JPH0684968B2 - セラミックス試験片への脆性予亀裂導入治具 - Google Patents

セラミックス試験片への脆性予亀裂導入治具

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JPH0684968B2 JP61315639A JP31563986A JPH0684968B2 JP H0684968 B2 JPH0684968 B2 JP H0684968B2 JP 61315639 A JP61315639 A JP 61315639A JP 31563986 A JP31563986 A JP 31563986A JP H0684968 B2 JPH0684968 B2 JP H0684968B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はセラミックス等の硬脆材料の破壊靱性を評価す
る破壊靱性試験において、所要の予亀裂を、梁状試験片
の1面に導入するための治具に関する。
〈従来の技術〉 構造物もしくは構造部品を設計し使用するに当っては、
構造材料の諸性質を適確に把握する必要がある。中でも
破壊靱性値は最も重要な特性値であり破壊靱性試験にお
いて求められている。長い使用実績のある金属材料にお
いては破壊力学的に妥当な破壊靱性値を得るために、破
壊靱性試験における試験片に疲労予亀裂を導入する方法
がASTME399 A2に規定されている。すなわち応力拡大係
数KIが該材料の破壊靱性値KICの60%以下という制約条
件下で疲労亀裂を進展させて、亀裂先端曲率半径が実質
的に無限小と見なせる等の必要条件を満たす予亀裂を導
入しなければならない。
しかし、軸受鋼、超硬工具合金、セラミックス等の硬脆
材料においては、疲労亀裂の進展が著しく速いために所
定の疲労予亀裂を制御して導入することが困難である
か、あるいは逆に疲労亀裂進展が著しく緩やかであるた
めに所定の予亀裂長さに到達するまでに極めて長時間を
要するなど、いずれの場合も硬脆材料への疲労予亀裂導
入は工業的な実用性に欠けているものであった。
これらの問題点に対して、軸受鋼、超硬工具合金等の場
合には試験片に脆性予亀裂を導入する方法が近年考案さ
れ、試用されている。(文献1−布村成具、実川資朗;
鉄と鋼、64(1978),S853。文献2−貞廣孟史:日本金
属学会誌、45(1981)、p.291。文献3−R.Warren,B.Jo
hannesson:Powder Metallurgy.27(1984),p.25。)そ
の方法は第1図(a)に示すように、あらかじめ圧痕ま
たは浅い切欠きを加工した第1図(d)に示すような梁
状試験片を中央に溝を有するアンビルの上に、該溝と直
交するように載置し、これを下面が平坦な圧子とで挟ん
で試験片の幅Wの方向に圧縮荷重を加えることによって
アンビルの溝上の試験片自由面を溝内へ僅かに突き出さ
せるものであり、この突き出しによって試験片自由面表
層部に引張応力が生じ、前記圧痕または切欠きを起点と
して脆性亀裂を発生させるものであるが、試験片幅Wの
方向に亀裂が進展するにつれて引張応力が急激に減少す
るため亀裂の進展が停止し、所定の長さaの脆性予亀裂
を導入するものである。このようにして導入された脆性
予亀裂は先端が極めて鋭く、その点に関しては破壊力学
的に妥当な予亀裂であり、かつその導入が疲労予亀裂導
入に比べて極めて短時間でかつ簡便に行えるという点で
上述の脆性予亀裂導入方法は優れているものである。
破壊靱性値KICの算定は、破壊力学的数値解析によって
導かれた数式に実際に試験データを挿入してからKIC
求めるので、その解析の前提とした仮想的予亀裂と実際
に導入された予亀裂とが実質的に同等な寸法形状でなけ
ればならない。このためASTM E399では前述の疲労予亀
裂導入の際の応力条件に関するA2の規定の外に、導入さ
れた疲労予亀裂の寸法形状についても第8.2節に予亀裂
先端線の傾き、進展径路のずれ等の限界値の規定があ
る。すなわち、第1図(b)に示すように、試験片破面
上の予亀裂長さの平均値aに対して両側面での予亀裂長
さの差Δaが10%以内であること、また第1図(c)に
示すように試験片長さ方向に垂直な面に対して予亀裂の
進展した面方向のずれが10°以内であること等が規定さ
れている。(以下の記述において前者を亀裂先端線の傾
