JPH066324A - スペクトラム拡散通信方法 - Google Patents

スペクトラム拡散通信方法

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JPH066324A
JPH066324A JP18618492A JP18618492A JPH066324A JP H066324 A JPH066324 A JP H066324A JP 18618492 A JP18618492 A JP 18618492A JP 18618492 A JP18618492 A JP 18618492A JP H066324 A JPH066324 A JP H066324A
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Katsuyoshi Azeyanagi
功芳 畔柳
Naoki Suehiro
直樹 末広
Toshikatsu Naito
敏勝 内藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 受信機が非常に大きな電力の干渉波を受信し
ても初段増幅器の飽和を防止し、かつ必要に応じてフレ
ーム当たり多値情報を送る高能率伝送の手段を実現する
上で有効なスペクトラム拡散通信方法を提供すること。 【構成】 伝送すべきデータの各ビット値にPN系列を
乗じて送出するスペクトラム拡散通信方法に於いて、周
波数スペクトルの重なりが互いに少なくなるように、短
周期長のPN系列符号ユニットを非反転及び/又は反転
した配列パターンからなるPN配列符号を複数個作り、
その一つ又は複数個を夫々の通信チャネルに割り当て
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は互いに干渉波を除去し、
かつ高能率にデータを伝送することが可能なスペクトラ
ム拡散通信方法に関する。
【0002】
【従来技術】スペクトラム拡散通信方法は伝送すべきデ
ータDで変調された搬送波を比較的広い周波数帯域に拡
散して伝送するため単位周波数当たりの伝送電力が小さ
く、他の通信に対しての妨害を与えることが殆どないの
みならず外部雑音の影響を受けにくい点及び秘匿性に優
れる点等に多くの特徴がある。無線通信路を介してスペ
クトラム拡散通信を行なう方法としては図17に示すも
のが一般的である。即ち、この通信方法では送信機T1
は発振器1で発生した周波数f0の搬送波を第1の乗算
器2よって伝送すべきデータDで変調し、更に第2の乗
算器3によりその変調信号を前記データDの周期長と同
じビット周期長の疑似雑音(以下、PN系列と称す
る)、例えばその中で一般に広く使われているM系列で
乗積変調することによってデータDを含む搬送波をスペ
クトラム拡散した後、無線通信路を介して受信機R1に
送出する。
【0003】一方、受信機R1は前記送信側T1と同一
のM系列符号を発生する系列発生器4を具え、送信機T
1から送致されたスペクトラム拡散信号を図示を省略し
たアンテナを介して増幅器5に導き、所要レベルに増幅
した後、この増幅信号と局部発振器6のローカル信号と
をミキサ7で周波数混合することによってそのスペクト
ラム拡散信号を周波数f0 −fL (以下、中間周波数f
I と称する)の中間周波信号に変換する。又、中間周波
信号は図示を省略したバンドパスフィルタや増幅器を経
た後、乗算器8を使用して前記送信側T1 のM系列と系
列発生器4のM系列との間で相関をとると共に、その相
関信号を中心周波数がfI であって帯域幅が前記データ
Dの伝送速度に基づき設定されたバンドパスフィルタ9
に入力し、その出力信号を検波器10で包絡線検波する
ことによって元の情報データDを復調する。更に、その
復調データは同期検出器11を介して系列発生器4の制
御端子に入力し、送信側T1 及び受信機R1 夫々のM系
列の位相が互いに同期するように系列発生器4のM系列
発生タイミングを制御する。
【0004】しかし、上述のような従来の通信方法では
互いに通信を希望しない二つの通信局A及びB夫々のM
系列相互の相関値をゼロにしたとしても、両通信局が互
いに近距離に位置する場合、各局の送信波は他方局にと
って大電力の干渉波となるため、各受信機R1 の初段増
幅器が飽和して相関復調動作を大きく損なうと云う問題
があった。従来、この問題を解決する方法としては図1
8に示すように、各通信局A乃至Dは共に基地局Eを介
して中継伝送する方式を用い、各局の送信電力を基地局
Eからの距離に対応して制御する電力制御方式が用いら
れていた。即ち、通信局AとB及びCとDとの間で各局
が互いにデータ通信を希望する場合、各局は夫々基地局
Eを介して互いにデータを伝送すると共に、各局夫々の
送信電力及びその指向性を自局と基地局Eとの間の距離
及び位置関係に応じて設定することによって、互いの受
信機初段増幅器の飽和を防止するようにしていた。
【0005】しかしながら、上述のスペクトラム拡散通
信方法では各局のアンテナの指向性が劣りビーム幅を狭
くし得ず、しかも夫々の通信局と基地局との距離に対
し、当該通信局相互間の距離が極めて小さいときは必ず
しも互いの干渉を防止得ない。例えば、図18の例につ
いて説明すれば通信局AとCとの距離がこれ等両局夫々
と基地局Eとの距離よりも著しく小さいため、夫々の送
信波は他方局にとって基地局Eから送信された希望波の
電力よりも非常に大きな干渉波となり、通信局夫々の受
信機の初段増幅器の飽和を防止することができないと云
う問題があった。
【0006】又、このような問題を解決するために周波
数ホッピング(FH)方式を用いて送信電力が非常に大
きい干渉波を除去する手段が提案されているが、干渉波
と希望波とを互いに無相関にすることが可能なホッピン
グパターンを作る方法は知られていない、又FH方式の
出力信号生成用位相制御発振器(PLO)の発振周波数
を高速に切り替えることは、PLOが入力の積分値で動
作するために難しいと云う理由でホッピング速度を高く
することが困難であるから、実用的な通信方法として用
いることができないと云う問題があった。
【0007】
【発明の目的】本発明は上述したような従来のスペクト
ラム拡散通信方法の問題を解決するためになされたもの
であって、受信機が非常に大きな電力の干渉波を受信し
ても初段増幅器の飽和を防止し、かつ必要に応じてフレ
ーム当たり多値情報を送る高能率伝送の手段を実現する
上で有効なスペクトラム拡散通信方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【発明の概要】上述の問題を解決するため、本発明に於
いては以下のように構成する。即ち、伝送すべきデータ
の各ビット値にPN系列を乗じて送出するスペクトラム
拡散通信方法に於いて、周波数スペクトルの重なりが互
いに少なくなるように、PN系列符号ユニットを非反転
及び/又は反転した配列パターンからなるPN配列符号
を複数個作り、その一つ又は複数個を夫々の通信チャネ
ルに割り当てる。更に、上記したようにPN配列符号を
夫々の通信チャネルに割当ると共に、夫々の受信側でそ
のPN配列符号の周波数スペクトルパターンに応じたフ
ィルタを使用して干渉波を除去するように構成する。換
言すれば、本発明は比較的短い周期のM系列を単位と
し、これを複数個並べた系列により拡散されたスペクト
ルが櫛形状に離散したものになることに着目し、このス
ペクトルパターンを各通信チャネルに割り当て、適応制
御すればその占有帯域が互いに重複しないようにシフト
することができ夫々のスペクトル成分を適当なフィルタ
により周波数領域上で分離抑圧することによって受信機
の高周波部での干渉を防止するものである。又は、伝送
すべきデータの各ビット値にPN系列を乗じて送出する
スペクトラム拡散通信方法に於いて、前記伝送すべきデ
ータをそのデータレートの周波数帯域内に制限する手段
を具えることによって、受信側に配備した他の拡散符号
との間の相互相関値をゼロに近付けるように構成する。
或は、PN系列符号発生器と乗算器間、又は前記乗算器
出力側に帯域制限フィルタを挿入することによって、送
信信号を主要スペクトル帯域の範囲内に制限するように
構成する。
【0009】
【実施例】先ず、実施例を説明する前に、本発明の理解
を助けるために交番M系列とその特性について詳細に説
明する。図1(a)は送信すべきデータをBPSK変調
する場合の信号波形を示したもので、データ入力”
1”,”0”に対応してM系列の非反転系列M(+)と
