JPH068487B2 - 溶接ボンド部靭性の優れたフェライト系耐熱鋼 - Google Patents

溶接ボンド部靭性の優れたフェライト系耐熱鋼

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JPH068487B2
JPH068487B2 JP11340389A JP11340389A JPH068487B2 JP H068487 B2 JPH068487 B2 JP H068487B2 JP 11340389 A JP11340389 A JP 11340389A JP 11340389 A JP11340389 A JP 11340389A JP H068487 B2 JPH068487 B2 JP H068487B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、フェライト系耐熱鋼に関するものであり、さ
らに詳しくは高温・高圧環境下で使用するフェライト系
Cr含有ボイラ鋼管用鋼に関するものである。
(従来の技術) 近年、火力発電ボイラの操業条件は高温、高圧化が著し
く、一部では566℃,310気圧での操業が計画され
ている。将来的には650℃,350気圧迄の条件が想
定されており、使用する材料には極めて苛酷な条件とな
っている。
操業温度が550℃を超える場合において、使用材料の
選択にあたり、耐酸化性,高温強度の点から例えば、フ
ェライト系の21/4Cr-1Mo鋼から18−8ステンレス鋼
のごとく、オーステナイト系の高級鋼へと、材料特性に
おいてもまたコストの面からも過度に高い材料を使用し
ているのが現状である。
21/4Cr-1Mo鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の中間
を埋めるための鋼材は、過去数十年間模索されている。
Cr量が中間の9Cr,12Cr等のボイラ鋼管は以上の背景
をもとに開発された耐熱鋼であるが、クリープ強度を高
めると、その溶接部特性が悪化する。従って、ボイラ建
造時および改修時の施工において作業能率が著しく低下
するため、実用化されにくいといった問題点を有してい
る。
このような観点からクリープ強度が高く、同時に溶接部
特性の優れた9Crおよび12Cr鋼の出現が待ち望まれて
いた。
また、ボイラを製造するための溶接工程としては溶接−
溶接後熱処理(Post Weld Heat Treatment:以下PWH
T)もしくは熱間加工後溶接−PWHTを行なう方法が採ら
れている。従ってこのようなボイラ用鋼に要求される性
能としては溶接施工性に優れていることは言うまでもな
く、これらの熱履歴を受けた後においても溶接部、母材
共に十分な強度と靱性を維持していることが重要であ
る。
このような観点から、従来には既に、溶接施工性を向上
させてなおかつクリープ破断強度も従来材を大幅に上回
る新しい鋼が特開昭63-89644号公報,特開昭61-231139
号公報,特開昭62-297435号公報に開示されている。
これらの鋼は従来の耐熱鋼にWを固溶させることによっ
てクリープ強度を飛躍的に高めた材料であるが、反面、
Wの添加によってCr当量値が上昇し、従来材に比較して
高い値となるために、母材はマルテンサイトあるいは焼
き戻しマルテンサイト単相の組織であるものの、溶接ボ
ンド部においては、冷却速度が早いために、融点直下の
フェライト相(以降便宜上δフェライトと称する)が未
変態のままボンド部に沿ってバンド状に残留し、溶接ボ
ンド部の靱性が著しく低下することがその後の本発明者
らの詳細な研究によって明らかとなった。
しかも、未変態の残留δフェライトはPWHTでは消失
せず、溶接後の冷却時に完全変態させることが最も効果
的であることが判明した。
本発明者らは更に研究を進め、Cuを従来の鋼に含有さ
せ、しかもMn,Ni,Cuの添加量が、 Mn%+Ni%+2Cu%≦12 なる条件を満たす場合には、これらの鋼の優れた高温特
性を全く損なうことなく、溶接部特性,特に溶接ボンド
部靱性の優れた耐熱鋼を開発することに成功した。
Wを固溶させてクリープ強度を高め、Cuを添加して溶接
部靱性を向上させた耐熱鋼は殆ど前例がない。Cuを0.4
〜1.5%添加した耐熱鋼が特公昭62-12304号公報に開示
されているが、この鋼はWが0.05〜0.5%と低く、本発
明鋼のごとき高いクリープ強度を同時に達成することは
不可能である。Cuを1.0%以下添加した耐熱鋼として特
開昭60-155649号公報の開示がある。この鋼はMo+Wが
0.5〜2.5%と高く、同時にある程度のクリープ強度も得
