JPH07112093B2 - 半導体レーザおよびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザおよびその製造方法

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JPH07112093B2
JPH07112093B2 JP2004854A JP485490A JPH07112093B2 JP H07112093 B2 JPH07112093 B2 JP H07112093B2 JP 2004854 A JP2004854 A JP 2004854A JP 485490 A JP485490 A JP 485490A JP H07112093 B2 JPH07112093 B2 JP H07112093B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は例えば、光情報処理に用いられる半導体レー
ザおよびその製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
半導体レーザは、光通信、光ディスク、レーザビームプ
リンタ等の光源として広く使われるようになってきた。
その中でも可視域のレーザ光は、目に見える,感光体の
感度が高い,集光スポットが小さい等の利点がある。現
時点での可視光半導体レーザ光源は、例えば特開昭62−
200785号公報に開示されているように、レーザ光線を発
生する活性層として、InGaP(インジウム・ガリウム・
燐)またはAlGaInP(アルミニウム・ガリウム・インジ
ウム・燐)を用い、この活性層にレーザ光線とキャリア
とを閉じこめる作用をするクラッド層としてAlGaInPを
用いている。ここで言うキャリアとは電子と正孔のこと
である。ところが、特開昭61−280694号公報の第3図に
示されるように、AlGaInPは熱抵抗が高い。またキャリ
アの移動度が低いため抵抗も高い。よって電流注入によ
る熱が生じやすい。さらに生じた熱が逃げにくく活性層
の温度が上昇してしまう。このため、高温での動作が困
難であった。そこで、低電気抵抗かつ低熱抵抗の材料を
クラッド層の一部に用いて、この問題を解決する方法が
提案されている。
それは、p型クラッド層を2層に分け、このうち活性層
に接する方を従来通りAlGaInP(以下、p型第1クラッ
ド層と呼ぶ)。で構成し、他方をAlGaAs(以下、p型第
2クラッド層と呼ぶ。)で構成するという方法である
(例えば、特開昭61−280694号公報,特開昭62−26885
号公報,特開昭62−57271号公報参照)。AlGaAsはAlGaI
nPと比べ、電気抵抗,熱抵抗ともに低いので、上記のよ
うな問題を解決するのに有効であった。しかし、これら
の従来例の場合、電流や光を活性層の一部分に集中させ
ることが難しかった。よって動作電流が増大し、この長
所を生かせなかった。
このような問題を解決する方法として、上記p型第2ク
ラッド層(AlGaAs)をストライプ状に選択エッチングす
るという方法がある(例えば、アプライド・フィジック
ス・レターズ第48巻、89頁−91頁)。
この場合の素子の前面図を、第4図に示す。第4図にお
いて、401はInGap活性層、402はp型AlGaInP第1クラッ
ド層、403はp型AlGaAs第2クラッド層、404はn型AlGa
InPクラッド層、405は窒化珪素膜である。この従来例の
場合、p型AlGaAs第2クラッド層403は幅Wが5〜10μ
m程度、厚みが0.65μmのストライプ状のものである。
一方、p型AlGaInP第1クラッド層402の厚みは、0.33μ
mしかない。したがって、電流はこのp型AlGaInP第1
クラッド層402でもあまり広がらず、矢印Aのようにス
トライプ状のp型AlGaAs第2クラッド層403の真下のInG
ap活性層401に集中的に注入される。その結果、動作電
流は低く抑えられた。
一方、低電気抵抗かつ低熱抵抗のp型第2クラッド層材
料に、別の材料を用いた例がある。特開昭63−17586号
公報では、AlGaInPより熱抵抗の低いAlInPをp型第2ク
ラッド層に用いている。以下、この方法を第5図を用い
て説明する。
第5図は従来の半導体レーザを示す断面図である。第5
図に示すように、n型GaAs基板1上に、下側クラッド層
であるn型(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層2,InGaP活
性層3および上側第1クラッド層であるp型(Al0.5Ga
0.5)0.5In0.5P第1クラッド層4が形成され、この表面
の一部分にストライプ状に上側第2クラッド層であるp
型Al0.5In0.5P第2クラッド層5およびp型GaAs層6が
形成されている。
この従来例の特長は、このストライプ状に形成されたp
型Al0.5In0.5P第2クラッド層5およびp型GaAs層6の
両側をn型GaAs層7で埋め込んだことである。このn型
