JPH07128111A - エンジン計測装置 - Google Patents

エンジン計測装置

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JPH07128111A
JPH07128111A JP27401393A JP27401393A JPH07128111A JP H07128111 A JPH07128111 A JP H07128111A JP 27401393 A JP27401393 A JP 27401393A JP 27401393 A JP27401393 A JP 27401393A JP H07128111 A JPH07128111 A JP H07128111A
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combustion chamber
rotation angle
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Abstract

(57)【要約】 【目的】エンジンが組み立てられた状態において、排気
量や圧縮比といったエンジンの実際の各諸元を計測する
ことのできるエンジン計測装置を提供する。 【構成】エンジンが組み立てられた状態において、エン
ジンの燃焼室の容積を測定する容積測定手段(10、1
1、17など)と、クランクシャフトの回転角度を測定
する回転角度測定手段7bと、上記容積測定手段と上記
回転角度測定手段の測定結果を入力し、吸排気バルブが
閉じているクランクシャフトの回転角度の範囲における
複数の異なった回転角度において計測した燃焼室容積の
複数の計測値を用いて、上記エンジンの排気量と、圧縮
比と、ストロークと、コンロッド長と、クランク半径
と、シリンダ・ボア径と、のうちの少なくとも一つを求
める演算手段(19など)と、を備えたエンジン計測装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジンが組み立て
られた状態で、その排気量や圧縮比といった各諸元を計
測する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエンジン計測装置としては、例え
ば特開昭60−76623号公報に記載されてものがあ
る。この装置は、ヘルムホルツ共鳴器を利用した音響式
の容積測定装置を用いて、エンジンを組み付けた状態
で、ピストンが上死点位置にある場合の燃焼室の容積
(狭義の燃焼室容積)を測定するものである。他のエン
ジン計測装置としては、小野測器株式会社の圧縮比計V
M−7100が市販されている。これは、音圧を計測す
ることによって容積を測定する音響式の容積測定装置を
用いて、ピストンが上死点位置にある場合の燃焼室の容
積を測定し、この測定値と予め設定されている行程容積
とを用いて気筒毎の圧縮比を測定するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとき従来のエ
ンジン計測装置においては、エンジンが組み立てられた
状態で、ピストンが上死点位置にある場合の燃焼室の容
積、すなわち狭義の燃焼室容積を測定することはできる
が、ピストンが下死点位置にある場合の燃焼室容積を測
定することは出来なかったので、実際の排気量を求める
ことができず、また下死点における燃焼室容積を用いて
演算する実圧縮比を求めることもできなかった。上記の
ごとく下死点における燃焼室容積が測定できない理由は
次のとおりである。すなわち、音響式の計測装置を用い
る場合には、測定対象が密閉容器であることが必要とさ
れるが、エンジンの燃焼室には吸気バルブと排気バルブ
(以下、吸排気バルブと略記する)とが設けられてお
り、それらの両方が閉じて燃焼室が密閉状態になるの
は、クランク角度が上死点位置を中心とした所定の角度
以内にある場合だけであり、ピストンが下死点位置にあ
る場合には上記バルブが開いているので、音響式の計測
を行なうことが出来ないのである。
【0004】本発明は、上記のごとき従来技術の問題を
解決するためになされたものであり、エンジンが組み立
てられた状態において、排気量や圧縮比といったエンジ
ンの実際の各諸元を計測することのできるエンジン計測
装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、請求項1に記載の発明にお
いては、エンジンが組み立てられた状態において、エン
ジンの燃焼室の容積を測定する容積測定手段と、クラン
クシャフトの回転角度を測定する回転角度測定手段と、