られるものの、母材の靱性向上および強度向上に必要な
N,およびNbに関する制限がなく、靱性,強度共に本発
明鋼と同時にはなり得ない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上記のような従来の欠点、即ち高いクリープ強
度を有するCr含有フェライト系耐熱鋼において溶接によ
って溶接ボンド部にバンド状に残留するδフェライトに
起因する靱性低下を防止し、溶接部特性の優れた耐熱鋼
の製造を可能ならしめるものであって、Cuを0.10〜5.00
%含有し、しかもMn,Ni,Co,Cuの添加量が Mn%+Ni%+Co%+2Cu%≦12 なる条件を満たすように含有量を制限することでδフェ
ライトの残留が全くない耐熱鋼を提供することを目的と
したものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は以上の知見に基づいてなされたもので、その要
旨とするところは重量%でC:0.01〜0.30%,Si:0.02
〜0.80%,Mn:0.20〜3.00%,Cr:8.00〜13.00%,N
i:0.05〜1.00%,W:0.50〜3.00%,Mo:0.005〜1.00
%,V:0.05〜0.50%,Nb:0.02〜0.12%、B:0.0003
〜0.008%,Cu:0.10〜5.00%,Zr:0.0005〜0.10%を
含有し、P:0.050%以下,S:0.010%以下,O:0.02
0%以下に制限し、あるいは更に(A)Ta:0.01〜1.00
%,Hf:0.01〜1.00%の1種または2種および/または
(B)Co:0.01〜1.00%,Ti:0.01〜0.10%の1種また
は2種を含有し、加えてMn,Ni,Co,Cuの添加量が Mn%+Ni%+Co%+2Cu%≦12 なる条件を満たし、残部がFeおよび不可避の不純物より
なることを特徴とする溶接ボンド部靱性の優れたフェラ
イト系耐熱鋼である。
以下本発明を詳細に説明する。
(作用) 最初に本発明において各成分範囲を前記のごとく限定し
た理由を以下に述べる。
Cは強度の保持に必要であるが、0.01%未満では強度確
保に不十分であり、0.30%超の場合には溶接熱影響部が
著しく硬化し、溶接時低温割れの原因となるため、範囲
を0.01〜0.30%とした。
Siは耐酸化性確保に重要で、かつZrの補助脱酸剤として
必要な元素であるが、0.02%未満では不十分であって、
0.80%超ではクリープ強度を低下させるので0.02〜0.80
%とした。
Mnは脱酸のためのみでなく強度保持上も必要な成分であ
る。加えて、オーステナイト安定化元素であるので、溶
接ボンド部へのδフェライト残留を軽減する効果を有す
る。両効果を十分に得るためには0.02%以上の添加が必
要であり、3.00%を超すと、強度の過度な上昇によって
母材が脆化する場合があるので、0.20〜3.00%とした。
Crは耐酸化性に不可欠の元素であって、同時にCと結合
してM23C6,M6C,M2C(但しMは金属元素を表わす)等の
形態で母材マトリックス中に微細析出する事でクリープ
強度の上昇に寄与している。耐酸化性の観点から、下限
は8.00%とし、上限は、溶接ボンド部靱性を確保すべ
く、Cr当量値を低く制限する目的で13.00%とした。
Wは固溶強化および炭化物として析出することによる析
出強化によりクリープ強度を顕著に高める元素であり、
特に550℃以上の高温において長時間のクリープ強度
を著しく高める。3.00%を超えて添加する炭化物として
大量に析出し母材靱性を著しく低下させるため、上限を
3.00%とした。また、0.50%未満では析出強化の効果が
不十分であるので下限を0.50%とした。
Moは固溶体強化により、高温強度を顕著に高める元素で
あるが、0.005%未満では効果が不十分であり、1.00%
超ではMo2C型の炭化物の大量析出によってWと同時に添
加した場合に母材靱性を著しく低下させる場合があるの
で上限を1.00%とした。
VはWと同様にマトリックスに固溶しても、析出物とし
て析出しても鋼の高温強度を著しく高める元素である。
特に析出の場合にはV4C3としてM23C6,M6C,M2Cの析出核
となり、析出物の微細分散に顕著な効果を示す。0.05%
未満では効果がなく、0.50%を超えると靱性低下をきた
すために添加の範囲を0.05〜0.50%とした。
NbはNb(CN)の析出によって高温強度を高め、またVと同
様にM23C6,M6C,M2C等の析出核として微細析出を促す。
添加の効果を発揮させるため下限を0.02%とし、また0.
