JPH0690766A - アブラナのホスホエノールピルビン酸 カルボキシラーゼ遺伝子 - Google Patents

アブラナのホスホエノールピルビン酸 カルボキシラーゼ遺伝子

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JPH0690766A
JPH0690766A JP26564092A JP26564092A JPH0690766A JP H0690766 A JPH0690766 A JP H0690766A JP 26564092 A JP26564092 A JP 26564092A JP 26564092 A JP26564092 A JP 26564092A JP H0690766 A JPH0690766 A JP H0690766A
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pepcase
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rape
cdna
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JP26564092A
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English (en)
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Yukihiro Yanai
井 幸 弘 柳
Akira Okumura
村 暁 奥
Hiroaki Shimada
田 浩 章 島
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MITSUI GIYOUSAI SHOKUBUTSU BIO KENKYUSHO KK
Original Assignee
MITSUI GIYOUSAI SHOKUBUTSU BIO KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 配列表の配列番号1に示すゲノムDNAの配
列によって規定されるアブラナのホスホエノールピルビ
ン酸カルボキシラーゼ遺伝子。 【効果】 該遺伝子を発現させることによってあるいは
逆にそれを制御することによって、タンパク質含量の高
いあるいは油脂含量の高いアブラナその他の植物を効率
的に育種できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の貯蔵物質の生合
成を制御している因子の一つである、ホスホエノールピ
ルビン酸カルボキシラーゼ(以下、PEPCaseと略
す)の遺伝子に関するものである。該酵素と、蛋白質含
量、脂肪含量との間にはそれぞれ正及び負の相関性があ
るところから、この遺伝子を発現させれば、蛋白質含量
の高いアブラナその他の植物を生産することができ、一
方この遺伝子の発現をアンチセンス遺伝子などによって
抑制すれば、アブラナその他の植物での脂肪の生産増大
が図られる。また、本発明に係るプロモーター配列を利
用すれば、PEPCaseのみならず他の物質の分泌発
現を促進することができるので、本発明を利用すれば所
望する性質を有するアブラナその他各種植物の育種をき
わめて効率的に行うことができる。
【0002】
【従来の技術】PEPCaseは、様々な生物において
存在が確認され、多様な役割を果たしていることが知ら
れている。この酵素は、Mg2+イオンを必要とし、ホス
ホエノールピルビン酸に炭酸イオンから由来する炭素鎖
の付加を行ない、オキサロ酢酸とリン酸を生成する反応
を触媒する。この酵素は、高等植物、酵母、細菌では見
つかっているが、動物には存在しない。なお、これと似
た反応を行なう酵素として、ピルビン酸カルボキシラー
ゼが存在し、これは動物において、重要な働きを行なっ
ていることが知られている。これらの酵素は、ともにT
CAサイクルに必要なオキサロ酢酸の補充に働いている
ものと考えられている。また、高等植物においては、根
におけるpHスタット、窒素代謝におけるイオンバラン
サーとしての働きなども提唱されている(C.S.An
dreo et al.,FEBSLett.,21
3,1−8(1987))。
【0003】高等植物の中でも、C4型あるいはCAM
型といわれる光合成を行なう植物では、大気中のCO2
は、葉肉細胞中に局在するPEPCaseによって固定
され、生成したオキサロ酢酸は、還元されてリンゴ酸に
なる。このため、C4型の植物であるトウモロコシなど
では、PEPCaseに関する多数の研究がある。C3
型植物においても、これら光合成に関わる一連の酵素群
が存在していることは分かっているが、C3型植物とC
4型植物でのPEPCaseの違いなどについては、あ
まり研究が進んでいない。
【0004】これまでに、C4型のPEPCaseは、
トウモロコシ、ソルガムなどで遺伝子のクローニングと
その解析が進んでいる(K.Izui et al.,
Nucl.Acids Res.,14,1615−1
628(1986);M.Matsuoka et a
l.,Eur.J.Biochem.,181,593
−598(1989);R.L.Hudspeth &
J.W.Grula,Plant Mol.Bio
l.,12,579−589(1989);C.Cre
tin et al.,Gene,99,87−94
(1991))。また、C3型の植物では、イネ、タバ
コで遺伝子の解析が進められている(N.Koizum
i et al.,Plant Mol.Biol.,
17,535−540(1991))。さらに、両者の
中間型であるCAM型植物についても、いくつかの研究
が知られている(J.C.Cushman & H.