きΔa/aと称し、後者は進展径路のずれΔL/Bと称する。
ASTM E399 A2ではΔa/a≦0.10,ΔL/B≦tan10°=0.17
6とされている。)。
(発明が解決しようとする問題点) 上述の脆性予亀裂導入方法は予亀裂先端曲率半径を実質
的に無限小とみなせるものであるという点ではASTM E3
99の規定に適合した方法であるが、脆性亀裂の進展と停
止が瞬時に起こるために予亀裂進展の途中で予亀裂先端
線の傾き、進展径路のずれ等を制御することは困難であ
り、上記の規定を必ずしも容易には満たし得ないという
難点がある。特にセラミックスにおいては、素材もしく
は製品の多くが小型であるために小寸法の試験片を用い
ざるを得ず、かつ靱性が著しく低いために、アンビルの
中央の溝に対する試験片の直交する位置からの僅かなず
れ、アンビルが試験片を支持する長さのばらつき、圧子
下面の粗さと平面度、圧子およびアンビルの剛性、なら
びに圧子、試験片、およびアンビル相互の配置の僅かな
ずれなど、微妙な諸因子が導入される脆性予亀裂の寸法
形状に強い影響を及ぼす。
(問題点を解決するための手段) 本発明はセラミックスの梁状試験片に脆性予亀裂を導入
するに際して、所定の形状の予亀裂を再現性よく導入す
るための治具を提供しようとするものである。
すなわち、本発明は、上面が試験片と直交する中央溝と
該試験片の位置決め溝とを設けたアンビルと、下面が面
粗さ0.8S以下、かつ平面度0.01mm以下である平滑かつ平
坦な板状の圧子とからなるセラミックス試験片への脆性
予亀裂導入治具である。さらに上記構成において、アン
ビルは、試験片の位置決め溝が中央溝の両側に等しい長
さで凸状に設けられ、かつ該位置決め溝の長さの和と、
該中央溝の幅との和が該試験片の長さ以下のものであ
り、また圧子は、少なくとも下面がセラミックスよりな
るものであるか、あるいは面粗さ0.8S以下、かつ平面度
0.01mm以下に仕上げた金属製圧子の下面に、該下面と接
合する面の面粗さを0.8S以下、かつ平面度を0.01mm以下
に仕上げたセラミックス板を接合したものであり、さら
に圧子は、圧子の外周にアンビルの外側面と嵌合する外
枠を設けたものであることが望ましい。
第2図は本発明のセラミックスの梁状試験片に脆性予亀
裂を導入するための治具である。第2図において1はア
ンビルであり、該アンビルの上面の中央には、試験片と
直交する溝3が設けられている。
4は位置決めの溝であり、前記中央の溝3に直交し、前
記中央の溝より浅くかつ試験片の厚さとほぼ同等の幅に
設けられている。2は圧子であり、平滑かつ平坦な下面
を有する板状体である。9は梁状の試験片であり、該試
験片の厚さに相当する一方の面、すなわち試験片の下面
の中央部には予め切欠き又は圧痕が加工されている。ア
ンビル1ならびに圧子2の材料は、加工の容易さの点で
鉄鋼材料が適しているが、セラミックス、その他亀裂導
入に必要な荷重に耐えうる剛性を有する材料が選ばれ
る。
アンビル、圧子の外形は第2図に示すような矩形のもの
に限らず、第3図(c),(d)に示すような円形ある
いは楕円形その他の形状でもよい。
また、アンビル、圧子の大きさは亀裂を導入しようとす
る試験片の大きさによって選択するが、セラミックス試
験片は一般に小さいこともあり、したがって治具も比較
的小型であることが多い。一例としてあげるならば、厚
さが3mm、幅4mm、長さが18〜40mm程度の試験片の場合、
第2図のような形状のアンビルは長さ46mm、幅30mm、高
さ10〜15mmとし、圧子もアンビルとほぼ同等の大きさす
なわち長さ46mm、幅30mm、高さ10〜15mmで、S45Cの鋼材
を用いた。中央の溝3は後述するように試験片を突き出
すための溝であり試験片に導入しようとする亀裂の長さ
aによって溝幅bを設定するが、該溝は溝幅の中心に対
称となるように設ける必要がある。溝3は、第2図に示
すようにアンビルの全幅に亘って設けてもよいが、第3
図(d)のように試験片が直交する部分の周辺にのみ設
けてもよい。また溝3の深さは特に制限されるものでは
なく、アンビルの形状、強度等を勘案して決めれば良
い。
位置決め溝4は、中央の溝3と直交し、かつ中央の溝3
よりも浅く、かつ試験片9の厚さBとほぼ同等の幅で設
けられているが、試験片が中央の溝と正確に直交するよ
うにするためには、試験片の厚さBと溝4の幅の差は0.