12%を超すと析出物の凝集粗大化を生じて強度を低下さ
せるため上限を0.12%とした。
Bは本来焼入れ性を著しく高める元素としてよく知られ
ているが、耐熱鋼においては、粒界への硼化物の微細析
出による粒界強化によりクリープ強度が向上する。Bの
効果を発揮させるため下限を0.0003%とし、また靱性を
損なわないように上限を0.008%とした。
Zrは鋼中の脱酸平衡を支配し、酸素活量を著しく下げる
ことで酸化物の生成を抑制する。加えてNとの親和力が
高く、Bの窒化によるBNの析出を抑制し、B添加の効
果が窒素大量添加時に損なわれることを防止する。0.00
05%未満では脱酸平衡支配には不十分であり、0.10%を
超えて添加すると粗大なZrN,ZrCが大量に析出し、母材
の靱性を著しく低下させるので0.0005〜0.10%の範囲に
限定した。
Nはマトリックスに固溶あるいは窒化物、炭窒化物とし
て析出し、クリープ強度を高める元素であるが、クリー
プ強度の確保の点から下限を0.01%とし、また鋳造時ブ
ローホールの発生を避け健全な鋼塊を得るために上限を
0.10%とした。
Niは代表的なオーステナイト安定化元素であって、母材
中にδフェライトが生成するのを防止するために添加す
る。従って溶接ボンド部にδフェライトが残留すること
も防止できる。0.05%未満では効果が少なく、1.00%超
の添加でクリープ強度を低下させるので添加範囲を0.05
〜1.00%に限定した。
Cuは本発明の主眼をなす添加元素であって、クリープ強
度を低下させることなくCr当量値を減少させて、溶接熱
サイクルの場合の急冷でもδフェライトの残留を防止す
る効果を有している。0.10%未満ではCr当量値の減少が
不十分であり、5.00%超の添加においては鋼が高温に長
時間曝された場合に粒界に純Cuとして析出し、材料の脆
化を招くので、0.10〜5.00%の範囲とした。
P,S,Oは本発明鋼においては不純物として混入して
くるが、本発明の効果を発揮する上で、P,Sは靱性
に、Oは酸化物として靱性を低下させるのでそれぞれ上
限値を0.050%,0.010%,0.020%とした。
以上が本発明の基本成分であるが、本発明においてはこ
の他にそれぞれの用途に応じて(A)Ta:0.01〜1.00%,H
f:0.01〜1.00%の1種または2種および/または(B)C
o:0.01〜1.00%,Ti:0.01〜0.10%の1種または2種
を含有させることが出来る。
Ta,Hfは低濃度の場合にはZrの補助脱酸剤として作用
し、高濃度の場合には炭化物として微細に析出し、クリ
ープ強度を高める元素である。何れも0.01%未満では効
果がなく、1.00%を超えて添加すると炭化物が粗大化し
て靱性低下をきたすので0.01〜1.00%の範囲とした。
Co,Tiはそれぞれ炭化物として析出し、母材の高温強度
を向上させる元素である。それぞれ0.01%未満では効果
がなく、Coでは1.00%を超える場合に粗大な炭化物が析
出し、Ti0.10%超では粗大な窒化物が析出するために靱
性が低下する場合があるので、それぞれCo:0.01〜1.00
%,Ti:0.01〜0.10%の範囲とした。
上述の各合金成分はそれぞれ単独に添加しても、あるい
は併用して添加しても良い。
以上の合金成分の内、溶接ボンド部靱性を改善する効果
の高い元素で、しかもクリープ強度低下、あるいは高温
長時間において鋼の脆化をきたす可能性のある元素,即
ちMn,Ni,Co,Cuはそれぞれ単独の濃度の上限値のみで制
限されるのではなく、本発明者らの研究に基づく次式 Mn%+Ni%+Co%+2Cu%≦12 を満足する必要がある。
上記の不等式は次の実験によって決定した。
本発明の(1)〜(4)の請求項に示した成分を有する耐熱鋼
を真空誘導加熱炉を用いて溶解し、2tonのインゴット
に鋳造した。インゴットよりビレットを所定の大きさに
切り出し、1180℃に加熱後、熱間押し出しして直径50.8
mm,肉厚9.5mmのパイプとし、1050℃×1時間,760
℃×1時間の焼準・焼き戻し処理を施して試験体とし
た。
試験片は長さ500mmに切断したパイプの両端に同一イ
ンゴットから別途切り出したネジ継手を溶接して作製
し、大型高温雰囲気制御引張試験機を用いて実管クリプ
試験に供した。
試験条件は600℃で、最長10万時間迄の破断強度を
調査し、クリープ曲線を採取した後に10万時間における
破断強度をもって評価した。
第1図は横軸にMn%+Ni%+Co%+2Cu%をとり、縦軸
