JPH0715436B2 - 装置材料の水素侵食の非破壊検査方法 - Google Patents
装置材料の水素侵食の非破壊検査方法Info
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- JPH0715436B2 JPH0715436B2 JP62159380A JP15938087A JPH0715436B2 JP H0715436 B2 JPH0715436 B2 JP H0715436B2 JP 62159380 A JP62159380 A JP 62159380A JP 15938087 A JP15938087 A JP 15938087A JP H0715436 B2 JPH0715436 B2 JP H0715436B2
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- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、石油精製、石油化学、化学、石炭液化、石炭
ガス化等の工場における高温高圧水素条件で操業される
装置を形成する装置材料の水素侵食の発生の非破壊検出
方法に関する。
ガス化等の工場における高温高圧水素条件で操業される
装置を形成する装置材料の水素侵食の発生の非破壊検出
方法に関する。
<従来技術とその問題点> 化学、石油精製、石油化学、石炭のガス化液化工場の高
温高圧水素下で操業される圧力容器、配管には、使用材
料、製造条件、操業条件によっては材料に水素侵食が発
生して材質が劣化することがあり、安全操業上大きな問
題となっている。
温高圧水素下で操業される圧力容器、配管には、使用材
料、製造条件、操業条件によっては材料に水素侵食が発
生して材質が劣化することがあり、安全操業上大きな問
題となっている。
これは、ミクロには鋼中の炭化物と鋼中に浸入してきた
水素が反応して、粒界にメタンガスバブルを生ずる現象
であり、マクロには材料に特有の潜伏期の後に急激に機
械的性質が劣化することが特徴である。
水素が反応して、粒界にメタンガスバブルを生ずる現象
であり、マクロには材料に特有の潜伏期の後に急激に機
械的性質が劣化することが特徴である。
高温高圧水素下で操業される圧力容器、配管材料にはCr
−Mo鋼が使用されるが、その選定にあたっては通常、実
操業における水素侵食に起因する事故等の経験をもと
に、鋼種毎に水素侵食の発生しない上限の温度、水素圧
力を規定したネルソン線図が参考にされてきた。
−Mo鋼が使用されるが、その選定にあたっては通常、実
操業における水素侵食に起因する事故等の経験をもと
に、鋼種毎に水素侵食の発生しない上限の温度、水素圧
力を規定したネルソン線図が参考にされてきた。
しかし最近の製鋼技術の発展に伴う不純物元素の低減、
水素侵食の研究の進展により、同一鋼種であっても旧来
の材料に比べて水素侵食の起こりにくい材料が製造され
始めた。また経済性の面からプラント類を従来の経験を
超えた長期間使用したいという気運にもかかわらずネル
ソン線図には安全運転のための上限の温度、水素圧力が
規定されているのみで、時間の項がない点も不十分であ
る。このため旧来のネルソン線図によっていては、現行
の材料、使用期間等の変化に対応でき難くなっている。
水素侵食の研究の進展により、同一鋼種であっても旧来
の材料に比べて水素侵食の起こりにくい材料が製造され
始めた。また経済性の面からプラント類を従来の経験を
超えた長期間使用したいという気運にもかかわらずネル
ソン線図には安全運転のための上限の温度、水素圧力が
規定されているのみで、時間の項がない点も不十分であ
る。このため旧来のネルソン線図によっていては、現行
の材料、使用期間等の変化に対応でき難くなっている。
また実機における操業においては、圧力容器、配管の内
容物の温度は比較的よく把握されてはいるが、圧力容
器、配管類の温度は必ずしも十分に把握されているとは
いい難く、また場所による温度差が大であるのが普通で
ある。また実機においては温度勾配、圧力容器内部のト
レー等により何らかの応力が負荷されていることが普通
であり、応力は水素浸食を加速することはわかっている
が、応力と水素浸食の重畳効果を定量的に調査した例は
きわめて少ない。
容物の温度は比較的よく把握されてはいるが、圧力容
器、配管類の温度は必ずしも十分に把握されているとは
いい難く、また場所による温度差が大であるのが普通で
ある。また実機においては温度勾配、圧力容器内部のト
レー等により何らかの応力が負荷されていることが普通
