JPH0640953A - 糖のアミノ化法 - Google Patents

糖のアミノ化法

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JPH0640953A
JPH0640953A JP21229192A JP21229192A JPH0640953A JP H0640953 A JPH0640953 A JP H0640953A JP 21229192 A JP21229192 A JP 21229192A JP 21229192 A JP21229192 A JP 21229192A JP H0640953 A JPH0640953 A JP H0640953A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 簡易な方法で糖類をアミノ化してアミノ化糖
誘導体を得る糖のアミノ化法を提供する。糖類の混合物
から容易に単一構造のアミノ化糖誘導体及びその標識化
体を製造する方法もしくは該アミノ化糖誘導体と蛋白質
等の他の有機化合物と反応させて人工複合糖質を製造す
る方法を提供する。 【構成】 下記式(a)で表される2−アミノピリジン
誘導体化糖類を還元反応に付し、次いでアルカリ条件下
において分解反応に付して下記式(b)で表されるアミ
ノ化糖誘導体を得ることを特徴とする糖のアミノ化法。 R−CH2−NH2(b)(式中、R−CH2−は還元末
端がアルデヒド化されてR−CHOで示され得る糖類に
由来する基。R1 ,R2 ,R3 及びR4 は水素又は低級
アルキル基を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミノ化糖誘導体を製
造するための糖のアミノ化法に関し、特に、特定構造の
糖類と、アミノ基と反応し得る各種試薬とを結合するた
めに有用なアミノ化糖誘導体を提供する方法および該結
合体、例えば、還元末端が標識化された糖類、人工複合
糖質の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、糖鎖の構造とその機能の関係を研
究するために、より高感度でしかも微量の試料で定量検
定が可能な方法が種々提案されている。例えば、糖鎖の
微量分析の方法としては、還元末端を糖アルコールに変
換する際にトリチウムを導入し、その放射活性を利用す
ることが挙げられる。この検出感度は、pmolレベル
であり、良好であるが、放射性物質であるために種々の
制約がある。
【0003】この制約がない高感度検定法として、2−
アミノピリジン等の有機化合物を蛍光標識剤として使用
する方法が公知である(例えば、Biochem. Biophys. Re
s. Commun.,85,257-263(1978))。この方法は、糖又は
糖鎖の還元末端に該2−アミノピリジンのアミノ基を反
応させてシッフ塩基とし、次いで還元して、蛍光により
検出するものであり、HPLCで分画し、蛍光ディテク
ターで検出する際の感度は数十fmolレベルであるこ
とが開示されている。
【0004】しかしながら、該蛍光標識剤は、糖鎖の還
元末端を容易に蛍光標識化し得る点では優れているが得
られる蛍光標識化糖類の蛍光強度が弱く、例えば組織化
学的な糖類の解析に利用するには、十分であるとは言え
なかった。一方、糖鎖に対する抗体を作成するための免
疫原として、あるいは医薬品としての用途が期待される
人工的な複合糖質を合成するために、生体内等から分離
された多種類の糖鎖を含む混合物から特定構造の糖鎖を
分画し、構造の特定された糖鎖と蛋白質、ペプチド類、
脂質あるいはポリマー樹脂等の有機化合物とを結合する
有効な方法が求められている。この目的のために、糖鎖
の還元末端にアミノ基を導入し、該アミノ基と上記有機
化合物を結合することが可能である。単一の糖鎖の場合
には糖鎖の還元末端を直接アミノ化すればよいが、天然
から得られる様な多種類の糖鎖の混合物から特定構造の
糖鎖を分離することは困難である。また、天然に存在す
るような複雑な構造の糖鎖を人工的に大量に合成するこ
とは、非常に時間もかかり、また極めて困難である。
【0005】従って、生体内に存在する複雑な特定構造
の糖鎖を効率よく分画し、単一構造の糖化合物を容易に
アミノ化する方法が待望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、簡易な方法で糖類をアミノ化してアミノ化糖誘導体
