JPH07120544A - 磁気特性分析装置及び分析方法 - Google Patents
磁気特性分析装置及び分析方法Info
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- JPH07120544A JPH07120544A JP5265968A JP26596893A JPH07120544A JP H07120544 A JPH07120544 A JP H07120544A JP 5265968 A JP5265968 A JP 5265968A JP 26596893 A JP26596893 A JP 26596893A JP H07120544 A JPH07120544 A JP H07120544A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】核磁気共鳴現象を応用した異方性磁界の測定に
おいて、測定分解能を顕著に向上させることのできる磁
気特性分析装置及び分析方法を提供すること。 【構成】上記目的は、試料コイル内に装着した磁性体試
料に対して高周波パルス磁界を印加することによって原
子核スピンの磁気共鳴信号を観測する核磁気共鳴分析装
置において、上記試料コイルが2本以上の絶縁被覆線を
パラレルに巻いた密巻単層ソレノイドコイルによって構
成されていることを特徴とする磁気特性分析装置とする
こと、及び、本発明の分析方法とすることによって達成
することができる。
おいて、測定分解能を顕著に向上させることのできる磁
気特性分析装置及び分析方法を提供すること。 【構成】上記目的は、試料コイル内に装着した磁性体試
料に対して高周波パルス磁界を印加することによって原
子核スピンの磁気共鳴信号を観測する核磁気共鳴分析装
置において、上記試料コイルが2本以上の絶縁被覆線を
パラレルに巻いた密巻単層ソレノイドコイルによって構
成されていることを特徴とする磁気特性分析装置とする
こと、及び、本発明の分析方法とすることによって達成
することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性材料の基本特性の一
つである異方性磁界を測定するための磁気特性分析装置
及び分析方法に係り、特に、その測定分解能を顕著に向
上させることのできる磁気特性分析装置及び分析方法に
関する。
つである異方性磁界を測定するための磁気特性分析装置
及び分析方法に係り、特に、その測定分解能を顕著に向
上させることのできる磁気特性分析装置及び分析方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】永久磁石、高周波コア材料、磁気記録装
置に使用する記録媒体用磁性薄膜や磁気ヘッド用磁性薄
膜などの磁性材料を開発する上で、基本的な材料特性の
一つである異方性磁界の測定が必要とされている。特
に、昨今、マイクロマグネティズム材料、すなわち極微
細な構造を有する複合磁性材料の開発が活発化してい
る。異方性磁界とは、磁性材料の磁化の向きを特定の方
向に引き付けておこうとする力の強さを表す量である。
従って、磁化の向きを外部磁場の方向に揃えようとする
とき、少なくとも異方性磁界と同等の強さの外部磁場を
印加する必要がある。一般に、永久磁石や磁気記録媒体
では異方性磁界は大きく、逆に、高周波コア材や磁気記
録ヘッド用磁性材料では異方性磁界が小さいことが望ま
しい。
置に使用する記録媒体用磁性薄膜や磁気ヘッド用磁性薄
膜などの磁性材料を開発する上で、基本的な材料特性の
一つである異方性磁界の測定が必要とされている。特
に、昨今、マイクロマグネティズム材料、すなわち極微
細な構造を有する複合磁性材料の開発が活発化してい
る。異方性磁界とは、磁性材料の磁化の向きを特定の方
向に引き付けておこうとする力の強さを表す量である。
従って、磁化の向きを外部磁場の方向に揃えようとする
とき、少なくとも異方性磁界と同等の強さの外部磁場を
印加する必要がある。一般に、永久磁石や磁気記録媒体
では異方性磁界は大きく、逆に、高周波コア材や磁気記
録ヘッド用磁性材料では異方性磁界が小さいことが望ま
しい。
【0003】磁性材料の異方性磁界測定方法としては、
これまで、トルク法や磁化測定法があった。これらの測
定法では、測定試料に対して特定の方向に静電界(十数k
Oe)を印加したときに試料全体が示す回転力あるいは磁
化の大きさを測定し、これを基に異方性磁界の大きさが
計算される。このため、測定試料は単結晶もしくは特定
の方向に配向したものでなければならないという制約が
あった。また、計算される異方性磁界の値は試料全体の
平均値であって、例えば、2種類以上の異なる磁気特性
を有する成分が混在するような材料について、個々の成
分の異方性磁界の大きさを分離して測定することは困難
であった。
これまで、トルク法や磁化測定法があった。これらの測
定法では、測定試料に対して特定の方向に静電界(十数k
Oe)を印加したときに試料全体が示す回転力あるいは磁
化の大きさを測定し、これを基に異方性磁界の大きさが
計算される。このため、測定試料は単結晶もしくは特定
の方向に配向したものでなければならないという制約が
あった。また、計算される異方性磁界の値は試料全体の
平均値であって、例えば、2種類以上の異なる磁気特性
を有する成分が混在するような材料について、個々の成
分の異方性磁界の大きさを分離して測定することは困難
であった。
【0004】従来の別の異方性磁界測定方法として、核
磁気共鳴法(核スピンエコー法)があった。この方法を用
いることによって、原理的には、異なる磁気特性を有す
る成分が混在する磁性材料についても、個々の異方性磁
界の大きさを分離して測定できることが知られている
(武井弘次、D.J.Rogers、前田安:第16回日本応用磁気
学会学術講演概要集 Vol.16,p.390)。図8は従来の核磁
気共鳴による磁気特性分析装置の例である。ここで、1
は高周波パルス発生器、2は電磁波振幅制御器、S1は振
幅制御された高周波パルスの出力端子、S2 は出力端子
S1 に出力される高周波パルスの振幅値に比例する DC
電圧を発生する出力端子、3はインピーダンスマッチン
グネットワーク、4は試料コイル(この中に測定試料が
配置される)、5は高周波増幅器、6は検波器である。
また、7は記録計で、電磁波振幅制御器2の S2 と検波
器6の出力端子とに接続されている。
磁気共鳴法(核スピンエコー法)があった。この方法を用
いることによって、原理的には、異なる磁気特性を有す
る成分が混在する磁性材料についても、個々の異方性磁
