JPH0710774A - スプレプトコッカス・スイス感染に対するワクチン - Google Patents

スプレプトコッカス・スイス感染に対するワクチン

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JPH0710774A
JPH0710774A JP6103080A JP10308094A JPH0710774A JP H0710774 A JPH0710774 A JP H0710774A JP 6103080 A JP6103080 A JP 6103080A JP 10308094 A JP10308094 A JP 10308094A JP H0710774 A JPH0710774 A JP H0710774A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血清型から独立し且つ血清学的に交差反応性
の防御抗原を主成分とするStreptococcus
suis感染に対するワクチンを提供する。 【構成】 細菌Streptococcus suis
に対する中和抗体を誘発することが可能な分子量約54
kDのStreptococcus suisのポリペ
プチド、該ポリペプチドを含有するワクチン及びその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はStreptococc
us suisのポリペプチド、Streptococ
cus suisに起因する疾患からブタを防御するた
めのワクチン、Streptococcus suis
ポリペプチドに対して反応性の抗体及びこのようなワク
チンの製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】Str
eptococcus suisは関節炎、敗血症、髄
膜炎、心外膜炎、心内膜炎、多漿膜炎及び/又は肺炎に
より特徴付けられるブタの感染性疾患の主要な原因物質
として同定された(Clifton−Hadley,
F.A.;Br.Vet.Journ.139:1−5
(1983), Vechtら;Vet.Quarte
rly 7: 315−321 (1985), Wi
ndsor,R.S.; Vet rec.101:
378−379 (1977), Higgins
ら; Can.J.Vet.Res.54: 170−
173 (1990), Devrieseら; Ve
t.Rec.127: 68(1990))。
【0003】罹患率が特に高いのは3〜12週齢の子ブ
タである(Windsor,R.S.及びEllio
t,S.D.; J.Hyg.Camb., 75:
69−78 (1975), Guiseら; Ve
t.Rec.117: 43−44(1985), H
offman,L.J.及びHenderson;
L.M.Am.Assoc.Vet.Lab.Diag
nosticians 28th Ann.Proc.
201−210 (1985))。全年齢のブタがこの
細菌物質に対して感受性であるが、14週齢以上のブタ
の致死率は低い(Guiseら; Vet.Rec.1
17: 43−44 (1985), Hoffma
n,L.J.及びHenderson; L.M.A
m.Assoc.Vet.Lab.Diagnosti
cians 28th Ann.Proc.: 201
−210 (1985))。
【0004】この生物は他の動物種及びヒトにおける疾
患に関連する場合もある(Devrieseら; Ve
t.Rec.127: 68(1990), Homm
ezら; Vet.Rec.123: 626−627
(1988), Arendsら; Rev.Inf
ect.Dis 10: 131−137 (198
8), Gottschalkら; J.Clini
c.Microbiol.27: 2633−2636
(1989), Arends,J.P.及びZan
en.H.C.; Rev.Infect.Dis 1
0: 131−137 (1988))。これらの症例
の感染は通常は皮膚外傷を介して生じる。
【0005】S.suis疾患はDeMoor(DeM
oor,C.E.; Antonie van Lee
uwenhoek 29: 272−280 (196
3))によりオランダ国から最初に報告された。それ以
来、他のヨーロッパ諸国や、カナダ、米国及びオースト
ラリアから他の研究者が相次いで報告している(San
ford,E.及びTilker,M.E.; J.A
m.Vet.Med.Assoc.23: 5−97
(1982), Perchら; J.Clin.Mi
crobiol.17: 993−996 (198
3), Larson,D.J.及びKott,B.;
Am.Assoc.Vet.Lab.Diagnos
ticians 28th Ann.Proc.: 1
21−130 (1985), Guiseら; Ve
t.Rec.117: 43−44(1985), C
lifton−Hadley,F.A.; Br.Ve
t.Journ.139: 1−5 (1983))。
【0006】Streptococcus suis
は多数の異なる血清型に亜分類された。
【0007】血清型決定は莢膜多糖抗原に基づく(Ko
ehneら; Am.J.Vet.Res.40: 1
640−1641 (1979), Perchら;
J.Clin.Microbiol.17: 993−
996 (1983))。
【0008】これまでに全世界で29種の異なる血清型
が検出されている。
【0009】しかしながら、数種の血清型は特定の国に
片寄って発生している。スカンジナビア諸国では血清型
7が最も多発し、オーストリアでは血清型9が最も多
い。全世界中で見いだされる最も一般的な血清型は血清
型2である(Gogolewskiら; Aust.V
et.J.67: 202−204 (1987),B
oetnerら; Acta Path.Microb
iol.Immunol.Scand.Sect.B
95: 233−239(1987))。
【0010】Streptococcus suis
病因、ビルレンス因子又は防御抗原についてはほとんど
不明である。
【0011】従って、病原体に対する有効なワクチン接
種に必要な因子も解明されていない。
【0012】細菌疾患に対するワクチンを製造するため
に一般に使用されている手段の1つは全細胞ワクチン調
製物の製造及び試験である。
【0013】これはStreptococcus su
isについても実施されており、全細胞ワクチンはブタ
において同種抗原投与に対して顕著な防御を生じること
が判明した(Holtら; Res.Vet.Sci.
