JPH07126799A - 耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルトの製造方法 - Google Patents
耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルトの製造方法Info
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- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 C:0.30〜0.45%,Si:0.01
〜0.30%,Mn:0.20〜1.0%,Cr:0.
50〜2.5%,Mo:0.20〜1.5%,Al:
0.01〜0.05%を夫々含有し、残部がFeおよび
不可避不純物からなり、且つ該不可避不純物中P:0.
015以下,S:0.015以下(但し、いずれも0%
を含む)に夫々抑制してなる鋼材を使用し、これをボル
ト状に成形加工した後焼入れ処理し、引続き400℃以
上の温度で繰り返し焼戻し処理する。 【効果】 1300N/mm2 以上の引張強度を有し、
且つ優れた耐遅れ破壊特性を有するボルトを提供し得る
ことになった。
〜0.30%,Mn:0.20〜1.0%,Cr:0.
50〜2.5%,Mo:0.20〜1.5%,Al:
0.01〜0.05%を夫々含有し、残部がFeおよび
不可避不純物からなり、且つ該不可避不純物中P:0.
015以下,S:0.015以下(但し、いずれも0%
を含む)に夫々抑制してなる鋼材を使用し、これをボル
ト状に成形加工した後焼入れ処理し、引続き400℃以
上の温度で繰り返し焼戻し処理する。 【効果】 1300N/mm2 以上の引張強度を有し、
且つ優れた耐遅れ破壊特性を有するボルトを提供し得る
ことになった。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車,産業機械,土
木機械などにおいて使用されるボルトの製造方法に関
し、特に引張強さが1300N/mm2 以上の高強度を
有し、且つ耐遅れ破壊性に優れたボルトの製造方法に関
するものである。
木機械などにおいて使用されるボルトの製造方法に関
し、特に引張強さが1300N/mm2 以上の高強度を
有し、且つ耐遅れ破壊性に優れたボルトの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上の要求から、車
体重量の低減化が指向され、それにともなって使用され
るボルトにも高強度ものが要求される様になってきてい
る。また構造物の大型化に伴い、産業機械や土木機械に
おいて用いられるボルトにおいてもより高強度のものが
要求される様になっている。
体重量の低減化が指向され、それにともなって使用され
るボルトにも高強度ものが要求される様になってきてい
る。また構造物の大型化に伴い、産業機械や土木機械に
おいて用いられるボルトにおいてもより高強度のものが
要求される様になっている。
【0003】ボルトを高強度化していく場合、特に気を
つけなければならない項目としては、遅れ破壊現象があ
る。この現象は、ボルトのように鋭い切欠きが存在する
鋼材に対して、静的引張応力を加えた状態で突然破壊す
る現象である。特に引張強さが1200N/mm2 を超
えたあたりから鋼材の感受性が高くなり、遅れ破壊が生
じ易くなると言われている。このことは、現在のJIS
規格B1051の「ボルト・小ねじの機械的性質」の高
い強度区分が12.9であることや、JIS規格B11
86の「摩擦接合用高力六角ボルト、六角ナット、平座
金セット」の高い強度区分が11Tであることからも窺
える。従って、現在これらの業界で使用されているボル
トの強度の上限は、一部の場合を除いて殆どが1200
〜1300N/mm2 程度となっている。
つけなければならない項目としては、遅れ破壊現象があ
る。この現象は、ボルトのように鋭い切欠きが存在する
鋼材に対して、静的引張応力を加えた状態で突然破壊す
る現象である。特に引張強さが1200N/mm2 を超
えたあたりから鋼材の感受性が高くなり、遅れ破壊が生
じ易くなると言われている。このことは、現在のJIS
規格B1051の「ボルト・小ねじの機械的性質」の高
い強度区分が12.9であることや、JIS規格B11
86の「摩擦接合用高力六角ボルト、六角ナット、平座
金セット」の高い強度区分が11Tであることからも窺
える。従って、現在これらの業界で使用されているボル
トの強度の上限は、一部の場合を除いて殆どが1200
〜1300N/mm2 程度となっている。