反転系列M(−)を適宜組み合わせて拡散変調する場合
を示したものである。この場合、系列長M0 *=2m −1
(但し、mは任意の正数)の比較的短い小M系列を考
え、これを配列常数N=2n (但し、nは任意の正数)
個並べて、フレーム長がMF=NM0 *となる拡散系列を
作り、これをデータ周期Tに対応させる。図1(b)に
示す配列パターンP0 はこのM0 *(+)(図には+とし
て表示)を8個並べたものである。図1(c)乃至
(e)に示す配列パターンP1 〜P3 は、M0 *(+)と
0 *(−)(図には−として表示)を交互に配列したも
のである。この列に示す+,−の系列は図2に示す8次
アダマール行列、即ち8行8列のアダマール行列中の4
行に当たり。ここでは、P0 〜P3 を基本交番M系列と
呼ぶことにする。
【0010】このような交番M系列のスペクトルの例を
図3に示す。各配列パターンの基本波をfi とすれば、
そのスペクトルはfi の整数倍の高調波からなる。同図
の縦軸は、拡散系列の2値に±0.5Vを対応させたと
きの電圧値である。又、i≠0のパターンは基本波fi
の奇数倍の周波数成分のみ有する。
【0011】ここで、クロック周波数をfc、データ伝
送レートをfdとすると、前記図1の構成から次の関係
が与えられる。 fc=NM0 *d (1) N=2n (2) M0 *=2m −1 (3) これ等から、各配列パターンPiの基本波成分は、 P0 :f0 =Nfd =c0d =fc /M0 *
(4) Pi :fi =Nfd /2i =cifd =fc/(2i
0 *)(i≠0 (5) ci =N/2i (i≠0) (6) 又、各配列パターンPiの高調波成分を表現すると、 P0 :f0k=kf0 [k=1,2,3,…(M0 *
1)] (7) Pi :fik=k0i [k0 =1,3,5,…(2i
−1)M0 *][i=1,2,3,…(NS −1)]
(8) ここに、NS は交番M系列のパターンの種
類の数であり、P0 を含めて NS =(log2 N)+1=n+1 (9) となる。
【0012】従って、交番M系列は前記図3に於いてP
3 を除くとデータ入力との乗算による各線スペクトルの
両側への帯域の拡大(±fd )を考慮し、且つ上述した
ように交番M系列夫々を同一系列のM系列で作成して
も、各パターンのスペクトルは相互に重複することなく
これ等の拡散変調波の相互相関をゼロにすることがで
き、しかもこれ等拡散変調波の周波数夫々を各通信チャ
ネル毎に割当ると共に分離抽出すれば通信チャネル相互
に影響し合う干渉波を抑圧することが可能となり上述し
たような初段増幅器の飽和を防止することができる。本
発明は上述した原理によって干渉信号を除去するもので
あって、以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細
に説明する。
【0013】図4は本発明に係る方法を実施するための
スペクトラム拡散信号の送信機と受信機の一実施例を示
す構成図である。同図に於いてT2 は送信機であって、
周波数f0 の搬送波を発生する発振器12と、後述する
ような系列符号を発生する符号発生器13とを具え、第
1の乗算器14によって伝送すべきデータDで前記搬送
波を変調し、第2の乗算器15によりその変調信号を前
記系列符号で乗積変調することによってデータDを含む
搬送波をスペクトラム拡散した後、無線通信路を介して
受信機R2 に送出するように構成する。
【0014】一方、受信機R2 は周波数fLのローカル
信号を発生する局部発振器16及び前記送信機T2 と同
一の系列符号を発生する符号発生器17を具え、送信機
2から送致されたスペクトラム拡散信号をフィルタ1
8及び増幅器19を介して抽出した信号と前記ローカル
信号とをミキサ20で周波数混合することによってその
スペクトラム拡散信号を周波数fI の中間周波信号に変
換する。又、乗算器21により前記系列符号と中間周波
信号との間で相関をとると共に、その相関信号から前記
データDの伝送速度に基づく帯域幅で、その中心周波数
がfI の信号成分をバンドパスフィルタ22で抽出した
後、その抽出信号を検波器23で包絡線検波し、周波数
I のキャリア成分を除去することによって送信された
情報データDを復調するように構成する。
【0015】ここでは、図5に示すように送信機T2
び受信機R2 を通信局A、B、C及びD夫々が具え、通
信局AとB及び通信局CとDとの間で互いにデータ通信
を行う場合を考え、互いに近距離に配置された通信局A
及びC夫々の送信波が他方の受信機に干渉しないように
するためのスペクトラム拡散通信方法を説明する。
【0016】先ず、通信局A及びBは前記図2に示す8
次アダマール行列の1行目のパターン”+++++++
+”の各記号に応じて、系列長がM0 *=2m −1[ビッ
ト]のM系列MA を非反転させた系列MA + を図6に示
すように前記配列定数N=8個並べた、フレーム長がM
F =8M0 *[ビット]の系列符号PA を符号発生器13
及び17からデータDの各ビット値に応じて発生させ
る。又、通信局A及びB夫々のフィルタ18には図3
(a)に示すように周波数fc1=8fd k(但し、k=
1,2,3,…,M0 *−1)の中心周波数で、帯域幅が
d の周波数成分を抽出可能なものを使用し、系列符号
A でデータDを含む搬送波を拡散したスペクトラム拡
散信号を両局間の通信媒体として使用する。
【0017】一方、通信局C及びDは前記図2に示す8
次アダマール行列の2行目のパターン”+−+−+−+
−”の各記号に応じて、前記M系列MA を非反転させた
系列MA +と反転させた系列MA -とを図7に示すように交
互に前記配列定数N=8個並べた、フレーム長がMF
8M0 *[ビット]の系列符号PB を符号発生器13及び
17からデータDの各ビット値に応じて発生させる。
又、通信局C及びDのフィルタ18には図3(b)に示
すように周波数fc2=8fd /2k0 (但し、k0
=1,3,5,…,M0 *)の中心周波数で、帯域幅がf
d の周波数成分を抽出可能なものを使用し、系列符号P
B でデータDを含む搬送波を拡散したスペクトラム拡散
信号を両局間の通信媒体として使用する。
【0018】このようにすれば、通信局A及びBは夫々
の送信機が系列符号PA で乗積変調したスペクトラム拡
散信号のスペクトルは図3(a)に示すように周波数f
1及びその整数倍の高調波成分となり、各スペクトル
の幅はfd になると共に、夫々のスペクトラム拡散信号
は相手局のフィルタ16を介して初段増幅器に入力され
るから、両局は互いに他局の干渉を受けることなく通信
することができる。同様に通信局C及びDも、夫々の送
信機が系列符号PB で乗積変調したスペクトラム拡散信
号のスペクトルは図3(b)に示すように周波数fc2
及びその奇数倍の高調波成分となり、各スペクトルの幅
はfd になるから、夫々のスペクトラム拡散信号は相手
局のフィルタ18を介して復調され、両局は互いに他局
の干渉を受けることなく通信することができる。更に、
通信局A及びCが夫々送信するスペクトラム拡散信号の
スペクトルは前記図3(a)及び(b)に示すように互
いに重ならず、両局の送信波は夫々他方局のフィルタ1
8で抑圧することができるから、各受信機の初段増幅器
の飽和を防止することができ、両局は夫々の送信波によ
って互いに復調動作を妨げないように目的の通信を行う
ことができる。
【0019】尚、この実施例では二つの通信局の初段増
幅器が飽和する場合の問題を解決する手段を示したが、
本発明はこれに限らず上述の交番M系列の各パターンを
生成する際の前記配列常数N等の定数を変更すれば、ス
ペクトルが重複しない多数のパターンを作成することが
できるから、これ等のパターンに基づく系列符号を通信
局各々に割り当てることによって、任意の複数の通信局
間に於いて同様に相互干渉を抑圧することができる。
又、前記交番M系列は上述したものに限らず、図8に示
すようにN次アダマール行列の各行の非反転系列及び/
又は反転系列をM系列の正負にしたがって配列したもの
を所定の通信局に割り当てても良く、上記効果を得るこ
とができる。
【0020】上述の実施例では、交番M系列を所定の通
信局に割り当てたが、本発明はこれに限らず次のように
種々変形が可能である。図9(a)は他の系列符号の構
成例を示す図であって、1次小M系列M1 *を考え、その
構成要素を0次小M系列M0 *とし、M系列M1 *を配列定
数N個配列すると共に、M系列M1 *の各要素をN次アダ
