JPH07124453A - 水素分離膜およびその製造方法 - Google Patents

水素分離膜およびその製造方法

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JPH07124453A
JPH07124453A JP29247193A JP29247193A JPH07124453A JP H07124453 A JPH07124453 A JP H07124453A JP 29247193 A JP29247193 A JP 29247193A JP 29247193 A JP29247193 A JP 29247193A JP H07124453 A JPH07124453 A JP H07124453A
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彰 小渕
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、機械的強度が一段と優れ、高純度の
水素の回収が可能であり、かつ高温においても分離性能
に優れ、また被処理ガスに起因する炭素の析出を防止で
き、さらに加工性も良好な水素分離膜を短時間かつ少な
い労力で容易に製造することができる水素分離膜を提供
する。 【構成】 孔径10〜500μmの細孔がエッチングに
より多数穿孔された金属支持体の片面に、膜厚1〜50
μmのパラジウムと他の金属からなるパラジウム合金膜
が被着形成され、さらに該パラジウム合金膜の表面に、
エッチングによりあらかじめ両面に多数穿孔され、さら
に必要に応じて金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、
銅またはこれらの合金の薄膜が被着された金属板を積層
させた水素分離膜およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素含有ガス中の水素
を拡散分離する水素分離膜およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、水素ガスは、天然ガス、LPG、
ナフサ、またはメタノールなどの炭化水素を原料として
水蒸気改質法などで製造され、また石油精製などのオフ
ガスからも製造されている。上記方法で製造された水素
含有ガスから水素を精製回収する方法としては、吸着剤
を利用したPSA法(Pressure Swing
Absorption)などで不純物を分離除去する方
法や、有機または無機の水素分離膜によって水素を拡散
分離する方法などがあり、そのなかでも膜分離法は、省
エネルギー、分離効率、装置の簡易な構成および運転の
容易性などの観点から注目されている。
【0003】膜分離法に用いられる水素分離膜として
は、ポリイミドやポリスルホンなどの有機高分子膜、多
孔質ガラスや多孔質セラミックスなどの無機多孔質膜、
およびパラジウムまたはパラジウム合金膜などがある。
このうち、有機高分子膜は耐熱性や高温時での分離効率
低下に問題があり、また無機多孔質膜においても分離効
率が低い欠点があり、さらにパラジウムまたはパラジウ
ム合金膜においては耐熱性もあり、また極めて高純度の
水素を得ることができるが、機械的強度や薄膜製造技術
の難しさなどの問題がある。
【0004】上記パラジウムまたはパラジウム合金膜の
機械的強度を高めた水素分離膜として、特開昭62−1
21616号公報、特開昭62−273030号公報、
特開昭63−171617号公報には、多孔質ガラス、
多孔質セラミックス、あるいは多孔質酸化アルミニウム
などの無機多孔質支持体の表面に、パラジウムまたはパ
ラジウム合金膜を被着した膜が開示されており、またこ
れらの公報には、その水素分離膜の製造方法も記載され
ている。さらに、特願平4−131420号明細書に
は、細孔が多数穿孔された金属支持体の片面に、パラジ
ウム合金膜を被着形成させることにより、耐熱性、機械
的強度、分離性能に優れた水素分離膜が得られることが
