JPH0680210B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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JPH0680210B2
JPH0680210B2 JP63228061A JP22806188A JPH0680210B2 JP H0680210 B2 JPH0680210 B2 JP H0680210B2 JP 63228061 A JP63228061 A JP 63228061A JP 22806188 A JP22806188 A JP 22806188A JP H0680210 B2 JPH0680210 B2 JP H0680210B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、気相法によりウィスカー状炭素繊維を製造す
る方法の改良に関する。
[従来技術] 炭素繊維には、気相法で得られる炭素繊維の他に、有機
繊維を焼成して製造されるPAN系炭素繊維やメソフェー
ズピッチの溶融紡糸、不融化及び炭素化処理して製造さ
れるピッチ系炭素繊維等がある。気相法で得られる炭素
繊維は、他の繊維に比べて、引張り強度が高いなど機械
的特性に優れ、また電気的伝導性、熱伝導性にも優れて
いる。このため近時機能性材料として特に注目を浴びて
いる。例えば、2800℃で黒鉛化処理した気相法炭素繊維
は、引張り強度が700kg/mm2、引張り弾性率が70ton/mm2
と極めて高い値である。これらの優れた諸特性は、炭素
繊維の結晶配向性の高さに基づくものと考えられてい
る。
気相法炭素繊維は、上記特性を有するため、その利用分
野は幅広く、例えば、FRP、FRM、FRセメント、C/Cコン
ポジット等、種々の複合材料の繊維補強材料として利用
されている。これらは、宇宙、航空産業、自動車産業、
建設、電気産業など、多くの産業に適用しうる素材であ
り、この炭素繊維への期待は非常に大きい。また最近で
は、精密機械のOA化、FA化への利用により電磁遮蔽材料
の要請が高まり、良質な炭素繊維が望まれている。さら
にまたこの炭素繊維は、黒鉛層間化合物に容易に変換す
ることができるが、このものは銅線に代わる伝導材料と
して注目されている。
従来、係る気相法炭素繊維は、固定床方式と呼ばれる基
板を用いる方法で製造されていた。しかしこの方式は、
連続生産が困難であるため、生産性が極めて低い欠点が
あった。これを克服するために、流動床方式により、触
媒である超微粒子金属を反応器内に浮遊させてこれに炭
素を成長させる流動床方式が開発された(特開昭58-180
615号参照)。この方式は、反応器内の空間を三次元的
に利用するため、原理的に収率高く、連続生産が可能で
ある。このため、気相法炭素繊維の製造方法の主流とな
っている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、工業的規模で生産する場合には、まだい
くつかの課題がある。
第1の課題は、炭素繊維の成長速度が、固定床法に比べ
て高いというものの、工業規模で生産するのに、かなら
ずしも十分満足できる成長速度ではなく、その収率が十
分高いとは言えないということである。この技術では、
フェロセンなどの有機化合物を熱分解させて、炭素繊維
成長用の超微粒触媒を生成しているが、有機金属化合物
の熱分解が複雑なため、その鉄原子としての利用率が極
めて低く、触媒として作用する300Å以下の粒径を有す
る超微粒を選択的に生成することは非常に困難である。
しかし、一般に炭素繊維の成長速度は、触媒の粒径が小
さい程高く、その収率は300Å以下の粒径を有する超微
粒の量が多い程高いと考えられている。したがって、例
えば、特開昭60-54998号では、触媒となるフェロセンは
炭素繊維となるベンゼンに対して2.5倍量も用いてい
る。このような方法では、有機金属化合物の製品に占め
るコストは高い。
第2の課題は、雰囲気ガス源である。流動床方式による
製造方法の改良として、特開昭60-5498号、特開昭60-22
4815号、特開昭61-108723号、特開昭61-225328号などが
提案されているが、これらの方法では雰囲気ガスは、い
ずれも水素ガスを主体とするものである。しかし、水素