を得る糖のアミノ化法を提供することである。本発明の
第2の目的は、糖類の混合物から容易に単一構造のアミ
ノ化糖誘導体及びその標識化体を製造する方法もしくは
該アミノ化糖誘導体と蛋白質等の他の有機化合物と反応
させて人工複合糖質を製造する方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記化3で示
される一般式(a)
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R−CH2−は、還元末端がアル
デヒド化されてR−CHOで示され得る糖類に由来する
基を表し、R1 、R2 、R3 及びR4 は、互いに同一で
も異なっても良く、各々水素、低級アルキル基から選択
される基を表す。)で表される2−アミノピリジン誘導
体化糖類を還元反応に付し、次いでアルカリ条件下にお
いて分解反応に付して下記一般式(b) R−CH2−NH2(b)(式中、R−CH2−は前記と
同意義。)で表されるアミノ化糖誘導体を得ることを特
徴とする糖のアミノ化法を提供するものである。
【0010】また本発明は、上記の方法で得られた前記
一般式(b)で表される化合物と、アミノ基と反応し得
る標識化化合物とを反応させることを特徴とする還元末
端が標識化された糖類(以下、還元末端標識化糖類とも
いう)の製造方法を提供するものである。さらに本発明
は、上記の方法で得られた前記一般式(b)で表される
化合物と、蛋白質、ペプチド類または脂質とを反応させ
ることを特徴とする人工複合糖質の製造方法を提供する
ものである。
【0011】すなわち本発明は、一般式(a)で表され
る2−アミノピリジン誘導体糖類を還元、分解して糖類
の還元末端にアミノ基を導入する方法を提供するもので
あり、本発明では該還元反応の後、アルカリ条件下、好
ましくはヒドラジン存在下で分解反応を行うことを特徴
とする。ここで、本発明に使用される2−アミノピリジ
ン誘導体化糖類は、単一種でも複数種でもよい。即ち、
R基(R−CH2 基でも同じ)が、単一でもそうでなく
ともよい。
【0012】従って、本発明においては、実質的に単一
の2−アミノピリジン誘導体化糖類を出発物質として選
択して、実質的に単一なアミノ化糖誘導体を得ても、多
種類のアミノ化糖誘導体を得てからこれらを単一化して
もよく、前者の場合では、原料の糖類を2−アミノピリ
ジン化合物により蛍光標識し、特定構造の糖鎖を有する
2−アミノピリジン誘導体化糖類を分画した後、蛍光標
識された糖鎖を還元末端にアミノ基を有する糖鎖に変換
する方法が挙げられ、後者の場合では、生成された複数
のアミノ化糖誘導体混合物を好ましくは標識してからク
ロマトグラフィーにより分離して単一のアミノ化糖誘導
体あるいは還元末端標識化糖類およびその脱標識化によ
るアミノ化糖誘導体を精製度よく、かつ感度よく単離で
きるという著しい効果を有する。
【0013】以下、本発明を具体的に説明する。 〔アミノ化糖誘導体(還元末端アミノ化糖)の合成〕 上記一般式(a)で示される2−アミノピリジン誘導体
化糖類は公知の方法 〔特開平1(昭64)−10177号公報;Agric. Bio
l. Chem.,54(8),2169-2170 (1990);Biochem. Biophys.
Res. Commun.,85,257-263(1978);J. Biochem.,90, 40
7-414(1981);J. Biochem.,95,197-203(1984);J. Bioc
hem.,112,No.1, 122-126(1992)〕で合成することができ
る。
【0014】すなわち、下記化4で示される一般式
(d)
【0015】
【化4】
【0016】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、互
いに同一でも異なっても良く、各々水素、低級アルキル
基から選択される基を表す。)で示される2−アミノピ
リジン誘導体の2位のアミノ基を還元末端がアルデヒド
化されて一般式(c);R−CHO(式中、Rは糖類残
基を表す。ただし、R−CHOは単一な糖化合物でも複
数種の糖化合物の集合でもよい。)で示され得る糖類
(単糖、オリゴ糖、多糖、グリコサミノグリカン等)の
還元末端に反応させてシッフ塩基を形成させ、次いで還
元することによってアミノアルキル(−CH2 NH−)