提案されている。
【0005】上記公報に記載された水素分離膜の製造方
法において、特開昭62−121616号公報に記載さ
れた方法では、厚さ1mm程度の無機多孔質支持体の表
面にパラジウムまたはパラジウム合金膜を気相化学反応
や真空蒸着法などで被着しているが、装置が複雑で高度
な製造技術を必要とし、さらに厚膜製造に時間がかかる
欠点がある。また、特開昭62−273030号公報の
方法では、無機多孔質体の表面を化学的に活性化処理し
たのち、化学メッキ法でパラジウム主体膜を被着してい
るが、化学メッキ法に時間および手間がかかる欠点があ
る。さらに、特開昭63−171617号公報の方法で
は、例えば金属アルミニウムを陽極酸化処理したのち、
エッチング法で金属アルミニウムを溶解除去して厚さ5
0μm程度の多孔質酸化アルミニウム膜を製造し、該膜
にスパッタ法でパラジウムまたはパラジウム合金を蒸着
したのち、さらにパラジウム塩水溶液でパラジウムを担
持しているが、非常に手間がかかり、また高度の成膜技
術を必要とする欠点がある。さらに、特願平4−131
420号明細書において提案された水素分離膜は、耐熱
性、機械的強度、分離性能に優れているものの、パラジ
ウム合金膜が露出されているため、該膜面が傷つき易
く、また膜の剥離を生じる場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、所定の孔径の細孔が
穿孔された金属支持体および金属板によりパラジウム合
金膜が両面から支持されているため、耐熱性、機械的強
度が一段と優れ、高純度の水素の回収が可能であり、か
つ高温においても分離性能に優れ、また被処理ガスに起
因する炭素の析出を防止でき、さらに加工性も良好な水
素分離膜を短時間かつ少ない労力で容易に製造すること
ができる水素分離膜およびその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、孔径10〜5
00μmの細孔がエッチングにより多数穿孔された金属
支持体の片面に、膜厚1〜50μmのパラジウムと他の
金属からなるパラジウム合金膜(以下「パラジウム合金
膜」ということがある)が被着形成され、さらに該パラ
ジウム合金膜の表面に、エッチングによりあらかじめ両
面に細孔が多数穿孔され、さらに必要に応じて金、銀、
白金、パラジウム、ロジウム、銅またはこれらの合金の
薄膜(以下「金属薄膜」ということがある)が被着され
た金属板を積層させたことを特徴とする水素分離膜であ
る。
【0008】また、本発明は、次の各工程からなる上記
水素分離膜の製造方法である。 (1)金属支持体の片面にパラジウムと他の金属の薄膜
をそれぞれ電気メッキ法により交互積層する第1工程。 (2)第1工程で得られる金属支持体の他方の片面にエ
ッチング法により細孔を多数穿孔する第2工程。 (3)第2工程で得られる金属支持体のパラジウムと他
の金属薄膜層を500〜900℃で熱処理しパラジウム
合金化する第3工程。 (4)金属板の両面にエッチング法により細孔を多数穿
孔する第4工程。 (5)必要に応じて第4工程で得られる金属板に、金、
銀、白金、パラジウム、ロジウム、銅またはこれらの合
金の薄膜を、電気メッキ法により形成させる第5工程。 (6)第3工程で得られる金属支持体のパラジウム合金
膜の表面に、第4工程または第5工程で得られる金属板
を積層する第6工程。
【0009】以下、本発明の水素分離膜の一例を図面を
参照しつつ説明する。図1は、水素分離膜製造工程の一
部を示す概略図であり、図1(A)は金属支持体の片面
にパラジウム合金膜を被着・形成した状態を説明するた
めの拡大断面構成図、図1(B)は図1(A)の金属支
持体の他方の片面をエッチング処理し細孔が多数穿孔さ
れた状態を説明するための拡大断面構成図、図1(C)
は金属板を両面エッチング処理したのち、表面に銀など
のメッキを施したものをパラジウム合金膜の表面側に被
着・形成した本発明の水素分離膜の拡大断面構成図であ
る。
【0010】本発明の水素分離膜10は、孔径が10〜
