JPH07109018B2 - V、Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有する合金および複層鋼管 - Google Patents
V、Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有する合金および複層鋼管Info
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- JPH07109018B2 JPH07109018B2 JP1040092A JP1040092A JPH07109018B2 JP H07109018 B2 JPH07109018 B2 JP H07109018B2 JP 1040092 A JP1040092 A JP 1040092A JP 1040092 A JP1040092 A JP 1040092A JP H07109018 B2 JPH07109018 B2 JP H07109018B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原油、重油、タール、
石炭等を燃料とする燃焼装置、たとえばボイラーにおけ
るV、Na、S、Clの存在する環境下で耐食性を有す
る合金および複層鋼管に関する。さらに詳しくは、原
油、重油、タール、石炭等を燃料とする燃焼環境におい
て形成されるV2 O5 、Na2 SO4 、NaCl等が存
在する環境下で高い耐ホット・コロージョン(Hot
Corrosion)性、耐ホット・エロージョン(H
ot Erosion)性を有する合金および複層鋼管
に関するものである。
石炭等を燃料とする燃焼装置、たとえばボイラーにおけ
るV、Na、S、Clの存在する環境下で耐食性を有す
る合金および複層鋼管に関する。さらに詳しくは、原
油、重油、タール、石炭等を燃料とする燃焼環境におい
て形成されるV2 O5 、Na2 SO4 、NaCl等が存
在する環境下で高い耐ホット・コロージョン(Hot
Corrosion)性、耐ホット・エロージョン(H
ot Erosion)性を有する合金および複層鋼管
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原油、重油等を燃料とする燃焼装置たと
えばボイラーにおいては、V2 O5 、Na2 SO4 等が
形成され、かつ燃焼装置部材の酸化物(スケール)中に
これらの酸化物が付着堆積し、所謂バナジウム・アタッ
クと呼ばれる局部腐食状の酸化を生じることが知られて
いる。これらの腐食に対してCr、Ni、Co等の合金
が一定の耐食性を発揮することは、たとえば「鉄と鋼」
第67巻、第996頁に記載されているように、公知で
ある。
えばボイラーにおいては、V2 O5 、Na2 SO4 等が
形成され、かつ燃焼装置部材の酸化物(スケール)中に
これらの酸化物が付着堆積し、所謂バナジウム・アタッ
クと呼ばれる局部腐食状の酸化を生じることが知られて
いる。これらの腐食に対してCr、Ni、Co等の合金
が一定の耐食性を発揮することは、たとえば「鉄と鋼」
第67巻、第996頁に記載されているように、公知で
ある。
【0003】複層管を製造する方法についても多数の方
法が知られている。たとえば、炭素鋼或は低合金鋼に合
金合わせ材を溶接等によって仮接着し、さらに熱間圧延
によりクラッド鋼板とし、このクラッド鋼板からサブマ
ージド・アーク溶接等によって複層鋼管とする方法があ
る。また、鋼管等に直接的に金属被覆することによって
複層管とする方法も知られている。たとえば、特開昭6
1−223106号公報には、熱間静水圧プレス法を用
いて高合金粉末を鋼管等に固着せしめて複層管を直接的
に製造する方法が開示されている。
法が知られている。たとえば、炭素鋼或は低合金鋼に合
金合わせ材を溶接等によって仮接着し、さらに熱間圧延
によりクラッド鋼板とし、このクラッド鋼板からサブマ
ージド・アーク溶接等によって複層鋼管とする方法があ
る。また、鋼管等に直接的に金属被覆することによって
複層管とする方法も知られている。たとえば、特開昭6
1−223106号公報には、熱間静水圧プレス法を用
いて高合金粉末を鋼管等に固着せしめて複層管を直接的
に製造する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】火力発電所のように、
化石燃料や塵埃を燃焼してエネルギを取り出す設備にお
