JPH0657636B2 - 化合物半導体薄膜形成法 - Google Patents

化合物半導体薄膜形成法

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JPH0657636B2
JPH0657636B2 JP60116228A JP11622885A JPH0657636B2 JP H0657636 B2 JPH0657636 B2 JP H0657636B2 JP 60116228 A JP60116228 A JP 60116228A JP 11622885 A JP11622885 A JP 11622885A JP H0657636 B2 JPH0657636 B2 JP H0657636B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はIII−V族化合物半導体薄膜およびII−VI族化
合物半導体薄膜の形成に関する。
[開示の概要] 本発明はIII−V族およびII−VI族化合物半導体薄膜の
形成において、加熱された基板上にV族あるいはVI族元
素を含む水素化物の微量を水素キャリアガスと共に常時
流しておきながら、水素によってやゝ高い濃度に希釈さ
れた前記水素化物と、水素によって希釈されたIII族あ
るいはII族元素を含む有機金属化合物を交互に基板上に
流し、基板上にV族あるいはVI族元素の単原子層とIII
族あるいはII族元素の単原子層を交互に形成し、もって
III−V族化合物半導体あるいはII−VI族化合物半導体
の薄膜を基板に形成することにより、成長用基板全面に
わたって単原子層の成長速度制御性を持ち、格子欠陥、
不純物の少ない高品質の化合物半導体薄膜、および極限
の急峻性を持つヘテロ構造の成長を可能にする技術を開
示するものである。なお、この概要はあくまでも本発明
の技術内容に迅速にアクセスするためにのみ供されるも
のであって、本発明の技術的範囲および権利解釈に対し
ては何の影響も及ぼさないものである。
[従来の技術] 基板上に化合物半導体薄膜を形成する方法として、有機
金属熱分解成長(MOCVD)法、分子線エピタキシ
(MBE)法、原子層エピタキシ(ALE)法、分子層
エピタキシ(MLE)法が知られている。
有機金属熱分解気相成長法は例えばH.M.Manas
evit他の論文(J.Electrochem.So
c.120(1973),569)に示されている。こ
の方法は、第2図に示すように、有機金属化合物と水素
化物を水素キャリアガスとともに加熱された基板上に輸
送し、熱分解によって基板上に化合物半導体薄膜を形成
する方法である。III−V族化合物半導体であるGaA
aを例にとって説明すると、反応槽3内におかれた加熱
された基板1上に導入されたGaの有機金属化合物であ
るトリメチルガリウム(CHGaおよびAsの水
素化物であるアルシンAsHは、基板近傍に形成され
る速度境界層2中を分解しながら拡散し、完全に分解し
たGa原子およびAs原子が基板表面に付着し、GaA
sの結晶が成長する。境界層より外側ではトリメチルガ
リウム(TAG)はほとんど分解せず、基板表面ではほ
ぼ100%分解しているので、境界層中にはトリメチル
ガリウムの濃度勾配が存在することになる。成長速度
は、近似的にこの濃度勾配に比例するので、境界層の薄
い上流部では成長速度が大きくなり、第3図に示すよう
に成長厚は下流に行くに従い薄くなる。この成長厚の基
板面内不均一が従来の有機金属熱分解気相成長法の最大
の欠点であった。また近年量子井戸構造、超格子構造な
どの極微細構造を持つ半導体デバイスの開発がさかんに
なり、その場合、単原子層の制御性を持つエピタキシャ
ル技術が要求されるようになった。有機金属熱分解気相
成長法は、成長速度が原料供給律速であるので基板面内
の広い領域にわたって単原子層の制御性を要求すること
は不可能に近い。
分子線エピタキシ法は例えばL.L.Chang et
atがJ.Vac.Sci.Technol.Vo