【0004】上記の様な高強度材の遅れ破壊現象につい
ては、これまでも様々研究されており、その原因として
鋼材中の水素が遅れ破壊の助長要因であることがほぼ判
明しているが、その詳細な破壊メカニズムについては不
明な点が多い。また鋼成分の影響等についても十分に解
明されておらず、不明な点が多い。
ては、これまでも様々研究されており、その原因として
鋼材中の水素が遅れ破壊の助長要因であることがほぼ判
明しているが、その詳細な破壊メカニズムについては不
明な点が多い。また鋼成分の影響等についても十分に解
明されておらず、不明な点が多い。
【0005】上記の様なボルトの素材として用いられる
鋼材としては、通常SCM435やSCM440等の低
合金鋼が用いらており、ボルトに成形した後焼き入れ処
理し、その後一回の焼き戻し処理が施されて使用されて
いる。またこれらの鋼材の高強度化を図る手段として
は、上記の様な低合金鋼に合金元素を添加し、焼き戻し
温度があまり低くならない様な対策が採用されるのが一
般的である。しかしながら、十分な耐遅れ破壊性がえら
れていない。従って、自動車メーカ等からの1300N
/mm2 以上の高強度を有するボルト材の要請に対処で
きていないのが実情である。
鋼材としては、通常SCM435やSCM440等の低
合金鋼が用いらており、ボルトに成形した後焼き入れ処
理し、その後一回の焼き戻し処理が施されて使用されて
いる。またこれらの鋼材の高強度化を図る手段として
は、上記の様な低合金鋼に合金元素を添加し、焼き戻し
温度があまり低くならない様な対策が採用されるのが一
般的である。しかしながら、十分な耐遅れ破壊性がえら
れていない。従って、自動車メーカ等からの1300N
/mm2 以上の高強度を有するボルト材の要請に対処で
きていないのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、13
00N/mm2 以上の引張強度を有し、且つ耐遅れ疲労
破壊性にも優れたボルトを製造するための方法を確立し
ようとするものである。
情に着目してなされたものであって、その目的は、13
00N/mm2 以上の引張強度を有し、且つ耐遅れ疲労
破壊性にも優れたボルトを製造するための方法を確立し
ようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る製造方法の構成は、C:0.30
〜0.45%,Si:0.01〜0.30%,Mn:
0.20〜1.0%,Cr:0.50〜2.5%,M
o:0.20〜1.5%,Al:0.01〜0.05%
を夫々含有し、残部がFeおよび不可避不純物よりな
り、且つ該不可避不純物中P:0.015%以下,S:
0.015%以下(但し、いずれも0%を含む)に夫々
抑制してなる鋼材を使用し、これをボルト状に成形加工
した後焼入れ処理し、引き続き400℃以上の温度で繰
り返し焼戻し処理する点に要旨を有するものである。
のできた本発明に係る製造方法の構成は、C:0.30
〜0.45%,Si:0.01〜0.30%,Mn:
0.20〜1.0%,Cr:0.50〜2.5%,M
o:0.20〜1.5%,Al:0.01〜0.05%
を夫々含有し、残部がFeおよび不可避不純物よりな
り、且つ該不可避不純物中P:0.015%以下,S:
0.015%以下(但し、いずれも0%を含む)に夫々
抑制してなる鋼材を使用し、これをボルト状に成形加工
した後焼入れ処理し、引き続き400℃以上の温度で繰
り返し焼戻し処理する点に要旨を有するものである。
【0008】
【作用】本発明者ら上記の目的を達成するため、遅れ破
壊発生の大きな要因である水素に着目し、各種鋼成分と
焼戻し条件について検討を重ねた。その結果、遅れ破壊
に影響する水素が鋼の合金成分と焼戻し条件に少なから
ず影響を受けることが分かった。即ち、適正な鋼成分の
選択と繰り返し焼き戻しの組み合わせによって、遅れ破
壊を助長する拡散性水素(即ち、室温〜200℃付近で
鋼中を移動する水素)が低減され、耐遅れ破壊性が著し
く向上することを見いだし、本発明を完成した。
壊発生の大きな要因である水素に着目し、各種鋼成分と
焼戻し条件について検討を重ねた。その結果、遅れ破壊
に影響する水素が鋼の合金成分と焼戻し条件に少なから
ず影響を受けることが分かった。即ち、適正な鋼成分の
選択と繰り返し焼き戻しの組み合わせによって、遅れ破
壊を助長する拡散性水素(即ち、室温〜200℃付近で
鋼中を移動する水素)が低減され、耐遅れ破壊性が著し
く向上することを見いだし、本発明を完成した。
【0009】上記の様な効果が得られた理由については