に10万時間破断強度をプロットした図である。
Mn%+Ni%+Co%+2Cu%値が12以下の場合にはクリ
ープ破断強度は16Kg/mm2以上を呈するが、12を超え
ると急激に低下することがわかる。第1図の結果から、
本発明鋼の600℃10万時間における破断強度は16Kg
/mm2以上であることが同時に判る。
第1図の結果をもって不等式 Mn%+Ni%+Co%+2Cu%≦12 を決定した。
尚、本発明は溶接ボンド部靱性の優れた高クリープ破断
強度を有する耐熱鋼を提供するものであるので、本発明
鋼は使用目的に応じて種々の製造方法,および熱処理を
施すことが可能であり、また本発明の効果を何等防げる
ものではない。
まず、溶製プロセスとしてはVIM(真空誘導加熱
炉)、EF(電気炉)、LD(転炉)を用いることが可
能で、また有用である。続いて炉外精錬設備によって溶
鋼を清浄化する方法としてESR(Electro Slag Remeltin
g),AOD(Argon Oxygen Decarbrization),VAD(Va
cum Argon Decarbrization),VOD(Vacum Oxygen Dec
arbrization),およびLF(Ladle Furnace)その他の真
空脱ガスあるいは粉体吹き込み精錬装置(例えばRH,DH,
CAS等)を用いるプロセスを単独でもしくは併用して使
用することが可能で、かつ適している。
溶鋼は鋳型への鋳造と連続鋳造装置によるスラブ、ある
いはビレットへの鋳造によって鋼塊とした後、各種製造
工程へ適した形状に加工する事が出来る。
製造工程としては、丸ビレットあるいは角ビレットへ加
工した後に、熱間押し出し、あるいは種々のシームレス
圧延法によってシームレスパイプおよびチューブに加工
する方法,薄板に熱間圧延,冷間圧延した後に電気抵抗
溶接によって電縫鋼管とする方法,およびTIG,MI
G,SAW,LASER,EB溶接によって(単独で、
あるいは併用して)溶接鋼管とする方法が適用できて、
さらには以上の各方法の後に熱間あるいは温間でSR
(絞り圧延)ないしは定形圧延を追加実施することも可
能であり、本発明鋼の適用寸法範囲を拡大することが可
能である。
本発明鋼は鋼管のみならず、厚板および薄板の形で提供
することも可能であり、熱間圧延まま,もしくは必要と
される熱処理を施した板を用いて種々の耐熱材料の形状
で使用することが可能であって、本発明の効果に何等影
響を与えない。
以上の鋼管、板、各種形状の耐熱部材にはそれぞれ目
的、用途に応じて各種熱処理を施すことが可能であっ
て、また本発明の効果を十分に発揮する上で重要であ
る。
通常は焼準+焼き戻し工程を経て製品とする場合が多い
が、これに加えて焼き入れ、焼き戻し、焼準工程を単独
で、あるいは併用して施すことが可能であり、また有用
である。材料特性の十分な発現に必要な範囲で、以上の
工程は各々の工程を複数回繰り返して適用することもま
た可能であって、本発明の効果に何等影響を与えるもの
ではない。
以上の工程を適宜選択して、本発明鋼の製造プロセスに
適用すればよい。
[実施例] 第1表〜第4表に示す、請求項1〜4の何れかの組成を
有する鋼それぞれ1tonを真空誘導加熱炉を用いて溶解
し、ESR処理で清浄化して不純物を低減した後に鋳型
に鋳造、丸ビレットに加工して熱間押しだしにて外径6
0mm,肉厚10mmのチューブを、シームレス圧延にて外
径380mm,肉厚50mmのパイプをそれぞれ製造した。
チューブ,パイプは1050℃1時間の焼準を2回、加えて
760℃にて1時間焼き戻し処理を実施した。
クリープ特性は第2図に示すように、鋼管5の軸方向6
と平行に直径6mmのクリープ試験片7を切り出し、6
00℃にて10万時間までのクリープ破断強度をもって
評価した。クリープ破断強度16.0Kg/mm2をクリープ強度
評価のしきい値とした。
溶接ボンド部靱性は、同一外径,肉厚の鋼管の端部にそ
れぞれU開先の加工を施して、1対の試験片を突き合わ
せて、適当な入熱でTIG溶接し、溶接後に740℃に
て1時間焼き鈍し処理を加え、600℃にて10万時間
時効処理して、第3図に示すように、突合せ溶接した鋼
管試験体5の溶接ボンド部2の1/2位置(ボンド線3
が板厚の中央線1を横切る位置)に板厚方向に2mmVノ
ッチを入れたシャルピー衝撃試験片4を採取し、0℃に
おける吸収エネルギー値をもって評価した。
母材部靱性はクリープ試験片と同様に管体軸方向に平行
