JPH07112096B2 - 半導体素子 - Google Patents

半導体素子

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JPH07112096B2
JPH07112096B2 JP2309757A JP30975790A JPH07112096B2 JP H07112096 B2 JPH07112096 B2 JP H07112096B2 JP 2309757 A JP2309757 A JP 2309757A JP 30975790 A JP30975790 A JP 30975790A JP H07112096 B2 JPH07112096 B2 JP H07112096B2
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英二 山本
十九康 沖
圓 濱田
一哉 須田
誠二 野極
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光計測技術開発株式会社
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01SDEVICES USING THE PROCESS OF LIGHT AMPLIFICATION BY STIMULATED EMISSION OF RADIATION [LASER] TO AMPLIFY OR GENERATE LIGHT; DEVICES USING STIMULATED EMISSION OF ELECTROMAGNETIC RADIATION IN WAVE RANGES OTHER THAN OPTICAL
    • H01S5/00Semiconductor lasers
    • H01S5/02Structural details or components not essential to laser action
    • H01S5/026Monolithically integrated components, e.g. waveguides, monitoring photo-detectors, drivers
    • H01S5/0265Intensity modulators

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は化合物半導体pn接合を用いた光導波路型の半導
体素子に関する。特に、pnpまたはnpnの層構造に二つの
活性層が設けられた構造の光半導体素子に関する。
〔概要〕
本発明は、同一光導波路内に二層の活性層を備えた光半
導体素子において、 二層の活性層のバンドギャップエネルギを実質的に等し
く形成することにより それぞれに注入される電流量およびその割合によって光
導波路の屈折率を変化させ、波長可変動作時または位相
変調時の光出力の低下を防止するとともに、スペクトル
線幅の拡がりを抑制するものである。
〔従来の技術〕 半導体レーザや光増幅器、波長フィルタなどが発振、増
幅または透過する波長や位相を調整するため、その素子
に変調器を集積化することが有効である。例えば半導体
レーザの発振波長を調整するための構成としては、3電
極分布ブラグ反射型可変波長レーザ、2電極分布帰還型
可変波長レーザ、TTG(Tunable Twin-Guide)レーザな
どが従来から知られている。
3電極分布ブラグ反射型可変波長レーザは、光導波路に
沿って発光領域、位相調整領域および変調領域が配置さ
れ、それぞれの領域に別々のバイアス電極が設けらた構
造をもつ。発光領域には活性層が設けられ、電流注入に
よりレーザ光を発生する。位相調整領域および変調領域
には、活性層からの光を伝搬するようにガイド層が設け
られる。このガイド層は、活性層で発生した光を吸収し
ないように、活性層よりバンドギャップ波長の短い(バ
ンドギャップエネルギの大きい)組成の材料で形成され
る。変調領域のガイド層またはその近傍には、回折格子
が設けられる。
この構造において、変調領域に電流を注入すると、ガイ
ド層を含む導波路の屈折率が変化し、回折格子のフィル
タ特性が変化する。これにより、活性層に帰還される波
長が変化し、発振波長を制御できる。位相変調領域は、
電流注入による導波路の屈折率変化により、活性領域の
発生する光と変調領域からの帰還光との位相を調整する
ものである。
2電極分布帰還型可変波長レーザは、分布帰還型レーザ
が導波路方向に二つの領域に分割された構造をもつ。そ