ガスを使用して炭素繊維を高い収率で得るためには、水
素ガスが80%以上の純度の水素ガスが必要と考えられて
いる。また許容されるガス中の不純物としては、窒素な
どの不活性ガスに限られ、水分や酸素などは触媒を不活
性化させ、好ましくはない。さらに高濃度の炭化水素ガ
スが混入する場合、その加熱により熱分解してススが生
成する。この結果、製品の純度を下げ、好ましくはな
い。また雰囲気ガスは、一般に原料の炭化水素に対し、
一倍容量以上必要であり、工業規模で生産する場合、膨
大なガス量を必要とする。高価な水素を使用する場合、
その再利用をする必要があり、そのための精製装置が必
要となり、極めて経済性が低くなる欠点がある。
従来の雰囲気ガスである水素は、触媒である超微粒鉄の
還元、表面の清浄化、生成した炭素のガス化などである
と考えられている。そこで本発明者は、水素の代替とし
て一酸化炭素を雰囲気ガスとして選択し、検討したとこ
ろ、転炉ガスが利用可能であり、また転炉ガス中に含ま
れる微粒子のダストが触媒能を有すること、熱源として
排熱を利用できることなどを見出だし、高温の転炉ガス
を雰囲気ガスとして直接利用する発明について特許出願
した(特開昭63-12720号参照)。この転炉ガスは、高炉
で製造された溶銑から酸素により炭素、珪素などの成分
調整し、鋼を製造する過程で発生するガスで、これまで
鉄鋼業においてせいぜい燃料として用いられているにす
ぎず、その組成は、操業条件により異なるが、おおよそ
一酸化炭素60〜80%、二酸化炭素10〜20%、窒素5〜20
%、水素0.5〜2%、酸素1.0%以下である。
しかし、この方法では、転炉ガスをそのまま使用するの
で、転炉の操業初期、終期のガス変動や高温転炉ガス中
に含まれる粗粒ダストの分離が困難である。しかも炭素
繊維の収率が満足できる程度高いとはいえず、品質にも
バラツキがあるなどの問題があった。
第3の課題は、熱源の問題である。気相法によるもので
は、1000℃以上の高温が必要であり、工業規模で生産す
る場合、そのエネルギーは膨大なものであり、その加熱
方式として電気炉は経済的には採用できない。燃料の燃
焼排ガスによる内部加熱方式も考えられるが、この場
合、燃焼排ガス中に水分やススが含まれてしまい、炭素
繊維の生成が妨げられるという欠点がある。
第4の課題は、表面修飾の問題である。一般に気相法で
得られる炭素繊維は、黒鉛結晶が年輪状に配向している
ため、複合材用補強材料として用いる場合、その表面の
改質が必要であり、そのため他の繊維に比べ酸化処理工
程に時間がかかる欠点がある。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意検討した
結果、有機金属化合物の分解触媒として金属化合物を添
加することにより、有機金属化合物の熱分解で生成され
る炭素繊維成長用微細金属粒子に300Å以下の粒径のも
のが多く含まれるようにして、炭素繊維の成長速度に関
する第1の課題を解決した。
また雰囲気ガスとして転炉ガスなど一酸化炭素50〜80%
と二酸化炭素5〜30%とを少なくとも含むガスを利用
し、この雰囲気ガスを直接反応容器内に高温のまま導入
することなく、一旦ガスホルダー内に貯蔵しておき、ガ
スホルダーからのガスの加熱を少なくとも2つの熱風炉
で交互におこなうことにより、雰囲気ガスに関する第2
の課題及び熱源に関する第3の課題を解決した。
さらに上記組成の雰囲気ガスを使用することにより、雰
囲気ガスがキャリアガスとしての機能のみならず、二酸
化炭素が炭素のガス化作用を成して炭素繊維の表面修飾
をなし、一酸化炭素が表面修飾された炭素繊維表面上に
炭素析出せしめる機能を有し、このことにより、表面修
飾に関する第4の課題を解決するものである。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、反応容器内に炭化水素(原料炭素源)と有機
金属化合物を導入し、炭化水素の熱分解で得られた炭素
を、有機金属化合物の熱分解で生成された微粒子上に成
長させる方法において、前記反応容器内に前記有機金属
化合物の分解触媒として金属化合物を導入する方法であ
る。
本発明で使用する炭化水素には、メタン、エタン、プロ
パン、エチレン、プロピレン、フタシエン等の脂肪族炭
化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、などの単環芳