48: 23−27 (1990))。
【0014】しかしながら、全細胞調製物により得られ
る防御は血清型特異的であると思われる(Kebede
ら; Vet.Microbiol.22: 249−
257 (1990))。全細胞ワクチンの他の一般的
な周知の欠点は、a)注入部位及びその周囲に望ましく
ない反応が生じ、b)実際に防御の誘発に関与する物質
の量に比較して大量の非特異的タンパク質を投与しなけ
ればならないという点である。
【0015】多糖莢膜に基づき現時点で既に29種の異
なるStreptococcussuis血清型が公知
であるという事実に鑑みると、全細胞をベースとするワ
クチンは広い防御を得るために多数の血清型を含むべき
である。
【0016】肺炎レンサ球菌に起因する肺炎からヒトを
防御するために実際にこのようなワクチンが製造されて
いる(Boulnois,G.J.; Journ.G
en.Microbiol. 138: 249−25
9 (1992))。
【0017】このワクチンは最高頻度の血清型からの2
3種の多糖を含む。このワクチンは複雑であること以外
に、莢膜多糖の低免疫原性による重大な欠点がある。
【0018】従って、Streptococcus s
uisの病因に関与すると思われる特定の因子を決定す
るために多数の試みがなされている。
【0019】潜在的ビルレンス因子として赤血球凝集素
及びフィブリエが報告されているが、病因におけるそれ
らの厳密な役割又は機能は未知であり、夫々の分子又は
タンパク質は同定されていない(Jacquesら;
J.Bacteriol.172: 2833−283
8 (1990), Gottschalkら;J.C
lin.Microbiol. 28: 2156−2
158 (1990))。
【0020】これまでに次の4種のタンパク質が潜在的
ビルレンス因子として提案されている。
【0021】a)44kDタンパク質(Gottsch
alkら; Vet.Microb.30: 59−7
1 (1992))、 b)94kDタンパク質(Holtら; J.Com
p.Path. 1003: 85−94 (199
0))、 c)110kDタンパク質(EF:細胞外因子)(Ve
chtら; Infect.Immun. 59: 3
156−3162 (1991), Vechtら;
Infect.Immun. 60: 550−556
(1992),Smith及びVecht; PCT
出願WO92/16630)、 d)136kDタンパク質(MRP:ムラミニダーゼ放
出タンパク質)(Vechtら; Infect.Im
mun.59: 3156−3162 (1991),
Vechtら; Infect.Immun.60:
550−556(1992), Smith及びVe
cht; PCT出願WO92/16630)。
【0022】44kDタンパク質はS.suis血清型
2の病原株から検出され、非病原性突然変異株には存在
しないように思われた。44kDタンパク質を欠失する
突然変異株に対する抗血清は、親株に対する十分な防御
を得るためには不十分であった。従って、このタンパク
質はビルレンスに関与すると仮定される。
【0023】S.suis血清型2の94kDタンパク
に対するウサギ抗血清は、マウスにおいて同種抗原投与
に対する防御を誘発することが判明した。
【0024】110kD及び136kDタンパク質は病
原性の高い株には存在するが、非病原性株には存在しな
いようであり、110kDタンパク質は病原性の低い株
には存在しないようである。
【0025】従って、110kD及び136kDタンパ
ク質は病因に関与すると予想される。他方、これらのタ
ンパク質の単離物に基づく防御実験は未だに公表されて
いない。
【0026】要約すると、これまでに同定された全潜在
的ビルレンス因子のうちで血清型2に対する防御に関与
することが示されているのは44kD及び94kDタン
パク質のみである。この防御はマウスの同種抗原投与で
しか実証されていない。
【0027】更に、Streptococcus su
is血清型2株ではこれまでに上記4種のタンパク質の
存在しか示されていない。
【0028】上述のように、多数の異なる血清型が存在
するので、血清型から独立し且つ血清学的に交差反応性
の防御抗原がワクチンの主成分として明らかに好適であ
る。このような抗原はStreptococcus s
uisでは報告されていない。
【0029】
【課題を解決するための手段】Streptococc
us suisの株には、チオールにより活性化され
得、コレステロールにより阻害され得且つ溶血活性を示
す分子量約54kDのポリペプチドを分泌するものがあ
ることが意外にも知見された。
【0030】全ての溶血毒素は膜完全性及び/又は機能
を破壊することにより哺乳動物細胞を損傷させる現象を
生じさせる。この破壊は細胞膜に一旦取り込まれた毒素
のオリゴマー形態による孔構造形成によると予想され
る。
【0031】本発明の溶血ポリペプチドはチオール活性
化毒素であることが判明した。チオール活性化毒素は還
元状態のみで活性であり、酸化後に可逆的に活性を失う
(Smyth,C.J.及びDuncan,J.L.;
Bacterial Toxins and Cel
l Membranes Jeljaszewicz,
J.及びWadstrom,T(編) Londo
n, AcedemicPress: 129−183
(1978))。
【0032】チオール基の役割は解明されていないが、
膜を傷つけるために必須の配列モチーフの重要な部分で
あると推定される。
【0033】ある種の溶血素の細胞溶解作用の背後の機
序から判断すると、溶血ポリペプチドは哺乳動物細胞膜
内でコレステロールに結合すると仮定される。タンパク
質は細胞に一旦結合すると、脂質二重膜に侵入する。こ
うしてオリゴマー溶血素複合体が形成され、トランスメ
ンブラン孔を形成すると仮定される。
【0034】本発明のポリペプチドの溶血活性はコレス
テロールにより阻害され得る溶血素群に属することが立
証された。コレステロールは溶血素がそれに感受性の細
胞と結合する際に重要な役割を果たすと思われる。コレ
ステロールが細胞との結合における毒素の主要結合部位