GaAs層7により、素子表面は平坦であるにもかかわら
ず、横方向への光と電流の広がりが制限された。また、
これを通じて発生した熱の一部が放散されるので、高温
動作も比較的されやすくなっていると推測される。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記第4図に示した従来例の場合、ヒー
トシンクに密着しない部分Xがあるため、熱放散が悪く
なってしまっている。実際この従来例では、最高レーザ
発振温度が摂氏33度,10度における最大光出力が4ミリ
ワットであり、低い値にとどまっている。また、p型Al
GaInP第1クラッド層402の表面保護のため窒化珪素膜40
5が堆積されているので、p型AlGaInP第1クラッド層40
2やInGaP活性層401にストレスがかかってしまい、素子
の寿命を短くしてしまうという問題がある。
また第5図に示した従来例の場合、AlInPの抵抗値はAlG
aInPとほとんど変わらないので、このAlInPを第2クラ
ッド層として採用しない場合と同程度の高い発熱量があ
る。また、GaAsやAlGaAsに比べ熱抵抗も高いので、n型
GaAs層7の採用にもかかわらず、熱の放散は十分でな
い。したがって最高レーザ発振温度と最大光出力はあま
り改善されない。
そこで上記の2例の長所をとって、AlGaAsをストライプ
状に第2クラッド層に用い、GaAsで埋め込むという構造
が容易に考えられる。すなわち、第5図でp型Al0.5In
0.5P第2クラッド層5をAlGaAs第2クラッド層に置き換
えた構造である。しかしこの場合、n型GaAs層7を成長
する結晶表面には、V族元素が燐である部分と砒素であ
る部分との両方がある。つまり、n型GaAs層7を成長す
る結晶表面の化合物材料中のV族元素が同一ではない。
これが結晶成長を大変難しくしてしまう。例えば、液相
成長法の場合、ガリウムの融液の中に原料を溶かし込む
が、この中に燐は含まれない。そのため、この融液中で
燐は著しく未飽和な状態であり、n型GaAs層7を成長す
る際にp型(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P第1クラッド層4は
溶けてしまう。また、分子線エピタキシー法では、結晶
成長の直前に高真空中で結晶を摂氏700度程度に熱する
ので、燐が蒸発してしまいp型(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P
第1クラッド層4が著しく損傷を被る。さらに、気相成
長法では、結晶成長の直前に結晶を摂氏600度程度に熱
する。したがって、燐が蒸発してしまいp型(Al0.5Ga
0.5)0.5In0.5P第1クラッド層4が著しく損傷を被る。
そこで、ホスフィン(PH3)を導入して、燐の分圧を補
償し、結晶から燐が蒸発しなくすると、AlGaAs第2クラ
ッド相5との反応が起こり、この部分が著しく損傷を被
る。このように、この構造ではストライプを埋め込むた
めの結晶成長が著しく困難である。
この発明の目的は、結晶成長が容易にでき、高温動作お
よび高出力動作が可能でかつ高信頼性を有する半導体レ
ーザを提供することである。
この発明の他の目的は、結晶成長が容易にでき、高温動
作および高出力動作が可能でかつ高信頼性を有する半導
体レーザを得ることができる半導体レーザの製造方法を
提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
請求項(1)記載の半導体レーザは、化合物材料からな
る活性層と、化合物材料からなり活性層の下層および上
層にある下側クラッド層および上側第1クラッド層と、
V族元素を含む化合物材料からなり上側第1クラッド層
上の全面に形成された薄膜半導体層と、V族元素を含む
化合物材料からなり薄膜半導体層上に選択的に形成され
た上側第2クラッド層と、V族元素を含む化合物材料か
らなり上側第2クラッド層の両側と薄膜半導体層上とに
ある電流ブロック層とを備え、 上側第2クラッド層を構成する化合物材料を禁制帯幅が
レーザ光に対する吸収が十分小さい程度に大きくかつ上
側第1クラッド層を構成する化合物材料よりも熱抵抗お
よび電気抵抗が小さいものとし、かつ薄膜半導体層と上
側第2クラッド層と電流ブロック層とをそれぞれ構成す
る化合物材料中のV族元素を全て同一元素としたことを
特徴とする。
請求項(2)記載の半導体レーザは、請求項(1)記載
の半導体レーザにおいて、活性層と下側クラッド層およ
び上側第1クラッド層がそれぞれV族元素またはVI族元
素を含む化合物材料からなる。
請求項(3)の半導体レーザは、請求項(1)記載の半
導体レーザにおいて、電流ブロック層のうち、少なくと
も上側第2クラッド層に接する部分が上側第2クラッド
層の屈折率より小さい屈折率を有する化合物材料からな
る。
請求項(4)記載の半導体レーザは、請求項(1)記載
の半導体レーザにおいて、薄膜半導体層と上側第2クラ
ッド層と電流ブロック層をそれぞれ構成する化合物材料
中のV族元素が砒素である。
