2種の弾性表面波
反射体を交互に、かつ該弾性表面波の波長の1/4の周
期で配列し、かつ電極指が弾性表面波の波長の1/2の
周期で交差するように構成し、インタディジタル変換器
をこれらグレーティング反射器に使用した2種の反射体
と同一構造の2種の電極指を交互に、かつほぼ弾性表面
波の波長の1/4の周期で配列して構成し、さらにグレ
ーティング反射器のインタディジタル変換器に対向した
端部にある反射体と、インタディジタル変換器のグレー
ティング反射器に対向した端部における電極指との中心
間間隔を、ほぼ弾性表面波の波長の1/4に設定したこ
とを特徴とする。
〔発明の効果〕
本発明による弾性表面波共振子においては、グレーティ
ング反射器が圧電性基板上に正負の反射係数を持つ2種
の弾性表面波反射体を交互に弾性表面波波長の1/4の
周期で配列し、かつ電極指を弾性表面波の波長の1/2
の周期で交差させた基本構造を有しているため、これら
両反射体での反射波が相加されることにより高い反射効
率を有する。すなわち、単位長さ当りの弾性表面波の反
射量が増し、相対的にグレーティング反射器内部での弾
性表面波からバルク波へのモード変換損失が低減され
る。
さらに、本発明においてはグレーティング反射器におけ
る反射体およびインタディジタル変換器における電極指
の構造が同一であって、しかもこれら反射体と電極指の
それぞれの配列周期がほぼ等しく、かつグレーティング
反射器とインタディジタル変換器の境界での反射体と電
極指との中心間間隔も反射体および電極指の配列周期と
ほぼ等しいことから、弾性表面波が定在波として閉込め
られる全領域にわたり音響的摂動効果の同期性が保たれ
る。すなわち、グレーティング反射器内部のみならずグ
レーティング反射器の端部においても、音響インピーダ
ンスが無限周期と見なせるようになる。従って、グレー
ティング反射器内部は勿論、グレーティング反射器の端
部でも弾性表面波のバルク波への変換損失が抑圧され、
共振子のQを効果的に高めることができる。
このように本発明によれば、小型で、且つQ値の高い弾
性表面波共振子が実現される。
〔発明の実施例〕
本発明の実施例を図面を参照して説明する。第1図は本
発明の一実施例に係る弾性表面波共振子の構造を示した
ものであり、圧電性基板としての32゜回転Y板からなる
水晶基板1上に、該基板1上を伝搬する弾性表面波の波
長をλとして、線幅λ/8で膜厚λ/200 (100 MHz
の場合、1600Åに相当)の金薄膜による第1の弾性表面
波反射ストリップ2と、線幅λ/8で膜厚λ/50(100
MHzの場合、6400Åに相当)のアルミニウム薄膜によ
る第2の弾性表面波反射ストリップ3とがλ/4周期で
交互に配列されてなる2つのグレーティング反射器6が
設けられ、さらにこれらグレーティング反射器6の間に
位置して、第1および第2の弾性表面波反射ストリップ
2,3と同一構造の電極指、すなわち線幅λ/8で膜厚
λ/200 の金薄膜による第1の電極指4と、線幅λ/8
で膜厚λ/50のアルミニウム薄膜による第2の電極指5
とからなるインタディジタル変換器7が設けられてい
る。また、インタディジタル変換器7における第1の電
極指4と第2の電極指5は、図に示すようにλ/4の周
期で交互に配列され、かつλ/2の周期で交差してい
る。
さらに具体的に説明すると、各グレーティング反射器6
における第1および第2の弾性表面波反射ストリップ
2,3の合計本数は一例として150 本であり、この場合
グレーティング反射器6の弾性表面波伝搬方向の長さは
75λである。一方、インタディジタル変換器7における
第1および第2の電極指4,5の合計本数は100 本であ
り、その配列周期は厳密には良好な共振状態が得られる
ようにするため、グレーティング反射器6内の反射スト
リップの配列周期(λ/4)に対して5%程度縮めてい
る。また、グレーティング反射器6のインタディジタル
変換器7に対向した端部である反射ストリップ(2また