香族炭化水素をはじめ、ナフタレン、アントラセンなど
の多環芳香族炭化水素、あるいはこれらの混合物を適用
できるが、コークス炉からの副生物である粗軽油類、吸
収油、カルボル油、アントラセン油、重油、ピッチ、お
よびこれらの混合物は、安価で大量に供給が可能であ
り、特に硫黄を含むチオフェン類、チオール類、および
チオフェノール類は炭素繊維の生成速度が速くなり有用
である。
有機金属化合物は、炭素−金属結合を有するものであれ
ば公知のものをいずれも使用可能であるが、原料炭化水
素に溶解して用いる場合は溶解性のあるもの、ガス状で
用いる場合は昇華性のあるものが望ましい。具体的に
は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、ルビジウム、ロジウム、タングステ
ン、パラジウムを含有する有機遷移金属化合物であり、
そのうち特に鉄、ニッケル、コバルトを含有する有機金
属化合物が好適であり、鉄を含有する有機金属化合物が
最も好ましい。
有機金属化合物の分解触媒である金属化合物は、有機金
属化合物を分解して300Å以下の炭素繊維成長用金属微
粒子を多く生成するために添加する。金属化合物は、使
用する有機金属化合物1モルに対し、0.01〜50モル程度
加えればよい。また、遷移金属化合物は、使用する有機
金属化合物に対して同種あるいは異種の金属原子を有す
るものであればいずれの錯体にも利用できる。その金属
としては、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、
タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ル
テニウム、ロジウム、オスニウム、イリジウムが好まし
く、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルが特に好まし
い。化合物の形態は、いずれでもよく、例えば硫酸塩、
硝酸塩、酢酸塩、塩化物、硫化物、酸化物、炭化物、窒
化物、アセチルアセトナート塩など無機化合物およびカ
ルボニル化合物などの有機遷移金属錯体などが用いられ
る。
本発明では、一酸化炭素50〜80%と二酸化炭素5〜30%
とを少なくとも含むガスを雰囲気ガスとして使用し、と
くに容積比で、一酸化炭素1部に対し、二酸化炭素0.06
〜0.6、水素0.001〜0.2を含む組成が好ましい。一酸化
炭素、二酸化炭素及び水素の組成範囲を限定した理由
は、二酸化炭素、水素の炭素繊維のガス化作用と一酸化
炭素の炭素析出作用との兼合いで設定されたもので、こ
れらの範囲から外れると各ガスのバランスが崩れ、以下
に示す所望の炭素繊維を得ることができないためであ
る。この雰囲気ガスは、具体的には、転炉ガス、高炉ガ
ス、これらの混合ガス、これらのガスにコークス炉ガス
等の水素含有ガスを混合したガスである。ただし、転炉
ガス単独の組成でも、上記組成を満足することができ、
好適である。本発明では、この雰囲気ガスを予め加熱し
て反応帯域である600〜1300℃に保持する際に、高炉な
どで使用されている熱風炉方式を採用する方法をおこな
う。すなわち、転炉ガス等を高温のまま直接反応容器内
に導入することなく、一旦ガスホルダー内に貯蔵し、ガ
スホルダーからのガスを加熱炉で加熱する。この方法に
よれば、粗粒ダストが除去され、しかもガスホルダーか
らガス組成の安定した転炉ガス等の利用を図れる。本発
明では、少なくとも二つの熱風炉(蓄熱炉)を反応容器
と接続している。熱風炉では、燃焼用ガスを燃焼させ炉
内に充填された充填物を1000〜1600℃に加熱し、その後
熱風炉から反応器に導入される雰囲気ガスの温度が600
〜1300℃になるように雰囲気ガスを加熱、導入する。こ
の時、燃焼排ガス中に含まれる水分やススは燃焼排ガス
を雰囲気ガスで置換することにより可能である。また、
熱風炉を少なくとも二基備えているので、燃焼、燃焼排
ガス置換、雰囲気ガス流通のサイクルが可能となり、連
続して600〜1300℃に加熱された雰囲気ガスを反応容器
に導入することができる。ここで本発明で使用する燃料
用ガスは、水素、プロパン、ナフサ、LNG、石油ガス、
その混合物、製鉄所で発生する高炉ガス、転炉ガス、コ
ークス炉ガス、およびその混合物が使用可能であるが、