上記容積測定手段と上記回転角度測定手段の測定結果を
入力し、吸排気バルブが閉じているクランクシャフトの
回転角度の範囲における複数の異なった回転角度におい
て計測した燃焼室容積の複数の計測値を用いて、上記エ
ンジンの排気量と、圧縮比と、ストロークと、コンロッ
ド長と、クランク半径と、シリンダ・ボア径と、のうち
の少なくとも一つを求める演算手段と、を備えるように
構成している。なお、上記エンジンの排気量は、各気筒
毎の排気量すなわち行程容積と全気筒の排気量すなわち
総行程容積との少なくとも一方であればよい。上記の回
転角度測定手段は、後記図3の実施例に記載のように、
クランクシャフトにロータリーエンコーダのような角度
検出手段を取り付けて直接に角度を検出してもよいし、
或いは請求項2に記載のように、モータ等でクランクシ
ャフトを一定速度で回転させ、その回転時間から回転角
度を測定するものでもよい。或いは、モータでクランク
シャフトを所定の角度回転させた後に停止させ、そのと
き上記容積測定手段で測定を行い、再びクランクシャフ
トを所定角度回転させる、という動作を所定の回数繰り
返して行うことにより、計測を自動化するように構成し
てもよい。また、請求項3に記載の発明は、請求項1に
おけるクランク角度の代わりに、ピストン移動量を測定
するピストン移動量測定手段の測定結果を用いるもので
ある。また、請求項1または請求項2における容積測定
手段は、例えば請求項4に記載のように、ヘルムホルツ
共鳴器を利用した音響式測定手段であり、エンジンの点
火プラグ孔を介して装着するものである。また、請求項
5に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明の
構成に加えて、上記演算手段の演算結果に基づいて、被
測定物であるエンジンについての計測値が所定の基準範
囲の値であるか否かを判定する判定手段と、上記判定結
果を表示する表示手段と、を設けたものである。
【0006】
【作用】本発明においては、例えば、ヘルムホルツ共鳴
器を利用した音響式の容積測定手段を用いて、燃焼室の
容積を求める。しかし、エンジンの排気量等を定めるた
めに必要な下死点における燃焼室容積は、下死点では吸
排気バルブが開いているため、直接には計測することが
できない。そのため、本発明においては、燃焼室が密閉
状態にあるとき、すなわち吸排気バルブが全閉になって
いるクランク角度範囲において、複数の異なった回転角
度での燃焼室容積を計測し、その複数個(例えば3個)
の計測値から例えば後記(数1)式および(数2)式の
未知数L、r、A等を求めることによって、(数1)式
から下死点における燃焼室容積を求める。次に、上記の
演算で求めた下死点における燃焼室容積から、計測で求
めた上死点における燃焼室容積(上死点では燃焼室が密
閉状態のため、直接に計測可能)を減算することによ
り、その気筒における排気量(行程容積)が求められ
る。したがってその排気量の値に気筒数nを乗算する
か、或いは全ての気筒で計測と演算を行って各気筒の排
気量を求め、それらを加算することにより、エンジン全
体の排気量(総行程容積)を求めることができる。上記
のように本発明においては、排気量として、各気筒毎の
排気量すなわち行程容積と全気筒の排気量すなわち総行
程容積とのいずれでも計測することができる。また、圧
縮比は下死点における燃焼室容積と上死点における燃焼
室容積との比で求められる。また、コンロッド長L、ク
ランク半径rおよびシリンダ・ボア断面積Aは、上記の
燃焼室容積を演算する過程で求められる。そしてシリン
ダ・ボア径Bは、シリンダ・ボア断面積Aから例えば後
記(数9)式によって求められる。また、ストロークs
は、上死点におけるピストン位置を基準としてクランク
シャフトを下死点まで回転させたときのピストン移動量
に相当する。この値は直接に計測可能であるが、後記図
4に示すように、s=2rの関係があるので、下死点に
おける燃焼室容積を演算する過程で求めたクランク半径
rの値を用いて演算することも可能である。本発明にお
いては、従来は計測できなかったエンジン組立状態での
実排気量、実圧縮比等のエンジン諸元を正確かつ容易に
測定することができるので、エンジンの実験、研究、工
場ラインでの検査等に活用できるのは勿論、従来は困難
であった車検時における違法改造車や輸入車の検査など
も容易に行うことが可能になる。
【0007】
【実施例】以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例の断面図である。図1におい
