JPH0649503A - 粉末冶金用偏析防止混合粉末 - Google Patents

粉末冶金用偏析防止混合粉末

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JPH0649503A
JPH0649503A JP12025293A JP12025293A JPH0649503A JP H0649503 A JPH0649503 A JP H0649503A JP 12025293 A JP12025293 A JP 12025293A JP 12025293 A JP12025293 A JP 12025293A JP H0649503 A JPH0649503 A JP H0649503A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 最大粒径が75μm以下である物性改善成分
粉末を (1) ヨウ素価が15以下で且つ100 °Fにおける粘度が50
cSt以下の液状脂肪酸、および/または(2) スチレ
ン:5〜75重量部と、ブタジエンおよび/またソプレ
ン:95〜25重量部とをモノマー成分とするスチレン
系共重合体もしくはその水素化物 よりなる粉末冶金用結合剤と共に、粉末冶金用鉄粉と混
合し偏析を防止した粉末冶金用の混合粉末を開示する。 【効果】 銅粉などの物性改善成分粉末の比重差や粒度
差によらず幅広く、添加粉末の偏析を抑制し、更に流動
性を積極的に改善すると共に粉体特性の経時変化が極端
に小さく、且つ黒鉛粉末や潤滑剤粉末の飛散などを生じ
ることのない粉末冶金用の混合粉末を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、偏析および発塵が極め
て少なく、かつ流動性に優れ、混合粉末としての粉体特
性の経時的変化が少ない粉末冶金用偏析防止混合粉末に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】機械部品等を粉末冶金法によって製造す
る場合、焼結強度、製品における機械的強度や耐摩耗
性、切削性、磁気特性等の物性を向上させるために、鉄
粉に様々の物性改善成分粉末を配合し、あるいは粉末冶
金製品の強化用として黒鉛粉末を配合し、更には、合金
粉末としての流動性、圧縮成形時の圧縮比の向上、金型
への焼き付き防止等のために潤滑剤を配合してから成形
・焼結するのが一般的である。しかし多くの場合、混合
する粉末間に比重差や粒度差があるため発塵と偏析が生
じ、そのため、得られる焼結製品の寸法精度等の要求特
性にばらつきを生じることがあり、この解決は長年の課
題となっている。
【0003】まず発塵については、特に黒鉛粉などのよ
うに比重の小さい微粉末の存在によるものが主であり、
粉末を取り扱う際の作業環境の汚染が問題になるばかり
でなく、歩留りの低下を招く。また偏析については、比
重差や粒度差が大きい粉末同士を混合した場合に生じ、
例えばホッパー内から粉末混合物を排出する際に、始め
・中頃・終わりで合金用成分の配合が変化してしまうこ
とがよく知られている。
【0004】こうした混合粉末における発塵と偏析の問
題を解決する手段として、これまで大別して次の様な方
法が開示されている。 (1) 特開昭60-502158 などで開示されている様にトール
油などの液体添加剤を粉末混合物に添加する方法、(2)
特開昭63-103001 や特開平2-217403などで提案されてい
る様に固体結合剤を溶剤で溶解して添加し均一混合した
後、溶剤を蒸発させる方法、(3) 特開昭63-2064011や特
公昭63-16441等に示されている様に固体結合剤を混合操
作中に溶融させる、いわゆるホットメルト方法。
【0005】また、添加した合金粉末の偏析を防止する
手段として、(4) 特公昭54-21803や特開平2-145703等に
示されている様に、粉末冶金用鉄粉と所望特性を与える
合金成分を含有する合金粉末を予め混合し、還元性雰囲
気下で加温した後粉砕することによって粉末冶金用鉄粉
の表面に合金粉末を付着させる所謂部分拡散法、(5) 特
開平4-371501に示されている様に、最大粒径や合金粉末
組成の規定されたFe−Mo合金粉末などを、結合剤を