J.Bohnert,Nucl,Acids Re
s.,17,6743−6746(1989))。これ
らの研究の目標は、光合成型の違いによる酵素の生化学
的研究等に限られてきた。
【0005】グルコースからいくつかの酵素反応を経て
ビルピン酸あるいはホスホエノールビルピン酸にいたる
解糖系と、アセチルCoAとオキサロ酢酸の縮合によっ
て生成するクエン酸が一連の酵素反応でオキサロ酢酸に
戻るまでのTCAサイクルは、ビルピン酸デヒドロゲナ
ーゼあるいはPEPCaseを介してつながっている。
前者の反応は、ビルピン酸からアセチルCoAを経由し
てクエン酸を生成し、後者は、ホスホエノールビルピン
酸から直接、オキサロ酢酸を生成する。TCAサイクル
に入った代謝物は、最終的にはエネルギーとして消費さ
れるか、アミノ酸合成系へつながり、さらにはタンパク
質となる。一方、アセチルCoAは脂肪酸合成系の出発
点でもある。すなわち、解糖系からTCAサイクルへ移
行する段階が、脂肪酸合成とタンパク質合成の分岐点で
もある。
【0006】PEPCase活性が相対的に強い場合、
アセチルCoAの生成量が相対的に低下し、その分、脂
肪酸合成が抑えられ、タンパク質合成が促進されること
が予測される。実際に、ダイズにおける貯蔵タンパク質
含量とPEPCase活性との相関関係が調べられ、こ
の予測を裏づける結果が得られている(T.Sugim
oto et al.,Agri.Biol.Che
m.,53,885−887(1989))。そこで、
植物のPEPCase活性を人為的に操作することによ
って、脂肪酸合成とタンパク質合成の比率(分配の割
合)を変えられるかどうかに興味が持たれるところであ
る。
【0007】アブラナ、ダイズは、作物として非常に有
用である。ダイズの場合、そのタンパク質含量の増大
が、逆にアブラナでは油脂の含量の増大が、育種的に重
要な課題である。しかしながら、従来の育種法では、こ
のような形質の改良には、長い年月と多大な労力を要す
る。そこで、分子育種的手法による形質の改良が待たれ
ていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】人口の増大にともな
い、食糧の増産は世界的な急務であるが、作付面積の拡
大は森林等の自然破壊につながり好ましくない。この様
な条件下で食糧増産を図る為には個々の植物自体を増大
ないしは肥大化する方法のほか、植物における特定の成
分濃度を特に高める方法が考えられる。
【0009】本発明は後者の考えに立ち、しかもこれを
遺伝子工学の手法を利用して解決しようとするものであ
る。特に蛋白質と脂肪の増産という観点からそれに関す
る遺伝子をクローニングする事を目的とし、もって所望
する植物を育種することを究極の目的とするものであ
る。
【0010】本発明者らは、アブラナの分子育種を目標
に、光合成で作り出される炭水化物が、貯蔵物質の脂肪
酸あるいはタンパク質に変換される際の分岐点に存在す
る酵素であるPEPCaseの精製とその遺伝子の単離
および構造解析を試み、アブラナから、PEPCase
遺伝子の単離を行ない、さらに研究を進め、本発明を完
成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために行なわれたものであって、本発明者らは、
植物種子、葉、培養細胞における蛋白質の含量の増大あ
るいは脂肪生産の増大を図る手段として、アブラナから
PEPCase遺伝子のクローニングを計画し、アブラ
ナ登熟期の種子からcDNAをクローニングするのに成
功し、さらに各方面から研究の結果アブラナPEPCa
se遺伝子の構造を決定することに成功し、ついに本発
明の完成に至った。以下本発明について詳細に説明す
る。
【0012】本発明を実施するには、先ずアブラナ種子
からPEPCaseを分離精製する必要がある。それに
は酵素の精製に用いられる情報が適宜利用され、例えば
アブラナ種子を破砕した後、緩衝液に懸濁し、その上清
の硫安分画画分についてカラムクロマトグラフィーなど
既知の方法に従って精製する。
【0013】この様にしてアブラナ種子からPEPCa
seを均一にまで精製した後、それを用いてウサギに対
する抗体を作製した。次に、アブラナの登熟期の種子か
らポリA RNAを調製して、これを鋳型にしてcDN
Aを合成した。このcDNAをλファージベクターλg
t11に組み込みcDNAライブラリーを得た。このラ