いては、燃料がタール、石炭、重油或はプラスティック
の混入する塵埃である場合、燃焼生成物に多量のV、N
a、S、Clを含有するから、発電設備或は燃焼設備の
炉壁管、蒸気過熱器管等の表面にV2 O5 、Na2 SO
4 、NaCl等を含む低融点化合物が形成され、その結
果、管表面に形成されたスケールが溶融して腐食(ホッ
ト・コロージョン)が発生し、長期の使用中に炉壁管、
蒸気過熱器管等を破壊するに至る。
化石燃料や塵埃を燃焼してエネルギを取り出す設備にお
いては、燃料がタール、石炭、重油或はプラスティック
の混入する塵埃である場合、燃焼生成物に多量のV、N
a、S、Clを含有するから、発電設備或は燃焼設備の
炉壁管、蒸気過熱器管等の表面にV2 O5 、Na2 SO
4 、NaCl等を含む低融点化合物が形成され、その結
果、管表面に形成されたスケールが溶融して腐食(ホッ
ト・コロージョン)が発生し、長期の使用中に炉壁管、
蒸気過熱器管等を破壊するに至る。
【0005】さらに、石炭専焼ボイラー、流動床形式の
ごみ焼却/発電設備の場合、燃焼灰、流動砂によるホッ
ト・エロージョンが炉壁管、蒸気過熱器管等の表面に発
生し、ホット・コロージョンを加速する。本発明は、V
2 O5 、Na2 SO4 、NaCl等が存在する高温燃焼
環境において優れた耐食性を有する合金およびこの合金
を内管或は外管の何れかに用いる複層管を低コストで提
供することを目的とする。
ごみ焼却/発電設備の場合、燃焼灰、流動砂によるホッ
ト・エロージョンが炉壁管、蒸気過熱器管等の表面に発
生し、ホット・コロージョンを加速する。本発明は、V
2 O5 、Na2 SO4 、NaCl等が存在する高温燃焼
環境において優れた耐食性を有する合金およびこの合金
を内管或は外管の何れかに用いる複層管を低コストで提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1) 重量で、C≦0.05%、Si:0.02〜
0.5%、Mn:0.02〜0.5%、Cr:15〜3
5%、Co:10〜40%、Fe:5〜15%、W:
0.5〜5%、Ca:0.0003〜0.005%を含
み、残部は下限を4%とするNiおよび不可避的不純物
からなり、かつ下記式を満足することを特徴とするV、
Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有
する合金。
ろは下記のとおりである。 (1) 重量で、C≦0.05%、Si:0.02〜
0.5%、Mn:0.02〜0.5%、Cr:15〜3
5%、Co:10〜40%、Fe:5〜15%、W:
0.5〜5%、Ca:0.0003〜0.005%を含
み、残部は下限を4%とするNiおよび不可避的不純物
からなり、かつ下記式を満足することを特徴とするV、
Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有
する合金。
【0007】 Ni(%)+0.5Co(%)≧Cr(%)+W(%) (2) Crを含有するボイラー用鋼管を内管或は外管
とし、前項1記載の合金を前記内管或は外管の外管材或
いは内管材としたことを特徴とするV、Na、S、Cl
の存在する燃焼環境において耐食性を有する複層鋼管。
以下、本発明を詳細に説明する。
とし、前項1記載の合金を前記内管或は外管の外管材或
いは内管材としたことを特徴とするV、Na、S、Cl
の存在する燃焼環境において耐食性を有する複層鋼管。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明者等は、多くの実験を伴う研究を重
ねた結果、V2 O5 、Na2 SO4 、NaCl等が、合
金の表面に形成されているスケール中に混入する環境に
おける合金の耐食性は、Cr含有量のみではなく、N
i、Co、Fe、Wとの組合せに依存することを見出し
た。一般に、O2 含有量が多い高温酸化環境において
は、Cr含有量の多い合金が耐食性に優れている。しか
しながら、通常、原油、重油、タール、石炭等を燃料と
する発電設備、ならびにごみ焼却/発電設備では、NO
xを低減させるために、燃焼環境におけるO2 含有量を
低減せしめている。而して、前記燃焼環境においては、
高Cr合金は必ずしも耐食性を有しない。
ねた結果、V2 O5 、Na2 SO4 、NaCl等が、合
金の表面に形成されているスケール中に混入する環境に
おける合金の耐食性は、Cr含有量のみではなく、N