れぞれの領域には、別々のバイアス電極が設けられる。
二つの領域のそれぞれの活性層に注入する電流の割合を
変えると、部分的に活性層の屈折率が変化し、発振波長
が制御される。
この場合に、二つの領域に注入する電流の和を一定にし
ておけば、導波路全体としての光利得や損失がほぼ一定
に保たれ、光出力の低下は起こらない。また、ひとつの
活性層が導波路全体に形成されているので、部分的に電
流担体(以下「キャリア」という)の再結合によるキャ
リア密度の時間的揺らぎが起こっても、レーザ発振中は
全体として光利得が一定に保持される。したがって、キ
ャリアの減少を補償するようなキャリア励起の機構が働
き、活性層内におけるキャリア密度の揺らぎは小さく、
波長を変化させてもスペクトル線幅の増大は小さい。
TTGレーザはpnpまたはnpnの層構造を備え、一方のpn接
合部には活性層、他方のpn接合部には変調層が設けられ
る。活性層の近傍には回折格子が設けられる。
この構造において、変調層に電流を注入すると、変調層
の屈折率が変化し、回折格子のフィルタ特性が変化す
る。これにより、発振波長が制御される。
この構造は、導波路全体にわたって変調層の屈折率を一
様に変化させるので、光の位相条件が常に一定に保たれ
る。したがって、非常に広い範囲にわたって、連続する
位相で発振波長を変化させることができる。
3電極分布ブラグ反射型可変波長レーザについては、例
えば、 文献(1)ムラタ他、エレクトロニクス・レターズ第23
巻第403頁、1987年 (S.Murata et al.,Electron.Lett.,Vol.23,p403,198
7) 文献(2)コバヤシ他、ジャーナル・オブ・ライトウェ
イブ・テクノロジイ第1623頁、1988年 (K.Kobahasi et al.,J.Ligtwave Tech.,p.1623,1988) に詳しく説明されている。また、2電極分布帰還型可変
波長レーザについては、 文献(3)ヨシクニ他、エレクトロニクス・レターズ、
第1153頁、1986年 (Y.Yoshikuni et al.,Electron.Lett.,p.1153,1986) に、TTGレーザについては、 文献(4)レイク他、エレクトロニクス・レターズ、第
26巻、第47頁、1990年 (S.Illek et al.,Electron.Lett.,Vol.26,p.47,1990) 文献(5)ヤマモト他、ジャパニーズ・ジャーナル・オ
ブ・アプライド・フィジクス、第29巻、第79頁、1990年 (E.Yamamoto et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.29,p.79,1
990) に詳しく説明されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、3電極分布ブラグ反射型可変波長レーザでは、
注入キャリアにより発振波長を制御する場合、変調領域
のガイド層に一定電流を注入すると、ガイド層内でのキ
ャリア再結合のため、キャリア密度が時間的に大きく揺
らいでしまう。このため屈折率の変化が引き起こされ、
スペクトル線幅が増大してしまう。この増大は、上述し
た文献(2)の実験値によると、波長を変調しないとき
の5ないし10倍程度にもなる。また、ガイド層内のキャ
リア密度が増すと、プラズマ吸収により導波路の内部損
失が増加し、光出力の低下を生じる。
このように、3電極分布グラグ反射型可変波長レーザ
は、波長を変化させるとスペクトル線幅が増大し、光出
力が減少してしまう欠点があった。
2電極分布帰還型レーザは、導波路の一部の屈折率を変
化させるので、全体としての光位相条件が変化し、光の
位相の連続性を保ちながら変化させることのできる発振
波長の幅が小さい欠点があった。
TTGレーザでは、変調層の組成として、分布ブラッグ反
射型の場合と同様に、活性層よりバンドギャップ波長の
短いものが用いられる。このため、波長変調に伴う光出
力の低下や、スペクトル線幅の増大が避けられない欠点
があった。
本発明は、以上の課題を解決し、変調時の光出力の低下
およびスペクトル線幅の増大の少ない光半導体素子を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の光半導体素子は、化合物半導体により形成され
たpnpまたはnpn層構造と、この層構造内の二つのpn接合
部にそれぞれ設けられた近接する層よりバンドギャップ
エネルギの小さい組成の二つの活性層とを備え、この二
