JPH0713255B2 - 板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法 - Google Patents
板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法Info
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- JPH0713255B2 JPH0713255B2 JP11348990A JP11348990A JPH0713255B2 JP H0713255 B2 JPH0713255 B2 JP H0713255B2 JP 11348990 A JP11348990 A JP 11348990A JP 11348990 A JP11348990 A JP 11348990A JP H0713255 B2 JPH0713255 B2 JP H0713255B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の
製造方法に関し、さらに詳しくは、溶接性を良好にする
ためCuの析出強化を利用することによりC量を低減し、
引張強さが60kgf/mm2以上、板厚中央部の靱性がシャル
ピ衝撃試験で破面遷移温度(vTrs)が−80℃以下を満足
する板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方
法に関するものである。
製造方法に関し、さらに詳しくは、溶接性を良好にする
ためCuの析出強化を利用することによりC量を低減し、
引張強さが60kgf/mm2以上、板厚中央部の靱性がシャル
ピ衝撃試験で破面遷移温度(vTrs)が−80℃以下を満足
する板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方
法に関するものである。
(従来の技術) 従来から高強度で溶接性が良好な鋼板として、Cu析出強
化型高張力鋼が知られており、米国特許第3692514号お
よびASTM規格A710にその例をみることができる。
化型高張力鋼が知られており、米国特許第3692514号お
よびASTM規格A710にその例をみることができる。
しかし、近年構造物の大型化と使用環境の過酷化に伴
い、使用鋼材に要求される特性も厳しくなってきた。
い、使用鋼材に要求される特性も厳しくなってきた。
この要求に応えるべく、つぎのような技術が提案されて
いる。
いる。
例えば、制御圧延、直接焼入れ、時効処理を組み合わせ
ることにより溶接性および靱性の改善を図った製造方法
(特開昭62−256915号、特開昭62−54019号)などがあ
る。
ることにより溶接性および靱性の改善を図った製造方法
(特開昭62−256915号、特開昭62−54019号)などがあ
る。
(発明が解決しようとする課題) しかし、上記特開昭62−256915号および特開昭62−5401
9号で提案している製造方法では、板厚50mm以上の厚肉
鋼板の板厚中央部において、vTrs≦−80℃を満足させる
ことは難しい。すなわち、板厚50mm未満の鋼板を圧延す
る場合と同じように、鋼片表面温度が900℃超えの圧延
と900℃以下の圧延に単に振り分ける2段階の制御圧延
では、厚肉鋼板の板厚中央部のオーステナイト粒は十分
に細粒にならず、冷却後の組織が上部ベイナイト組織と
なり靱性の確保は困難である。
9号で提案している製造方法では、板厚50mm以上の厚肉
鋼板の板厚中央部において、vTrs≦−80℃を満足させる
ことは難しい。すなわち、板厚50mm未満の鋼板を圧延す
る場合と同じように、鋼片表面温度が900℃超えの圧延
と900℃以下の圧延に単に振り分ける2段階の制御圧延
では、厚肉鋼板の板厚中央部のオーステナイト粒は十分
に細粒にならず、冷却後の組織が上部ベイナイト組織と
なり靱性の確保は困難である。
厚肉鋼板の場合、トータル圧下量が十分にとれないた
め、高靱性を得るためには、特に制御圧延において圧延
温度域とその圧延温度域での圧下配分を適切にすること
が必要である。また、従来、制御圧延は鋼片の表面温度
で管理されているが、鋼片厚や温調時の冷却のしかたに
よって、鋼片表面温度が同じであっても鋼片厚中央部の
温度は異なってくる。したがって、板厚中央部の靱性を
確保するためには、制御圧延に際して、鋼片厚中央部の
温度で管理すべきである。
め、高靱性を得るためには、特に制御圧延において圧延
温度域とその圧延温度域での圧下配分を適切にすること
が必要である。また、従来、制御圧延は鋼片の表面温度
で管理されているが、鋼片厚や温調時の冷却のしかたに
よって、鋼片表面温度が同じであっても鋼片厚中央部の
温度は異なってくる。したがって、板厚中央部の靱性を
確保するためには、制御圧延に際して、鋼片厚中央部の