用いて鉄系粉末表面に付着させる方法。
【0006】しかしながら、これらの方法はいずれも黒
鉛粉末の如く比重の小さい微粉末の発塵と偏析の防止に
対して効果は認められるものの、銅粉末など比較的高比
重の各種合金粉末の偏析防止に対しては効果が薄いもの
であった。例えば銅粉末を特に高濃度に配合する様な部
品については銅粉末の偏析が寸法変化率や強度のバラツ
キの原因になるため、より安定した特性が要求される昨
今、上記の各手法では充分満足のいく結果が得られてい
ないというのが実状であった。
【0007】即ち上記(1) 〜(3) の方法は、黒鉛粉末や
比重の小さな微粉末の偏析防止に対しては確かに効果が
認められるものの、例えば銅粉末など比較的高比重の各
種合金粉末や一般的に用いられる10〜75μmの安価
な合金粉末の偏析防止に対しては充分な効果が得られて
いない。
【0008】従来から用いられている液体結合剤を用い
る方法には、次の様な問題が指摘されている。即ちスピ
ンドル油の様な鉱物油を添加すると、混合粉末の安息角
が極端に大きくなって流動性が著しく悪化し、ホッパー
等からの排出時にブリッジングを起こし易くなって作業
性が低下する。また鉱物油は通常揮発性であり、植物油
の場合でもトール油などの乾性油あるいは半乾性油は大
気中の酸素と反応して変質するため、これらを添加した
混合粉末は時間の経過と共に粉体特性(流動性、見掛密
度)や圧粉体特性が大幅に変動する。
【0009】また上記(4) の方法の場合、例えば特公昭
54−21803に示されている様なFe−P鋼粉を得
るには、水素含有雰囲気において500〜800℃程度
の比較的低温で加熱処理を行わなければならず、雰囲気
ガスとして使用する水素ガスの爆発を防止するために特
別な加熱炉を必要とするし、特開平2−145703に
示されている様にNi、Cu、Mo等を付着させる場合
は、各々の合金元素の融点が著しく異なるために特定の
合金元素の拡散が過度に進行し、得られる鋼粉の圧縮性
を低下させたり、あるいは逆に充分な付着が得られない
といった問題を生じる。
【0010】更に上記(5) の方法として示した特開平4
−371501に開示されている様に、最大粒径、合金
粉末組成を規定したFe−Mo合金粉末を結合剤を用い
て鉄系粉末粒子表面に付着させた鋼粉の場合は、比較的
少ない合金粉末添加量(3重量%程度以下)では、粉末
冶金用鋼粉と合金粉末との単純混合粉末(プレミックス
粉)に対してわずかに偏析の防止効果が認められるもの
の、15重量%程度もの多量の合金粉末を配合する場合
の偏析防止効果は不十分であり、偏析による混合粉末の
粉体特性(見掛密度、流動度)の低下や経時変化を防止
することはできない。
【0011】また特開平4−350101に示されてい
る様な合金粉末は、混合粉末の計算上の焼入倍数の積が
非常に高く、該合金微粉末を用いて部分拡散型鋼粉を得
るには加熱処理後極めて緩やかな冷却を行わなければな
らず、工業的生産に不向きである。また同公報にはバイ
ンダーによる偏析防止効果を示唆する記載も見られる
が、上記(1) 〜(3) に示した様な従来技術では、多量の
合金粉末を併用した場合の偏析を防止することができ
ず、偏析に起因する強度のばらつきや寸法精度の低下を
回避できない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の難点を解消するためになされたものであり、その目的
は、合金粉末等の物性改善成分粉末や黒鉛粉末あるいは
潤滑剤等と粉末冶金用鉄粉系粉末の混合物において、圧
縮性や流動性等の特性を損なうことなく、発塵や成分偏
析および経時変化を生じることのない粉末冶金用偏析防
止粉末を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた本発明の構成は、最大粒径が75μm以下であ
る物性改善成分粉末を (1) ヨウ素価が15以下で且つ100 °Fにおける粘度が50
cSt以下の液状脂肪酸、および/または(2) スチレ
ン:5〜75重量部と、ブタジエンおよび/またイソプ
レン:95〜25重量部とをモノマー成分とするスチレ
ン系共重合体もしくはその水素化物 よりなる粉末冶金用結合剤と共に、粉末冶金用鉄粉と混