であり、応力は水素浸食を加速することはわかっている
が、応力と水素浸食の重畳効果を定量的に調査した例は
きわめて少ない。
このような事情であるため、水素侵食の発生時期の推定
は個々の容器毎に非破壊的に検査する方法によらざるを
得ない。しかし水素侵食の非破壊検知方法についは従来
種々の方法が提案されているが、いまだに技術が十分確
立しているとはいい難い。
は個々の容器毎に非破壊的に検査する方法によらざるを
得ない。しかし水素侵食の非破壊検知方法についは従来
種々の方法が提案されているが、いまだに技術が十分確
立しているとはいい難い。
たとえば特開昭60−98365号公報に音速変化による検知
方法が開示されいるが、この方法を工場の圧力容器に適
用しようとした場合、ノズル付近のように複雑な形状の
部位では乱反射等により正確な音速測定が困難であると
いう問題がある。
方法が開示されいるが、この方法を工場の圧力容器に適
用しようとした場合、ノズル付近のように複雑な形状の
部位では乱反射等により正確な音速測定が困難であると
いう問題がある。
<発明の目的> 本発明は、上記の経済的、社会的要請に応じてなされた
もので、高温高圧水素環境に長時間曝される圧力容器、
配管材に生じる水素侵食を非破壊的に検知し、個々の圧
力容器、配管およびその部位により異なる水素侵食発生
の時期(寿命)を知り、材質劣化に起因する事故を未然
に防ぎ、装置の補修、リプレース時期の指針を与えるた
め装置材料の水素侵食の非破壊検査方法を提供すること
を目的とする。
もので、高温高圧水素環境に長時間曝される圧力容器、
配管材に生じる水素侵食を非破壊的に検知し、個々の圧
力容器、配管およびその部位により異なる水素侵食発生
の時期(寿命)を知り、材質劣化に起因する事故を未然
に防ぎ、装置の補修、リプレース時期の指針を与えるた
め装置材料の水素侵食の非破壊検査方法を提供すること
を目的とする。
<発明の構成> 本発明のきっかけは種々の鉄鋼材料を高圧の水素ガス中
に暴露、あるいは電解水素チャージ法により水素を強制
的に吸蔵させた後、真空中で加熱して水素の放出量の変
化を調査している際に、水素侵食を受けた材料は他の材
料とは著しく異った水素の放出挙動を示すことを発見し
たことにある。
に暴露、あるいは電解水素チャージ法により水素を強制
的に吸蔵させた後、真空中で加熱して水素の放出量の変
化を調査している際に、水素侵食を受けた材料は他の材
料とは著しく異った水素の放出挙動を示すことを発見し
たことにある。
さらに、後に説明する第3図に示すように、水素を強制
的に吸蔵させた場合も、特に強制的に吸蔵させない場合
も、水素侵食を受けた材料は、300〜600℃での水素放出
量とシャルピー衝撃試験による0℃での吸収エネルギー
変化が対応していることがわかった。すなわち、鋼中の
炭素と鋼中に侵入した水素とが反応して鋼中にメタンバ
ブルが発生し、シャルピー衝撃靭性が著しく低下する。
ここで、衝撃靭性では特に飽和エネルギーの劣化が著し
く、飽和エネルギーに相当する0℃における吸収エネル
ギー(vEo)の低下で水素侵食を評価することができ
る。
的に吸蔵させた場合も、特に強制的に吸蔵させない場合
も、水素侵食を受けた材料は、300〜600℃での水素放出
量とシャルピー衝撃試験による0℃での吸収エネルギー
変化が対応していることがわかった。すなわち、鋼中の
炭素と鋼中に侵入した水素とが反応して鋼中にメタンバ
ブルが発生し、シャルピー衝撃靭性が著しく低下する。
ここで、衝撃靭性では特に飽和エネルギーの劣化が著し
く、飽和エネルギーに相当する0℃における吸収エネル
ギー(vEo)の低下で水素侵食を評価することができ
る。
この現象を利用すれば、石油精製、石油化学設備等にお
いて、高温高圧水素環境下に曝される圧力容器、配管等
の装置の、水素侵食による鉄鋼製の装置材料劣化の事前
検知が可能であることを知見し、本発明に至った。
いて、高温高圧水素環境下に曝される圧力容器、配管等
の装置の、水素侵食による鉄鋼製の装置材料劣化の事前
検知が可能であることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、高温高圧水素下に曝
される鉄鋼製装置材料を加熱して、300〜600℃の温度範
囲で放出される水素量を測定し、該放出される水素量の
変化から前記装置材料の水素侵食の程度を判定すること
を特徴とする装置材料の水素侵食の非破壊検査方法を提
供する。
される鉄鋼製装置材料を加熱して、300〜600℃の温度範
囲で放出される水素量を測定し、該放出される水素量の
変化から前記装置材料の水素侵食の程度を判定すること