i、Co、Fe、Wとの組合せに依存することを見出し
た。一般に、O2 含有量が多い高温酸化環境において
は、Cr含有量の多い合金が耐食性に優れている。しか
しながら、通常、原油、重油、タール、石炭等を燃料と
する発電設備、ならびにごみ焼却/発電設備では、NO
xを低減させるために、燃焼環境におけるO2 含有量を
低減せしめている。而して、前記燃焼環境においては、
高Cr合金は必ずしも耐食性を有しない。
【0009】V2 O5 、Na2 SO4 、NaCl等が燃
焼環境において使用される金属材料のスケール中に形成
される状況の下では、金属材料(合金)表面に形成され
るスケール内で低融点化合物(たとえばNaCl、Na
2 SO4 共晶化合物)を生成する。その結果、合金表面
のスケールが局所的に溶融して保護性スケールが消失す
るために、腐食速度が異常に高くなる。さらに、流動
砂、石炭灰等によるホット・エロージョンが腐食速度を
加速する。
焼環境において使用される金属材料のスケール中に形成
される状況の下では、金属材料(合金)表面に形成され
るスケール内で低融点化合物(たとえばNaCl、Na
2 SO4 共晶化合物)を生成する。その結果、合金表面
のスケールが局所的に溶融して保護性スケールが消失す
るために、腐食速度が異常に高くなる。さらに、流動
砂、石炭灰等によるホット・エロージョンが腐食速度を
加速する。
【0010】本発明者等の研究によれば、局所的なスケ
ールの溶融は、最初にスケール内に形成される低融点化
合物の融液の中に合金のスケール(たとえばFe
2 O3 )或は合金そのものが融解することによって発生
することが判明した。従って、低融点化合物の融液に溶
融し難いスケール組成或は合金組成とすることが前記環
境において使用合金の耐食性を高めるのに有効である。
換言すれば、そのような組成のスケールを形成する合金
成分を設定することが必要である。
ールの溶融は、最初にスケール内に形成される低融点化
合物の融液の中に合金のスケール(たとえばFe
2 O3 )或は合金そのものが融解することによって発生
することが判明した。従って、低融点化合物の融液に溶
融し難いスケール組成或は合金組成とすることが前記環
境において使用合金の耐食性を高めるのに有効である。
換言すれば、そのような組成のスケールを形成する合金
成分を設定することが必要である。
【0011】また、本発明の合金を用いて得られた鋼管
(複層管)は、600℃以下の温度域で使用される。こ
の温度域は、種々の析出物が生成する温度域であるが、
炭化物は低融点化合物を生成するから、特に連続した炭
化物の析出、たとえば粒界における連続した炭化物析出
は、腐食量を増加させる。このため、内層或は外層を形
成する合金(耐食材)のC含有量を低減する必要があ
る。また、耐ホット・エロージョン性を合金に付与する
ためには、マトリックスの強化とともに巨大析出物の形
成を抑制することが必要である。粒界、粒内を問わず、
析出する金属間化合物、炭・窒化物が成長すると、耐ホ
ット・エロージョン性を劣化させる。従って、これらの
析出物を形成するか或は助長する合金成分を低減するこ
とが必要であり、後述するように、析出の抑制と高温強
度の付与の両者を満足する合金設計が必要である。
(複層管)は、600℃以下の温度域で使用される。こ
の温度域は、種々の析出物が生成する温度域であるが、
炭化物は低融点化合物を生成するから、特に連続した炭
化物の析出、たとえば粒界における連続した炭化物析出
は、腐食量を増加させる。このため、内層或は外層を形
成する合金(耐食材)のC含有量を低減する必要があ
る。また、耐ホット・エロージョン性を合金に付与する
ためには、マトリックスの強化とともに巨大析出物の形
成を抑制することが必要である。粒界、粒内を問わず、
析出する金属間化合物、炭・窒化物が成長すると、耐ホ
ット・エロージョン性を劣化させる。従って、これらの
析出物を形成するか或は助長する合金成分を低減するこ
とが必要であり、後述するように、析出の抑制と高温強
度の付与の両者を満足する合金設計が必要である。
【0012】また、叙上の燃焼環境にはNaClが存在
するので、設備が定期整備または一時的な休止状態にあ
る場合に、露点に達した環境中の水蒸気の凝結に対する
対策を必要とする燃焼炉もある。しかし、通常、かかる
水蒸気の凝結に対する対策を必要としない燃焼炉もあ
り、このような燃焼炉にあっては、水蒸気の凝結に対す
る対策のために添加する合金元素を必要としない。