て、エンジン1は組み立てられた状態であり、かつ停止
した状態である。2はエンジン・ブロック、2aはシリ
ンダ、3はガスケット、4はシリンダヘッド、5はヘッ
ドカバーである。6はピストン、7はコンロッドであ
り、ピストン6は上死点位置で停止した状態である。こ
の場合には吸気バルブおよび排気バルブ(共に図示せ
ず)は全閉状態であり、燃焼室8は外部に対して閉じた
空間となっている。また、9は容積測定手段のセンサヘ
ッドであり、その内部において、長さd'で内容積V'の
円筒状の空洞12と、長さdで内部断面積Sの音響管1
3とでヘルムホルツ共鳴器が構成されている。このセン
サヘッド9はエンジン1の点火プラグ孔14に差し込ま
れており、空洞12、音響管13および燃焼室8によっ
て主音響共振器(管の両端に空洞が接続された外部に対
して閉じた音響系)が構成されている。なお、センサヘ
ッド9の接続部には点火プラグと同形状のネジが加工さ
れており、点火プラグ孔14にねじ込んで接続するよう
になっている。また、11は音源で、上記主音響共振器
の内部の空気を音響的に駆動する。10はマイクロホン
で、上記主音響共振器の内部の音圧を検出するものであ
り、図示のような位置に取り付けられている。上記のよ
うに、主音響共振器が外部と閉じた空間である理由は、
外乱(外部からの騒音など)の侵入を防ぎ、精度よく安
定した測定を行なうためである。ただし、上記主音響共
振器が完全に密閉されていると、クランクシャフト7a
を回転させてピストン6の位置を移動させた場合に、燃
焼室8内の気圧と温度が変化し、それによって測定が変
動するので、それを防ぐため、空気導入管30を設けて
いる。この空気導入管30は、例えば細いパイプであっ
て、音響的には大きな抵抗となってほぼ密閉状態とみな
すことができ、かつクランクシャフト7aを緩やかに回
転させた場合には、それに応じて空気が出入りし、内部
の気圧を大気圧に保つことができるようになっている。
なお、空気導入管30が音響的に無視できない場合であ
っても、その空気導入管30を設けた状態で較正(後
述)すれば問題ない。また、図1においては、センサヘ
ッド9の上端部に空気導入管30を設けた場合を例示し
たが、他の部分に設けても勿論よい。また、7aはクラ
ンクシャフトであり、この回転角度を検出するための回
転角度検出器7bが取り付けられている。
【0008】図3は、回転角度検出器7bとしてロータ
リーエンコーダを用いた場合の斜視図である。図3にお
いて、クランクシャフト7aに治具7cを介して回転角
度検出器7bを接続する。そして固定用治具7dによっ
て周囲の適当な箇所に固定する。また、治具7cに例え
ば六角レンチ7eを噛み合わせて回転させることによ
り、クランクシャフト7aを回転させてピストン6の位
置を移動させることが出来る。なお、図3においては、
クランクシャフト7aに治具7cを介して回転角度検出
器7bを接続する前の状態を示している。
【0009】次に、図2は演算手段の構成を示す一実施
例のブロック図である。図2において、15は発振器で
あり、この出力信号Es(t)は、音源用アンプ16を介し
て音源11を駆動すると共に、FFTアナライザ(高速
フーリエ変換解析器)17に入力される。また、18は
マイクロホン用アンプであり、マイクロホン10の出力
信号Em(t)を適当なレベルに増幅し、FFTアナライザ
17に送る。また、19はCPUであり、FFTアナラ
イザ17、発振器15、メモリ20のすべての動作を制
御し、また、測定値を用いて所定の演算を行い、その結
果を表示装置21に出力する。この表示装置21として
は、例えば液晶表示装置のような表示器、或いはプリン
タのようなハードコピーを送出する装置、またはそれら
の両方を用いることが出来る。また、22は、回転角度
検出器7b用の処理回路であり、これを介してクランク
シャフト7aの回転角度情報がCPU19に送られる。
また、23はキーボードであり、外部から演算手段に対
して各種のデータや指令信号を入力するものである。
【0010】次に作用を説明する。まず始めに、測定す
る気筒の点火プラグを外し、その気筒が上死点となるよ
うにクランクシャフト7aを回転させる。この場合に
は、前記のように六角レンチ7eなどを用いて回転さ
せ、後記図5に示すようなピストン位置の測定を行なう
ことによって正確に上死点位置に合わせることが出来
る。図7は、4サイクルエンジンにおける燃焼室8の容
積Vとクランクシャフト7aの回転角度θとの関係を示
した図である。図7において、VTは上死点での容積、
Bは下死点での容積であり、上死点においてθ=0(d