請求項(5)記載の半導体レーザの製造方法は、半導体
基板上に化合物材料かなる下側クラッド層を積層する成
長工程と、 この下側クラッド層上に化合物材料かなる活性層を積層
する成長工程と、 この活性層上に化合物材料かなる上側第1クラッド層を
積層する成長工程と、 この上側第1クラッド層上の全面に単一のV族元素を含
む化合物材料からなる薄膜半導体層を積層する成長工程
と、 この薄膜半導体層上に、薄膜半導体層と同じ単一のV族
元素を含みかつ禁制帯幅がレーザ光に対する吸収が十分
小さい程度に大きくかつ上側第1クラッド層を構成する
化合物材料よりも熱抵抗および電気抵抗の小さい化合物
材料からなる上側第2クラッド層を積層する成長工程
と、 この上側第2クラッド層を選択的にストライプ状にエッ
チングする工程と、 上側第2クラッド層の両側面と薄膜半導体層上とに、薄
膜半導体層と同じ単一のV族元素を含む化合物材料かな
る電流ブロック層を形成する成長工程とを含む。
〔作用〕
請求項(1)記載の半導体レーザによれば、上側第1ク
ラッド層上の全面に薄膜半導体層を形成した後、薄膜半
導体層の上に選択的に上側第2クラッド層を形成する構
成であり、かつ薄膜半導体層、上側第2クラッド層およ
び電流ブロック層を構成する化合物材料中のV族元素を
全て同一としているので、薄膜半導体層の上と上側第2
クラッド層の両側に電流ブロック層を形成する場合に、
電流ブロック層を形成する面が電流ブロック層を構成す
る化合物材料中のV族元素と同じV族元素を含む化合物
材料かなるため、結晶成長をきわめて容易なものとする
ことができる。
また、上側第1クラッド層の上側の上側第2クラッド層
が、上側第1クラッド層を構成する化合物材料よりも熱
抵抗、電気抵抗の小さい化合物材料で構成されるため、
上側第1クラッド層のみでは得難い低熱抵抗および低電
気抵抗を、上側第2クラッド層の部分で達成できる。特
に、上側第2クラッド層を構成する化合物材料を禁制帯
幅がレーザ光に対する吸収が十分小さい程度に大きいも
のとしたことにより、上側第2クラッド層による損失を
考慮することが不要となり、熱放散の観点から電気抵
抗、熱抵抗の小さい上側第2クラッド層を上側第1クラ
ッド層を薄くしていくらでも活性層に近くすることがで
きることになり、高温動作および高出力動作が可能とな
る。
また、薄膜半導体層が、レーザ光の導波損失を増やさな
い程度に十分に薄いので、たとえこの薄膜半導体層の禁
制帯幅が活性層より狭くても、これによるレーザ光の導
波損失の増加は無視でき、素子本来の性能を阻害するこ
とがない。
また活性層の上側は十分な厚みの半導体層で覆われてい
るため、ストレスが掛かることがない。
さらに電流は上側第2クラッド層を通って活性層に注入
され、上側第2クラッド層と電流ブロック層とが、レー
ザ光の強度分布に影響を与えるため、横モードの制御お
よび電流注入領域の制限を極めて容易に達成できる。
請求項(2)記載の半導体レーザによれば、活性層と下
側クラッド層および上側第1クラッド層とがV族元素ま
たはVI族元素を含んで構成されるものである以外、作用
は請求項(1)の作用と同様である。
請求項(3)記載の半導体レーザによれば、電流ブロッ
ク層のうち、少なくとも上側第2クラッド層に接する部
分が上側第2クラッド層の屈折率より小さい屈折率を有
する化合物材料からなるので、横方向の屈折率差による
導波路が形成され、非点隔差が小さくなる。
請求項(4)記載の半導体レーザによれば、薄膜半導体
層と上側第2クラッド層と電流ブロック層をそれぞれ構
成する化合物材料中のV族元素が砒素である以外、作用
は請求項(1)の作用と同様である。V族元素が砒素で
ある材料は、熱抵抗、電気抵抗が小さく、高温動作およ
び高出力動作が容易である。
請求項(5)記載の半導体レーザの製造方法によれば、
上側第1クラッド層上の全面に薄膜半導体層を形成した
後、薄膜半導体層上に選択的に上側第2クラッド層を形
成し、かつ薄膜半導体層、上側第2クラッド層および電
流ブロック層を構成する化合物材料中のV族元素を全て
同一としているので、薄膜半導体層の上と上側第2クラ
ッド層の両側に電流ブロック層を形成する場合に、電流
ブロック層を形成する面が電流ブロック層を構成する化
合物材料中のV族元素と同じV族元素を含む化合物材料
かなるため、結晶成長をきわめて容易なものとすること
ができる。
また、上側第2クラッド層を構成する化合物材料を禁制
帯幅がレーザ光に対する吸収が十分小さい程度に大きい
ものとしたことにより、上側第2クラッド層による損失
を考慮することが不要となり、半導体レーザにおいて、
熱放散の観点から電気抵抗、熱抵抗の小さい上側第2ク
ラッド層を上側第1クラッド層を薄くしていくらでも活
性層に近くすることができることになり、高温動作およ
び高出力動作が可能な半導体レーザを得ることができ
る。
〔実施例〕
第1図はこの発明の第1の実施例の半導体レーザを示す
断面図である。
第1図に示すように、n型GaAs基板104上に、下側クラ
ッド層であるn型AlGaInPクラッド層103(禁制帯幅約2.