つの活性層がひとつの光導波路内で共通の光ビームを形
成するように配置された光半導体素子において、二つの
活性層は、互いのバンドギャップエネルギが実質的に等
しく、かつそれぞれに注入される電流の量およびその割
合が制御されることにより光導波路全体としての屈折率
が変化するように形成されたことを特徴とする。
〔作用〕
二つの活性層のバンドギャップ波長が実質的に等しいた
め、素子の動作時の光波長において、双方の活性層が光
利得を有することができる。このため、これらに注入す
る電流の大きさや割合を変化させると、二つの活性層内
あるいはその近傍のキャリア密度が変化し、導波路全体
としての屈折率が変化する。これを利用して、変調器を
集積した半導体レーザや、光増幅器、光フィルタを得
る。
例えば、導波路に対して垂直方向に反射端面を形成する
と、位相変調器集積レーザとして使用できる。また、両
端面に無反射膜を形成して、光増幅器として使用するこ
とができる。導波路内部に回折格子を形成すれば、可変
波長レーザとして使用できる。可変波長レーザの導波路
の両端面に無反射膜を形成すれば、可変波長フィルタと
して使用できる。
特に、レーザとして動作させる場合は、素子の動作時の
光波長帯で二つの活性層の双方に光利得をもたせる。こ
のとき、レーザ発振状態では、2電極分布帰還型レーザ
の場合と同様に、二つの活性層に注入する電流を変化さ
せても、光利得の和はほぼ一定に保たれ、キャリアの再
結合その他によるキャリア密度の時間的な揺らぎが補償
される。したがって、導波路に大量のキャリアを注入し
て屈折率を大きく変化させても、キャリア密度に依存し
た屈折率の時間的揺らぎが小さく、スペクトル線幅の増
大を抑制することができる。
本発明の素子に類似の構造として、本願発明者の一人
は、二つの活性層を備えたTTGレーザの構造について発
明し、既に特許出願した(特願平2-138857、「半導体発
光素子」、以下「先願」という)。この先願は、二つの
活性層のバンドギャップエネルギに差をもたせ、それぞ
れの利得を変化させることにより全体としての発振波長
を変化させるものであった。したがって、この先願では
波長可変範囲を広げることはできるが、スペクトル線幅
を小さくすることは考えていなかった。
これに対して本発明は、活性層のキャリア密度による屈
折率の変化を利用して波長を制御するものであり、波長
を変化させる原理が先願とは異なる。また、スペクトル
線幅の増大を防ぐことができることも先願とは異なる。
〔実施例〕
第1図は本発明第一実施例の光半導体素子を示す斜視図
であり、内部構造を示すため一部を切り欠いて示す。
この素子は、化合物半導体としてInPおよびInGaAsPを用
いた長波長帯の可変波長レーザに本発明を実施したもの
であり、p+型InP基板1上にp型層2、n型層5、p型
層7を含むpnp層構造を備え、この層構造内の二つのpn
接合部にそれぞれ、近接する層よりバンドギャップエネ
ルギの小さい組成の二つの活性層4、6を備える。
p型層2内には電流狭窄のためのn型層3が設けられ、
活性層4ないしp型層7はn型InP埋め込み層8により
埋め込まれる。p型層7はp+型コンタクト層9を介して
電極12に接続され、埋め込み層8はn+型コンタクト層10
を介して電極13に接続される。コンタクト層9と10、電
極12と13は、SiO2絶縁膜11により絶縁される。基板1の
裏面には電極14が設けられる。
ここで本実施例の特徴とするところは、二つの活性層
4、6は、互いのバンドギャップエネルギが実質的に等
しく形成されたことにある。
第2図はこの素子の製造方法を示す。
まず、第2図(a)に示すように、基板1上に、p型In
Pバッファ層21およびn型InP層31を順次成長させる。続
いてその表面に、P-CVD(プラズマ化学気相成長)法な
どによりSiO2膜201を堆積させ、ホトエッチングによ
り、下側(基板1側)の活性層に電流を注入する経路に
相当する部分に窓をあける。この窓のあいたSiO2膜201
を拡散マスクとして、Zn等のp型不純物を拡散させる。
これにより、n型InP層31の一部にp型拡散層22が形成
され、残った部分が第1図に示したn型層3となる。
続いて、SiO2膜201を取り除いた後、第2図(b)に示
すように、p型InP層23、活性層4、n型層層5、活性
層6、p型InP層71およびp型InGaAsPガイド層72を成長
させる。p型InP層23は、バッファ層21およびp型拡散
層22と共に、第1図に示したp型層2を構成する。二つ