500μm、好ましくは50〜200μmの細孔hがエ
ッチングにより多数穿孔された金属支持体11の片面1
1aに、膜厚1〜50μm、好ましくは5〜30μmの
パラジウム合金膜12が被着・形成されてなるものであ
る〔図1(A)〜(B)参照〕。また、パラジウム合金
膜12の表面側に、孔径20〜1,000μm、好まし
くは100〜400μmの細孔Iがエッチングにより多
数穿孔された金属板13をパラジウム合金膜12に積層
されてなるものである〔図1(C)参照〕。
【0011】ここで、金属支持体11の材質としては、
ステンレス、ニッケル、銅合金、ニッケル基合金、鉄−
ニッケル合金などの金属が挙げられる。水素分離膜10
の支持体として金属支持体11を採用することにより、
200℃以上の温度で水素分離処理を行っても、水素分
離膜10と図示しない取付け部材(枠など)とを熔接な
どの手段で連結することができるため、シール性が低下
することもない。金属支持体11の代わりにセラミック
スなどの無機材料を用いた場合には、直接、電気メッキ
が不可能なために膜形成速度の遅い無電解メッキが必要
であるという不都合が生じる。この金属支持体11に多
数穿孔される細孔hの孔径dは、10〜500μm、好
ましくは50〜200μmであり、10μm未満では流
通抵抗が大きくなり、一方500μmを超えると、被着
膜であるパラジウム合金膜12が陥没してピンホールが
生じやすくなる。なお、細孔hの穿孔密度は、好ましく
は150〜3,000個/cm2 程度である。
【0012】金属支持体11の厚みは、通常、10〜5
00μm、好ましくは50〜200μm程度であり、1
0μm未満では支持体としての機械的強度が弱く実用的
ではなく、一方500μmを超えると孔径の大きい穿孔
をエッチングする必要があり好ましくない。なお、金属
支持体11の形状は、図1に示すような板状のほか、管
状でもよく、その目的とするところにより任意の形状が
採用できる。
【0013】一方、パラジウム合金膜12は、パラジウ
ムを主体とする合金の薄膜であり、パラジウムと、パラ
ジウム以外の周期律表第VIII族元素(例えば、コバル
ト、ニッケル)、IB族(例えば、銅、銀、金)、およ
び IIIB族(例えば、イットリウム)の群から選ばれた
少なくとも1種の他の金属との合金、好ましくはパラジ
ウムと銀との合金から構成されている。このパラジウム
合金膜12中のパラジウム以外の他の金属の含量は、1
〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。パ
ラジウムを合金化する主目的は、パラジウムの水素脆化
防止と高温時の分離効率向上にあり、パラジウム以外の
他の金属の含量が1重量%未満では、パラジウムの水素
脆化防止、高温時の分離効率向上の効果が少なくなり、
一方50重量%を超えると、水素の透過速度が遅くなり
すぎて実用的でない。
【0014】パラジウム合金膜12の総厚は、1〜50
μm、好ましくは5〜30μmである。パラジウム合金
膜12の総厚が1μm未満では、この合金膜12にピン
ホールが生じやすく正常な被着が困難となり、かつ分離
水素の純度も低下することになり、一方50μmを超え
ると、水素の透過速度が遅くなり過ぎて実用的ではな
い。
【0015】また、金属板13の材質としては、ステン
レス、ニッケル、銅合金、ニッケル基合金、鉄−ニッケ
ル合金などの金属が挙げられる。パラジウム合金膜12
に、金属板13を積層することにより、パラジウム合金
膜12の剥離を防ぎ、水素分離膜としての耐久性が向上
するとともに、膜強度を増大させることができる。金属
板13のエッチングには、金属支持体11のエッチング
に用いたと同様のフィルムマスクを用い、露光したの
ち、両面からエッチングを行う。エッチングにより、穿
孔された細孔Iには、金属支持体11と同様のピッチで
穿孔され、かつ両面からエッチングを行うことにより、
金属支持体11に穿孔された孔径より大きな孔径とな
る。金属板13の厚みは、通常、10〜500μm、好
ましくは50〜200μm程度である。