するので、設備が定期整備または一時的な休止状態にあ
る場合に、露点に達した環境中の水蒸気の凝結に対する
対策を必要とする燃焼炉もある。しかし、通常、かかる
水蒸気の凝結に対する対策を必要としない燃焼炉もあ
り、このような燃焼炉にあっては、水蒸気の凝結に対す
る対策のために添加する合金元素を必要としない。
【0013】一方、本発明の複層鋼管の場合、管内面の
環境は、通常、水蒸気である。従って、内管材は水蒸気
環境において耐酸化性を有するものであることが必要で
ある。通常、火力発電設備の過熱器管等には、JIS
G3462に規定されるCr:0.5〜10%を含有す
るSTBA20、STBA26等の合金鋼管、JIS
G3463に規定されるCr:18%、Ni:9〜14
%を含有するオーステナイト鋼、SUS304TB、3
21TB、316TB、347TB等が使用されてい
る。
環境は、通常、水蒸気である。従って、内管材は水蒸気
環境において耐酸化性を有するものであることが必要で
ある。通常、火力発電設備の過熱器管等には、JIS
G3462に規定されるCr:0.5〜10%を含有す
るSTBA20、STBA26等の合金鋼管、JIS
G3463に規定されるCr:18%、Ni:9〜14
%を含有するオーステナイト鋼、SUS304TB、3
21TB、316TB、347TB等が使用されてい
る。
【0014】本発明の場合も、内管材として、これらボ
イラー用鋼管としてJISに規定される合金を使用す
る。例外的に、本発明の合金が内管として使用されるこ
ともあるが、その場合も外管材として上記ボイラー用鋼
管が用いられる。さらに、本発明の複層鋼管が蒸気過熱
器管として使用される場合、U字曲げ等の冷間加工を施
さなければならない。このため、外管材として用いられ
る合金は、内管材として使用されるボイラー用鋼管と同
等以上の冷間加工性が必要であり、耐食性とともに所要
の冷間加工性を満足する合金設計が求められる。
イラー用鋼管としてJISに規定される合金を使用す
る。例外的に、本発明の合金が内管として使用されるこ
ともあるが、その場合も外管材として上記ボイラー用鋼
管が用いられる。さらに、本発明の複層鋼管が蒸気過熱
器管として使用される場合、U字曲げ等の冷間加工を施
さなければならない。このため、外管材として用いられ
る合金は、内管材として使用されるボイラー用鋼管と同
等以上の冷間加工性が必要であり、耐食性とともに所要
の冷間加工性を満足する合金設計が求められる。
【0015】図1、図2に、外管材の使用環境をシミュ
レートした試験環境における合金の腐食試験結果を示
す。試験条件は、 (A):〔20%V2 O5 +30%Na2 SO4 +20
%NaCl+30%Fe 2 O3 〕 (B):〔20%NaCl+20%Na2 SO4 +40
%FeCl2 +20%Fe2 O3 〕 である。それぞれ表面に1mm厚さの低融点スケールを
乗せた試験片を、700℃の大気中に24時間保持し
た。これらの試験によって、低融点スケールによる異常
腐食に対する耐食性を評価することができる。
レートした試験環境における合金の腐食試験結果を示
す。試験条件は、 (A):〔20%V2 O5 +30%Na2 SO4 +20
%NaCl+30%Fe 2 O3 〕 (B):〔20%NaCl+20%Na2 SO4 +40
%FeCl2 +20%Fe2 O3 〕 である。それぞれ表面に1mm厚さの低融点スケールを
乗せた試験片を、700℃の大気中に24時間保持し
た。これらの試験によって、低融点スケールによる異常
腐食に対する耐食性を評価することができる。
【0016】また、合金の冷間加工性の評価試験とし
て、JIS G3463に規定されている扁平試験に準
じて密着扁平試験を行った。図3に、評価試験結果を示
す。図1に、前記試験条件(環境)(A)における腐食
深さに及ぼすCrの影響を示す。Cr含有量は、15〜
35%の間が最適範囲である。図2に、試験条件(環
境)(B)における腐食深さに及ぼすCoの影響を示
す。この環境で耐食性を確保するためには、Co含有量
は10%以上必要である。
て、JIS G3463に規定されている扁平試験に準
じて密着扁平試験を行った。図3に、評価試験結果を示
す。図1に、前記試験条件(環境)(A)における腐食
深さに及ぼすCrの影響を示す。Cr含有量は、15〜
35%の間が最適範囲である。図2に、試験条件(環
境)(B)における腐食深さに及ぼすCoの影響を示