l.10,No.5,pll(1973)に発表している
が、高真空中で原料元素、GaAs結晶の場合にはGa
とAsを加熱して基板上にGaAsとして蒸着させるも
のであり、やはり基板面内の広い範囲にわたって単分子
層の制御を行なうのは困難であった。
原子層エピタキシ法(米国特許4,058,430;1
977年)は分子線エピタキシの改良としてT.Sun
tolaらによって提案されたもので、半導体元素のそ
れぞれをパルス状に交互に供給し、単原子層を基板に交
互に付着させるもので、原子層の精度で膜厚を制御でき
るが、結晶性が良くない。T.Suntolaらはこの
方法による化合物薄膜の形成について、Thin So
lid Films 65(1980),304;Pr
oc.8th Intern.Vacuum Cong
ress(1980)Vol.1,p401;App
l.Phys.Lett.38(1981),131そ
の他多くの論文を発表しているが、形成される化合物の
多くはII−VI族化合物および酸化物であって、III−V
族半導体についてはUSP4,058,430にGaP
の例が紹介されているのみで、GaAs、AlAsなど
についての報告はない。
分子層エピタキシ法は、原子層エピタキシ法を改良する
方法として西沢らによって提案された(電子通信学会技
術研究報告Vol.84.No.127pp73〜78)
ものである。この方法は原料分子の単分子層吸着、化学
反応および反応生成物の脱離を経て成長を進行させる。
第4図に成長機構を説明する概略図を示す。高真空中で
加熱された基板1上にアルシンを導入し、排気すること
によりアルシンの単分子層を形成する(a)。吸着した
アルシンは熱分解しAsの単原子層が形成される
(b)。続いてトリメチルガリウムが導入され、トリメ
チルガリウムは基板上で分解してGaAsの単分子層が
形成される(c),(d)。再び系内が排気され余分の
トリメチルガリウムは除去される。この過程を繰り返す
ことにより単原子層ずつ成長が進行する。しかしこの方
法は成長雰囲気が真空で雰囲気中にAsのない状態が存
在し、成長層からのAs抜けが起こり、As空孔となっ
て不純物の取り込み、As空孔の関与した深い不純物準
位の形成につながる欠点があった。さらにこの方法は、
水素が存在しないので、トリメチルガリウムが分解して
形成されるメチルラジカルは水素によって還元されず、
メチルラジカルの炭素が成長層に取り込まれて炭素アク
セプタになる欠点があった。実際報告例(西沢ら、全掲
論文)では成長層はキャリア濃度1019cm-3台のpタ
イプを示し、メチルラジカルによる成長層の炭素汚染を
裏づけている。さらにこの方法は、一旦トリメチルガリ
ウムを吸着した後、系内を排気するため、トリメチルガ
リウムの脱着が生じて表面被覆率が低下し、1サイクル
毎の成長量は、単分子層成長量である2.83A゜より
も少なくなる欠点があった。
[発明が解決しようとする問題点] このように従来の技術は、それぞれ、成長した化合物の
厚さの面内不均一、単原子層の制御性が悪い、結晶性が
良くない、成長させうる化合物の範囲が狭い、成長した
GaAsにAsの不足が生ずる、炭素アクセプタが混入
する、などの欠点をもっていた。
本発明は、これらの欠点を解決し、適用範囲が広く、成
長用基板全面にわたって単原子層の成長速度制御性を持
ち、格子欠陥、不純物の少ない高品質の化合物半導体薄
膜、および極限の急峻性を持ちヘテロ構造の成長法を提
供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明においては、加熱された基板上にV族あるいはVI
族元素を含む水素化物の微量を水素キャリアガスと共に
常時流しておきながら、水素によってやゝ高い濃度に希
釈された前記水素化物と、水素によって希釈されたIII
族あるいはII族元素を含む有機金属化合物を交互に基板
上に流すことによって、基板上にV族あるいはVI族元素
の単原子層とIII族あるいはII族元素の単原子層を交互
に形成し、もってIII−V族化合物半導体あるいはII−V