であるような数種のモデルが提案されている。遊離コレ
ステロールは細胞溶解活性の強力な阻害剤であり、この
ことは毒素上のステロール結合部位が(遊離)コレステ
ロールにより占められるならばもはや(膜結合)コレス
テロールに結合し得ないという事実により説明すること
ができる(Boulnoisら; Mol.Micro
biol.5: 2611−2616(1991))。
【0035】本発明の溶血ポリペプチドは約54kDの
推定分子量を有する。この分子量は実施例2に記載する
ようなポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用する標準
化方法に従って決定した。図1のレーンCはマーカー分
子(レーンA及びD)の間で精製ポリペプチドを示す。
【0036】Streptococcus suis
株の1種であるP1/7株の溶血ポリペプチドは更に、
そのN末端アミノ酸配列の決定により特徴付けられた。
配列番号1はポリペプチドのN末端配列を示す。溶血ポ
リペプチドは数種のStreptococcus su
is株から単離することができるが、全株から単離でき
るわけではない。夫々の溶血ペプチドを産生するS.s
uis株における溶血ポリペプチドをコードする遺伝子
の核酸配列には僅かな改変が存在してもよい。これらの
改変により形成される新しいトリプレットが同一アミノ
酸をコードするのであればポリペプチドのアミノ酸配列
に何ら影響し得ない。例えばロイシンをコードするトリ
プレットCTG中のGが同様にロイシンをコードするC
により置換された場合がこれに相当する。一方、TがC
により置換されるならば、新たに形成されるトリプレッ
トはロイシンでなくプロリンをコードする。この結果、
溶血ポリペプチドのアミノ酸配列に変異が生じる。
【0037】アミノ酸配列中の変異は1種以上のアミノ
酸が機能的等価物により置換された結果であり得、ある
いはより低頻度であるが終止コドンの導入の結果であっ
たり、核酸配列中の欠失/挿入の場合には1種以上のア
ミノ酸の挿入又は欠失の結果であったりする。多くの場
合は機能的等価物による置換である。Neurathら
(The Proteins, Academic P
ress, NewYOrk (1979), 14
頁、図6)により記載されている例は、アミノ酸アラニ
ンからセリンへの置換Ala/Ser、又はVal/I
le、Asp/Glu等である。上記機能的に等価なア
ミノ酸による置換をもたらす変異以外に、1種のアミノ
酸を機能的等価物ではない別のアミノ酸により置換した
変異もあり得る。この種の変異は、その空間的折り畳み
に僅かな改変を有するタンパク質を生成し得るという点
のみが、機能的等価物による置換とする。
【0038】言うまでもなく、ポリペプチドの免疫原活
性が維持されるように溶血ポリペプチドのアミノ酸配列
に変異をもたらすように溶血ポリペプチドをコードする
核酸配列が変異している場合も本発明の範囲に含まれ
る。
【0039】本発明は更に、Streptococcu
s suis感染からブタを防御することが可能であ
り、上記溶血ポリペプチド又はS.suisの溶血ポリ
ペプチドに対して免疫応答を誘発することが可能なその
一部を含むワクチンに係る。このようなワクチンは例え
ば本発明のポリペプチド又はS.suisの溶血ポリペ
プチドに対する免疫応答を誘発することが可能なその一
部に似せた合成ポリペプチドを使用することにより製造
することができる。
【0040】このようなワクチンの別の製造方法は細菌
培養物からの溶血ポリペプチドの生化学的精製である。
この方法は、例えば細菌の遠心分離と、溶血ポリペプチ
ドを他の成分から分離するためのゲル濾過カラムの使用
により実施することができる。例えば選択的硫安沈殿に
より精製した後、遠心分離し、ペレットを適切な緩衝液
に溶解させてもよい。
【0041】このようなワクチンは例えば分子クローニ
ング法により製造することもできる。この方法では、本
発明のポリペプチド又はS.suisの溶血ポリペプチ
ドに対する免疫応答を誘発することが可能なその一部を
コードする核酸配列を発現ベクターにクローニングし、
その後、適切な発現系で発現させる。その後、発現産物
をワクチン中で使用することができる。使用可能な発現
系としては、細菌、酵母、真菌、昆虫及び哺乳動物細胞
発現系を挙げることができる。
【0042】ポリペプチドの別の製造方法は、ポリペプ
チドの遺伝情報を適切なウイルスベクターにクローニン
グし、ウイルスの宿主細胞を使用してタンパク質を発現
させる方法である。このような系は例えばワクチニアウ
イルスベクターと感受性哺乳動物細胞の組み合わせ、又
はバキュロウイルスベクターとSpodopteraf
rugiperda細胞の組み合わせである。その後、
発現されたポリペプチドを含む細胞溶解物をそのまま又
は精製してワクチンベースとして使用することができ
る。
【0043】更に別のアプローチは、ブタを宿主動物と
するウイルスを所謂組換えキャリヤー生ウイルス(LR
C:Live Recombinant Carrie
r)として使用する方法である。このLRCは付加的遺
伝情報をクローニングしたウイルスである。この組換え
ウイルスに感染した動物はベクターウイルスの免疫原に
対してのみならず、その遺伝コードが組換えウイルスに
付加的にクローニングされるポリペプチドの免疫原部分
に対しても免疫原応答を生じる。
【0044】外来ブタ病原性生物からの遺伝情報を運搬
するための組換えキャリヤー生ウイルスとして特に有用
なウイルスは偽狂犬病ウイルスである。このウイルスは
例えば偽狂犬病/豚コレラウイルス混合ワクチン接種の
ためのLRCとして既に使用され、成功している。
【0045】好適形態によると、本発明のワクチンは更
に他のStreptococcussuis免疫原を含
む。
【0046】S.suis血清型2溶血ポリペプチドに
対する抗血清はその血清型に関係なく他の全溶血産生
S.suis株の溶血素に対して反応性であることが判
明した。
【0047】これは上記44kD、94kD、110及
び136kDStreptococcus suis
リペプチドでは立証されていない。
【0048】しかしながら、これらのうちの1種又は他