結合を形成させて糖類と上記化合物(d)の複合体であ
る上記一般式(a)で示される2−アミノピリジン誘導
体化糖類を合成できる。
【0017】本発明において、低級アルキル基とは、炭
素数1〜6程度のアルキル基をいい、具体的にはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基およびその異性体が挙げられる。本発明の糖の
アミノ化法において、単一な化合物(a)を使用する場
合は、好ましくは、その2−アミノピリジン誘導体化糖
類混合物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等
(例、逆相HPLC)の分別手段によって分離精製し、
蛍光スペクトルによって目的とする複合体を検出して単
一の分画を使用する方法を一例に挙げることができる。
【0018】なお、上記シッフ塩基形成反応の方法とし
ては、塩酸、フッ化水素酸等の無機酸もしくは酢酸、ト
リフルオロ酢酸等の有機酸及びピリジン等の有機溶媒も
しくは水性溶媒中、常温〜100℃、数分〜数時間(好
ましくは、約90℃、1〜3時間、pH3〜6.4)の
反応条件下、糖類に対して20〜100当量程度の化合
物(d)を使用して反応させることによってシッフ塩基
を生成させる方法を例示することができる。シッフ塩基
の還元には、通常シッフ塩基の還元に使用されている還
元剤を使用することができ、とりわけ揮発性のボランコ
ンプレックス(例えば、ボランジメチルアミンコンプレ
ックス、ボラントリエチルアミンコンプレックス、ボラ
ンピリジンコンプレックス等)、水素化ホウ素ナトリウ
ム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)
等が好ましい。特に、シアル酸を含む糖類の場合には、
ボランジメチルアミンコンプレックスと水と酢酸を含む
還元剤で反応を行うとシアル酸の脱離を防止することが
できるので好ましい。還元反応は、常温〜100℃、1
時間〜10時間(好ましくは約80〜90℃、1時間程
度)で完了する。
【0019】なお、上記糖類は糖蛋白質、糖脂質等の複
合糖質から切り出された糖類であってもよい。複合糖質
から糖類を切り出す方法としては、ヒドラジン等の塩基
(アルカリ条件下)の存在下で複合糖質を分解し、必要
に応じてN−アセチル化する方法(Biochem. Biophys.
Acta, 121,417-420(1966) )の他、加トリフルオロ酢酸
分解する方法、酵素(エンドグリコシダーゼ、グリコペ
プチダーゼ,エンドグリコセラミダーゼ)等で消化する
方法などが挙げられる。
【0020】本発明によって、上記一般式(a)で示さ
れる2−アミノピリジン誘導体化糖類の(置換基を有す
ることもある)ピリジルアミノ基をアミノ基に変換する
反応は、先ず2−アミノピリジン誘導体化糖類を還元反
応に付し、次いでアルカリ条件下において分解反応に付
すことによって行うことができる。上記還元反応は、酸
性水溶液中(例えば、酢酸等を用いてpH3〜4とす
る)、水素化触媒(パラジウム黒等)の存在下、水素ガ
スを使用して行うことができ、室温付近で数時間(好ま
しくは3〜4時間)で完了する。
【0021】上記反応後、触媒を濾過、遠心分離等の手
段で分離除去し、濃縮乾固し、反応生成物を分離せずに
引き続き、アルカリ条件下(例えば、ヒドラジン(N2
4)存在下)で分解反応に付し、目的とする上記一般
式(b)で示されるアミノ化糖誘導体を合成する。上記
反応は、上記還元反応の生成物を、例えば水非存在下、
無水ヒドラジンを用いて室温〜100℃程度(好ましく
は60〜100℃、より好ましくは70℃付近)の温度
で数秒〜1時間程度(好ましくは数分〜20分程度、よ
り好ましくは2〜3分程度)加熱もしくは加温すること
によって行うことができる。なお、ヒドラジンは反応溶
媒としても作用するので原料化合物に対して過剰量使用
すればよい。アルカリ条件下での分解反応をヒドラジン
を用いて行うと、反応後に反応液を減圧処理することに
よってヒドラジンを除去できるので好ましいが、ヒドラ
ジンの代わりにアンモニア水、ヒドロキシルアミン、水
酸化ナトリウム等を用いて分解反応を行うこともでき
る。
【0022】上記の方法の反応スキームを、還元末端糖
残基がN−アセチルグルコサミンである糖鎖の例につい
て下記化5に示す。尚、*を付した中間体は推定であ