特に水、ススの発生を抑制するために高炉ガス、転炉ガ
ス、コークス炉ガス、及びその混合物が有用である。ま
た燃料用ガスの燃焼には、公知の方法を適用することが
できる。バーナーも各種任意に使用することができる。
使用される充填物は、1600℃程度の高温にて安定であれ
ば、任意のものを使用することができる。特にセラミッ
クペブルなどが望ましい。
このような条件下で炭素繊維を成長させると、炭素繊維
の表面が凹凸状のものが得られる。このような性状は、
高温の転炉排ガスを反応容器内に直接導入した方法では
認められない。本発明者は、雰囲気ガスに含まれる一酸
化炭素が炭素繊維上への炭素析出に寄与し、一方二酸化
炭素が炭素のガス化に寄与して表面をサイジングすると
考えている。すなわち二酸化炭素は、炭素の構造に対し
てガス化速度が敏感であり、例えば黒鉛に対する木炭の
ガス化速度は10000倍になるとも言われている。従っ
て、表面に存在する非結晶性の炭素に対するガス化速度
が結晶性の炭素に対する場合よりも速く、炭素繊維表面
上に複合材用補強繊維として極めて有用な凹凸を持った
結晶性の炭素繊維を作り出すことが可能である。また一
酸化炭素は、その不均化反応により炭素を析出すること
が知られており、その熱分解炭素により凹凸を持った結
晶性の炭素繊維表面に、更に凹凸上に炭素を沈積せしめ
ることができる。これに対して従来雰囲気ガスとして使
用していた水素では、得られる炭素繊維は、平滑であ
り、その繊維径も極めて小さい。本発明で一酸化炭素及
び二酸化炭素の組成範囲を上記のように限定した理由
は、上記範囲から外れると所望の炭素繊維を得ることが
困難となるためである。
[発明の効果] 本発明によれば、有機金属化合物の分解触媒として金属
化合物を添加したので、有機金属化合物の熱分解で生じ
る金属微細粒子の粒径の多くを300Å以下とすることが
でき、この結果、炭素繊維の成長速度を著しく高め、工
業規模での生産を可能とした。また一酸化炭素と二酸化
炭素を含むガスを雰囲気ガスとしたので、雰囲気ガスが
単にキャリアガスとしの機能だけでなく、炭素繊維の表
面修飾する機能を有し、得られる炭素繊維の特性を優れ
たものとすることができる。またこの雰囲気ガスは、熱
風炉で加熱する方式であるため、ガスの性状の問題、熱
源の問題を解決し、良好な品質の炭素繊維を安定して製
造することができる。
[実施例] 以下に本発明を実施例にて説明する。
実施例1 第1図に示す装置を使用して、炭素繊維を製造した。図
中、参照符号11は、アルゴンガスを充填したガスボンベ
である。12は、転炉ガスを充填したガスボンベで、転炉
ガスは一酸化炭素ガス70容量%、二酸化炭素ガス15容量
%、水素ガス1.1容量%、窒素ガス15容量%の組成のガ
スであり、これを反応容器内に雰囲気ガスとして導入す
る。各ボンベ11,12には、流量計13,14がそれぞれ接続さ
れ、これによりガス流量を制御している。15は原料タン
クで、ここには原料油として、ベンゼンをいれた。この
ベンゼン内には、フェロセンとチオフェンとフェロセン
の分解触媒であるMn(II)アセチルアセトナート塩が溶
解され、その重量組成比は、ベンゼン100重量部に対し
て、フェロセン、チオフェン、Mn(II)アセチルアセト
ナート塩が、それぞれ0.4、0.2、0.1の割合である。こ
れらボンベ11,12は、ステンレス製のパイプ16を介して
反応管20に接続され、また原料タンク15は、ステンレス
製のパイプ17を介して反応管20(反応容器)と接続され
ている。反応管20は、内径90mm、長さ1000mmのアルミナ
管であり、その長さ800mmに亙って外周に電気炉23が設
置されている。この電気炉23の温度は、熱電対24で検知
し、温度制御器25で一定温度に制御している。この実施
例では、電気炉23の運転中の温度は、1150℃に設定し
た。
運転に際し、まず、ボンベ11からアルゴンガスを反応管
内に供給し、反応管内をアルゴンガスで置換しておく。
続いてボンベ12に収容した転炉ガスを300ml/分で反応管
20内に流した。更に、上記原料油をケミカルポンプ22を
使って2ml/分の割合で反応管20内に供給した。反応管内
において、原料油の熱分解および触媒反応が生じ、これ
によって連続的にウィスカー状炭素繊維が生成され、こ
れを捕集器21で捕集した。得られた炭素繊維は、平均径