【0016】細孔を多数穿孔された金属板13に、必要
に応じて、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、銅ま
たはこれらの合金の金属薄膜を電気メッキ法により、厚
さ0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.1μm
程度メッキを施す。これにより、被処理ガス中の炭化水
素、アルコール類などの分解または改質により生成した
ガスからの水素分離において、炭素を析出することな
く、安定した性能を得ることができる。水素分離の対象
となる被処理ガス中に、炭化水素、炭酸ガス、一酸化炭
素などの炭素化合物を含まない場合、または450℃以
下程度の比較的温度の低い条件では、ステンレスなどの
金属板13のままで、金属薄膜のメッキは不要である。
【0017】次に、本発明の水素分離膜の製造方法を、
前記図1を参照して説明する。まず、第1工程では、前
記金属支持体11の片面11aにパラジウムと他の金属
の薄膜をそれぞれ電気メッキ法により交互積層する。
【0018】すなわち、例えばまず電気メッキが施され
た金属支持体11の片面11aに、さらに電気メッキ法
でパラジウムおよび他の金属を交互に積層被着させる。
この電気メッキ法では、慣用されている電気メッキ装置
が用いられる。パラジウムの薄膜をメッキする場合に
は、電気メッキ液としてパラジウム塩と電解質が溶解し
た水溶液が用いられ、該電気メッキ液が充填された電解
槽内にマイナス側に接続された金属支持体11の片面1
1aと、プラス側に接続された白金板とを浸漬して直流
電源を通電することにより被着・形成される。この電気
メッキ液の一例としては、例えば次のようなものが挙げ
られるが、この組成に限定されるものではなく、電気メ
ッキ法によってパラジウム膜または他の金属膜が積層被
着される組成であれば特に限定されない。
【0019】Pd膜用; 〔Pd(NH3 4 〕Cl2 ・2H2 O;30g/l、
NH4 Cl;60g/l、 Ag膜用; AgCN;36g/l、KCN;60g/l、K2 CO
3 ;15g/l Ni膜用; NiSO4 ;240g/l、NiCl2 ;45g/l、
3 BO3 ;30g/l
【0020】Co膜用; CoSO4 ;300g/l、NH4 Cl;20g/l、
3 BO3 ;15g/l、 Cu膜用; CuSO4 ・5H2 O;250g/l、H2 SO4 ;7
5g/l
【0021】この電気メッキ法による電流密度は、電気
メッキ液の性状によっても異なるが、0.1〜3A/d
2 である。また、薄膜(パラジウム膜および他の金属
膜)の総厚は、電気メッキ時間を可変にすることにより
前記の所定の膜厚とすることができる。
【0022】なお、パラジウム合金膜12は、パラジウ
ムと他の金属との交互積層のほかに、例えばまず無電解
メッキ法によりパラジウム薄膜を形成させ、この薄膜の
上に合金化金属の薄膜を積層被着させてもよく、あるい
は逆の工程で被着してもよく、さらには含浸法、吸着
法、イオン交換法、真空蒸着法(PVD)、気相化学反
応法(CVD)などの利用も可能である。
【0023】次に、第2工程では、第1工程で得られる
金属支持体11の他方の片面11bにエッチング法によ
り細孔を穿孔する。この場合、金属支持体11の他方の
片面11bをエッチングする方法としては、例えばこの
片面11bに図示しないネガ型レジストをディップ引き
上げなどで塗布し、ベーキング後、細孔hに相当するパ
ターンが形成された図示しないマスクを介して紫外線な
どの光を照射し、現像後、ポストベークし、さらにエッ
チングし、残存するレジスト皮膜を除去することによっ
て実施される。
【0024】すなわち、レジストを塗布するに先立ち、
金属支持体11へのレジストの密着性を確保するため
に、前処理として例えば70℃、10重量%水酸化ナト
リウム水溶液でのアルカリ洗浄と水洗、中和、水洗、乾
燥を行い、レジスト塗布面の清浄化を行う。使用するレ
ジストは、カゼインタイプ、PVAタイプなどの水溶性