界の大きさを分離して測定できることが知られている
(武井弘次、D.J.Rogers、前田安:第16回日本応用磁気
学会学術講演概要集 Vol.16,p.390)。図8は従来の核磁
気共鳴による磁気特性分析装置の例である。ここで、1
は高周波パルス発生器、2は電磁波振幅制御器、S1は振
幅制御された高周波パルスの出力端子、S2 は出力端子
S1 に出力される高周波パルスの振幅値に比例する DC
電圧を発生する出力端子、3はインピーダンスマッチン
グネットワーク、4は試料コイル(この中に測定試料が
配置される)、5は高周波増幅器、6は検波器である。
また、7は記録計で、電磁波振幅制御器2の S2 と検波
器6の出力端子とに接続されている。
【0005】この装置を用いた磁気分析方法では、通常
のスピンエコー測定の場合(安岡弘志 : 日本金属学会会
報、第10巻、第5号、1971年、第290〜296頁)と同様
に、パルス幅が数マイクロ秒の高周波パルスを、数マイ
クロ秒〜数十マイクロ秒の間隔で試料コイルに印加する
と、試料コイルの中に配置した測定試料に対し、高周波
パルス磁界が作用する。こうすることによって、第一の
パルスと第二のパルスとの間隔の丁度2倍の時間経過後
にスピンエコーと呼ばれる核磁気共鳴信号が試料コイル
に誘起される。このスピンエコー信号強度を試料コイル
に印加した高周波パルス振幅の関数として計測すること
により、スピンエコー信号強度スペクトルが得られる。
のスピンエコー測定の場合(安岡弘志 : 日本金属学会会
報、第10巻、第5号、1971年、第290〜296頁)と同様
に、パルス幅が数マイクロ秒の高周波パルスを、数マイ
クロ秒〜数十マイクロ秒の間隔で試料コイルに印加する
と、試料コイルの中に配置した測定試料に対し、高周波
パルス磁界が作用する。こうすることによって、第一の
パルスと第二のパルスとの間隔の丁度2倍の時間経過後
にスピンエコーと呼ばれる核磁気共鳴信号が試料コイル
に誘起される。このスピンエコー信号強度を試料コイル
に印加した高周波パルス振幅の関数として計測すること
により、スピンエコー信号強度スペクトルが得られる。
【0006】このようにして測定されたスピンエコー信
号強度スペクトルを基にして、測定試料が有する異方性
磁界の大きさ及びその分布状態が以下の方法で解析され
る。すなわち、スピンエコー信号強度は、測定試料に作
用する高周波パルス磁界の強さ H1、パルス幅 TW、原子
核の磁気モーメントに作用する内部磁場の大きさ Hin t
及び異方性磁界の大きさ HAに依存して変化し、
号強度スペクトルを基にして、測定試料が有する異方性
磁界の大きさ及びその分布状態が以下の方法で解析され
る。すなわち、スピンエコー信号強度は、測定試料に作
用する高周波パルス磁界の強さ H1、パルス幅 TW、原子
核の磁気モーメントに作用する内部磁場の大きさ Hin t
及び異方性磁界の大きさ HAに依存して変化し、
【0007】
【数1】
【0008】で表される関係にあるとき、スピンエコー
強度が最大となることが知られている(S.Kobayashi,K.A
sayama and J.Itoh : J.Phys.Soc.Japan,Vol.21,No.1,1
966,pp.65‐74)。なお、式(1)におけるγは原子核固有
の定数で磁気回転比と呼ばれる量である。また、Hintと
共鳴周波数(ν)とは
強度が最大となることが知られている(S.Kobayashi,K.A
sayama and J.Itoh : J.Phys.Soc.Japan,Vol.21,No.1,1
966,pp.65‐74)。なお、式(1)におけるγは原子核固有
の定数で磁気回転比と呼ばれる量である。また、Hintと
共鳴周波数(ν)とは
【0009】
【数2】
【0010】なる関係にあるものであって、測定周波数
(共鳴周波数)が与えられれば、Hintは一義的に決定され
る。従って、パルス幅 TW を一定値に固定して高周波パ
ルス磁界の強さ H1を変化させると、H1が式(1)の条件を
満たしたときにスピンエコー強度が最大値に達する。こ
のときの高周波パルス振幅値を VPとすると、高周波パ
ルス振幅と試料に作用する高周波磁界の強さとは比例す
るので、式(1)から
(共鳴周波数)が与えられれば、Hintは一義的に決定され
る。従って、パルス幅 TW を一定値に固定して高周波パ
ルス磁界の強さ H1を変化させると、H1が式(1)の条件を
満たしたときにスピンエコー強度が最大値に達する。こ
のときの高周波パルス振幅値を VPとすると、高周波パ
ルス振幅と試料に作用する高周波磁界の強さとは比例す
るので、式(1)から
【0011】
【数3】
【0012】なる関係が成立する。つまり、VPが試料の
HAの大きさに比例する。ここで、Cは試料コイルの形
状に依存する定数であるから、予め HAが既知である試
料について測定すればCを決定することができる。この
ように、VPを知ることによって異方性磁界の大きさを求
めることができる。
HAの大きさに比例する。ここで、Cは試料コイルの形
状に依存する定数であるから、予め HAが既知である試
料について測定すればCを決定することができる。この
ように、VPを知ることによって異方性磁界の大きさを求
めることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】図9は図8の試料コイ
ルの構造を詳細に示した図で、試料コイルの大きさは、
標準的には、直径約5mm、長さ約1cmである。磁性材料
の核磁気共鳴周波数は通常数十MHz〜数百MHzの範囲にあ
るが、この周波数領域で測定を行うためには、このよう
な試料コイルのインダクタンスを約0.1mH以下に抑える
必要がある。このため、従来の試料コイルの構造の一つ
として、(a)に示すような、巻数が僅か数ターンのソレ
ノイドコイルが用いられており、この場合、巻線の隙間
からの磁束洩れが原因となって、試料コイル内に不均一
な磁界分布が形成されていた。また、従来の試料コイル
の別の構造として、(b)に示すようなテープ形状の巻線
を使用したものもあったが、高周波電流に対しては、表
皮効果のために、テープの両端の部分に電流が集中し、
試料コイル内に均一な磁界分布を形成することができな
かった。すなわち、従来の分析装置においては、試料コ
イルとして単純なソレノイドコイルが用いられていたた
め、コイル内部の磁界強度を一定にすることが困難であ
った。そのため、スピンエコー信号に現れる共鳴ピーク
のピーク幅が増大し、共鳴ピーク位置の読み取り精度、
すなわち、異方性磁界の測定分解能が低下するという欠