が1μm、平均長さが2000μmであり、透過電子顕微鏡
により観察の結果、表面が粗く、毛羽立つ様相を呈して
いた。収率はベンゼンに対して68%であった。
実施例2 フェロセンの分解触媒として、実施例1で使用したMn
(II)アセチルアセトナート塩の代わりに、コバルト
(II)アセチルアセトナート塩を使用し、それ以外、実
施例1と同様の条件で実施した。その結果、得られた炭
素繊維は、平均径が1μm、平均長さが3000μmであ
り、透過電子顕微鏡による観察の結果、実施例1と同様
に、表面が粗く、毛羽立つ様相を呈していた。収率はベ
ンゼンに対して70%と高い値を示した。
実施例3 実施例1と同様の装置を使用したが、ボンベ12には、一
酸化炭素ガスを主体とした雰囲気ガスを充填した。この
雰囲気ガス組成は、一酸化炭素ガス76容量%、二酸化炭
素ガス19容量%、水素ガス2.8容量%、メタンガス1.5容
量%、残部窒素ガスである。そして実施例と同じ条件で
実施した結果、得られた炭素繊維は、平均径が1μm、
平均長さが3000μmであり、透過電子顕微鏡による観察
の結果、表面が粗く、毛羽立つ様相を呈していた。収率
はベンゼンに対して70%と高い値を示した。
実施例4 実施例1と同様の装置を使用したが、ボンベ12には、一
酸化炭素ガスを主体とした雰囲気ガスを充填した。この
雰囲気ガス組成は、転炉ガス97容量%と、コークス炉ガ
ス3容量%との混合ガスを用い、その組成は、一酸化炭
素ガス68容量%、二酸化炭素ガス13容量%、水素ガス4.
0容量%、メタンガス1.0容量%、窒素ガス14容量%であ
る。そして実施例1と同じ条件で実施した結果、得られ
た炭素繊維は、平均径が1μm、平均長さが3000μmで
あり、透過電子顕微鏡による観察の結果、表面が粗く、
毛羽立つ様相を呈していた。収率はベンゼンに対して65
%であった。
比較例1 実施例1と同様の装置を使用したが、ボンベ12には、一
酸化炭素ガスを主体とした雰囲気ガスを充填した。この
雰囲気ガス組成は、一酸化炭素ガス21容量%、二酸化炭
素ガス20容量%、水素ガス4.0容量%、窒素ガス55容量
%である。そして実施例1と同じ条件で実施した結果、
得られた炭素繊維は、平均径が1μm、平均長さが1500
μmであり、透過電子顕微鏡による観察の結果、表面が
平滑であった。収率はベンゼンに対して23%であった。
比較例2 フェロセンの分解触媒を添加しないこと以外、実施例1
と同様の条件で実施した結果、得られた炭素繊維の収率
は、40%であり、平均径が1μm、平均長さが250μm
と収率、成長速度ともに低い値を示した。
比較例3 実施例1と同じ装置を用い、ボンベ12は、雰囲気ガスと
して高純度水素ガスを充填しているものを使用した。フ
ェロセンの分解触媒を添加することなく、他は実施例1
と同じ条件で実施した結果、得られた炭素繊維は平均径
が0.5μm、平均長さが500μmであり、透過電子顕微鏡
による観察の結果、表面が平滑であった。収率は、ベン
ゼンに対し40%であった。
なお、この比較例2において、フェロセンの分解触媒と
してコバルト(II)アセチルアセトナート塩を0.1重量
%添加した場合、得られた炭素繊維は、平均径が0.5μ
m、平均長さが2000μmであり、収率はベンゼンに対し
て60%であった。しかし、得られた炭素繊維の表面は、
平滑であった。
実施例5 第2図は、本発明を実施するための装置の概略構成を示
す説明図である。図中参照符号31は、転炉ガスホルダー
である。ガスホルダー31から出た転炉ガス32は、除湿装
置33により脱水され、熱交換器34を通りバーナー35を介
して熱風炉36に入るようになっている。バーナー35に
は、燃焼用空気が装入され、転炉ガスが燃焼され熱風炉
が加熱された後、再び転炉ガスを炉内に導入し、炉内部
を転炉ガスで置換した後、600〜1300℃に昇温する。昇
温された転炉ガスは、コークス炉ガス38及び粗ベンゼン
39とともに反応器37に導入される。この粗ベンゼンは、
フェロセン0.4重量%、コバルトアセチルアセトナート
塩0.1重量%、チオフェン0.2重量%溶解している。そし
てこの反応器内で炭素繊維の製造がなされる。反応器37
の出口と熱交換器34は接続され、フィルター40に通じて
いる。フィルターでは、生成した炭素繊維43が排ガス42
と分離される。
転炉ガス32及び空気41を、窒素で置換された熱風炉に2.