は3)と、インタディジタル変換器7のグレーティング
反射器6に対向した端部における電極指(4または5)
との中心間間隔を、ほぼ弾性表面波の波長の1/4に設
定してある。インタディジタル変換器7における電極指
4,5の配列周期を一般化して示すと、インタディジタ
ル変換器7の弾性表面波伝搬方向の長さ(伝搬路長)を
nλとしたとき、 λ/4・(1−1/4n)ということになる。
水晶基板上に形成された金薄膜およびアルミニウム薄膜
による弾性表面波反射ストリップの反射率の膜厚依存性
を、第2図の実線および破線で示した。これからわかる
ように反射率は金薄膜による反射ストリップでは負、ア
ルミニウム薄膜による反射ストリップでは正と、互いに
逆であり、かつ、その膜厚依存性は金薄膜によるそれの
方がアルミニウム薄膜によるそれに比べ4倍大きい。従
って、絶対値で同じ反射率とするには、金薄膜の膜厚は
アルミニウム薄膜の膜厚の1/4でよい。
また、上述では水晶基板1のカット角は、金薄膜および
アルミニウム薄膜が表面に形成された状態で頂点温度が
室温付近にくるように選んでいるが、これは金,アルミ
ニウム薄膜それぞれの膜厚に対応して決定する必要があ
る。
このような構造とすることにより、グレーティング反射
器6での単位長さ当りの弾性表面波の反射率が高くなる
ことで小型化が可能となると同時に、グレーティング反
射器6およびインタディジタル変換器7の全てにわたっ
てほぼλ/4周期で反射ストリップおよび電極指が存在
しているため、バルク波が良好に抑圧されQの高い共振
子が得られる。
この効果をさらに具体的に説明する。本実施例の弾性表
面波共振子と、第14図に示した従来構造であるλ/4
線幅のアルミニウム薄膜による反射ストリップおよび電
極指をグレーティング反射器およびインタディジタル変
換器に使用し、アルミニウム薄膜の膜厚λ/50,弾性表
面波反射ストリップ本数150 本,電極指本数100 本とし
て本実施例と同じ条件で試作した弾性表面波共振子とで
Q値を比べると、本実施例ではQが20000 を越えるのに
対し、従来構造のものでは10000 以下となり、Q値で2
倍以上の改善が観測された。
一方、比較例としてグレーティング反射器は本実施例と
同様にアルミニウムおよび金薄膜による反射ストリップ
で構成され、インタディジタル変換器は従来のようにλ
/4線幅のアルミニウム薄膜による電極指を用いた弾性
表面波共振子を試作したが、この場合もQは15000 を越
えることはなかった。
このようにアルミニウム薄膜による反射ストリップおよ
び電極指を使用して構成した弾性表面波共振子ではQが
低い理由は、アルミニウム薄膜による反射ストリップだ
けでは反射率が十分大きくないため、弾性表面波の一部
がグレーティング反射器外へ漏れ出て損失が増している
からと思われる。Qを向上するには反射ストリップの本
数を200 ないし300 本にする必要があるが、その場合は
前述したように共振子のサイズが極めて大きくなってし
まう。
さらに、インタディジタル変換器がアルミニウム薄膜に
よる電極指でのみ構成された比較例の弾性表面波共振子
では、グレーティング反射器はアルミニウムおよび金の
薄膜による反射ストリップからできているので、反射効
率については十分であり、弾性表面波がグレーティング
反射器外へ漏れ出ることによる損失も大幅に低減してい
るが、インタディジタル変換器とグレーティング反射器
との境界部では音響的摂動効果の同期性が大幅に異なる
ため、弾性表面波の放射バルク波へのモード変換損失が
存在し、上記したようにQが十分改善されてない。
これに対し、本発明の実施例のものでは弾性表面波が定
在波として閉込められている全領域にわたって、反射ス
トリップおよび電極指の音響的摂動効果の周期性が十分
に保たれているため、放射バルク波へのモード変換損失
が小さく抑えられ、それによりQ値の大幅な増大が図ら
れているものと考えられる。