I族化合物半導体の薄膜を基板上に形成する。
[作 用] III−V族化合物半導体であるGaAsを例にして本発
明の作用を第1図によって説明する。加熱されたGaA
s基板上に水素キャリアガスによって第1の濃度に希釈
された微量のアルシンを常時流しておく(第1図
(a))。アルシンの量はトリメチルガリウム(TM
G)が到達しても、それと反応してGaAsを形成しな
い程度に希釈されている。次にやゝ濃度をました第2の
希釈濃度のアルシンを水素キャリアガスと共に流すとア
ルシンは基板表面のGa原子に吸着され、熱分解してA
s原子とGa原子は結合し、As単原子層が基板上に形
成される。(第1図(b))。吸着・分解は基板表面が
Asの単原子層で覆われるまで進行する。As単原子層
が形成されると、As原子とアルシンの吸着は弱いの
で、その後輸送されるアルシンは吸着されずに系外へ去
って行く、こゝでやゝ高い濃度のアルシンの流れをと
め、余分のアルシンをパージし(第1図(c))、水素
で希釈されたトリメチルガリウムを流す(第1図
(d))。トリメチルガリウムは基板上のAs単原子層
に強く吸着され、熱分解しGa原子とAs原子は結合し
てAs単原子層上にGa単原子層が形成される。すなわ
ちGaAs単分子層が基板上に形成される。Ga単原子
層が形成された後に到達したトリメチルガリウムはGa
原子との吸着が弱いので系外へ去って行く。Ga単原子
層形成後トリメチルガリウムの流れをとめ、余分のトリ
メチルガリウムをパージし(第1図(a))、その後水
素によってやゝ高い濃度に希釈されたアルシンの流れ、
水素によって希釈されたトリメチルガリウムの流れを繰
り返すことによってGaAs基板上に基板の全面にわた
って均一に1サイクル毎にGaAsの単分子層が成長す
る。本発明の方法においては、常時稀薄なアルシンが流
れているので、形成されたGaAs中からAsが抜ける
ことなく、また常時水素ガスを流しておくので、トリメ
チルガリウムの分解によって生じたメチル基は水素によ
って還元されてメタンとなるので化合物中に溶けこむこ
となく、従って炭素アクセプタの混入もない。なお、こ
の説明では、アルシン→トリメチルガリウムの繰り返し
過程について説明したが、トリメチルガリウム→アルシ
ンの順にしても、最初にGaAs基板表面のAs原子に
トリメチルガリウムが強く吸着され、分解してGa単原
子層を形成する点が異なるだけで、以後の過程及び作用
はアルシン→トリメチルガリウムの繰り返しと全く同様
である。
[実施例] 以下本発明の実施例について詳細に説明する。
実施例1 GaAs基板上にGaAs薄膜を成長させた。基板は単
結晶で成長面は(100)である。V族元素の水素化物
としてアルシンAsHを、III族元素を含む有機金属
化合物としてトリメチルガリウム(CHGaを用
いた。
第5図に本発明に用いる装置の一例の概要を示す。図中
1は基板、3は反応槽、4は基板支持台、5は高周波コ
イルなどによる加熱装置、6は配管、VないしV
バルブある。バルブV、Vを調整し、反応槽には常
時、水素キャリアガスと水素によって希釈された微量の
アルシンAsHを流しておく。バルブV、V、V
、Vを操作して、必要量のアルシンおよびトリメチ
ルガリウム(TMG)を流す。V、Vは後の実施例
で説明するヘテロ構造の化合物半導体、例えばAl
0.5Ga0.5As−GaAs−Al0.5Ga
0.5As薄膜を形成する際にトリメチルアルミニウム
(TMA)を流すためのもので、GaAsのような単一
構造の薄膜形成には必要ない。バルブV、V
、V(V、V)は、制御装置7によって定め
られた時間間隔で原料ガスを導入できるようになってい
る。反応槽は縦型のものを例示したが、横型反応槽を使
用できることは当然である。
まず、水素ガスと共に常時流しておくアルシンについて
説明する。これは形成されたGaAsからのAsぬけを
防止するためのもので、トリメチルガリウム(TMG)
と反応してGaAsを形成しない濃度にしておく。静的
な状態で、基板表面(固相)と気相とは平衡関係にあ