5Nm3/hr、3.8Nm3/hrの流量で導入し、バーナーに添加し
た。この時炉内の温度は、1400℃であった。その後、転
炉ガスを0/5Nm3/hrの流量で炉内に導入し、燃焼排ガス
を置換した。次に未加熱転炉ガスと混合し、1150℃に加
熱された転炉ガスを10Nm3/hrの流量で反応器に導入し
た。熱風炉内温度が1200℃に達したら、再び同じ条件で
熱風炉の燃焼、転炉ガス置換、送風のサイクルを2塔の
熱風炉で交互に繰返し、反応器に導入される転炉ガス温
度を1150℃に保持した。反応器が予熱された後、コーク
ス炉ガスを0.5Nm3/hrの流量で炉内に吹き込んだ。その
後フェロセン0.4重量%、コバルトアセチルアセトナー
ト塩0.1重量%、チオフェン0.2重量%溶解した粗ベンゼ
ンを3.3kg/hrの流量で吹き込んだ。フィルター40の下部
より得られた微細な綿状物を抜き出したところ、糸径1
μm、繊維長さ1000μm以上の炭素繊維であった。一時
間の運転により、1.32kgの炭素繊維が得られた。また透
過電子顕微鏡による観察の結果、表面が粗く毛羽立つ様
相を呈していた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法を実施するための装置の概略を示
す説明図、第2図は本発明方法を実施するための別の装
置の概略を示す説明図である。 11……アルゴンガスボンベ、12……キャリヤーガスボン
ベ、13,14……流量計、15……原料タンク、16,17……ス
テンレス製パイプ、20……反応管、21……捕集器、22…
…ケミカルポンプ、23……電気炉、24……熱電対、25…
…温度制御器、31……ガスホルダー、32……転炉ガス、
33……脱湿装置、34……熱交換器、35……バーナー、36
……熱風炉、37……反応器、38……コークス炉ガス、39
……原料油、40……フィルター、41……燃焼用空気、42
……燃焼排ガス、43……気相成長炭素繊維
フロントページの続き (72)発明者 諸富 秀俊 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−225320(JP,A) 特開 昭60−181319(JP,A) 特開 昭63−12720(JP,A) 特開 昭62−250225(JP,A) 特開 昭62−238826(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応容器内に炭化水素及び有機金属化合物
    を導入し、炭化水素の熱分解で得られた炭素を、有機金
    属化合物の熱分解で生成された浮遊微粒子上に成長させ
    て炭素繊維を製造する方法において、前記容器内に、前
    記有機金属化合物の分解触媒である金属化合物を添加
    し、かつ、前記反応容器内に導入する雰囲気ガスの組成
    を、容積%で一酸化炭素50〜80%と二酸化炭素5〜30%
    とを少なくとも含む組成として、上記雰囲気ガスにより
    炭素繊維の表面修飾をおこなう炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】前記有機金属化合物1モルに対して金属化
    合物を0.01〜50モル添加する特許請求の範囲第1項記載
    の炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】雰囲気ガスの組成を、容積比で、一酸化炭
    素1部に対して、二酸化炭素0.06〜0.6部、水素0.001〜
    0.2部を少なくとも含む組成とする特許請求の範囲第1
    項記載の炭素繊維の製造方法。
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