温度で管理すべきである。
本発明は、こうした観点で、厚肉鋼板の板厚中央部にお
いて、vTrs≦−80℃を確保し、かつ、引張強さが60kgf/
mm2以上とするための製造方法を提供することを目的と
する。
いて、vTrs≦−80℃を確保し、かつ、引張強さが60kgf/
mm2以上とするための製造方法を提供することを目的と
する。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記に説明した靱性の優れた厚肉高強度鋼板
の製造方法の問題点に鑑み、本発明者らがCu析出強化を
利用し、特に加熱条件、圧延温度域、圧下条件を適切に
制御することによって板厚中央部の靱性の優れた厚肉高
強度鋼板の製造が可能であるという知見を得て完成され
たもので、その第1発明は、C:0.01〜0.10%、Si:0.05
〜0.50%、Mn:0.8〜2.0%、S:0.005%以下、Al:0.005〜
0.10%、Cu:0.7〜2.0%、Ni:0.5〜3.5%、Nb:0.01〜0.1
0%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0030〜0.0080%を含有
し、残部Feおよび不可避不純物から成る鋼片を、900〜1
050℃の温度範囲に加熱後、鋼片厚中央部の温度が900℃
超えで圧下率10〜50%の圧延を行い、その後水冷または
空冷し、鋼片厚中央部の温度が800〜900℃で圧下率20%
以上の圧延を行い、さらに水冷または空冷後、鋼片厚中
央部の温度が(Ar3+30)℃以上800℃未満で圧下率30%
以上の圧延を行い、圧延終了後、2℃/sec以上の冷却速
度で400℃以下の温度まで冷却を行い、さらに、550℃〜
Ac1の温度範囲で析出強化処理を行う板厚中央部の靱性
の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法である。
の製造方法の問題点に鑑み、本発明者らがCu析出強化を
利用し、特に加熱条件、圧延温度域、圧下条件を適切に
制御することによって板厚中央部の靱性の優れた厚肉高
強度鋼板の製造が可能であるという知見を得て完成され
たもので、その第1発明は、C:0.01〜0.10%、Si:0.05
〜0.50%、Mn:0.8〜2.0%、S:0.005%以下、Al:0.005〜
0.10%、Cu:0.7〜2.0%、Ni:0.5〜3.5%、Nb:0.01〜0.1
0%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0030〜0.0080%を含有
し、残部Feおよび不可避不純物から成る鋼片を、900〜1
050℃の温度範囲に加熱後、鋼片厚中央部の温度が900℃
超えで圧下率10〜50%の圧延を行い、その後水冷または
空冷し、鋼片厚中央部の温度が800〜900℃で圧下率20%
以上の圧延を行い、さらに水冷または空冷後、鋼片厚中
央部の温度が(Ar3+30)℃以上800℃未満で圧下率30%
以上の圧延を行い、圧延終了後、2℃/sec以上の冷却速
度で400℃以下の温度まで冷却を行い、さらに、550℃〜
Ac1の温度範囲で析出強化処理を行う板厚中央部の靱性
の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法である。
第2発明は、C:0.01〜0.10%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.
8〜2.0%、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.10%、Cu:0.7
〜2.0%、Ni:0.5〜3.5%、Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.005
〜0.020%、N:0.0030〜0.0080%を含有し、さらに、Cr:
0.01〜0.50%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.10%、C
a:0.0005〜0.0050%、REM:0.005〜0.050%の内から1種
または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物か
ら成る鋼片を、900〜1050℃の温度範囲に加熱後、鋼片
厚中央部の温度が900℃超えで圧下率10〜50%の圧延を
行い、その後水冷または空冷し、鋼片厚中央部の温度が
800〜900℃で圧下率20%以上の圧延を行い、さらに水冷
または空冷後、鋼片厚中央部の温度が(Ar3+30)℃以
上800℃未満で圧下率30%以上の圧延を行い、圧延終了
後、2℃/sec以上の冷却速度で400℃以下の温度まで冷
却を行い、さらに、550℃〜Ac1の温度範囲で析出強化処