り、ある温度での気相中のAs種の分圧は一義的に決ま
る。しかし実際の成長プロセスは動的な状態であるの
で、その温度でのAs種の平衡解離圧を常に補ってやる
必要がある。As種を補う原料としてのアルシンの熱分
解効率は温度に最も大きく依存する。熱分解効率は厳密
にはアルシンの基板上の滞留時間、すなわち水素流量に
も依存するが、この依存度は小さい。基板の温度を変
え、水素流量を10/分一定とし、アルシンを常時流
しながら、モル分率1×10−4のトリメチルガリウム
を1秒間隔で断続して3600回流した時の、基板上に
成長したGaAsの量のアルシン濃度による変化を調べ
た結果を第6図に示す。成長量は基板のへき開断面を倍
率5万倍の走査電子顕微鏡で観察して測定した。図から
判るように温度が400℃では、AsHモル分率0〜
1×10−4の範囲でGaAsの成長を確認できなかっ
た。温度が上昇するにつれて、GaAsが成長しないア
ルシン濃度は低濃度側へ移行し、500℃では4×10
−5モル分率、550℃では2×10−5モル分率をこ
えるとGaAsが成長する。同じAsHモル分率で比
較しても、温度が上昇するにつれ、成長量は多くなる。
基板温度が550℃をこえるとトリメチルガリウムが分
解して基板上にGaが凝縮する。
以上の結果から、水素キャリアガスと共に常時流すアル
シンの濃度(第1の濃度)は4×10−5モル分率以
下、特に2×10−5モル分率以下が望ましいことが導
かれる。
次に基板上にAs単原子層を形成するための、第2の濃
度に希釈されたアルシンについて説明する。
基板温度450℃、水素流量10/分一定とし、常時
1×10−5モル分率のアルシンを水素キャリアガスと
共に流しておく。そして、アルシンと、モル分率1×1
−4のトリメチルガリウム(TMG)を第7図に示す
ように、1秒間隔で交互に導入する。アルシンの濃度に
かえ、それぞれ3600サイクル繰り返した後、基板上
に形成されたGaAs膜の厚さを測定した。その結果を
第8図に示す。成長量は始めアルシンの濃度と共に増加
するが、濃度が1×10−3モル分率以上で1.02μ
mの一定値になる。この値を1サイクルの値に換算する
と2.83Åとなり、これはGaAsの一分子層の厚さ
に相当する。従って、アルシンの第2の濃度は1×10
−3モル分率以上であることが望まいしい。なお、各サ
イクルにおけるアルシンの導入時間を2秒、3秒、4
秒、5秒と変化させても成長量に変化は見られなかっ
た。
次にGa単原子層を形成するためのトリメチルガリウム
について説明する。
基板温度、水素流量、常時流しておくアルシン濃度は、
前述したアルシンの場合と等しく、それぞれ450℃、
10/分,1×10−5モル分率である。第7図のタ
イムチャートと同じ時間間隔でトリメチルガリウムと1
×10−3モル分率のアルシンを基板上に交互に導入
し、3600サイクル繰り返した後の成長膜厚を測定し
た。成長膜厚は導入するトリメチルガリウムの濃度によ
って第9図のように変化し、1×10−4モル分率以上
の濃度で1.02μmの一定値を保つ。この値は1サイ
クルに換算するとGaAsの単分子層2.83Åに相当
する。なお、各サイクルにおけるトリメチルガリウムの
導入時間を5秒まで伸してみたが、成長量には変化がな
かった。
第5図の装置に示した加熱装置によって成長温度(基板
温度)を変化させ、その成長量への影響を調べた。水素
流量10/分、常時流すアルシンの濃度1×10−5
モル分率、間欠的に流すアルシンの濃度1×10−3
ル分率、トリメチルガリウムの濃度1×10−4モル分
率、それらの各サイクルにおける導入および停止の時間
は第7図のとおり各1秒とした。3600サイクル繰り
返した後の成長量を第10図に示す。成長温度400℃
では成長が確認できず、430℃をこえると成長厚は1
μm近くなり、450℃付近から500℃を僅かにこえ
るあたりまで、1サイクル当りの成長量がGaAsの単
分子層の厚さに相当する。1.02μmを保ち、成長温
度が520℃をこえると成長量は急激に増加する。成長