り、その構造は確認されたものではない。
【0023】
【化5】
【0024】反応終了後、HPLC、TLC(薄層クロ
マトグラフィー)、ゲルクロマトグラフィー等のクロマ
トグラフィーによって目的化合物を分離精製することが
できる。 〔還元末端標識化糖の合成〕上記の本発明の方法で合成
した還元末端にアミノ基を有する糖類すなわちアミノ化
糖誘導体と、アミノ基と反応し得る標識化化合物とを反
応させることによって還元末端が標識化された糖類を合
成することができる。ここで、前記クロマトグラフィー
による分離精製前にアミノ化糖誘導体のアミノ基を標識
化化合物、例えば、好ましくは下記例示の蛍光標識化化
合物等により標識化し、その蛍光により混在する複数の
標識化糖誘導体を分別し、単一構造の還元末端標識化糖
誘導体を分画することができる。また、所望によりこの
還元末端標識化糖誘導体を脱標識してアミノ化糖誘導体
を得ることができる。
【0025】かくして合成された、単一の特定の糖鎖の
還元末端が標識化された標識化糖類は、生体組織中の糖
類の受容体の研究、レクチンの糖結合特異性の研究に有
用である。標識化化合物としてはアミノ基と結合可能な
官能基を有し、発蛍光基、化学発光基、発色基、放射性
同位元素等を有する化合物が使用され、特に限定されな
い。具体的には、例えばビオチン化試薬(例えば、ビオ
チン・スルフォ−N−ヒドロキシスクシンイミド・エス
テル等の活性エステル)、フルオレセインイソチオシア
ネート(FITC)、フェニルイソチオシアネート、ダ
ンシル(DNS)化用試薬、ジニトロフェニル(DN
P)化用試薬等が挙げられる。
【0026】アミノ化糖誘導体と、アミノ基と反応し得
る標識化化合物とを反応させる方法は公知の方法に従っ
て行うことができる。例えば、ビオチン・スルフォ−N
−ヒドロキシスクシンイミド・エステルとの反応は弱塩
基性(例、飽和炭酸水素ナトリウム溶液中)又は中性条
件において室温付近で反応させ、必要に応じて酸(例、
強酸性陽イオン交換樹脂)で中和する方法が挙げられる
(J. Nucl. Med.,28,1294-1302(1987))。また、例え
ば、FITCとの反応は塩基性(例、ピリジン中)又は
中性条件において加熱して反応させる方法が挙げられる
(Am. J. Pathol., 34,1081(1958) )。 〔人工複合糖質の合成〕上記の本発明の方法で合成した
還元末端にアミノ基を有する糖類と、蛋白質、ペプチド
類、脂質、ポリマー樹脂等とを、直接又は二官能性の架
橋剤を介して結合することができる。このような結合物
はネオグリコプロテイン、ネオグリコリピッドのような
人工複合糖質として、医薬品、免疫原、研究用試薬等の
種々の用途が期待される。具体的には、下記等の用途が
列挙できる。 (1) レクチン、糖結合蛋白質、抗体、糖転移酵素の生理
活性物質による糖鎖の分子識別現象(特異的構造識別現
象)を解析するための糖鎖プローブとしての用途。 (2) 糖鎖に対する抗体を作成するための免疫源としての
用途。 (3) 糖鎖に対する抗体をELISA 法等でスクリーニングす
るための固相化人工複合糖質としての用途。 (4) 細胞間相互作用における細胞表面糖蛋白質糖鎖の機
能解析のための糖鎖プローブとしての用途。 (5) 糖鎖固定アフニティー担体としての用途。
【0027】上記人工複合糖質を各用途に利用する際の
形態としては、特に制限はないが、例えば、下記等が挙
げられる。 ・TLC プレート上、プラスチックプレート上、各種担体
に固相化(固定化)すること。 ・リポソーム、リピッドマイクロスフェアーとするこ
と。
【0028】また、本発明の人工複合等質の用途に関し
ては、例えば、Trends in Glycoscience and Glycotech
nology(TIGG) Vol.3, No.14, 435-437(1991)、「新生化
学実験講座3」糖質I 糖タンパク質,人工複合糖質
(743〜760頁)((株)東京化学同人発行)を参
照することができる。架橋剤としてはジイソシアネート
化合物、ジイソチオシアネート化合物、ジハロゲン化化
合物、グルタルアルデヒド等のアミノ基同士を架橋する
架橋剤;N−(m−マレイミドベンゾイルオキシ)スク
シンイミドなどのアミノ基とチオール基を架橋する架橋
剤;ジカルボン酸などのアミノ基と水酸基を架橋する架
橋剤が使用できる(「続生化学実験講座」5,免疫生化