の活性層4、6はInGaAsP、InGaAsなどで形成し、それ
ぞれのバンドギャップ波長λ91、λ92が実質的に等しく
なるようにする。ガイド層72の表面には、干渉露光法ま
たは電子ビーム露光法により、発振波長に応じた回折格
子を形成する。
この後、第2図(c)に示すように、p型InPクラッド
層73およびp型InGaAsキャップ層74を成長させる。
次に、第2図(d)に示すように、SiO2マスク202を用
いて、ホトエッチングにより、下側の活性層4より深い
位置までメサ加工する。エッチングされずに残ったInP
層71、ガイド層72、クラッド層73およびキャップ層74が
第1図に示したp型層7となる。エッチングされた部分
には、n型InP埋め込み層8を成長させる。
続いて、選択エピタキシャルマスク203を用いて、第2
図(e)に示すように、キャップ層74の表面にp+型InP
層91およびp+型InGaAs層92を成長させ、第2図(f)に
示すように、埋め込み層8の表面にn+型InP層101および
n+型InGaAs層102を成長させる。InP層91およびInGaAs層
92が第1図に示したコンタクト層9となり、InP層101お
よびInGaAs層102がコンタクト層10となる。これらは接
触抵抗を低減するためのものである。
次に、第2図(g)に示すように、表面にSiO2を堆積さ
せ、ホトエッチングにより窓をあけてSiO2絶縁膜11とす
る。次に、p型のコンタクト層9には例えばAu/Cr、n
型のコンタクト層10には例えばAuGeNiをパターンニング
し、電極12、13を形成する。電極12、13のパターンニン
グには、ホトエッチング法やリフトオフ法などを用い
る。さらに、基板1の裏面にもAu/Cr電極14を設け、熱
処理を施してアロイングする。
最後に、チップを光導波路に対して垂直に劈開してレー
ザチップを得る。レーザ光の発振モードの単一性が悪い
ときには、さらに両端面に無反射膜を形成する。これに
より、可変波長レーザが得られる。
両端面に無反射膜を形成した場合には、この素子を可変
波長フィルタとして用いることもできる。また、回折格
子を設けず、両端面に劈開などによるミラーを形成した
場合には、この素子を位相変調器集積レーザとして用い
ることができる。回折格子を設けず、両端面に無反射膜
を形成すれば、光増幅器として用いることができる。
第3図は上述した光半導体素子駆動方法を示す図であ
り、この図では素子の断面を簡略化して示す。
駆動回路301は、光半導体素子302の電極12、13間および
電極14、13間にそれぞれバイアス電流を供給する電流源
304、305を備え、さらに、電流源304、305からそれぞれ
活性層6、4に注入される電流の量およびその割合を制
御する制御回路303を備える。
ここで、光半導体素子302を可変波長レーザとして用い
る場合について説明する。
光半導体素子302は、電極12と13との間、および電極14
と13との間にそれぞれ順方向電流の大きさに応じて、二
つの活性層6、4がそれぞれ光利得または損失(負の光
利得)をもつ。このため、二つの活性層4、6の光利得
の和が共振器の損失と平衡した状態でレーザ発振する。
このとき、二つの活性層4、6に注入する電流の大きさ
や割合を変化させると、活性層4、6の各々のキャリア
密度が変化し、これに対応して活性層4、6の各々の屈
折率が変化し、最終的に、光導波路全体の屈折率が変化
する。これにより、回折格子のブラッグ波長が変化する
ので、レーザ発振波長を変化させることができる。
光半導体素子302の動作時の光波長帯において、二つの
活性層4、6の双方に光利得をもたせた状態で使用すれ
ば、二つの活性層4、6に注入する電流を変化させて
も、レーザ発振状態であれば、二つの活性層による光利
得の和がほぼ一定に保たれ、キャリアの再結合その他に
よるキャリア密度の時間的な揺らぎが補償される。した
がって、光導波路全体の屈折率を変化させても、キャリ
ア密度に依存した屈折率の時間的揺らぎは小さく、スペ
クトル線幅に対する影響が小さい。
光半導体素子302を可変波長フィルタとして用いる場合
には、光半導体素子302として両端面に無反射被膜が設
けられたものを用いる。このとき、電流源304、305から
それぞれ活性層6、4に注入される電流の大きさを抑
え、レーザ発振しない状態で使用する。このとき、入射
光の波長および光半導体素子302内の回折格子のブラッ
グ波長が、活性層4、6のバンドギャップ波長より長波
長となるように設定する。この設定により、フィルタ内