理を行う板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製
造方法である。
8〜2.0%、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.10%、Cu:0.7
〜2.0%、Ni:0.5〜3.5%、Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.005
〜0.020%、N:0.0030〜0.0080%を含有し、さらに、Cr:
0.01〜0.50%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.10%、C
a:0.0005〜0.0050%、REM:0.005〜0.050%の内から1種
または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物か
ら成る鋼片を、900〜1050℃の温度範囲に加熱後、鋼片
厚中央部の温度が900℃超えで圧下率10〜50%の圧延を
行い、その後水冷または空冷し、鋼片厚中央部の温度が
800〜900℃で圧下率20%以上の圧延を行い、さらに水冷
または空冷後、鋼片厚中央部の温度が(Ar3+30)℃以
上800℃未満で圧下率30%以上の圧延を行い、圧延終了
後、2℃/sec以上の冷却速度で400℃以下の温度まで冷
却を行い、さらに、550℃〜Ac1の温度範囲で析出強化処
理を行う板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製
造方法である。
(作用) 以下に、本発明における化学成分の限定理由について説
明する。
明する。
Cは、溶接性を害するため低い方が望ましく、また、圧
延前の鋼片加熱時に低温の加熱温度においてもNbの固溶
量を多くするために、上限を0.10%とした。しかし、強
度確保のためには0.01%以上が必要である。したがっ
て、C量は0.01〜0.10%の範囲とする。
延前の鋼片加熱時に低温の加熱温度においてもNbの固溶
量を多くするために、上限を0.10%とした。しかし、強
度確保のためには0.01%以上が必要である。したがっ
て、C量は0.01〜0.10%の範囲とする。
Siは、鋼の脱落と強化に有用な元素であり、0.05%以上
の添加が必要であるが、過度の添加は溶接性および靱性
を劣化させるため上限を0.50%とする。このため、Si量
は0.05〜0.50%の範囲とする。
の添加が必要であるが、過度の添加は溶接性および靱性
を劣化させるため上限を0.50%とする。このため、Si量
は0.05〜0.50%の範囲とする。
Mnは、強度上昇に有効であり、そのためには0.8%以上
の添加が必要であるが、2.0%を超えて添加すると溶接
性が劣化する。したがって、Mn量は0.8〜2.0%の範囲と
する。
の添加が必要であるが、2.0%を超えて添加すると溶接
性が劣化する。したがって、Mn量は0.8〜2.0%の範囲と
する。
Sは、MnS介在物の生成により、シャルピ吸収エネルギ
を低下させる元素であるため、S量は0.005%以下とす
る。
を低下させる元素であるため、S量は0.005%以下とす
る。
Alは、脱酸元素であり、0.005%以上の添加が必要であ
るが、過度の添加は介在物を形成し、靱性を劣化させる
ために上限を0.10%とする。したがって、Al量は0.005
%〜0.10%の範囲とする。
るが、過度の添加は介在物を形成し、靱性を劣化させる
ために上限を0.10%とする。したがって、Al量は0.005
%〜0.10%の範囲とする。
Cuは、本発明の特徴とする元素で、圧延冷却後の析出強
化処理による析出強化作用を活用することにより、低C
化、低炭素当量化を可能とし、溶接性の向上をもたらす
貴重な元素である。この析出強化作用を有効に得るに
は、0.7%以上の添加が必要である。しかし、多量の添
加は靱性を低下させるため、上限を2.0%とする。した
がって、Cu量は0.7〜2.0%の範囲とする。
化処理による析出強化作用を活用することにより、低C
化、低炭素当量化を可能とし、溶接性の向上をもたらす
貴重な元素である。この析出強化作用を有効に得るに
は、0.7%以上の添加が必要である。しかし、多量の添
加は靱性を低下させるため、上限を2.0%とする。した
がって、Cu量は0.7〜2.0%の範囲とする。
Niは、Cu析出強化型鋼板において、Cu添加に起因する熱
間圧延時の割れを防止するため、0.5%以上必要であ
る。また、Niの添加により靱性の向上効果があが、高価
な元素であるため、上限を3.5%とする。したがって、N
i量は0.5〜3.5%の範囲とする。
間圧延時の割れを防止するため、0.5%以上必要であ
る。また、Niの添加により靱性の向上効果があが、高価