タイプ、およびアクリルポリマー系の溶剤溶解性タイプ
のいずれかのネガタイプレジストが使用可能であるが、
本発明では、ネガタイプアクリルポリマー〔東京応化工
業(株)製、PMER−N40DP〕を使用した。この
レジストを、前述の洗浄化した金属支持体11へ塗布す
る方法としては、ロールコート法、スピンコート法、デ
ィップ引き上げコート法などにより塗布するが、ディッ
プ引き上げ法が好適である。
【0025】塗布する厚みは、レジスト粘度、引き上げ
スピードで決定されるが、露光時の解像度の面からは、
15μm以下が好ましく、エッチング時の耐酸性、レジ
スト皮膜の強度保持の点からは、3μm以上が好まし
い。従って、乾燥膜厚が3〜15μmの範囲となるよう
に引き上げスピードを決定すればよい。塗布するレジス
トには、例えばアクリル系ポリマーを主体とした固形分
濃度30重量%、トルエンなどを主体とした溶剤分70
重量%を含有するものを用いた場合には、露光に先立っ
て70℃温風中で10分以上乾燥を行い、溶剤分を乾燥
除去する。このように、金属支持体11にコートされた
レジスト皮膜の支持体側にあらかじめ作画された細孔部
のパターンが画像形成されたフィルムマスクを密着さ
せ、超高圧水銀灯により発生させた波長375nm前後
の紫外線を60〜70秒(照射量=300〜350m
J)照射する。
【0026】露光工程で金属支持体11側のレジスト面
に画像形成された細孔パターン部は、次の現像工程によ
りエッチング穿孔部のみ(未露光部分)、レジストが溶
解除去され、金属面が露出される。この現像の条件とし
ては、例えばアルカリ系の専用薬液〔東京応化工業
(株)製、N−A5〕により、25±2.5℃で行う。
この現像工程により、開孔すべき孔のパターンが形成さ
れたレジスト皮膜は、エッチング工程に先立ち、膜の耐
酸強度、塗膜密着性、塗膜強度をさらにに向上させるた
め、ポストベークを行う。このポストベークの熱源は、
熱風あるいは遠紫外線輻射など、いずれでも構わない
が、温度は100〜120℃で15〜30分行う。10
0℃未満では熱重合が不充分で、充分な塗膜性能が得ら
れず、一方120℃を超えると膜が脆くなる。
【0027】以降、エッチング工程に入るが、エッチン
グ液は、通常、42〜47°Be(ボーメ)の塩化第2
鉄水溶液をスプレーにて対象物面に吹きつけて行う。こ
の場合、量産性の面から、水平搬送方式による上下スプ
レー吹きつけで行うとよい。液温度は、45〜65℃の
間で行う。エッチング速度のコントロールは、搬送スピ
ードで決定する。なお、エッチング条件の安定化を図
り、精度をコントロールするため、水や塩酸を用い、比
重、pH値の制御も併せて行う。このエッチングによ
り、片面より穿孔された金属支持体11は、水洗による
エッチング液の洗浄後、マスキングのために用いたレジ
スト皮膜の残分を表面より剥離後、充分に洗浄を行い、
製品となる。この剥離液は、通常、5〜10重量%の水
酸化ナトリウム水溶液を、50〜70℃に加温した液に
浸漬し、レジスト皮膜を膨潤剥離により除去する。
【0028】この第2工程によって、図1(B)に示す
ように金属支持体11の他方の片面11b側から貫通孔
である細孔hが多数穿孔される。なお、図1(B)にお
いて、符号wは、パラジウム合金膜12と金属支持体1
1の最短接点距離であり、この距離は、通常、100〜
1,000μm程度である。また、このエッチング工程
は、第1工程で得られるパラジウムと他の金属薄膜層を
熱処理し、合金化したのち、エッチング処理を行っても
よい。
【0029】さらに、第3工程では、前記第2工程で得
られる金属支持体のパラジウムと他の金属薄膜層を50
0〜900℃で熱処理し合金化する。前記第1工程で被
着された薄膜は、パラジウムと他の金属とが積層した膜
であり、合金化したパラジウム合金膜とするには、第2
工程で得られた水素分離膜10を電気炉などで加熱処理
することにより、金属どうしを相互拡散させて形成す
る。加熱処理温度は、500〜900℃、好ましくは6