なお、反射ストリップおよび電極指の配列周期の一様性
をどの程度まで許容するかについては、例えばその境界
部での一様性をずらしてゆくと、すなわちグレーティン
グ反射器端部の反射ストリップとインタディジタル変換
器端部の電極指との中心間間隔をλ/4よりずらせてゆ
くと、5%程度までは本発明の効果が十分あり、10%越
えると境界部でのモード変換損失の抑圧効果が全くなく
なることが確認された。
次に、第1図に示した弾性表面波共振子の製造プロセス
の一例を第3図を用いて説明する。
まず、第3図(a)に示すように水晶基板1上全面に、
蒸着あるいはスパッタ法等により金の薄膜2′を付着さ
せる。なお、このとき付着性の向上の目的で金薄膜2′
の下にクロームないしはチタン等の極く薄い層からなる
下地層を付けてもよい。
次に、フォトリソグラフィ技術によって第3図(b)に
示すように、線幅λ/8,周期λ/2の金薄膜による第
1の弾性表面波反射ストリップ2および第1の電極指4
を形成する。下地層がある場合は、それらも金薄膜と同
時にエッチングで除去する。
次いで、第3図(c)に示すように全面にわたってアル
ミニウム薄膜3′を金薄膜2′のほぼ4倍の膜厚に、蒸
着あるいはスパッタ法等により付着させる。この時、ア
ルミニウム薄膜3′の表面は、下に存在する金薄膜によ
る第1の弾性表面波反射ストリップ2の膜厚が線幅に対
し1/20以下と極めて小さいので、十分に平坦となる。
そして、第3図(d)に示すようにフォトリソグラフィ
技術によって線幅λ/8,周期λ/2のアルミニウム薄
膜による第2の弾性表面波反射ストリップ3および第2
の電極指5を、金薄膜による第1の弾性表面波反射スト
リップ2および第1の電極指4のそれぞれのほぼ中間に
位置するように形成する。なお、アルミニウム薄膜3′
を形成すると、その下にある金薄膜による第1の弾性表
面波反射ストリップ2および第1の電極指4は見えなく
なるので、第3図(d)の工程においてマスク合せを容
易とする目的で、第3図(b)の工程でグレーティング
反射器の形成領域外にマスク合せ用のマーク8を形成し
ておき、さらに同図(c)の工程で水晶基板1上の少な
くとも上記マーク8が形成された領域はアルミニウム薄
膜で覆われないようにする必要がある。
第4図は第1図の実施例におけるグレーティング反射器
6を変形した実施例であり、第1および第2の弾性表面
波反射ストリップ2,3がそれぞれ電気的に短絡され、
かつ互いにも電気的に接続されている。圧電性基板が水
晶基板1の場合、電気−機械結合係数が非常に小さいた
め、このように弾性表面波反射ストリップ2,3が電気
的に短絡されていても、動作的には電気的に開放の場合
とほとんど変わらない。なお、第1および第2の弾性表
面波反射ストリップ2,3の一方のみが電気的に短絡さ
れている場合、あるいは両方がそれぞれ短絡されている
が互いには電気的に接続されていない場合でも同様であ
る。
なお、上記した実施例では水晶基板1として32゜回転Y
板を用いると説明したが、必ずしもこの角度にこだわる
ものではなく、他の切断角の水晶基板でも金薄膜および
アルミニウム薄膜の膜厚比の若干の変更で本発明の所期
の目的を達成することができる。また、弾性表面波と称
した場合、一般にはレーリー波を指すが、必ずしも本振
動モードに限るものではなく、例えば水晶基板の−50.5
゜回転Y板上をX軸に直角に伝搬する擬似弾性表面波
や、105 ゜±10゜回転Y板,X軸伝搬の擬似弾性表面波
を用いた弾性表面波共振器にも適用できる。特に、擬似
弾性表面波では表面に何も存在しない伝搬路においてエ
ネルギーの一部が基板内部に放射されるモードが多い。
しかしながら、表面に反射ストリップや電極指などのよ
うな周期摂動が存在すると、エネルギーが表面に集中し
放射しなくなる性質がある。その点、本発明による弾性
表面波共振子は、擬似弾性表面波が存在する全ての領域
において周期摂動が存在する構造であるため、従来Qの