5mm以下とすることが望ましい。位置決め溝4の深さ
は、該溝に沿って試験片を配置し、該試験片に圧子を置
いたとき、該試験片が動かないこと、および位置決め溝
4の底面と、中央の溝3の底面との高さの差が、試験片
9が下面を突き出しうるに十分であること等が満たされ
るように、試験片のサイズ、材質等を考慮して設定する
ことが必要である。また位置決め溝4の長さは、適用す
る試験片の長さに応じて設定することができる。
位置決め溝4の底面は、試験片に均一な荷重を与えるた
めに、平滑かつ、平坦に仕上げることが必要である。す
なわち、底面は粗さがJIS B0601で規定されている最大
高さで0.8S以下、又JIS B0621で規定されている平面度
が0.01mm以下とすることが望ましい。以下、本明細書に
記載した面粗さおよび平面度は、それぞれJIS B0601,J
IS B0621に拠って測定したものである。
以上述べたようなアンビルの一例としては先に示したよ
うな、試験片(厚さ3mm、幅4mm、長さ18〜40mm)に対し
て長さ40〜50mm、幅30mm、高さ10〜15mmのアンビルに、
中央の溝3として幅bが3〜6mm、長さ30mm、深さ2mmの
溝を設け、更にこれに直交する溝4として、幅3.2mm、
長さ40〜50mm、深さ1mmの溝を設けた。
第2図に示すように、試験片9への脆性予亀裂の導入
は、先ず、第1図(d)に示すような梁状の試験片9を
アンビル1の位置決め溝4に沿って配置し、試験片の圧
痕又は切欠きのある下面を下向きとし前記圧痕又は切欠
きが、中央の溝3のほぼ中央に位置するように配置す
る。次いで試験片9の上面に圧子2を接触させ、載荷装
置(図示せず)により圧子に荷重を加える。試験片9は
圧子から伝達された圧縮荷重によりアンビル1の中央の
溝3上の試験片の下面が該溝3の内側に僅かに突き出さ
れ、この突き出しによって試験片の下面に引張応力が発
生し、切欠き又は圧痕を起点として脆性亀裂が発生す
る。試験片9の幅方向に亀裂が進展するにつれて引張応
力が緩和され、進展が停止して一定の長さの脆性亀裂が
導入される。
このように、本発明のアンビルは、試験片の位置を決め
るための溝4を有するため、該溝4に試験片を配置する
ことによって試験片は溝3に正確に直交するように配置
される。すなわち、試験片の配置が中央の溝3と正しく
直交する位置からずれることによる第1図(b)に示す
ような脆性予亀裂の進展径路が試験片の長さ方向にずれ
ることを防止することができる。
実施例1に示したように、本発明の治具により亀裂進展
径路のずれの小さいものが再現性良く導入可能である。
圧子により試験片に圧縮荷重を加えたとき、試験片の下
面に生じる引張応力は、中央の溝3の幅bにより変化す
るため、導入される脆性亀裂の長さaもこれによって変
化する。このため導入すべき所要の亀裂長さに応じて、
中央の溝の幅を変える必要がある。また、試験片の厚さ
が変わる場合は位置決め溝の幅も変える必要が生じる。
第3図(e)に示すように、アンビル下面に上面の溝と
異なる幅の溝6を設けておけば、アンビルを裏返すだけ
で、これに対応することができる。中央の溝の幅bと、
位置決め溝の幅を組合せて、これを下面にも設けておく
ことにより多数個のアンビルを用意する必要がなく、管
理、作業効率の面から有利である。
ところで、先にも述べたように、試験片中央の自由面に
生じる引張応力は中央の溝3の幅bにより変化するが、
第3図(b)に示すようにその両側の試験片支持部の長
さcにも影響される。従って、種々の長さの試験片に脆
性亀裂を導入しようとする場合には試験片長さの違いに
よって支持部の長さが異なり、予亀裂長さも異なるとい
う場合がある。
また、試験片の長さに比べて、アンビルの位置決め溝が
長すぎるとアンビルが塑性変形した場合に、試験片の長
手方向端部等に異常な応力集中が生じ、端部の破損、亀
裂進展径路のずれあるいは亀裂先端線が傾く等の問題が