イブラリーをさらに大腸菌Y1088株を用いて増幅さ
せてからスクリーニングを行った。
【0014】スクリーニングは、さきに作製したウサギ
抗体を用いて行なったところ、この抗体に特異的に結合
する蛋白質を生産するλファージが6つ得られた。これ
らがPEPCase遺伝子を有するものであるものを確
認するために、これらのλファージが生産する蛋白質に
結合する抗体を精製して、これを用いてウエスタン分析
を行なった。この結果、いずれの抗体もSDSポリアク
リルアミド電気泳動で分離したアブラナ種子蛋白質から
PEPCaseのみを特異的に選択したことからPEP
Case遺伝子を含むことを確認した。
【0015】そこでこれらのλファージからλDNAを
調製して、制限酵素EcoRIで切断してからcDNA
部分を回収して、プラスミドベクターBluescri
ptpKS+にサブクローニングした。これらの物理的
地図を作製したところ、4つは1kb以下の短い挿入断
片しか含まれていなかったが、2つは3kbぐらいの挿
入断片を含んでいた。これらの中でもっとも長いcDN
Aであるものを選択し、pRPC1と名付けた。この塩
基配列を決定してPEPCaseのcDNAの塩基配列
を得るのに成功した。
【0016】次に、このcDNAをプローブとしてλE
MBL3をベクターとするアブラナゲノムライブラリー
より、このcDNAとハイブリダイズするクローンをス
クリーニングした。その結果、15個のクローンが得ら
れた。これらのクローンのλDNAを精製し、挿入断片
の物理的地図を作製し、これらが9つの部位に由来する
ことが確認された。これらのクローンのうち4種のラム
ダファージクローン、λPE3、λPE15、λPE1
05、λPE19は、サザン分析ならびに塩基配列分析
の結果、互いに若干異なる配列からなるアブラナのPE
PCase遺伝子を含むことが明らかとなった。
【0017】本発明は、これらのゲノムDNA断片につ
いて、さらに研究を行なった結果、ついに完成されたも
のである。すなわち本発明は、アブラナのPEPCas
e遺伝子に関するものである。当該遺伝子は、ラムダフ
ァージベクターに組み込まれており、アブラナ植物体よ
り抽出したゲノムDNAから構築されたライブラリーに
由来する。当該遺伝子は、アブラナPEPCaseの酵
素タンパク質をコードするDNA配列と、その上流域に
存在し、遺伝子の植物体内での発現制御に関与するプロ
モーター配列とを含む。なお、このように、本発明に係
る遺伝子はラムダファージに組込まれているので、この
ファージを工業技術院微生物工業技術研究所に対して寄
託の申請を行ったが、微工研が行う特許出願に係る微生
物の寄託等に関する規程実施要領の規定により、その寄
託は受理されなかった。
【0018】本発明のアブラナPEPCase遺伝子の
配列は既に報告のある、トウモロコシ、マツバギク、ラ
ン藻、大腸菌から単離されているPEPCase遺伝子
と相同性が認められたが、同一ではなかった。
【0019】以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明
する。操作の手順は特に記述しない限りCurrent
Protocols in Molecular B
iology(F.M.Ausubelら編集、Joh
n Wiley & Sons,Inc.,1987)
に記載されている方法に従った。
【0020】
【実施例】
【0021】
【(1)アブラナPEPCaseの精製】アブラナ登熟
種子(500g)を粉砕して2リットルの0.1Mリン
酸緩衝液(pH6.8、25mM塩化マグネシウムを含
む)を加えて良く混合し、その上清を遠心分離によって
回収した。この上清から30%から50%の硫酸アンモ
ニウム(硫安)画分を得た。この硫安沈澱物を0.1M
トリス緩衝液(pH7.5、30%硫安を含む)に溶解
した後、同じ緩衝液を用いてブチルトヨパールカラム
(5×50cm)に供してPEPCase活性を溶出し
た。この画分を透析した後、DEAEトヨパールカラム
(5×50cm)に供した。このカラムよりPEPCa
se活性を塩化ナトリウム濃度勾配により溶出した。こ
の画分を硫安沈澱させたのち、セファロースCL6B
(2×90cm)を用いてゲル濾過を行なった。この画
分をハイドロキシアパタイトカラム(1×20cm)に
供し、5mMから100mMのリン酸緩衝液(pH6.