温度が550℃では単原子層単位の成長をこえる成長量
となり、成長表面は荒れたものになる。したがって望ま
しい成長温度は430〜520℃、特に450〜500
℃である。
これまでの実験においは、As単原子層を成長させるた
めのアルシンの導入と、Ga単原子層を成長させるため
のトリメチルガリウムの導入の間に例えば第7図に示す
ようにそれぞれ1秒ずつの停止時間を置き、その間は水
素キャリアガスと、ごく少量のアルシンを流すようにし
た。これは余分のアルシンまたは余分のトリメチルガリ
ウムを追い出して原料ガスの置換を完全にするためのも
のである。第5図に概要を示した本発明の装置では、1
秒以下で原料ガスの置換が可能である。基板温度450
℃、水素流量10/分、常時流すアルシンの濃度1×
10−5モル分率、As単原子層を形成するためのアル
シンの濃度1×10−3モル分率、トリメチルガリウム
の濃度1×10−4モル分率とし、第7図に示したタイ
ムチャートのt、tを変化させた。t、tはと
もに1秒に固定しt、tを1秒ないし5秒まで変化
させたが、成長量に変化は見られなかった。
第11図は成長面にGaAsの(100)面を用いた成
長温度450℃、水素流量10/分、常時流すアルシ
ンの濃度1×10−5モル分率とし、1×10−3モル
分率のアルシンの1秒導入、1秒停止、1×10−4
ル分率のトリメチルガリウムの1秒導入、1秒停止を1
サイクルとし、3600サイクル繰り返した時のGaA
sの成長厚さを基板の長さ方向に沿って、測った結果で
ある。測定はへき開面の走査電顕観察によった。
成長厚は均一で従来の有機金属熱分解気相成長法で観測
された基板の上流端から下流へ向っての成長厚の減少は
観測されず、基板全面にわたって均一な成長層が得られ
ている。また1サイクルあたりの成長量は2.83Åと
なりGaAsの単分子層成長が実現していることを示し
ている。第12図は第11図に示した例と同一条件での
成長厚のサイクル数依存性を示した図であるが、成長厚
はサイクル数に比例し、この図からも1サイクルあたり
の成長量が2.83Åと見積られ、単原子層の形成によ
る単分子層成長であることを示している。なお、これま
での例では第7図のタイムチャートのように、AsH
導入→停止→TMG導入→停止のサイクルについて述べ
たが、TMG導入から出発しても化合物の成長は成く同
じである。
成長層の電気特性から得られるキャリア濃度はpタイプ
1017cm-3で水素を用いない方法に比べ2ケタ近い純
度の向上が観測された。これはトリメチルガリウムの熱
分解により生成するメチルラジカルが(1)式のように
本発明により導入した水素により還元されてメタンにな
り結晶にとりこまれにくいことを示している。
また、成長層のフォトルミネッセンス強度は、液層エピ
タキシャル成長法で作製した同じキャリア濃度を持つ試
料と比較しても遜色なく、結晶欠陥の少ない良質の成長
層であることを示された。これは成長層からのAs抜け
を防いだ結果によるものである。なおアルシンの第1の
希釈濃度を1×10−6モル分率としてもAs抜けを防
ぐ効果がある。
さらに、トリメチルガリウムのかわりにトリエチルガリ
ウムを用いることにより、成長層の電気的特性はnタイ
プ1014cm-3となり、さらに純度が向上する。トリエ
チルガリウムの場合は の反応によってエチレンが副生し、本質的に炭素が結晶
にとりこまれにくく、メチル系金属化合物を用いる場合
より、さらに高純度の成長層が得られる。
実施例2 GaAs以外のIII−V族化合物半導体薄膜を形成し
た。
原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(CH
lおよびアルシンAsHを用い、AlAs基板(10
0)面上にAlAs薄膜を成長させた。原料ガスの導入
法は第7図の例におけるTMGをトリメチルアルミニウ
ムTMA(濃度1×10−4モル分率)に換えただけ
で、それ以外は濃度、時間ともに同じである。成長温度
450℃で3600サイクル繰り返した後の成長量は