な元素であるため、上限を3.5%とする。したがって、N
i量は0.5〜3.5%の範囲とする。
Nbは、圧延時の結晶粒微細化による靱性向上効果および
圧延冷却後の析出強化処理による析出強化効果を示す元
素であり、これらの効果を有効に発揮させるためには、
0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.10%を超え
る添加は靱性を損なうため、Nb量は0.01〜0.10%の範囲
とする。
圧延冷却後の析出強化処理による析出強化効果を示す元
素であり、これらの効果を有効に発揮させるためには、
0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.10%を超え
る添加は靱性を損なうため、Nb量は0.01〜0.10%の範囲
とする。
Tiは、強い窒化物形成元素であり、TiNの微細析出によ
る結晶粒微細化効果をもたらし、靱性の向上に有用であ
る。この効果を得るには、0.005%以上の添加が必要で
あるが、多量に添加すると靱性が劣化するため、上限を
0.020%とする。したがって、Ti量は0.005〜0.020%の
範囲とする。
る結晶粒微細化効果をもたらし、靱性の向上に有用であ
る。この効果を得るには、0.005%以上の添加が必要で
あるが、多量に添加すると靱性が劣化するため、上限を
0.020%とする。したがって、Ti量は0.005〜0.020%の
範囲とする。
Nは、TiとともにTiNの微細析出による低温靱性の改善
に効果があり、このためには、0.0030%以上の添加が必
要である。しかしながら、過度の添加は靱性を劣化させ
るため、上限を0.0080%に抑える必要がある。したがっ
て、N量は0.0030〜0.0080%の範囲とする。
に効果があり、このためには、0.0030%以上の添加が必
要である。しかしながら、過度の添加は靱性を劣化させ
るため、上限を0.0080%に抑える必要がある。したがっ
て、N量は0.0030〜0.0080%の範囲とする。
以上の各成分のほか、本発明においては、必要に応じて
Cr、Mo、V、Ca、REMの内から1種または2種以上を添
加することができる。
Cr、Mo、V、Ca、REMの内から1種または2種以上を添
加することができる。
Crは、強度上昇に有効な元素であり、この効果を有効に
発揮させるためには、0.01%以上の添加が必要である
が、多量の添加は溶接性を害するため、上限を0.50%と
する。したがって、Cr量は0.01〜0.50%の範囲とする。
発揮させるためには、0.01%以上の添加が必要である
が、多量の添加は溶接性を害するため、上限を0.50%と
する。したがって、Cr量は0.01〜0.50%の範囲とする。
Moは、強度上昇に有効な元素であり、この効果を有効に
発揮させるためには、0.01%以上の添加が必要である
が、多量の添加は溶接性を害するため、上限を0.50%と
する。したがって、Mo量は0.01〜0.50%の範囲とする。
発揮させるためには、0.01%以上の添加が必要である
が、多量の添加は溶接性を害するため、上限を0.50%と
する。したがって、Mo量は0.01〜0.50%の範囲とする。
Vは、強度上昇に有効な元素であり、この効果を有効に
発揮させるためには、0.005%以上の添加が必要である
が、多量の添加は溶接性、靱性を低下させるため、上限
を0.10%とする。したがって、V量は0.005〜0.10%の
範囲とする。
発揮させるためには、0.005%以上の添加が必要である
が、多量の添加は溶接性、靱性を低下させるため、上限
を0.10%とする。したがって、V量は0.005〜0.10%の
範囲とする。
Caは、介在物形態制御元素であり、靱性改善、板厚方向
の延性改善に効果があり、この効果を発揮させるために
は、0.0005%以上の添加が必要である。しかし、0.0050
%を超えて添加しても、その効果の向上は望めない。し
たがって、Ca量は0.0005〜0.0050%の範囲とする。
の延性改善に効果があり、この効果を発揮させるために
は、0.0005%以上の添加が必要である。しかし、0.0050
%を超えて添加しても、その効果の向上は望めない。し
たがって、Ca量は0.0005〜0.0050%の範囲とする。
REMは、介在物形態制御元素であり、靱性改善、板厚方
向の延性改善に効果があり、この効果を発揮させるため
には、0.005%以上の添加が必要である。しかし、0.050
%を超えて添加しても、その効果の向上は望めない。し
たがって、REM量は0.005〜0.050%の範囲とする。
向の延性改善に効果があり、この効果を発揮させるため
には、0.005%以上の添加が必要である。しかし、0.050
%を超えて添加しても、その効果の向上は望めない。し
たがって、REM量は0.005〜0.050%の範囲とする。
