JPH07157354A - セメント質組成物、それを用いたセメント質硬化体及び該硬化体の製造方法 - Google Patents

セメント質組成物、それを用いたセメント質硬化体及び該硬化体の製造方法

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JPH07157354A
JPH07157354A JP34049093A JP34049093A JPH07157354A JP H07157354 A JPH07157354 A JP H07157354A JP 34049093 A JP34049093 A JP 34049093A JP 34049093 A JP34049093 A JP 34049093A JP H07157354 A JPH07157354 A JP H07157354A
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acid
cementitious
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Hisakazu Hatsuji
尚和 初治
Mitsuhiro Maehama
充宏 前浜
Kiyoto Doi
清人 土井
Mitsusachi Mizoguchi
光幸 溝口
Masaki Hasegawa
正木 長谷川
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水硬性セメントとホルムアルデヒド系樹脂前
駆体とα,β−不飽和多塩基酸及び/または飽和多塩基
酸と分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合
物を含有するセメント質組成物である。この組成物を所
定形状に成形後、加熱硬化することによりセメント質硬
化体製品を得る。 【効果】 従来技術で得られるものに比し、曲げ強度が
優れ、高強度なセメント質硬化体製品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土木・建築分野を中心
に電気・電子製品、輸送機器等の広い分野において使用
することの可能なセメント質組成物、それを用いた硬化
体及びその製造方法に関するものである。さらに詳細に
は、従来技術で得られることができない高強度なものが
得られるセメント質組成物、その硬化体及びその該硬化
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、水硬性セメントを用いて製造され
るセメント製品は、安価であり、高い圧縮強度をもつと
いう特性があるが故に、土木・建築分野を中心に広く使
用されている。しかしながら、一般のセメント製品は曲
げ強度が50〜100kgf/cm2 程度しかないとい
う短所を合わせ持っている。そのために、その使用範囲
が限定される傾向にある。さらには、ある程度の強度を
もたせるために、厚みが必要となり、成形物の重量がか
なり大きくなり、施工性や輸送、ハンドリング等に難を
来す場合がある。この低い曲げ強度を補うために、従来
より様々な工夫がなされてきた。例えば、コンクリート
の内部に補強材を入れることがあげられる。現行では、
鉄筋がコンクリートの補強材として広く用いられてい
る。また、鉄筋の替わりに鋼繊維、ガラス繊維、ポリマ
ー繊維、炭素繊維などの短い繊維を混入する場合があ
る。これは、いわゆる、繊維補強コンクリート(モルタ
ル)である。また、一般にコンクリートやモルタルなど
のセメント水和硬化体の高強度化の方法としては、水和
の際に使用する水の量を少なくして均質に混練りを行
い、硬化体に含まれる気孔を少なくすることが知られて
いる。その例として、高吸水性ポリマーを水のキャリア
として用いることにより、水セメント比で20数%とい
うセメントの水和にぎりぎりの水の量で練り混ぜ、繊維
や高圧縮力成形を必要とせずに、強度向上が図れること
が知られている。また、水を氷の状態にして、混練して
水硬性セメントを硬化させるという試みもある。
【0003】さらには、セメント硬化体中の気孔の最大
径や割合を制限して高強度の硬化体を得ようという技術
が、1981年のバーチャル(Birchall)らの
論文から注目を浴び、様々な研究が進んでいる。これ
は、いわゆる、MDF(Macro−Defect−F
ree)セメントと呼ばれるものである。この関連の技
術は、特公昭59−43431、特公平1−37345
等に水セメント比で25%以下の少ない量の水、水硬性
セメント及びポリビニルアルコールやポリアクリルアミ
ドなどの親水性有機重合体を2本ロールミルなどの高剪
断力で練り混ぜた後に硬化させることにより、高い強度
を有するセメント硬化体が得られることが記載されてい
る。これが、水の量を減らし、且つセメント硬化体中の
気孔の寸法や割合を制限することにより、高強度の硬化
体を得るという技術である。また、耐水性を向上させる
ために、イソシアナート化合物を親水基を有する化合物
と反応させた例がある(特開昭63−206342)。
さらには、ポリマーセメントコンクリート(モルタル)
の技術において、液状ポリマーとして不飽和ポリエステ
ル樹脂を用いる技術がある。これは骨材、練り混ぜ水及
び水溶性触媒と共に、不飽和ポリエステル樹脂を練り混
ぜ、その後、セメントと練り混ぜて作られる。この際の
不飽和ポリエステル樹脂のポリマーセメント比は30%
以上が普通である。また、不飽和ポリエステル樹脂中に
セメントスラリーを強制攪拌しながら添加して得られる
油中水型逆エマルジョンにメチルエチルケトンパーオキ
サイド等のラジカル重合開始剤を添加して硬化させる方
法が知られている(特公昭62−20223、特開昭6
0−33241)。また、水硬性セメントとホルムアル
デヒド系樹脂を用いる技術としては、pH9以下の水硬
性セメントを硬化させた後に、反応性フェノール樹脂を
硬化させるという方法が知られている(特開平2−27
5741)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、補強材
として鉄筋を用いた場合には、コンクリート(モルタ
ル)がひび割れを起こした場合に、塩化物イオン或は酸
性雨等の酸を含有する水分がコンクリート(モルタル)
内部に進入したり、原料中に塩分が存在すると鉄筋に錆
を生じて著しい強度劣化を引き起こすという問題があ
る。また、鉄筋の代わりに鋼繊維、ガラス繊維、ポリマ
ー繊維、炭素繊維などの短い繊維を混入する、いわゆ
る、繊維補強コンクリート(モルタル)の場合にも以下
のような問題点がある。すなわち、ガラス繊維を用いた
時にはセメントのアルカリによるガラス繊維の劣化によ
る耐久性低下の問題、また鋼繊維を用いた時には鉄筋と
同様の問題等があり実用上充分とはいえない。さらには
これら繊維を含む場合、成形が難しい為に、複雑な形状
のものができなく平板状の製品が多いという問題点があ
る。また、繊維が配向性をもって混入された場合に成形
品の異方性がでるという問題点もある。さらには、この
繊維補強コンクリート(モルタル)の曲げ強度も400
kgf/cm2 を超えることは稀である。それ故、さら
なる強度向上が望まれているのが現状である。また、硬
化の際に使用する水の量を少なくして均質に混練りを行
い、硬化体に含まれる気孔を少なくさせるために、高吸
水性ポリマーを水のキャリアとして用いた場合、繊維の
混入や高圧縮力成形を必要とせずに強度向上が図れる
が、それによっても曲げ強度は、300kgf/cm2
程度である。
【0005】また、特公昭59−43431、特公平1
−37345等に記載のように、ポリビニルアルコール
やポリアクリルアミドなどの親水性有機重合体を併用し
て気孔の最大径や割合を制限したMDFセメントは、確
かに過去に例を見ない程の高強度のセメント硬化体とな
る。しかしながら、親水性有機重合体を比較的多量に含
んでいるために、水に浸漬すると強度が著しく低下した
り、膨潤するなど、耐水性に劣るという問題点がある。
この耐水性の向上のために、特公平4−21634や特
公平2−25876に示されるように、一度加熱成形し
たセメント製品にさらに高温の熱をかけ親水性有機重合
体を熱分解するという技術があるが、これによると熱分
解後さらに水和硬化させる必要があり、また二度も高温
で加熱処理をするために製造も煩雑でありかつエネルギ
ーコスト的にも不利であり、さらには初期強度よりも二