に採取し、2mmのVノッチを入れて0℃での吸収エネル
ギーを測定した。
溶接ボンド部靱性値,母材部靱性値はいずれも0℃にお
いて5.0Kgf・mを評価のしきい値として設定してある。
10万時間におけるクリープ破断強度と溶接ボンド部靱
性は第1表〜第4表に同時に示した。尚、表中のボンド
部靱性調査結果は0℃におけるシャルピー試験5点の平
均値である。また、NI.E.とあるは、Mn%+Ni%+
Co%+2Cu%の式の値(単位wt%)である。
比較のために本発明の請求項1〜4のいずれにも該当し
ない成分を有する鋼と同様の方法で溶解,製造,評価し
た。化学成分と評価結果を第5表に示した。第4図はCu
添加の溶接ボンド部靱性に与える影響を示している。Cu
が0.1%以上の場合に600℃10万時間時効後の0℃
におけるボンド部シャルピー衝撃値が著しく高くなるこ
とがわかる。
第5図はCu添加によって溶接ボンド部のδフェライト面
積率(ボンド線から母材側50μm以内の総面積に占め
る残留δフェライト面積の割合)が減少することを表わ
した図である。0.1%以上のCu添加で、残留δフェライ
ト面積率は殆ど0%となっている。第4図の結果は第5
図の効果によってもたらされたものである。
第6図はCu添加が10万時間時効後の母材靱性に及ぼす
影響を示した図である。Cu含有量が5.0%以下の場合に
は、0℃における母材のシャルピー衝撃値が高いことが
わかる。
第5表に示した比較鋼のうち161番鋼,162番鋼は
Cu含有量が不十分か、もしくは無添加であったために溶
接ボンド部にδフェライトが大量に残留し、溶接ボンド
部靱性を確保できなかった例、163番鋼,164番鋼
はCu添加量が多すぎたために粒界に純Cuが析出して脆化
し、母材の600℃,10万時間時効後における0℃で
の靱性値が低かった例、165番鋼,166番鋼はCu含
有量は適正であったものの、Mn%+Ni%+Co%+2Cu%
の値(表中NI.E.)が12を超えてしまい、600
℃10万時間におけるクリープ破断強度が低下した例、
167番鋼は加えてCu含有量が高かったために、クリー
プ強度の低下に加えて母材の時効後靱性も低下した例、
168番鋼はW含有量が不足して600℃10万時間の
クリープ破断強度が低下した例、169番鋼はW含有量
が過多であったために、600℃10万時間のクリープ
強度が高いものの、溶接ボンド部および母材部の600
℃10万時間時効後における0℃でのシャルピー衝撃値
が低下した例である。
[発明の効果] 本発明は溶接ボンド部の靱性値が高く、加えてクリープ
強度の極めて優れたCr含有フェライト系耐熱鋼を提供す
るもので、産業の発展に寄与するところ極めて大なるも
のがある。
【図面の簡単な説明】
第1図は式 Mn%+Ni%+Co%+2Cu% の値と600℃,10万時間におけるクリープ破断強度
の関係を示す図、第2図は鋼管試験体からのクリープ試
験片採取要領を示す模式図、第3図は溶接ボンド部から
のシャルピー衝撃試験片採取要領を示す模式図、第4図
はCu添加の溶接ボンド部靱性に与える影響を示す図、第
5図はCu含有量と溶接ボンド部の残留δフェライト面積
率の関係を示す図、第6図はCu含有量と600℃10万
時間時効後の母材の0℃におけるシャルピー衝撃吸収値
との関係を示す図である。 1…鋼管板厚中心線、2…溶接ボンド部、3…溶接ボン
ド線、4…JIS4号フルサイズ衝撃試験片、5…鋼管
試験体、6…軸方向、7…クリープ試験片。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大神 正浩 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新日 本製鐵株式會社第2技術研究所内 (72)発明者 直井 久 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新日 本製鐵株式會社第2技術研究所内 (56)参考文献 特開 平2−232345(JP,A) 特開 昭60−155649(JP,A) 特公 昭62−12304(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC:0.01〜0.30%,Si:0.02〜0.8
    0%,Mn:0.20〜3.00%,Cr:8.00〜13.00%,Ni:0.05〜
    1.00%,Mo:0.005〜1.00%,W:0.50〜3.00%,V:0.