8)にて溶出した。この様にして均一に精製されたPE
PCaseを得た。
【0022】
【(2)アブラナPEPCaseに対する抗体の作製】
以上の方法で得られたアブラナPEPCaseの1mg
を2.5mlのアジュバンドと良く混合した後、ウサギ
の表皮に注射した。60日後に再度同じウサギに同様に
してアブラナPEPCaseを注射して抗体価を高め
た。この後さらに、60日たってからこのウサギから血
液を採取し、等量の50mMクエン酸ナトリウムを加え
てその上清を抗体として用いた。
【0023】
【(3)アブラナ登熟種子からのポリA RNAの調
製】登熟期のアブラナ種子をすぐさま液体窒素に投入し
て凍結し、使用まで−135度で保存した。このアブラ
ナ種子(50g)を液体窒素の存在下で乳鉢を用いて粉
末状になるまで破砕した。これに200mlの抽出緩衝
液(20mMのバナジルコンプレックス、2%SDS、
トリス塩酸(pH8.0))を加えて、すぐさま500
×gで遠心してその上清を回収した。この上清に等量の
フェノール−トリス(pH8.0)を加えて、約10分
間攪拌した後200×gで遠心してその上清を回収し
た。この上清に10分の1量の3M酢酸ナトリウム(p
H5.5)及び2倍量のエタノールを加えて−20℃で
30分間置いた。これを2000×gで遠心して核酸の
沈澱を集めた。これを5mlのトリス緩衝液に溶解した
後、等量のフェノール−トリスを加えて10分間攪拌し
た。この上清を遠心で回収して、このフェノール抽出の
操作を5回繰り返した。得られた上清をエタノールで沈
澱させ、このRNAを蒸留水に溶解し、RNA濃度が1
mg/ml、塩化リチウム濃度が2Mになるようにした
後、氷上で8時間静置した。これを2000×gで遠心
して沈澱を回収した。このRNA沈澱を蒸留水に溶解し
た。ポリARNAの調製はオリゴdTスピンカラム(フ
ァルマシア社製)を用いてこのカラムの使用説明書に従
って行なった。100μgのポリA RNAを得ること
ができた。
【0024】
【(4)cDNAライブラリーの作製】上記の方法で得
たポリA RNAを5μg用い、cDNA合成キット
(ファルマシア社製)を用い、このキットの説明書にし
たがってcDNAを合成した。このキットによるcDN
A合成では合成されたcDNAの両末端にEcoRIア
ダプターをライゲーションキット(宝酒造社製)を用い
てその説明書にしたがって連結反応を行なった。この様
にして得られたλDNAをパッケージングキット(スト
ラタジーン社製)を用いてそのキットの説明書にしたが
ってファージ粒子を再構成させ、cDNAライブラリー
とした。このライブラリーをスクリーニングする前に、
このライブラリーに含まれる全てのファージを大腸菌Y
1088株に感染させ、これを42℃で寒天培地上に培
養して、6時間後に出現したファージプラークからファ
ージをSM溶液を用いて回収した。この回収液にクロロ
ホルムを少量加えて4℃で保存した。以下のスクリーニ
ングではこのファージ液をcDNAライブラリーとして
用いた。
【0025】
【(5)cDNAのスクリーニング】以上のようにして
得られたcDNAライブラリーに含まれるファージ液の
一部を大腸菌(Y1090株)と混合して37℃で15
分間培養することによってファージを大腸菌に感染させ
た。これを50℃で溶解した10mlの軟寒天と混合し
てからLB寒天培地(直径15cmのシャーレ)に重層
させ、軟寒天を固めた。この際一枚のシャーレ当り10
万個のプラークが生じるように大腸菌とファージの量を
調節した。この様にして調製した10枚のシャーレを3
時間42℃で培養後10mMのIPTG溶液をしみこま
せてから乾燥しておいたニトロセルロースフィルターを
寒天培地上にかぶらせさらに3時間37℃で培養を行な
った。その後、これらのフィルターを注意深く寒天培地
から剥し、1%のBSA溶液に16時間浸した。PEP
Caseのウサギ抗体(0.1ml)を100mlのB
SA溶液に加えて混合した後、この溶液に先のフィルタ
ーを浸して緩く揺すりながら室温で1時間抗体と反応さ
せた。発色反応はアルカリフォスファターゼを用いる2
次抗体法のキット(プロメガ社、ピコブルー)をその説