学研究法,83〜87頁,1986年,(株)東京化学
同人発行)。
【0029】具体的には、例えば、カルボキシル基を有
する化合物(蛋白質、ペプチド類、脂質(例えば、水酸
基にジカルボン酸架橋剤を導入したリゾレシチン;アミ
ノ基にジカルボン酸架橋剤を導入したホスファチジルエ
タノールアミン等))のカルボキシル基をN−ヒドロキ
シスクシンイミドエステル(例えば、化6に記載の化合
物)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、p
−ニトロフェニルエステル等の活性エステル(「ペプチ
ド合成の基礎と実験」,1985年,丸善(株)発行)
として、本発明の還元末端にアミノ基を有する糖類と反
応させることができる。また、アミノ基を有する化合物
(例えば、ホスファチジルエタノールアミン等のリン脂
質、あるいはタンパク質、ペプチド等)とジアルデヒド
(例えば、グルタルアルデヒド)を反応させ、次いで、
本発明の還元末端にアミノ基を有する糖類と反応させる
こともできる。
【0030】
【化6】
【0031】
〔実施例1:還元末端アミノ化単糖類の合成〕
実施例1−1 ラクトースと2−アミノピリジン〔以下「PA」と略す
こともある〕を原料として公知の方法(Biochem. Bioph
ys. Res. Commun.,85,257-263(1978))で合成した1−
ピリジルアミノ−1−デオキシラクチトール〔2−アミ
ノピリジンが結合したラクトース;以下「PA−ラクト
ース」ということもある〕4.5μmolを水1mlに
溶解し、酢酸を用いてpHを3に調整した。この溶液に
少量のパラジウム黒を添加し、水素ガス気流中、常圧下
で3時間還元反応を行った。反応液をTLC〔DC-Alufo
lien Kieselgel 60(メルク社製);メタノール/水/
アンモニア水(6:0.3:0.1 v/v)を用いて
展開し、硫酸を用い、加熱して目的物を発色させた〕を
用いて分析し、反応の経過をモニターした。反応生成物
の一部(55nmol)を減圧乾固し、これに無水ヒド
ラジンを添加して溶液とし、これを封管中70℃で2分
間加熱した。次いで過剰のヒドラジンを減圧下溜去して
1−アミノ−1−デオキシラクチトールを得た(収率9
5%)。このものは、他の方法(Anal. Biochem., 97,
166-172(1979))で合成した1−アミノ−1−デオキシ
ラクチトールと同一物質であることがアミノ酸分析機で
同定された。
【0032】実施例1−2 1−ピリジルアミノ−1−デオキシ−N−アセチルグル
コサミニトールを原料として、ヒドラジンによる分解
を、より穏和な条件で行ったほかは上記実施例1−1と
ほぼ同様の方法で1−アミノ−1−デオキシ−N−アセ
チルグルコサミニトール(式(b1)において、Raが
Hである化合物)を合成した。
【0033】〔実施例2:還元末端アミノ化オリゴ糖類
の合成〕オボアルブミンから分離精製された下式のオリ
ゴマンノースタイプの糖鎖(M6B)を原料として公知
の方法(J. Biochem.,90,407-414(1981);J. Biochem.,9
5,197-203(1984) )に準じて合成された還元末端残基
(末端GlcNAc)に2−アミノピリジンが結合したM6B
(M6B−PA)1.9μmolを用い、実施例1と同
様の方法で還元末端がアミノ化されたM6B(M6B−
N)(式(b1)において、Raが下記M6Bのアミノ
化される末端GlcNAcを除く部分からなる基である化合
物)を合成した。なお、還元はパラジウム黒を触媒とし
て使用し、水素ガス気流中、常圧下、3時間反応させる
ことによって行った。また、ヒドラジンによる分解は、
無水ヒドラジンを用い、封管中70℃で2分間反応させ
ることによって行った。反応終了後、実施例1−1と同
様に処理し、TLCで目的化合物を精製した(収率約5
0%)。
【0034】M6Bの構造:Manα1-6(Manα1-3)Manα1
-6(Manα1-2Manα1-3)Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc 質量分析[M+Na]+:実測値m/z=1420.3
(計算値1420.5) 〔実施例3:フルオレセインイソチオシアネート標識オ
リゴ糖の合成〕実施例2で合成したM6B−N 20n
molを含む反応液を試験管中で濃縮乾固し、これにピ