次加熱後の強度が劣るという問題点がある。また、特開
昭63−206342に示されるようにイソシアナート
化合物を親水基を有する化合物と反応させるということ
が考えられるが、イソシアナート化合物は強い刺激臭を
有し、また毒性を有するものもあることから混練や成形
をする際の作業上の問題がある。それ故、このMDFセ
メントは現在のところ汎用としては実用化されていな
い。さらには、ポリマーセメントコンクリート(モルタ
ル)の技術において、液状ポリマーとして不飽和ポリエ
ステル樹脂を用いる技術も確立しているが、これは骨
材、練り混ぜ水及び水溶性触媒と共に、不飽和ポリエス
テル樹脂を練り混ぜ、その後、セメントと練り混ぜて硬
化する方法である。この不飽和ポリエステル樹脂混入ポ
リマーセメントコンクリート(モルタル)は、ポリマー
による三次元網状構造により強度の増大が認められる
が、この硬化の際には予め練り混ぜ水を添加するため
に、過剰な水の存在が強度の発現を制限している。すな
わち、この手法で得られるセメント硬化体の曲げ強度
も、せいぜい300kgf/cm2 程度である。また、
特公昭62−20223や特開昭60−33241に示
されるような不飽和ポリエステル樹脂とセメントスラリ
ーとの油中水型逆エマルジョンを形成させてからラジカ
ル重合により硬化させる方法でも、過剰な水の存在が強
度の発現を制限し、この手法で得られるセメント硬化体
の曲げ強度も、せいぜい200〜300kgf/cm2
程度である。特開平2−275741に示されるような
pH9以下の水硬性セメントを硬化させてから反応性フ
ェノール樹脂を硬化させるという技術は、水をセメント
100部に対して10〜80部添加する為に、得られた
硬化体の曲げ強度は150〜550kgf/cm2 の範
囲にとどまっている。すなわち、水硬性セメントを用い
て製造されるセメント製品の分野では、高い曲げ強度を
有し、耐久性に富みかつ耐水性に優れたものを作り出す
技術は未だ見い出されていないが現状である。それ故、
水硬性セメントを用いて製造されるセメント製品は、そ
の曲げ強度が弱いために、製品に厚みが必要となり、重
量が大きくなり、輸送や施工性等の作業性に劣るという
問題点がある。すなわち、使用される分野は制限され、
例えば屋根瓦のように、粘土質が主流とならざるを得な
い場合もある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決するために種々検討を行った結果、水硬性
セメントを硬化させる際に実質的に水を加えない状態
で、α,β−不飽和多塩基酸及び/または飽和多塩基酸
と、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合
物(以下、前述の三種類の化合物を総称する場合は
(不)飽和ポリエステル原料単量体類という。ただし不
飽和ポリエステル原料単量体類とはα,β−不飽和多塩
基酸を必ず一種類以上用いる場合であり、飽和ポリエス
テル原料単量体とはα,β−不飽和多塩基酸を含まない
場合である。)と、飽和ポリエステル重合中間体及び/
または不飽和ポリエステル重合中間体(以下これら重合
中間体を総称する場合は同様に(不)飽和ポリエステル
重合中間体という)と、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体
を共に練り混ぜた後に加熱硬化させることにより、ホル
ムアルデヒド系樹脂前駆体、(不)飽和ポリエステル原
料単量体類同士及び(不)飽和ポリエステル重合中間体
との間での反応により生成する水を利用して水硬性セメ
ントを硬化させうることを見い出した。そして、このよ
うにして得られたセメント質硬化体は、従来のものに比
べて、耐水性に優れかつ極めて高い曲げ強度を有し、製
品をより軽量化できることを見い出し、本発明に至った
のである。すなわち、本発明は (1)(i)水硬性セメント、(ii)ホルムアルデヒド
系樹脂前駆体、(iii)α,β−不飽和多塩基酸及び/ま
たは飽和多塩基酸、及び(iv)分子内に少なくとも2個
以上の水酸基を有する化合物を含有してなることを特徴
とするセメント質組成物、 (2)(i)水硬性セメント、(ii)ホルムアルデヒド
系樹脂前駆体、(iii)α,β−不飽和多塩基酸及び/ま
たは飽和多塩基酸、(iv)分子内に少なくとも2個以上
の水酸基を有する化合物、及び(v)不飽和ポリエステ
ル重合中間体及び/または飽和ポリエステル重合中間体
を含有してなることを特徴とするセメント質組成物、 (3)該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹
脂前駆体である(1)または(2)項記載のセメント質
組成物、 (4)該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂
前駆体である(1)または(2)項記載のセメント質組
成物、 (5)該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体が尿素樹脂前駆
体である(1)または(2)項記載のセメント質組成
物、 (6)セメント質組成物に充填材及び/または添加剤を
用いる(1)または(2)項記載のセメント質組成物、 (7)該添加剤がポリアミドである(6)項記載のセメ
ント質組成物。 (8)該添加剤がポリアクリルアミドである(6)項記
載のセメント質組成物、 (9)該添加剤がポリビニルアルコールである(6)項
記載のセメント質組成物、 (10)(1)、(2)または(6)項記載のセメント
質組成物を硬化させてなることを特徴とするセメント質
硬化体、 (11)セメント質硬化体が成形硬化体であることを特
徴とする(10)項記載のセメント質硬化体、 (12)(i)水硬性セメント、(ii)ホルムアルデヒ
ド系樹脂前駆体、(iii) α,β−不飽和多塩基酸及び/
または飽和多塩基酸、及び(iv)分子内に少なくとも2
個以上の水酸基を有する化合物を含有するセメント質組
成物を加熱することを特徴とするセメント質組成物硬化
体の製造方法、 (13)(i)水硬性セメント、(ii)ホルムアルデヒ
ド系樹脂前駆体、(iii) α,β−不飽和多塩基酸及び/
または飽和多塩基酸、(iv)分子内に少なくとも2個以
上の水酸基を有する化合物、及び(v)不飽和ポリエス
テル重合中間体及び/または飽和ポリエステル重合中間
体を含有するセメント質組成物を加熱することを特徴と
するセメント質組成物硬化体の製造方法、 (14)セメント質組成物に充填材及び/または添加剤
を含有させることを特徴とする(12)または(13)
項記載のセメント質組成物硬化体の製造方法、及び (15)セメント質組成物を所定形状に成形後加熱する
ことを特徴とする(1)、(2)、(13)または(1
4)項記載のセメント質組成物硬化体の製造方法を提供
するものである。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。な
お、以下に記載する水硬性セメント類、化合物類等は、
一部を例示したものであり、この発明を限定するもので
はない。また、必要に応じて添加比率を%及び部で以下
に記載するが、特に記述しない限りは、すべて重量%及
び重量部である。本発明において用いられる水硬性セメ
ントは特に制限はなく、通常用いられるものを用いるこ
とができる。具体的には、例えば普通ポルトランドセメ
ント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランド
セメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポル
トランドセメント等のポルトランドセメント類、高炉セ
メント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の
混合セメント類、超速硬セメント、アルミナセメント、
油井セメント、地熱セメント、カラーセメント、微粉末
セメント等の特殊セメント類及び各種石膏類があげられ
る。さらには、これら水硬性セメントは一種類で用いる
ことがもちろん可能であるが、場合により二種類以上混
合して用いることもできる。
【0008】次に、本発明に用いられるホルムアルデヒ
ド系樹脂前駆体、α,β−不飽和多塩基酸、飽和多塩基
酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合