eg)とする。図7のV−θの関係は、一般的なレシプロ
エンジンの場合、ピストン位置xの一般式を用いると下
記(数1)式および(数2)式で表される。 V=(L+r−x)A+VT …(数1) x=rcosθ+√(L2−r2sin2θ) …(数2) ただし、L:コンロッド長、r:クランク半径、A:シ
リンダのボア断面積なお、上記ピストン位置x、コンロ
ッド長L、クランク半径r、クランクシャフト回転角度
θなどの関係は、図4に示すとおりである。また、上記
(数1)式および(数2)式の関係は、例えば「“自動
車技術ハンドブック基礎・理論編”自動車技術会出
版,71頁〜72頁」に記載されている。
【0011】次に、図1に示した容積測定手段によって
上死点における燃焼室の容積を測定する手順について説
明する。図2のCPU19の指令により、発振器15は
周波数特性の平坦な信号、例えば正弦波合成波やホワイ
トノイズといった信号Es(t)を発振し、音源用アンプ1
6を介して音源11を駆動する。これにより、主音響共
振器には次のような共振が発生する。本実施例の主音響
共振器は、音響管13の両端に燃焼室8の空洞および円
筒状空洞12が接続されたものである。これは、1つの
音響管に2つの空洞が並列に接続されたもの、つまり上
記主音響共振器が、3つの音響要素で構成されているわ
けであり、その共振周波数f1は下記(数3)式に示す
ようになる。 f1=(c/2π)√〔S(V+V')/dVV'〕 …(数3) ただし、c:音速、S:音響管13の内部断面積、d:
音響管13の長さ、V:燃焼室8の容積、V':空洞1
2の容積 さらに、円筒状空洞12は両端閉止の音響管とみなされ
るので、その共振周波数f2は下記(数4)式で表され
る。 f2=c/2d'(および整数倍の周波数) …(数4) なお、共振周波数f2は上記(数4)式で示される値お
よびその整数倍の周波数であるが、以下においては、最
低次の周波数を用いて説明する。上記の管共振周波数f
2は、両端部で圧力振動が最大となるため、マイクロホ
ン10および音源11が図1に示すように円筒状空洞1
2の端部に取り付けられている。このときの主音響共振
器の内部の音圧をマイクロホン10で検出し、このマイ
クロホンの出力信号Em(t)を、マイクロホン用アンプ1
8を介してFFTアナライザ17に送る。ここで、CP
U19の指令により、FFTアナライザ17は、音源1
1への信号Es(t)を入力とし、マイクロホン出力信号E
m(t)を出力とする伝達関数を演算する。CPU19は、
この演算が終了すると発振器15の発振を停止させる。
ここまでのFFTアナライザ17、発振器15の動作
は、CPU19によって全て同期して行われる。上記の
ようにFFTアナライザ17で求めた伝達関数は、図6
に示すように、共振周波数f1において、振幅特性|H
|ではピーク、位相特性∠Hでは反転する特性となる。
なお、図6においては共振周波数f1についてのみ記載
しているが、共振周波数f2においても同様に測定す
る。これらの共振周波数f1、f2は、音響管13や空洞
12の寸法や測定時の温度から、上記(数3)式、(数
4)式を用いて、概略の値は予め予想可能である。CP
U19は、上記の伝達関数データを取り込み、振幅特性
のピーク周波数値または、予め実験等で求めておいた共
振点での位相φと上記位相特性との交点での周波数値か
ら、各共振周波数f1、f2を求める。上記2つの共振周
波数f1、f2から燃焼室の容積Vを求めるには次のよう
にする。すなわち、(数3)式、(数4)式から音速c
を消去すると、下記(数5)式が得られる。 V=k(f2/f12V'/{V'−k(f2/f12} …(数5) ただし、k=d'2S/π2d 上記(数5)式において、音響管13の内部断面積S、
音響管13の長さd、空洞12の容積V'は既知の値で
あるから、2つの共振周波数f1、f2を(数5)式に代
入することにより、燃焼室8の容積Vを求めることがで
きる。なお、この場合には、上死点における燃焼室の容
積であり、これをVTとする。ただし、(数3)式、
(数4)式は理想的な条件下での理論式であり、これら
から求めた上記(数5)式を用いた場合には、測定誤差
を生じる可能性がある。そのため、実際の計算式は、容
積、寸法が既知の容器を用いて較正実験を行い、そこで
実験的に求めた定数k'を用いた近似式であってもよ
い。
【0012】次に、クランクシャフト7aを任意の角度
iだけ回転させた場合における燃焼室8の容積Viの測
定手順について説明する。ただし、本実施例では音響式
の容積測定手段を用いているので、被測定物である燃焼
室が外部から閉じた空間である必要がある。そのため、