その詳細を解明した訳ではないが、おそらく繰り返し焼
戻しによって析出した微細炭窒化物が拡散性水素をトラ
ップすることによるものと考えられる。次に、本発明で
規定した各要件の設定理由について説明する。まず、本
発明で用いる鋼材の成分組成を定めた理由は下記の通り
である。
その詳細を解明した訳ではないが、おそらく繰り返し焼
戻しによって析出した微細炭窒化物が拡散性水素をトラ
ップすることによるものと考えられる。次に、本発明で
規定した各要件の設定理由について説明する。まず、本
発明で用いる鋼材の成分組成を定めた理由は下記の通り
である。
【0010】C:0.30〜0.45% Cは鋼の焼入性と強化確保のために必要な元素である
が、0.30%未満では本発明の対象であるボルトの引
っ張り強さを1300N/mm2 以上にするのに、40
0℃以上の焼き戻し温度で達成することができない。一
方、その含有量が0.45%を超えると、冷間加工性お
よび靭性を阻害する。
が、0.30%未満では本発明の対象であるボルトの引
っ張り強さを1300N/mm2 以上にするのに、40
0℃以上の焼き戻し温度で達成することができない。一
方、その含有量が0.45%を超えると、冷間加工性お
よび靭性を阻害する。
【0011】Si:0.01〜0.30% Siは、溶製時の脱酸剤として有用な元素であり、その
ためには0.01%以上含有させる必要があるが、過剰
に添加すると酸化物系の介在物を生成すると共に、球状
化焼なましや焼入れ処理等の熱処理の粒界酸化を助長
し、冷間鍛造性および耐遅れ破壊性を低下させる。こう
したことから、Siの含有量は0.01〜0.30%と
規定した。
ためには0.01%以上含有させる必要があるが、過剰
に添加すると酸化物系の介在物を生成すると共に、球状
化焼なましや焼入れ処理等の熱処理の粒界酸化を助長
し、冷間鍛造性および耐遅れ破壊性を低下させる。こう
したことから、Siの含有量は0.01〜0.30%と
規定した。
【0012】Mn:0.20〜1.0% Mnは、鋼の焼入れ性の向上と脱酸性元素として必要で
あり、またSによる熱間脆性を防止するために添加する
ものであるが、そのためには少なくとも0.20%以上
含有させなければならない。しかし、多過ぎると粒界へ
の偏析が多くなり、粒界強度の低下や耐遅れ破壊性の低
下を招くので、1.0%以下に抑える必要がある。
あり、またSによる熱間脆性を防止するために添加する
ものであるが、そのためには少なくとも0.20%以上
含有させなければならない。しかし、多過ぎると粒界へ
の偏析が多くなり、粒界強度の低下や耐遅れ破壊性の低
下を招くので、1.0%以下に抑える必要がある。
【0013】Cr:0.50〜2.5% Crは焼入れ性向上に極めて有効な元素であり、耐食性
の向上にも有効な元素である。また本発明の特徴である
「繰り返し焼戻しによる微細炭窒化物の析出」にとって
も有用な元素である。この様な効果を発揮させるために
は、少なくとも0.50%以上添加する必要があるが、
その添加量が2.5%を超えると冷間加工性を阻害す
る。
の向上にも有効な元素である。また本発明の特徴である
「繰り返し焼戻しによる微細炭窒化物の析出」にとって
も有用な元素である。この様な効果を発揮させるために
は、少なくとも0.50%以上添加する必要があるが、
その添加量が2.5%を超えると冷間加工性を阻害す
る。
【0014】Mo:0.20〜1.5% Moは焼入れ性と焼きもどし抵抗の向上に有効な元素で
あり、またCrと同様に繰り返し焼戻しによって炭窒化
物を微細析出し、水素のトラップ効果によって拡散性水
素を減少し、耐遅れ破壊性の改善に効果的である。その
含有量が0.20%未満では、400℃以上の繰り返し
焼戻し後に引っ張り強度が1300N/mm2 以上の高
強度ボルト用鋼としての特性を得るのに不十分であり、
1.5%を超えて添加してもその効果が小さく、いたず
らにコストアップを招くことになる。
あり、またCrと同様に繰り返し焼戻しによって炭窒化
物を微細析出し、水素のトラップ効果によって拡散性水
素を減少し、耐遅れ破壊性の改善に効果的である。その
含有量が0.20%未満では、400℃以上の繰り返し
焼戻し後に引っ張り強度が1300N/mm2 以上の高
強度ボルト用鋼としての特性を得るのに不十分であり、
1.5%を超えて添加してもその効果が小さく、いたず
らにコストアップを招くことになる。
【0015】Al:0.01〜0.05% Alは脱酸成分として欠くことのできない元素であり、
しかも鋼中のフリーのNを固定して焼戻し脆性の防止と
結晶粒の微細化に有用な元素であり、それらの効果を有