    05〜0.50%,Nb:0.02〜0.12%,B:0.0003〜0.008%,
    Cu:0.10〜5.00%,Zr:0.0005〜0.10%,N:0.01〜0.10
    %を含有し、P:0.050%以下,S:0.010%以下,O:
    0.020%以下に制限し、加えてMn,Ni,Cuの添加量が Mn%+Ni%+2Cu%≦12 なる条件を満たし、残部がFeおよび不可避の不純物より
    なることを特徴とする溶接ボンド部靱性の優れたフェラ
    イト系耐熱鋼。
  2. 【請求項2】重量%でC:0.01〜0.30%,Si:0.02〜0.
    80%,Mn:0.20〜3.00%,Cr:8.00〜13.00%,Ni:0.0
    5〜1.00%,Mo:0.005〜1.00%,W:0.50〜3.00%,
    V:0.05〜0.50%,Nb:0.02〜0.12%,B:0.0003〜0.
    008%,Cu:0.10〜5.00%,Zr:0.0005〜0.10%,N:
    0.01〜0.10%を含有し、更にTa:0.01〜1.00%,Hf:0.
    01〜1.00%の1種または2種を含有し、P:0.050%以
    下,S:0.010%以下,O:0.020%以下に制限し、加え
    てMn,Ni.Cuの添加量が Mn%+Ni%+2Cu%≦12 なる条件を満たし、残部がFeおよび不可避の不純物より
    なることを特徴とする溶接ボンド部靱性の優れたフェラ
    イト系耐熱鋼。
  3. 【請求項3】重量%でC:0.01〜0.30%,Si:0.02〜0.
    80%,Mn:0.20〜3.00%,Cr:8.00〜13.00%,Ni:0.0
    5〜1.00%,Mo:0.005〜1.00%,W:0.50〜3.00%,
    V:0.05〜0.50%,Nb:0.02〜0.12%,B:0.0003〜0.
    008%,Cu:0.10〜5.00%,Zr:0.0005〜0.10%,N:
    0.01〜0.10%を含有し、更にCo:0.01〜1.00%,Ti:0.
    01〜0.10%の1種または2種を含有し、P:0.050%以
    下、S:0.010%以下,O:0.020%以下に制限し、加え
    てMn,Ni,Cuの添加量が Mn%+Ni%+Co%+2Cu%≦12 なる条件を満たし、残部がFeおよび不可避の不純物より
    なることを特徴とする溶接ボンド部靱性の優れたフェラ
    イト系耐熱鋼。
  4. 【請求項4】重量%でC:0.01〜0.30%,Si:0.02〜0.
    80%,Mn:0.20〜3.00%,Cr:8.00〜13.00%,Ni:0.0
    5〜1.00%,Mo:0.005〜1.00%,W:0.50〜3.00%,
    V:0.05〜0.50%,Nb:0.02〜0.12%,B:0.0003〜0.
    008%,Cu:0.10〜5.00%,Zr:0.0005〜0.10%,N:
    0.01〜0.10%を含有し、更にTa:0.01〜1.00%.Hf:0.
    01〜1.00%の1種または2種を含有し、あるいは更にC
    o:0.01〜1.00%,Ti:0.01〜0.10%の1種または2種
    を含有し、P:0.050%以下,S:0.010%以下,O:0.
    020%以下に制限し、加えてMn,Ni,Cuの添加量が Mn%+Ni%+Co%+2Cu%≦12 なる条件を満たし、残部がFeおよび不可避の不純物より
    なることを特徴とする溶接ボンド部靱性の優れたフェラ
    イト系耐熱鋼。
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