合し偏析を防止したものであるところに要旨を有するも
のである。ここで用いられる好ましい物性改善成分粉末
としては、Ni,Cu,Mo,Cr,Mnなどの金属や
合金もしくはそれらの金属酸化物、それら合金元素と鉄
との合金、Si,P,Sやそれらの酸化物或はそれらと
上記合金元素や鉄との合金等を挙げることができ、また
本発明においては、これらの物性改善成分粉末と共に、
黒鉛粉末および/または粉末冶金用潤滑剤を含有させた
場合も、それらの偏析を効果的に防止することができ
る。
【0014】
【作用および実施例】粉末冶金用に使用される混合粉末
には、焼結体強度、耐摩耗性、切削性などの諸物性を改
善させる目的で鉄粉の他に一種類あるいはそれ以上の粉
末(物性改善成分粉末)を配合するのが一般的である。
これらの物性改善成分粉末は鉄粉との比重差および(ま
たは)粒度差のあるものが多く、従ってこれらを単に混
合するだけでは物性改善成分粉末が簡単に偏析をしてし
まう。そこでこれを解決するため種々研究を行なった結
果、最大粒子径が75μm以下である物性改善成分粉末
を使用し、且つ結合剤として、(1) ヨウ素価が15以下で
且つ 100°Fにおける粘度が50cSt以下の液状脂肪
酸、および/もしくは(2) スチレン:5〜75重量部と
ブタジエンおよび/またイソプレン:95〜25重量部
とをモノマー成分とするスチレン系共重合体もしくはそ
の水素化物を使用すれば、上記の目的が見事に解決でき
ることを確認した。以下、実施例を参照しつつそれらの
限定理由を説明する。
【0015】実施例1(液状脂肪酸のヨウ素価を15以下
に限定した理由) 粉末冶金用鉄粉(粒径180μm以下)に、黒鉛粉末
(平均粒径3μm)を混合粉末全量に対して0.8 %(重
量%:以下同じ)銅粉末(アトマイズ銅粉:平均粒径
30μm)を混合粉末全量に対して2.0 %となる様に夫々
配合し、回転翼式混合機にて100rpmで5分混合した後、
粘度が一定(100°Fにおける粘度が30cSt)で、ヨウ
素価がそれぞれ2(試料名A)、7(同B)、12(同
C)、17(同D)、50(同E)、100 (同F)である脂
肪酸を各々混合粉末全量に対して0.08%となる様に添加
し、更に100rpmで6分間混合を行なった。この時点で第
一次サンプリングを行い、以下説明の気流法用供試粉と
した。
【0016】次に潤滑剤(ステアリン酸亜鉛:平均粒径
30μm )を混合粉末全量に対して0.75%となる様に加
え、100rpmで2分間混合を行った。この時点で第二次サ
ンプリングを行い、銅粉と黒鉛粉末の偏析度および粉体
特性調査用の供試粉とした。
【0017】まず、第一次サンプリングした供試粉にて
気流法によるカーボン付着度を測定した。測定には図2
に示す様なニュークリポアフィルター1(網目12μm )
を付した漏斗状のガラス管2(内径16mm、高さ106mm )
を使用し、試料粉末P(25g)を入れて下方より窒素ガ
スを0.8 リットル/分の速度で20分間流し、次式より黒
鉛付着率を求めた。 黒鉛付着率(%) =[窒素ガス流通後炭素量/窒素ガス流
通前炭素量]×100(%)
【0018】次に第二次サンプリングした供試粉にて粉
体特性および成分の偏析度を測定した。見掛密度の測定
方法はJIS-Z2504 、流動度の測定方法はJIS-Z2502 に準
じて行った。また、黒鉛偏析度および銅粉の偏析度につ
いては、それぞれの混合粉末500kg を連続プレスにて成
形する際、一つのホッパー内で成形したサンプルを10点
等間隔で抜き取り、これら成形体サンプルを分析した黒
鉛と銅における最大値と最小値の差と定義した。結果を
表1に示す。比較粉として脂肪酸無添加のプレミックス
(試料各G)と、脂肪酸の代わりにスピンドル油(同
H)またはトール油(同I)を添加した一例を載せた。
【0019】
【表1】
【0020】表1より、脂肪酸を添加した混合粉は、脂
肪酸無添加に比べて黒鉛付着率の向上と成分偏析防止の
改善が見られた。またスピンドル油やトール油を添加し
たものは、黒鉛付着率向上と成分偏析防止には効果があ
るものの、流動性が悪く好ましくない。次に粉体特性に
おける経時的変化をみるために、製造してからの経過日
数を変えて見掛密度と流動度の測定を行った。結果を表