角度iの取り得る範囲は、吸排気バルブが閉じている区
間に限られる。両バルブの全閉区間は、例えば図7に実
線で示したhの範囲であり、上死点を中心として±12
0°〜130°程度の範囲である。このような角度iで
測定するには、前記図3に示したように、六角レンチ7
e等を用いてクランクシャフト7aを任意の角度i〔de
g〕だけ回転させ、このときの燃焼室の容積Viの測定を
行う。測定の方法は、前記の上死点における測定と同様
である。また、回転角度iは回転角度検出器7bで検出
され、処理回路22を介してCPU19に送られる。上
記のような容積Vi、角度iの測定を、上死点を含めて
3カ所以上の角度で行い、得られた各測定値を前記(数
1)式および(数2)式に代入し、未知数である(数
1)式のコンロッド長L、クランク半径r、シリンダの
ボア断面積Aを求める。そして、その求めたL、r、A
と(数1)式からθ=180〔deg〕すなわち下死点に
おける燃焼室の容積VBを求めることができる。
【0013】なお、クランクシャフト7aの回転は、モ
ータ等を用いて自動的に行なうこともできる。そしてモ
ータでクランクシャフトを一定の角速度で回転させ、所
定の間隔毎に測定を行なえば、一定時間に回転するクラ
ンク角度は一定なので、クランク角度をその度に測定す
る必要が無くなる。したがって回転角度測定手段を不要
にすることが出来る。このようなモータによる定速回転
の駆動と一定時間ごとの測定とをCPU19によって制
御すれば、バルブ全閉区間内における複数点の測定を自
動的に行なうことができ、それらの値から下死点におけ
る燃焼室の容積VBを自動的に求めることができる。も
しくは、モータでクランクシャフトを所定の角度回転さ
せた後に停止させ、そのとき容積測定手段で測定を行
い、再びクランクシャフトを所定角度回転させる、とい
う動作を所定の回数繰り返して行うことにより、計測を
自動化するように構成してもよい。
【0014】次に、予めキーボード23を用いて設定し
たエンジン1の気筒数をnとすると、求めるエンジン1
の総排気量Wおよび圧縮比εは、下記(数6)式、(数
7)式で求められる。 W=n(VB−VT) …(数6) ε=VB/VT …(数7) さらに、前に求めたシリンダ2aのボア断面積Aと容積
測定値VB、VTとを用いて、下記(数8)式から被測定
気筒のストロークsも求めることができる。 s=(VB−VT)/A …(数8) また、下記(数9)式により、ボア断面積Aからボア径
Bを求めることもできる。 B=2√(A/π) …(数9) CPU19は、上記各計算結果を表示装置21に出力
し、表示装置21は画面上の表示またはハードコピーに
よって計算結果を表示する。
【0015】なお、本実施例では、上死点と任意のクラ
ンク角度で2か所以上、全体で3か所以上における測定
値からVBやL等の未知数を求めたが、上死点を含まな
い任意のクランク角度であれば4か所以上での測定値か
ら上記各諸元を求めることができる。ただし、上記の測
定するクランク角度は、吸排気バルブが全閉状態になる
角度範囲であることは前記のとおりである。また、本実
施例における上死点の検出方法は、図5に示したよう
に、ダイヤルゲージ等の測定器24を用いて点火プラグ
の孔から直接に測定する方法を用いてもよいが、前記の
容積測定手段を利用しても検出可能である。すなわち前
記(数5)式における燃焼室の容積Vと共振周波数比
(f2/f12との関係より、(f2/f12が最小とな
るところが上死点となることを利用すれば、CPU19
で上死点を自動的に検出することができる。例えば(数
5)式の容積値Vもしくは共振周波数比(f2/f12
(なお、f2/f1でもよい)を外部モニタ(例えば表示
装置21)に出力し、作業者はこれを見ながら上記モニ
タ値が最小となるようクランクシャフト7aを回転させ
ればよい。図8は、これまで説明した本実施例の測定手
順を示すフローチャートである。なお、図8において
は、最初にステップS1で気筒数nをキーボード23か
ら入力するようになっている。また、ステップS5、S
6における角度iにおける測定は、少なくとも2度繰り
返すものとする。また、ステップS8においては、ステ
ップS4、S5、S7で求めたVT、i、Viから下死点
容積VB、コンロッド長L、クランク半径rおよびシリ
ンダ・ボア断面積Aを計算する。また、本実施例では、
排気量Wは1つの気筒での測定値と予め設定された気筒
数nから(数6)式で求めたが、上記の測定をすべての
気筒で行えば、さらに精度よく排気量Wを求めることが
できる。すなわち、すべての気筒に対して行程容積(V