物、飽和ポリエステル重合中間体及び不飽和ポリエステ
ル重合中間体について説明する。先ずホルムアルデヒド
系樹脂前駆体としては、例えばフェノール樹脂前駆体、
メラミン樹脂前駆体、ユリア樹脂前駆体などを用いるの
が好ましい。本発明においてホルムアルデヒド系樹脂前
駆体とは前記該当樹脂類において、未硬化(硬化する
前)の状態の樹脂のことを示す。これらのホルムアルデ
ヒド系樹脂前駆体には実質的に水の存在しないものを使
用することが好ましい。すなわち、該樹脂前駆体が水溶
性であれば粉末を用いるのが好ましく、また、該前駆体
がアルコール溶性であれば、粉末で用いることがもちろ
ん好ましいが、各成分の混合を容易にするために、該前
駆体を予めアルコール類に任意の濃度で溶解、或いは分
散して使用することがさらに好ましく、不揮発物40〜
70%のアルコール溶液として用いることが特に好まし
い。本発明におけるアルコール類としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘ
キサノール、フェノール、クレゾール、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコールなどの広範囲のアルコー
ルを使用することが可能である。次にα,β−不飽和多
塩基酸としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、
フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、シトラコン酸
等があげられる。次に、飽和多塩基酸のうち飽和二塩基
酸としては、例えば無水フタル酸、フタル酸、イソフタ
ル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフ
タル酸、ハロゲン化無水フタル酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフ
ェニルジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、無水コハ
ク酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン
酸、グルタル酸、ピメリン酸、6−ヘキサジカルボン
酸、ノナンジカルボン酸、無水ヘット酸、無水ハイミッ
ク酸、或はダイマー酸のように長鎖の脂肪族ジカルボン
酸、或はp−オキシ安息香酸、p−(2ーヒドロキシエ
トキシ)安息香酸等のヒドロキシ安息香酸等があげられ
る。また、飽和三塩基酸としては無水トリメリット酸、
トリカルバリル酸、1,3,5−ナフタリントリカルボ
ン酸などがあげられる。さらには、飽和四塩基酸である
無水ピロメリット酸やその他ポリカルボン酸などの飽和
多塩基酸を用いることができる。
【0009】さらに分子内に少なくとも2個以上の水酸
基を有する化合物としては、複数の水酸基を有する有機
化合物、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール等のグリコール類、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、水素化ビスフェノールA、2,2’−ジ(4−ヒド
ロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ジ
(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,3
−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパ
ンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロー
ルエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシ
メチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリストリトール等があげられる。また、上記のホルム
アルデヒド系樹脂前駆体、α,β−不飽和多塩基酸、飽
和多塩基酸及び分子内に少なくとも2個以上の水酸基を
有する化合物については、一種類ずつ用いても良いが、
必要に応じて各々二種類以上の混合物を用いても良い。
【0010】次に、本発明で用いられる(不)飽和ポリ
エステル重合中間体とは、低分子量の飽和アルキッド及
び不飽和アルキッドをいう。この飽和アルキッド及び不
飽和アルキッドを得る手法としては、上記に例示したよ
うなα,β−不飽和多塩基酸及び/または飽和多塩基
酸、及び/またはこれらのアルキルエステル類とグリコ
ール類のような分子内に少なくとも2個以上の水酸基を
有する化合物を反応させて得る方法、及びエチレンオキ
シド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドと酸
無水物との開環共重合によって得る方法等の公知の手法
があげられる。この酸無水物としては、上記に例示した
ようなα,β−不飽和多塩基酸無水物である、例えば無
水マレイン酸、無水イタコン酸等、飽和多塩基酸無水物
である、例えば無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル
酸、無水コハク酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、
無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ロジン無水
マレイン酸等があげられる。すなわち、ここで言う
(不)飽和ポリエステルとは、通常の(不)飽和ポリエ
ステルのことを示している。また、飽和ポリエステルの
場合、用いる原料単量体類の飽和多塩基酸及び分子内に
少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物のうち、少
なくとも一種類の化合物が三官能以上の方が好ましい。
ここでいう三官能とは、飽和多塩基酸の場合はカルボキ
シル基が分子内に3個以上あり、分子内に少なくとも2
個以上の水酸基を有する化合物の場合には3個以上の水
酸基を有するということである。もしも、用いる飽和ポ
リエステル原料単量体類のうち少なくとも一種類が三官
能の場合、セメント硬化時に三次元網状構造が形成さ
れ、高強度の硬化体が得られより好ましい。
【0011】本発明に係わるホルムアルデヒド系樹脂前
駆体の配合割合は、成型性や性能に応じて決めることが
可能であるが、一般には、水硬性セメント100部に対
してホルムアルデヒド系樹脂前駆体5〜100部の範囲
(このとき、アルコールは含まない。)が好ましく、さ
らには7〜60部が好ましい。該前駆体が5部より少な
い場合は、各材料の混合状態が悪く、また、硬化体に欠
陥が生じ易くなり好ましくない。逆に100部より多い
場合は、成型品にひび割れが発生したり、強度も頭打ち
か低下傾向にあるので経済的に好ましくない。次に水硬
性セメントと(不)飽和ポリエステル原料単量体類との
混合比率であるが、水硬性セメント(充填材を含む場合
は、水硬性セメントと充填材を含めた総粉粒体成分)1
00部に対して、(不)飽和ポリエステル原料単量体類
に含まれるカルボキシル基の総有効部は、3〜70部の
範囲が好ましく、さらには3〜40部がより好ましい。
ここでこのカルボキシル基の総有効部とは、α,β−不
飽和多塩基酸及び飽和多塩基酸に含まれるカルボキシル
基のうち、縮合反応で水を生成するのに関与するカルボ
キシル基の部の和のことである。つまりカルボキシル基
の総有効部とは、縮合反応を行った際に縮合水を発生す
るのに有効なカルボキシル基の総重量のことをいう。す
なわち、酸無水物を用いた場合はカルボキシル基は2個
あるが、酸無水物1モルが開環したのち縮合反応で生成
する水は1モルなのでカルボキシル基の有効部は有する
カルボキシル基数の半分となる。この際、カルボキシル
基の総有効部が上記の範囲よりも少ない場合は、生成す
る水の量が少なくセメントの硬化が充分ではなく、欠陥
が生じ易くなり強度も低下して好ましくない。また、カ
ルボキシル基の総有効部が上記の範囲よりも多い場合
は、強度の発現も頭打ち傾向になり経済的に好ましくな
い。同様に、(不)飽和ポリエステル原料単量体類に加
えて、(不)飽和ポリエステル重合中間体を用いる場合