00〜800℃であり、500℃未満では金属どうしの
相互拡散が起こらず、一方900℃を超えると、金属支
持体11からの拡散混合が無視できないほど多くなり、
また熱処理中にメッキ層が溶融して空隙を生じ、膜とし
ての機能を害する可能性があるため好ましくない。ま
た、この加熱処理時間は、0.1〜10時間が好まし
い。なお、第3工程である合金化は、第1工程で得られ
るパラジウムと他の金属薄膜層とを、まず熱処理して合
金化したのち、エッチング処理することも可能である。
【0030】第4工程では、別途用意された金属板13
の両面にエッチング法により細孔を多数穿孔する。エッ
チング工程でエッチング液に両面から吹きつけて行う以
外は、第2工程と同様である。
【0031】第5工程は、第4工程で得られた金属板の
表面を、さらに必要に応じて、電気メッキ法により金、
銀、白金、パラジウム、ロジウム、銅またはこれらの合
金からなる金属薄膜を被着させるものである。この電気
メッキ液の一例としては、例えば次のようなものが挙げ
られるが、この組成に限定されるものではなく、これら
の金属が被着される組成であれば、特に限定されない。
【0032】Au用; Au(CN)2 ;6〜18g/l、KCN;30g/
l、K2 CO3 ;30g/l、第2リン酸カリウム;3
0g/l Pd用; 〔Pd(NH3 4 〕Cl2 ・2H2 O;30g/l、
NH4 Cl;60g/l、
【0033】Ag用; AgCN;36g/l、KCN;60g/l、K2 CO
3 ;15g/l Cu用; CuSO4 ・5H2 O;250g/l、H2 SO4 ;7
5g/l Rh用; 金属ロジウム(硫酸塩またはリン酸塩として)1〜4g
/l、リン酸;40〜80g/l
【0034】この電気メッキ法による電流密度は、電気
メッキ液の性状によっても異なるが、0.1〜3A/d
2 である。また、この金属薄膜の総厚は、電気メッキ
時間を可変にすることにより前記の所定の膜厚とするこ
とができる。
【0035】第6工程では、第3工程で得られる金属支
持体11上のパラジウム合金膜12に、第4工程または
第5工程で得られる金属板13を、図1(C)に示すよ
うにレーザー熔接などの方法で積層する。この際、金属
板13を通り、パラジウム合金膜12へ拡散した水素の
透過が容易であるように、金属支持体11の細孔Iが金
属板13の細孔hと中心が少なくともほぼ同一に位置に
くるように積層する必要がある。
【0036】金属支持体11上のパラジウム合金膜12
に、第4工程または第5工程で得られる金属板13を積
層する一例を図2に示す。まず、図2(A)に示すよう
に、金属支持体11上のパラジウム合金膜12をステン
レス材などの枠14にレーザー熔接などで熔接する。一
方、両面エッチングされた金属板13は、ステンレス材
などの枠14′に、図2(B)に示すように図2(A)
と同様の方法で熔接する。これらを、図2(C)に示す
ように、枠14、14′の部分で熔接し、水素分離膜1
0を形成させる。
【0037】次に、この水素分離膜10を用いた水素分
離方法の一例を図3を用いて説明する。ここで、図3
は、本発明の水素分離膜10を用いた水素分離方法の工
程概略図である。図3において、セパレータSは、本発
明の水素分離膜10を組み込んだ水素分離機20とこれ
を覆う加熱器30から構成されている。ここで、水素分
離膜10は、水素分離機20内において、金属支持体1
1が下方、パラジウム合金膜12が中間、金属板13が
上方になるように水平配置されている。このセパレータ
Sを用いて水素を含有する原料ガスから水素ガスを分離
するには、原料ガスG1を水素分離機20の上部21に
導入する。原料ガスG1中の水素ガスは、水素分離膜1
0のパラジウム合金膜12を透過し、透過ガスHとして
取り出される。一方、原料ガスG1から水素ガスが分離
された非透過ガスG2は、水素分離機10の上方より系
外へ取り出される。
【0038】なお、この水素分離の条件は、温度が常温
〜600℃、水素分離機20の上部21の圧力が常圧以
上であり、透過側と圧力差があればよい。