2と表3に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】表2および表3より、脂肪酸のヨウ素価と
粉体特性の経時変化とは密接に関連していることがわか
る。ヨウ素価が15以下であると見掛密度および流動度の
2カ月間の経時変化は小さいが、15を超えると見掛密度
の減少と流動度の悪化が顕著なっている。
【0024】ヨウ素価の定義は、試料にハロゲンを作用
させたときのハロゲン吸収量をヨウ素量に換算し、試料
に対する百分率で表わしたものをいい、脂肪酸の場合不
飽和結合の量に比例する。不飽和結合が多いと、その部
分で酸素と反応しポリマー化し易いため脂肪酸の酸化劣
化が激しい。従って、ヨウ素価が高いほど酸化劣化によ
る混合物の見掛密度の低下、流動度の悪化の現象が起き
るため本発明では脂肪酸のヨウ素価を15以下に限定し
た。
【0025】実施例2(液状脂肪酸の 100°Fにおける
粘度を50cSt以下に限定した理由) 粉末冶金用鉄粉(粒径180μm以下)に、黒鉛粉末
(平均粒径3μm )を混合粉末全量に対して0.8 %(重
量比:以下同じ)銅粉末(アトマイズ銅粉:平均粒径
30μm )を混合粉末全量に対して2.0 %となる様に夫々
配合し、回転翼式混合機にて100rpmで5分混合した後、
ヨウ素化が2で一定で100°Fにおける粘度がそれぞ
れ3cSt(試料名J)、7cSt(同K)、18cS
t(同K)、30cSt(同M)、55cSt(同
N)、80cSt(同O)である脂肪酸を各々混合粉末
全量に対して0.08%となる様に添加し、更に100rpmで6
分間混合を行なった。この時点で第一次サンプリングを
行い、気流法用供試粉とした。
【0026】次に潤滑剤(ステアリン酸亜鉛:平均粒径
30μm )を混合粉末全量に対して0.75%となる様に加
え、100rpmで2分間混合を行った。この時点で第二次サ
ンプリングを行い、銅粉と黒鉛粉の偏析度および粉体特
性調査用の供試粉とした。表4にカーボン付着率と粉体
特性の結果を示す。
【0027】
【表4】
【0028】上記の結果より、粘度を変えてもカーボン
付着率向上および成分偏析防止には大差なく効果が認め
られる。試料(J),(N),(O)については流動度
の不良が認められるから、本発明粉の粘度を、 100°F
において50cSt以下に限定した。
【0029】実施例3(スチレン系共重合体の共重合組
成を定めた理由) この実験に当たっては、ベース粉末として粉末冶金用鉄
粉(粒径180μm以下)と黒鉛粉末(平均粒径2μ
m)を使用し、これらを前者99重量部に対し後者1重
量部の比率で混合したものを用いた。
【0030】これらの粉末原料を、図2(フロー図)に
示す如く、回転翼式混合機によって高速撹拌しつつ、表
5に示す共重合組成のスチレン系共重合体よりなる結合
剤のトルエン溶液を滴下もしくは噴霧し、約5分間強撹
拌した後緩やかな撹拌に切り替えて所定時間乾燥し溶媒
を除去する。尚、潤滑剤を併用する場合は、黒鉛粉末と
潤滑剤を結合剤によって同時に粉末冶金用鉄粉に付着さ
せればよい。そして該乾燥粉末の一部を抜き出して黒鉛
飛散率測定用の試料とする。残りの乾燥粉末には潤滑剤
として0.75重量%のステアリン酸亜鉛粉末を加えて撹拌
し、流動度測定用の試料とする。結果を表5に示す。
【0031】
【表5】
【0032】表5からも明らかである様に、スチレンの
共重合比が5部(重量部:以下同じ)未満になると、黒
鉛飛散率は抑制されるが、混合粉末の流動性が悪くなっ
て圧粉成形性に問題を生ずる。一方、スチレンの共重合
比が75部を超える場合は黒鉛飛散率を十分に下げるこ
とができず、結合剤としての機能が満足に発揮されなく
なる。従って黒鉛飛散率と流動度を同時に満足させるに
は、スチレンとブタジエンの共重合比を前者5〜75
部:後者95〜25部の範囲に設定しなければならな
い。またこうした傾向は、スチレンと共重合されるモノ
マー成分としてイソプレンを使用し、或はブタジエンと
イソプレンを併用した場合、更にはこれらの水素化物を
使用した場合にもほぼ同様の結果が得られる。
【0033】実施例4 次に表6は、有機系の他の結合剤の代表例としてアクリ
ル酸ブチル:メタクリル酸メチル:アクリル酸=57:
38:5(重量比)の3元共重合体(比較剤:重量平均
分子量約5万)を選択し、本発明に係る結合剤(スチレ
ン:ブタジエン=35:65重量比の共重合体:重量平
均分子量約10万)との性能を対比して示したもの(実
験法は上記と同じ)であり、この表からも明らかである
様に本発明に係る結合剤は、他の有機結合剤に比べても
黒鉛飛散率及び流動性の両方に優れたものであることが
わかる。
【0034】
【表6】
【0035】実施例5 上記の様に、本発明で使用されるスチレン系共重合体の
好ましい共重合組成は上記の通りであるが、その使用に
当たっては、混合工程で粉末混合系に万遍無く行き渡
り、鉄粉の表面を過不足なく均一に被覆して物性改善成
分粉末や潤滑剤粉末とうまく結合させなければならず、
そのためには、原料粉末に対する結合剤の濃度や添加量
等も重要になると思われる。そこで、スチレン:ブタジ
エン=35:65の2元系共重合体(重量平均分子量:
約10万)を使用し、そのトルエン溶液中の結合剤濃度
や添加量等が黒鉛飛散率に与える影響を明確にすべく実
験を進めた。尚この実験では、生産性に影響を及ぼす乾
燥時間比(トルエン溶液中の結合剤濃度が5%、原料粉
末に対する結合剤の配合量が固形分換算で0.1 %である
ものの乾燥時間を1.00としたときの時間比率)も調べ
た。結果を表7に示す。
【0036】
【表7】
【0037】表7からも明らかである様に、結合剤とし
てスチレン系共重合体を使用するに当たっては、結合剤
の溶液濃度や原料粉末に対する固形分としての添加量も
さることながら、原料粉末に対するスチレン系共重合体
溶液としての添加量も考慮すべきであり、この値が低過
ぎると、鉄粉表面全体に結合剤溶液が行き渡り難くなっ
て結合不足となり、偏析及び黒鉛飛散を十分に抑え難く
なる。一方この値が高過ぎると混合系内で結合剤溶液自
体の偏析が生じて混合むらを起こし、部分的に結合力の
不足部が生じて所期の目的が達せられにくくなる。
【0038】従ってスチレン系共重合体の添加に当たっ
ては、溶液としての添加量を原料粉末に対し1〜3%の
範囲に調整するのがよい。但し、結合剤の固形分として
の絶対量が不足する場合は乾燥後の結合力が不十分とな
り、一方、多過ぎると混合粉末が部分的に塊状化して再
粉砕が必要となるので、固形分としての添加量は0.1
〜0.2%の範囲に収めるのがよい。
【0039】また該溶液の好ましい濃度は、スチレン系
共重合体の分子量(重合度)及びそれに伴なう溶液粘度
によっても変わってくるので一律に規定することはでき
ないが、通常は5〜15%、より好ましくは5〜10%
の範囲のものが使用される。尚、スチレン系共重合体の
好ましい分子量は、重量平均分子量で1万〜100万、
より好ましくは3万〜50万の範囲であり、分子量が小
さ過ぎる場合は、結合剤としての作用が全体的に不足気
味となり、一方分子量が大き過ぎる場合は混合むらを起
こし、偏析防止効果が満足に発揮され難くなる。
【0040】実施例6 次に表8は、前記方法に準拠し、結合剤としてスチレ
ン:ブタジエン=35:65共重合体(重量平均分子
量:約10万)を用い、該結合剤の溶液濃度や添加量を
種々変えた場合の黒鉛飛散率及び凝集性(篩い目250
μm上の残存率)、並びにこれに0.75%のステアリン酸
亜鉛粉末を追加混合したときの流動度及び圧縮性(試料
片寸法:直径11.3mm×10高さmm、成形圧力:5トン/
cm2 )を調べた結果を示したものである。尚この表には
比較のため結合剤無添加の例も併記した。
【0041】
【表8】
【0042】表8からも明らかである様に、結合剤無添
加の場合の黒鉛飛散率は非常に大きいのに対し、スチレ
ン系共重合体を結合剤として適量添加すると、黒鉛飛散
率は著しく抑えられる。また上記実験例では鉄粉に黒鉛
粉および潤滑剤を混合した場合を例にとって説明した
が、鉄粉や鋼粉に他の合金元素やマンガンサルファイ
ド、りん、硫黄等を加えて改質する場合にも同様に適用
することができ、添加される物性改善成分粉末や黒鉛粉
末、潤滑剤粉末等の比重、形状、粒径、濡れ性、更には
それらの添加量等に応じて最適添加量は変わってくるの
で、その都度添加量を調節することが望まれる。
【0043】実施例7 次に表9は、ベース金属粉末として粉末冶金用鉄粉(粒