の任意のStreptococcus suis免疫原
を付加的に含有する本発明のワクチンは、更に優れた効
果を有する。この高い効果は例えば相乗効果の結果であ
ると思われる。従って、抗原負荷が更に低く、より有効
なワクチンを製造することができる。
【0049】より好適な形態によると、本発明のワクチ
ンは更に本発明のポリペプチドに結合した担体を含む。
担体としては、アオガイヘモシアニン(KLH)、ウシ
血清アルブミンのような他の分子のみならず、複合糖分
子も使用できる。
【0050】更に好適な形態によると、本発明のワクチ
ンは本発明のポリペプチドに結合した莢膜多糖を含む。
【0051】ポリペプチドと炭水化物との共有結合方法
は例えばDick,W.E.及びBeurt,M.;
Contrib.Microbiol.Immuno
l.10: 48−114 (1989)により記載さ
れている。
【0052】当然のことながら、他の種類の担体又はポ
リペプチドと炭水化物の他の結合方法も本発明の範囲に
含まれる。
【0053】別の態様によると、本発明のワクチンは更
に他のブタ病原生物及びウイルスからの抗原を含む。こ
のような生物及びウイルスは例えば、Actinoba
cillus pleuropneumoniae、偽
狂犬病ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ブタパ
ーボウイルス、伝染性胃腸炎ウイルス、ロタウイルス、
大腸菌、Erysipelothrix rhusio
pathiaePasteurella multo
cida及びBordetella bronchis
epticaである。
【0054】本発明のワクチンは好適形態によると更に
アジュバントを含有し得る。アジュバントは一般に宿主
の免疫応答を非特異的に追加免疫する物質からなる。種
々多数のアジュバントが当業者に公知である。アジュバ
ントの例はフロイント完全アジュバント、フロイント不
完全アジュバント、ビタミンE、非イオン性ブロックポ
リマー、ムラミルジペプチド、Quill A(登録商
標)、鉱物油(例えばBayol(登録商標)又はMa
rkol(登録商標))、植物油及びCarbopol
(登録商標)(ホモポリマー)、又はDiluvac
(登録商標)Forteである。
【0055】ワクチンは更に所謂「ベヒクル(Vehi
cle)」を含有し得る。ベヒクルはポリペプチドが共
有結合せずに付着する化合物である。しばしば使用され
るベヒクル化合物は例えば水酸化アルミニウム、リン酸
アルミニウム、酸化アルミニウム、シリカ、カオリン及
びベントナイトである。
【0056】抗原が部分的にベヒクルに埋包されるこの
ようなベヒクルの特殊形態は所謂ISCOM(EP10
9.942, EP180.564, EP242.3
80)である。
【0057】更に、ワクチンは1種以上の適切な表面活
性化合物又は乳化剤、例えばSpan又はTweenを
含有し得る。
【0058】多くの場合、ワクチンを安定剤と混合し、
例えば分解し易いポリペプチドが分解しないようにした
り、ワクチンの寿命を強化したり、凍結乾燥効率を改善
する。有用な安定剤は例えばSPGA(Bovarni
kら; J.Bacteriology 59: 50
9 (1950))、炭水化物(例えばソルビトール、
マンニトール、トレハロース、澱粉、スクロース、デキ
ストラン又はグルコース)、タンパク質(例えばアルブ
ミン又はカゼイン)又はその分解産物、及び緩衝剤(例
えばアルカリ金属リン酸塩)である。更に、ワクチンを
生理学的に許容可能な希釈剤に懸濁してもよい。
【0059】言うまでもなく、アジュバントを添加し、
ベヒクル化合物又は希釈剤を添加し、ポリペプチドを乳
化又は安定化する他の方法も本発明に含まれる。
【0060】別の態様によると、本発明のポリペプチド
又はその抗原部分に対して単一特異的に反応性の抗体を
使用し、受動的免疫を付与する。
【0061】単一特異的抗体は、本発明の54kDポリ
ペプチド又はその一部と反応することが特異的に可能で
あり、他のStreptococcus suis抗原
に対しては特異的に反応しない抗体である。
【0062】病原体に対する抗体を受動的免疫感作で首
尾よく使用することができる。この種の療法の利点は、
感染時投与に抗体を利用できるという点にある。従っ
て、宿主の免疫系が活性化され、十分に高い防御レベル
を生じるまで待つ必要がなく、時間の損失がない。特に
感染が既に発生している場合や疾患が進行中の場合に抗
体を投与すると、病原体及び病原体により生成される毒
素から動物を即座に回復させることができる。従って、
Streptococcus suis感染後にS.s
uis溶血ポリペプチドに対する抗体を利用してブタを
疾患から防御することが可能なワクチンも本発明の範囲
に含まれる。
【0063】本発明は更に、本発明のポリペプチドを医
薬的に許容可能な担体、アジュバント又は希釈剤と混合
することからなる、Streptococcus su
isによる感染に対して哺乳動物を防御することが可能
なワクチンの製造方法も提供する。
【0064】
【実施例】実施例1 細菌株 S.suis タイプ2株P1/7及び688/9は英
国、ケンブリッジ大学のT.Alexander博士に
より提供された。タイプ2株4005、D282、39
21、3977、3889及びT15はオランダ国、L
eystad,CDI−DLOのU.Vecht博士か
ら入手した。タイプ7株10681、10727及び1
4391はデンマーク、Copenhagen,Int
ervetScandinaviaのB.Nielse
n博士により提供された。参照株1〜22はデンマー
ク、Copenhagen,Statens Seru
mInstituteのJ.Henrichsen博士
から入手した。
【0065】株B10、血清型1はオランダ国、Dev
enterの“Gezondheidsdient v
oor dieren, Oost−Nederlan
d”から入手した最新のフィールド単離株である。
【0066】株NV92109血清型8、22089K
M血清型9及び220891GV血清型14は疾患ブタ
からの最新フィールド単離株である。