明書にしたがって行なった。フィルター上に現われた6
個の紫色のスポットの位置をそのフィルターが由来する
寒天培地と照らし合わせて対応する位置のファージを1
mlのSM溶液に回収した。これらの6種のファージ液
には目的以外のファージが多数混入しているので、今度
はシャーレ当り約100のファージのプラークが生じる
ように寒天培地に撒いて同様にしてそれぞれのファージ
液から紫色のスポットを与えるファージのプラークを回
収した(2次スクリーニング)。さらに同様にして3次
スクリーニングを行ない、最終的に6個のファージを得
た。
【0026】
【(6)塩基配列の決定】この様にして得られた6種の
ファージからGrossbergerの方法(Nucl
eic Acids Res.,15,6737(19
87))にしたがって、λDNAをそれぞれ調製した。
このλDNAを制限酵素EcoRIで消化してから既に
EcoRIで消化して末端をアルカリフォスファターゼ
処理を施したプラスミドベクターBluescript
pKS+(ストラタジーン社製)とライゲーションキ
ット(宝酒造社製)の説明書にしたがって連結した。こ
れを用いて大腸菌(XL1−Blue株)を形質転換し
た。得られたコロニーからプラスミドを調製して各種の
制限酵素で消化してそれぞれの物理的地図を作成した。
これらを比較して、2種のほぼ全長と思われるcDNA
を見いだした。これらをpRPC1及びpRPC16と
名付けた。これらは類似した物理的地図を示すが、pR
PC1の方がおよそ0.1kb長かった。そこで、pR
PC1の塩基配列を決定するために、挿入断片をpUC
118にサブクローニングした。これらをプロメガ社の
イレース・ベース・キットを用いてその説明書にしたが
ってデレーションクローンを作成した。これらのクロー
ンから一本鎖DNAを調製して、ジデオキシ法により塩
基配列を決定した。この結果、pRPC1には翻訳開始
点が含まれていたので、全長のcDNAインサートを有
することが明らかとなった(配列表)。
【0027】
【(7)アブラナのゲノムDNAの調製とゲノムライブ
ラリーの構築】アブラナ(Brassics napu
s)のゲノムDNAは、RogersとBendich
の方法(Plant Mol.Biol.,5,69
(1985))に従って調製した。得られたDNAを制
限酵素Sau3AIで限定分解し、さらにショ糖密度勾
配遠心分離を行なって、10kb以上のDNA断片を得
た。これをBamHIで切断したλEMBL3ファージ
ベクターのアームと連結後、in vitroパッケー
ジングキット(ストラタジーン社製、GIGAPACK
Gold)を用いて、パッケージングを行ない、大腸
菌LE392株に感染させることによって、多数の組換
えλファージを得た。これをアブラナのゲノムDNAラ
イブラリーとした。ライブラリーの大きさは1.9×1
06であった。
【0028】
【(8)アブラナPEPCase遺伝子のゲノムクロー
ンの単離】前記アブラナのゲノムライブラリーの中の1
00.000個のプラークを対象に、前述のアブラナP
EPCaseのcDNA(pRPC1)をプローブとし
て用いて、アブラナPEPCase遺伝子のスクリーニ
ングを行なった。この結果、15個の陽性を示すゲノム
クローンが得られた。これらゲノムクローンのDNAを
調製し、挿入断片の大きさを調査した。また、それぞれ
のゲノムクローンのDNAに対して、アブラナPEPC
aseのcDNAをプローブとするサザン分析を行な
い、PEPCase遺伝子を含むかどうかの検定を行な
った。アブラナPEPCaseのcDNAの5′端部分
(下記の表15〜表23に示される配列表の配列番号2
に示すcDNAの塩基配列の161番目から870番目
までの塩基配列に対応する)、あるいは3′端部分(同
配列表の配列番号2に示すcDNAの塩基配列の103
7番目から1648番目までの塩基配列に対応する)を
プローブとしたサザン分析を行なった。その結果、λP
E3、λPE15、λPE105、λPE19の4つの
ゲノムクローンは、両方のプローブともに強くハイブリ
ダイズした。このことから、4つのゲノムクローンには
アブラナPEPCase遺伝子が含まれることが示唆さ