点があった。
ルの構造を詳細に示した図で、試料コイルの大きさは、
標準的には、直径約5mm、長さ約1cmである。磁性材料
の核磁気共鳴周波数は通常数十MHz〜数百MHzの範囲にあ
るが、この周波数領域で測定を行うためには、このよう
な試料コイルのインダクタンスを約0.1mH以下に抑える
必要がある。このため、従来の試料コイルの構造の一つ
として、(a)に示すような、巻数が僅か数ターンのソレ
ノイドコイルが用いられており、この場合、巻線の隙間
からの磁束洩れが原因となって、試料コイル内に不均一
な磁界分布が形成されていた。また、従来の試料コイル
の別の構造として、(b)に示すようなテープ形状の巻線
を使用したものもあったが、高周波電流に対しては、表
皮効果のために、テープの両端の部分に電流が集中し、
試料コイル内に均一な磁界分布を形成することができな
かった。すなわち、従来の分析装置においては、試料コ
イルとして単純なソレノイドコイルが用いられていたた
め、コイル内部の磁界強度を一定にすることが困難であ
った。そのため、スピンエコー信号に現れる共鳴ピーク
のピーク幅が増大し、共鳴ピーク位置の読み取り精度、
すなわち、異方性磁界の測定分解能が低下するという欠
点があった。
【0014】一方、分析方法に関しては、磁性材料への
高周波パルスの印加により、スピンエコー信号強度の測
定法(評価法)として、スピンエコー信号エンベロープ波
形の波高値もしくは積分強度(波形面積)を測定してい
た。このため、基本共鳴条件と高次の共鳴条件との双方
によって発生したスピンエコー信号が合成されたものを
測定していることとなり、基本共鳴信号と高次の共鳴信
号とが相互に接近した二つの共鳴ピークを有するスピン
エコー信号強度スペクトルにおいては、基本共鳴信号と
高次共鳴信号の二つの共鳴ピークを分離することが困難
であり、共鳴ピーク位置の読み取り精度、すなわち、測
定分解能が低下してしまうという欠点があった。
高周波パルスの印加により、スピンエコー信号強度の測
定法(評価法)として、スピンエコー信号エンベロープ波
形の波高値もしくは積分強度(波形面積)を測定してい
た。このため、基本共鳴条件と高次の共鳴条件との双方
によって発生したスピンエコー信号が合成されたものを
測定していることとなり、基本共鳴信号と高次の共鳴信
号とが相互に接近した二つの共鳴ピークを有するスピン
エコー信号強度スペクトルにおいては、基本共鳴信号と
高次共鳴信号の二つの共鳴ピークを分離することが困難
であり、共鳴ピーク位置の読み取り精度、すなわち、測
定分解能が低下してしまうという欠点があった。
【0015】本発明の目的は、上記従来技術の有してい
た課題を解決して、核磁気共鳴現象を応用した異方性磁
界の測定において、その測定分解能を顕著に向上させる
ことのできる磁気特性分析装置及び分析方法を提供する
ことにある。
た課題を解決して、核磁気共鳴現象を応用した異方性磁
界の測定において、その測定分解能を顕著に向上させる
ことのできる磁気特性分析装置及び分析方法を提供する
ことにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的は、試料コイル
内に装着した磁性体試料に対して高周波パルス磁界を印
加することによって原子核スピンの磁気共鳴信号を観測
する核磁気共鳴分析装置において、上記試料コイルが2
本以上の絶縁被覆線をパラレルに巻いた密巻単層ソレノ
イドコイルによって構成されていることを特徴とする磁
気特性分析装置とすること、および、磁性体試料に対し
て高周波磁界を印加することによって原子核スピンの磁
気共鳴信号を観測する核磁気共鳴分析方法において、歳
差運動をする核スピンの傾き角が π/2 もしくはそれよ
りも小さい場合に観測されるスピンエコー信号のエンベ
ロープ波形を測定する第一の工程と、核スピンの傾き角
が少なくとも 5π/2 よりも大きい場合に観測されるス
ピンエコー信号のエンベロープ波形を測定する第二の工
程と、これら二つの波形を基本要素とする合成波形を用
いて、任意の条件で測定されるスピンエコー信号波形に
対してフィッティングを行う第三の工程とによってスピ
ンエコー信号を波形分離処理し、第一の工程で観測され
る波形と同形の波形成分の強度を測定することを特徴と
する磁気特性分析方法とすることによって達成すること
ができる。
内に装着した磁性体試料に対して高周波パルス磁界を印
加することによって原子核スピンの磁気共鳴信号を観測
する核磁気共鳴分析装置において、上記試料コイルが2
本以上の絶縁被覆線をパラレルに巻いた密巻単層ソレノ
イドコイルによって構成されていることを特徴とする磁
気特性分析装置とすること、および、磁性体試料に対し
て高周波磁界を印加することによって原子核スピンの磁
気共鳴信号を観測する核磁気共鳴分析方法において、歳
差運動をする核スピンの傾き角が π/2 もしくはそれよ
りも小さい場合に観測されるスピンエコー信号のエンベ
ロープ波形を測定する第一の工程と、核スピンの傾き角
が少なくとも 5π/2 よりも大きい場合に観測されるス
ピンエコー信号のエンベロープ波形を測定する第二の工
程と、これら二つの波形を基本要素とする合成波形を用
いて、任意の条件で測定されるスピンエコー信号波形に
対してフィッティングを行う第三の工程とによってスピ
ンエコー信号を波形分離処理し、第一の工程で観測され
る波形と同形の波形成分の強度を測定することを特徴と
する磁気特性分析方法とすることによって達成すること
ができる。
【0017】
【作用】上記本発明構成の測定装置及び測定方法の作用
について以下に説明する。まず、測定装置については、
試料コイルを2本以上の絶縁被覆導線をパラレルに巻い
た密巻単層ソレノイドコイルで構成することによって、
巻線間の間隙を埋めるように互いに絶縁された別の巻線
が密に設けてあり、さらに、これら巻線の両端がそれぞ
れ電気的に接続されているために、巻線の隙間からの磁
束漏洩が抑制され、試料コイル内での磁界分布を均一に
することができる。しかも、各巻線の両端が並列接続さ
れているので、インダクタンスは従来の試料コイルのそ
れとほぼ同等である。すなわち、低インダクタンスでか
つ磁界分布の均一性に優れた試料コイルとすることによ
って異方性磁界の測定の分解能を向上させたもので、従
来技術とは試料コイルの構造が異なる。
について以下に説明する。まず、測定装置については、
試料コイルを2本以上の絶縁被覆導線をパラレルに巻い
た密巻単層ソレノイドコイルで構成することによって、
巻線間の間隙を埋めるように互いに絶縁された別の巻線