マール行列に於ける配列パターンの+、−に従って非反
転、反転する。即ち、同図(b)に示すようにM系列M
1 *の各ビット値に応じて、例えばその系列のビット値
が’1’の場合にはM系列M0 *を非反転させた系列M0
*+ を、又前記ビット値が’0’の場合にはM系列M0 *
を反転させた系列M0 *- をM系列M1 *の系列長分並べた
系列MB を生成すると共に、配列定数N=2n を次数と
したアダマール行列の各行のパターン毎に、前記系列M
Bを非反転させた系列MB +及び反転させたMB -を配列定
数N=2n 個並べる如く系列符号PB1,PB2,PB3,…
を構成する。この系列を系列組み合わせ態様から再拡散
形P(MMN)と呼ぶことにする。この手段によれば多
数の系列を構成する上で有効である。
【0021】又、図10(a)は、上記P(MMN)系
列の組み合わせ順を転置した例を示したもので、同様に
再拡散形P(MNM)系列と称す。即ち、このP(MN
M)系列は図10(b)に示すように配列定数N=2n
を次数としたアダマール行列の各行のパターン毎に各パ
ターンに応じて、0次M系列M0 *を非反転させた系列M
0 *+ 及び反転させた系列M0 *- を前記配列定数N個並べ
た系列Mc1,Mc2,Mc3,…を生成すると共に、それ等
系列Mc1,Mc2,Mc3,…毎に、1次M系列M 1 *の各ビ
ット値に応じて、非反転させた系列及び反転させた系列
を1次M系列M1 *の系列長分並べる如く系列符号Pc1
c2,Pc3,…を構成したもので、この手法も多数の系
列を構成する上で有効である。
【0022】尚、前記配列パターンP1 及びP2に相当
する再拡散形P(MMN)系列及びP(MNM)系列の
スペクトルの一部はM0 *=M1 *=7、N=8とした場
合、夫々図11(a)乃至(d)に示される。P(MM
N)系列は前述の基本交番M系列と本質的に同じ様相を
示し、式(4)〜(8)が成り立つ(但し、M0 *をM0 *
1 *に置換する必要がある)。一方、P(MNM)系列
は前記基本交番M系列の線スペクトルを中心とし、その
周りに1次M系列M1 *による側帯波の線スペクトルが±
1 *d の範囲に亘って配置され、例えばP1 (MN
M)ではM0 *Nfd/2=28fd とそのk0 倍の周り
に、±7fd の範囲に亘って線スペクトルが拡がる。
又、ここで示した再拡散形系列は上述したようなP(M
MN)系列及びP(MNM)系列に限らず、M系列又は
N次アダマール行列の各行を基本とし、その非反転及び
/又は反転系列を他のM系列又はN次アダマール行列の
各行の正負にしたがって配列することを繰り返して構成
した系列であれば良い。
【0023】上述の各実施例では各通信局に於いて使用
する系列符号として配列常数N=2n 個のM系列を並べ
たものを考えたが、本発明はこれに限らず並べるべきM
系列の数Nは、α1 ,α2 ,α3 ,…αp を夫々任意の
素数とした場合、次式 N=2n ・α1 ・α2 ・α3 …αp (10) に表されるように少なくとも1つの素数と2の冪乗との
積で算出した数としても良い。この際、1フレーム中の
中でM0 *の交番パターンが完結するためには前記式(1
0)を次式、 ci =N/ui (i=0,1,2,…) (11) に(ここで、ci はサイクルの数/フレームを、ui
0 *のユニット数/サイクルを表す)置き換えて、これ
を満たすような式(10)の値を選定する。
【0024】この例に於いて系列符号を形成する各M系
列を非反転又は反転させるパターンは、例えば前記Nを
23と素数3との積、即ちN=24とし、M系列の非反
転及び反転を夫々記号+及び−で表した場合、上記条件
を満たす配列としては図12(a)に示すようにその
+、−の交番パターンを定めれば、そのパターンは系列
符号の1フレーム長に於いて完結させることができる。
このようにして生成した系列符号はその態様から公倍数
形と称し、各系列符号のスペクトルは上述した系列符号
と同様にそのM系列の非反転及び反転のパターンに基づ
いて互いに重ならないようにすることができる。図12
(b)はこの例に於ける各パターンの線スペクトルを表
し、この場合はN=2n の場合と異なり配列パターン相
互間に於いて若干周波数成分が重複するが、重複点は次
式 ci0 =cj0 ′ (k0 ,k0 ′:奇数) (1
2) を満たす場合であって、その重複点は非常に少ないか
ら、この例に於ける配列パターンは配列常数N=2n
場合と比較しても実用上問題なく、又この配列パターン
の種類NS はci が正数になる場合をci =1とすれば
次式 NS =Σci [ci =正数](13) のように表せる。
【0025】又、上述の交番M系列、再拡散形系列に於
いてもスペクトルが一部重なる場合があるが、それ等に
ついても重なる度合いが少なければ同様に実用上問題な
く本発明の効果が得られる。即ち、各通信局に周波数ス
ペクトルが互いに重ならない系列符号、換言するならば
周波数スペクトルに於ける相関値が互いにゼロの系列符
号を割り当てる場合が本発明の効果は大きいが、本発明
はこれに限らず相互の周波数スペクトルに於ける相関値
が小さければ初段増幅器の飽和を防止するには充分であ
る。
【0026】更に、上述した交番M系列は図2の配列パ
ターンのみを用いる場合、このパターンの種類もアドレ
ス空間に利用すると考えた際の総アドレス容量NA *及び
BPSK方式の総アドレス容量NA はH(M0 *)をM系
列長がM0 *の場合の利用可能な系列数を求める関数とす
れば次式 NA *=NS ・H(M0 *) (14) NA =H(NM0 *) (15) のように表される。ここで、H(NM0 *)の値は一般に
NM0 *≠2m −1であって、近傍の2個のM系列、ME1
とME2を選びH(ME1)とH(ME2)の比例配分値を近
似値とする。
【0027】この両式から、アドレス効率ηを次式 η=NA */NA (16) のように定義し、横軸にlog2 (NB :ビット数/フ
レーム)をとった場合の交番M系列のアドレス効率ηは
シュミレーションを行った結果、図13の実線のように
表される。この図から明らかなように交番M系列はNと
して比較的小さい値を用いるとη>1となり、BPSK
よりも配列パターン数を増加する観点で有利となる。
又、実用的観点から配列パターン数を増加させるために
Nを大きくするとアドレス効率は周期的に増減し、夫々
最大アドレス効率がサイクリックに現われることが理解
できよう。
【0028】同様に、図13には他の系列、即ち上述し
た公倍数形系列、再拡散形P(MMN)系列及びP(M
NM)系列に対するアドレス効率ηのシュミレーション
の結果を夫々点線、一点鎖線及び二点鎖線にて示した
が、夫々固有の特徴をもち、又Nの増加に対し効率最大
値が周期的に現われる傾向にあること上記基本交番M系
列と同様である。
【0029】上述の実施例では、周波数スペクトルが互
いに重ならない系列符号を予め各通信局に割り当てた
が、本発明はこれに限らず、初段増幅器が他の通信局の
送信波の影響を受けて不都合を生じた場合にその送信波
の周波数スペクトルを分析し、その周波数スペクトルに
重ならないスペクトルの送信波を生成するのに必要な系
列符号に変更すると共に、初段増幅器の前段に設けたフ
ィルタの特性を変更後のスペクトル成分のみを通過可能
なように変更する。尚、通信途中に系列符号を変更する
には相手局にもその旨を伝える必要があるが、その手段
としては低速度制御情報を極めて長いM系列を用いて伝
送する方法、或はFH方法等の活用が考えられる。
【0030】或は、本発明は上述したように複数の通信
局が互いに基地局を介して通信を行う方式に於いても、
初段増幅器が他の通信局の送信波の影響を受けて不都合
を生じる場合は上述したように周波数スペクトルに於け
る相関値が小さい所要数の系列符号を当該通信局夫々に
割当ると共に、各通信局は自局に割り当てられた系列符
号のスペクトルのみを通過可能なフィルタを初段増幅器
の前段に設けるようにすれば適用可能であることは自明
であろう。尚、上述の実施例では互いに周波数スペクト
ルが重なりが少ない系列符号で初段増幅器の飽和問題を
解決する手段を述べたが、本発明はこのような目的のみ
ならず、以下述べるような目的を達成することができ
る。
【0031】即ち、上述したようなM系列符号及び伝送
すべきデータは矩形波で構成するのが一般的である。こ
のため、矩形波の高調波成分の影響で、スペクトラム拡
散信号は不要な信号成分が多数生じ、しかもこの不要な