【0067】細菌培養物 細菌株をヒツジ血液寒天上で画線し、24時間37℃で
培養した。バッチ培養物中の溶血素産生を定量するため
に、数個のコロニーを100ml トッド−ヒューイッ
トブロス(Difco)に接種し、指数増殖期の終わり
まで(通常5〜6時間)37℃で培養した。次に10,
000×gで10分間遠心分離により細胞を除去し、上
清を使用時まで−20℃で保存した。
【0068】溶血素阻害試験 血清の溶血素阻害力価を決定するために、10mM T
ris緩衝溶液(pH7.4)を希釈剤として使用し、
深いウェルを有するタイタープレート中で試験血清の連
鎖2倍希釈液(2μl)を調製した。次に、25溶血単
位を含有する溶血素溶液75μlを各ウェルに加えた。
20℃で10分間インキュベーション後、2%(洗浄)
ウマ赤血球懸濁液150μlを各ウェルに加え、溶血活
性の滴定に関して上述したように試験を行った。溶血の
50%阻害を最小限度で生じる最高希釈度として力価を
決定した。1:128に予備希釈した75μlの血清P
399及び種々の株の未希釈培養物上清75μlを使用
して、(S.suisタイプ2から誘導される)精製溶
血素に対する特異的ブタ血清P399が種々の(血清
型)株により生じる溶血活性を阻害する能力を単一ウェ
ル中で試験した。その後、上記のように試験を完了し
た。同様に1:128に予備希釈した予備免疫血清を対
照(最大溶血)として使用した。血清P399が予備免
疫血清に比較して溶血を>50%阻害した場合には交差
中和が明白であった。最大溶血(予備免疫血清)がバッ
クグラウンド(血清P399)の2倍に達しないので、
溶血素力価<24のサンプルはこの試験では結果を与え
ない。
【0069】実施例2 溶血素の精製 株P1/7の一晩培養物250mlを37℃のトッド−
ヒューイットブロス12リットル中で嫌気性条件下で6
時間成長させた後、細胞を連続フロー遠心分離により除
去した。培養物上清を4℃に冷却し、0.8μmフィル
ターに通した後、PTCG10,000NMWLフィル
ターで150mlに濃縮した。0.2μmフィルターを
通した後、1.0mlずつをSuperose−12ゲ
ル濾過カラム(FPLC, Pharmacia)に加
え、0.5M NaClを含有する40mMリン酸緩衝
溶液(pH7.2)で溶離した。0.5mlフラクショ
ンを集め、SDS−PAGE、イムノブロッティング及
び溶血素試験で分析した。溶血ピーク活性はフラクショ
ン35〜45で溶出した(図2)。
【0070】種々のカラムフラクションをSDS−PA
GE及びイムノブロッティングで分析した結果、溶血活
性は約54kDの単一抗原と同時に移動することが判明
した(図3)。溶血フラクション35〜45をプール
し、50%(NH42SO4で4℃で3時間選択的に沈
殿させることにより微量の汚染物質を除去した。遠心分
離後、ペレットを40mMリン酸緩衝溶液(pH7.
2)20mlに再懸濁した。この最終調製物はクーマシ
ーブリリアントブルーで染色後にSDS−PAGE中で
約54kDの単一ポリペプチド種として出現し(図
1)、β−メルカプトエタノールで還元後に約0.7×
106溶血単位/mgの比活性を有していた。
【0071】タンパク質定量 ウシ血清アルブミンを標準として使用してLowryら
(Lowryら; JBiol.Chem.193:2
65−275 (1951))の方法によりタンパク質
濃度を測定した。
【0072】SDS−PAGE及びウェスタンブロッテ
ィング Laemmli(Laemmli, U.K.; Na
ture 227:680−685 (1970))に
記載の方法に概ね従って9%スラブゲル及びサンプル調
製物中でSDS−PAGEを行った。電気泳動後、ポリ
ペプチドをクーマシーブリリアントブルーR250で染
色するか又はImmobilon PVDF膜にエレク
トロブロットした。ブロットをポリクローナルウサギ血
清R2089又はポリクローナルマウス血清M189で
プローブした(抗血清の項参照)。洗浄後、セイヨウワ
サビペルオキシダーゼ−ヤギ抗ウサギ又はヤギ抗マウス
結合体及び基質としてジアミノベンジジンを使用して結
合抗体を可視化した。
【0073】種々の処理後の溶血活性 全処理とも力価27を有する40mMリン酸緩衝塩水溶
液(pH7.2)中の精製溶血素0.5mlずつを使用
した。
【0074】−20℃、4℃、20℃、37℃及び10
0℃の各温度で溶血素をインキュベーション後に溶血ア
ッセイで温度差の効果を測定した。プロテイナーゼ−K
効果処理を試験するために、濃縮酵素溶液(2mg/m
l)5μlを溶血素溶液0.5mlに加え、10分間2
0℃でインキュベートした。その後、溶血素アッセイで
残留溶血活性を測定した。
【0075】β−メルカプトエタノールによる還元効果
を試験するために、10%(v/v)β−メルカプトエ
タノール溶液5μlを溶血素溶液0.5mlに加え、1
0分間20℃でインキュベートした後、溶血素アッセイ
で活性を試験した。
【0076】 2 2による酸化効果を試験するために、
10%H22溶液5μlを溶血素溶液0.5mlに加え
た後、20℃で10分間インキュベートした。その後、
溶血素アッセイで残留活性を測定した。
【0077】10%(w/v)TLCK溶液5μlを溶
血素溶液0.5mlに加えた後、20℃で10分間イン
キュベートすることにより、TLCK(N−A−p−ト
シル−L−リシンクロロメチルケトン、Sigma)に
よるチオール基のアルキル化効果を決定した。その後、
溶血素アッセイで残留活性を測定した。
【0078】(10%エタノール中)5%コレステロー
ル10μlを溶血素溶液0.5mlに加えた後、20℃
で10分間インキュベートし、その後、溶血素アッセイ
で残留活性を測定することによりコレステロールの効果
を試験した。
【0079】過剰のβ−メルカプトエタノール(2%最
終濃度)を反応混合物の一部に加えた後、20℃で10
分間インキュベートし、溶血活性を滴定することによ
り、所定の処理の還元による可逆性を試験した。
【0080】種々の処理が溶血活性に及ぼす効果を表1
に示す。結果から明らかなように、溶血素は熱不安定性
であり、プロテイナーゼ−K消化、H22による酸化及