も水硬性セメント(充填材を含む場合は、水硬性セメン
トと充填材を含めた総粉粒体成分)100部に対して、
(不)飽和ポリエステル原料単量体類と(不)飽和ポリ
エステル重合中間体に含まれるカルボキシル基の総有効
部は、3〜70部の範囲が好ましく、さらには3〜40
部がより好ましい。また、この(不)飽和ポリエステル
重合中間体は、カルボキシル基及び/または水酸基を多
く含んでいることが好ましい。カルボキシル基について
は酸価で知ることが可能であり、水酸基の量については
水酸基価で知ることが可能である。この酸価及び/また
は水酸基価の範囲は50以上が好ましく、さらには10
0以上がより好ましい。この酸価及び/または水酸基価
が50未満の場合は、(不)飽和ポリエステル重合中間
体に含まれるカルボキシル基及び/または水酸基の量が
少ないために、発生する水の量が少なく、使用する
(不)飽和ポリエステル重合中間体の量が多くなり経済
的に好ましくないばかりでなく、セメント硬化時の三次
元網状構造が充分ではなく、強度の発現が充分とは言え
ない場合もあり、好ましくない。ここで、この酸価及び
水酸基価とは通常の(不)飽和ポリエステルの酸価及び
水酸基価のことである。すなわち、酸価とは(不)飽和
ポリエステル重合中間体1gを中和するのに必要なKO
Hのmg数であり、水酸基価とは同様に1g中に含まれ
る水酸基と同モルのKOHのmg数で表された数値であ
り、(不)飽和ポリエステル重合中間体に含まれている
カルボキシル基または水酸基の量の指標である。α,β
−不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸、分子内に少なくとも
2個以上の水酸基を有する化合物及び(不)飽和ポリエ
ステル重合中間体の比率については、α,β−不飽和二
塩基酸と飽和多塩基酸の総モル数と、分子内に少なくと
も2個以上の水酸基を有する化合物及び(不)飽和ポリ
エステル重合中間体に含まれる水酸基の総モル数との比
が1:0.5〜2.0の範囲であることが好ましい。ま
た、(不)飽和ポリエステル原料単量体類と(不)飽和
ポリエステル重合中間体の総量と、ホルムアルデヒド系
樹脂前駆体の混合比率であるが、0.5:99.5〜9
9.5:0.5の範囲であることが好ましい。また、
(不)飽和ポリエステル原料単量体類、(不)飽和ポリ
エステル重合中間体及びホルムアルデヒド系樹脂前駆体
の総量は、セメント100部に対して200部を超えな
い範囲が好ましい。
【0012】また、本発明のセメント質組成物を混練、
成形する際には、その目的、用途に応じて各種充填材を
添加することができる。その量は得られるセメント質硬
化体の特性を損なわない範囲で用途などに合わせて適宜
に決められるが、好ましくは水硬性セメント100部に
対して0〜300部程度が好ましい。充填材としては、
砂類(川砂、海砂、山砂)、砂利類(川砂利、海砂利、
山砂利)、砕砂、砕石、高炉スラグ骨材、軽量骨材、重
量骨材等の骨材類、フライアッシュ、高炉スラグ微粉
末、膨張材、シリカヒューム、無機顔料や有機顔料等の
着色材、またプラスチックや紙やゴム等の難燃剤として
使用される水酸化アルミニウム等があげられる。さらに
は、本発明のセメント質組成物には、成形時に可塑性や
流動性の向上を図る目的でグリセリン、グリセロールト
リアセテート、ポリエチレングリコール、フルフラー
ル、ジブチルフタレート、アルキルフェノール、ステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ロジン、さら
には、酸アミド結合を有するポリマーであるポリアミ
ド、側鎖にアミド基を有するポリアクリルアミド、多価
の水酸基を有するポリビニルアルコール等のいわゆる、
滑剤及びその他の慣用の添加剤を加えることができる。
これらの中で分子内に2個以上の水酸基をもつものは、
本発明に用いられる(不)飽和ポリエステル原料単量体
類及び(不)飽和ポリエステル重合中間体が硬化する際
に、一緒に硬化して強度に寄与する場合があり、好まし
い。なかでも、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリ
ビニルアルコールは、賦形性に優れ、かつ強度に寄与す
る場合があり、より好ましい。すなわちポリアミドやポ
リアクリルアミドはホルムアルデヒド系樹脂前駆体との
間でメチレン化反応に準ずる反応が進行し、強度、耐久
性を向上させる可能性があるので特に好ましい。さら
に、これらの添加剤を粉末で用いる場合は混合前に予め
微粉砕することが好ましい。またこれらの添加剤は、直
接ホルムアルデヒド系樹脂前駆体や(不)飽和ポリエス
テル原料単量体類等に添加することができるが、予め、
アルコール類やN,N−ジメチルアセトアミド等に溶解
あるいは、分散して使用することも可能である。これら
の添加剤の使用量は特に制限はなく、その目的に合わせ
て適宜に決められるが、一般にホルムアルデヒド系樹脂
前駆体、(不)飽和ポリエステル原料単量体類、及び
(不)飽和ポリエステル重合中間体の総量100部に対
して、0.5〜30部の範囲が好ましく、さらに2〜2
0部がより好ましい。すなわち0.5部未満ではその効
果が無く、30部以上では改質効果は頭打ちになり経済
的に好ましくない。
【0013】また、充填材及び/または水硬性セメント
とホルムアルデヒド系樹脂前駆体、(不)飽和ポリエス
テル原料単量体類、及び飽和ポリエステル重合中間体及
び/または不飽和ポリエステル重合中間体との接着力を
改善し、強度や耐久性を向上させるために、強度や耐久
性を向上させる添加剤として上記の他に、シランカップ
リング剤を添加することができる。このシランカップリ
ング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を使用する
ことができる。次に水硬性セメントとホルムアルデヒド
系樹脂前駆体及び(不)飽和ポリエステル原料単量体類
及び(不)飽和ポリエステル重合中間体と必要に応じて
加えられる充填材及び/または添加剤の混練は、アイリ
ッヒミキサーやスパイラルミキサー等の慣用の混合装置
を用いて行うことができる。すなわち、例えばニーダ
ー、バンバリミキサー、モルタルミキサー、ブレンダ
ー、二本ロール等の混合機を用いて、水硬性セメントと
ホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び(不)飽和ポリエス
テル原料単量体類及び飽和ポリエステル重合中間体及び
/または不飽和ポリエステル重合中間体の混合割合によ
り、粉体状、ペースト状或はドウ状に混合することがで
きる。
【0014】混練したセメント質組成物は、例えばロー
ル成形、押し出し成形、プレス成形或は型枠へ流し込ん
で所定の寸法形状に成形した後、加熱処理をして硬化さ
せることができる。この際、混練後の材料を乾燥、粉
砕、分級したものを成形材料として、圧縮成形、押し出
し成形、射出成形した後に加熱処理をして硬化させるこ
とも可能である。この硬化の際の加熱温度は、100〜
300℃の範囲が好ましく、さらには150〜250℃
の範囲がより好ましい。加熱温度が低い場合、ホルムア
ルデヒド系樹脂前駆体、(不)飽和ポリエステル原料単
量体類、(不)飽和ポリエステル重合中間体の硬化反応
が充分に進行しないために、充分な強度が得られない。
加熱温度が高すぎると、経済的に好ましくないばかりで
はなく、加熱により硬化して形成された三次元網状構造
が分解し、強度低下を引き起こすので好ましくない。ま
た、加熱時間は、加熱温度、使用される水硬性セメン
ト、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体、(不)飽和ポリエ
ステル原料単量体類及び(不)飽和ポリエステル重合中
間体の混合割合により決定されるが、通常30分〜21
時間が好ましい。
【0015】以上のようにして本発明によって得られる
セメント製品は、そのままの外観でも使用することが可
能であるが、使用する用途により、合成樹脂塗料やうる
しなどで塗装を施したり、顔料を添加したり、化粧紙を
貼ったりして、美観を向上させた後に使用することも可
能である。さらには、本発明のセメント質硬化体は、必
要に応じて通常の繊維補強コンクリートのように、鋼繊
維、ガラス繊維、ポリマー繊維、炭素繊維等の短繊維で
補強することも可能である。次に、本発明によって得ら
れるセメント質硬化体の使用される分野であるが、高強