の光吸収を小さくすることができる。
光半導体素子302を位相変調器集積レーザまたは位相変
調器集積増幅器として使用する場合には、光半導体素子
302として回折格子を含まないものを用いる。そして、
同等の動作方法により光導波路の屈折率を変化させれ
ば、共振器(あるいは光導波路)の光学的な長さを変え
られるので、光の位相を変調することができる。光導波
路の両端面にミラーを形成した場合は位相変調器集積レ
ーザとなり、光導波路の両端面に無反射膜を形成した場
合には、位相変調器集積光増幅器となる。
ここで、活性層4、6のキャリア密度および屈折率の変
化について説明する。
第4図は活性層のキャリア密度Nと実効的光利得Geff
の関係を定性的に示す図である。
ここで、適当な電流注入状態を想定し、そのときの一方
の活性層(以下「第一の活性層」という)の実効的光利
得をG1eff、キャリア密度をN1とし、他方の活性層(以
下「第二の活性層」という)の実効的光利得をG2eff
キャリア密度をN2とする。G1eff、G2effは、可変波長レ
ーザや可変波長フィルタとして使用する場合には、ブラ
ッグ波長における光の閉じ込めも考慮した実効的な利得
を表す。また、位相変調器集積レーザや位相変調器集積
光増幅器として使用する場合には、変調する光の波長に
おける光の閉じ込めも考慮した実効的な利得を表す。
レーザの発振条件は、共振器損失が光利得の平衡する状
態であるから、 Geff(N1,N2)=α ……(1) と表される。ここでαは共振器の損失である。この損
失αはその共振器の材料や構造によりほぼ決定され、
キャリア密度による変化はあるものの非常に小さく、ほ
とんど変化しないものと考えることができる。また、 Geff(N1,N2)=G1eff(N1)+G2eff(N2) ……(2) でもある。さらに、G1eff、G2effについては、 G1eff=G1・Γ ……(3) G2eff=G2・Γ ……(4) と表される。ここで、 G1、G2:各々の活性層の光利得 Γ、Γ:各々の活性層の光閉じ込め係数 である。
いま、光導波路全体の屈折率を変化させるために、二つ
の活性層に注入する電流の大きさを相対的に変化させる
場合を考える。この変化により、第一の活性層のキャリ
ア密度がN10からN10′に増加したとする。このとき、こ
の活性層の光利得はΔG1effだけ増大する。この一方
で、αがほとんど変化しないので、Geffを一定の大き
さに保つようなキャリア密度の変化が第二の活性層に生
じる。このキャリア密度の変化による第二の活性層の光
利得の変化量ΔG2effは、 ΔG2eff=−ΔG1eff ……(5) となる。この利得変化に対応した各々の活性層のキャリ
ア密度の変化量をそれぞれΔN1、ΔN2とする。このと
き、動作時の各々の活性層の微分利得を、光閉じ込め係
数を考慮して、 となるように素子構造を設計しておく。この式は、〔第
二の活性層の光閉じ込め係数〕×〔N1=N10のときの微
分利得の絶対値〕<〔第一の活性層の光閉じ込め係数〕
×〔N2=N20のときの微分利得の絶対値〕という意味で
ある。
ここで、実効的なキャリア密度の変化は、 |ΔGeff|=|Γ・|ΔN1|−Γ・|ΔN2|| ……
(7) で表され、(6)式の条件において(5)式が満たされ
るときには、(7)式の右辺は明らかに正となる。これ
はΔGeff≠0であることを意味し、光利得の和を一定に
保ちながら、二つの活性層の全体としての光閉じ込めも
考慮した実効的なキャリア密度を変化させることが可能
であることがわかる。すなわち、全体としての光利得を
一定に保ちながら、各層の光の閉じ込めも考慮した実効
的なキャリア密度を変化させて波長を変えることができ
る。
次に、活性層の屈折率変化について説明する。
注入キャリアによる屈折率の変化の主なメカニズムとし
ては、 (a)キャリアのプラズマ効果 (b)バンドフィリング効果 (c)エキシトンクエンチング効果 (d)バンドシュリンケージ効果 (e)ジュール熱による発熱 の5つが考えられる。これらについて、以下順に説明す
る。
(a)キャリアのプラズマ効果 例えば、第一の活性層のプラズマ効果による屈折率変化
ΔnPL1は、 と表される。ここで、 q:素電荷 λ:真空中の光波長 ε:真空中の誘電率 c:真空中の光速度 m1:第一の活性層内の電子の有効質量 である。(8)式からわかるように、屈折率は、活性層
内のキャリア密度の変化ΔN1に比例して変化する。
(b)バンドフィリング効果 バルク結晶の場合のバンドフィリング効果の定性的な説