信号成分と本来のスペクトラム拡散信号成分の周波数は
非常に接近し、或は混在するため、両者を区別すること
は非常に困難である。従って、複数のスペクトラム拡散
信号相互の相関値をゼロにすることは事実上不可能であ
る。
【0032】この問題を解決するため、本発明では図1
4に示すように送信側に於いて上述したような系列符号
に基づく周波数成分のみを通過可能なフィルタをスペク
トラム拡散用乗算器の後段に設ける。このようにすれ
ば、前記フィルタによって上述したような不要な信号成
分を除去することができるから、複数のスペクトラム拡
散信号相互の相関値をゼロに近付けることができ、S/
Nを向上する上で有効である。
【0033】同様の効果を得るには、前記フィルタをス
ペクトラム拡散用乗算器の前段に設けるか、或は伝送す
べきデータの高調波成分除去用フィルタ、即ちデータを
そのデータレートの周波数帯域内に制限するためのフィ
ルタを設けても良く、ここで述べたフィルタは適宜組み
合わせても良いことは自明であろう。更に、ここで示し
た効果を得る手段はこれに限らず、例えば図15に示す
ように前記不要な信号成分を除去したスペクトラム拡散
信号をメモリに記憶し、伝送すべきデータ値及びPN配
列符号の種類から前記メモリの所定アドレスを論理回路
で求めて、前記メモリから所要のスペクトラム拡散信号
を読み出すようにしても良い。
【0034】又、上述の実施例では、周波数スペクトル
の重なりが少ない系列符号を各通信チャネルに割り当
て、初段増幅器の飽和問題を解決したが、その問題がな
い場合、本発明は前記図13のシュミレーション結果か
らも明らかなように、アドレス効率ηを1以上にするこ
とができるから、従来のスペクトラム拡散通信方法と比
較して通信チャネルのアドレス空間を増やす上で有効で
ある。更に、例えば上述した配列パターンP2とP4
は、両者の周波数スペクトルが互いに重なり合うため、
上述の実施例では初段増幅器の飽和問題の防止策に使用
しなかったが、その問題がない場合、両配列パターンは
互いに位相が直交することによって相互の相関値が小さ
いから、このような系列符号を通信チャネルに割り当
て、送受信間に於いて系列符号のビット同期を行えば、
アドレス空間を更に増大する上で有効であろう。
【0035】上述の実施例では相互相関値が小さい各系
列符号と各通信チャネルとを互いに対応させたが、本発
明はこれに限らず、伝送すべきデータを表す複数の異な
る各値と各系列符号とを互いに対応させて、多値データ
伝送手段に利用しても良く、この場合、単位時間当たり
に伝送可能な通信量を増やすことができる。又、ここで
使用するPN配列符号のパターン数をNとした場合、実
効帯域減少率βは次式 β=(log2 2N)-1 (17) で表され、パターン数Nは上述したように増やすことが
できるから、減少率βは小さくすることができ、通信路
の周波数帯域を有効利用する上で、都合が良いであろ
う。
【0036】更に、本発明は互いに周波数が重ならない
複数の系列符号を使用して同一データを伝送すれば、周
波数ダイバーシィティ通信方式として利用することがで
き、耐フェージング特性を向上する上で有効であろう。
又、本発明は上述したように相関値が小さい複数のPN
配列符号を使用して同一データを伝送する際にCRC符
号をデータに付加し、受信側に於いて送られたCRC符
号の結果から、良好な受信信号を復調するようにすれ
ば、通信の誤り率を改善する上で都合が良いであろう。
更に、本発明は伝送すべきデータを複数に分割し、それ
等各データ毎に、相関値が小さい各PN配列符号を使用
して通信を行うようにすれば、通信速度を向上する上で
有効であろう。又、この場合分割した各データには畳み
込み符号を誤り訂正検出又は訂正を行うようにしても良
いことは自明であろう。
【0037】上述の実施例では本発明を無線通信に利用
したが、本発明はこれに限らず有線通信に利用できるこ
とは自明であろう。又、図16に示すように複数の通信
局が互いに有線通信路を介してスペクトラム拡散通信を
行う従来の手段では、各通信局の受信機は有線通信路の
伝送特性に起因して悪化する伝送信号を等化器を用いて
S/Nを改善する場合がある。しかし、所定の周波数領
域に於いて減衰した伝送信号を等化器で増幅した場合、
雑音も一緒に増幅してしまうため、S/Nの改善には限
界があった。これに対して、本発明は上述したようにス
ペクトラム拡散信号の周波数パターンを所定の周波数に
集中させることができるから、伝送特性が劣悪な周波数
領域を避けた周波数パターンのスペクトラム拡散信号を
使用するように、系列符号を設定すれば、各通信局は復
調を希望する信号成分と不要な雑音成分とを分けること
ができ、多くの雑音成分のみをフィルタで抑圧できるた
め、従来の手段と比較してS/Nを改善する上で有効で
あろう。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、周波数ス
ペクトルに於ける相関値が小さい所要数の系列符号を互
いに通信を希望しない通信局夫々に割当ると共に、これ
等の各通信局の初段増幅器の前段には自局に割り当てら
れた系列符号のスペクトルのみ通過可能なフィルタを設
けて、通信を希望しない局から送出された大電力のスペ
クトラム拡散信号を抑圧するようにしたから、そのスペ
クトラム拡散信号に起因する初段増幅器の飽和を防止す
ることができ、円滑な通信を行うことが可能なスペクト
ラム拡散通信方法を提供する上で著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る交番M系列を説明するための図。
【図2】8次アダマール行列の配列パターンを示す図。
【図3】交番M系列のスペクトルを示す特性図。
【図4】本発明の一実施例を示す構成図。
【図5】本発明の一実施例を説明するための図。
【図6】本発明の一実施例で使用する系列符号PA を示
す図。
【図7】本発明の一実施例で使用する系列符号PB を示
す図。
【図8】本発明に係る他の交番M系列を説明するための
図。
【図9】本発明に係る他の系列符号(再拡散形P(MM
N)系列)の構成例を示す図。
【図10】本発明に係る他の系列符号(再拡散形P(M
NM)系列)の構成例を示す図。
【図11】再拡散形P(MMN)系列及びP(MNM)
系列のスペクトルを示す特性図。
【図12】本発明に係る他の系列符号(公倍数形系列)
の構成例を示す図及びそのスペクトルを示す図。
【図13】本発明に係る系列符号夫々のアドレス効率η
を示す特性図。
【図14】本発明の他の実施例を示す構成図。
【図15】本発明の他の実施例を示す構成図。
【図16】本発明の他の実施例を示す構成図。
【図17】従来のスペクトラム拡散通信方法に於ける送
信機及び受信機の構成図。
【図18】従来のスペクトラム拡散通信方法を説明する
ための図。
【符号の説明】
2 送信機、 R2 受信機、 12 発振器、 1
3及び17 符号発生器、 14、15及び21 乗算
器、 16 局部発振器、 18 フィルタ、19 増
幅器、 20 ミキサ、 22 バンドパスフィルタ、
23 検波器。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 スペクトラム拡散通信方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は互いに干渉波を除去し、
かつ高能率にデータを伝送することが可能なスペクトラ
ム拡散通信方法に関する。
【0002】
【従来技術】スペクトラム拡散通信方法は伝送すべきデ
ータDで変調された搬送波を比較的広い周波数帯域に拡
散して伝送するため単位周波数当たりの伝送電力が小さ
く、他の通信に対しての妨害を与えることが殆どないの
みならず外部雑音の影響を受けにくい点及び秘匿性に優
れる点等に多くの特徴がある。無線通信路を介してスペ
クトラム拡散通信を行なう方法としては図17に示すも
のが一般的である。即ち、この通信方法では送信機T1
は第1の乗算器2よって伝送すべきデータDをそのデー
タDの周期長と同じビット周期長の疑似雑音(以下、P
N系列と称する)、例えばその中で一般に広く使われて
いるM系列で乗積変調し、更に第2の乗算器3によりそ
の変調信号が発振器1で発生した周波数f0 の搬送波を
変調することによってデータDを含む搬送波をスペクト
ラム拡散した後、無線通信路を介して受信機R1 に送出
する。
【0003】一方、受信機R1 は前記送信側T1 と同一
のM系列符号を発生する系列発生器4を具え、送信機T
1 から送致されたスペクトラム拡散信号を図示を省略し