度であり、耐水性があり、かつ難燃性である等の優れた
特性を活かし、以下のような分野に適応することが可能
である。例えば、床材、外壁、天井、間仕切り壁、屋根
スレート、カウンター、流し、洗面台、階段の踏み板、
屋根瓦、水槽、コンクリート型枠、コンクリート補強
材、カプセルハウス等のいわゆる、建築用部材に使用す
ることが可能である。また、舗装材(道路用、歩道用、
歩道橋用、駐車場用、滑走路用等)、管類(下水道用、
灌漑用、電力ケーブル用、通信ケーブル用、U字管、L
字管等)、マンホール及びハンドホール(電力ケーブル
管路用、通信ケーブル管路用、ガスパイプライン用
等)、シールド工法用セグメント、側溝ますぶた、管被
覆材、道路用高欄、橋脚等のいわゆる、土木用部材にも
使用することが可能である。さらには、がいし等の絶縁
部品、電気設備用非電導性非磁性支保工、IC封止材
(ICパッケージやIC基板)、パラボラアンテナ等の
電気・電子製品用部材にも使用することが可能である。
船舶部品、電車や列車の床等の車両部品、パレット等の
輸送機器用部材にも使用することが可能である。また、
音響製品や制振材等への使用も考えられる。ただし、以
上の使用例はほんの一部であり、上記に例示した分野に
使用が限定されるわけではない。さらには、本願発明の
セメント質製品は、他の様々な材料と複合化して用いる
ことも可能である。すなわち、本発明によって得られる
セメント質製品が上記に例示したようなものに用いられ
た場合、従来のセメント質製品よりも高強度、或は同一
強度で軽量化が図ることができ、施工性や輸送、ハンド
リング等の利点がある。さらには従来セメント質製品が
用いられなかった分野への利用も図ることができる。
【0016】
【作用】このように、本発明によれば実質的に水を加え
なくても、縮合水のみを用いてセメント質硬化体を得る
ことができる。ただし、本発明のセメント質組成物に
は、事前の成形性を考慮し少量の水を加えても構わな
い。ここで、本願発明のセメント硬化体が、従来の強度
に比べ驚くべき高強度を有する理由としては、未だ充分
には解明されていないが、以下のように考えることがで
きる。すなわち、本発明のセメント質組成物を加熱処理
することにより、まずホルムアルデヒド系樹脂前駆体及
び(不)飽和ポリエステル原料単量体類の縮合反応が起
こり、縮合水が生成する。この縮合水が水硬性セメント
の水和反応を引き起こす。この際の水和反応は、セメン
ト粒子の表面のみを水和させる。このことは、セラミッ
クスのような粒界面での均一な接着が可能となり、非常
に均質な構造を形成すると予想される。また、この時生
成した(不)飽和ポリエステル及び添加された(不)飽
和ポリエステル重合中間体やホルムアルデヒド系樹脂前
駆体は、それ自身が加熱処理で架橋反応を起こしたり、
脱水縮合する等の反応を起こして三次元網状構造を形成
すると思われる。すなわち、反応により発生する縮合水
による水硬性セメントの水和反応と生成した(不)飽和
ポリエステル及び添加された(不)飽和ポリエステル重
合中間体やホルムアルデヒド系樹脂前駆体の三次元網状
構造の形成の相互作用により、高強度のセメント質製品
が得られると考えられる。
【0017】
【実施例】以下、合成例、実施例及び比較例にて本発明
を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。まず、アルコール溶性フェノール樹脂前駆
体、飽和ポリエステル重合中間体及び不飽和ポリエステ
ル重合中間体の製造方法について説明する。
【0018】合成例1 攪拌機、コンデンサー、温度計のついた1L容の三つ口
フラスコに、376g(4.0モル)のフェノール、5
84部(7.2モル)の37%ホルマリン、37.6部
のメタノールを順次仕込んだ後に、フレークソーダを添
加してpH8.9に調整した。これを90℃まで昇温
し、この温度で2時間反応させた。次に80℃まで冷却
し、二次反応を溶液粘度が100cp/20℃になるま
で行った。二次反応終了後、直ちに冷却を行い、液温を
50℃とした。ここでコンデンサーをサイホンに替え、
減圧濃縮した。これに不揮発分が60%となるようにメ
タノールを加えた。このようにして得られたアルコール
溶性レゾール型フェノール樹脂に含まれる水分をカール
フィッシャー法によって測定したところ、水分量は1.
7%であった。このアルコール溶性レゾール型フェノー
ル樹脂を合成物Pとする。
【0019】合成例2 攪拌機、コンデンサー、温度計、不活性ガス導入管を取
り付けた1L容の四つ口フラスコに、233g(2.2
モル)のジエチレングリコール、98部(1モル)の無
水マレイン酸、148部(1モル)の無水フタル酸を仕
込み、窒素ガスを吹き込みながら、油浴で85℃に加熱
し、この時点で攪拌を開始した。その後、1時間かけて
温度を150℃まで上げ、更に3時間かけて210℃と
した。210℃で1時間保ったのち、コンデンサーをサ
イホンに替え100〜200mmHgの減圧にし、さら
にこの状態で反応を進め、時々サンプリングを行い、酸
価を測定した。酸価が100になった時点で温度を下
げ、重合禁止剤として約0.02gのヒドロキノンを加
えた。得られた不飽和ポリエステルは微黄色を呈してお
り、この不飽和ポリエステルを合成物Aとし、組成及び
物性を表1に示す。
【0020】合成例3 合成例2と同様の装置の付いたフラスコを用いて、18
4g(2.0モル)のグリセリン、294部(3.0モ
ル)の無水フタル酸を仕込んだ後に、合成例2と同様の
操作を行い、酸価90、微黄色を呈する飽和ポリエステ
ルを得た。この飽和ポリエステルを合成物Bとし、組成
及び物性を表1に示す。 合成例4 合成例2と同様の装置の付いたフラスコを用いて、合成
例2と同様の組成で反応を行い、酸価が35になった時
点で温度を下げ、重合禁止剤として約0.02gのヒド
ロキノンを加え、さらに70%不飽和ポリエステル樹脂
溶液となるように25℃のスチレンをよく攪拌しながら
加えて微黄色を呈する不飽和ポリエステル樹脂を得た。
これを合成物Cとし、組成及び物性を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】実施例1 水硬性セメントとして三種混合した普通ポルトランドセ
メント(小野田セメント(株)製、徳山曹達(株)製、
三菱マテリアル(株)製)を100部、ホルムアルデヒ
ド系樹脂前駆体として合成例1で得られたフェノール樹
脂前駆体である合成物P21.6部、不飽和ポリエステ
ル原料単量体類としてジエチレングリコール23.3
部、マレイン酸11.6部及びフタル酸16.6部、さ
らに滑剤としてグリセリン3.0部をモルタルミキサー
中で6分間混練した。この混練物を、回転比が同じ一対
のロール間を20回通過させて、厚さ約1.5mmのシ
ート状に成形し、幅25mm、長さ75mmに切り出し
た。所定の寸法に切り出した10個の成形体を200℃
で8時間加熱処理を行って硬化させ、セメント質製品を
得た。この硬化供試体のうち、5個は直ちに曲げ試験を
行い、残り5個は20℃の水中で7日間浸漬後曲げ試験
を行った。なお、曲げ試験は支点間距離を50mmとし
て、JISR5201に準じて行った。結果を表2に示
す。尚、この場合のカルボキシル基の総有効部は次のよ
うにして求めることができる。この実施例では、カルボ
キシル基を有する化合物としてマレイン酸11.6部、
フタル酸16.6部を用いている。マレイン酸、フタル
酸の分子量は各々、116、166である。また、マレ
イン酸及びフタル酸は分子内に2個のカルボキシル基を
有しており、これらが縮合反応することにより、カルボ
キシル基1モルに対して発生する縮合水は理論上1モル
である。すなわち、分子内に2個のカルボキシル基を持
つということは、縮合反応により2個の縮合水を発生す
るということである。ここで、カルボキシル基の分子量
は、45である。よって、この実施例中のマレイン酸に
含まれるカルボキシル基の有効部とは、 (11.6/116)×2×45=9部 同様に、フタル酸中に含まれるカルボキシル基の有効部
とは、 (16.6/166)×2×45=9部 従って、この実施例で用いられる原料単量体中のカルボ
キシル基の総有効部は、9+9=18部となる。
【0023】実施例2 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として、フェノール樹脂
前駆体のアルコール溶液(昭和高分子(株)製、商品名