生じる場合がある。
このため本発明においては第3図(b)に示すようにア
ンビル上面の位置決め溝4は、中央の溝3の両側に等し
い長さcで、凸状となるように設けられ、かつ位置決め
溝の長さの和(2c)と中央の溝3の幅bとの和すなわち
(2c+b)が試験片の長さ以下とするものである。
すなわち、アンビル上面の位置決め溝4は、中央の溝3
の両側に等しい長さcを残して、他は少なくとも該位置
決め溝4より深く切り欠かれているものである。切り欠
く場合は、第3図(b)のように中央の溝3と平行にア
ンビルの外周に向かって5を切欠いてもよいが、溝4の
延長部分のみを切欠いてもよい。これによって試験片の
長短によらず試験片支持長さcが一定になり試験片の長
短によらず一定の予亀裂長さが得られる。
また、試験片の長さ方向の端部がアンビルの支持部の外
にはみ出すため試験片の長さ方向の端部に応力が集中す
ることなく、したがって、亀裂進展径路がずれたり、予
亀裂先端線が傾くことが避けられる。
圧子2は梁状の試験片の厚さに相当する面に接触しこれ
に載荷装置(図示せず)からの荷重を伝達するものであ
り、試験片への荷重の分布が不均一となることによる亀
裂形状の変動を避けるために、圧子2の下面は平滑かつ
平坦に仕上げておく必要がある。
また、圧子2の上部には載荷装置からの荷重を受けるた
め、球座機構を設けたり、あるいは直接圧板と接触する
ために圧子は板状とすることが望ましい。
圧子の材料は、加工の容易さの点で鉄鋼材料が適してい
るがセラミックス、その他亀裂導入に必要な荷重に耐え
うる剛性をもつ材料から選ばれる。
圧子から試験片への荷重伝達の均一度と対称性は所定の
形状の予亀裂を再現性良く導入するための必須条件であ
るが、特に、第4図(a)に示すように、圧子2の下面
(試験片への荷重伝達面)の粗さと平面度を最適に制御
する必要がある。
このため、本発明においては、圧子の下面の粗さを0.8S
以下に、平面度を0.01mm以下に仕上げるものである。
本発明では亀裂進展径路のずれ、および予亀裂先端線の
傾きを所定の範囲内に抑制することができ、所定形状の
予亀裂が再現性良く導入される。
また、前にも述べたとおり、圧子の材料として金属材料
は加工の容易さの点で優れているが、試験片への荷重伝
達に際して塑性変形し易く、所定の面粗さと平面度に仕
上げた圧子を用いても、繰り返して使用した場合には、
圧子下面の試験片端部に接触する部分には、応力集中等
によってくぼみを生じやすい。このようにして生じたく
ぼみが試験片と圧子との適合を阻害し、試験片端部の破
損、亀裂進展径路のずれ、あるいは予亀裂先端線が傾く
等の致命的な欠陥をもたらす。
これらの問題を解決するために、本発明では第4図
(b)に示すように圧子の少なくとも下面部をセラミッ
クスとすることが望ましい。
その際、圧子全体をセラミックスにしても良いが、圧子
を金属材料にて製作し、該圧子の下面にセラミックス板
を接合あるいは接着することによって取付けたり、ある
いは前記圧子の下面にセラミックスを溶射あるいはコー
ティングによってセラミックス層を形成してもよい。
セラミックスとしてはジルコニア、窒化珪素その他のも
のが使用できる。セラミックスは試験片への均一かつ対
称性の良い荷重伝達とその耐久性を満たすものでなけれ
ばならないが、その材質、強度はこれらの条件を考慮し
て決定する。
実施例4に示すように、圧子の下面をセラミックスにす
ることによって圧子の耐久性が保証され、所定の形状の
予亀裂導入の再現性が著しく改善される。
上述のように圧子2の下面をセラミックスにした効果は
歴然としているが、少なくとも下面をセラミックスとし
た圧子とする場合、例えば圧縮機から圧子へ荷重を円滑
に伝達するための機構として球座機構等を圧子上部に設
ける場合は、その加工性等を考慮して、圧子全体をセラ
ミックスとせず、球座加工する圧子上部は金属材料製と
し、試験片に荷重を伝達する圧子下面はセラミックス製