21eV,屈折率約3.38),活性層であるInGaP活性層101
(禁制帯幅約1.91eV,屈折率約3.58),上側第1クラッ
ド層であるp型AlGaInPクラッド層102(禁制帯幅約2.21
eV,屈折率約3.38),薄膜半導体層であるp型GaAs第1
保護層105(禁制帯幅約1.42eV,屈折率約3.8),上側第
2クラッド層であるp型AlGaAsクラッド層106(禁制帯
幅約1.97eV,屈折率約3.37),電流ブロック層であるn
型GaAs電流阻止層108,p型GaAs第2保護層107,p型GaAs導
電層109を形成した。この場合、薄膜半導体層であるp
型GaAs第1保護層105と上側第2クラッド層であるp型A
lGaAsクラッド層106と電流ブロック層であるn型GaAs電
流阻止層108は、すべて化合物材料中のV族元素が同一
元素、つまり砒素としている。また、p型AlGaAsクラッ
ド層106は、禁制帯幅がレーザ光(波長は670nm程度で、
その光子エネルギーは1.85eV程度に相当する)に対する
吸収が十分小さい程度に大きい約1.97eVとなっており、
p型alGaInPクラッド層102よりも熱抵抗および電気抵抗
が小さいものである。
この半導体レーザは、室温において厚み0.08μmのInGa
P活性層101から波長670nm程度のレーザ光線を出射す
る。
このInGaP活性層101は、厚み0.2μmのp型AlGaInPクラ
ッド層102と厚み1μmのn型AlGaInPクラッド層103と
に挟まれている。InGaP活性層101の禁制帯幅は約1.91eV
であり、また波長域での屈折率は約3.58である。このIn
GaP活性層101を挾むp型AlGaInPクラッド層102およびn
型AlGaInPクラッド層103の禁制帯幅は、ともに約2.21eV
でInGaP活性層101より大きく、また屈折率は、ともに3.
38でInGaP活性層101より小さい。この構成では、レーザ
光は、約0.5μm程度クラッド層中にしみ出す。すなわ
ち、p側では厚み50Åのp型GaAs第1保護層105および
厚み0.8μmのp型AlGaAsクラッド層106にまで光がしみ
出す。したがって、もしp型GaAs第1保護層105の厚み
が、0.1μm程度かそれ以上に分厚ければ、光は吸収と
散乱を受けて導波損失が増え、レーザ発振が困難にな
る。しかし、この実施例の場合、厚みが十分に薄いので
全く問題にならない。したがって、p型AlGaInPクラッ
ド層102とp型AlGaAsクラッド層106とが、いわばp側の
第1と第2のクラッド層として機能する。以上のことよ
り、この部分では縦方向に屈折率差による導波路ができ
ている。
一方、108は、厚み1μmのn型GaAs電流阻止層であ
る。レーザ光はこの層にもしみ出す。この場合は光は吸
収されてしまうので導波損失が大きい。またレーザ発振
のために、電流がp型電極110からn型電極111へ流れる
と、n型GaAs電流阻止層108とp型GaAs第1保護層105、
p型AlGaInPクラッド層102の間のpn接合は逆バイアスさ
れる。よって、電流はp型AlGaAsクラッド層106のみを
通るので、InGaP活性層101のうちその直下の部分のみが
レーザ利得を持つ。したがって、横方向に利得差による
導波路ができている。
なお、p型GaAs導電層109は、厚み2μmである。ま
た、p型電極110はチタンと金の合金、n型電極111は金
とゲルマニウムの合金から成る。上記の103から109まで
の化合物半導体層は、全てn型GaAs基板104上に格子整
合している。
この半導体レーザでは、n型AlGaInPクラッド層103上の
全面にp型GaAs第1保護層105を形成した後、p型GaAs
第1保護層105の上に選択的にp型AlGaAsクラッド層106
を形成する構成であり、かつp型GaAs第1保護層105、
p型AlGaAsクラッド層106およびn型GaAs電流阻止層108
を構成する化合物材料中のV族元素を全て同一の砒素と
しているので、p型GaAs第1保護層105の上とp型AlGaA
sクラッド層106の両側にn型GaAs電流阻止層108を形成
する場合に、n型GaAs電流阻止層108を形成する面が電
流ブロック層を構成する化合物材料中にV族元素と同じ
V族元素である砒素を含む化合物材料からなるため、結
晶成長をきわめて容易なものとすることができる。
また、この半導体レーザでは、p側の第2クラッド層