明を第5図および第6図に示す。第5図は電子のポテン
シャルエネルギと状態密度ρとの関係を示し、第6図
(a)ないし(c)は光エネルギに対する光の吸収係数
α、吸収係数の変化−Δαおよび屈折率の変化Δnをそ
れぞれ示す。
第5図に示すように、活性層へのキャリア注入量が増大
すると、バンド端近傍の許容帯が順次キャリアにより占
有され、実効的にバンドギャップエネルギが大きくな
る。したがって、第6図(a)に示すように、光吸収係
数の吸収端が高エネルギ側へシフトし、第6図(b)に
示すように、光吸収スペクトルの変化が生じる。この変
化は、クラマース・クロニッヒの関係式 h:プランクの定数 E:光エネルギ α:吸収係数 により、屈折率の変化と関係付けられる。したがって、
第6図(c)に示すように、発振波長帯で屈折率が低下
する。近似的には、光エネルギに依存した係数B(E)
を用いて、屈折率の変化量を表すことができる。例えば
第一の活性層の屈折率の変化量は、 ΔnBF(E)=BE・ΔN1 ……(10) と表される。ただし、B(E)<0である。
係数B(E)はキャリア注入による吸収端のシフト量に
より決まるが、これは、キャリアの溜まる活性層の体積
に反比例する。したがって、活性層を薄いバルクや多重
量子井戸構造で形成した場合には、この効果がより大き
くなる。
(c)エキシトンクエンチング効果 )エキシトンクエンチング効果による屈折率変化の定性
的な説明を第7図に示す。第7図(a)は光エネルギE
に対する光の吸収係数αを示し、同図(b)は吸収係数
の変化Δαを示し、同図(c)は屈折率の変化Δnを示
す。
活性層を多重量子井戸構造などで形成すると、量子井戸
内では、室温状態でもエキシトンが形成される。エキシ
トンとは、電子と正孔とが局在化して緩く束縛された状
態である。このエキシトンは、緩く束縛されているの
で、自由なキャリアよりもポテンシャルエネルギが小さ
い。このため、それに相当する分だけ遷移エネルギが小
さくなり、第7図(a)に示すように、通常の量子準位
間の遷移による吸収端よりも低エネルギ側に大きな吸収
ピークを作る。第7図(a)には、 〔第一準位の電子エネルギe1〕−〔第一準位の正孔のエ
ネルギhh1〕 のエトキシトン吸収のピークを示す。
しかし、量子井戸内に多数のキャリアが注入されると、
このエトキシトン(およびエトキシトンによる吸収)が
消滅することが知られている。このため、第7図
(b)、(c)に示したように、吸収端エネルギに近い
エネルギをもった光に対して、活性層のキャリア注入前
後における吸収係数の変化を起こすバンドフィリング効
果を更に強調することになる。したがって、吸収端に近
いエネルギをもった光に対して、導波路の屈折率を小さ
くする効果がある。
(d)バンドシュリンケージ効果 バンドフィリングが生じるような高密度にキャリアが局
在化すると、クーロン力により、電導帯の電子と価電子
帯の正孔とが相互作用し、バンドギャップエネルギが実
効的に小さくなる。これはバンドフィリングと相対する
効果であり、同様なメカニズムで、屈折率を大きくする
効果がある。
(e)ジュール熱による発熱 発熱による光導波路の温度上昇は、 (1)結晶の屈折率の増大 (2)光導波路の膨張(回折格子のピッチの増大) の二つの変化を引き起こす。
(a)ないし(d)の効果については、例えば、 文献(6)メンザ・アルバレツ他、ジャーナル・オブ・
ライトウェイブテクノロジ、第6巻、第793頁、1988年 (J.G.Mendza-Alvarez et al.,J.Light-wave Tech.,Vo
l.6,p.793,1988) 文献(7)花泉 他、OQE90-44 文献(8)ヨシムラ他、エクステンデド、アブストラク
ト・オブ・ザ・19ス・コンファレンス・オン・ソリッド
・ステイト・デバイセス・アンド・マテリアルズ、開催
地 東京、第371頁、1987年 (H.Yoshimura et al.,Extecded Abstract on the 19th
Conf.on Solid State Devices and Materials,Tokyo,p
371,1987) 文献(9)ボッテルドーレン他、アプライド・フィジク
ス・レターズ、第54巻、第1989頁、1989年 (D.Botteldooren & R.Baets,Appl.Phys.Lett.,Vol.5
4,p.1989.1989) にそれぞれ説明されている。
第8図は本発明第二実施例の光半導体素子を示す斜視図
であり、内部構造を示すため一部を切り欠いて示す。