径180μm以下)を使用し、黒鉛粉末(平均粒径3μ
m)0.8 重量%と銅粉末(平均粒径30μm)2.0 重量
%およびステアリン酸亜鉛粉末0.75重量%を配合してな
る混合粉末を使用し、以下は前記実施例3で採用したの
と同様の方法で黒鉛飛散率及び流動性を調べた結果を示
したものである。ただし、結合剤としては、スチレン:
ブタジエン=35:65重量比の共重合体(重量平均分
子量:約10万)を、結合剤濃度が10%であるトルエ
ン溶液として原料粉末に固形分換算で0.2 重量%加えて
均一に混合した。
【0044】
【表9】
【0045】この結果からも明らかである様に、結合剤
としてスチレン系共重合体を使用すれば、粉末冶金用と
しての流動性(成形性)を阻害することなく、極めて軽
量で偏析し易い物性改善成分粉末(黒鉛など)や潤滑剤
粉末の偏析や飛散を効果的に防止し得ることが分かる。
【0046】ところで、前記実施例1及び実施例2は、
混合粉末にヨウ素価が15以下で且つ100°Fにおける粘
度が50cSt以下である液状脂肪酸を結合剤として用い
た場合の効果を示し、また実施例3〜7は、スチレン系
共重合体を結合剤として用いた場合の効果を示すもので
あり、それぞれ優れた偏析防止効果を示している。しか
しながら、これらを併用すると一層優れた偏析防止効果
を得ることができるので、以下にその併用効果を示す。
【0047】実施例8(液状脂肪酸とスチレン系共重合
体を併用する場合) 粉末冶金用鉄粉(粒径180μm 以下)に、黒鉛粉末
(平均粒径3μm )を混合粉末全量に対して0.8 %、
銅粉末(平均粒径30μm )を混合粉末全量に対して2.0
%となる様に夫々加え、回転翼式混合機にて100rpmで数
分間混合する。均一に混合した後、スチレン/ブタジエ
ン=35/65(重量比)をモノマー成分とする共重合
体(重量平均分子量:約10万)をトルエンに8%溶解
したものを、混合粉末全量に対して2%(共重合体とし
て)となる様に攪拌しながら添加する。さらに数分間攪
拌した後、混合物を攪拌しながらトルエンを蒸発乾燥さ
せ、黒鉛を鉄粉の表面に付着させる。乾燥完了後、ヨウ
素価が2で 100°Fにおける粘度が30cStである液体
脂肪酸を添加して2分間混合し、第一次サンプリングを
行い気流法用供試粉とする。次に潤滑剤(ステアリン酸
亜鉛:平均粒径30μm )を混合粉末全量に対して0.75%
となる様に100rpmで2分間混合を行った。この時点で第
二次サンプリングを行い銅粉と黒鉛粉の偏析度および粉
体特性調査用の供試粉とする。表10に黒鉛付着率と粉
体特性の結果を示す。また同表には参考粉として液状脂
肪酸を添加せずスチレン系共重合体のみ添加した場合を
載せる。
【0048】
【表10】
【0049】上記の様に、試料名P,Qは共にスチレン
系共重合体を結合剤として添加しているためカーボン付
着率は大幅に改善されていることがわかる。また、スチ
レン系共重合体と共に液状脂肪酸を同時に添加した場合
は、銅偏析度の改善の効果も認められる。更に、実施例
8に使用した脂肪酸は、ヨウ素価が15以下で且つ 100°
Fにおける粘度が50cSt以下であるため、スチレン系
共重合体を同時に添加した場合でも経時変化がなく、流
動性に優れるという効果はかわらない。上記結合剤に関
する知見を下に、種々の物性改善成分粉末を上記結合剤
と共に粉末冶金用鉄粉と併用した場合の効果を明らかに
する。
【0050】実施例9 水アトマイズ法により得られたNi:57重量部、M
o:7重量部、Mn:14重量部、Si:7重量部、C
r:14重量部からなる組成の合金粉末(平均粒径10
μm)6重量部を、0.6重量部の黒鉛粉末(平均粒径
2μm)と93.4重量部の粉末冶金用鉄粉および本発
明で規定する結合剤と共に混合した。尚、この例では潤
滑剤として0.75重量部のステアリン酸亜鉛を後添加
している。比較例1は粉末冶金用鋼粉と合金粉末、黒鉛
粉末および潤滑剤を単純に混合したもの(プレミック
ス)であり、比較例2〜4は粉末冶金用鋼粉と合金粉末
を混合後、熱処理を行い、粉末冶金用鋼粉の表面に合金
粉末を付着させたもの(部分拡散型鋼粉)である。参考
例1,2はスチレン/ブタジエン=35/65の共重合