(p型AlGaAsクラッド層106)に、移動度が大きく、か
つ不純物濃度を容易に高くできるAlGaAsを用いた。その
ため従来のように、AlGaInPを用いた素子に比べ、抵抗
が約半分程度である。また、p型AlGaInPクラッド層102
の上層が全て熱抵抗の小さいGaAs,AlGaAsからなるp型G
aAs第1保護層105,p型AlGaAsクラッド層106,p型GaAs第
2保護層107,n型GaAs電流阻止素子108およびp型GaAs導
電層109等である。そのため熱の放散も極めて良好であ
る。また電流がp型AlGaAsクラッド層106の直下にのみ
限定され、動作電流が低く抑えられる。そのため、第4
図および第5図に示す従来の電流阻止層を持たない素子
に比べ、発熱量が著しく低減する。また表面が平坦であ
るため、ヒードシンクへの放熱も効果的に行われる。よ
って高温での動作や高出力動作が極めて容易に達成され
る。
またInGaP活性層101の上側は十分な厚みの半導体層で覆
われているため、素子表面の金属、ヒートシンク等より
ストレスがかかることがない。よって高い信頼性が得ら
れる。
さらに、n型GaAs電流阻止層108はレーザ光を吸収する
機能も持つので、レーザ光の強度分布を電流注入領域に
集めるという、いわゆる横モード制御が容易に達成され
ている。
第2図はこの発明の第2の実施例の半導体レーザを示す
断面図である。
この半導体レーザは、第1の実施例と同様に、室温にお
いて、厚み0.08μmのInGaP活性層101から670nm程度の
波長のレーザ光線を出射する。第1図と符号が共通の層
は、同じ膜厚と組成(禁制帯幅,屈折率が同じ)とを持
っている。第1図と異なるのは、第1図のn型GaAs電流
阻止層108が、厚み0.7μmのn型AlGaAs電流素子層201
と厚み0.3μmのn型GaAs電流阻止層202に置き換えられ
ているところである。
なお、n型AlGaAs電流素子層201は、n型GaAs基板104に
格子整合しており、禁制帯幅は約2.1eV、屈折率は約3.2
である。
AlGaAsはGaAsに比べ熱抵抗が若干高いため、第1の実施
例より熱の放散が若干悪くなる。しかし、その他の特性
上の特長は全て備えている。その上、次のような特長を
持つ。n型AlGaAs電流素子層201は、p型AlGaAsクラッ
ド層106より屈折率が小さい。またInGaP活性層101より
禁制帯幅が大きく、この層での光の吸収はない。よっ
て、第1の実施例のような利得差ではなく、横方向の屈
折率差による導波路ができている。したがってこの素子
の場合、非点隔差が小さくなる。この特長は、例えば光
ディスク装置等の、小集光スポット径が重要な用途に最
適である。
第3図は、この発明の一実施例の半導体レーザの製造方
法を示す工程断面図である。例として、第1の実施例の
素子の製造方法を示したが、第2の実施例とは、n型Ga
As電流阻止層108が、n型AlGaAs電流素子層201とn型Ga
As電流阻止層202とに置き換わるだけで本質的な差異は
ない。
第3図(イ)に示すように、(100)面を表面に持つn
型GaAs基板104の上に、有機金属気相成長法により、下
側クラッド層であるn型AlGaInPクラッド層103,InGaP活
性層101,上側第1クラッド層であるp型AlGaInPクラッ
ド層102,薄膜半導体であるp型GaAs第1保護層105,p型A
lGaAs層301,p型GaAs層302を順次成長する。
なおp型GaAs層302は、結晶成長をより安定させるため
のものである。
次に第3図(イ)に示すp型GaAs層302の表面に二酸化
珪素を3000Å堆積し、選択エッチングによりそれを幅5
μmのストライプに加工し、第3図(ロ)に示すエッチ
ングマスク303を形成する。なおストライプの方向は<0
11>である。このエッチングマスク303を用いて塩素を
用いた反応性イオンエッチングで結晶を5000Å掘る。そ
して、沸騰する塩酸に漬け選択的にp型AlGaAs層301を
エッチングして、第3図(ロ)に示す、p型AlGaAsクラ
ッド層106とp型GaAs第2保護層107とを形成する。この
場合、p型AlGaAsクラッド層106は、V族元素として砒
素を含み、p型GaAs第1保護層105のV族元素と同じ単
一のV族元素を含んでいる。なおGaAsは沸騰する塩酸に
は溶けないので、50Åのp型GaAs第1保護層105でも十
分なエッチングストッパとなる。なおこの状態では、表