効に発揮させるには0.01%以上含有させなければな
らない。しかし、それらの効果は0.05%で飽和し、
それ以上含有させると非金属介在物量が増大して靭性低
下を招く。
しかも鋼中のフリーのNを固定して焼戻し脆性の防止と
結晶粒の微細化に有用な元素であり、それらの効果を有
効に発揮させるには0.01%以上含有させなければな
らない。しかし、それらの効果は0.05%で飽和し、
それ以上含有させると非金属介在物量が増大して靭性低
下を招く。
【0016】本発明で対象とする鋼材は上記の各元素を
基本成分とし、残部Feおよび不可避不純物からなるも
のであるが、該不可避不純物中のPやSは夫々下記の如
く抑制する必要がある。
基本成分とし、残部Feおよび不可避不純物からなるも
のであるが、該不可避不純物中のPやSは夫々下記の如
く抑制する必要がある。
【0017】P:0.015%以下(但し、0%を含
む) PはMnと同様に粒界に偏析して耐遅れ破壊性を低下さ
せる不可避不純物であり、できるだけ少ないほうがよ
く、その上限を0.015%と定めた。
む) PはMnと同様に粒界に偏析して耐遅れ破壊性を低下さ
せる不可避不純物であり、できるだけ少ないほうがよ
く、その上限を0.015%と定めた。
【0018】S:0.015%以下(但し、0%を含
む) Sは熱間脆性を引き起こす不可避不純物である。また、
Mnと結合してMnSとなってボルト成形時の冷間鍛造
性を阻害すると共に、鋼の遅れ破壊性を低下させる。こ
うしたことから、Sはできるだけ少ないほうが良く、
0.015%を上限とする。
む) Sは熱間脆性を引き起こす不可避不純物である。また、
Mnと結合してMnSとなってボルト成形時の冷間鍛造
性を阻害すると共に、鋼の遅れ破壊性を低下させる。こ
うしたことから、Sはできるだけ少ないほうが良く、
0.015%を上限とする。
【0019】本発明で対象とする鋼材には、必要によっ
てNi,Ti,V,Nb等を添加しても良い。これらの
元素を添加するときの、成分範囲限定理由は下記の通り
である。
てNi,Ti,V,Nb等を添加しても良い。これらの
元素を添加するときの、成分範囲限定理由は下記の通り
である。
【0020】Ni:0.05〜1.0% Niは鋼の靭性の向上と焼入れ性の向上のために必要に
よって添加される。Crの添加量が0.05%未満では
その効果が発揮されず、1.0%を超える添加はそれ以
上の向上効果が望めず、いたずらにコストアップを招く
のでその上限を1.0%とした。
よって添加される。Crの添加量が0.05%未満では
その効果が発揮されず、1.0%を超える添加はそれ以
上の向上効果が望めず、いたずらにコストアップを招く
のでその上限を1.0%とした。
【0021】Ti:0.01〜0.10% Tiは結晶粒度を微細化して粒界面積を増加させること
によって、P等による粒界偏析成分の分散や、水素のト
ラップサイトの増加による拡散性水素の減少、更にはフ
リーの窒素の固定等による効果によって、耐遅れ破壊性
を改善するのに有効な元素であり、その効果を発揮させ
るためには、0.01%以上添加する必要がある。しか
しながら、過剰に添加すると粗大なTiNが多量にでき
て冷間加工性や耐遅れ破壊性を逆に阻害するので、その
上限を0.10%とした。
によって、P等による粒界偏析成分の分散や、水素のト
ラップサイトの増加による拡散性水素の減少、更にはフ
リーの窒素の固定等による効果によって、耐遅れ破壊性
を改善するのに有効な元素であり、その効果を発揮させ
るためには、0.01%以上添加する必要がある。しか
しながら、過剰に添加すると粗大なTiNが多量にでき
て冷間加工性や耐遅れ破壊性を逆に阻害するので、その
上限を0.10%とした。
【0022】V:0.05〜0.40% Vは析出硬化による焼戻し軟化抵抗を付与と、結晶粒の
微細化のために必要によって添加するものであるが、
0.05%未満ではその効果が発揮されず、0.40%
を超える添加ではその効果が飽和する。
微細化のために必要によって添加するものであるが、
0.05%未満ではその効果が発揮されず、0.40%
を超える添加ではその効果が飽和する。
【0023】Nb:0.01〜0.10% Nbは結晶粒の微細化を目的としてAlやTiに加えて
必要によって添加するが、0.01%未満ではその効果
が発揮されず、0.10%を超える添加ではその効果が
飽和する。
必要によって添加するが、0.01%未満ではその効果
が発揮されず、0.10%を超える添加ではその効果が
飽和する。
【0024】本発明では、上記のような化学成分組成を
有する鋼材を使用し、これをボルト状に成形加工した後