す。この環境で耐食性を確保するためには、Co含有量
は10%以上必要である。
【0017】図3に、密着扁平試験の結果を示す。図3
から明らかなように、Ni+0.5Co≧Cr+Wの条
件を満足すれば、割れを発生せずに高い冷間加工性を得
ることができる。次に、外管材或は内管材として用いら
れる本発明の耐食性合金の成分限定理由を説明する。
から明らかなように、Ni+0.5Co≧Cr+Wの条
件を満足すれば、割れを発生せずに高い冷間加工性を得
ることができる。次に、外管材或は内管材として用いら
れる本発明の耐食性合金の成分限定理由を説明する。
【0018】Cは、炭化物を形成し、この炭化物が低融
点スケールによる異常腐食の起点となる。従って、C含
有量は可及的に少なくしなければならない。特に、粒界
への連続した炭化物の析出を抑制することが必要であ
る。このような理由から、C含有量は、0.05%以下
でなければならない。Siは、合金の耐酸化性を向上さ
せる。しかし、本発明においては、Siが合金中のCの
活量を大きくし、その結果、炭化物の析出を増加させる
ので低減しなければならない。一方、Siは、合金溶製
時に脱酸剤として添加する必要がある。Si含有量が
0.02%未満では脱酸効果を発現できず、0.5%を
超えると脱酸効果は飽和する。
点スケールによる異常腐食の起点となる。従って、C含
有量は可及的に少なくしなければならない。特に、粒界
への連続した炭化物の析出を抑制することが必要であ
る。このような理由から、C含有量は、0.05%以下
でなければならない。Siは、合金の耐酸化性を向上さ
せる。しかし、本発明においては、Siが合金中のCの
活量を大きくし、その結果、炭化物の析出を増加させる
ので低減しなければならない。一方、Siは、合金溶製
時に脱酸剤として添加する必要がある。Si含有量が
0.02%未満では脱酸効果を発現できず、0.5%を
超えると脱酸効果は飽和する。
【0019】Mnは、Siと同様に、合金溶製時に脱酸
剤として添加する必要がある。Mn含有量が0.02%
未満では脱酸効果を発現できず、0.5%を超えると脱
酸効果は飽和する。Crは、低融点スケールによる合金
の異常腐食を抑制する耐食性酸化膜を形成する主要元素
の1つである。しかし、Crはフェライト形成元素であ
り、合金製造時にδ−フェライトを形成し、かつ強力な
炭化物形成元素である。δ−フェライトは、炭化物とと
もに異常腐食の原因となる。従って、過剰な添加はかえ
って合金の耐食性を劣化させる。図1に示すように、C
rの含有量は15〜35%が最適範囲である。
剤として添加する必要がある。Mn含有量が0.02%
未満では脱酸効果を発現できず、0.5%を超えると脱
酸効果は飽和する。Crは、低融点スケールによる合金
の異常腐食を抑制する耐食性酸化膜を形成する主要元素
の1つである。しかし、Crはフェライト形成元素であ
り、合金製造時にδ−フェライトを形成し、かつ強力な
炭化物形成元素である。δ−フェライトは、炭化物とと
もに異常腐食の原因となる。従って、過剰な添加はかえ
って合金の耐食性を劣化させる。図1に示すように、C
rの含有量は15〜35%が最適範囲である。
【0020】Niは、Cr、Coとともに耐食性酸化膜
を形成する主要元素の1つである。本発明においては、
Coとともにオーステナイト組織を保持する目的で添加
される。かかる観点ならびに冷間加工性を良好ならしめ
る目的で、Niは少なくとも4%、かつNi+0.5C
o≧Cr+Wなる条件を満足するように添加される。C
oは、低融点スケールによる合金の異常腐食に対する耐
食性を向上させるために、また合金の耐ホット・エロー
ジョン性を向上させるのに有効な元素である。図2に見
られるように、合金の耐食性向上のためには10%以上
のCoの添加が必要である。一方、冷間加工性を良好な
らしめるための他の条件を満足しても、Co含有量が4
0%を超えると冷間加工性が低下し、密着扁平試験にお
いて材料に割れを発生するようになる。Co含有量の最
適範囲は、10〜40%である。
を形成する主要元素の1つである。本発明においては、
Coとともにオーステナイト組織を保持する目的で添加
される。かかる観点ならびに冷間加工性を良好ならしめ
る目的で、Niは少なくとも4%、かつNi+0.5C
o≧Cr+Wなる条件を満足するように添加される。C
oは、低融点スケールによる合金の異常腐食に対する耐
食性を向上させるために、また合金の耐ホット・エロー
ジョン性を向上させるのに有効な元素である。図2に見