つぎに、圧延条件の限定理由について述べる。
鋼片加熱温度については、加熱時のオーステナイト結晶
粒の粗大化を防止するため、低温の方が望ましく、特
に、厚肉鋼板の圧延ではトータル圧下量が少なく圧延に
よる結晶粒の微細化には限度があるため、鋼片加熱時に
すでに微細オーステナイトにしておくという考えから、
加熱温度の上限を1050℃とする。一方、圧延中の結晶粒
の微細化および圧延後の析出強化に有効なNbを固溶させ
るため、加熱温度の下限を900℃とする。
粒の粗大化を防止するため、低温の方が望ましく、特
に、厚肉鋼板の圧延ではトータル圧下量が少なく圧延に
よる結晶粒の微細化には限度があるため、鋼片加熱時に
すでに微細オーステナイトにしておくという考えから、
加熱温度の上限を1050℃とする。一方、圧延中の結晶粒
の微細化および圧延後の析出強化に有効なNbを固溶させ
るため、加熱温度の下限を900℃とする。
圧延温度域、圧下条件の適切化が本発明の大きな特徴で
あり、特に、圧延温度域の振り分けを3段階に分けてい
ることである。従来の2段階の圧延法では、第一段めの
圧延は加熱炉からの抽出直後に行われる再結晶域の圧延
であり、第二段めの圧延は未再結晶域で行われる圧延で
ある。
あり、特に、圧延温度域の振り分けを3段階に分けてい
ることである。従来の2段階の圧延法では、第一段めの
圧延は加熱炉からの抽出直後に行われる再結晶域の圧延
であり、第二段めの圧延は未再結晶域で行われる圧延で
ある。
一般に、板厚が50mm未満の鋼板の場合、加熱炉からの抽
出直後の900℃超えの再結晶域の第一段めの圧延と800℃
未満の未再結晶低温域の第二段めの圧延で十分な靱性が
得られるが、厚肉高強度鋼板の場合、トータル圧下量が
十分にとれないため、900℃超えと800℃未満で圧延した
のみではオーステナイト粒が微細化せず、良好な靱性は
得られない。そこで、本発明者らが鋭意研究を行った結
果、板厚中央部の靱性を向上させるためには、この2段
階の圧延に加えて鋼片厚中央部の温度が800〜900℃の温
度域で圧下することが極めて重要であることを見出し
た。
出直後の900℃超えの再結晶域の第一段めの圧延と800℃
未満の未再結晶低温域の第二段めの圧延で十分な靱性が
得られるが、厚肉高強度鋼板の場合、トータル圧下量が
十分にとれないため、900℃超えと800℃未満で圧延した
のみではオーステナイト粒が微細化せず、良好な靱性は
得られない。そこで、本発明者らが鋭意研究を行った結
果、板厚中央部の靱性を向上させるためには、この2段
階の圧延に加えて鋼片厚中央部の温度が800〜900℃の温
度域で圧下することが極めて重要であることを見出し
た。
第1図に、板厚75mmの厚肉鋼板の板厚中央部のvTrsに及
ぼす第二段め圧延開始時の鋼片厚中央部の温度の影響を
示す。第1図に示すように、第二段め圧延は鋼片厚中央
部の温度が800〜900℃の温度域で行うことが重要であ
り、この温度域で圧下を加えることによりオーステナイ
ト粒が微細化し、厚肉高強度鋼板の高靱性の確保が可能
となる。
ぼす第二段め圧延開始時の鋼片厚中央部の温度の影響を
示す。第1図に示すように、第二段め圧延は鋼片厚中央
部の温度が800〜900℃の温度域で行うことが重要であ
り、この温度域で圧下を加えることによりオーステナイ
ト粒が微細化し、厚肉高強度鋼板の高靱性の確保が可能
となる。
鋼片厚中央部が、900℃超えの加熱炉からの抽出直後の
第一段めの圧延は、再結晶によりオーステナイト粒を細
粒化させ、次段階の800〜900℃の圧延でのオーステナイ
ト粒の微細化をより一層効果的にするためのものであ
る。また、鋼片厚中央部が900℃超えの温度のとき、圧
延中に鋼片表面近傍は約100℃低い800〜900℃の温度と
なるため、鋼板表面近傍の靱性を確保するためにもこの
第一段めの圧延は効果的である。この効果を得るために
は圧下率10%以上の圧延が必要である。一方、厚肉鋼板
の場合、トータル圧下量が多くとれないため、この900
℃超えの温度域で圧下を多くとりすぎると、より重要な
第二段めの圧延で圧下が十分にとれなくなるため圧下率
の上限を50%とする。
第一段めの圧延は、再結晶によりオーステナイト粒を細
粒化させ、次段階の800〜900℃の圧延でのオーステナイ
ト粒の微細化をより一層効果的にするためのものであ
る。また、鋼片厚中央部が900℃超えの温度のとき、圧
延中に鋼片表面近傍は約100℃低い800〜900℃の温度と
なるため、鋼板表面近傍の靱性を確保するためにもこの
第一段めの圧延は効果的である。この効果を得るために
は圧下率10%以上の圧延が必要である。一方、厚肉鋼板
の場合、トータル圧下量が多くとれないため、この900
℃超えの温度域で圧下を多くとりすぎると、より重要な
第二段めの圧延で圧下が十分にとれなくなるため圧下率
の上限を50%とする。