焼き入れ処理し、引続き400℃以上の温度で繰り返し
焼戻しを行なうものであるが、これは繰り返し焼戻しを
行なうことによって炭窒化物を微細に析出させ、これに
よって遅れ破壊に悪影響のある拡散性水素を減少させる
ものである。即ち、従来行なわれている一回の焼戻しで
は、析出炭窒化物が少なく、十分な効果が得られない。
また焼き戻し時の温度を400℃以上としたのは、30
0〜400℃で認められる焼戻し脆性を回避して高い靭
性を付与するためである。このとき焼戻し後の冷却は、
できるだけ急冷のほうが良い。尚一回の焼戻し時間を長
くすることも考えられるが、そうすると微細に析出した
析出物が凝集してしまい、拡散性の減少という本発明の
効果が得られない。
有する鋼材を使用し、これをボルト状に成形加工した後
焼き入れ処理し、引続き400℃以上の温度で繰り返し
焼戻しを行なうものであるが、これは繰り返し焼戻しを
行なうことによって炭窒化物を微細に析出させ、これに
よって遅れ破壊に悪影響のある拡散性水素を減少させる
ものである。即ち、従来行なわれている一回の焼戻しで
は、析出炭窒化物が少なく、十分な効果が得られない。
また焼き戻し時の温度を400℃以上としたのは、30
0〜400℃で認められる焼戻し脆性を回避して高い靭
性を付与するためである。このとき焼戻し後の冷却は、
できるだけ急冷のほうが良い。尚一回の焼戻し時間を長
くすることも考えられるが、そうすると微細に析出した
析出物が凝集してしまい、拡散性の減少という本発明の
効果が得られない。
【0025】以下、実施例によって本発明を更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0026】
【実施例】表1に示す符号A〜Iの成分組成の鋼材を使
用し、圧延した後、球状化焼鈍および伸線加工を行な
い、冷間鍛造によってM10ボルトを成形した。成形し
たボルトを焼入れし、その後本発明材については400
℃以上の温度で繰り返し焼戻し処理を行ない、比較材に
ついては一回の焼戻しを行ったり、400℃未満の温度
で繰り返し焼戻しを行ない、引張強さを約1400〜1
500N/mm2 に調整した後、耐遅れ破壊性と拡散性
水素量を調査した。尚遅れ破壊性の調査は、ボルトを酸
中に浸漬した後水洗・乾燥し、大気中で負荷する方法に
て100時間の遅れ破壊強さを求めて比較評価した。調
査結果を、焼戻し条件および引張強さと共に表2に示
す。
用し、圧延した後、球状化焼鈍および伸線加工を行な
い、冷間鍛造によってM10ボルトを成形した。成形し
たボルトを焼入れし、その後本発明材については400
℃以上の温度で繰り返し焼戻し処理を行ない、比較材に
ついては一回の焼戻しを行ったり、400℃未満の温度
で繰り返し焼戻しを行ない、引張強さを約1400〜1
500N/mm2 に調整した後、耐遅れ破壊性と拡散性
水素量を調査した。尚遅れ破壊性の調査は、ボルトを酸
中に浸漬した後水洗・乾燥し、大気中で負荷する方法に
て100時間の遅れ破壊強さを求めて比較評価した。調
査結果を、焼戻し条件および引張強さと共に表2に示
す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1,2からも明らかである様に、本発明
の規定要件を全て満足する実施例のもの(No. 1,3,
5.7)は、一回焼戻ししただけの比較例のもの(No.
2,4,6,10)に比べて優れた遅れ破壊強性を示し
ていることが分かる。また鋼成分が本発明で規定する範
囲外であるNo. 8、9のものは、繰り返し焼き戻し処理
をしたものであるが、焼き戻し温度が400℃以下の低
い温度であるので、高い遅れ破壊強さが得られていな
い。
の規定要件を全て満足する実施例のもの(No. 1,3,
5.7)は、一回焼戻ししただけの比較例のもの(No.
2,4,6,10)に比べて優れた遅れ破壊強性を示し
ていることが分かる。また鋼成分が本発明で規定する範
囲外であるNo. 8、9のものは、繰り返し焼き戻し処理
をしたものであるが、焼き戻し温度が400℃以下の低
い温度であるので、高い遅れ破壊強さが得られていな
い。
【0030】尚表2には、各鋼材の酸洗い後の拡散性水
素量も示したが、実施例のものは比較例のものに比べ
て、拡散性水素の量が少なく、遅れ破壊強さと良い相関
があることが分かる。
素量も示したが、実施例のものは比較例のものに比べ
て、拡散性水素の量が少なく、遅れ破壊強さと良い相関
があることが分かる。
【0031】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、鋼