大きいものが実現できなかった疑似弾性表面波を利用し
た弾性表面波共振子においても、高Q化が図れるという
利点がある。
さらに、以上の説明では全て水晶基板を用いたが、例え
ばLiTaO3基板を用いても同様の効果が得られる。
第5図はその実施例を説明するためのグレーティング反
射器6の部分のみを示したもので、圧電性基板として水
晶基板に変えてLiTaO3基板1が使用され、この基
板1上に金薄膜による第1の弾性表面波反射ストリップ
2と、アルミニウム薄膜による第2の弾性表面波反射ス
トリップ3が形成されている。この場合、基本的には水
晶基板の場合と同様でよいが、LiTaO3基板は電気
−機械結合係数が水晶基板のそれより大きい関係で、図
のように金薄膜による第1の弾性表面波反射ストリップ
2は電気的に孤立した形状とするが、アルミニウム薄膜
による第2の弾性表面波反射ストリップ3については電
気的に短絡することが、反射率を少しでも大きくする目
的からより望ましい。
なお、この場合、インタディジタル変換器6についても
第6図に示すように、金薄膜による電極指4を電気的に
孤立させ、アルミニウム薄膜による電極指5を電気的に
短絡した構造としてもよい。また、この場合もインタデ
ィジタル変換器6における第1の電極指4と第2の電極
指5は、λ/4の周期で交互に配列され、かつλ/2の
周期で交差しているものとする。
LiTaO3基板(Xカット112 ゜Y板)上の金および
アルミニウム薄膜による線幅λ/8の弾性表面波反射ス
トリップのストリップ1本当りの反射率を調べると、第
7図に示すように反射係数は互いに逆相で、金薄膜によ
るそれの方がアルミニウム薄膜によるそれに比べ反射率
の膜厚依存性が約2倍大きい。但し、この特性は第5図
に示した通り金薄膜による第1の弾性表面波反射ストリ
ップ2を電気的に開放とし、アルミニウム薄膜による第
2の弾性表面波反射ストリップ3を電気的に短絡した場
合である。これによれば、金薄膜による第1の弾性表面
波反射ストリップ2の膜厚は、アルミニウム薄膜による
第2の弾性表面波反射ストリップ3のそれぞれの約1/
2でよいことになる。
以上の実施例では全て1個のインタディジタル変換器を
持つ1ポート形弾性表面波共振子について説明したが、
本発明は第8図に示すように複数のインタディジタル変
換器7を持つ多ポート形弾性表面波共振子にも運用が可
能である。この場合、両インタディジタル変換器7の間
にグレーティング反射器6と同一構造のシールド電極9
(ないしは結合用電極)を設けることも考えられる。
第9図は本発明のさらに別の実施例に係る弾性表面波共
振子を示したものであり、圧電性基板としての36゜回転
Y板からなる水晶基板1上に、線幅λ/8で膜厚λ/50
(100 MHzの場合、6400Åに相当)のアルミニウム薄
膜による弾性表面波反射ストリップ3と、これと同寸法
に基板1表面を除去して形成された凹部、すなわち幅λ
/8で深さがλ/50の弾性表面波反射グループ10とが
λ/4周期で交互に配列されてなるグレーティング反射
器6が設けられ、さらにこれらグレーティング反射器6
の間に位置して、上記の反射ストリップ3および反射グ
ループ10と同一構造の電極指5,11からなるインタ
ディジタル変換器7が設けられている。
水晶基板上に形成されたアルミニウム薄膜による弾性表
面波反射ストリップの反射率の膜厚依存性、および弾性
表面波反射グループの反射率のグループ深さに対する依
存性を、第10図の実線および破線で示した。これから
わかるように反射率はアルミニウム薄膜による反射スト
リップは正、反射グループでは負と、互いに逆であり、
かつ、その膜厚および深さがほぼ等しいとき、反射率の
大きさも等しくなる。
この実施例の弾性表面波共振子の製造プロセスの一例を
第11図を用いて説明する。
まず、第11図(a)に示すように水晶基板1上全面
に、蒸着あるいはスパッタ法等によるアルミニウム薄膜
3′を付着させる。