体(固体結合剤)を用いて合金粉末を付着させたもので
ある。表中の圧縮性および成形性は、それぞれ5ton
/cm2 で金型成形を行ったときの成形体密度およびラ
トラー値で評価している。
【0051】
【表11】
【0052】
【表12】
【0053】表11から分かる様に、結合剤を用いない
場合(比較例1〜4)はいずれも黒鉛の付着が十分でな
く、偏析が起こり易い。また、比較例2〜4は成形性お
よび合金粉末の偏析防止に効果的であるが、本実施例で
用いた様な焼入性の高い合金粉末の場合、粉末冶金用鋼
粉と合金粉末の拡散層および合金粉末が硬質となり圧縮
性を低下させ、最終的に十分な強度を得られなくなる
(表12参照)。
【0054】また、固体結合剤(スチレン/ブタジエン
共重合体)と液体結合剤(液状脂肪酸)を用いた場合を
発明例1〜4に示しているが、これらは、固体結合剤を
単独で用いた参考例1,2よりも一層優れた効果を示し
ており、いずれも単純プレミックス粉の圧縮性をほとん
ど損なうことなく成形性、黒鉛飛散率、および合金粉末
の偏析が改善されている。また表12に示す様に引張強
度が高くばらつきも少ない。
【0055】実施例10 機械的粉砕法、アトマイズ法、化学反応等によって得ら
れた、表13に示す組成の合金粉末(最大粒径75μm
以下)15重量部を粉末冶金用鋼粉85重量部とWコー
ン型混合機を用いて混合し、自動成形プレスの充填シュ
ーの位置で50kgごとにサンプルを採取しロット内の合
金粉末の偏析を評価した。図3に、用いた結合剤の種類
および合金粉末(物性改善成分粉末)の最大粒径と偏析
(統計値R)の関係を示す。なお図3中のプロットは、
表13に示す26種の合金粉末の付着率から統計的に点
推定した値である。
【0056】
【表13】
【0057】図3に示す様に、プレミックス法では合金
粉末の最大粒径が大であるほど(粉末冶金用鋼粉の平均
粒径に近づくほど)偏析率が小さくなっている。一般的
に混合粉末における偏析は、粒径や形状の差、比重差な
どによって起こると言われているが、このうちの粒径差
による分離作用が小さくなるためと考えられる。しかし
ながら、合金粉末の粒径が過度に粗大化すると焼結後に
均質な組織が得られなくなることから、合金粉末の粒径
は75μm以下とすべきである。また、合金粉末の添加
量は一般には15重量部以下、より詳しくは0.5〜
6.0重量部の場合が多い。本発明に規定する結合剤を
用いれば、結合剤の添加量を増量することで15重量部
以上の合金粉末を付着させることは可能であるが、過度
の結合剤添加は圧粉体密度の低下を招く場合がある。従
って、この様な場合には、圧縮性を低下させにくい合金
成分をプレアロイ型、または部分拡散型鋼粉とし、15
重量部以下の合金粉末を結合剤を用いて付着させる方法
を採用することが望まれる。従来例2および3は本発明
例3よりもわずかに付着率が良いが、先の実施例で示し
たスピンドル油の場合と同様に経時変化と流動性の点で
実用的には問題がある。
【0058】上記の様に本発明では、ヨウ素化および1
00°Fにおける粘度の特定された液状脂肪酸、あるい
はスチレンとブタジエンおよび/またはイソプレンを特
定比率で共重合してなるスチレン系共重合体もしくはそ
の水素化物を結合剤をして使用することによって、鉄・
鋼粉末などの鉄粉ベース中における物性改善成分粉末や
黒鉛粉末、潤滑剤粉末の偏析や取扱い時における発塵を
防止するものであり、ここでいう粉末冶金用鉄粉として
は、純鉄粉の他、プレアロイ鉄粉、部分拡散型鉄粉、鍍
金鉄粉などを包含するものであり、これらは最も一般的
なアトマイズ粉はもとより、その他の物理的粉砕法や還
元法等の化学的粉砕法等によって得た全ての鉄系粉末が
含まれる。
【0059】また、これらの粉末冶金用鉄粉中に配合さ
れる物性改善成分粉末としては、粉末冶金製品の強度、
耐摩耗性、切削性など各種の物性を改善するために使用
される種々の成分を挙げることができ、代表的なものと
しては、例えばNi,Cu,Mo,Cr,Mnなどの金
属や合金もしくはそれらの金属酸化物、それら合金元素
と鉄との合金、Si,P,Sやそれらの酸化物或はそれ
らと上記合金元素や鉄との合金等を挙げることができ、
それらの1種もしくは2種以上が使用される。