材の成分組成を特定すると共に、焼入れ後の焼戻しを繰
り返し行なうことによって、1300N/mm2 以上の
強度を有し、且つ優れた耐遅れ破壊特性を有するボルト
を提供し得ることになった。
材の成分組成を特定すると共に、焼入れ後の焼戻しを繰
り返し行なうことによって、1300N/mm2 以上の
強度を有し、且つ優れた耐遅れ破壊特性を有するボルト
を提供し得ることになった。
Claims (5)
- 【請求項1】 C:0.30〜0.45%(重量%の意
味、以下同じ),Si:0.01〜0.30%,Mn:
0.20〜1.0%,Cr:0.50〜2.5%,M
o:0.20〜1.5%,Al:0.01〜0.05%
を夫々含有し、残部がFeおよび不可避不純物よりな
り、且つ該不可避不純物中P:0.015%以下,S:
0.015%以下(但し、いずれも0%を含む)に夫々
抑制してなる鋼材を使用し、これをボルト状に成形加工
した後焼入れ処理し、引続き400℃以上の温度で繰り
返し焼戻し処理することを特徴とする耐遅れ破壊性に優
れた高強度ボルトの製造方法。 - 【請求項2】 更に、Ni:0.05〜1.0%を含有
した鋼材を用いる請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 更に、Ti:0.01〜0.10%を含
有した鋼材を用いる請求項1または2に記載の製造方
法。 - 【請求項4】 更に、V:0.05〜0.40%を含有
した鋼材を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の製造
方法。 - 【請求項5】 更に、Nb:0.01〜0.10%を含
有した鋼材を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の製
造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27360193A JPH07126799A (ja) | 1993-11-01 | 1993-11-01 | 耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルトの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27360193A JPH07126799A (ja) | 1993-11-01 | 1993-11-01 | 耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルトの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07126799A true JPH07126799A (ja) | 1995-05-16 |
Family
ID=17530042
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27360193A Withdrawn JPH07126799A (ja) | 1993-11-01 | 1993-11-01 | 耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルトの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07126799A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1371863A4 (en) * | 2001-03-22 | 2004-10-20 | Nippon Steel Corp | HIGH-STRENGTH BOLT WITH EXCELLENT RESISTANCE TO DELAYED BREAKAGE AND STEEL PRODUCT FOR IT |
| JP2012233244A (ja) * | 2011-05-09 | 2012-11-29 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 鋼製ボルトおよびその製造方法 |
| KR20200021754A (ko) * | 2018-08-21 | 2020-03-02 | 주식회사 포스코 | 수소취성 저항성이 우수한 고강도 선재, 이를 이용한 볼트용 강재, 이들의 제조방법 |
| CN115404399A (zh) * | 2021-05-28 | 2022-11-29 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种均质高强耐久螺栓用钢及其制备方法 |