次に、第11図(b)に示すようにレジスト12を形成
しフォトリソグラフィ技術によって同図(c)に示すよ
うに、最終的にグループ10およびグループ(電極指)
11となるべき部分のアルミニウム薄膜を除去し、引続
き同図(d)に示すように(b)(c)の工程でアルミ
ニウム薄膜が除去された部分の水晶基板1表面をエッチ
ングすることにより、幅λ/8,周期λ/2のグループ
10,11を形成する。このとき、(b)(c)の工程
において使用したレジスト12をそのまま残して水晶基
板1のエッチングを行なってもよいが、レジスト12を
剥離してアルミニウム薄膜3′をグループ10,11形
成時のレジストとして代用することも可能である、水晶
基板1のエッチングは、弗酸や弗化アンチモン等の溶液
でのウェットエッチングでもよいし、ドライエッチング
でCF4等のガスを使用する方法でもよい。
次いで、第11図(e)に示すように新たにレジストを
コーティングして露光,現像を行い、最終的にアルミニ
ウム薄膜による反射ストリップ3および電極指5を形成
する部分にのみレジスト13を残す。次に、第3図
(f)に示すようにレジスト13を用いてアルミニウム
薄膜3′の不要部分をエッチングして除去し、反射スト
リップ3および電極指5を形成する。
上述した製造プロセスでは、アルミニウム薄膜によるス
トリップ3,電極指5より先にグループ10,11を形
成したが、ストリップ3,電極指5の方を先に形成して
も構わない。
第12図は第9図の実施例をさらに変形した実施例に係
る弾性表面波共振子のグレーティング反射器6の部分の
みを示したものであり、アルミニウム薄膜による反射ス
トリップ3および電極指5の下部と、グループ10およ
びグループ(電極指)11以外の水晶基板1表面に、数
100 Å程度の極めて薄い膜厚のクロムまたはチタン薄膜
14を形成した点が第9図の実施例と異なっている。こ
のような構造にしても、弾性表面波共振子としての特性
は基本的に第1図に示したものと変わらない。
第13図は第11図の弾性表面波共振子の製造プロセス
を示したもので、まず(a)に示すように水晶基板1上
全面に、クロムまたはチタン薄膜14′およびアルミニ
ウム薄膜3′を順次蒸着またはスパッタ法により形成す
る。次に、第13図(b)に示すようにフォトリソグラ
フィ法により最終的にグループ10,11が形成される
領域の薄膜3′,14′を除去する。そして、第13図
(c)に示すようにレジスト15を形成し、このレジス
ト15を用いて同図(d)フォトリソグラフィ法でアル
ミニウム薄膜による反射ストリップ3および電極指5を
形成する。そして最後に、第13図(e)に示すように
クロムまたはチタン薄膜14をレジスト代りに用いて、
水晶基板1上に弾性表面波反射グループ10を形成す
る。
この実施例の利点は、第13図(e)のグループ10,
11の形成工程において水晶基板1のエッチングをドラ
イプロセスで行なうと、弾性表面波共振子を動作させた
状態で特性をモニタしながら、グループ10,11を順
次深く形成させられることである。すなわち、共振周波
数,Q等の特性を監視しながらグループ10,11の形
成ができ、トリミングが可能な製造方法として極めて有
効である。
本発明は以上述べた実施例以外にも、次のように種々変
形して実施することができる。
例えば実施例で使用した金薄膜やアルミニウム薄膜は、
数%以下の微量の添加物が含まれていても差支えない。
特にアルミニウムに銅やシリコンを0.1〜4重量%ド
ープすれば、メタルマイグレーションを抑圧でき、弾性
表面波共振子の耐電力特性(耐励振強度)の向上を寄与
することができる。
また、アルミニウム薄膜は弾性的な性質がアルミニウム
薄膜に酷似したシリコン酸化薄膜に置換することができ
る。シリコン酸化膜はスパッタ,CVD法等により形成
が可能である。ただし、一方の弾性表面波反射体および
電極指にシリコン酸化膜を用いた場合、インタディジタ