B−VT)を求め、その総和が排気量となる。その場合、
容積測定手段を気筒数だけ用意し、各気筒の測定を同時
に行えば、容積計測手段を気筒ごとに取り外して移設す
る必要がないので、さらに短時間に測定することができ
る。なお、容積測定手段、共振周波数の測定方法および
容積計算式は、本実施例に記載したものに限定されるも
のではない。
【0016】次に、これまで説明した実施例は、3カ所
以上のクランク角での測定値から(数1)式の未知数を
求め、下死点での容積VBを求めるものである。しか
し、それほど高精度な測定が必要でない場合は、(数
1)式のV−θの関係式をサインカーブで近似させるこ
とにより、下記(数10)式のように表すこともでき
る。 V={−(VB−VT)/2}cosθ+(VB+VT)/2 …(数10) したがってクランク角度iにおける容積Viは、(数1
0)式から下記(数11)式に示すようになる。 Vi={−(VB−VT)/2}cosi+(VB+VT)/2 …(数11) (数11)式において、VT、Viおよびiは測定値とし
て得られるから、下死点での容積VBは、(数11)式
から下記(数12)式のように求められる。 VB={2Vi−VT(1+cosi)}/(1−cosi) …(数12) 上記のように、(数1)式のV−θの関係式をサインカ
ーブで近似させた場合には、上死点における容積VT
1カ所のクランク角度iにおける測定結果、すなわち合
計2カ所の測定結果によって下死点における燃焼室容積
Bを算出することができる。さらに、他の実施例とし
ては、次のようにして下死点における容積VBを推定す
る方法もある。すなわち、一般に下死点付近での燃焼室
容積の変化はクランク角θの変化に対して小さく、かつ
通常のエンジンのコンロッド長Lとクランク半径rとの
比はL/r=3.5〜4であることを利用し、容積Vの
測定を上死点とバルブ全閉区間h内の最も下死点に近い
クランク角θ≒±h/2との2カ所で行い、その測定結
果と上記L/r等の関係から下死点での容積VBを推定
することができる。なお、下死点容積VBの測定および
計算方法は、本実施例に限定されるものではない。
【0017】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。本実施例は、クランクシャフト7aの回転角度θ
を測定する代わりにピストン6の移動量を測定し、その
測定値に基づいて排気量Wおよび圧縮比ε等を求めるも
のである。ピストン6の移動量を測定するピストン移動
量測定手段は、例えば図5に示すように、ダイヤルゲー
ジ等の測定器24であり、ピストン冠面6aから直接に
ピストン6の移動量を測定するものである。なお測定器
24は、超音波やレーザ等を用いた変位計や距離計であ
っても勿論よい。ピストン6の移動量をStとすると、
ピストン移動量Stとクランク角度θとの関係は図9に
示すようになり、図7のV−θ線図と同様な特性とな
る。したがってピストン移動量Stと燃焼室8の容積V
との関係は、図10に示すような比例関係となる。な
お、図9において、横軸の角度は上死点をθ=0〔de
g〕とし、縦軸のピストン移動量Stは上死点における
値を0としている。ここで下死点における移動量すなわ
ちストロークをs、任意のクランク角度jのときのピス
トン移動量をpとし、このときの燃焼室容積をVpとす
る。
【0018】以下、本実施例の測定方法を説明する。ま
ず、始めに、前記第1の実施例と同様に、測定器24を
用いて被測定気筒を上死点に合わせ、このときの燃焼室
8の容積VTを測定する。次に、クランクシャフト7a
をバルブ全閉区間h内において任意の角度jだけ回転さ
せ、このときのピストン6の移動量pを測定する。さら
にクランクシャフト7aを下死点まで回転させ、このと
きのピストン移動量、つまりストロークsを測定する。
ここで図10に示したV−Stの関係は、下記(数1
3)式で示される。 V={(Vp−VT)/p}St+VT …(数13) したがって下死点での燃焼室容積VBは、測定値VT、V
p、pと(数13)式から下記(数14)式のように求
められる。 VB={(Vp−VT)/p}s+VT …(数14) 上記のようにして求めた下死点での燃焼室容積VBから
前記(数6)式、(数7)式を用いて排気量Wおよび圧
縮比εを求めることができる。また、シリンダ2aのボ
ア径Bは、上記の測定値VB、VT、sから下記(数1
5)式で求められる。 B=2√〔(VB−VT)/sπ〕 …(数15) さらに前記(数1)式において、(L+r−x)はピス
トン移動量Stに等しい。すなわち(数1)式と(数1