たアンテナを介して増幅器5に導き、所要レベルに増幅
した後、この増幅信号と局部発振器6のローカル信号f
L(≒f0 ) とをミキサ7で周波数混合した信号をローパ
スフィルタを経てとり出すことにより入来スペクトラム
拡散信号をベースバンド帯域の拡散信号に復調する。こ
のベースバンド帯域拡散信号を乗算器8に加え、ここで
前記送信側T1 のM系列と系列発生器4のM系列との間
で相関をとり、この相関出力を積分器でM系列の1フレ
ーム分の期間積分を行い、この積分出力信号を検波器1
0で前記フレームの終了時点で検波することによって元
の情報データDを復調する。更に、その復調データは同
期検出器11を介して系列発生器4の制御端子に入力
し、送信側T1 及び受信機R1 夫々のM系列の位相が互
いに同期するように系列発生器4のM系列発生タイミン
グを制御する。
【0004】しかし、上述のような従来の通信方法では
互いに通信を希望しない二つの通信局A及びB夫々のM
系列相互の相関値をゼロに近づけたとしても、両通信局
が互いに近距離に位置する場合、各局の送信波は他方局
にとって大電力の干渉波となるため、各受信機R1 の初
段増幅器が飽和して相関復調動作を大きく損なうと云う
問題があった。従来、この問題を解決する方法としては
図18に示すように、各通信局A乃至Dは共に基地局E
を介して中継伝送する方式を用い、各局の送信電力を基
地局Eからの距離に対応して制御する電力制御方式が用
いられていた。即ち、通信局AとB及びCとDとの間で
各局が互いにデータ通信を希望する場合、各局は夫々基
地局Eを介して互いにデータを伝送すると共に、各局夫
々の送信電力及びその指向性を自局と基地局Eとの間の
距離及び位置関係に応じて設定することによって、互い
の受信機初段増幅器の飽和を防止するようにしていた。
【0005】しかしながら、上述のスペクトラム拡散通
信方法では各局のアンテナの指向性が劣りビーム幅を狭
くし得ず、しかも夫々の通信局と基地局との距離に対
し、当該通信局相互間の距離が極めて小さいときは必ず
しも互いの干渉を防止得ない。例えば、図18の例につ
いて説明すれば通信局AとCとの距離がこれ等両局夫々
と基地局Eとの距離よりも著しく小さいため、夫々の送
信波は他方局にとって基地局Eから送信された希望波の
電力よりも非常に大きな干渉波となり、通信局夫々の受
信機の初段増幅器の飽和を防止することができないと云
う問題があった。
【0006】又、このような問題を解決するために周波
数ホッピング(FH)方式を用いて送信電力が非常に大
きい干渉波を除去する手段が提案されているが、干渉波
と希望波とを互いに無相関にすることが可能なホッピン
グパターンを作る方法は知られていない、又FH方式の
出力信号生成用位相制御発振器(PLO)の発振周波数
を高速に切り替えることは、PLOが入力の積分値で動
作するために難しいと云う理由でホッピング速度を高く
することが困難であるから、実用的な通信方法として用
いることができないと云う問題があった。
【0007】
【発明の目的】本発明は上述したような従来のスペクト
ラム拡散通信方法の問題を解決するためになされたもの
であって、受信機が非常に大きな電力の干渉波を受信し
ても初段増幅器の飽和を防止し、かつ必要に応じてフレ
ーム当たり多値情報を送る高能率伝送の手段を実現する
上で有効なスペクトラム拡散通信方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【発明の概要】上述の問題を解決するため、本発明に於
いては以下のように構成する。即ち、伝送すべきデータ
の各ビット値にPN系列を乗じて送出するスペクトラム
拡散通信方法に於いて、周波数スペクトルの重なりが互
いに少なくなるように、PN系列符号ユニットを非反転
及び/又は反転した配列パターンからなるPN配列符号
を複数個作り、その一つ又は複数個を夫々の通信チャネ
ルに割り当てる。更に、上記したようにPN配列符号を
夫々の通信チャネルに割当ると共に、夫々の受信側でそ
のPN配列符号の周波数スペクトルパターンに応じたフ
ィルタを使用して干渉波を除去するように構成する。換
言すれば、本発明は比較的短い周期のM系列を単位と
し、これを複数個並べた系列により拡散されたスペクト
ルが櫛形状に離散したものになることに着目し、このス
ペクトルパターンを各通信チャネルに割り当て、適応制
御すればその占有帯域が互いに重複しないようにシフト
することができ夫々のスペクトル成分を適当なフィルタ
により周波数領域上で分離抑圧することによって受信機
の高周波部での干渉を防止するものである。又は、伝送
すべきデータの各ビット値にPN系列を乗じて送出する
スペクトラム拡散通信方法に於いて、前記伝送すべきデ
ータをそのデータレートの周波数帯域内に制限する手段
を具えることによって、受信側に配備した他の拡散符号
との間の相互相関値をゼロに近付けるように構成する。
或は、PN系列符号発生器と乗算器間、又は前記乗算器
出力側に帯域制限フィルタを挿入することによって、送
信信号を主要スペクトル帯域の範囲内に制限するように
構成する。
【0009】
【実施例】先ず、実施例を説明する前に、本発明の理解
を助けるために交番M系列とその特性について詳細に説
明する。図1(a)は送信すべきデータをBPSK変調
する場合の信号波形を示したもので、データ入力”
1”,”0”に対応してM系列の非反転系列M(+)と
反転系列M(−)を適宜組み合わせて拡散変調する場合
を示したものである。この場合、系列長M0 *=2m −1
(但し、mは任意の正の整数)の比較的短い小M系列を
考え、これを配列常数N=2n (但し、nは任意の正の
整数)個並べて、フレーム長がMF=NM0 *となる拡散
系列を作り、これをデータ周期Tに対応させる。図1
(b)に示す配列パターンP0 はこのM0 *(+)(図に
は+として表示)を8個並べたものである。図1(c)
乃至(e)に示す配列パターンP1 〜P3は、M
0 *(+)とM0 *(−)(図には−として表示)を交互に
配列したものである。この列に示す+,−の系列は図2
に示す8次アダマール行列、即ち8行8列のアダマール
行列中の4行に当たり。ここでは、P0 〜P3 を基本交
番M系列と呼ぶことにする。
【0010】このような交番M系列のスペクトルの例を
図3に示す。各配列パターンの基本波をfi とすれば、
そのスペクトルはfi の整数倍の高調波からなる。同図
の縦軸は、拡散系列の2値に±0.5Vを対応させたと
きの電圧値である。又、i≠0のパターンは基本波fi
の奇数倍の周波数成分のみ有する。
【0011】ここで、クロック周波数をfc、データ伝
送レートをfdとすると、前記図1の構成から次の関係
が与えられる。 fc=NM0 *d (1) N=2n (2) M0 *=2m −1 (3) これ等から、各配列パターンPiの基本波成分は、 P0 :f0 =Nfd =c0d =fc /M0 *
(4) Pi :fi =Nfd /2i =cifd =fc/(2i
0 *)(i≠0 (5) ci =N/2i (i≠0) (6) 又、各配列パターンPiの高調波成分を表現すると、 P0 :f0k=kf0 [k=1,2,3,…(M0 *
1)] (7) Pi :fik=k0i [k0 =1,3,5,…(2i
−1)M0 *][i=1,2,3,…(NS −1)]
(8) ここに、NS は交番M系列のパターンの種
類の数であり、P0 を含めて NS =(log2 N)+1=n+1 (9) となる。
【0012】従って、交番M系列は前記図3に於いてP
3 を除くとデータ入力との乗算による各線スペクトルの
両側への帯域の拡大(±fd )を考慮し、且つ上述した
ように交番M系列夫々を同一系列のM系列で作成して
も、各パターンのスペクトルは相互に重複することなく
これ等の拡散変調波の相互相関をゼロにすることがで
き、しかもこれ等拡散変調波の周波数夫々を各通信チャ
ネル毎に割当ると共に分離抽出すれば通信チャネル相互
に影響し合う干渉波を抑圧することが可能となり上述し
たような初段増幅器の飽和を防止することができる。
本発明は上述した原理によって干渉信号を除去するもの
であって、以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳
細に説明する。
【0013】図4は本発明に係る方法を実施するための
スペクトラム拡散信号の送信機と受信機の一実施例を示
す構成図である。同図に於いてT2 は送信機であって、