リジン10μl及びフルオレセインイソチオシアネート
(FITC)1.3mgを添加した。70℃で2分間加
熱し、反応液を減圧下乾固した。濃縮残渣を少量の水に
溶かし、TLC用プレート〔DC-Alufolien Kieselgel6
0,4.5 ×7cm 〕に負荷し、メタノール/エタノール/
酢酸(2:1:0.05v/v)で展開した。次いで蛍
光性のバンドを水で溶出して還元末端残基のアミノ基が
FITCで標識されたM6B(M6B−F)の水溶液を
得た。
【0035】〔実施例4:ビオチン標識オリゴ糖の合
成〕実施例2で合成したM6B−N 20nmolを含
む反応液を試験管中で濃縮乾固し、これに飽和炭酸水素
ナトリウム溶液10μl及びビオチン・スルフォ−N−
ヒドロキシスクシンイミド・エステル2mgを添加し
た。これを時々攪拌しながら室温で15分間反応させ
た。反応後、強酸性陽イオン交換樹脂ダウエックス(Do
wex)50×2〔ダウケミカル社製,100〜200メ
ッシュ,H+型〕を添加してpHを3に調整した。樹脂
を濾去するとともに5倍容の水で洗浄し、濾液と洗浄液
を合わせて実施例3と同様にTLCを用いて分画し、目
的化合物のバンドを水で溶出し、還元末端残基のアミノ
基がビオチン化されたM6B(M6B−B)の水溶液を
得た。
【0036】〔実施例5:人工複合糖質の合成〕 実施例5−1:アミノ化糖誘導体とリゾレシチンの複合
体の合成 2−(4−ヒドロキシカルボニルブチロイル)リゾレシ
チン〔1位はパルミトイル基〕をDMFに溶解させ、0
℃に冷却し、該リゾレシチンに対し1当量のN−ヒドロ
キシスクシンイミドおよび1当量のジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(DCC)を加える。トリエチルアミンで
pH6〜7に調整し、室温で15時間攪拌する。不溶物
をゼオライトで濾過し、活性エステル体のDMF溶液を
得る。
【0037】上記活性エステル体溶液の溶媒を留去し、
該活性エステル体に対し実施例2で合成した1当量のM
6B−Nの水溶液を加え、0℃で1時間、さらに室温で
一晩反応させ、M6B−Nと上記リゾレシチン誘導体の
結合物を得る。 実施例5−2 アミノ化誘導体とホスファチジルエタノールアミンの複
合体の合成 クロロホルム溶液に溶解したジパルミトイルホスファチ
ジルエタノールアミンに対し1当量の無水コハク酸およ
び2当量のトリエチルアミンを加え、室温で24時間反
応させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離
液:クロロホルム−メタノール)で精製する。次いで、
実施例5−2と同様に、N−ヒドロキシスクシンイミド
およびDCCを用いて活性エステル体を得、これと実施
例2で合成したM6B−Nを反応させてホスファチジル
エタノールアミンとの結合物を得る。
【0038】〔参考例:ドットブロット法によるレクチ
ンの検出〕公知の方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
76, 4350-4354(1979);Biochem. J.,257, 43-49(1989)
)によってコンカナバリンA(ConA;生化学工業
(株)製)をニトロセルロース膜(バイオ−ラド社製)
上に固定し(スポットA,1μg(10pmol);ス
ポットB,0.5μg(5pmol);スポットC,
0.1μg(1pmol))、ウシ血清アルブミン(B
SA)でブロッキングした。この膜を、実施例3で得た
M6B−F(0.05mM)水溶液又は実施例4で得た
M6B−B(0.1mM)水溶液を加えた20mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH7.5;1mM塩化カルシウム、1
mM塩化マグネシウム及び0.15M塩化ナトリウム含
有)中で30分間インキュベートした。
【0039】反応後、M6B−Fを使用した場合はUV
ランプを照射し、ConAのスポットを肉眼的に検出し
た。その結果、スポットCはやや濃度が薄いもののスポ
ットA〜Cで全てConAの検出が可能であった。ま
た、M6B−Bを使用した場合は、さらにストレプトア
ビジン−西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ結合物(以下
「St.Av-HRP」と略す;ベクター・ラボラトリース社