られるように、合金の耐食性向上のためには10%以上
のCoの添加が必要である。一方、冷間加工性を良好な
らしめるための他の条件を満足しても、Co含有量が4
0%を超えると冷間加工性が低下し、密着扁平試験にお
いて材料に割れを発生するようになる。Co含有量の最
適範囲は、10〜40%である。
【0021】Feは、それ自体では低融点スケールによ
る合金の異常腐食に対する耐食性を向上せしめるべく機
能することはない。しかしながら、Feを添加すること
によって、スピネル型の安定な耐食性酸化膜の形成が促
進される。過剰な添加は合金の耐食性を劣化させるか
ら、Feは5〜15%の範囲で添加される。Wは、本発
明鋼における耐ホット・エロージョン性を向上せしめる
べく添加される。5%を超えるWの添加は、金属間化合
物を析出して低融点スケールによる異常腐食に対する耐
食性を劣化させる。一方、0.5%に満たない添加量で
は、耐ホット・エロージョン性を発現しない。
る合金の異常腐食に対する耐食性を向上せしめるべく機
能することはない。しかしながら、Feを添加すること
によって、スピネル型の安定な耐食性酸化膜の形成が促
進される。過剰な添加は合金の耐食性を劣化させるか
ら、Feは5〜15%の範囲で添加される。Wは、本発
明鋼における耐ホット・エロージョン性を向上せしめる
べく添加される。5%を超えるWの添加は、金属間化合
物を析出して低融点スケールによる異常腐食に対する耐
食性を劣化させる。一方、0.5%に満たない添加量で
は、耐ホット・エロージョン性を発現しない。
【0022】Caは、合金溶製時の脱酸剤として添加さ
れる。本発明の複層鋼管は、たとえば本発明の外管材合
金の粉末を熱間静水圧プレス法を用いて内管用ビレット
材の表面に圧着して複層鋼管製造用素材(ビレット)と
し、このビレットを出発材として製造される。従って、
本発明の合金は溶製後に粉末とされる。合金を粉末とす
るときに、脱酸剤にAl、Tiを用いて溶製された合金
を用いると、Al酸化物、Ti窒化物等が溶融金属噴出
ノズルに析出し、粉末の製造を阻害する。従って、本発
明においては、合金溶製時の脱酸はSiおよびCaを用
いて行う。しかし、多量のCaの使用は、Ca硫化物、
Ca酸化物の形成をもたらし合金の耐食性を劣化せしめ
るから、Ca含有量は0.005%以下でなければなら
ない。一方、0.0003%に満たないCa添加量で
は、合金溶製時に脱酸効果を発現しない。
れる。本発明の複層鋼管は、たとえば本発明の外管材合
金の粉末を熱間静水圧プレス法を用いて内管用ビレット
材の表面に圧着して複層鋼管製造用素材(ビレット)と
し、このビレットを出発材として製造される。従って、
本発明の合金は溶製後に粉末とされる。合金を粉末とす
るときに、脱酸剤にAl、Tiを用いて溶製された合金
を用いると、Al酸化物、Ti窒化物等が溶融金属噴出
ノズルに析出し、粉末の製造を阻害する。従って、本発
明においては、合金溶製時の脱酸はSiおよびCaを用
いて行う。しかし、多量のCaの使用は、Ca硫化物、
Ca酸化物の形成をもたらし合金の耐食性を劣化せしめ
るから、Ca含有量は0.005%以下でなければなら
ない。一方、0.0003%に満たないCa添加量で
は、合金溶製時に脱酸効果を発現しない。
【0023】さらに、上述したように、合金の冷間加工
性を良好ならしめるためには、Ni、Co、Cr、Wの
間にNi(%)+0.5Co(%)≧Cr+Wなる関係
が成立していなければならない。次に、本発明の複層鋼
管の製造プロセスの一例を説明する。本発明の合金は、
熱間加工性が必ずしも良好ではないから、通常、以下に
述べる製造プロセスを採る。
性を良好ならしめるためには、Ni、Co、Cr、Wの
間にNi(%)+0.5Co(%)≧Cr+Wなる関係
が成立していなければならない。次に、本発明の複層鋼
管の製造プロセスの一例を説明する。本発明の合金は、
熱間加工性が必ずしも良好ではないから、通常、以下に
述べる製造プロセスを採る。
【0024】それ自体公知の、ステンレス鋼の溶製→鋳
造プロセスによって製造された内管用ステンレス鋼ビレ
ットの表面に、本発明の外管用合金の粉末を熱間静水圧
プレス法(HIP:Hot Isostatic Pr
essing)によって圧着する。こうして得られたビ
レットを均熱した後、熱間押出法(Hot Extru
sion)によって所定のサイズに成形する。
造プロセスによって製造された内管用ステンレス鋼ビレ
ットの表面に、本発明の外管用合金の粉末を熱間静水圧