を特徴とする装置材料の水素侵食の非破壊検査方法を提
供する。
本発明の第2の態様は、高温高圧水素下に曝される鉄鋼
製装置材料に水素を強制的に吸蔵させた後、該材料を加
熱して、300〜600℃の温度範囲で放出される水素量を測
定し、該放出される水素量の変化から前記装置材料の水
素侵食の程度を判定することを特徴とする装置材料の水
素侵食の非破壊検査方法を提供する。
製装置材料に水素を強制的に吸蔵させた後、該材料を加
熱して、300〜600℃の温度範囲で放出される水素量を測
定し、該放出される水素量の変化から前記装置材料の水
素侵食の程度を判定することを特徴とする装置材料の水
素侵食の非破壊検査方法を提供する。
以下に本発明を詳細に説明する。
水素侵食を起した材料の、加熱時の水素放出挙動を調査
すると、水素侵食材特有の放出ピークがみられる。さら
に水素侵食材に強制的に水素を吸蔵させた後に加熱して
水素を放出させると、上述の特有の放出ピークはさらに
顕著に示される。
すると、水素侵食材特有の放出ピークがみられる。さら
に水素侵食材に強制的に水素を吸蔵させた後に加熱して
水素を放出させると、上述の特有の放出ピークはさらに
顕著に示される。
このような特有の放出ピークが示されるのは、以下の理
由によると考えられる。
由によると考えられる。
材料中に侵入した水素は室温、または高温では比較的自
由に材料中を動き得るが転位、析出物等の格子欠陥が存
在した場合、水素と格子欠陥の間の相互作用エネルギー
が負であるために、大半の水素が格子欠陥に捕獲され、
自由に動けなくなってしまう。
由に材料中を動き得るが転位、析出物等の格子欠陥が存
在した場合、水素と格子欠陥の間の相互作用エネルギー
が負であるために、大半の水素が格子欠陥に捕獲され、
自由に動けなくなってしまう。
試料を加熱していくと、熱による励起により格子欠陥に
捕獲されていた水素は解放され、試料外へ放出される
が、捕獲されていた格子欠陥と水素の相互作用エネルギ
ーの大きさにより放出させる温度が異なり、相互作用エ
ンルギーの値(絶対値)の低い格子欠陥に捕獲されてい
た水素は比較的低温(すなわち加熱の初期)で放出され
る。
捕獲されていた水素は解放され、試料外へ放出される
が、捕獲されていた格子欠陥と水素の相互作用エネルギ
ーの大きさにより放出させる温度が異なり、相互作用エ
ンルギーの値(絶対値)の低い格子欠陥に捕獲されてい
た水素は比較的低温(すなわち加熱の初期)で放出され
る。
したがって複数の種類の格子欠陥が存在する試料に水素
を吸蔵させ、真空中で加熱しながら水素放出量を測定す
ると、水素格子欠陥の相互作用エネルギーに応じて、そ
れぞれの格子欠陥に応じた温度で放出ピークが測定され
る。
を吸蔵させ、真空中で加熱しながら水素放出量を測定す
ると、水素格子欠陥の相互作用エネルギーに応じて、そ
れぞれの格子欠陥に応じた温度で放出ピークが測定され
る。
一方、水素侵食した材料を特異な水素の放出が認められ
る。
る。
これは通常の水素侵食における下記(1)式に示される
メタン生成反応 MC+2H2→CH4+M……(1) の逆反応が、外部の水素圧力が低いために起こり、メタ
ンの一部が水素に戻り放出されたものと考えられる。
メタン生成反応 MC+2H2→CH4+M……(1) の逆反応が、外部の水素圧力が低いために起こり、メタ
ンの一部が水素に戻り放出されたものと考えられる。
この場合も300〜600℃の範囲で水素放出ピークは認めら
れる。
れる。
この水素侵食の生じた材料に強制的に水素吸蔵させた場
合、300〜600℃における水素放出ピークは、より顕著に
あらわれる。
合、300〜600℃における水素放出ピークは、より顕著に
あらわれる。
以下、本発明による水素侵食の非破壊検査方法の手順を
説明する。
説明する。
(1)水素を強制的に吸蔵させる。
高温高圧水素下で操業される装置材料が水素侵食材であ
るか否か検出するには、装置材料に直接次に説明する工
程(2)の加熱を行って、水素放出量の測定を行っても
よい。
るか否か検出するには、装置材料に直接次に説明する工
程(2)の加熱を行って、水素放出量の測定を行っても
よい。
好ましくは、被試験材の水素放出量測定の前に、強制的
に水素を吸蔵(水素チャージ)させる。
に水素を吸蔵(水素チャージ)させる。
水素を強制的に吸蔵させるには、電解水素チャージ法、
高圧の水素ガスに暴露する水素チャージ法等があり、い
ずれの方法も有効である。なお、水素を強制吸蔵された
装置材料であっても、一定条件のもとで水素を強制吸蔵
したものであれば、300〜600℃の温度で放出する水素量