この素子は、構造的にはほぼ第一実施例と同等である
が、p型層2およびn型層3の形成方法と、p型層7お
よび埋め込み層8の形成方法とが異なるために若干の差
異がある。
第9図はこの素子の製造方法を示す。
まず、第9図(a)に示すように、基板1上にp型InP
バッファ層21を成長させ、P-CVD法などによりSiO2膜801
を堆積させた後、ホトエッチングにより、下側の活性層
に電流を注入する経路に相当する部分を残してバッファ
層21をエッチングする。このエッチングのときSiO2膜80
1上にはレジストが残っているが、このレジストを除去
し、SiO2膜801をマスクとして、n型層3を選択成長さ
せる。
続いて、SiO2膜801を取り除き、第9図(b)に示すよ
うに、p型InP層23、活性層4、n型層5、活性層6、
p型InP層71およびp型InGaAsPガイド層72を成長させ
る。p型InP層23は、バッファ層21と共に、第8図に示
したp型層2を構成する。二つの活性層4、6はInGaAs
P、InGaAsなどで形成し、それぞれのバンドギャップ波
長λ91、λ92が実質的に等しくなるようにする。ガイド
層72の表面には、干渉露光法または電子ビーム露光法に
より、発振波長に応じた回折格子を形成する。
この後、第9図(c)に示すように、薄いp型InP層75
を再成長させ、SiO2膜802を堆積し、ホトエッチング法
により、下側の活性層4より深い位置までメサ状にエッ
チングする。さらに、SiO2膜802をマスクとして、第一
のn型InP埋め込み層81を成長させる。
次に、第9図(d)に示すように、SiO2膜802を取り除
き、p型InPクラッド層73およびp+型InGaAsキャップ層7
4を成長させる。さらに、SiO2膜803を堆積させ、ホトエ
ッチング法により、クラッド層73およびキャップ層74を
メサ加工する。このとき、以前にメサ加工された活性層
4、6を中心として、これより広い幅のメサが得られる
ように加工する。
さらに、第9図(e)に示すように、SiO2膜803を用い
て第二のn型InP埋め込み層82を成長させる。この二つ
の埋め込み層81、82により、第8図に示した埋め込み層
8が得られる。さらに、SiO膜を堆積させ、ホトエッチ
ング法により埋め込み層8のコンタクト部に窓を開け、
n型InP層およびn+型InGaAs層を選択成長させてコンタ
クト層10を形成する。
次に、第9図(f)に示すように、表面にSiO2を堆積さ
せ、ホトエッチングにより、コンタクト部分に窓をあけ
てSiO2絶縁膜11とする。さらに、p型の電極12として例
えばAu/Cr、n型の電極13として例えばAuGeNiをパター
ンニングする。このパターンニングには、ホトエッチン
グ法やリフトオフ法などを用いる。さらに、基板1の裏
面にもAu/Cr電極14を設け、熱処理を施してアロイング
する。
最後に、チップを光導波路に対して垂直に劈開してレー
ザチップを得る。レーザ光の発振モードの単一性が悪い
ときには、さらに両端面に無反射膜を形成する。これに
より、可変波長レーザが得られる。
また、第一実施例の場合と同様に、両端面に無反射膜を
形成した場合には、この素子を可変波長フィルタとして
用いることもできる。回折格子を設けず、両端面に劈開
などによるミラーを形成した場合には、この素子を位相
変調器集積レーザとして用いることができる。回折格子
を設けず、両端面に無反射膜を形成すれば、光増幅器と
して用いることができる。
以上の実施例では活性層としてバルク結晶を用いた場合
について説明したが、多重量子井戸構造を用いても同様
に本発明を実施できる。その場合には、二つの活性層の
一方だけを多重量子井戸構造としてもよく、双方を多重
量子井戸構造としてもよい。
第10図および第11図にバルク結晶の活性層と多重量子井
戸構造の活性層との違いを示す。第10図は状態密度分布
を示し、第11図は活性層内のキャリア密度Nに対する実
効的光利得Geffを示す。それぞれの図において、(a)
がバルクの場合を示し、(b)が多重量子井戸構造の場
合を示す。
多重量子井戸構造では、第10図(b)に示すように、状
態密度が段階状となる。このため、バルクの場合と比較
すると、微分利得dGeff/dNが低キャリア注入状態で大き
くなり、高注入すると、利得飽和が強く現れて微分利得
が小さくなる。これは第11図(a)、(b)に示したと
おりである。第4図の説明で述べたように、実効的な屈
折率変化は、注入キュリア密度にNに対する微分利得の
非線形性、すなわち利得飽和が強いほど効率的である。