プレス法(HIP:Hot Isostatic Pr
essing)によって圧着する。こうして得られたビ
レットを均熱した後、熱間押出法(Hot Extru
sion)によって所定のサイズに成形する。
【0025】外管用素材が板または管である場合は、前
記HIPによって合金粉末を圧着するプロセスの代り
に、内管用ステンレス鋼ビレットの表面に外管材の成分
を有する板を巻き付けるか或は管を嵌装した後、外管材
素材と内管材ビレットを溶接によって接合する。得られ
たビレットを均熱した後、熱間押出法(Hot Ext
rusion)によって所定のサイズに成形し、複層鋼
管とする。
記HIPによって合金粉末を圧着するプロセスの代り
に、内管用ステンレス鋼ビレットの表面に外管材の成分
を有する板を巻き付けるか或は管を嵌装した後、外管材
素材と内管材ビレットを溶接によって接合する。得られ
たビレットを均熱した後、熱間押出法(Hot Ext
rusion)によって所定のサイズに成形し、複層鋼
管とする。
【0026】本発明の複層鋼管の製造方法は、前記製造
方法に限る必要はなく、熱間加工性が許容する製造可能
範囲において、それ自体公知の複層鋼管製造方法を用い
ることができる。たとえば、本発明の合金を、LPPS
(低圧プラズマ法:LowPressure Plas
ma Spray)等の溶射技術を用いて鋼管或は類似
の形状を有する高温用部材、たとえば空気・燃料ノズル
を複層化することによって、本発明を実施することがで
きる。
方法に限る必要はなく、熱間加工性が許容する製造可能
範囲において、それ自体公知の複層鋼管製造方法を用い
ることができる。たとえば、本発明の合金を、LPPS
(低圧プラズマ法:LowPressure Plas
ma Spray)等の溶射技術を用いて鋼管或は類似
の形状を有する高温用部材、たとえば空気・燃料ノズル
を複層化することによって、本発明を実施することがで
きる。
【0027】
【実施例】表1に示す成分系をもつ材料を、HIP→熱
間押出法によって二重管とした。外管を2mm厚さに切
削した。得られた試料を、図1および図2におけると同
様の試験方法によって試験した。その結果を表2に示
す。表2における本発明合金の腐食深さの限界値は、
0.05mmである。
間押出法によって二重管とした。外管を2mm厚さに切
削した。得られた試料を、図1および図2におけると同
様の試験方法によって試験した。その結果を表2に示
す。表2における本発明合金の腐食深さの限界値は、
0.05mmである。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明の合金は、V、Na、S、Clを
含有する燃料を燃焼させる環境或はごみまたは産業廃棄
物焼却環境において優れた耐食性を有するから、優れた
耐食性をもつ炉壁管、蒸気過熱器管等を提供でき、産業
上大きな効果を奏する。
含有する燃料を燃焼させる環境或はごみまたは産業廃棄
物焼却環境において優れた耐食性を有するから、優れた
耐食性をもつ炉壁管、蒸気過熱器管等を提供でき、産業
上大きな効果を奏する。
【図1】低温溶融スケール環境におけるCr−20Co
−Ni系合金の腐食深さに及ぼすCr含有量の影響を示
す図である。
−Ni系合金の腐食深さに及ぼすCr含有量の影響を示
す図である。
【図2】低温溶融スケール環境における20Cr−Co
−Ni系合金の腐食深さに及ぼすCo含有量の影響を示
す図である。
−Ni系合金の腐食深さに及ぼすCo含有量の影響を示
す図である。
【図3】合金の冷間加工性を評価する密着扁平試験にお
いて、材料の割れ発生の有無に対するNi(%)+0.
5Co(%)とCr(%)+W(%)の関係を示す図で
ある。
いて、材料の割れ発生の有無に対するNi(%)+0.
5Co(%)とCr(%)+W(%)の関係を示す図で
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量で、C≦0.05%、Si:0.0
2〜0.5%、Mn:0.02〜0.5%、Cr:15
〜35%、Co:10〜40%、Fe:5〜15%、
W:0.5〜5%、Ca:0.0003〜0.005%
を含み、残部は下限を4%とするNiおよび不可避的不
純物からなり、かつ下記式を満足することを特徴とする
V、Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性