鋼片厚中央部の温度が800〜900℃での、第二段めの圧延
は、前述のように重要で、900℃超えでの第一段めの圧
延で十分細粒にはならなかったオーステナイト粒をより
微細にするものであり、圧下率は20%以上が必要であ
る。
は、前述のように重要で、900℃超えでの第一段めの圧
延で十分細粒にはならなかったオーステナイト粒をより
微細にするものであり、圧下率は20%以上が必要であ
る。
第三段めの圧延は、鋼片厚中央部の温度が800℃未満の
フェライト変態核生成サイト導入のための未再結晶域圧
延である。この圧延は歪みの蓄積のためにはオーステナ
イトのより低温域の圧延が効果的であるが、低温になり
すぎると鋼片表面近傍の温度がAr3より低くなりすぎ、
鋼片表面近傍の初析フェライトが加工され、鋼片表面近
傍の靱性が劣化するという問題がある。そこで、鋼片表
面近傍の温度がAr3より低くなりすぎないように、鋼片
厚中央部の温度を(Ar3+30)℃以上とする。圧下率に
ついては、フェライト変態の核生成サイトを効果的に導
入するため、30%以上が必要である。ここで、Ar3は次
式で与えられる。各合金元素は含有量(%)で、tは板
厚(mm)で表す。
フェライト変態核生成サイト導入のための未再結晶域圧
延である。この圧延は歪みの蓄積のためにはオーステナ
イトのより低温域の圧延が効果的であるが、低温になり
すぎると鋼片表面近傍の温度がAr3より低くなりすぎ、
鋼片表面近傍の初析フェライトが加工され、鋼片表面近
傍の靱性が劣化するという問題がある。そこで、鋼片表
面近傍の温度がAr3より低くなりすぎないように、鋼片
厚中央部の温度を(Ar3+30)℃以上とする。圧下率に
ついては、フェライト変態の核生成サイトを効果的に導
入するため、30%以上が必要である。ここで、Ar3は次
式で与えられる。各合金元素は含有量(%)で、tは板
厚(mm)で表す。
Ar3(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo
+0.35(t−8) このようにして、この3段階の圧延をすることによっ
て、トータル圧下量のとれない厚肉高強度鋼板の板厚中
央部において、はじめて、オーステナイト粒の微細化と
効果的な歪みの導入が可能となる。
+0.35(t−8) このようにして、この3段階の圧延をすることによっ
て、トータル圧下量のとれない厚肉高強度鋼板の板厚中
央部において、はじめて、オーステナイト粒の微細化と
効果的な歪みの導入が可能となる。
また、鋼片厚中央部の温度が900℃超え、800〜900℃、
(Ar3+30)℃以上800℃未満の3段階で圧延するとき、
つぎの段階の圧延温度まで冷却する方法は空冷でもよい
が、水冷の方が好ましい。この理由は、水冷の方が鋼片
表面と鋼片厚中央部との温度差が大きくなり鋼片表面近
傍が硬くなるため、鋼片厚中央部へ圧下がよく伝わるた
めである。さらに、水冷の方が全圧延時間が短縮され生
産性も向上するという長所がある。
(Ar3+30)℃以上800℃未満の3段階で圧延するとき、
つぎの段階の圧延温度まで冷却する方法は空冷でもよい
が、水冷の方が好ましい。この理由は、水冷の方が鋼片
表面と鋼片厚中央部との温度差が大きくなり鋼片表面近
傍が硬くなるため、鋼片厚中央部へ圧下がよく伝わるた
めである。さらに、水冷の方が全圧延時間が短縮され生
産性も向上するという長所がある。
圧延後の冷却は、組織を細粒化し、Cu、Nbをできるだけ
固溶させたままの状態で冷却後の析出強化処理で、析出
強化作用を発揮できるように、2℃/sec以上の冷却速度
で400℃以下の温度まで冷却する必要がある。こうし
た、加熱、圧延、冷却条件の組み合わせにより、厚肉鋼
板の板厚中央部においてもベイナイト単相組織ではな
く、フェライトを含有する組織とすることができ、高靱
性の確保が可能となる。
固溶させたままの状態で冷却後の析出強化処理で、析出
強化作用を発揮できるように、2℃/sec以上の冷却速度
で400℃以下の温度まで冷却する必要がある。こうし
た、加熱、圧延、冷却条件の組み合わせにより、厚肉鋼
板の板厚中央部においてもベイナイト単相組織ではな
く、フェライトを含有する組織とすることができ、高靱
性の確保が可能となる。
さらに、冷却後の析出強化処理はCuの析出およびNb炭窒
化物の析出による強化を図るために行うものであり、こ
の効果を得るためには、550℃〜Ac1の温度範囲で行う必
要がある。550℃未満ではCuおよびNb炭窒化物の析出に
長時間を要し、一方、Ac1を超える温度ではCuおよびNb
炭窒化物の析出物が粗大化し十分な析出強度が得られな
い。このため、析出強化処理温度は550℃〜Ac1の温度範
囲とする。なお、Ac1は次式で与えられる。各合金元素
は含有量(%)で表す。
化物の析出による強化を図るために行うものであり、こ