の板として両者を接合した圧子を用いる方がより効率的
である。その際、接着材を用いて接着するのが最も簡便
であるが、接合部が十分な剛性を有して試験片への均一
かつ対称性の良い荷重伝達が実現されることが必須条件
であり、このため第4図(c)に示すように、接合部の
両面すなわち金属材料製の圧子2の下面とセラミックス
板7の上面の両者の粗さ平面度を制御し、接合部に十分
な剛性を付与するものである。
すなわち、本発明においては圧子は面粗さ0.8S以下、平
面度0.01mm以下に仕上げた金属製圧子の下面に、該下面
と接合する面の面粗さを0.8S以下、平面度0.01mm以下に
仕上げたセラミックス板を接合して成るものである。
セラミックス板は金属製圧子と一体として剛性を確保し
うるに十分な厚さでよいが、一般には3mm〜10mm程度で
ある。接着材としては有機系の接着剤としてエポキシ系
接着剤等が用いられる。セラミックス板の厚さならびに
接着剤、接着剤層の厚さは金属製圧子と一体として剛性
を確保しうるように選定する必要がある。
また、セラミックス板は金属製圧子の下面の全面に接着
する必要はなく、少なくとも試験片と接触する面に接着
することでもよい。
実施例5から明らかなように、金属圧子の下面およびセ
ラミックス板の各々の接合面を面粗さ0.8S以下、平面度
0.01mm以下とすることにより、試験片に導入される亀裂
の進展径路のずれ、先端線の傾きを極めて小さくするこ
とができる。
所定の寸法形状の予亀裂を導入するためには、上述のよ
うに、アンビルと圧子の設計・加工にきめこまかに配慮
することが必要であるが、さらにアンビル、試験片、お
よび圧子の配置が正確に実現されなければならない。
すなわち、アンビル中央の溝3の中心、試験片9の下面
の圧痕又は切欠きの中心、および圧子2の中心が実質的
に同一の鉛直線上になるように配置されなければ、亀裂
の進展径路がずれたり、先端線が傾いたりすることにな
る。このため、本発明においては、第5図(a)に示す
ように、圧子2の外周に、アンビルの外側面と嵌合する
外枠8を設けるものである。
なお、外枠8の内側面とアンビル1の外側面との間隙は
圧子とアンビル相互の位置決めのためには狭いほど良い
が、外枠8とアンビル1との嵌合を行なうために、該間
隙は0.05mm以上、0.5mm以下とし0.1mm程度が好ましい。
外枠8は、金属等の剛性の高い材料で製作するのが好ま
しいが、圧子2と一体に製作しても良くまた間隙の微調
整を容易にするため、第5図(b)に示すように個々の
部材をボルト等を介してこれを圧子2に取付けても良
い。
実施例6に示すように本発明の外枠を取付けた圧子を用
いることによって導入された亀裂は進展径路のずれ、先
端線の傾きが極めて小さく、また再現性も良い。
また外枠8の外表面は、試験片に亀裂が導入されたこと
を検知するために脆性亀裂進展時に発生する弾性波ある
いは音波等を検出するための検出子を取り付けるのに好
都合である。
また、本発明の治具は、アンビルの位置決め溝、圧子の
下面の形状を適切に変えることにより梁状の試験片に限
らず他の形状の試験片についても応用することができ
る。すなわち第6図(a)は曲面を有する試験片に対す
る応用例であり、圧子の下面ならびにアンビルの位置決
め溝の形状を変えており、第6図(b)は異形板状の試
験片に対する応用例であり、アンビルの位置決め溝の形
状を変形させたものである。このように試験片の形状に
応じてアンビル、圧子の形状を変えることによって適用
範囲は拡大することが可能である。
実施例1 本発明の治具として、アンビルは幅30mm、高さ14mm、長
さ46mmのS45C製とし、アンビルの上面には、中央に幅5m
m、長さ30mm、深さ2mmの溝ならびにこれと直交して幅3.
2mm、長さ46mm(但し、中央の溝の幅を含む)、深さ1mm
の位置決め溝を設けた。
また、位置決め溝の底面は、粗さ0.8S以下、平面度は0.