びTLCKによるアルキル化に対して感受性である。更
に、溶血活性はコレステロールにより阻害される。β−
メルカプトエタノールと共にインキュベーション後、活
性の増加が検出され、H22で酸化した調製物に過剰の
β−メルカプトエタノールを加えると、溶血活性は回復
した。TLCKで処理した調製物に過剰のβ−メルカプ
トエタノールを加えると、溶血活性は部分的に回復し
た。この部分的な回復はTLCKと反応しなかった酸化
チオール基の存在により説明することができる。温度及
びコレステロールの効果はβ−メルカプトエタノールの
添加により逆転しなかった。
【0081】夫々の試薬又は溶血素を省略した二重の試
験サンプルは夫々の方法が溶血活性に及ぼす効果又は試
薬が赤血球に及ぼす効果を夫々示さなかった。
【0082】溶血素に対する種々の赤血球種の感受性 力価28を有する精製溶血素の還元(0.1%β−メル
カプトエタノール)調製物を使用して種々の赤血球種
(即ちヒト、ウシ、シチメンチョウ、ハト、マウス、ニ
ワトリ、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ及びブタ)の
感受性を試験した。「溶血活性の滴定」とほぼ同様に試
験を行った。全赤血球は溶血素に対してほぼ同等に感受
性であるように思われた。力価は27(マウス、ネコ及
びシチメンチョウ)〜210(ヒト)であった。
【0083】N末端アミノ酸配列 株P1/7から得た精製溶血素の最初の16アミノ酸残
基を自動エドマン分解により配列番号1に示すように決
定した。
【0084】種々のS.suis株中の溶血素分子の分
血清型株1〜22を含む入手可能な全株をトッド−ヒュ
ーイットブロス中で指数増殖期の終わりまで(5〜6時
間)培養し、その後、細胞を遠心分離により除去した。
培養物上清中の溶血素分子の存在を溶血素アッセイ及び
イムノブロッティングで決定した。全部ではないが多く
の株は培養物上清中で種々の量の溶血活性を生じるよう
に思われた(表2)。
【0085】低活性のサンプルを含む全溶血サンプルは
コレステロール及びH22により阻害されるように思わ
れた。更に、H22で酸化した調製物に過剰のβ−メル
カプトエタノールを加えると、溶血活性は完全に回復し
た。
【0086】要約すると、大部分の株は免疫学的及び生
化学的に溶血素に関連する培養物上清中で溶血活性を生
じるように思われ、他の非関連溶血素では何の徴候も検
出されなかった。
【0087】実施例3 ワクチン 精製溶血素、濃縮培養物上清又はプールしたSuper
ose−12カラムフラクション19〜31をベースと
する4種のワクチン及びプラシーボワクチンを株P1/
7から調製した。
【0088】比較のために、精製EFをベースとするワ
クチンを調製した。
【0089】株B10から濃縮培養物上清をベースとす
るワクチンを調製した。
【0090】ワクチンは次のように調製した。
【0091】均質なマイクロエマルジョンが得られるま
で精製溶血素(40μgタンパク質/ml)をDilu
vac Forte(登録商標)アジュバントと1:1
で混合した。このワクチンをVAC−SLYと命名し
た。
【0092】濃縮培養物上清を含有するワクチンは、P
TCG濃縮物の一部(1.9mgタンパク質/ml)を
均質懸濁液が得られるまでDiluvac Forte
(登録商標)アジュバントと1:1で混合した。このワ
クチンをVAC−CCSと命名した。
【0093】第3のワクチンは、プール及び濃縮したS
uperose−12カラムフラクション19〜31
(2mgタンパク質/mlを含有)を均質懸濁液が得ら
れるまでDiluvac Forte(登録商標)アジ
ュバントと混合(1:1)することにより調製した。カ
ラムフラクション19〜31はS.suis株P1/7
の細胞外で産生されたタンパク質の大部分を含んでいた
が、本質的に溶血素を含有していなかった。このワクチ
ンをVAC−SCFと命名した。
【0094】第4のワクチンは、細胞上清を0.2μm
フィルターで濾過した後、60%飽和(NH42SO4
で0℃で16時間沈殿させることにより調製した。遠心
分離後、ペレットをPBSに再懸濁し、培養物上清の約
100倍の濃度の調製物を得た。
【0095】プラシーボワクチンは抗原溶液の代わりに
40mMリン酸緩衝塩水溶液(pH7.2)を使用した
以外は上記と同様に調製した。
【0096】株B10を使用し、上述のように60%飽
和(NH42SO4で0℃で16時間沈殿させることに
よりワクチンを調製した。
【0097】(NH42SO4の漸減勾配を使用して株
P1/7培養物上清の疎水的相互作用クロマトグラフィ
ー(Phenyl Sepharoseフローカラム、
高置換)後にEFワクチンを得た。(透析及び希釈後
の)最終精製EF調製物は約150μg/mlのEFを
含有していた。SDS−PAGE及びクーマシー染色に
よると、調製物は純度>95%であった。
【0098】抗血清 次のように精製溶血素に対する特異的ポリクローナルブ
タ血清(P399)を得た。4週齢のブタをワクチンV
AC−SLY 2mlで筋肉内経路(頸部)により免疫
感作した。感作から2週間後、同一(量)のワクチン及
びワクチン接種経路を使用してブタに追加免疫した。追
加免疫から2週間後、ブタから採血し、血清を使用時ま
で−20℃で保存した。
【0099】マウス防御試験 4週齢Balb−Cマウスを4群に分け、VAC−CC
S、VAC−SCF、VAC−SLY又はプラシーボワ
クチン0.5mlを皮下経路によりワクチン接種した。
感作から2週間後、同一ワクチン及びワクチン接種経路
を使用してマウスに追加免疫した。追加免疫から2週間
後、4×109CFU/mlを含有するトッド−ヒュー
イットブロス中の株P1/7の6時間培養物を使用して
マウスに腹腔内経路で抗原投与(0.5ml)した。抗
原投与後、致死率を7日間記録した。
【0100】結果 抗原投与後、プラシーボをワクチン接種したマウスは3
日以内に死亡し、VAC−CCS及びVAC−SLYを
ワクチン接種したマウスは完全に防御されたようであっ
た(表3)。VAC−SCFは部分的な防御しか誘発し
なかった。このワクチンは株P1/7の細胞外で産生さ
れた抗原の大部分を含有していたが、本質的に溶血素を