は水素侵食の程度に相関する。従って、装置材料の種類
等に応じた一定の条件で強制吸蔵を行えば、その条件に
は特に限定はない。ただし水素吸蔵時に試験体の温度が
600℃超の場合、水素は格子欠陥で捕獲さず、試験体外
へ逃散してしまうので試験体の温度は600℃以下にして
おく必要がある。
高圧の水素ガスに暴露する水素チャージ法等があり、い
ずれの方法も有効である。なお、水素を強制吸蔵された
装置材料であっても、一定条件のもとで水素を強制吸蔵
したものであれば、300〜600℃の温度で放出する水素量
は水素侵食の程度に相関する。従って、装置材料の種類
等に応じた一定の条件で強制吸蔵を行えば、その条件に
は特に限定はない。ただし水素吸蔵時に試験体の温度が
600℃超の場合、水素は格子欠陥で捕獲さず、試験体外
へ逃散してしまうので試験体の温度は600℃以下にして
おく必要がある。
(2)水素放出量の測定 試験体をそのまま、あるいは水素を吸蔵させた後加熱し
て各温度における水素の放出量を測定する。試験体中の
種々の格子欠陥に捕獲されていた水素は加熱されるに従
い解放され、試験体の外部へ放出されてくる。格子欠陥
の種類により欠陥と水素の相互作用エネルギー(負の
値)が異なり相互作用エネルギーの絶対値の低い格子欠
陥に捕獲されていた水素ほど容易に解放され、比較的低
温でも試験体外に放出されきってしまう。しかし水素と
の相互作用エネルギーの絶対値の高い格子欠陥に捕獲さ
れていた水素は解放され難いため、高温まで加熱してい
った場合に、初めて解放、試験体外への放出が始まる。
て各温度における水素の放出量を測定する。試験体中の
種々の格子欠陥に捕獲されていた水素は加熱されるに従
い解放され、試験体の外部へ放出されてくる。格子欠陥
の種類により欠陥と水素の相互作用エネルギー(負の
値)が異なり相互作用エネルギーの絶対値の低い格子欠
陥に捕獲されていた水素ほど容易に解放され、比較的低
温でも試験体外に放出されきってしまう。しかし水素と
の相互作用エネルギーの絶対値の高い格子欠陥に捕獲さ
れていた水素は解放され難いため、高温まで加熱してい
った場合に、初めて解放、試験体外への放出が始まる。
しかし、相互作用エネルギー絶対値の高い格子欠陥に捕
獲されていた水素も、後述する実施例の第1図に示され
るように300℃までの加熱により放出は終了する。
獲されていた水素も、後述する実施例の第1図に示され
るように300℃までの加熱により放出は終了する。
一方、水素侵食された材料では前述のようにメタンの一
部が逆反応により水素に戻り放出される。前述の式
(1)に示した化学反応の平衡定数が大であるほどメタ
ンが安定であり、水素に戻るにはより高温まで加熱する
必要がある。Cr−Mo鋼の場合、実施例の第1図に示され
るように300℃以上に加熱して始めてメタンの分解によ
る水素が発生する。
部が逆反応により水素に戻り放出される。前述の式
(1)に示した化学反応の平衡定数が大であるほどメタ
ンが安定であり、水素に戻るにはより高温まで加熱する
必要がある。Cr−Mo鋼の場合、実施例の第1図に示され
るように300℃以上に加熱して始めてメタンの分解によ
る水素が発生する。
従って、放出された水素の起源がメタンであるか否か
は、水素放出温度範囲から判定できる。
は、水素放出温度範囲から判定できる。
このような加熱時の水素の放出量(時間的変化)を測定
する方法は種々考えられ、本発明ではとくに限定しな
い。なお、本発明において測定するのは、300〜600℃の
温度で放出する安定した水素であるので、水素の強制的
な吸蔵を行った後であっても、経時的条件は特に考慮す
る必要はない。
する方法は種々考えられ、本発明ではとくに限定しな
い。なお、本発明において測定するのは、300〜600℃の
温度で放出する安定した水素であるので、水素の強制的
な吸蔵を行った後であっても、経時的条件は特に考慮す
る必要はない。
例えば試験体を真空中に入れ、真空ポンプと試験体の間
をコック等でさえぎり加熱時の水素放出量による圧力の
変化をマノメーター等の圧力計で測定する方法、質量分
析器を用い水素のみを区別して分析することにより水素
放出量を測定する方法等がある。そして試験体を加熱し
ながら各温度での水素の放出量を測定するわけである
が、加熱速度はできるだけ等速であることが望ましい。
また加熱速度により各格子欠陥からの水素放出ピーク温
度が多少変化するので、測定にあたっては加熱速度を定
めて行うことが望ましい。分析装置の性能にもよるが1
℃/分〜50℃/分の範囲、望ましくは5℃/分〜20℃/
分の加熱範囲が望ましい。
をコック等でさえぎり加熱時の水素放出量による圧力の