3)式は同じことを示しているので、上記ピストン移動
量Stの測定値からコンロッドの長さLとクランク半径
rとを求めることができる。また、前記図4から、スト
ロークsは、s=2rの関係があるので、クランク半径
rから演算で求めることもできる。
【0019】次に、音響式容積測定手段のセンサヘッド
9の接続方法に関する他の実施例について説明する。図
11は、燃焼室8の上部付近の要部を示す断面図であ
る。前記図1においては、センサヘッド9の接続部には
点火プラグと同形状のネジが加工されており、点火プラ
グ孔14にねじ込んで接続するようになっている。本実
施例は、図1よりも簡単に測定の準備を行うためのもの
である。すなわち、図11に示すように、センサヘッド
9端部の径を点火プラグ孔14より少し小さくしておく
ことにより、ねじ込むことなく単に差し込み、面25で
密閉するものである。このときセンサヘッド9端部と点
火プラグ孔14の間に微小な隙間ができるが、これを含
んだ状態で前記のごとき較正を行えば問題ない。
【0020】次に、容積測定手段の他の実施例について
説明する。図12は、容積測定手段の第2の実施例の断
面図である。本実施例は、燃焼室8の空洞と音響管13
とでヘルムホルツ共鳴器を構成し、音源11を上記共鳴
器の外部に配置して加振するものである。本実施例は、
図1の実施例において空洞12の容積V'が燃焼室8容
積Vに比べて十分大きくとれない場合に好適な例であ
り、音響管13の一端は孔26で大気に開放されてい
る。そして図1の実施例よりも再生音圧の高い大きな音
源を使用できるので、共振が良好に発生する。このとき
の共振周波数f1は、下記(数16)式に示すようにな
る。 f1=(c/2π)√(S/dV) …(数16) となる。また、音響管13にも共振が発生し、その共振
周波数f2は、下記(数17)式で示される。 f2=c/2d(およびその整数倍の周波数) …(数17) 上記(数16)式と(数17)式から音速cを消去すれ
ば、下記(数18)式に示すように容積Vが求められ
る。 V=k(f2/f12 …(数18) ただし、k=dS/π2 なお、(数16)式、(数17)式は理想的な条件下で
の理論式であり、これらから求めた(数18)式を用い
た場合には、測定誤差が発生する可能性がある。そのた
め実際の計算式は、容積、寸法が既知の容器を用いて較
正実験を行い、そこで実験的に求めた定数k'を用いた
近似式であってもよい。
【0021】その他の構成、作用は、前記第1の実施例
と同様である。次に、図13は、容積測定手段の第3の
実施例の断面図である。この実施例は、図12のような
位置に音源11が配置できない場合に有効な実施例であ
る。これは音響管13をエンジン1の外部まで延長し、
さらにその外部に音源11を配置することにより、音源
11の寸法などの制約を受けることなくセンサヘッド9
を設計できるようにしたものである。その他は、図12
の実施例と同様なので説明は省略する。なお、図12お
よび図13の実施例において、大気に開放された孔26
が設けられているのは、等価容量の大きい音源11を使
用した場合でも、共振を良好に発生させるためである。
また、このように大気に開放された孔26が設けられて
いるので、図1の空気導入管30を設ける必要はない。
【0022】次に、測定結果に基づいて被測定物である
エンジンについての計測値が所定の基準範囲の値である
か否かを判定する実施例について説明する。これまでの
実施例では、計測結果を単純に表示装置21で表示する
だけであった。この実施例では、予めメモリ20に、被
測定物であるエンジンの設計値等を基準値として記憶さ
せておくか、もしくはキーボード23から入力してお
き、この基準値と計測値とを比較し、比較結果が予め設
定しておいた設計規格等といった所定の許容範囲内にあ
る場合は合格、許容範囲内になければ被測定エンジンに
異常があると判定し、表示装置21へその異常内容を出
力して表示するように構成したものである。この構成に
より、当該エンジンが設定規格に適合したものか、或い
は違法改造されたものであるか等を簡単に判定すること
ができる。これらの動作は、CPU19が計測結果を用
いて自動的に行なうようにプログラムしておけばよい。
また、比較内容や基準値等は、用途に応じて適宜用意す
ればよく、本実施例に限定されるものではない。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、吸排気バルブが全閉状態の範囲における複数個所
のピストン位置で燃焼室容積を測定し、それらの値から
下死点における燃焼室容積を演算するように構成したこ