が密に設けてあり、さらに、これら巻線の両端がそれぞ
れ電気的に接続されているために、巻線の隙間からの磁
束漏洩が抑制され、試料コイル内での磁界分布を均一に
することができる。しかも、各巻線の両端が並列接続さ
れているので、インダクタンスは従来の試料コイルのそ
れとほぼ同等である。すなわち、低インダクタンスでか
つ磁界分布の均一性に優れた試料コイルとすることによ
って異方性磁界の測定の分解能を向上させたもので、従
来技術とは試料コイルの構造が異なる。
【0018】次に、測定方法については、本発明方法の
場合、核磁気共鳴信号に含まれるスプリアス成分を除去
することによって異方性磁界測定の分解能を向上させた
ものである。すなわち、基本共鳴条件によるスピンエコ
ー信号と高次共鳴条件によるスピンエコー信号とを独立
に測定した後、両者を含むスピンエコー信号を信号波形
処理によって高次の共鳴信号を除去するもので、従来技
術とは核磁気共鳴信号の波形処理方法が異なる。
場合、核磁気共鳴信号に含まれるスプリアス成分を除去
することによって異方性磁界測定の分解能を向上させた
ものである。すなわち、基本共鳴条件によるスピンエコ
ー信号と高次共鳴条件によるスピンエコー信号とを独立
に測定した後、両者を含むスピンエコー信号を信号波形
処理によって高次の共鳴信号を除去するもので、従来技
術とは核磁気共鳴信号の波形処理方法が異なる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の分析装置及び分析方法につい
て、実施例によって具体的に説明する。
て、実施例によって具体的に説明する。
【0020】
【実施例1】本実施例においては本発明分析装置の試料
コイルの構成について説明する。図1は本発明分析装置
の試料コイルの概略構造を示した図で、試料コイルが2
本以上(図では4本の例を示した)の絶縁被覆導線をパラ
レルに巻いた密巻単層ソレノイドコイルによって構成さ
れ、巻線間の間隙を埋めるように互いに絶縁された別の
巻線が密に設けてあり、さらに、これら巻線の両端がそ
れぞれ電気的に接続されていることを示している。この
ような構成とすることによって、巻線の間隙からの磁束
漏洩が抑制され、試料コイル内での磁界分布を均一にす
ることができる。しかも、各巻線の両端が並列接続され
ているので、インダクタンスは従来の試料コイルのそれ
とほぼ同等である。
コイルの構成について説明する。図1は本発明分析装置
の試料コイルの概略構造を示した図で、試料コイルが2
本以上(図では4本の例を示した)の絶縁被覆導線をパラ
レルに巻いた密巻単層ソレノイドコイルによって構成さ
れ、巻線間の間隙を埋めるように互いに絶縁された別の
巻線が密に設けてあり、さらに、これら巻線の両端がそ
れぞれ電気的に接続されていることを示している。この
ような構成とすることによって、巻線の間隙からの磁束
漏洩が抑制され、試料コイル内での磁界分布を均一にす
ることができる。しかも、各巻線の両端が並列接続され
ているので、インダクタンスは従来の試料コイルのそれ
とほぼ同等である。
【0021】上記の試料コイルにおいては、(1) コイル
の直径寸法が例えば約5mmと極めて小さいこと、(2) 表
皮効果が存在することから、測定の容易な静磁界分布の
測定方法が適用できないこと、などの技術的理由から、
コイル内部における高周波磁界分布を直接測定して、従
来の試料コイルと比較することは困難である。そこで、
本発明の効果を確認するために、以下の測定を行った。
の直径寸法が例えば約5mmと極めて小さいこと、(2) 表
皮効果が存在することから、測定の容易な静磁界分布の
測定方法が適用できないこと、などの技術的理由から、
コイル内部における高周波磁界分布を直接測定して、従
来の試料コイルと比較することは困難である。そこで、
本発明の効果を確認するために、以下の測定を行った。
【0022】(イ) 磁気的に均質な磁性試料を用いた核
磁気共鳴スペクトルの測定。 図2は、スパッタ法で作製した均質なパーマロイ合金薄
膜(Ni80Fe15Cu5; 組成比は原子%)について、上記本発
明の試料コイルを用いて測定したスピンエコー信号強度
スペクトルである。まず、測定は図8の装置構成によっ
て行った。すなわち、高周波パルス発生器1により高周
波パルスの周波数をパーマロイ合金薄膜の共鳴周波数で
ある150MHzに設定した。また、第一パルスと第二パルス
のパルス幅をそれぞれ1マイクロ秒及び2マイクロ秒と
し、また、これらのパルス間隔を15マイクロ秒に設定し
た。その結果、第一のパルスの30マイクロ秒後にスピン
エコー信号が4に誘起された。このスピンエコー信号を
5で増幅し、さらに6によってその振幅値に相当する直
流信号に変換して7に記録した。これと同時に、4に印
加した高周波パルスの振幅値も7に記録した。次に、電
磁波振幅制御器2を操作して高周波パルスの振幅を僅か
に変化させ、再びスピンエコー信号強度と高周波パルス
振幅値とを記録した。以降、この操作を繰り返すことに
より、高周波パルス振幅値に対するスピンエコー信号強
度スペクトルを得た。図中、実線は本発明試料コイルを
用いた場合を、点線は従来の単巻ソレノイドによる試料
コイルを用いた場合を示す。
磁気共鳴スペクトルの測定。 図2は、スパッタ法で作製した均質なパーマロイ合金薄
膜(Ni80Fe15Cu5; 組成比は原子%)について、上記本発
明の試料コイルを用いて測定したスピンエコー信号強度
スペクトルである。まず、測定は図8の装置構成によっ
て行った。すなわち、高周波パルス発生器1により高周
波パルスの周波数をパーマロイ合金薄膜の共鳴周波数で
ある150MHzに設定した。また、第一パルスと第二パルス
のパルス幅をそれぞれ1マイクロ秒及び2マイクロ秒と
し、また、これらのパルス間隔を15マイクロ秒に設定し
た。その結果、第一のパルスの30マイクロ秒後にスピン
エコー信号が4に誘起された。このスピンエコー信号を
5で増幅し、さらに6によってその振幅値に相当する直
流信号に変換して7に記録した。これと同時に、4に印
加した高周波パルスの振幅値も7に記録した。次に、電
磁波振幅制御器2を操作して高周波パルスの振幅を僅か
に変化させ、再びスピンエコー信号強度と高周波パルス
振幅値とを記録した。以降、この操作を繰り返すことに
より、高周波パルス振幅値に対するスピンエコー信号強
度スペクトルを得た。図中、実線は本発明試料コイルを
用いた場合を、点線は従来の単巻ソレノイドによる試料
コイルを用いた場合を示す。
【0023】図2によれば、本発明の試料コイルによる
均質磁性材料の共鳴ピークの半値幅は、従来の試料コイ