ショウノールBRS−330、不揮発分60.6%)2
1.6部、添加剤としてアミド結合の水素をメトキシメ
チル基で30%置換したN−メトキシメチル化ポリアミ
ド(帝国化学産業(株)製、商品名トレジンEF−30
T)1.8部を用いた以外は、実施例1と全く同様にし
て(同様の組成及び操作で)供試体を得て、曲げ強度を
測定した。結果を表2に示す。 実施例3 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として尿素樹脂前駆体の
アルコール溶液(三井東圧化学(株)製、商品名ユーバ
ン10R、不揮発分50%)18.0部を用いた以外
は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度
を測定した。結果を表2に示す。
【0024】実施例4 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体としてメラミン樹脂前駆
体のアルコール溶液(三井東圧化学(株)製、商品名ユ
ーバン22R、不揮発分50%)18.0部を用いた以
外は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強
度を測定した。結果を表2に示す。 実施例5 不飽和ポリエステル原料単量体類としてジエチレングリ
コール12.0部、無水マレイン酸9.8部及び無水フ
タル酸14.8部、さらに合成例2で得られた不飽和ポ
リエステル重合中間体である合成物A20部を用いた以
外は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強
度を測定した。結果を表2に示す。 実施例6 不飽和ポリエステル原料単量体類としてジエチレングリ
コール12.0部、無水マレイン酸9.8部及び無水フ
タル酸14.8部、さらに合成例3で得られた飽和ポリ
エステル重合中間体である合成物B20部を用いた以外
は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度
を測定した。結果を表2に示す。 実施例7 不飽和ポリエステル原料単量体類として2,2’−ジ
(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン71.6
部、マレイン酸8.6部、イタコン酸2.4部、フタル
酸10.2部、コハク酸4.2部、アジピン酸3.8
部、滑剤としてグリセリン2.0部、さらに添加剤とし
て実施例2で用いたポリアミド2.2部を用いた以外
は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度
を測定した。結果を表2に示す。
【0025】実施例8 不飽和ポリエステル原料単量体類として水素化ビスフェ
ノールA51.8部、無水マレイン酸8.2部、フマル
酸9.6部、イソフタル酸10.2部、トリカルバリル
酸2.3部、滑剤としてグリセリン2.0部、さらに添
加剤としてポリアクリルアミド(三井サイアナミッド
(株)製、商品名アコフロックN100−S)3.0部
を用いた以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。 実施例9 添加剤としてポリビニルアルコール(日本合成(株)
製、商品名ゴーセノールKH17S)1.8部を用いた
以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ
強度を測定した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】実施例10 水硬性セメントとして実施例1で用いた三種混合した普
通ポルトランドセメントのうち50部をアルミナセメン
ト(電気化学工業(株)製)に置き換えた以外は、実施
例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度を測定し
た。結果を表3に示す。 実施例11 水硬性セメントとしてアルミナセメントを100部を使
用した以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表3に示す。実 施例12 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として合成例1で得られ
た合成物P6.3部、不飽和ポリエステル原料単量体類
としてジエチレングリコール12.0部、マレイン酸
5.8部及びフタル酸8.3部、さらに添加剤として実
施例2で用いたポリアミド0.9部を用いた以外は、実
施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度を測定
した。結果を表3に示す。
【0028】実施例13 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として合成例1で得られ
た合成物P43.7部、不飽和ポリエステル原料単量体
類としてジエチレングリコール43.0部、マレイン酸
23.2部及びフタル酸33.2部、さらに添加剤とし
て実施例2で用いたポリアミド3.4部を用いた以外
は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度
を測定した。結果を表3に示す。 実施例14 不飽和ポリエステル原料単量体類として無水マレイン酸
24.2部及び無水フタル酸27.2部を用いた以外
は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度
を測定した。結果を表3に示す。 実施例15 飽和ポリエステル原料単量体類として無水フタル酸2
2.2、滑剤としてグリセリン9.2部、合成例2で得
られた不飽和ポリエステル重合中間体である合成物A2
0.0部、さらに添加剤として実施例2で用いたポリア
ミド1.4部を用いた以外は、実施例1と全く同様にし
て供試体を得て、曲げ強度を測定した。結果を表3に示
す。 実施例16 不飽和ポリエステル原料単量体類としてプロピレングリ
コール12.0部、フマル酸6.1部、イタコン酸2.
9部、フタル酸2.5部及びイソフタル酸10.0部を
用いた以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表3に示す。 実施例17 不飽和ポリエステル原料単量体類としてエチレングリコ
ール15.5部、コハク酸21.2部及びトリカルバリ
ル酸7.0部を用いた以外は、実施例1と全く同様にし
て供試体を得て、曲げ強度を測定した。結果を表3に示
す。 実施例18 不飽和ポリエステル原料単量体類としてジエチレングリ
コール15.9部、アジピン酸13.1部、トリカルバ
リル酸5.9部、さらに添加剤として実施例2で用いた
ポリアミド1.4部を用いた以外は、実施例1と全く同
様にして供試体を得て、曲げ強度を測定した。結果を表
3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】比較例1 実施例1で使用した三種混合したポルトランドセメント
100部、水65部、細骨材(砂)200部及び粗骨材
(砂利)280部を平行二軸型コンクリートミキサーで
混練し、型枠中に流し込み、20℃で24時間放置後に
脱型し、20℃で28日間水中で養生を行った後に、J
ISR5201に準じて曲げ試験を行った。結果を表4
に示す。 比較例2 合成例4で得られた合成物Cを35部、及び重合触媒と
してベンゾイルパーオキシド3部、及び水25部を予め
混練し、実施例1と同様の三種混合したポルトランドセ
メント100部を添加して、実施例1と同様にモルタル
ミキサー及びロールで混練、成形後、加熱処理を行い、
供試体を得て、曲げ強度を測定した。結果を表4に示
す。 比較例3 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として合成例1で得られ
たフェノール樹脂前駆体である合成物P2.0部、不飽
和ポリエステルの原料単量体類としてジエチレングリコ
ール2.5部、マレイン酸1.3部及びフタル酸1.8
部を用いた以外は、実施例1と全く同様にして供試体を
得て、曲げ強度を測定した。結果を表4に示す。 比較例4 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として合成例1で得られ