01mm以下に仕上げた。
圧子は、幅30mm、高さ14mm、長さ46mmのS45C製の板体と
した。該圧子の下面は平滑かつ平坦に仕上げており、粗
さは0.8S以下、平面度は0.01mm以下とした。
試験片は厚さ(B)3.0mm、幅(W)4.0mm、長さ(L)
18mmの梁状のSiC常圧焼結体であり、試験片の下面の長
手方向中央部には厚さ方向に切欠きを加工した。
試験片をアンビルの溝4内に配置し、圧子を載置したの
ち、載荷装置によって圧子に荷重を加え、試験片に脆性
亀裂を導入し、亀裂の進展径路のずれΔL/B(mm/mm)を
測定した。第1表は、No.1は本発明の治具を用い、No.2
は比較例として位置決め溝のないアンビルを用いて、各
々3本の試験片について測定結果を示したものである。
この結果から明らかなように、本発明の治具は、従来の
ものに比べて亀裂の進展径路のずれの小さいものが再現
性よく導入できるものである。
実施例2 実施例1と同様の大きさのアンビルの上面の位置決め溝
を凸状に設けたものである。すなわち、アンビルの中央
の溝と平行に両端部から各々14mm、深さ2mmで切欠い
て、位置決め溝を凸状とした。該溝の長さすなわち試験
片の支持長さcは中央の溝の両側に各々6.5mmと一定に
なり、(2c+b)は18mmとなる。このアンビルを用い
て、実施例1と同様のSiC試験片で、試験片の長さを18m
m、36mmと変えたものについて導入された亀裂の長さを
測定した。
第2表のNo.3,4は本発明の治具、No.5,6は従来の位置決
め溝が凸状でないアンビルであり、各々3本の試験片に
ついての結果を示した。
本発明では、試験片の長さによらず、一定の長さの亀裂
を再現性よく導入することかできる。
実施例3 実施例1と同様の治具において、圧子の下面の粗さを0.
8S、平面度0.01mmに仕上げたものである。この圧子を用
い、実施例1と同様にSiC試験片について亀裂を導入
し、亀裂進展径路のずれ、先端線の傾きを調べた。第3
表においてNo.7は本発明の圧子、No.8,No.9は比較例と
して、下面が粗さ1.6S、平面度0.01mm、および粗さ0.8
S、平面度0.02mmとした圧子について、各々3本の試験
片の導入された亀裂の形状を示したものである。
本発明では、亀裂進展径路のずれ、および予亀裂先端線
の傾きを所定の範囲内に抑制することができ、所定形状
の予亀裂が再現性良く導入される。
実施例4 実施例1と同様の治具において、圧子の下面に厚さ4.0m
mのSi3N4板をエポキシ系接着剤を用いて接着した。
この圧子を用い、実施例1と同様にSiC試験片に亀裂を
導入し、亀裂の進展径路のずれ、先端線の傾きを調査し
た。
第4表において、No.10は実施例1と同様に、SiC試験片
について本発明の圧子を使用して100回目の亀裂導入を
行なった際の亀裂形状を示したものであり、No.11は比
較例としてセラミックスを接着しない中炭素鋼(S45C)
の圧子を使用して10回目の亀裂導入を行なった際の亀裂
形状を示したものである。下面にセラミックスを使用し
たものは100回使用しても、亀裂経路のずれ及び先端線
の傾が小さく、安定した亀裂形状がえられることがわか
る。
圧子の下面をセラミックスにすることにより圧子の耐久
性が保証され、所定の形状の予亀裂が再現性良く導入さ
れる。
実施例5 実施例1と同様の治具において、金属圧子の下面(接着
面)を粗さ0.8S、平面度0.01mmに仕上げ、厚さ4mmで金
属圧子の下面と同じ大きさ(30mm×46mm)のSi3N4
を、金属圧子下面と接合する面を粗さ0.8S、平面度0.01
mmに仕上げ、これをエポキシ系接着剤で金属圧子の下面
に接着した。なお、接着剤層の厚さは0.02mmであった。
この圧子を用いて、実施例1と同様の試験片に亀裂を導
入した。第5表においてNo.12は本発明の圧子であり、N
o.13,No.14は比較例として接合面の仕上げを変えたもの
である。
なおNo.12においては本発明の圧子を使用して100回目の
亀裂導入を行なったものである。
金属圧子およびセラミックス板の各々の接合面を粗さ0.