含有していなかった。
【0101】結論 以上から結論すると、本発明の精製溶血素を含有するワ
クチンはマウスにおいて防御性である。従って、溶血素
はビルレンス因子であり、S.suisタイプ2感染の
有害な効果からマウスを防御するにはこの単一ビルレン
ス因子を中和すれば十分である。
【0102】マウス異種防御実験 実験動物 Iffa Credoから入手したBALB/cマウス
(4週齢)を使用した。
【0103】実験手順 30匹(2×15)1群のマウス群に表6に示すように
夫々のワクチン0.4mlを1回皮下経路で接種する
か、又はワクチン接種せずにおいた(30匹1群)。ワ
クチン接種から4週間後に1群につき半数のマウスには
株B10(タイプ1)、残りの半数には株P1/7(タ
イプ2)の6時間培養物0.5mlを腹腔内経路で免疫
投与した。
【0104】致死率を7日間記録した。株B10は株P
1/7(致死率100%)に比較してマウスに対して低
病原性であった(致死率約20%)。そこで、B10抗
原投与群の疾患マウスの数も記録した。抗原投与直前に
血液サンプルを採取し、プールした群血清をイムノブロ
ットで試験した。
【0105】結果 溶血素試験によると、株B10(血清型1)の培養物上
清は溶血活性が29・5であり、株P1/7(血清型
2)の培養物上清は活性が2であった。即ち、株B1
0は株P1/7の5倍の溶血活性を生じた。
【0106】SDS−PAGE及びクーマシー染色によ
ると、株B10及びP1/7の両方の濃縮培養物上清は
54kDタンパク質(SLY)を含有しており、株B1
0の濃縮培養物上清は活性が高いことから、54kDタ
ンパク質の含有量が高いと思われた。
【0107】精製EFは54kDタンパク質を含有して
いなかった。
【0108】抗原投与後、どちらの培養物上清含有ワク
チンもマウスに同種及び異種防御を誘発することが判明
した(表6参照)。株P1/7又はB10の培養物上清
を抗原として使用してプール群血清をイムノブロットで
試験した処、どちらの培養物上清ワクチンも抗SLY抗
体を誘発することが判明した(表6)。抗B10培養物
上清では、抗P1/7培養物上清に比較して強い反応が
検出された。イムノブロットで異種試験(P1/7培養
物上清に対する抗B10培養物上清及びB10培養物上
清に対する抗P1/7培養物上清)を行った処、54k
D抗原は主要又は唯一の反応性抗原であった。
【0109】精製EFをワクチン接種したマウスでは抗
体は誘発されたが、高投与量であるにも拘わらず同種又
は異種抗原投与から防御されなかった(表6)。
【0110】結論 どちらの培養物上清ワクチンもマウスに同種及び異種防
御を誘発した。異種試験時に54kD抗原がイムノブロ
ットにおける唯一又は主要な反応性抗原であるという事
実は、SLYがマウスにおける交差防御因子であること
を明示している。
【0111】ブタ防御実験 VAC−SLY、VAC−SCF及びプラシーボを上述
のように調製した。
【0112】VAC−SLYはDiluvac For
te(登録商標)アジュバント中20μg/mlの精製
溶血素を含有していた。VAC−SCF(2mgタンパ
ク質/ml)はDiluvac Forte(登録商
標)アジュバント中にStreptococcus s
uisの細胞外で産生されたタンパク質の大部分を含有
していたが、本質的に溶血素を含有していなかった。
【0113】4週齢のブタ9匹を各々3匹からなる3群
に分け、VAC−SLY、VAC−SCF及びプラシー
ボ2mlを(筋肉内、頸部)ワクチン接種した。最初の
感作から2週間後、同一ワクチン及びワクチン接種経路
を使用してブタを追加免疫した。ブースターから2週間
後、4×109CFU/ml(4)を含有するトッド−
ヒューイットブロス中の株P1/7の6時間培養物を使
用して静脈内経路(0.5ml)抗原投与した。感作の
直前に血液サンプルを採取し、血清を使用時まで−20
℃で保存した。
【0114】細菌再単離 剖検時に大脳、肺及び足根から、可能な場合には大部分
の患部からスワブを採取した。成長した寸法に基づいて
細菌成長を0、1、2、3又は4と採点した。
【0115】結果 抗原投与後、プラシーボでワクチン接種したブタは、数
個の関節損傷による跛行、外観の意気消沈及び高体温に
より特徴付けられる重度の臨床徴候を生じた。プラシー
ボでワクチン接種した3匹のブタのうち2匹は神経学的
徴候を生じ、非常に重症であったため、安楽死させる必
要があった。VAC−SCFでワクチン接種したブタは
対照と同一の臨床徴候を示したが、その程度は低かっ
た。この群のうちの1匹は神経学的徴候を生じ、安楽死
させる必要があった。VAC−SLYでワクチン接種し
たブタは最も軽症であった。この群のブタは軽度の徴候
しか示さず、他の2群に比較して短期間に回復した。臨
床結果を表4に要約する。解剖すると、プラシーボでワ
クチン接種したブタは重度の多発性関節炎に罹患してお
り、ほとんどの関節が冒されていた(表5)。VAC−
SCFでワクチン接種したブタも同様に多発性関節炎に
罹患していたが、その程度は低く、VAC−SLYでワ
クチン接種したブタのほとんどの関節は正常であった
(表5)。
【0116】プラシーボでワクチン接種した3匹のブタ
のうちの2匹及びVAC−SCFでワクチン接種した3
匹のブタの全部の種々の組織から種々の量のStrep
tococcus suisが再単離されたが、VAC
−SLYでワクチン接種したブタからは再単離されなか
った(「再単離合計得点」の項目の下に示した数は各群
における合計動物から再単離された細菌の相対量を示
す)(表5)。
【0117】脳サンプルの組織学的試験(表5)の結
果、VAC−SCFでワクチン接種した2匹のブタ及び
プラシーボでワクチン接種した2匹のブタに髄膜炎が検
出された。
【0118】結論 VAC−SLYでワクチン接種したブタは数日間で臨床
徴候を示したが、これらの徴候はVAC−SCF又はプ
ラシーボでワクチン接種したブタに比較すると著しく軽
度であり且つ短期間であった。解剖すると、VAC−S
LYでワクチン接種したブタはVAC−SCF又はプラ
シーボでワクチン接種したブタに比較して繊維性関節炎