1.02μmで、各サイクル毎にAlAsの単分子層が
形成された。
GaPを形成させるには水素化物としてPH、有機金
属化合物としてトリメチルガリウムを用いればよい。P
の第1の濃度1×10−5モル分率,第2の濃度1
×10−3モル分率,TMGの濃度1×10−4モル分
率とし、第7図と同じ時間間隔でGaP基板(100)
面上に3600サイクル成長させた。成長温度450℃
での成長量は0.98μmであり、やはり各サイクル毎
にGaPの単分子層が形成されている。
トリメチルインジウム(CHIn(濃度1×10
−4モル分率)とSbH(濃度1×10−5及び1×
10−3モル分率)を用い、成長温度450℃で、やは
り第7図と同時間間隔でInSb基板(100)面上に
3600サイクル成長させた。成長量は1.17μm
で、各サイクル毎にInSb単分子層が形成されてい
る。
その他同様にして(CHAlとPHを用いてA
lP薄膜を、(CHAlとSbHを用いてAl
Sb薄膜を、(CHGaとSbHを用いてGa
Sb薄膜を、(CHInとPHを用いてInP
薄膜を、(CHInとAsHを用いてInAs
薄膜を形成することができる。3600サイクル後の成
長厚はAlPで0.98μm、AlSbで1.10μ
m、GaSbで1.10μm、InPで1.06μm、
InAsで1.09μmであった。いずれの場合にも成
長は基板上均一に行われ、V族元素の空孔はなく、炭素
アクセプタも導入されない。
これらの場合、GaAsの場合と同様、有機金属化合物
としてトリエチルガリウム、トリエチルアルミニウム、
トリエチルインジウムを使用すればより高純度の結晶が
得られる。
成長過程の効果、原料ガスの濃度の効果は実施例1の場
合と同様である。
実施例3 本発明はII−VI族化合物半導体にも適用できる。
有機金属化合物としてジメチル亜鉛(CHZn、
水素化物として硫化水素HSを用い、ZnS基板(1
00)面上にZnS薄膜を形成した。成長温度450
℃、水素キャリアガスの流量10/分、常時流すH
Sの濃度1×10−5モル分率、S単原子層を形成する
ためのHSの濃度1×10−3モル分率、(CH
Znの濃度1×10−4モル分率とし、第7図のタイ
ムチャートに示すように1秒間隔で導入、停止を繰り返
した。3600サイクル後の成長厚は0.97μmで、
1サイクル当りの成長厚はZnSの単分子層に相当す
る。
ジメチル亜鉛(CHZnとHSeを使用し、Z
nSe基板(100)面上にZnSe薄膜を形成した。
成長温度450℃、水素流量10/分、常時流すH
Seの濃度1×10−5モル分率、Se単原子層を形成
するためのHSeの濃度1×10−3モル分率、(C
Znの濃度を1×10−4モル分率とし、1秒
間隔で原料ガスの導入、停止を行なった。3600サイ
クル後の成長量は1.02μmて、1サイクル毎にZn
Seの単分子層が形成された。
有機金属としてジメチル水銀(CHHgを、水素
化物としてHSeを使用し、HgSe基板(100)
面上に、ZnSeの場合と全く同様にHgSe薄膜を形
成できる。3600サイクル成長後の成長量は1.10
μmであり、1サイクル毎にHgSeの単分子層が形成
されたことになる。
いずれの場合も成長は基板の全面で均一に行なわれ、VI
族原子の空孔発生、炭素アクセプタの侵入が少なく、高
純度の薄膜が得られる。(CHZn、(CH
Hgのかわりに(CZn、(C
Hgを使用すれば炭素アクセプタの侵入はより少なくな
る。
成長温度の効果、原料ガスの濃度の効果は実施例1の場
合と同様である。
なお、実施例1ないし実施例3においては、基板に単結
晶を使用した例について述べているが、形成する化合物
半導体の種類および用途によっては、多結晶基板を使用
することもできる。
実施例4 第5図に示した装置を用い、原料ガスとしてアルシンA
sH、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルア
ルミニウム(TMA)を使用してAl0.5Ga0.5
As−GaAs−Al0.5Ga0.5Asのヘテロ構