面に露出している層は、GaAsかAlGaAsかのどちらかとな
り、V族元素は砒素のみである。
次に第3図(ハ)に示すように、再度、有機金属気相成
長法により、電流ブロック層であるn型GaAs電流阻止層
108を成長させた後、エッチングマスク303を弗酸で取り
除く。この場合、n型GaAs電流阻止層108は、V族元素
として砒素を含み、p型GaAs第1保護層105のV族元素
と同じ単一のV族元素を含んでいる。膜厚僅か50Åのp
型GaAs第1保護層105が、成長前の昇温時に、p型AlGaI
nPクラッド層102から、燐が蒸発するのを防ぐ保護膜と
して十分であることがわかった。これを用いて、極めて
容易にn型GaAs電流阻止層108が成長できる。
次に第3図(ニ)に示すように、有機金属気相成長法に
より、p型GaAs導電層109を成長する。この際表面に露
出している層は、GaAsからなるp型GaAs第2保護層107
およびn型GaAs電流阻止層108であり、全て同一のV族
元素である砒素を含むだけであるので、たやすく成長で
きる。
そして、第3図(ホ)に示すように、GaAs基板104の表
面を100μm程度研磨し、p型電極110とn型電極111と
を蒸着し、摂氏450度程度で合金化させる。
このように、膜厚僅か50Åのp型GaAs第1保護層105
を、昇温時にp型AlGaInPクラッド層102から、燐が蒸発
するのを防ぐ保護膜として採用したことにより、n型Ga
As電流阻止層108を成長させる際に、表面に露出してい
る層は、V族元素として砒素を含むのみとなり、素子の
製造が極めて容易になり、歩留まり、再現性ともに飛躍
的に向上する。この薄膜の保護層が、素子の特性を劣化
させずに、数々の特性上の利点の共存を可能にしたの
は、前述の通りである。
なお、上記薄膜のp型GaAs第1保護層105の利点は、上
記の結晶成長方法に限定されるものではなく、液相成長
法、分子線エピタキシー法、他の気相成長法等に適用し
ても十分有効である。
またn型GaAs基板104の表面に(100)面以外を用いても
何ら問題はない。またストライプの方向も<011>に限
定されるものではない。さらにn型GaAs基板104は単層
である必要はなく、例えば表面にInGaP薄膜層を持って
いても何ら問題はない。
またp型第2クラッド層(p型AlGaAsクラッド層106)
は2層に限定されるものではなく、例えばAlGaAs単層ま
たは組成の異なるAlGaAsの積層構造を用いても何ら問題
はない。
またp型AlGaAsクラッド層106とp型GaAs第2保護層107
から成るストライプおよびn型GaAs電流阻止層108の厚
みが約2μm程度あれば、p型GaAs導電層109が無くて
も、表面からのストレスは十分緩和される。
また、材料も実施例の組み合わせに限定されるものでは
ない。
例えば砒素と燐の組み合わせが逆の例として、InGaAs
(インジウム・ガリウム・砒素)と、InAlAs(インジウ
ム・アルミニウム・砒素)との多層量鋼板井戸を活性
層、InAlAsをp型とn型のクラッド層(特許請求の範囲
における上側第1クラッド層および下側クラッド層に相
当する)に持つ半導体レーザを分子線エピタキシー法で
形成した場合を以下に説明する。
この場合、InAlAsの抵抗が高く、通電時の発熱が大きく
なってしまう。よって抵抗の低いp型InP(インジウム
・燐)を第2クラッド層(特許請求の範囲における上側
第2クラッド層に相当する)にするとよい。ところが、
第2クラッド層をn型InP電流阻止層(特許請求の範囲
における電流ブロック層に相当する)で埋め込むとき
に、p型InAlAs第1クラッド層とp型InP第2クラッド
層とが表面に出てしまい、結晶成長が難しい。しかし、
このp型InAlAs第1クラッド層とp型InP第2クラッド
層との間に厚み50Å程度のInGaP(特許請求の範囲にお
ける薄膜半導体層に相当する)を挿入しておくと、電流
阻止層の成長の際、表面には燐を含む層しかなく、成長
が容易になり、この材料の組み合わせの場合も、上記第
1の実施例と同様の効果が得られる。
また、例えばCdTe(カドミウム・テルル)とHgCdTe(水
銀・カドミウム・テルル)等のII−VI族をそれぞれ活性
層およびクラッド層(特許請求の範囲における上側第1
クラッド層および下側クラッド層に相当する)として用
いた半導体レーザでも、上記のような低電気抵抗でかつ
低熱抵抗のp型第2クラッド層と薄膜保護層(特許請求