が軽度であり、頻度も低かった。更に、SCFでワクチ
ン接種した2匹のブタ及びプラシーボでワクチン接種し
た2匹のブタは髄膜炎に罹患していたが、VAC−SL
Yでワクチン接種したブタのうちで髄膜炎に罹患してい
るものは皆無であった。更に、VAC−SLYでワクチ
ン接種したブタの肺、関節及び脳は無菌であったが、他
の2群のこれらの器官の大部分からはStreptoc
occus suisタイプ2が再単離された。イムノ
ブロットでは、VAC−SLYでワクチン接種したブタ
の血清(抗原投与日に採取)は全培養物上清中の54k
Dの単一抗原バンドと反応し、溶血素が免疫原性である
こと及び溶血素調製物が高純度であることが確認され
た。
【0119】以上の結果から明らかなように、Stre
ptococcus suis溶血素は重要な因子であ
り、Streptococcus suis感染の有害
な作用からブタを高度に防御し、種々の器官/組織から
細菌を除去するためにはこの単一因子を中和すれば十分
である。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:16アミノ酸 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 ハイポセティカル配列:NO フラグメント型:N末端 起源 生物名:Streptococcus suis 株名:P1/7 配列 Asp Ser Lys Gln Asp Ile Asn Gln Tyr Phe Gln Ser Leu Thr Tyr Glu 1 5 10 15
【図面の簡単な説明】
【図1】低分子量マーカー(レーンA)、濃縮培養物上
清(レーンB)、精製Streptococcus s
uis溶血素(レーンC)及び高分子量マーカーのSD
S−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)。ゲ
ルはクーマシーブリリアントブルーで染色した。左右の
数字はマーカータンパク質の分子量を示す。
【図2】S.suisタイプ2株P1/7の濃縮培養物
上清のSuperose−12クロマトグラフィーのエ
マルジョン曲線。実線:280nmの吸光度、破線:溶
血素力価。
【図3】マーカータンパク質(レーンA)、株P1/7
の濃縮培養物上清(レーンB)及びSuperose−
12カラムフラクション(レーンC〜N)のウェスタン
ブロット。レーンC:フラクション15、レーンD:フ
ラクション18、レーンE:フラクション20、レーン
F:フラクション23、レーンG:フラクション26、
レーンH:フラクション28、レーンI:フラクション
30、レーンJ:フラクション32、レーンK:フラク
ション34、レーンL:フラクション36、レーンM:
フラクション38、レーンN:フラクション40。マー
カータンパク質(レーンA)はクーマシーブリリアント
ブルーで染色した。S.suis抗原(レーンB〜N)
はウサギ血清でプローブした後、ヤギ抗ウサギ結合体及
びジアミノベンジジンを基質として使用することにより
染色した。マーカータンパク質の分子量を左側に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 17/10 8318−4H

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 約54kDの分子量を有しており、チオ
    ールにより活性化され得、コレステロールにより阻害さ
    れ得、天然形態にあるときに溶血活性を有するStre
    ptococcus suisのポリペプチド、又は該
    ポリペプチドに対する免疫応答を誘発することが可能な
    該ポリペプチドの一部。
  2. 【請求項2】 前記ポリペプチドがN末端アミノ酸配列
    Asp−Ser−Lys−Gln−Asp−Ile−A
    sn−Gln−Tyr−Phe−Gln−Ser−Le
    u−Thr−Tyr−Gluを有することを特徴とする
    請求項1に記載のポリペプチド又は該ポリペプチドの一
    部。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のポリペプチドを
    含むことを特徴とするStreptococcus s
    uis感染からブタを防御することが可能なワクチン。
  4. 【請求項4】 別のStreptococcus su
    is免疫原を更に含むことを特徴とする請求項3に記載
    のワクチン。
  5. 【請求項5】 ポリペプチドが担体に結合していること
    を特徴とする請求項3又は4に記載のワクチン。
  6. 【請求項6】 担体が莢膜多糖であることを特徴とする
    請求項5に記載のワクチン。
  7. 【請求項7】 アジュバントを含むことを特徴とする請
    求項3から6のいずれか一項に記載のワクチン。
  8. 【請求項8】 ブタ病原性ウイルス又は微生物に由来す
    る付加的免疫原を含むことを特徴とする請求項3から7
    のいずれか一項に記載のワクチン。
  9. 【請求項9】 免疫原がActinobacillus
    pleuropneumoniae、偽狂犬病ウイル
    ス、ブタインフルエンザウイルス、ブタパーボウイル
    ス、伝染性胃腸炎ウイルス、ロタウイルス、大腸菌、
    rysipelothrix rhusiopathi
    aePasteurella multocida
    Bordetella bronchiseptic
    から構成される群から選択されることを特徴とする請
    求項8に記載のワクチン。
  10. 【請求項10】 請求項1又は2に記載のポリペプチド
    に対して単一特異的に反応性の抗体。
  11. 【請求項11】 請求項1又は2に記載のポリペプチド
    を医薬的に許容可能な担体、アジュバント又は希釈剤と
    混合することからなる、Streptococcus
    suisによる感染から哺乳類を防御することが可能な
    ワクチンの製造方法。
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