したがって、多重量子井戸構造を用いれば、大きな波長
変化や位相変化が得られる。
以上の説明では、化合物半導体としてInPおよびInGaAsP
を用いた例について説明したが、GaAs系などの他の化合
物半導体を用いても本発明を同様に実施できる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の光半導体素子は、屈折率
が変調される二つの光導波路が、動作時の光波長に対し
て共に利得を有する活性層で形成されている。このた
め、二つの活性層に注入する電条件を適当に設定するこ
とにより、光出力をほぼ一定に保ったまま光を変調する
ことがきる。
特に本発明の素子をレーザとして使用するときには、素
子の動作時の光波長帯で二つの活性層の双方に光利得が
あることから、それぞれの活性層に注入する電流を変化
させても、リーザ発振状態では二つの活性層による光利
得の和がほぼ一定に保たれる。このため、活性層内での
キャリアの再結合その他によるキャリア密度の時間的揺
らぎが補償される。したがって、キャリアを大量に注入
して光導波路の屈折率を大きく変化させた場合でも、キ
ャリア密度に依存した屈折率の時間的揺らぎによって生
じるスペクトル線幅の増大が小さい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明第一実施例の光半導体素子を示す斜視
図、 第2図はこの素子の製造方法を示す図。 第3図は光半導体素子の駆動方法を示す図。 第4図は活性層のキャリア密度Nと実効的光利得Geff
の関係を定性的に示す図。 第5図はバンドフィリング効果の定性的な説明を示す図
であり、電子のポテンシャルエネルギと状態密度ρとの
関係を示す図。 第6図はバンドフィリング効果の定性的な説明を示す図
であり、光エネルギに対する光の吸収係数α、吸収係数
の変化−Δαおよび屈折率の変化Δnを示す図。 第7図はエキシトンクエンチング効果による屈折率変化
の定性的な説明を示す図であり、光エネルギEに対する
光の吸収係数α、吸収係数の変化Δαおよび屈折率の変
化Δnを示す図。 第8図は本発明第二実施例の光半導体素子を示す斜視
図。 第9図は製造方法を示す図。 第10図はバルク結晶の活性層と多重量子井戸構造の活性
層との状態密度分布の違いを示す図。 第11図はバルク結晶の活性層と多重量子井戸構造の活性
層とのキャリア密度Nに対する実効的光利得Geffとの違
いを示す図。 1…基板、2…p型層、3、5…n型層、4、6…活性
層、7…p型層、8…埋め込み層、9、10…コンタクト
層、11…SiO2絶縁膜、12、13、14…電極、21……バッフ
ァ層、22…p型拡散層、23…p型InP層、31…n型InP
層、71…p型InP層、72…ガイド層、73…クラッド層、7
4…キャップ層、75…p型InP層、81、82…埋め込み層、
91…p+型InP層、92…p+型InGaAs層、101…n+型InP層、1
02…n+型InGaAs層、301…駆動回路、302…光半導体素
子、303…制御回路、304,305…電流源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須田 一哉 東京都武蔵野市中町2丁目11番13号 光計 測技術開発株式会社内 (72)発明者 野極 誠二 東京都武蔵野市中町2丁目11番13号 光計 測技術開発株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−128589(JP,A) 特開 昭61−79287(JP,A) 特開 昭60−136277(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化合物半導体により形成されたpnpまたはn
    pn層構造と、 この層構造内の二つのpn接合部にそれぞれ設けられた近
    接する層よりバンドギャップエネルギの小さい組成の二
    つの活性層と を備え、 この二つの活性層がひとつの光導波路内で共通の光ビー
    ムを形成するように配置された 光半導体素子において、 前記二つの活性層は、互いのバンドギャップエネルギが
    実質的に等しく、かつそれぞれに注入される電流の量お
    よびその割合が制御されることにより光導波路全体とし
    ての屈折率が変化するように形成された ことを特徴とする光半導体素子。
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