変化をマノメーター等の圧力計で測定する方法、質量分
析器を用い水素のみを区別して分析することにより水素
放出量を測定する方法等がある。そして試験体を加熱し
ながら各温度での水素の放出量を測定するわけである
が、加熱速度はできるだけ等速であることが望ましい。
また加熱速度により各格子欠陥からの水素放出ピーク温
度が多少変化するので、測定にあたっては加熱速度を定
めて行うことが望ましい。分析装置の性能にもよるが1
℃/分〜50℃/分の範囲、望ましくは5℃/分〜20℃/
分の加熱範囲が望ましい。
さて、試験体が加熱されるに従い、順次格子欠陥に捕獲
されていた水素が放出されてくるわけであるが、通常の
鉄鋼材料では300℃に加熱されるまでに格子欠陥に捕獲
されていた水素はほとんど放出される。それに対し水素
侵食を受けた材料は300〜600℃の温度範囲でも水素の放
出ピークが認められる。これは、前述のように水素侵食
により材料中に発生したメタンとして存在する水素ある
いはさらにメタン気泡に捕獲された水素が300〜600℃の
温度に加熱した場合に放出されるものと推定される。30
0〜600℃の温度範囲で放出される水素の量を測定し、そ
の変化より材料の水素侵食の進行度合を知ることができ
る点に本発明の特徴がある。なお、水素侵食の判定方法
には特に限定はなく、あらかじめ水素侵食と水素放出量
変化との関係を実験室的に求めて、これに応じて判定を
行ってもよく、放出ピークの出現あるいはその高さ等に
よって水素侵食の判定を行ってもよい。
されていた水素が放出されてくるわけであるが、通常の
鉄鋼材料では300℃に加熱されるまでに格子欠陥に捕獲
されていた水素はほとんど放出される。それに対し水素
侵食を受けた材料は300〜600℃の温度範囲でも水素の放
出ピークが認められる。これは、前述のように水素侵食
により材料中に発生したメタンとして存在する水素ある
いはさらにメタン気泡に捕獲された水素が300〜600℃の
温度に加熱した場合に放出されるものと推定される。30
0〜600℃の温度範囲で放出される水素の量を測定し、そ
の変化より材料の水素侵食の進行度合を知ることができ
る点に本発明の特徴がある。なお、水素侵食の判定方法
には特に限定はなく、あらかじめ水素侵食と水素放出量
変化との関係を実験室的に求めて、これに応じて判定を
行ってもよく、放出ピークの出現あるいはその高さ等に
よって水素侵食の判定を行ってもよい。
上述の現象を利用して、実際の装置材料の水素侵食を検
査するには、好ましくは次の3種類の方法がある。
査するには、好ましくは次の3種類の方法がある。
(A)間接測定法 装置材料と同一チャージで溶製し、同様の熱処理を施し
た小型試験片(ダミー材)を、装置内のトレー上等の適
切な位置で実機暴露を行い、シャットダウン時に1枚ず
つ取り出し、好ましくは水素を強制的に吸蔵させた後、
水素放出量を測定する方法。
た小型試験片(ダミー材)を、装置内のトレー上等の適
切な位置で実機暴露を行い、シャットダウン時に1枚ず
つ取り出し、好ましくは水素を強制的に吸蔵させた後、
水素放出量を測定する方法。
(B)装置停止後測定法 装置の運転停止後、装置の必要個所に、好ましくは水素
を強制的に吸蔵させる装置と、加熱装置と水素放出量の
測定装置とをとりつけ、装置の運転後、加熱して水素放
出量を測定する。
を強制的に吸蔵させる装置と、加熱装置と水素放出量の
測定装置とをとりつけ、装置の運転後、加熱して水素放
出量を測定する。
(C)装置運転中測定法 運転中の装置に直接好ましくは水素を強制的に吸蔵させ
る装置と、加熱装置と、水素放出量の測定装置とをとり
つけ、装置運転中に、直接測定する。
る装置と、加熱装置と、水素放出量の測定装置とをとり
つけ、装置運転中に、直接測定する。
水素放出量の測定時は測定位置を外気と遮断し真空に引
いた後のマノメーターによる測定又は質量分析器による
測定等を局部加熱と同時に行う。
いた後のマノメーターによる測定又は質量分析器による
測定等を局部加熱と同時に行う。
実際のプラントの圧力容器、配管に適用する場合は、試
験体の厚み面積、長さがかなり大であるので、水素を強
制的に吸蔵させる場合には、局部的に水素をチャージ
し、検出することになるが、吸蔵された水素は短時間の
内に試験体内に拡散するので、水素チャージする位置と
加熱し水素放出量を測定する位置は接近していることが
望ましい。
験体の厚み面積、長さがかなり大であるので、水素を強
制的に吸蔵させる場合には、局部的に水素をチャージ
し、検出することになるが、吸蔵された水素は短時間の