周波数f0 の搬送波を発生する発振器12と、後述する
ような系列符号を発生する符号発生器13とを具え、第
1の乗算器14によって伝送すべきデータDで前記系列
符号を変調し、第2の乗算器15によりその変調信号で
前記搬送波を乗積変調することによってデータDを含む
搬送波をスペクトラム拡散した後、無線通信路を介して
受信機R2 に送出するように構成する。
【0014】一方、受信機R2 は周波数fL のローカル
信号を発生する局部発振器16及び前記送信機T2 と同
一の系列符号を発生する符号発生器17を具え、送信機
2から送致されたスペクトラム拡散信号をフィルタ1
8及び増幅器19を介して抽出した信号と前記ローカル
信号fL(≒f0) とをミキサ20で周波数混合し、これを
LPFに通すことによってその入来スペクトラム拡散信
号をベースバンド帯域の拡散信号に変換する。又、乗算
器21により前記系列符号とベースバンド帯域の拡散信
号との間で相関をとり、その相関信号を積分器で積分し
た出力信号を検波器23でM系列のフレームの最終時点
で検波し、送信された情報データDを復調するように構
成する。
【0015】ここでは、図5に示すように送信機T2
び受信機R2 を通信局A、B、C及びD夫々が具え、通
信局AとB及び通信局CとDとの間で互いにデータ通信
を行う場合を考え、互いに近距離に配置された通信局A
及びC夫々の送信波が他方の受信機に干渉しないように
するためのスペクトラム拡散通信方法を説明する。
【0016】先ず、通信局A及びBは前記図2に示す8
次アダマール行列の1行目のパターン”+++++++
+”の各記号に応じて、系列長がM0 *=2m −1[ビッ
ト]のM系列MA を非反転させた系列MA + を図6に示
すように前記配列定数N=8個並べた、フレーム長がM
F =8M0 *[ビット]の系列符号PA を符号発生器13
及び17からデータDの各ビット値に応じて発生させ
る。又、通信局A及びB夫々のフィルタ18には図3
(a)に示すように周波数fc1=8fd k(但し、k=
1,2,3,…,M0 *−1)の中心周波数で、帯域幅が
d の周波数成分を抽出可能なものを使用し、系列符号
A でデータDを含む搬送波を拡散したスペクトラム拡
散信号を両局間の通信媒体として使用する。
【0017】一方、通信局C及びDは前記図2に示す8
次アダマール行列の2行目のパターン”+−+−+−+
−”の各記号に応じて、前記M系列MA を非反転させた
系列MA +と反転させた系列MA -とを図7に示すように交
互に前記配列定数N=8個並べた、フレーム長がMF
8M0 *[ビット]の系列符号PB を符号発生器13及び
17からデータDの各ビット値に応じて発生させる。
又、通信局C及びDのフィルタ18には図3(b)に示
すように周波数fc2=8fd /2k0 (但し、k0
=1,3,5,…,M0 *)の中心周波数で、帯域幅がf
d の周波数成分を抽出可能なものを使用し、系列符号P
B でデータDを含む搬送波を拡散したスペクトラム拡散
信号を両局間の通信媒体として使用する。
【0018】このようにすれば、通信局A及びBは夫々
の送信機が系列符号PA で乗積変調したスペクトラム拡
散信号のスペクトルは図3(a)に示すように周波数f
1及びその整数倍の高調波成分となり、各スペクトル
の幅はfd になると共に、夫々のスペクトラム拡散信号
は相手局のフィルタ16を介して初段増幅器に入力され
るから、両局は互いに他局の干渉を受けることなく通信
することができる。同様に通信局C及びDも、夫々の送
信機が系列符号PB で乗積変調したスペクトラム拡散信
号のスペクトルは図3(b)に示すように周波数fc2
及びその奇数倍の高調波成分となり、各スペクトルの幅
はfd になるから、夫々のスペクトラム拡散信号は相手
局のフィルタ18を介して復調され、両局は互いに他局
の干渉を受けることなく通信することができる。更に、
通信局A及びCが夫々送信するスペクトラム拡散信号の
スペクトルは前記図3(a)及び(b)に示すように互
いに重ならず、両局の送信波は夫々他方局のフィルタ1
8で抑圧することができるから、各受信機の初段増幅器
の飽和を防止することができ、両局は夫々の送信波によ
って互いに復調動作を妨げないように目的の通信を行う
ことができる。
【0019】尚、この実施例では二つの通信局の初段増
幅器が飽和する場合の問題を解決する手段を示したが、
本発明はこれに限らず上述の交番M系列の各パターンを
生成する際の前記配列常数N等の定数を変更すれば、ス
ペクトルが重複しない多数のパターンを作成することが
できるから、これ等のパターンに基づく系列符号を通信
局各々に割り当てることによって、任意の複数の通信局
間に於いて同様に相互干渉を抑圧することができる。
又、前記交番M系列は上述したものに限らず、図8に示
すようにN次アダマール行列の各行の非反転系列及び/
又は反転系列をM系列の正負にしたがって配列したもの
を所定の通信局に割り当てても良く、上記効果を得るこ
とができる。
【0020】上述の実施例では、交番M系列を所定の通
信局に割り当てたが、本発明はこれに限らず次のように
種々変形が可能である。図9(a)は他の系列符号の構
成例を示す図であって、1次小M系列M1 *を考え、その
構成要素を0次小M系列M0 *とし、M系列M1 *を配列定
数N個配列すると共に、M系列M1 *の各要素をN次アダ
マール行列に於ける配列パターンの+、−に従って非反
転、反転する。即ち、同図(b)に示すようにM系列M
1 *の各ビット値に応じて、例えばその系列のビット値
が’1’の場合にはM系列M0 *を非反転させた系列M0
*+ を、又前記ビット値が’0’の場合にはM系列M0 *
を反転させた系列M0 *- をM系列M1 *の系列長分並べた
系列MB を生成すると共に、配列定数N=2n を次数と
したアダマール行列の各行のパターン毎に、前記系列M
B を非反転させた系列MB +及び反転させたMB -を配列定
数N=2n 個並べる如く系列符号PB1,PB2,PB3,…
を構成する。この系列を系列組み合わせ態様から再拡散
形P(MMN)と呼ぶことにする。この手段によれば多
数の系列を構成する上で有効である。
【0021】又、図10(a)は、上記P(MMN)系
列の組み合わせ順を転置した例を示したもので、同様に
再拡散形P(MNM)系列と称す。即ち、このP(MN
M)系列は図10(b)に示すように配列定数N=2n
を次数としたアダマール行列の各行のパターン毎に各パ
ターンに応じて、0次M系列M0 *を非反転させた系列M
0 *+ 及び反転させた系列M0 *- を前記配列定数N個並べ
た系列Mc1,Mc2,Mc3,…を生成すると共に、それ等
系列Mc1,Mc2,Mc3,…毎に、1次M系列M1 *の各ビ
ット値に応じて、非反転させた系列及び反転させた系列
を1次M系列M1 *の系列長分並べる如く系列符号Pc1
c2,Pc3,…を構成したもので、この手法も多数の系
列を構成する上で有効である。
【0022】尚、前記配列パターンP1 及びP2に相当
する再拡散形P(MMN)系列及びP(MNM)系列の
スペクトルの一部はM0 *=M1 *=7、N=8とした場
合、夫々図11(a)乃至(d)に示される。P(MM
N)系列は前述の基本交番M系列と本質的に同じ様相を
示し、式(4)〜(8)が成り立つ(但し、式(4)〜
(8)におけるM0 *をM0 *1 *に置換する必要があ
る)。一方、P(MNM)系列は前記基本交番M系列の
線スペクトルを中心とし、その周りに1次M系列M1 *
よる側帯波の線スペクトルが±M1 *d の範囲に亘って
配置され、例えばP1(MNM)ではM0 *Nfd /2=
28fd とそのk0 倍の周りに、±7fd の範囲に亘っ
て線スペクトルが拡がる。又、ここで示した再拡散形系
列は上述したようなP(MMN)系列及びP(MNM)
系列に限らず、M系列又はN次アダマール行列の各行を
基本とし、その非反転及び/又は反転系列を他のM系列
又はN次アダマール行列の各行の正負にしたがって配列
することを繰り返して構成した系列であれば良い。
【0023】上述の各実施例では各通信局に於いて使用
する系列符号として配列常数N=2n 個のM系列を並べ
たものを考えたが、本発明はこれに限らず並べるべきM
系列の数Nは、α1 ,α2 ,α3 ,…αp を夫々任意の
素数とした場合、次式 N=2n ・α1 ・α2 ・α3
αp (10)に表されるように少なくとも1つの
素数と2の冪乗との積で算出した数としても良い。この
際、1フレーム中の中でM0 *の交番パターンが完結する