れた。なお、これらのプローブはcDNAを用いてPC
Rによって調製した。
【0029】
【表15】
【0030】
【表16】
【0031】
【表17】
【0032】
【表18】
【0033】
【表19】
【0034】
【表20】
【0035】
【表21】
【0036】
【表22】
【0037】
【表23】
【0038】
【(9)アブラナのゲノムクローンの物理的地図の作成
とサブクローニング】λPE3、λPE15、λPE1
05、λPE19の4つのアブラナのゲノムクローンそ
れぞれについて、制限酵素BamHI、EcoRI、S
alI、XhoIを用いて、物理的地図を作成した(図
1)。さらに、アブラナPEPCaseのcDNAをプ
ローブするサザン分析を行なって、それぞれのクローン
において、アブラナのPEPCase遺伝子を含むと考
えられるDNA断片を特定し、それらをプラスミドBl
uescript pSK+にサブクローニングした。
【0039】
【(10)アブラナのゲノムクローンの塩基配列の決
定】λPE3、λPE15、λPE105、λPE19
の4つのアブラナのゲノムクローンに由来するサブクロ
ーンを対象に、挿入断片の塩基配列の決定を試みた。
【0040】まず、デレーションキット(宝酒造社製)
を用いて、挿入断片を段階的に欠失させた一連のデレー
ションクローンの作成を行なった。この操作で得られた
デレーションクローンを用いて塩基配列の決定を行なっ
た。
【0041】得られた塩基配列を、前述のcDNAと比
較したところ、λPE3の塩基配列が対応した。しかし
他のいずれのクローンにも相同性がみられた。従って、
これらがすべてアブラナのPEPCase遺伝子である
ことが確認された。しかし、4クローンの塩基配列は同
一ではなかったので、それらは互いに異なるPEPCa
se酵素タンパク質をコードする遺伝子であるものと考
えられた。
【0042】これらの内、λPE3クローンに含まれる
アブラナのPEPCase遺伝子の全領域の塩基配列を
決定した(下記の表1〜表14に示される配列表の配列
番号1にその結果を示す)。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】
【表12】
【0055】
【表13】
【0056】
【表14】
【0057】前述のPEPCaseのcDNAとの比較
を行なった結果、λPE3クローンのPEPCase遺
伝子は、いくつかのイントロンによってPEPCase
酵素タンパク質のコード域が分断された構造を有するこ
とが明らかとなった。しかし、この遺伝子ではエキソン
7と8が融合していた。
【0058】また、他のλPE15、λPE105、λ
PE19の3つのゲノムクローンに含まれるアブラナP
EPCase遺伝子についても、同様に大部分の塩基配
列を決定し、比較を行なった。その結果、それぞれのア
ブラナPEPCase遺伝子は、塩基配列レベルで高い
相同性がみられた。エキソン、イントロン構造は図に示
すようにクローンによって異なり、λPE15とλPE
105ではエキソン3と4が融合し、また、エキソン7
と8の間にイントロンが存在していた。一方、λPE1
9にはイントロン3および7が存在し、トウモロコシの
遺伝子と類似のエキソン、イントロン構造を有してい
た。それぞれのエキソンの長さはすべてのクローンの間
で差はみられなかった(図2)。なお、λPE15はN
−末端領域の配列が欠如していることが判明した。
【0059】また、アミノ酸配列レベルでは80%を越
える相同性がみられたので、実質的に同じ酵素蛋白質を
コードしているものと考えられた。図3〜図8に1例と
してλPE105のエキソン2以下の塩基配列とそれに
コードされているアミノ酸配列を示す。したがって、こ
れらのクローンにのっているPEPCase遺伝子は、
λPE3クローンとは若干異なっているものの、等しく
PEPCase遺伝子であることが明らかとなった。
【0060】また、図9及び図10、図11(図9にお
ける1文字表示を3文字表示にしたもの)には、それぞ
れのクローンにコードされているエキソン10に対応す
る部分のアミノ酸配列の比較を示す。エキソン10は蛋