ル変換器での電気信号の印加および取出しを可能にする
ため、他方の弾性表面波反射体(ストリップ)および電
極指は、導電性材料、例えば金薄膜で形成されている必
要がある。
また、第9図および第12図の実施例においては、圧電
性基板として水晶基板の代りに同じシリコン原子で構成
されるシリコン単結晶基板を用いてもよく、要するにそ
の上を伝搬する弾性表面波に対してアルミニウム薄膜あ
るいは酸化シリコン薄膜による反射ストリップが正の反
射係数を有し、かつ反射グループが負の反射係数を有す
るような材料であればよい。
また、弾性表面波反射体および電極指に使用するストリ
ップの線幅、あるいはグループの幅についても、λ/8
に正確に規定される必要はなく、一般にこれらの線幅な
いしグループの幅に対し、弾性表面波の反射量は10%の
偏差で反射量が 8%変わる程度であるから、数10%程度
までの幅の偏差は許容される。
さらに、以上の各実施例では全ての2種の弾性表面波反
射体,電極指が間断なく配列されたものを示したが、必
ずしもその必要はなく、位置関係を変えないで任意の反
射体および電極指を間引いた構造でも、本発明の主旨を
変えるものではない。すなわち、共振によって生じた弾
性表面波の定在波と、反射体および電極指の位置関係が
急激にずれることが放射バルク波発生の原因であるか
ら、その位置関係さえ正しく配列されていれば、任意の
反射体や電極指を抜き去っても放射バルク波の発生は大
幅に増加することはない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係る弾性表面波共振子の構
造を示す斜視図、第2図は第1図における水晶基板上に
形成された金およびアルミニウム薄膜による弾性表面波
反射ストリップの反射率の膜厚依存性を示す図、第3図
は同実施例の弾性表面波共振子の製造プロセスを説明す
るための工程図、第4図〜第6図は第1図の実施例を変
形した実施例における要部の構成を示す斜視図、第7図
は第5図および第6図で使用したLiTaO3基板上に
形成された金およびアルミニウム薄膜による弾性表面波
反射ストリップの反射率の膜厚依存性を示す図、第8図
は本発明を多ポート形弾性表面波共振子に適用した実施
例を示す斜視図、第9図は弾性表面波反射体および電極
指の一部にグルーブを使用した実施例を示す斜視図、第
10図は同実施例における水晶基板上に形成されたアル
ミニウム薄膜による弾性表面波反射ストリップの反射率
の膜厚依存性および反射グルーブの反射率のグルーブ深
さに対する依存性を示す図、第11図は第9図の実施例
の弾性表面波共振子の製造プロセスを説明するための工
程図、第12図は第9図の実施例を変形した実施例にお
ける要部の構成を示す斜視図、第13図は第12図の実
施例の弾性表面波共振子の製造プロセスを説明するため
の工程図、第14図(a)(b)は従来の弾性表面波共
振子の基本構成を示す斜視図およびそのグレーティング
反射器の部分の断面図である。 1……圧電性基板、2……金薄膜による弾性表面波反射
ストリップ(弾性表面波反射体)、3……アルミニウム
薄膜による弾性表面波反射ストリップ(弾性表面波反射
体)、4……金薄膜による電極指、5……アルミニウム
薄膜による電極指、6……グレーティング反射器、7…
…インタディジタル変換器、8……マスク合せ用マー
ク、9……シールド電極、10……グルーブ(弾性表面
波反射体)、11……グルーブ(電極指)、12,13
……レジスト、14……クロムまたはチタン薄膜、15
……レジスト。
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 弘明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 通信学会技術研究報告US84−30「正負 の反射係数をもつ反射エレメントからなる 弾性表面波グレーティング反射器および共 振器」