ためには前記式(10)を次式、 ci =N/ui (i=0,1,2,…) (11) に(ここで、ci はサイクルの数/フレームを、ui
0 *のユニット数/サイクルを表す)置き換えて、これ
を満たすような式(10)の値を選定する。
【0024】この例に於いて系列符号を形成する各M系
列を非反転又は反転させるパターンは、例えば前記Nを
3 と素数3との積、即ちN=24とし、M系列の非反
転及び反転を夫々記号+及び−で表した場合、上記条件
を満たす配列としては図12(a)に示すようにその
+、−の交番パターンを定めれば、そのパターンは系列
符号の1フレーム長に於いて完結させることができる。
このようにして生成した系列符号はその態様から公倍数
形と称し、各系列符号のスペクトルは上述した系列符号
と同様にそのM系列の非反転及び反転のパターンに基づ
いて互いに重ならないようにすることができる。図12
(b)はこの例に於ける各パターンの線スペクトルを表
し、この場合はN=2n の場合と異なり配列パターン相
互間に於いて若干周波数成分が重複するが、重複点は次
式 ci0 =cj0 ′ (k0,k0 ′:奇数)
(12)を満たす場合であって、その重複点は非常に少
ないから、この例に於ける配列パターンは配列常数N=
n の場合と比較しても実用上問題なく、又この配列パ
ターンの種類NS はci が正数になる場合をci =1と
すれば次式 NS =Σci [ci =正数](13) のように表せる。
【0025】又、上述の交番M系列、再拡散形系列に於
いてもスペクトルが一部重なる場合があるが、それ等に
ついても重なる度合いが少なければ同様に実用上問題な
く本発明の効果が得られる。即ち、各通信局に周波数ス
ペクトルが互いに重ならない系列符号、換言するならば
周波数スペクトルに於ける相関値が互いにゼロの系列符
号を割り当てる場合が本発明の効果は大きいが、本発明
はこれに限らず相互の周波数スペクトルに於ける相関値
が小さければ初段増幅器の飽和を防止するには充分であ
る。
【0026】更に、上述した交番M系列は図2の配列パ
ターンのみを用いる場合、このパターンの種類もアドレ
ス空間に利用すると考えた際の総アドレス容量NA *及び
BPSK方式の総アドレス容量NA はH(M0 *)をM系
列長がM0 *の場合の利用可能な系列数を求める関数とす
れば次式 NA *=NS ・H(M0 *) (14) NA =H(NM0 *) (15) のように表される。ここで、H(NM0 *)の値は一般に
NM0 *≠2m −1であって、近傍の2個のM系列、ME1
とME2を選びH(ME1)とH(ME2)の比例配分値を近
似値とする。
【0027】この両式から、アドレス効率ηを次式 η
=NA */NA (16) のように定義し、横軸にlog2 (NB :ビット数/フ
レーム)をとった場合の交番M系列のアドレス効率ηは
シュミレーションを行った結果、図13の実線のように
表される。この図から明らかなように交番M系列はNと
して比較的小さい値を用いるとη>1となり、BPSK
よりも配列パターン数を増加する観点で有利となる。
又、実用的観点から配列パターン数を増加させるために
Nを大きくするとアドレス効率は周期的に増減し、夫々
最大アドレス効率がサイクリックに現われることが理解
できよう。
【0028】同様に、図13には他の系列、即ち上述し
た公倍数形系列、再拡散形P(MMN)系列及びP(M
NM)系列に対するアドレス効率ηのシュミレーション
の結果を夫々点線、一点鎖線及び二点鎖線にて示した
が、夫々固有の特徴をもち、又Nの増加に対し効率最大
値が周期的に現われる傾向にあること上記基本交番M系
列と同様である。
【0029】上述の実施例では、周波数スペクトルが互
いに重ならない系列符号を予め各通信局に割り当てた
が、本発明はこれに限らず、初段増幅器が他の通信局の
送信波の影響を受けて不都合を生じた場合にその送信波
の周波数スペクトルを分析し、その周波数スペクトルに
重ならないスペクトルの送信波を生成するのに必要な系
列符号に変更すると共に、初段増幅器の前段に設けたフ
ィルタの特性を変更後のスペクトル成分のみを通過可能
なように変更する。尚、通信途中に系列符号を変更する
には相手局にもその旨を伝える必要があるが、その手段
としては低速度制御情報を極めて長いM系列を用いて伝
送する方法、或はFH方法等の活用が考えられる。
【0030】或は、本発明は上述したように複数の通信
局が互いに基地局を介して通信を行う方式に於いても、
初段増幅器が他の通信局の送信波の影響を受けて不都合
を生じる場合は上述したように周波数スペクトルに於け
る相関値が小さい所要数の系列符号を当該通信局夫々に
割当ると共に、各通信局は自局に割り当てられた系列符
号のスペクトルのみを通過可能なフィルタを初段増幅器
の前段に設けるようにすれば適用可能であることは自明
であろう。 尚、上述の実施例では互いに周波数スペク
トルが重なりが少ない系列符号で初段増幅器の飽和問題
を解決する手段を述べたが、本発明はこのような目的の
みならず、以下述べるような目的を達成することができ
る。
【0031】即ち、上述したようなM系列符号及び伝送
すべきデータは矩形波で構成するのが一般的である。こ
のため、矩形波の高調波成分の影響で、スペクトラム拡
散信号は不要な信号成分が多数生じ、しかもこの不要な
信号成分と本来のスペクトラム拡散信号成分の周波数は
非常に接近し、或は混在するため、両者を区別すること
は非常に困難である。従って、複数のスペクトラム拡散
信号相互の相関値をゼロにすることは事実上不可能であ
る。
【0032】この問題を解決するため、本発明では図1
4に示すように送信側に於いて上述したような系列符号
に基づく周波数成分のみを通過可能なフィルタをスペク
トラム拡散用乗算器の後段に設ける。このようにすれ
ば、前記フィルタによって上述したような不要な信号成
分を除去することができるから、複数のスペクトラム拡
散信号相互の相関値をゼロに近付けることができ、S/
Nを向上する上で有効である。
【0033】同様の効果を得るには、前記フィルタをス
ペクトラム拡散用乗算器の前段に設けるか、或は伝送す
べきデータの高調波成分除去用フィルタ、即ちデータを
そのデータレートの周波数帯域内に制限するためのフィ
ルタを設けても良く、ここで述べたフィルタは適宜組み
合わせても良いことは自明であろう。更に、ここで示し
た効果を得る手段はこれに限らず、例えば図15に示す
ように前記不要な信号成分を除去したスペクトラム拡散
信号をメモリに記憶し、伝送すべきデータ値及びPN配
列符号の種類から前記メモリの所定アドレスを論理回路
で求めて、前記メモリから所要のスペクトラム拡散信号
を読み出すようにしても良い。
【0034】又、上述の実施例では、周波数スペクトル
の重なりが少ない系列符号を各通信チャネルに割り当
て、初段増幅器の飽和問題を解決したが、図2に示すア
ダマール行列のパターンのすべてを使って伝送する方式
も実現できる。それは図2のパターンは互いに直交する
からである。例えば局Aから基地局Eに向けて送信する
場合に複数種類あるM0 *の中のパターンの1つを(A→
E)通信用に定めておき、局Aは2つのM0 *をベースと
する図2の8種のパターンの何れか1個を選択して(M
0 *Nビット)のフレームを伝送する。局Eでは8種のパ
ターンの反転、非反転を識別するための計16個の復調
器を準備しその中のいずれか1個の最大相関出力を送信
した復調器の相関パターンを送信パターンとして識別す
る。この場合、1フレームの符号系列(M0 *Nビット)
を送信することにより、log2(N×2)[N=8の場合
はlog2(8×2)=4]ビット/フレームの伝送ができ
る。すなわち、多値伝送をアダマール行列のパターンを
選用することにより実現できる。この場合のアドレス効
率は図13の縦軸を2倍にしたことに相当し、したがっ
てηはほとんどの場合1より大となる。すなわち、通常
の単純なM系列を用いる場合より有利となる。上記の場
合は、飽和問題を解決する効果はない。しかし、図18
で例えば3つの経路に対し、次の 伝送経路(A→E):P0 , P1 ( 2ビット/ フレーム) 〃 (B→E):P2 ,P4 ( 2ビット/ フレーム) 〃 (C→E):P3 ,P5 ,P6 ,P7 ( 3ビット
/ フレーム) のようにパターンを割り当てた場合、経路
〜はフレーム当り2〜3ビット伝送ができる。しか
も異なる経路向けの信号が干渉として入来しても異なる
経路に属する符号系列間の相互相関は(経路の符号系