ルを用いた場合に比べて1/2.5に減少しており、コイル
内部の磁界分布がより均一化したことが示されている。
従って、本発明によって、ピーク位置の読み取り精度が
4倍以上も大幅に向上していることがわかる。
均質磁性材料の共鳴ピークの半値幅は、従来の試料コイ
ルを用いた場合に比べて1/2.5に減少しており、コイル
内部の磁界分布がより均一化したことが示されている。
従って、本発明によって、ピーク位置の読み取り精度が
4倍以上も大幅に向上していることがわかる。
【0024】(ロ) 異方性磁界を示す磁性材料を用いた
核磁気共鳴スペクトルの測定。 異方性磁界を示す磁性材料としてスパッタ法によって形
成した CoCr 合金薄膜(Co78Cr22; 組成比は原子%)につ
いて、本発明試料コイル及び従来の試料コイルを用い
て、スピンエコー信号強度スペクトルの測定を行った。
測定条件は、周波数が214MHz、第一パルスと第二パルス
のパルス幅をそれぞれ1マイクロ秒及び2マイクロ秒、
パルス間隔を15マイクロ秒とした。
核磁気共鳴スペクトルの測定。 異方性磁界を示す磁性材料としてスパッタ法によって形
成した CoCr 合金薄膜(Co78Cr22; 組成比は原子%)につ
いて、本発明試料コイル及び従来の試料コイルを用い
て、スピンエコー信号強度スペクトルの測定を行った。
測定条件は、周波数が214MHz、第一パルスと第二パルス
のパルス幅をそれぞれ1マイクロ秒及び2マイクロ秒、
パルス間隔を15マイクロ秒とした。
【0025】図3は測定結果を示した図で、本発明試料
コイルによる測定結果を実線で、従来の試料コイルによ
る測定結果を点線で示した。図の結果から、本発明の試
料コイルを用いて測定したスピンエコースペクトルに
は、主要な2つのピークが観測でき、それぞれのピーク
について VP=13V及び VP=28Vであることがわかる。一
方、異方性磁界の大きさが9.3kOeであることが既知の C
oCr 合金磁性試料について同一条件で測定を行った結
果、VP=30Vであった。VPと異方性磁界の大きさとが比
例関係にあることは(3)式から明らかであることから、
スパッタ法で形成した CoCr 合金薄膜に含まれている主
要な二つの磁性成分の異方性磁界の大きさは、それぞ
れ、4.0kOe及び8.7kOeであることが結論される。他方、
従来の方法で測定したスペクトルにおいては明瞭に分離
された二つのピークを見出すことはできず、本発明の効
果が極めて顕著であることがわかる。
コイルによる測定結果を実線で、従来の試料コイルによ
る測定結果を点線で示した。図の結果から、本発明の試
料コイルを用いて測定したスピンエコースペクトルに
は、主要な2つのピークが観測でき、それぞれのピーク
について VP=13V及び VP=28Vであることがわかる。一
方、異方性磁界の大きさが9.3kOeであることが既知の C
oCr 合金磁性試料について同一条件で測定を行った結
果、VP=30Vであった。VPと異方性磁界の大きさとが比
例関係にあることは(3)式から明らかであることから、
スパッタ法で形成した CoCr 合金薄膜に含まれている主
要な二つの磁性成分の異方性磁界の大きさは、それぞ
れ、4.0kOe及び8.7kOeであることが結論される。他方、
従来の方法で測定したスペクトルにおいては明瞭に分離
された二つのピークを見出すことはできず、本発明の効
果が極めて顕著であることがわかる。
【0026】以上述べたように、本発明構成の試料コイ
ルを用いることによって、CoCr 薄膜中に存在する2種
類の磁性成分を明確に識別することができた。
ルを用いることによって、CoCr 薄膜中に存在する2種
類の磁性成分を明確に識別することができた。
【0027】
【実施例2】本実施例においては、波形処理による本発
明の分析方法について説明する。本発明の磁気特性分析
方法の実施に用いた分析装置の一例を図4に示す。ここ
で、1は高周波パルス発生器、2は電磁波振幅制御器、
S1は振幅制御された高周波パルスの出力端子、S2は出力
端子S1に出力される高周波パルスの振幅値に比例する D
C 電圧を発生する出力端子、3はインピーダンスマッチ
ングネットワーク、4は試料コイル(測定試料をこの中
に配置する)、5は高周波増幅器、6は検波器、8はデ
ィジタル式波形記憶装置、9はマイクロコンピュータを
示し、8及び9は検波器6から出力されるスピンエコー
信号の波形処理装置として機能する。また、9は同時に
S2に接続されており、記録計の役割も果たす。本装置の
従来装置との相違点は、8と9とで構成される波形処理
装置が接続されている点である。
明の分析方法について説明する。本発明の磁気特性分析
方法の実施に用いた分析装置の一例を図4に示す。ここ
で、1は高周波パルス発生器、2は電磁波振幅制御器、
S1は振幅制御された高周波パルスの出力端子、S2は出力
端子S1に出力される高周波パルスの振幅値に比例する D
C 電圧を発生する出力端子、3はインピーダンスマッチ
ングネットワーク、4は試料コイル(測定試料をこの中
に配置する)、5は高周波増幅器、6は検波器、8はデ
ィジタル式波形記憶装置、9はマイクロコンピュータを
示し、8及び9は検波器6から出力されるスピンエコー
信号の波形処理装置として機能する。また、9は同時に
S2に接続されており、記録計の役割も果たす。本装置の
従来装置との相違点は、8と9とで構成される波形処理
装置が接続されている点である。
【0028】本発明の磁気特性分析方法を図5に基づい
て説明する。図中、(a)は磁性試料に印加する高周波パ
ルス波形を示した図で、パルス幅 TWの高周波電圧を△t
の間隔で磁性試料に印加することを示している。また、
(b)、(c)、(d)は、最初の高周波パルスを印加した後 2
△t 時間経過後に発生する磁性材料のスピンエコー信号
波形を示したものである。
て説明する。図中、(a)は磁性試料に印加する高周波パ
ルス波形を示した図で、パルス幅 TWの高周波電圧を△t
の間隔で磁性試料に印加することを示している。また、
(b)、(c)、(d)は、最初の高周波パルスを印加した後 2
△t 時間経過後に発生する磁性材料のスピンエコー信号
波形を示したものである。
【0029】本発明の方法は、以下の手順により、スピ
ンエコー信号波形分離処理工程を経て、実現することが
できる。
ンエコー信号波形分離処理工程を経て、実現することが
できる。
【0030】(イ) まず、高周波パルス振幅値を VP(ス
ピンエコー信号強度の最大値を与える高周波パルス振幅
値)と同等もしくはそれよりも小さな振幅値に設定し、