8S以下、平面度0.01mm以下とすることにより、導入され
る亀裂の進展径路のずれ、先端線の傾きを極めて小さく
することができる。
実施例6 実施例1と同様の治具において、圧子に外枠を取付けた
ものである。外枠は、S45Cの板で、厚さ8mm、長さ46m
m、幅28mm4枚を、圧子の外四周に、外枠の上端が圧子の
上面と同一面になるように配置してボルトを介して圧子
に取付けた。なお、外枠がアンビルに嵌合したとき圧子
の外枠の内側面と、アンビルの外側面との間隙は0.1mm
となるようにボルトで調整した。
この圧子を用いて実施例1と同様の試験片について亀裂
の導入を行ない、導入された亀裂形状を調査した。
第6表のNo.15は本発明の外枠を有する圧子であり、No.
16は比較例として外枠のないものである。
本発明の外枠を有する圧子を用いることにより、亀裂進
展径路のずれ、先端線の傾きの小さい亀裂が再現性良く
導入される。
(発明の効果) 本発明の治具により、セラミックス試験片への所定の寸
法形状の脆性亀裂を簡便かつ再現性良く導入することが
可能となる。更に本発明は、セラミックスに限らず他の
硬脆材料への脆性亀裂導入にも用いることが可能であ
り、またアンビル、圧子の形状を変えることによって梁
状の試験片に限らず他の形状の試験片にも応用すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は梁状の破壊靱性試験片に脆性予亀裂を導入する
基本概念を示すための図であり、(a)は脆性予亀裂導
入の原理を示す断面図、(b)は試験片表面上の亀裂進
展径路のずれを示す平面図、(c)は試験片の破面上に
おける亀裂先端線傾きを示す模式図、(d)は梁状試験
片の斜視図である。 第2図は本発明の治具の実施例を示す斜視図、 第3図(a),(b),(c),(d)は、本発明の治
具のアンビルの実施例を示す斜視図、第3図(e)は上
下面に溝を設けたアンビルの断面図である。 第4図は本発明の治具の圧子の実施例を示す断面図であ
る。 第5図は本発明の治具の圧子に外枠を取付けた実施例を
示すもので(a)は断面図、(b)は枠をボルトで取付
けた実施例を示す斜視図である。 第6図は本発明の治具の他の形状の試験片への応用例を
示す図である。(a)は曲面を有する試験片に対する応
用例を示す断面図、(b)は異形板状の試験片に対して
適用するアンビルの例を示す斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−124848(JP,A) 実開 昭55−123848(JP,U) 特公 昭46−19512(JP,B1)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高精度でセラミックス試験片に、該試験片
    の幅方向に全体幅より短い所定の長さの予亀裂を導入す
    る治具であり、 上面が該試験片と直交する中央溝と該試験片の位置決
    め溝とを設けたアンビルと、 下面が面粗さ0.8S以下、かつ平面度0.01mm以下である
    平滑かつ平坦な板状の圧子 とからなることを特徴とするセラミックス試験片への脆
    性予亀裂導入治具。
  2. 【請求項2】アンビルは、試験片の位置決め溝が中央溝
    の両側に等しい長さで凸状に設けられ、かつ該位置決め
    溝の長さの和と、該中央溝の幅との和が該試験片の長さ
    以下のものであることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載のセラミックス試験片への脆性予亀裂導入治具。
  3. 【請求項3】圧子の少なくとも下面がセラミックスより
    なるものであることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載のセラミックス試験片への脆性予亀裂導入治具。
  4. 【請求項4】圧子が、面粗さ0.8S以下、かつ平面度0.01
    mm以下に仕上げた金属製圧子の下面に、該下面と接合す
    る面の面粗さを0.8S以下、かつ平面度を0.01mm以下に仕
    上げたセラミックス板を接合したものであることを特徴
    とする特許請求の範囲第3項記載のセラミックス試験片
    への脆性予亀裂導入治具。
  5. 【請求項5】圧子が、圧子の外周にアンビルの外側面と
    嵌合する外枠を設けたものであることを特徴とする特許
    請求の範囲第1項または第3項記載のセラミックス試験
    片への脆性予亀裂導入治具。
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