列と及びのそれの間に若干存在するが)ほとんど0
に近づけることができる。また同一の経路内のパターン
は同じスペクトルをもつが、互いに直交しているので同
期が確保されている限り(1つの経路に関する伝送では
通常成立する条件)互いの干渉は0となる。したがっ
て、遠近問題に対処しつつ、多値伝送を実現できる。こ
の場合のアドレス効率はアダマールの全パターンを1経
路で独占使用する場合と同様に高い値となる。
【0035】上述の実施例で説明したように、伝送すべ
き2進データの複数ビットを系列符号に対応させて、多
値データ伝送手段に利用することができ、この場合、単
位時間当たりに伝送可能な通信量を増やすことができ
る。又、ここで使用するPN配列符号のパターン数をN
とした場合、実効帯域減少率βは次式、 β=(log
2 2N)-1 (17)で表され、パターン数Nは上
述したように増やすことができるから、減少率βは小さ
くすることができ、通信路の周波数帯域を有効利用する
上で、都合が良いであろう。
【0036】更に、本発明は互いに周波数が重ならない
複数の系列符号を使用して同一データを伝送すれば、周
波数ダイバーシィティ通信方式として利用することがで
き、耐フェージング特性を向上する上で有効であろう。
又、本発明は上述したように相関値が小さい複数のPN
配列符号を使用して複数回同一データを伝送する際にC
RC符号をデータに付加し、受信側に於いて送られたC
RC符号の結果から、良好な受信信号のみを復調するよ
うにすれば、通信の誤り率を改善する上で都合が良いで
あろう。
【0037】上述の実施例では本発明を無線通信に利用
したが、本発明はこれに限らず有線通信に利用できるこ
とは自明であろう。又、図16に示すように複数の通信
局が互いに有線通信路を介してスペクトラム拡散通信を
行う従来の手段では、各通信局の受信機は有線通信路の
伝送特性に起因して悪化する伝送信号を等化器を用いて
S/Nを改善する場合がある。しかし、所定の周波数領
域に於いて減衰した伝送信号を等化器で増幅した場合、
雑音も一緒に増幅してしまうため、S/Nの改善には限
界があった。これに対して、本発明は上述したようにス
ペクトラム拡散信号の周波数パターンを所定の周波数に
集中させることができるから、伝送特性が劣悪な周波数
領域を避けた周波数パターンのスペクトラム拡散信号を
使用するように、系列符号を設定すれば、各通信局は復
調を希望する信号成分と不要な雑音成分とを分けること
ができ、多くの雑音成分のみをフィルタで抑圧できるた
め、従来の手段と比較してS/Nを改善する上で有効で
あろう。
【0038】又、上述の実施例では送信機側はスペクト
ラム拡散した後に伝送すべきデータで変調し、一方受信
機側はスペクトラム拡散信号にキャリア周波数信号を混
合することによって復調し、その後に逆拡散するように
したが、この順序を入れ換えてもその後に配置するフィ
ルタの特性が相違するのみであり、基本的な違いはな
い。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、周波数ス
ペクトルに於ける相関値が小さい所要数の系列符号を互
いに通信を希望しない通信局夫々に割当ると共に、これ
等の各通信局の初段増幅器の前段には自局に割り当てら
れた系列符号のスペクトルのみ通過可能なフィルタを設
けて、通信を希望しない局から送出された大電力のスペ
クトラム拡散信号を抑圧するようにしたから、そのスペ
クトラム拡散信号に起因する初段増幅器の飽和を防止す
ることができ、円滑な通信を行うことが可能なスペクト
ラム拡散通信方法を提供する上で著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(e)は本発明に係る交番M系列を
説明するための図。
【図2】8次アダマール行列の配列パターンを示す図。
【図3】(a)乃至(d)は交番M系列のスペクトルを
示す特性図。
【図4】本発明の一実施例を示す構成図。
【図5】本発明の一実施例を説明するための図。
【図6】本発明の一実施例で使用する系列符号PA を示
す図。
【図7】本発明の一実施例で使用する系列符号PB を示
す図。
【図8】本発明に係る他の交番M系列を説明するための
図。
【図9】(a)及び(b)は本発明に係る他の系列符号
(再拡散形P(MMN)系列)の構成例を示す図。
【図10】(a)及び(b)は本発明に係る他の系列符
号(再拡散形P(MNM)系列)の構成例を示す図。
【図11】(a)乃至(d)は再拡散形P(MMN)系
列及びP(MNM)系列のスペクトルを示す特性図。
【図12】(a)及び(b)は本発明に係る他の系列符
号(公倍数形系列)の構成例を示す図及びそのスペクト
ルを示す図。
【図13】本発明に係る系列符号夫々のアドレス効率η
を示す特性図。
【図14】本発明の他の実施例を示す構成図。
【図15】本発明の他の実施例を示す構成図。
【図16】本発明の他の実施例を示す構成図。
【図17】従来のスペクトラム拡散通信方法に於ける送
信機及び受信機の構成図。
【図18】従来のスペクトラム拡散通信方法を説明する
ための図。
【符号の説明】 T2 送信機、 R2 受信機、12 発振器、13及
び17 符号発生器、14、15及び21 乗算器、
16 局部発振器、 18 フィルタ、 19増幅器、
20 ミキサ、 22 バンドパスフィルタ、 23
検波器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図17
【補正方法】変更
【補正内容】
【図17】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伝送すべきデータの各ビット値にPN系
    列を乗じて送出するスペクトラム拡散通信方法に於い
    て、周波数スペクトルの重なりが互いに少なくなるよう
    に、短周期長のPN系列符号ユニットを非反転及び/又
    は反転した配列パターンからなるPN配列符号を複数個
    作り、その一つ又は複数個を夫々の通信チャネルに割り
    当てたことを特徴とするスペクトラム拡散通信方法。
  2. 【請求項2】 伝送すべきデータの各ビット値にPN系
    列を乗じて送出するスペクトラム拡散通信方法に於い
    て、周波数スペクトルの重なりが互いに少なくなるPN
    配列符号を夫々の通信チャネルに割当ると共に、夫々の
    受信側でそのPN配列符号の周波数スペクトルパターン
    に応じたフィルタを使用して干渉波を除去するようにし
    たことを特徴とするスペクトラム拡散通信方法。
  3. 【請求項3】 N行N列アダマール行列の各行の正負に
    したがってPN系列符号ユニットを非反転又は反転する
    如く配列したものを前記PN配列符号としたことを特徴
    とする請求項1又は2記載のスペクトラム拡散通信方
    法。
  4. 【請求項4】 N行N列アダマール行列の各行の非反転
    及び/又は反転系列をPN系列符号ユニットの正負にし
    たがって配列したものを前記PN配列符号としたことを
    特徴とする請求項1又は2記載のスペクトラム拡散通信
    方法。
  5. 【請求項5】 PN系列符号ユニット又はN行N列アダ
    マール行列の各行を基本とし、その非反転及び/又は反
    転系列を他のPN系列符号ユニット又はN行N列アダマ
    ール行列の各行の正負にしたがって配列することを繰り
    返して構成したものを前記PN配列符号としたことを特
    徴とする請求項1、2、3又は4記載のスペクトラム拡
    散通信方法。
  6. 【請求項6】 伝送すべきデータの各ビット値にPN系
    列を乗じて送出するスペクトラム拡散通信方法に於い
    て、前記伝送すべきデータをそのデータレートの周波数
    帯域内に制限する手段を具えることによって、受信側に
    配備した他の拡散符号との間の相互相関値をゼロに近付
    けたことを特徴とするスペクトラム拡散通信方法。
  7. 【請求項7】 伝送すべきデータの各ビット値にPN系
    列を乗じて送出するスペクトラム拡散通信方法に於い
    て、PN系列符号発生器と乗算器間、又は前記乗算器出
    力側に帯域制限フィルタを挿入することによって、送信
    信号を主要スペクトル帯域の範囲内に制限したことを特
    徴とするスペクトラム拡散通信方法。
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