【0039】
【作用】本発明の水素分離膜は、所定の孔径の細孔が多
数穿孔された金属支持体および金属板によりパラジウム
合金膜が両面から支持されているため、シール性が良好
で、かつ耐熱性、機械的強度に優れ、高純度の水素の回
収が可能であり、高温においても分離性能に優れ、さら
に加工性も良好であり、製造コストが低い。また、本発
明の水素分離膜の製造方法においては、まず金属支持体
の片面に電気メッキ法によりパラジウムと他の金属層を
交互積層し、他方の面からエッチング法により細孔を多
数穿孔し、さらに熱処理することによってパラジウムお
よびパラジウム以外の他の金属を相互に拡散させてパラ
ジウム合金層を形成させるものであり、これに両面エッ
チングにより細孔を穿孔し、さらに必要に応じて特定の
金属薄膜が被着されたた金属板を積層するという、比較
的簡単な工程によって水素分離能に優れた分離膜を安価
に製造することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明する。 実施例1パラジウム合金膜が被着された金属支持体の製造 厚さ200μmのステンレス(SUS316)の片面
に、パラジウムと銀を交互に電気メッキした。メッキ浴
組成は、下記に示すものを用いた。なお、浴温は30
℃、電流密度はパラジウムメッキのときは1A/d
2 、銀メッキのときは0.5A/dm2 で行った。メ
ッキの総厚は30μmとし、重量比でパラジウム:銀=
80:20になるように多層メッキした。
【0041】〔パラジウムメッキ浴組成〕 Pd(NH3 4 Cl2 ・・・・・30g/kg NH4 Cl ・・・・・60g/kg H2 O ・・・・・Bal pH ・・・・・9〜9.5 〔銀メッキ浴組成〕 AgCN ・・・・・36g/kg KCN ・・・・・60g/kg K2 CO3 ・・・・・15g/kg
【0042】次に、エッチング処理は、メッキされた材
料を前処理洗浄し、以下の条件で実施した。 〔レジスト塗布条件〕 レジスト種類;ネガタイプアクリルポリマー〔東京応化
工業(株)製、PMER−N40DP〕 塗布厚;7μm 〔露光条件〕 紫外線波長;375nm 照射量;450mJ 〔エッチング条件〕 エッチング液;塩化第2鉄水溶液(45°Be、48
℃) なお、このエッチング処理では、細孔hの孔径dが10
0μm、メッキと金属支持体の最短接点距離wが500
μmになるように実施した。
【0043】両面に細孔が多数穿孔された金属材の製造 次に、厚さ200μmのステンレス(SUS316)材
を前処理洗浄し、以下の条件で両面エッチングした。 〔レジスト塗布条件〕 レジスト種類;ネガタイプアクリルポリマー〔東京応化
工業(株)製、PMER−N40DP〕 塗布厚;7μm 〔露光条件〕 紫外線波長;375nm 照射量;450mJ
【0044】〔エッチング条件〕 エッチング液;塩化第2鉄水溶液(45°Be、48
℃) なお、このエッチング処理では、金属板の中央の孔径が
200μmになるように、両面からエッチング液を吹き
つけて行った。 〔メッキ条件〕 メッキ液;銀メッキ浴組成 AgCN ・・・・・36g/kg KCN ・・・・・60g/kg K2 CO3 ・・・・・15g/kg なお、浴湯は30℃、電流密度は0.5A/dm2 で、
メッキ厚が0.1μmになるように行った。
【0045】水素分離膜の製造 前記で得られたパラジウム合金膜がメッキされた金属支
持体と前記金属板とをレーザー熔接で合体し、水素分離
膜とした。
【0046】水素分離実験 前記で得られた水素分離膜10を図3に示す水素分離機
20に装着し、この工程に原料ガスG1として混合ガス
(水素74容量%、CO1容量%、CH4 1容量%、C
2 24容量%)を流した。透過ガス(水素ガス)およ
び非透過ガスは、別々にガスメータM1、M2で流量を
測定するとともに、ガスクロマトグラフGCに導入して
ガス組成の分析を行った。
【0047】実験条件は、次のとおりである。 温度=400℃ 圧力(水素分離機20の上部21の圧力)=8.0kg