たフェノール樹脂前駆体である合成物P2.0部、不飽
和ポリエステルの原料単量体類としてプロピレングリコ
ール2.3部、無水マレイン酸1.4部、無水フタル酸
1.9部、合成例2で得られた合成物Aを10部、さら
に添加剤として実施例2で得られたポリアミド1.4部
を用いた以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表4に示す。
【0031】比較例5 アルミナセメント100部、添加剤としてポリビニルア
ルコール(日本合成化学工業(株)製、商品名ゴーセノ
ールKH17S)7.0部をドライブミックスして得ら
れた混合物にグリセリン0.7部を含有する水11.5
部を添加した。さらにこの混合物をモルタルミキサー中
で6分間混練し、この混練物を回転比が同じ一対のロー
ル間を20回通過させて、厚さ約1.5mmのシート状
に成形し、温度80℃で30kgf/cm2 の加圧下の
油圧プレスで10分間加圧した。その後、20℃で24
時間放置後、80℃で15時間加熱してシートを乾燥さ
せた。このシートを所定の寸法に切り出し、実施例1と
同様に5個は直ちに曲げ試験を行い、残り5個は20℃
の水中で7日間浸漬後曲げ試験を行った。結果を表4に
示す。 比較例6 ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として合成例1で得られ
た合成物P2.0部、不飽和ポリエステルの原料単量体
類としてジエチレングリコール3.4部、アジピン酸
2.2部、トリカルバリル酸0.59部、さらに添加剤
としてポリアクリルアミド(三井サイアナミッド(株)
製、商品名アコフロックN100−S)1.4部を用い
た以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲
げ強度を測定した。結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】次に、本発明で得られるセメント質組成物
を建築用部材、土木用部材、電気・電子用部材、輸送機
器部材に用いた場合を実施例、比較例にて説明するが、
用途としては膨大な量となるために、それぞれ代表的な
例にて説明する。まず、建築用部材の代表例として、以
下に本願発明のセメント質製品を屋根瓦に用いた場合に
ついて説明する。
【0034】実施例19 実施例1と同様三種混合のポルトランドセメントを10
0部、砂200部、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体とし
て合成例1で得られたフェノール樹脂前駆体である合成
物P32.4部、不飽和ポリエステルの原料単量体とし
てジエチレングリコール35.0部、無水マレイン酸1
4.7部及び無水フタル酸22.2部、滑剤としてグリ
セリン3.0部、さらに添加剤としてアミド結合の水素
をメトキシメチル基で30%置換したN−メトキシメチ
ル化ポリアミド(帝国化学産業(株)製、商品名トレジ
ンEF−30T)1.5部を混合し、練り混ぜた後に真
空押出成形機にて押出し圧力45kgf/cm2 の条件
で型枠中(315×305×12mm)に入れ、次にプ
レスにて加圧(プレス条件:200kgf/cm2)し
て成形を行った。この成形体を200℃で8時間加熱処
理を行って硬化させ、50℃−100%RHにて7日間
養生を行い、セメント質瓦を得た。これを屋根瓦Aとし
てJISA5402に準じて曲げ試験を行ったところ、
曲げ破壊荷重1305kgf(曲げ強度891kgf/
cm2 )であった。この結果を表5に示す。この値は、
JISに定められているセメント瓦の強度を大幅に越え
るものであった。
【0035】実施例20 型枠の厚みを変えた(315×305×5mm)以外
は、実施例19と同一の押出成形及びプレス条件及び養
生条件にて、セメント質瓦を得た。これを屋根瓦Bとし
て実施例19と同様に曲げ試験を行ったところ、曲げ破
壊強さ218kgf(859kgf/cm2 )であっ
た。この結果を表5に示す。この値は、厚さが薄く軽量
化されているのにも関わらず、JISに定められている
セメント瓦の強度を充分に越えるものであった。
【0036】比較例7 三種混合したポルトランドセメントを100部及び砂2
00部、さらに水166部を混合し、練り混ぜた後に実
施例19と同一の押出成形及びプレス条件及び養生条件
にて、セメント質瓦を得た。これを屋根瓦Cとして、実
施例19と同様に曲げ試験を行ったところ、曲げ破壊強
さ198kgf(135kgf/cm2)であった。そ
の結果を表5に示す。この値も、JISに定められてい
るセメント瓦の強度を越えるものである。 比較例8 粘土瓦を得るために、三河瓦粘土100部及び水15部
を用いて、実施例19と同一の条件にて押出成形及びプ
レスを行い、さらに100℃で30時間乾燥後、110
0℃で17時間焼成し、粘土瓦Aを得た。これを実施例
19と同一の養生を行った後に、屋根瓦Dとし同様に曲
げ試験を行い、その結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】次に、土木用部材として本願発明のセメン
ト質製品を舗装用コンクリート平板及び道路の排水側溝
として用いられる鉄筋コンクリートU形に用いた場合に
ついて説明する。
【0039】実施例21 実施例1と同様に三種混合したポルトランドセメントを
100部、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として合成例
1で得られたフェノール樹脂前駆体である合成物P2
0.8部、不飽和ポリエステルの原料単量体類としてジ
エチレングリコール23.3部、無水マレイン酸9.8
部及び無水フタル酸14.8部、さらに滑剤としてグリ
セリン5.2部を混合し、練り混ぜた後に真空押出成形
機にて押出し圧力45kgf/cm2 の条件で型枠中
(330×330×60mm)に入れ、次にプレスにて
加圧成形(プレス条件:200kgf/cm2 )を行っ
た。この成形体を200℃で8時間加熱処理を行って硬
化させ、硬化体を得た。これを平板AとしてJISA5
304に従って曲げ試験を行ったところ、曲げ破壊強さ
33000kgf(曲げ強度1000kgf/cm2
であった。この結果を表6に示す。 実施例22 型枠の厚みを15mmと薄くした以外は、実施例21と
同様の操作を行い、硬化体を得て、平板Bとした。JI
SA5304に従って曲げ試験を行ったところ、曲げ破
壊強さ2080kgf(曲げ強度1009kgf/cm
2 )であった。この結果を表6に示す。 比較例9 市販されている舗道用コンクリート平板(N330:寸
法330×330×60mm)をJISA5304に従
って曲げ試験を行ったところ、曲げ破壊強さ1980k
gf(曲げ強度60kgf/cm2 )であった。この結
果を表6に示す。
【0040】
【表6】
【0041】実施例23 実施例1と同様に三種混合したポルトランドセメントを
100部、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体として合成例
1で得られたフェノール樹脂前駆体である合成物P2
0.8部、不飽和ポリエステルの原料単量体類としてジ
エチレングリコール23.3部、無水マレイン酸9.8
部及び無水フタル酸14.8部、さらに滑剤としてグリ
セリン5.2部を混合し、練り混ぜた後に真空押出成形
機にて押出し圧力45kgf/cm2 の条件でJISA
5305記載の鉄筋コンクリートU形の呼び名180の
寸法の型枠(本体及び2種ふた)中に入れ、次にプレス
にて加圧成形(プレス条件:200kgf/cm2 )を
行った。この成形体を200℃で8時間加熱処理を行っ
て硬化させ、硬化体を得た。これをU形本体A及びU形
ふたAとしてJISA5305に従って曲げ試験を行っ
たところ、本体Aの曲げ破壊強さは37100kgf
(曲げ強度811kgf/cm2 )であり、ふたAの曲
げ破壊強さは98000kgf(曲げ強度804kgf
/cm2 )であった。この結果を表6に示す。 実施例24 本体の型枠の厚みを10mmと薄くし、ふたの型枠の厚
みを20mmとした以外は、実施例23と同様の操作を
行って硬化体を得て、U形本体B及びふたBとした。こ
れらを同様に曲げ試験を行ったところ、本体Bは曲げ破
壊強さ2340kgf(曲げ強度819kgf/cm
2 )であり、ふたBの曲げ破壊強さは6150kgf
(曲げ強度807kgf/cm2 )であった。この結果