を有する合金。 Ni(%)+0.5Co(%)≧Cr(%)+W(%) - 【請求項2】 Crを含有するボイラー用鋼管を内管或
は外管とし、請求項1記載の合金を前記内管或は外管の
外管材或いは内管材としたことを特徴とするV、Na、
S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有する複
層鋼管。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1040092A JPH07109018B2 (ja) | 1992-01-23 | 1992-01-23 | V、Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有する合金および複層鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1040092A JPH07109018B2 (ja) | 1992-01-23 | 1992-01-23 | V、Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有する合金および複層鋼管 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05195125A JPH05195125A (ja) | 1993-08-03 |
| JPH07109018B2 true JPH07109018B2 (ja) | 1995-11-22 |
Family
ID=11749094
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1040092A Expired - Lifetime JPH07109018B2 (ja) | 1992-01-23 | 1992-01-23 | V、Na、S、Clの存在する燃焼環境において耐食性を有する合金および複層鋼管 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07109018B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CA2738273C (en) * | 2011-04-28 | 2018-01-23 | Nova Chemicals Corporation | Furnace coil with protuberances on the external surface |
Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US3268327A (en) | 1963-11-14 | 1966-08-23 | Union Carbide Corp | Alloys with high resistance to sea water corrosion |
| JP5415847B2 (ja) | 2008-07-18 | 2014-02-12 | 株式会社クラレ | フィルム搬送用架台 |
-
1992
- 1992-01-23 JP JP1040092A patent/JPH07109018B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US3268327A (en) | 1963-11-14 | 1966-08-23 | Union Carbide Corp | Alloys with high resistance to sea water corrosion |
| JP5415847B2 (ja) | 2008-07-18 | 2014-02-12 | 株式会社クラレ | フィルム搬送用架台 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05195125A (ja) | 1993-08-03 |
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Legal Events
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|---|---|---|---|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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