の範囲における上側第2クラッド層と薄膜半導体層に相
当する)が有効である。これらに、AlGaAsとGaAsを用い
るとする。ところが、上側第1クラッド層であるHgCdTe
は昇温時に蒸発しやすく、やはりGaAs等の薄膜保護層が
その表面にある方が成長しやすく、この材料の組み合わ
せの場合も、上記第1の実施例と同様の効果が得られ
る。
〔発明の効果〕
請求項(1)記載の半導体レーザは、上側第1クラッド
層上の全面に薄膜半導体層を形成した後、薄膜半導体層
上に選択的に上側第2クラッド層を形成する構成であ
り、かつ薄膜半導体層、上側第2クラッド層および電流
ブロック層を構成する化合物材料中のV族元素を全て同
一としているので、薄膜半導体層の上と上側第2クラッ
ド層の両側に電流ブロック層を形成する場合に、電流ブ
ロック層を形成する面が電流ブロック層を構成する化合
物材料中のV族元素と同じV族元素を含む化合物材料か
なるため、結晶成長をきわめて容易なものとすることが
できる。
また、上側第1クラッド層の上側の上側第2クラッド層
が、上側第1クラッド層を構成する化合物材料よりも熱
抵抗、電気抵抗の小さい化合物材料で構成されるため、
上側第1クラッド層のみでは得難い低熱抵抗および低電
気抵抗を、上側第2クラッド層の部分で達成できる。特
に、上側第2クラッド層を構成する化合物材料を禁制帯
幅がレーザ光に対する吸収が十分小さい程度に大きいも
のとしたことにより、上側第2クラッド層による損失を
考慮することが不要となり、熱放散の観点から電気抵
抗、熱抵抗の小さい上側第2クラッド層を上側第1クラ
ッド層を薄くしていくらでも活性層に近くすることがで
きることになり、高温動作および高出力動作が可能とな
る。
また、薄膜半導体層が、レーザ光の導波損失を増やさな
い程度に十分に薄いので、たとえこの薄膜半導体層の禁
制帯幅が活性層より狭くても、これによるレーザ光の導
波損失の増加は無視でき、素子本来の性能を阻害するこ
とがない。
また活性層の上側は十分な厚みの半導体層で覆われてい
るため、ストレスが掛かることがない。
さらに電流は上側第2クラッド層を通って活性層に注入
され、上側第2クラッド層と電流ブロック層とが、レー
ザ光の強度分布に影響を与えるため、横モードの制御お
よび電流注入領域の制限を極めて容易に達成できる。
請求項(2)記載の半導体レーザによれば、活性層と下
側クラッド層および上側第1クラッド層とがV族元素ま
たはVI族元素を含んで構成されるものである以外、請求
項(1)と同様である。
請求項(3)記載の半導体レーザによれば、電流ブロッ
ク層のうち、少なくとも上側第2クラッド層に接する部
分が上側第2クラッド層の屈折率より小さい屈折率を有
する化合物材料からなるので、横方向の屈折率差による
導波路が形成され、非点隔差が小さくなる。
請求項(4)記載の半導体レーザによれば、薄膜半導体
層と上側第2クラッド層と電流ブロック層をそれぞれ構
成する化合物材料中のV族元素が砒素である以外、請求
項(1)と同様である。
請求項(5)記載の半導体レーザによれば、上側第1ク
ラッド層上の全面に薄膜半導体層を形成した後、薄膜半
導体層上に選択的に上側第2クラッド層を形成し、かつ
薄膜半導体層、上側第2クラッド層および電流ブロック
層を構成する化合物材料中のV族元素を全て同一として
いるので、薄膜半導体層の上と上側第2クラッド層の両
側に電流ブロック層を形成する場合に、電流ブロック層
を形成する面が電流ブロック層を構成する化合物材料中
のV族元素と同じV族元素を含む化合物材料からなるた
め、結晶成長をきわめて容易なものとすることができ
る。
また、上側第2クラッド層を構成する化合物材料を禁制
帯幅がレーザ光に対する吸収が十分小さい程度に大きい
ものとしたことにより、上側第2クラッド層による損失
を考慮することが不要となり、半導体レーザにおいて、
熱放散の観点から電気抵抗、熱抵抗の小さい上側第2ク
ラッド層を上側第1クラッド層を薄くしていくらでも活
性層に近くすることができることになり、高温動作およ
び高出力動作が可能な半導体レーザを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による半導体レーザの第1の実施例を
示す断面図、第2図は同じく第2の実施例を示す断面
図、第3図はこの発明の一実施例の半導体レーザの製造
方法を示す工程断面図、第4図および第5図は従来の半