そのときのスピンエコー信号強度の波形を測定する。こ
のときのスピンエコー信号エンベロープ波形は、(b)に
示すような、高次のスピン共鳴信号成分を含まない単一
のガウス波形Aで近似される単純な形状のスピンエコー
信号となる。この第一の工程のエンベロープ波形Aを、
ディジタル式波形記憶装置8及びマイクロコンピュータ
9により記憶させる。さらに、エンベロープ波形の波高
値が1となるように規格化し、基本波形 F1(t)を作成す
る。
ピンエコー信号強度の最大値を与える高周波パルス振幅
値)と同等もしくはそれよりも小さな振幅値に設定し、
そのときのスピンエコー信号強度の波形を測定する。こ
のときのスピンエコー信号エンベロープ波形は、(b)に
示すような、高次のスピン共鳴信号成分を含まない単一
のガウス波形Aで近似される単純な形状のスピンエコー
信号となる。この第一の工程のエンベロープ波形Aを、
ディジタル式波形記憶装置8及びマイクロコンピュータ
9により記憶させる。さらに、エンベロープ波形の波高
値が1となるように規格化し、基本波形 F1(t)を作成す
る。
【0031】(ロ) 次に、VPよりも十分大きな、典型的
には VPの約100倍の大きさの、高周波パルス振幅値を磁
性材料に印加することによって、スプリアス成分である
高次のスピンエコー信号を発生させる。この条件では基
本共鳴条件からは大きく外れているので、(d)に示すよ
うな、基本共鳴信号を含まないスピンエコー信号が発生
する。この第二の工程のエンベロープ波形Bを9に記憶
させ、波高値が1となるように規格化し、基本波形 F2
(t)を作成する。
には VPの約100倍の大きさの、高周波パルス振幅値を磁
性材料に印加することによって、スプリアス成分である
高次のスピンエコー信号を発生させる。この条件では基
本共鳴条件からは大きく外れているので、(d)に示すよ
うな、基本共鳴信号を含まないスピンエコー信号が発生
する。この第二の工程のエンベロープ波形Bを9に記憶
させ、波高値が1となるように規格化し、基本波形 F2
(t)を作成する。
【0032】(ハ) これらの基本波形の一次結合関数: F
(t)= C1×F1(t)+ C2×F2(t) で定義される一般的なス
ピンエコー信号に対する近似波形を、マイクロコンピュ
ータ9によって作成する。
(t)= C1×F1(t)+ C2×F2(t) で定義される一般的なス
ピンエコー信号に対する近似波形を、マイクロコンピュ
ータ9によって作成する。
【0033】(ニ) 高周波パルス振幅値を(イ)及び(ロ)
の中間に設定して、測定されたスピンエコー信号波形に
対し近似波形 F(t) によるフィッティングを行うことに
より、基本共鳴信号の強度 C1 を計算する。
の中間に設定して、測定されたスピンエコー信号波形に
対し近似波形 F(t) によるフィッティングを行うことに
より、基本共鳴信号の強度 C1 を計算する。
【0034】(ホ) このようにして、スピンエコー信号
に含まれているスプリアス成分 C2を除去することがで
きる。
に含まれているスプリアス成分 C2を除去することがで
きる。
【0035】以上の工程でスピンエコー信号を高分解能
で分析できる理由は、スピンエコー信号のエンベロープ
波形が高周波パルスの振幅値に依存して変化する現象
が、高次の核磁気共鳴条件が存在することと関連するこ
とによる。すなわち、(1)式の左辺は高周波パルス印加
により歳差運動をする核スピンの傾き角を表すものであ
って、これが丁度 π/2 のときにスピンエコー強度が最
大になることを意味している。このときのスピンエコー
信号エンベロープ波形は図5の(b)に示されるような単
一のガウス波形で近似される単純な形状である。
で分析できる理由は、スピンエコー信号のエンベロープ
波形が高周波パルスの振幅値に依存して変化する現象
が、高次の核磁気共鳴条件が存在することと関連するこ
とによる。すなわち、(1)式の左辺は高周波パルス印加
により歳差運動をする核スピンの傾き角を表すものであ
って、これが丁度 π/2 のときにスピンエコー強度が最
大になることを意味している。このときのスピンエコー
信号エンベロープ波形は図5の(b)に示されるような単
一のガウス波形で近似される単純な形状である。
【0036】ところで、核スピンの傾き角が(π/2 + 2
π× n (n= 1,2,3 …))であるとき、これは核スピンの
傾き角が π/2 であるのと等価であるから、結局、n 次
の共鳴条件も同時に存在し得ることになる。但し、核ス
ピンの傾き角が大きいほどその分散も大きくなるので、
これら高次の共鳴条件によって発生するスピンエコー信
号のエンベロープ波形は、π/2 条件で発生するスピン
エコー信号のエンベロープ波形に比べて、ピーク幅がよ
り狭くなるという特徴がある。その結果、(d)のような
エンベロープ波形が観測される。
π× n (n= 1,2,3 …))であるとき、これは核スピンの
傾き角が π/2 であるのと等価であるから、結局、n 次
の共鳴条件も同時に存在し得ることになる。但し、核ス
ピンの傾き角が大きいほどその分散も大きくなるので、
これら高次の共鳴条件によって発生するスピンエコー信
号のエンベロープ波形は、π/2 条件で発生するスピン
エコー信号のエンベロープ波形に比べて、ピーク幅がよ
り狭くなるという特徴がある。その結果、(d)のような
エンベロープ波形が観測される。
【0037】図の(c)では複雑なエンベロープ波形が示
されているが、これは π/2 共鳴条件と高次の共鳴条件
との双方によって発生したスピンエコー信号が合成され
たものである。このように、高次の共鳴信号が存在し、
これが π/2 共鳴信号のスプリアンスとなって現れるの
で、従来の分析法で測定されたスピンエコー信号強度ス
ペクトルにおいては、互いに接近した二つの共鳴ピーク
を分離することが困難であった。本発明では、スピンエ
コー信号に含まれるスプリアス成分が上記の理由によっ
て発生することをつきとめ、信号波形処理によってスプ
リアス成分の除去を可能にしたものである。
されているが、これは π/2 共鳴条件と高次の共鳴条件
との双方によって発生したスピンエコー信号が合成され
たものである。このように、高次の共鳴信号が存在し、
これが π/2 共鳴信号のスプリアンスとなって現れるの
で、従来の分析法で測定されたスピンエコー信号強度ス
ペクトルにおいては、互いに接近した二つの共鳴ピーク
を分離することが困難であった。本発明では、スピンエ
コー信号に含まれるスプリアス成分が上記の理由によっ
て発生することをつきとめ、信号波形処理によってスプ
リアス成分の除去を可能にしたものである。