の効果を得るためには、550℃〜Ac1の温度範囲で行う必
要がある。550℃未満ではCuおよびNb炭窒化物の析出に
長時間を要し、一方、Ac1を超える温度ではCuおよびNb
炭窒化物の析出物が粗大化し十分な析出強度が得られな
い。このため、析出強化処理温度は550℃〜Ac1の温度範
囲とする。なお、Ac1は次式で与えられる。各合金元素
は含有量(%)で表す。
Ac1(℃)=723−14Mn+22Si−14.4Ni+23.3Cr (実施例) 以下に、本発明の実施例について説明する。
供試鋼板は第1表に示す化学成分を有する鋼を常法によ
り溶製、鋳造し、得られた鋼片を第2表に示す製造条件
にしたがい、加熱、圧延、冷却および析出強化処理を行
ったものである。これらの鋼板から試験片を採取し、引
張試験および2mmVノッチシャルピ衝撃試験を行った。そ
の結果を第2表に併記する。
り溶製、鋳造し、得られた鋼片を第2表に示す製造条件
にしたがい、加熱、圧延、冷却および析出強化処理を行
ったものである。これらの鋼板から試験片を採取し、引
張試験および2mmVノッチシャルピ衝撃試験を行った。そ
の結果を第2表に併記する。
第1表には本発明法および比較例の化学成分を、第2表
には板厚、製造条件および機械的性質をそれぞれ示す。
には板厚、製造条件および機械的性質をそれぞれ示す。
第2表の本発明法によるNo.1、4、9、10、13、14、1
6、17は何れも、引張強さは60kgf/mm2以上の値を示し、
また、−80℃でのシャルピ吸収エネルギは19kgf・m以
上、遷移温度(vTrs)は−85℃以下で極めて良い値を示
している。
6、17は何れも、引張強さは60kgf/mm2以上の値を示し、
また、−80℃でのシャルピ吸収エネルギは19kgf・m以
上、遷移温度(vTrs)は−85℃以下で極めて良い値を示
している。
これに対して、比較例No.2、5は加熱温度が高めに外れ
ているため、強度は高いものの、靱性は良くない。比較
例No.3、6、15は第二段めの圧延温度域が高いため、靱
性が良くない。また、比較例No.7は第二段めの圧延温度
域が低いため、靱性がよくない。比較例No.8、18は第三
段めの圧延温度域が高いため、靱性が良くない。比較例
No.11はCu量が低いため強度が低く、比較例No.12はC量
が高いため、強度は高いが靱性が良くない。なお、比較
例No.6は第一段めと第二段めの圧延を連続して行った2
段階圧延で、No.7、8は第二段めと第三段めの圧延を連
続して行った2段階圧延である。
ているため、強度は高いものの、靱性は良くない。比較
例No.3、6、15は第二段めの圧延温度域が高いため、靱
性が良くない。また、比較例No.7は第二段めの圧延温度
域が低いため、靱性がよくない。比較例No.8、18は第三
段めの圧延温度域が高いため、靱性が良くない。比較例
No.11はCu量が低いため強度が低く、比較例No.12はC量
が高いため、強度は高いが靱性が良くない。なお、比較
例No.6は第一段めと第二段めの圧延を連続して行った2
段階圧延で、No.7、8は第二段めと第三段めの圧延を連
続して行った2段階圧延である。
以上の実施例の結果からも明らかなように、本発明に係
わる板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方
法によれば、板厚50mm以上はもとより、板厚50mm未満の
厚肉鋼板であっても、高強度で低温靱性に優れた厚肉鋼
板が製造できる。
わる板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方
法によれば、板厚50mm以上はもとより、板厚50mm未満の
厚肉鋼板であっても、高強度で低温靱性に優れた厚肉鋼
板が製造できる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明はCuの析出強化を利用し、
特に、加熱条件、圧延温度域、圧下条件を適切に制御し
ているため、引張強さが60kgf/mm2以上で、かつ、板厚
中央部の靱性vTrsが−80℃以下を満足する厚肉鋼板が得
られるという優れた効果を有するものである。
特に、加熱条件、圧延温度域、圧下条件を適切に制御し
ているため、引張強さが60kgf/mm2以上で、かつ、板厚
中央部の靱性vTrsが−80℃以下を満足する厚肉鋼板が得
られるという優れた効果を有するものである。
第1図は、板厚75mmの厚肉鋼板の板厚中央部のvTrsに及
ぼす第二段め圧延開始時の鋼片厚中央部の温度の影響を
示す図である。
ぼす第二段め圧延開始時の鋼片厚中央部の温度の影響を
示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.01〜0.10%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.