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電性基板上に、複数のグレーティング反
    射器と、これらのグレーティング反射器の間に形成され
    た少なくとも一つのインタディジタル変換器とを設けて
    なる弾性表面波共振子において、 前記グレーティング反射器は、前記圧電性基板上に該基
    板上を伝搬する弾性表面波に対して正負の反射係数を有
    し少なくとも一方が導電性材料からなる2種の弾性表面
    波反射体を交互に、かつ該弾性表面波の波長の1/4の
    周期で配列して構成され、 前記インタディジタル変換器は、前記2種の弾性表面波
    反射体と同一構造の2種の電極指を交互に、かつ前記弾
    性表面波の波長の1/4の周期で配列し、かつ電極指が
    弾性表面波の波長の1/2の周期で交差するように構成
    され、 さらに前記グレーティング反射器の前記インタディジタ
    ル変換器に対向した端部にある弾性表面波反射体と、前
    記インタディジタル変換器の前記グレーティング反射器
    に対向した端部における電極指との中心間間隔が前記弾
    性表面波の波長の1/4に設定されていることを特徴と
    する弾性表面波共振子。
  2. 【請求項2】圧電性基板として水晶基板を使用し、前記
    2種の弾性表面波反射体のうち正の反射係数を有する反
    射体をアルミニウムを主成分とする薄膜により形成し、
    負の温度係数を有する反射体を金を主成分とする薄膜に
    より形成したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の弾性表面波共振子。
  3. 【請求項3】前記圧電性基板として 105゜±10゜回転Y
    板を使用し、振動モードとして擬似弾性表面波を用いた
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記
    載の弾性表面波共振子。
  4. 【請求項4】前記圧電性基板としてLiTaO3基板を
    使用し、前記2種の弾性表面波反射体のうち正の反射係
    数を有する反射体をアルミニウムを主成分とする薄膜に
    より形成し、負の反射係数を有する反射体を金を主成分
    とする薄膜により形成したことを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の弾性表面波共振子。
  5. 【請求項5】前記圧電性基板として水晶基板を使用し、
    前記2種の弾性表面波反射体のうち正の反射係数を有す
    る反射体をアルミニウムを主成分とする薄膜またはシリ
    コン酸化物薄膜により形成し、負の反射係数を有する反
    射体を該水晶基板上のグループにより形成したことを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の弾性表面波共振
    子。
  6. 【請求項6】前記圧電性基板としてシリコン単結晶基板
    を使用し、前記2種の弾性表面波反射体のうち正の反射
    係数を有する反射体をアルミニウムを主成分とする薄膜
    またはシリコン酸化物薄膜により形成し、負の反射係数
    を有する反射体を該シリコン単結晶基板上のグルーブに
    より形成したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の弾性表面波共振子。
  7. 【請求項7】前記アルミニウムを主成分とする薄膜は、
    アルミニウムに銅およびシリコンの少なくとも一方をド
    ープした薄膜であることを特徴とする特許請求の範囲第
    2項乃至第6項のいずれか1項に記載の弾性表面波共振
    子。
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