【0038】以下、具体的な磁性材料の分析を例とし
て、本発明方法の効果について説明する。組成の均一な磁性材料による分析例 図6は、組成の均一な CoCr 合金粉末(Co78Cr22;組成
比は原子%)について、本発明の波形分離によって得ら
れたスピンエコー信号強度スペクトル(実線)と、従来
法、すなわち波形分離をせずに単にスピンエコー信号波
形の最大値でその強度を代表させた場合の測定結果(破
線)とを示した図である。測定条件は、周波数が100MH
z、第一パルスと第二パルスのパルス幅をそれぞれ2マ
イクロ秒及び4マイクロ秒、パルス間隔を15マイクロ秒
とした。
て、本発明方法の効果について説明する。組成の均一な磁性材料による分析例 図6は、組成の均一な CoCr 合金粉末(Co78Cr22;組成
比は原子%)について、本発明の波形分離によって得ら
れたスピンエコー信号強度スペクトル(実線)と、従来
法、すなわち波形分離をせずに単にスピンエコー信号波
形の最大値でその強度を代表させた場合の測定結果(破
線)とを示した図である。測定条件は、周波数が100MH
z、第一パルスと第二パルスのパルス幅をそれぞれ2マ
イクロ秒及び4マイクロ秒、パルス間隔を15マイクロ秒
とした。
【0039】従来法の場合には、測定試料が均質である
にも拘らず、複数のピークからなるブロードなスピンエ
コー信号強度スペクトルが観察されたが、本発明方法に
よる測定の場合には、高次の共鳴によって発生するスプ
リアス成分が除去されることにより、幅の狭い単一ピー
クからなるスペクトルが得られた。従って、本発明の波
形分離処理を行うことによって、異方性磁界分布解析に
おける共鳴ピーク分解能が向上していることは明らかで
ある。
にも拘らず、複数のピークからなるブロードなスピンエ
コー信号強度スペクトルが観察されたが、本発明方法に
よる測定の場合には、高次の共鳴によって発生するスプ
リアス成分が除去されることにより、幅の狭い単一ピー
クからなるスペクトルが得られた。従って、本発明の波
形分離処理を行うことによって、異方性磁界分布解析に
おける共鳴ピーク分解能が向上していることは明らかで
ある。
【0040】異方性磁界を有する磁性材料の分析例 図7はスパッタ法で形成した CoCr/パーマロイ2層薄膜
(Co78Cr22/Fe15Ni80Cu5;組成比は原子%)について測定
したスピンエコー信号強度スペクトルである。図中で、
実線は本発明の波形分離によって得られたスピンエコー
信号強度スペクトルであり、破線は従来法すなわち波形
分離をせずに単にスピンエコー信号波形の最大値でその
強度を代表させた場合の測定結果を示したものである。
測定条件は、周波数が214MHz、第一パルスと第二パルス
のパルス幅をそれぞれ1マイクロ病及び2マイクロ秒、
パルス間隔を15マイクロ秒とした。
(Co78Cr22/Fe15Ni80Cu5;組成比は原子%)について測定
したスピンエコー信号強度スペクトルである。図中で、
実線は本発明の波形分離によって得られたスピンエコー
信号強度スペクトルであり、破線は従来法すなわち波形
分離をせずに単にスピンエコー信号波形の最大値でその
強度を代表させた場合の測定結果を示したものである。
測定条件は、周波数が214MHz、第一パルスと第二パルス
のパルス幅をそれぞれ1マイクロ病及び2マイクロ秒、
パルス間隔を15マイクロ秒とした。
【0041】本発明の方法によって測定したスペクトル
には CoCr とパーマロイのそれぞれに対応する二つのピ
ークが現れており、両者を明確に判別することができ
る。これに対し、従来の方法で測定したスペクトルにお
いては、CoCr の共鳴ピークがパーマロイの高次の共鳴
信号の中に埋もれてしまって、両者を識別することがで
きない。このように、本発明の方法は、一つの磁性体試
料に含まれている複数の磁性成分を識別する上で、極め
て顕著な効果を有するものであることがわかる。
には CoCr とパーマロイのそれぞれに対応する二つのピ
ークが現れており、両者を明確に判別することができ
る。これに対し、従来の方法で測定したスペクトルにお
いては、CoCr の共鳴ピークがパーマロイの高次の共鳴
信号の中に埋もれてしまって、両者を識別することがで
きない。このように、本発明の方法は、一つの磁性体試
料に含まれている複数の磁性成分を識別する上で、極め
て顕著な効果を有するものであることがわかる。
【0042】
【発明の効果】以上述べてきたように、磁気特性分析装
置及び分析方法を本発明構成の装置及び方法とすること
によって、従来技術の有していた課題を解決して、核磁
気共鳴現象を応用した異方性磁界の測定において、その
測定分解能を顕著に向上させることのできる磁気特性分
析装置及び分析方法を提供することができた。従って、
本発明を永久磁石、変圧器、磁気ディスク装置などで使
用される各種実用磁性材料の特性評価に使用すれば、こ
れらの材料特性において本質的な役割を担っている磁気
的不均一構造と磁気特性との関連性を解明することがで
き、より高特性を有する磁性材料の開発に貢献すること
ができる。
置及び分析方法を本発明構成の装置及び方法とすること
によって、従来技術の有していた課題を解決して、核磁
気共鳴現象を応用した異方性磁界の測定において、その
測定分解能を顕著に向上させることのできる磁気特性分
析装置及び分析方法を提供することができた。従って、
本発明を永久磁石、変圧器、磁気ディスク装置などで使
用される各種実用磁性材料の特性評価に使用すれば、こ
れらの材料特性において本質的な役割を担っている磁気
的不均一構造と磁気特性との関連性を解明することがで
き、より高特性を有する磁性材料の開発に貢献すること
ができる。
【図1】本発明磁気特性分析装置の試料コイルの概略構
造を示す模式図。
造を示す模式図。
【図2】本発明の試料コイルを用いて測定した、均質な
磁気特性を有するパーマロイ合金薄膜のスピンエコー強
度スペクトル。破線は従来の単巻ソレノイドを用いた場
合の結果。
磁気特性を有するパーマロイ合金薄膜のスピンエコー強
度スペクトル。破線は従来の単巻ソレノイドを用いた場
合の結果。
【図3】本発明の試料コイルを用いて測定した、異方性
磁界材料 CoCr 薄膜のスピンエコー強度スペクトル。破
線は従来の単巻ソレノイドを用いた場合の結果。
磁界材料 CoCr 薄膜のスピンエコー強度スペクトル。破
線は従来の単巻ソレノイドを用いた場合の結果。
【図4】本発明磁気特性分析方法の実施に用いた装置の
概略構成図。
概略構成図。
【図5】本発明磁気特性分析方法の手順を説明するため
の図。
の図。