内に試験体内に拡散するので、水素チャージする位置と
加熱し水素放出量を測定する位置は接近していることが
望ましい。
配管のように厚みの薄い部材の場合は片面から水素をチ
ャージし、反応面からの水素放出量を測定することも可
能であるが、測定精度、加熱時の温度の均一性等の要因
を考慮した場合、同一表面において水素チャージ、放出
量の測定を行うことがよい。
ャージし、反応面からの水素放出量を測定することも可
能であるが、測定精度、加熱時の温度の均一性等の要因
を考慮した場合、同一表面において水素チャージ、放出
量の測定を行うことがよい。
水素チャージは電解法でもガス法でも可能である。
電解(チャージ)法は適当な治具(たとえば円筒状のも
の)を液体が漏れないように試験体にとりつけ電解液を
みたし、試験体側を極として電解チャージにより水素
を吸蔵させる。電解チャージは通常室温付近で行われる
ことが多いが、電解液によっては高温で行える場合もあ
る。要は水素を大量に試験体に吸蔵させることにある。
の)を液体が漏れないように試験体にとりつけ電解液を
みたし、試験体側を極として電解チャージにより水素
を吸蔵させる。電解チャージは通常室温付近で行われる
ことが多いが、電解液によっては高温で行える場合もあ
る。要は水素を大量に試験体に吸蔵させることにある。
ガス法の場合は適当な治具をガスが漏れないように取り
つけ、水素ガスを満たす。水素の吸蔵量は水素分圧の平
方根に比例し、また温度が高いほど吸蔵量が増加するの
で高圧力あるいは高温で水素チャージを行う方が有利で
ある。
つけ、水素ガスを満たす。水素の吸蔵量は水素分圧の平
方根に比例し、また温度が高いほど吸蔵量が増加するの
で高圧力あるいは高温で水素チャージを行う方が有利で
ある。
好ましくは、水素圧10〜500kgf/cm2、温度室温〜300℃
で水素チャージを行う。
で水素チャージを行う。
水素放出量の測定は、水素放出量測定部分の近傍に被験
体からの放出水素を集合させる治具をとりつけ、分析装
置と接合させる。被験体と集合用治具、及び分析装置の
間のガス漏れがあると測定精度が落ちるのでガス漏れに
は留意する必要がある。とくにマノメーターを使用し、
圧力変化から水素放出量を測定する場合真空引きの必要
があるので、十分な配慮が必要である。
体からの放出水素を集合させる治具をとりつけ、分析装
置と接合させる。被験体と集合用治具、及び分析装置の
間のガス漏れがあると測定精度が落ちるのでガス漏れに
は留意する必要がある。とくにマノメーターを使用し、
圧力変化から水素放出量を測定する場合真空引きの必要
があるので、十分な配慮が必要である。
そして水素放出量測定部分を加熱(600℃まで)して昇
温時の水素放出量を測定することにより、被験体の水素
侵食の有無を判定する。
温時の水素放出量を測定することにより、被験体の水素
侵食の有無を判定する。
測定精度を上げるためには水素放出量測定部分以外の表
面からの水素放出を防止することも1つの方法であり、
パラジウム、Ni等のメッキ、オーステナイト鋼のクラッ
ディング等、治具をとりつけていない表面部をあらかじ
め水素透過能の低い金属でおおうことも効果がある。
面からの水素放出を防止することも1つの方法であり、
パラジウム、Ni等のメッキ、オーステナイト鋼のクラッ
ディング等、治具をとりつけていない表面部をあらかじ
め水素透過能の低い金属でおおうことも効果がある。
<実施例> 以下に、実施例により本発明を具体的に説明する。
圧力容器用材料として広く使用される2 1/4 Cr−1Mo鋼
において、水素侵食を起こした材料と起していない材料
を電解水素チャージし、加熱過程における水素放出曲線
を測定し、結果を第1図に示す。
において、水素侵食を起こした材料と起していない材料
を電解水素チャージし、加熱過程における水素放出曲線
を測定し、結果を第1図に示す。
(実施例1) 試験材は2mm×10mm×30mmの板で、550℃、400kgf/cm2水
素圧、500時間暴露し、水素侵食材(供試材1)とし
た。この水素侵食材をそのまま、真空中で、12℃/分の
昇温条件で加熱し、水素放出量をマノメーターを用いて
測定した。なお、第1図においては、加熱時の水素放出
量を、1℃の温度上昇により試料100gあたりから放出さ
れる水素放出率に換算して表示した。
素圧、500時間暴露し、水素侵食材(供試材1)とし
た。この水素侵食材をそのまま、真空中で、12℃/分の
昇温条件で加熱し、水素放出量をマノメーターを用いて
測定した。なお、第1図においては、加熱時の水素放出
量を、1℃の温度上昇により試料100gあたりから放出さ