【0060】これらの物性改善成分粉末は、焼結工程で
速やかに固相拡散もしくは液相拡散してベース金属中に
拡散し或は合金化し得る様、また結合剤による粉末冶金
用鉄粉への付着を容易にする上でも、10μm以下の微
細なものとすることが望ましいが、この様な微細な物性
改善成分粉末は非常に高価である。ところが、本発明者
らが確認したところによると、上記本願発明で使用する
特殊な結合剤を使用すると、それらの添加量等を適当に
調整することによって、一般的に安価に得ることのでき
る最大粒径75μm程度のものであっても支障なく使用
できることが確認された。尚、これらの物性改善成分粉
末は、どの様な方法で粉砕したものであっても構わない
が、より好ましいのは、噴霧法等によって得られる平滑
面が少なく且つ異形状度の大きい粉末である。
【0061】また潤滑剤粉末は、圧粉成形時における金
型と混合粉末あるいは混合粉末同士の摩擦を低減して圧
密度を高めると共に、金型寿命を伸ばす目的で配合され
るものであり、例えばステアリン酸亜鉛などの金属石け
ん、エチレンビスアマイドなどのアマイドワックス、あ
るいはそれらの複合物などが用いられ、その添加量は、
原料粉末全量中に占める比率で通常0.1 〜3重量%、よ
り一般的には0.3 〜1重量%程度である。
【0062】尚この潤滑剤粉末は、ある程度粗粒のもの
の方が金型から成形体を取り出す時の抵抗は小さくなる
が、反面混合粉末全体としての圧縮性や均一混合性が悪
くなる傾向があるので、好ましくは平均粒径が50μm
程度以下、より好ましくは30μm程度以下のものを使
用するのがよい。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、銅粉などの物性改善成
分粉末の比重差や粒度差によらず幅広く、添加粉末の偏
析を抑制し、更に流動性を積極的に改善すると共に粉体
特性の経時変化が極端に小さく、且つ黒鉛粉末や潤滑剤
粉末の飛散などを生じることのない粉末冶金用の混合粉
末を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】黒鉛付着率の測定に使用した測定器具の断面図
である。
【図2】実験で採用した黒鉛飛散率および流動度の測定
法を例示するフロー図である。
【図3】合金粉末の最大粒径と偏析率の関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 政博 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大粒径が75μm以下である物性改善
    成分粉末を (1) ヨウ素価が15以下で且つ100 °Fにおける粘度が50
    cSt以下の液状脂肪酸 よりなる粉末冶金用結合剤と共に、粉末冶金用鉄粉と混
    合し偏析を防止したものであることを特徴とする粉末冶
    金用偏析防止混合粉末。
  2. 【請求項2】 最大粒径が75μm以下である物性改善
    成分粉末を (2) スチレン:5〜75重量部とブタジエンおよび/ま
    たイソプレン:95〜25重量部をモノマー成分とする
    スチレン系共重合体もしくはその水素化物 よりなる粉末冶金用結合剤と共に、粉末冶金用鉄粉と混
    合し偏析を防止したものであることを特徴とする粉末冶
    金用偏析防止混合粉末。
  3. 【請求項3】 最大粒径が75μm以下である物性改善
    成分粉末を (1) ヨウ素価が15以下で且つ100 °Fにおける粘度が50
    cSt以下の液状脂肪酸、と (2) スチレン:5〜75重量部とブタジエンおよび/ま
    たイソプレン:95〜25重量部をモノマー成分とする
    スチレン系共重合体もしくはその水素化物 とからなる粉末冶金用結合剤と共に、粉末冶金用鉄粉と
    混合し偏析を防止したものであることを特徴とする粉末
    冶金用偏析防止混合粉末。
  4. 【請求項4】 更に他の成分として、黒鉛粉末および/
    または粉末冶金用潤滑剤が配合されたものである請求項
    1〜3のいずれかに記載の偏析防止用混合粉末。
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