造の化合物半導体薄膜をGaAs基板の(100)面上
に形成した。
形成条件は水素流量10/分、常時流すアルシン濃度
1×10−5モル分率、単原子層を形成するためのアル
シン、TMG、TMAの濃度はそれぞれ1×10−3
ル分率、1×10−4モル分率、1×10−4モル分率
である。この原料ガスを、第13図(a)に示すタイム
チャートのように各1秒間隔のアルシン導入、停止、T
MG導入、停止、TMA導入、停止のサイクルを100
サイクル継続し、次いで同図(b)に示すアルシン導
入、停止、TMG導入、停止のサイクルを10サイクル
を行ない、さらに最初と同じサイクルを100サイクル
繰り返した。
以上の操作により、第14図に示すようなヘテロ構造が
作製され、薄いGaAs層が量子井戸になる。従来のM
BE法、MOCVD法で作製されたこれと同様の量子井
戸構造ではGaAsの量子井戸発光は波長710nm、
半値幅は15〜30meVと論理値より広くヘテロ界面
の凹凸を反映している。
一方、本発明によれば波長710nm、半値幅6meV
とヘテロ界面の1原子層の凹凸から予想される半値幅3
0meVより極端に狭い半値幅を示した。このことか
ら、ヘテロ界面の凹凸はないと判断できる。
またヘテロ界面を電子が走行する2次元電子ガス構造に
おいても、従来の方法では界面の凹凸により電子が散乱
を受け、移動度は論理値よりも低く抑えられていた。し
かし本発明により作製したヘテロ界面においては界面の
凹凸による散乱は皆無であり、2次元電子ガス移動度の
大幅な向上が可能である。
さらに、単原子層の制御性を生かして、例えば第15図
に示すように規則的に原子が配列したAl0.25Ga
0.75Asなどの混晶の作製が可能となる。このよう
に作製した混晶の電気的・光学的特性は従来の同族原子
が統計的にランダムに配列した混晶の特性に比べ一段と
優れた特性を示す。たとえば従来の混晶では、伝導電子
がランダムに配列した原子により作り出されるポテンシ
ャル場により散乱され、移動度が低く抑えられていた
が、規則的に原子が配列した混晶では、ポテンシャル場
が周期的になり、移動度の大幅向上が可能になる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明においては、水素キャリア
ガスとともに微量のV族またはVI族元素を含む水素化物
を基板上に流しながら、水素で希釈されたIII族元素ま
たはII族元素を含む有機金属化合物と、水素で希釈され
たV族またはVI族元素を含む水素化物を交互に基板上に
導入して、基板上にIII族またはII族元素の単原子層と
V族またはVI族元素の単原子層を交互に形成し、III−
V族化合物またはII−VI族化合物半導体を分子層の積み
重ねとして形成する。このように分子層の吸着・熱分解
を常に一定の圧力の下に行なうので、表面被覆率は変化
せず、化合物は基板の全面にわたって均一に成長し、そ
の成長厚は原料ガス導入の1サイクル毎に、形成される
化合物の単分子層の厚さである。また常にアルシンなど
の微量のV族またはVI族元素を含む水素化物を流してお
くので、AsなどのV族またはVI族元素の空孔の発生が
極めて少ない。また常時水素ガスを流しているので、水
素の還元作用により、遊離したメチル基がメタンとなる
ので成長層中に混入せず、炭素アクセプタが減少し、高
純度の成長層が得られる。この点については、有機金属
化合物としてエチル基を有するものを使用すると一層改
善される。
本発明の方法によって形成したヘテロ構造の化合物半導
体はヘテロ界面に凹凸がなく、量子井戸発光は単一量子
準位からの発光なので半値幅が狭いい利点がある。また
ヘテロ界面を電子が走行する際に界面の凹凸による散乱
がない。
さらに本発明によれば規則混晶の作製を容易に行なうこ
とができる。
本発明によれば、基板の広い面積にわたって高純度の化
合物半導体を一様に形成でき、またヘテロ界面が原子的
に平均なヘテロ構造の化合物半導体、規則混晶の化合物
半導体が形成できるので、FETやレーザ素子などへ広