白質のカルボキシル末端に相当する。一般に同じ機能を
有する蛋白間でもカルボキシル末端での配列は保存され
ていないことが多いが、このPEPCaseの場合、こ
の部分においても非常によく保存されていた。
【0061】
【(11)プロモーター配列の単離】λPE3ゲノムク
ローンのアブラナPEPCase遺伝子は、PEPCa
se酵素タンパク質をコードする領域の上流に、植物体
内での遺伝子の発現を制御するプロモーター配列を有す
る。このプロモーター配列は、制限酵素BglIIとNc
oIでλPE3クローンのDNAを切断することによ
り、約900塩基のDNA断片として単離される。その
約900塩基のDNA断片のみをプラスミドBlues
cript pSK+にサブクローニングして、プロモ
ーター配列のクローンを取得した。
【0062】
【(12)PEPCaseの発現の制御】アブラナPE
PCase遺伝子の酵素タンパク質をコードするcDN
A配列を用いて、アンチセンスPEPCase遺伝子の
構築を行なった。このDNA配列をバイナリーベクター
pB1121(R.Jefferson et a
l.,EMBO J.,6,3901−3907(19
87))のSmaIサイトに挿入し、PEPCase酵
素タンパク質をコードするmRNAと相補的な転写物R
NAを合成し得るものを選択し、アンチセンスPEPC
ase遺伝子(pBPA3)とした(図12)。
【0063】さらに、このアンチセンスPEPCase
遺伝子を導入した形質転換タバコを、アグロバクテリウ
ムを介した遺伝子導入法(R.B.Horsch et
al.,Science,227,129(198
5))によって作成した。形質転換タバコは、PEPC
aseの活性が低下し、アンチセンスPEPCase遺
伝子によって、PEPCase遺伝子の発現が抑制され
ていることを示した。
【0064】
【発明の効果】本発明によって得られたアブラナのPE
PCase遺伝子は、アブラナの当該酵素タンパク質の
全領域をコードしている。従って、この遺伝子をそのま
ま、あるいはカリフラワーモザイクウイルス由来のプロ
モーターなどと結合することによってつくられた人工的
な遺伝子の発現系を用いて、電気的穿孔法あるいはアグ
ロバクテリウムを利用した方法などによって、イネ、タ
バコなどの植物に導入することが可能である。その結果
得られる形質転換植物体において、PEPCaseの酵
素活性を増大させることが可能である。
【0065】また、配列表に示すアブラナから得られた
PEPCase遺伝子の全部あるいはその一部のDNA
配列を用いて、PEPCase遺伝子に対するアンチセ
ンス遺伝子の構築が可能である。これを植物細胞に導入
することによってPEPCase活性を抑えることが可
能である。
【0066】前述したように、PEPCaseは、グル
コースからホスホエノールビルピン酸に至る解糖系と、
生物が大量にエネルギーを得ているTCAサイクルとを
つなぐ反応を触媒している。TCAサイクルに入った代
謝物は、貯蔵タンパク質の合成にもつながるので、PE
PCase活性を強めた場合には、タンパク質合成が結
果的には促進される。逆に、このPEPCase活性を
抑えることによって、相対的に脂肪酸合成を促進し、油
脂成分の生産量の増大をはかることができるものと思わ
れる。すなわち、植物のPEPCase活性を人為的に
操作することによって、タンパク質合成あるいは油脂合
成の効率を変えることが可能となった。
【0067】特に、アブラナは油脂をつくる作物として
非常に有用である。本発明のアブラナ由来のPEPCa
se遺伝子を用いる分子育種的手法によって、油脂成分
を増大させることは非常に高い経済効果が期待される。
【0068】さらに、本発明のPEPCase遺伝子の
塩基配列を基に、部位特異的置換法あるいはPCR法な
どの手法を用いて、この塩基配列の一部を特異的に変異
させて、PEPCaseを人工的に改変することが可能
である。これは、PEPCaseの機能向上を求める研
究に用いることができる。また、同時に酵素タンパク質
の機能発現に関する幅広い研究にも用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アブラナPEPCase遺伝子のゲノムクロー