とにより、従来は計測できなかったエンジン組立状態で
の実排気量、実圧縮比等のエンジン諸元を正確かつ容易
に測定することができる、という効果が得られる。した
がって本発明を用いることにより、エンジンの実験、研
究、工場ラインでの検査等に活用できるのは勿論、従来
は困難であった車検時における違法改造車や輸入車の検
査なども容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の断面図。
【図2】演算手段の構成を示すブロック図。
【図3】回転角度検出装置の取付け状態を示す斜視図。
【図4】コンロッド長L、クランク回転角度θ、ピスト
ン位置xの関係を示す図。
【図5】ピストン移動量測定方法を示す断面図。
【図6】伝達関数の特性図。
【図7】燃焼室容積Vとクランク角度θとの関係を示す
V−θ特性図。
【図8】第1の実施例の測定手順を示すフローチャー
ト。
【図9】ピストン移動量Stとクランク角度θとの関係
を示すSt−θ特性図。
【図10】燃焼室容積Vとピストン移動量Stとの関係
を示すV−St特性図。
【図11】センサヘッドの接続方法の他の実施例を示す
断面図。
【図12】センサヘッドの第2の実施例の断面図。
【図13】センサヘッドの第3の実施例の断面図。
【符号の説明】
1…エンジン 2…ブロック 2a…シリンダ 3…ガスケット 4…シリンダヘッド 5…ヘッドカバー 6…ピストン 6a…ピストン冠面 7…コンロッド 7a…クランクシャフ
ト 7b…回転角度検出器 7c…治具 7d…固定用治具 7e…六角レンチ 8…燃焼室 9…センサヘッド 10…マイクロホン 11…音源 12…空洞 13…音響管 14…点火プラグ孔 15…発振器 16…音源用アンプ 17…FFTアナライ
ザ 18…ヘッドカバー 19…CPU 20…メモリ 21…表示装置 22…回転角度検出器用回路 23…キーボード 24…測定器 25…面 26…孔 30…空気導入管

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンが組み立てられた状態において、
    エンジンの燃焼室の容積を測定する容積測定手段と、 クランクシャフトの回転角度を測定する回転角度測定手
    段と、 上記容積測定手段と上記回転角度測定手段の測定結果を
    入力し、吸排気バルブが閉じているクランクシャフトの
    回転角度の範囲における複数の異なった回転角度におい
    て計測した燃焼室容積の複数の計測値を用いて、上記エ
    ンジンの排気量と、圧縮比と、ストロークと、コンロッ
    ド長と、クランク半径と、シリンダ・ボア径と、のうち
    の少なくとも一つを求める演算手段と、 を備えたことを特徴とするエンジン計測装置。
  2. 【請求項2】上記回転角度測定手段は、クランクシャフ
    トを一定速度で回転させ、その回転時間から回転角度を
    測定するものである、ことを特徴とする請求項1に記載
    のエンジン計測装置。
  3. 【請求項3】エンジンが組み立てられた状態において、
    エンジンの燃焼室の容積を測定する容積測定手段と、 ピストン移動量を測定するピストン移動量測定手段と、 上記容積測定手段と上記ピストン移動量測定手段の測定
    結果を入力し、吸排気バルブが閉じているピストン位置
    の範囲における複数の異なったピストン位置において計
    測した燃焼室容積の複数の計測値を用いて、上記エンジ
    ンの排気量と、圧縮比と、ストロークと、コンロッド長
    と、クランク半径と、シリンダ・ボア径と、のうちの少
    なくとも一つを求める演算手段と、 を備えたことを特徴とするエンジン計測装置。
  4. 【請求項4】上記容積測定手段は、ヘルムホルツ共鳴器
    を利用した音響式測定手段であり、エンジンの点火プラ
    グ孔を介して装着するものである、ことを特徴とする請
    求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエンジン計測装
    置。
  5. 【請求項5】上記演算手段の演算結果に基づいて、被測
    定物であるエンジンについての計測値が所定の基準範囲
    の値であるか否かを判定する判定手段と、 上記判定結果を表示する表示手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいず
    れかに記載のエンジン計測装置。
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