れる水素放出率に換算して表示した。
(実施例2) 実施例1と同様の水素侵食材を、電解液(0.1N−NaOH+
0.1N−NaCN)中で5mA/cm2の電流密度で5時間の水素チ
ャージを行い水素を強制的に吸蔵させた(供試材2)
後、同様の測定を行った。
0.1N−NaCN)中で5mA/cm2の電流密度で5時間の水素チ
ャージを行い水素を強制的に吸蔵させた(供試材2)
後、同様の測定を行った。
(実施例3) 比較として、実施例1と同様の試験材を用いて、水素暴
露をしない材料(供試材3)を、同様の条件で水素放出
量を測定した。
露をしない材料(供試材3)を、同様の条件で水素放出
量を測定した。
第1図に示すように、水素侵食を起こしていない材料
(供試材3)では、300℃以上に加熱した場合、水素の
放出はほとんど認められないのに対し、水素侵食を起し
た材料(供試材1および2)では300〜520℃の間で明瞭
な水素放出ピークが認められ、この放出ピークの有無に
より水素侵食の有無を判定できる。
(供試材3)では、300℃以上に加熱した場合、水素の
放出はほとんど認められないのに対し、水素侵食を起し
た材料(供試材1および2)では300〜520℃の間で明瞭
な水素放出ピークが認められ、この放出ピークの有無に
より水素侵食の有無を判定できる。
(実施例4) 実施例1と同様の2 1/4 Cr−1Mo鋼を試験材として用
い、500℃、400kgf/cm2水素の暴露時間を0〜600時間に
変えた試料を用い、試料そのままを加熱して水素放出曲
線を測定した場合と、試料にさらに水素を強制的に吸蔵
させた後に、加熱して水素放出曲線を測定した場合の30
0〜600℃の間の試料100gあたりの水素放出量を第2図に
示した。
い、500℃、400kgf/cm2水素の暴露時間を0〜600時間に
変えた試料を用い、試料そのままを加熱して水素放出曲
線を測定した場合と、試料にさらに水素を強制的に吸蔵
させた後に、加熱して水素放出曲線を測定した場合の30
0〜600℃の間の試料100gあたりの水素放出量を第2図に
示した。
さらに、水素を強制的に吸蔵させない場合と、水素を強
制的に吸蔵させた場合との試料それぞれについて、シャ
ルピー衝撃試験による0℃での吸収エネルギーvEoを測
定し、あわせて第2図に示した。
制的に吸蔵させた場合との試料それぞれについて、シャ
ルピー衝撃試験による0℃での吸収エネルギーvEoを測
定し、あわせて第2図に示した。
なお、測定条件その他は、実施例1と同様である。
第2図では、300〜600℃での水素放出量の変化とvEoの
変化はよく対応しており、300〜600℃での水素放出量の
測定により水素侵食の進行の度合を推定できることを示
している。
変化はよく対応しており、300〜600℃での水素放出量の
測定により水素侵食の進行の度合を推定できることを示
している。
そして、この測定方法の精度から考えて水素を強制的に
吸蔵させた場合は、300〜600℃の加熱範囲で、0.5cm3/1
00g以上の水素の放出があれば、機械的性質が変化する
程度に水素侵食が進行していると言える。
吸蔵させた場合は、300〜600℃の加熱範囲で、0.5cm3/1
00g以上の水素の放出があれば、機械的性質が変化する
程度に水素侵食が進行していると言える。
第2図の水素放出量に対するシャルピー衝撃試験による
0℃での吸収エネルギーの変化量を第3図に示した。
0℃での吸収エネルギーの変化量を第3図に示した。
第3図から水素放出量(300〜600℃間の加熱時)の増加
量とvEoの減少量の間にはほぼ直線関係であり、その勾
配から、以下に示す加熱時の300〜600℃の間の水素放出
量の増加あたり、水素侵食により約2kgf・mのvEoの減
少が生じていることがわかる。
量とvEoの減少量の間にはほぼ直線関係であり、その勾
配から、以下に示す加熱時の300〜600℃の間の水素放出
量の増加あたり、水素侵食により約2kgf・mのvEoの減
少が生じていることがわかる。
水素を強制的に吸蔵させた場合:約0.3cm3/100gの水素
放出量。
放出量。
水素を強制吸蔵させない場合:約0.1cm3/100gの水素放
出量。
出量。
<発明の効果> 本発明は高温高圧水素下で操業される圧力容器、配管部
材等の装置材料における水素侵食の発生を非破壊的に早
期に検知し、材質劣化に起因する事故を未然に防ぎ、装
置の補修、リプレース時期の指針が得られる等の大きな
工業的価値を有する。
材等の装置材料における水素侵食の発生を非破壊的に早
期に検知し、材質劣化に起因する事故を未然に防ぎ、装
置の補修、リプレース時期の指針が得られる等の大きな