ン、λPE3、λPE15、λPE105、およびλP
E19の物理的地図を示す。それぞれのゲノムクローン
において、上段に示す線は、ラムダファージベクター挿
入断片の全領域を示す。物理的地図は、制限酵素Bam
HI、EcoRI、SalI、XhoIを用いて作成し
た。また、PEPCase酵素タンパク質のコード域
を、それぞれの物理的地図の下段に四角で示した。
【図2】PEPCase遺伝子のイントロン、エキソン
構造の比較図である。アブラナPEPCase遺伝子の
ゲノムクローン、λPE3、λPE15、λPE10
5、およびλPE19にのっているPEPCaseをコ
ードする領域のエキソン、イントロンの関係を示す。エ
キソンを四角で示す。番号はエキソン番号である。それ
ぞれのエキソンの長さは四角の大きさに対応する。イン
トロンは棒線で示す。
【図3】アブラナPEPCase遺伝子のゲノムクロー
ンλPE105のエキソン2以下の塩基配列とそれにコ
ードされているアミノ酸配列からなる配列を示す。
【図4】同配列の続きの配列を示す。
【図5】同配列の続きの配列を示す。
【図6】同配列の続きの配列を示す。
【図7】同配列の続きの配列を示す。
【図8】同配列の続きの配列を示す。なお、これらの図
において、塩基配列の中で未決定のものはNで示し、ア
ミノ酸配列の中で決定できなかったものは???で示し
た。
【図9】エキソン10領域の構造比較図である。アブラ
ナPEPCase遺伝子のゲノムクローン、λPE3、
λPE15、λPE105、およびλPE19のPEP
Caseのエキソン10部分のアミノ酸配列を並列し
た。アミノ酸配列は1文字表記した。ギャップは相同性
を極大化するために導入した。λPE3のPEPCas
eと相同なアミノ酸残基は下線で示した。
【図10】図9におけるアミノ酸配列を1文字表記では
なく3文字表記した図面である。なお、「−」で示すも
のは、相同性を高めるために導入したギャップである。
【図11】図10の続きである。
【図12】アンチセンスPEPCase遺伝子ベクター
を示す。上段の線は、PEPCaseのcDNAの物理
的地図を示す。このcDNA配列を用いて、アンチセン
スPEPCase遺伝子ベクター(pBPA3)を構築
した。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号1及び同2に示すホス
    ホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの1〜964番
    目のアミノ酸配列をコードする遺伝子。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号1に示すホスホエノー
    ルピルビン酸カルボキシラーゼの1〜892番目に塩基
    配列に含まれるプロモーター部位。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の遺伝子の全部あるいは
    一部をプローブとして釣り出したアブラナのホスホエノ
    ールピルビン酸カルボキシラーゼのアミノ酸配列をコー
    ドする塩基配列を含む遺伝子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか1項で規
    定されるホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺
    伝子の植物体内での発現を抑制し、植物体内でのホスホ
    エノールピルビン酸カルボキシラーゼの合成量に変化を
    もたらすよう構築されてなる、アンチセンスホスホエノ
    ールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子。
JP26564092A 1992-09-09 1992-09-09 アブラナのホスホエノールピルビン酸 カルボキシラーゼ遺伝子 Pending JPH0690766A (ja)

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