8〜2.0%、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.10%、Cu:0.7
〜2.0%、Ni:0.5〜3.5%、Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.005
〜0.020%、N:0.0030〜0.0080%を含有し、残部Feおよ
び不可避不純物から成る鋼片を、900〜1050℃の温度範
囲に加熱後、鋼片厚中央部の温度が900℃超えで圧下率1
0〜50%の圧延を行い、その後水冷または空冷し、鋼片
厚中央部の温度が800〜900℃で圧下率20%以上の圧延を
行い、さらに水冷または空冷後、鋼片厚中央部の温度が
(Ar3+30)℃以上800℃未満で圧下率30%以上の圧延を
行い、圧延終了後、2℃/sec以上の冷却速度で400℃以
下の温度まで冷却を行い、さらに、550℃〜Ac1の温度範
囲で析出強化処理を行うことを特徴とする板厚中央部の
靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法。 - 【請求項2】C:0.01〜0.10%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.
8〜2.0%、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.10%、Cu:0.7
〜2.0%、Ni:0.5〜3.5%、Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.005
〜0.020%、N:0.0030〜0.0080%を含有し、さらに、Cr:
0.01〜0.50%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.10%、C
a:0.0005〜0.0050%、REM:0.005〜0.050%の内から1種
または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物か
ら成る鋼片を、900〜1050℃の温度範囲に加熱後、鋼片
厚中央部の温度が900℃超えで圧下率10〜50%の圧延を
行い、その後水冷または空冷し、鋼片厚中央部の温度が
800〜900℃で圧下率20%以上の圧延を行い、さらに水冷
または空冷後、鋼片厚中央部の温度が(Ar3+30)℃以
上800℃未満で圧下率30%以上の圧延を行い、圧延終了
後、2℃/sec以上の冷却速度で400℃以下の温度まで冷
却を行い、さらに、550℃〜Ac1の温度範囲で析出強化処
理を行うことを特徴とする板厚中央部の靱性の優れた厚
肉高強度鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11348990A JPH0713255B2 (ja) | 1990-04-27 | 1990-04-27 | 板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11348990A JPH0713255B2 (ja) | 1990-04-27 | 1990-04-27 | 板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH04165015A JPH04165015A (ja) | 1992-06-10 |
| JPH0713255B2 true JPH0713255B2 (ja) | 1995-02-15 |
Family
ID=14613597
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11348990A Expired - Fee Related JPH0713255B2 (ja) | 1990-04-27 | 1990-04-27 | 板厚中央部の靱性の優れた厚肉高強度鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0713255B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN110651059B (zh) * | 2017-05-22 | 2021-05-07 | 杰富意钢铁株式会社 | 厚钢板及其制造方法 |
-
1990
- 1990-04-27 JP JP11348990A patent/JPH0713255B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH04165015A (ja) | 1992-06-10 |
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