工業的価値を有する。
(1)非破壊で簡易に検出でき、ダミー材を用いて間接
的に検出することもできるし、装置の運転中、停止時に
直接検出することもできる。
的に検出することもできるし、装置の運転中、停止時に
直接検出することもできる。
(2)個々の装置材料の部位により個別に検出できる。
(3)加熱して放出される水素量を測定するので測定精
度が高い。
度が高い。
(4)水素を強制的に吸蔵させる本発明法を用いれば、
水素量のピークがより顕著に得られるのでさらに測定精
度が高い。
水素量のピークがより顕著に得られるのでさらに測定精
度が高い。
第1図は、各種試験材の水素放出率を示すグラフであ
る。 第2図は、水素暴露時間に対する水素放出量およびシャ
ルピー衝撃試験吸収エネルギーvEoの関係を示すグラフ
である。 第3図は、水素放出量とvEoの変化量を示すグラフであ
る。
る。 第2図は、水素暴露時間に対する水素放出量およびシャ
ルピー衝撃試験吸収エネルギーvEoの関係を示すグラフ
である。 第3図は、水素放出量とvEoの変化量を示すグラフであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 上田 修三 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 川野 浩二 千葉県千葉市新田町37番24号 出光エンジ ニアリング株式会社エンジニアリング室内 (72)発明者 石川 登一 千葉県千葉市新田町37番24号 出光エンジ ニアリング株式会社エンジニアリング室内 (56)参考文献 特開 昭61−286735(JP,A) 特開 昭61−25047(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】高温高圧水素下に曝される鉄鋼製装置材料
を加熱して、300〜600℃の温度範囲で放出される水素量
を測定し、該放出される水素量の変化から前記装置材料
の水素侵食の程度を判定することを特徴とする装置材料
の水素侵食の非破壊検査方法。 - 【請求項2】高温高圧水素下に曝される鉄鋼製装置材料
に水素を強制的に吸蔵させた後、該材料を加熱して、30
0〜600℃の温度範囲で放出される水素量を測定し、該放
出される水素量の変化から前記装置材料の水素侵食の程
度を判定することを特徴とする装置材料の水素侵食の非
破壊検査方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62159380A JPH0715436B2 (ja) | 1987-06-26 | 1987-06-26 | 装置材料の水素侵食の非破壊検査方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62159380A JPH0715436B2 (ja) | 1987-06-26 | 1987-06-26 | 装置材料の水素侵食の非破壊検査方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS643549A JPS643549A (en) | 1989-01-09 |
| JPH0715436B2 true JPH0715436B2 (ja) | 1995-02-22 |
Family
ID=15692548
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP62159380A Expired - Lifetime JPH0715436B2 (ja) | 1987-06-26 | 1987-06-26 | 装置材料の水素侵食の非破壊検査方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0715436B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61286735A (ja) * | 1985-06-14 | 1986-12-17 | Japan Steel Works Ltd:The | 水素貯蔵用合金の水素吸収−放出平衡圧の測定方法 |
-
1987
- 1987-06-26 JP JP62159380A patent/JPH0715436B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS643549A (en) | 1989-01-09 |
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