導体レーザを示す断面図である。 101…InGaP活性層、102…p型AlGaInPクラッド層(上側
第1クラッド層)、103…n型AlGaInPクラッド層(下側
クラッド層)、104…n型GaAs基板、105…p型GaAs第1
保護層(薄膜半導体層)、106…p型AlGaAsクラッド層
(上側第2クラッド層)、107…p型GaAs第2保護層、1
08…n型GaAa電流阻止層(電流ブロック層)、109…p
型GaAa導電層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−78191(JP,A) 特開 昭61−77384(JP,A) 特開 昭63−178574(JP,A) 特開 昭63−73582(JP,A) 特開 昭63−179590(JP,A) 特開 昭63−314883(JP,A) 特開 平1−238085(JP,A) 特開 平1−286487(JP,A) 特開 昭63−43387(JP,A) Appl.Phys.Lett.48 (2),13,January 1966,第89 −91頁

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化合物材料からなる活性層と、化合物材料
    からなり前記活性層の下層および上層にある下側クラッ
    ド層および上側第1クラッド層と、V族元素を含む化合
    物材料からなり前記上側第1クラッド層上の全面に形成
    された薄膜半導体層と、V族元素を含む化合物材料から
    なり前記薄膜半導体層上に選択的に形成された上側第2
    クラッド層と、V族元素を含む化合物材料からなり前記
    上側第2クラッド層の両側と前記薄膜半導体層上とにあ
    る電流ブロック層とを備え、 前記上側第2クラッド層を構成する化合物材料を禁制帯
    幅がレーザ光に対する吸収が十分小さい程度に大きくか
    つ前記上側第1クラッド層を構成する化合物材料よりも
    熱抵抗および電気抵抗が小さいものとし、かつ前記薄膜
    半導体層と前記上側第2クラッド層と前記電流ブロック
    層とをそれぞれ構成する化合物材料中のV族元素を全て
    同一元素としたことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 【請求項2】活性層と下側クラッド層および上側第1ク
    ラッド層がそれぞれV族元素またはVI族元素を含む化合
    物材料からなる請求項(1)記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】電流ブロック層のうち、少なくとも上側第
    2クラッド層に接する部分が前記上側第2クラッド層の
    屈折率より小さい屈折率を有する化合物材料からなる請
    求項(1)記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】薄膜半導体層と上側第2クラッド層と電流
    ブロック層をそれぞれ構成する化合物材料中のV族元素
    が砒素である請求項(1)記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】半導体基板上に化合物材料からなる下側ク
    ラッド層を積層する成長工程と、 この下側クラッド層上に化合物材料からなる活性層を積
    層する成長工程と、 この活性層上に化合物材料からなる上側第1クラッド層
    を積層する成長工程と、 この上側第1クラッド層上の全面に単一のV族元素を含
    む化合物材料からなる薄膜半導体層を積層する成長工程
    と、 この薄膜半導体層上に、前記薄膜半導体層と同じ単一の
    V族元素を含みかつ禁制帯幅がレーザ光に対する吸収が
    十分小さい程度に大きくかつ前記上側第1クラッド層を
    構成する化合物材料よりも熱抵抗および電気抵抗の小さ
    い化合物材料からなる上側第2クラッド層を積層する成
    長工程と、 この上側第2クラッド層を選択的にストライプ状にエッ
    チングする工程と、 前記上側第2クラッド層の両側面と前記薄膜半導体層上
    とに、前記薄膜半導体層と同じ単一のV族元素を含む化
    合物材料からなる電流ブロック層を形成する成長工程と
    を含む半導体レーザの製造方法。
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