【図6】本発明の方法によって測定した、均質な磁性材
料 CoCr 合金のスピンエコー信号強度スペクトル。破線
は従来の方法による結果。
料 CoCr 合金のスピンエコー信号強度スペクトル。破線
は従来の方法による結果。
【図7】本発明の方法によって測定した、異方性磁界材
料 CoCr/パーマロイ2層薄膜のスピンエコー強度スペク
トル。破線は従来の方法による結果。
料 CoCr/パーマロイ2層薄膜のスピンエコー強度スペク
トル。破線は従来の方法による結果。
【図8】従来の磁気特性分析装置の概略構成図。
【図9】従来の磁気特性分析装置の試料コイルの概略構
成を示す図。
成を示す図。
1…高周波パルス発生器、2…電磁波振幅制御器、3…
インピーダンスマッチングネットワーク、4…試料コイ
ル、5…高周波増幅器、6…検波器、7…記録計、8…
波形記録装置、9…マイクロコンピュータ、記録計。
インピーダンスマッチングネットワーク、4…試料コイ
ル、5…高周波増幅器、6…検波器、7…記録計、8…
波形記録装置、9…マイクロコンピュータ、記録計。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01R 33/20 8203−2G
Claims (2)
- 【請求項1】試料コイル内に装着した磁性体試料に対し
て高周波パルス磁界を印加することによって原子核スピ
ンの磁気共鳴信号を観測する核磁気共鳴分析装置におい
て、上記試料コイルが2本以上の絶縁被覆線をパラレル
に巻いた密巻単層ソレノイドコイルによって構成されて
いることを特徴とする磁気特性分析装置。 - 【請求項2】磁性体試料に対して高周波磁界を印加する
ことによって原子核スピンの磁気共鳴信号を観測する核
磁気共鳴分析方法において、歳差運動をする核スピンの
傾き角が π/2 もしくはそれよりも小さい場合に観測さ
れるスピンエコー信号のエンベロープ波形を測定する第
一の工程と、核スピンの傾き角が少なくとも 5π/2より
も大きい場合に観測されるスピンエコー信号のエンベロ
ープ波形を測定する第二の工程と、これら二つの波形を
基本要素とする合成波形を用いて、任意の条件で測定さ
れるスピンエコー信号波形に対してフィッティングを行
う第三の工程とによってスピンエコー信号を波形分離処
理し、第一の工程で観測される波形と同形の波形成分の
強度を測定することを特徴とする磁気特性分析方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5265968A JPH07120544A (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | 磁気特性分析装置及び分析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5265968A JPH07120544A (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | 磁気特性分析装置及び分析方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07120544A true JPH07120544A (ja) | 1995-05-12 |
Family
ID=17424550
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5265968A Pending JPH07120544A (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | 磁気特性分析装置及び分析方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07120544A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008083065A (ja) * | 2007-12-04 | 2008-04-10 | Hitachi Ltd | 二ホウ化マグネシウムを用いたnmr装置用プローブ |
| JP2009128352A (ja) * | 2007-11-22 | 2009-06-11 | Etsuo Ban | Hf帯磁気共鳴信号のスプリアス除去法およびそれを用いた装置 |
| JP2010223617A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Hitachi Ltd | Nmrプローブ |
| JP2011039009A (ja) * | 2009-08-18 | 2011-02-24 | Nippon Hoso Kyokai <Nhk> | 磁気特性測定装置および磁気特性測定方法 |
| JP2015054251A (ja) * | 2013-09-13 | 2015-03-23 | シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft | 高周波励起パルスの測定方法 |
-
1993
- 1993-10-25 JP JP5265968A patent/JPH07120544A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009128352A (ja) * | 2007-11-22 | 2009-06-11 | Etsuo Ban | Hf帯磁気共鳴信号のスプリアス除去法およびそれを用いた装置 |
| JP2008083065A (ja) * | 2007-12-04 | 2008-04-10 | Hitachi Ltd | 二ホウ化マグネシウムを用いたnmr装置用プローブ |
| JP2010223617A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Hitachi Ltd | Nmrプローブ |
| JP2011039009A (ja) * | 2009-08-18 | 2011-02-24 | Nippon Hoso Kyokai <Nhk> | 磁気特性測定装置および磁気特性測定方法 |
| JP2015054251A (ja) * | 2013-09-13 | 2015-03-23 | シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft | 高周波励起パルスの測定方法 |
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