/cm2 ・G 混合ガス流量=1.0Nl/min 出側圧力(水素分離機20の下部22の圧力)=常圧 降昇温繰り返し実験(50〜550℃)
【0048】実験結果は、次のとおりであった。 繰り返し60回後 透過ガス中の水素ガス濃度=99.99% 透過速度=80.0cm3 /cm2 /min
【0049】比較例1 前記で得られたパラジウム合金膜がメッキされた金属支
持体を、そのまま水素分離膜に供し、実施例1と同様に
して水素分離実験を行った。実験結果は、次のとおりで
あった。 繰り返し60回後 透過ガス中の水素ガス濃度=98.5% 透過速度=80.0cm3 /cm2 /min
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、細孔が多数穿孔された
金属を支持体としているため、耐熱性、機械的強度に優
れ、高純度の水素の回収が可能であり、かつ高温におい
ても分離性能に優れ、さらに電気メッキによりパラジウ
ムなどの薄膜を形成するので、良好な水素分離膜を短時
間かつ少ない労力で容易に製造することができる。ま
た、両面エッチングを施した金属板を被着した構造を持
ったため、耐熱衝撃に強く、膜の耐久性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素分離膜製造工程の一部を示す概略図であ
り、図1(A)は金属支持体の片面にパラジウムと他の
金属薄膜層が被着・形成した状態を説明するための拡大
断面構成図、図1(B)は図1(A)の金属支持体の他
方の片面をエッチング処理し細孔が多数穿孔された状態
を説明するための拡大断面構成図、図1(C)は本発明
の水素分離膜の拡大断面構成図である。
【図2】水素分離膜製造工程の一部を示す概略図であ
り、図2(A)はパラジウムと他の金属薄膜層が被着・
形成した金属支持体を枠にレーザー溶接する状態を説明
するための断面構成図、図2(B)は金属材を枠レーザ
ー溶接する状態を説明するための断面構成図、図2
(C)は図2(A)と図2(B)を枠の部分でレーザー
溶接し、水素分離膜を形成させる状態を説明するための
断面構成図である。
【図3】本発明の水素分離膜を用いた水素分離工程の概
略図である。
【符号の説明】
10 水素分離膜 11 金属支持体 12 パラジウム合金膜 13 金属材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 孔径10〜500μmの細孔がエッチン
    グにより多数穿孔された金属支持体の片面に、膜厚1〜
    50μmのパラジウムと他の金属からなるパラジウム合
    金膜が被着形成され、さらに該パラジウム合金膜の表面
    に、エッチングによりあらかじめ両面に細孔が多数穿孔
    され、さらに必要に応じて金、銀、白金、パラジウム、
    ロジウム、銅またはこれらの合金の薄膜が被着された金
    属板を積層させたことを特徴とする水素分離膜。
  2. 【請求項2】 次の各工程からなる請求項1記載の水素
    分離膜の製造方法。 (1)金属支持体の片面にパラジウムと他の金属の薄膜
    をそれぞれ電気メッキ法により交互積層する第1工程。 (2)第1工程で得られる金属支持体の他方の片面にエ
    ッチング法により細孔を多数穿孔する第2工程。 (3)第2工程で得られる金属支持体のパラジウムと他
    の金属薄膜層を500〜900℃で熱処理しパラジウム
    合金化する第3工程。 (4)金属板の両面にエッチング法により細孔を多数穿
    孔する第4工程。 (5)必要に応じて第4工程で得られる金属板に、金、
    銀、白金、パラジウム、ロジウム、銅またはこれらの合
    金の薄膜を、電気メッキ法により形成させる第5工程。 (6)第3工程で得られる金属支持体のパラジウム合金
    膜の表面に、第4工程または第5工程で得られる金属板
    を積層する第6工程。
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