| CN115433871A (zh) * | 2021-06-02 | 2022-12-06 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种耐氢脆延迟断裂的高强度钢及其制造方法 |
| CN117467889A (zh) * | 2022-07-20 | 2024-01-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高淬透性高强度中碳钢、圆钢及其制造方法 |
| EP4060072A4 (en) * | 2019-12-18 | 2024-06-12 | Posco | Wire rod and component, for cold forging, each having excellent delayed fracture resistance characteristics, and manufacturing methods therefor |
-
1993
- 1993-11-01 JP JP27360193A patent/JPH07126799A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1371863A4 (en) * | 2001-03-22 | 2004-10-20 | Nippon Steel Corp | HIGH-STRENGTH BOLT WITH EXCELLENT RESISTANCE TO DELAYED BREAKAGE AND STEEL PRODUCT FOR IT |
| US7070664B2 (en) | 2001-03-22 | 2006-07-04 | Nippon Steel Corporation | High strength bolt superior in delayed fracture resistant property and steel material for the same |
| JP2012233244A (ja) * | 2011-05-09 | 2012-11-29 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 鋼製ボルトおよびその製造方法 |
| KR20200021754A (ko) * | 2018-08-21 | 2020-03-02 | 주식회사 포스코 | 수소취성 저항성이 우수한 고강도 선재, 이를 이용한 볼트용 강재, 이들의 제조방법 |
| EP4060072A4 (en) * | 2019-12-18 | 2024-06-12 | Posco | Wire rod and component, for cold forging, each having excellent delayed fracture resistance characteristics, and manufacturing methods therefor |
| US12529117B2 (en) | 2019-12-18 | 2026-01-20 | Posco | Wire rod and component, for cold forging, each having excellent delayed fracture resistance characteristics, and manufacturing methods therefor |
| CN115404399A (zh) * | 2021-05-28 | 2022-11-29 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种均质高强耐久螺栓用钢及其制备方法 |
| CN115433871A (zh) * | 2021-06-02 | 2022-12-06 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种耐氢脆延迟断裂的高强度钢及其制造方法 |
| CN117467889A (zh) * | 2022-07-20 | 2024-01-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高淬透性高强度中碳钢、圆钢及其制造方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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