く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の作用を説明する図、 第2図は従来の有機金属熱分解気相成長(MOCVD)
法の作用を説明する図、 第3図はMOCVD法による化合物半導体の成長厚の分
布を示す図、 第4図は従来の分子層エピタキシ(MLE)法の作用を
説明する図、 第5図は本発明に用いる装置の一例の概要を示す図、 第6図は常時流すアルシンの濃度の効果を示す図、 第7図は原料ガス導入の一例としてのタイムチャート
図、 第8図はAs単原子層を形成するアルシンの濃度の効果
を示す図、 第9図はトリメチルガリウムの濃度の効果を示す図、 第10図は成長温度の成長量への影響を示す図、 第11図は本発明方法によって成長させたGaAsの成
長厚さの分布を示す図、 第12図はGaAs成長厚さの原料ガス導入サイクル依
存性を示す図、 第13図はヘテロ構造化合物半導体を形成するための原
料ガス導入の一例としてのタイムチャート図、 第14図は形成されたヘテロ構造を説明する図、 第15図は形成された規則混晶を説明する図である。 1……基板、 2……速度境面層、 3……反応槽、 4……基板支持台、 5……加熱装置、 6……配管、 7……制御装置。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】III族またはII族元素を含む有機金属化合
    物およびV族またはVI族元素を含む水素化物を加熱され
    た基板上に輸送し、熱分解によってIII−V族またはII
    −VI族化合物半導体を基板上に成長させる化合物半導体
    薄膜形成法において、 水素キャリアガスと共に、有機金属化合物と反応してII
    I−V族化合物またはII−VI族化合物を形成しない第1
    の濃度に希釈されたV族またはVI族元素を含む水素化物
    を常時流しながら、 水素によって前記第1の濃度より高い第2の濃度に希釈
    された前記水素化物を前記基板上に導入する過程と、 前記第2の濃度に希釈された水素化物の導入を停止する
    過程と、 水素で希釈されたIII族またはII族元素を含む有機金属
    化合物を前記基板上に導入する過程と、 前記有機金属化合物の導入を停止する過程 を繰り返すことを特徴とする化合物半導体薄膜形成法。
  2. 【請求項2】前記基板の温度が430℃以上520℃以
    下であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    化合物半導体薄膜形成法。
  3. 【請求項3】前記水素化物の第1の濃度が4×10−5
    モル分率以下であることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  4. 【請求項4】前記水素化物の第2の濃度が1×10−3
    モル分率以上であることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  5. 【請求項5】前記有機金属化合物の希釈濃度が1×10
    −4モル分率以上であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の化合物半導体薄膜形成法。
  6. 【請求項6】前記有機金属化合物として、金属元素の異
    なる2種類の有機金属化合物を基板上に導入することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第5項記載の化
    合物半導体薄膜形成法。
  7. 【請求項7】前記有機金属化合物が、エチル基を有する
    有機金属化合物であることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項ないし第6項記載の化合物半導体薄膜形成法。
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