製)を反応させ、4−クロロ−1−ナフトールを含む基
質を用いて発色させ、肉眼的に検出するか、あるいはス
トレプトアビジン−フルオレセイン結合物(以下、「S
t.Av-FITC」と略す; ピース社製)を反応させ、UVラ
ンプを照射して肉眼的に検出した。その結果、St.Av-HR
P を用いた場合は、スポットCはやや濃度が薄いものの
スポットA〜Cで全てConAの検出が可能であり、S
t.Av-FITCを用いた場合は、スポットBは検出限界付近
であり、スポットAは明瞭に検出された。M6B−Bの
代わりに水を用いてインキュベートした対照において
は、何れもConAは検出されなかった。
【0040】以上の結果、本発明による上記糖標識物を
使用した場合、5pmol以下のConAがドットブロ
ット法で検出可能であった。一方、M6B−PAを用い
て同様にドットブロット法(UVランプ検出)でCon
Aを肉眼的に検出したところ、0.5nmolが検出限
界であった。
【0041】
【発明の効果】ピリジルアミノ化糖鎖(2−アミノピリ
ジン誘導体化オリゴ糖類)等の標識化した2−アミノ誘
導体化糖は天然の複合糖質よりHPLC等を用いて単一
に精製しやすい。本発明の方法でこのようなピリジルア
ミノ化糖鎖等から得られた還元末端にアミノ基を有する
糖鎖は、標識化化合物、蛋白質、ペプチド等と容易に反
応させることができるので、糖鎖の単一構造に関しての
組織化学的研究、レクチン等の研究、ネオグリコプロテ
イン、ネオグリコリピッドの作成等に有用である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で示される一般式(a) 【化1】 (式中、R−CH2−は、還元末端がアルデヒド化され
    てR−CHOで示され得る糖類に由来する基を表し、R
    1 、R2 、R3 及びR4 は、互いに同一でも異なっても
    良く、各々水素、低級アルキル基から選択される基を表
    す。)で表される2−アミノピリジン誘導体化糖類を還
    元反応に付し、次いでアルカリ条件下において分解反応
    に付して下記一般式(b) R−CH2−NH2(b)(式中、R−CH2−は前記と
    同意義。)で表されるアミノ化糖誘導体を得ることを特
    徴とする糖のアミノ化法。
  2. 【請求項2】 アルカリ条件下での分解反応が、ヒドラ
    ジン存在下における分解反応である請求項1記載の糖の
    アミノ化法。
  3. 【請求項3】 請求項1の化1で示される一般式(a)
    の化合物は、還元末端がアルデヒド化されて下記一般式
    (c) R−CHO(c)(式中、Rは糖類残基を表す。) で示され得る糖類と下記化2で示される一般式(d) 【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、互いに同一でも
    異なっても良く、各々水素、低級アルキル基から選択さ
    れる基を表す。)で表される2−アミノピリジン誘導体
    とを反応させてシッフ塩基を形成させ、次いで還元反応
    に付して得られた2−アミノピリジン誘導体化糖類であ
    る請求項1記載の糖のアミノ化法。
  4. 【請求項4】 前記一般式(a)の化合物は、異なる構
    造の複数種の2−アミノピリジン誘導体化糖類の混合物
    を蛍光クロマトグラフィーにかけることにより得られた
    R基が実質的に単一な分画である2−アミノピリジン誘
    導体化糖類である請求項1記載の糖のアミノ化法。
  5. 【請求項5】 請求項1の一般式(b)で表される化合
    物と、アミノ基と反応し得る標識化化合物とを反応させ
    ることを特徴とする還元末端が標識化された糖類の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 標識化化合物が、フルオレセインイソチ
    オシアネート、フェニルイソチオシアネートまたはビオ
    チンである請求項7の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1の一般式(b)で表される化合
    物と、蛋白質、ペプチド類または脂質とを反応させるこ
    とを特徴とする人工複合糖質の製造方法。
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