を表7に示す。
【0042】比較例10 市販されている鉄筋コンクリートU形(JISA530
5記載の呼び名180の本体及び2種ふた)をU形本体
C及びU形ふたCとし、JISA5305に従って曲げ
試験を行ったところ、本体Cの曲げ破壊強さは2330
kgf(曲げ強度51kgf/cm2 )であり、ふたC
の曲げ破壊強さは5850kgf(曲げ強度48kgf
/cm2 )であった。この結果を表7に示す。
【0043】
【表7】
【0044】次に、電気・電子用部材の代表例として、
以下に本発明のセメント質製品をICパッケージ本体に
用いた場合について説明する。 実施例25 実施例11で得られた供試体に関して、電気・電子用部
材として必要とされる項目である曲げ強度、熱電導率、
体積抵抗率、誘電率の測定を行った。この結果を表8に
示す。 実施例26 実施例11の配合に加えて、長さ10mmの耐アルカリ
ガラス繊維を10部用いた以外は同様の操作を行い、供
試体を得て、実施例25と同様の測定を行った。この結
果を表8に示す。 比較例11 一般的なICセラミックスパッケージ本体(Al23
86〜94%)について、実施例25と同様の項目の測
定を行った。曲げ強度、熱電導率、体積抵抗率、誘電率
の測定を行った。この結果を表8に示す。
【0045】
【表8】
【0046】
【発明の効果】本発明で得られるセメント質組成物は、
実施例1〜18及び表2〜4に示したように、明らかに
極めて高い曲げ強度を有する。これは、通常のセメント
コンクリートや従来技術のポリマーセメントコンクリー
ト(モルタル)では到底達成出来ない程の驚くべき強度
である。このことは、比較例1の通常のセメントコンク
リート及び不飽和ポリエステル樹脂を用いた従来型のポ
リマーセメントである比較例2と比べた場合に明らかで
ある。さらには、比較例5のいわゆる、従来のMDFセ
メントと比較してみた場合、このMDFセメントの問題
点であった耐水性の弱さを解決している。さらに、本発
明で得られるセメント質組成物を製品化した場合は、そ
の高い曲げ強度、電気的特性等により、建築用、土木
用、電気・電子用、輸送製品用等の様々な分野に応用が
可能なことが明らかである。すなわち、建築用部材の代
表例としては、実施例19、20及び比較例7、8に屋
根瓦で示した。この結果をまとめた表5をみると本発明
で得られるセメント質瓦は、従来のセメント瓦や粘土瓦
よりも高強度なために薄くすることが可能である。すな
わち、同一強度で重量が半分以下にすることが可能とな
り、製品輸送や施工作業性の大きな改善を図ることがで
きる。さらには、粘土瓦は1100℃程度の高温でしか
も長時間の焼成が必要であるのに対して、本発明で得ら
れるセメント質瓦は、エネルギーコスト的にも改善が図
ることができる。さらに、土木用部材の代表例として
は、実施例21〜24及び比較例9、10に舗道用コン
クリート平板及び鉄筋コンクリートU形で示した。表6
及び表7から明らかなように、本発明で得られるセメン
ト質組成物から得られるこれらの製品は、内部に鉄筋を
含有しない場合でも充分にJISの強度規格を超える。
さらには、厚みを1/3〜1/4に薄くしても強度規格
を超え、従来品と同様の強度がある。これらのことは、
製品輸送や施工作業性の大きな改善のみならず、鉄筋を
必要としないことから製造コストや製造の簡略化をも図
ることができる。さらに、電気・電子用部材の例として
は、実施例25、26及び比較例11及び表8に一般的
なセラミックスと本願発明で得られるセメント質組成物
から得られる製品との特性比較を示した。機械的特性や
電気的特性は、セラミックスとなんら遜色もなく、充分
代替可能となる。代替した場合、セラミックスは高価で
あるために経済的な効果が見込まれる。すなわち、以上
のことから明らかなように、本発明のセメント質製品は
優れた特性を示すことから、広範囲な分野において有用
なものとなり得る。すなわち、本発明は先に類のない程
の画期的なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/06 MSD MSJ MSL 77/00 LQT //(C04B 28/02 24:30 Z 24:04 24:02 24:26) Z (72)発明者 溝口 光幸 山口県下関市彦島迫町七丁目1番1号 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 長谷川 正木 東京都杉並区宮前二丁目26番2号

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)水硬性セメント、(ii)ホルムア
    ルデヒド系樹脂前駆体、(iii) α,β−不飽和多塩基酸
    及び/または飽和多塩基酸、及び(iv)分子内に少なく
    とも2個以上の水酸基を有する化合物を含有してなるこ
    とを特徴とするセメント質組成物。
  2. 【請求項2】 (i)水硬性セメント、(ii)ホルムア
    ルデヒド系樹脂前駆体、(iii) α,β−不飽和多塩基酸
    及び/または飽和多塩基酸、(iv)分子内に少なくとも
    2個以上の水酸基を有する化合物、及び(v)不飽和ポ
    リエステル重合中間体及び/または飽和ポリエステル重
    合中間体を含有してなることを特徴とするセメント質組
    成物。
  3. 【請求項3】 該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェ
    ノール樹脂前駆体である請求項1または2記載のセメン
    ト質組成物。
  4. 【請求項4】 該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラ
    ミン樹脂前駆体である請求項1または2記載のセメント
    質組成物。
  5. 【請求項5】 該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体が尿素
    樹脂前駆体である請求項1または2記載のセメント質組
    成物。
  6. 【請求項6】 セメント質組成物に充填材及び/または
    添加剤を用いる請求項1または2記載のセメント質組成
    物。
  7. 【請求項7】 該添加剤がポリアミドである請求項6記
    載のセメント質組成物。
  8. 【請求項8】 該添加剤がポリアクリルアミドである請
    求項6記載のセメント質組成物。
  9. 【請求項9】 該添加剤がポリビニルアルコールである
    請求項6記載のセメント質組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1、2又は6記載のセメント質
    組成物を硬化させてなることを特徴とするセメント質硬
    化体。
  11. 【請求項11】 セメント質硬化体が成形硬化体である
    ことを特徴とする請求項10記載のセメント質硬化体。
  12. 【請求項12】 (i)水硬性セメント、(ii)ホルム
    アルデヒド系樹脂前駆体、(iii) α,β−不飽和多塩基
    酸及び/または飽和多塩基酸、及び(iv)分子内に少な
    くとも2個以上の水酸基を有する化合物を含有するセメ
    ント質組成物を加熱することを特徴とするセメント質組
    成物硬化体の製造方法。
  13. 【請求項13】 (i)水硬性セメント、(ii)ホルム
    アルデヒド系樹脂前駆体、(iii) α,β−不飽和多塩基
    酸及び/または飽和多塩基酸、(iv)分子内に少なくと
    も2個以上の水酸基を有する化合物、及び(v)不飽和
    ポリエステル重合中間体及び/または飽和ポリエステル
    重合中間体を含有するセメント質組成物を、加熱するこ
    とを特徴とするセメント質組成物硬化体の製造方法。
  14. 【請求項14】 セメント質組成物に充填材及び/また
    は添加剤を含有させることを特徴とする請求項12また
    は13記載のセメント質組成物硬化体の製造方法。
  15. 【請求項15】 セメント質組成物を所定形状に成形後
    加熱することを特徴とする請求項12、13又は14記
    載のセメント質組成物硬化体の製造方法。
JP34049093A 1993-12-08 1993-12-08 セメント質組成物、それを用いたセメント質硬化体及び該硬化体の製造方法 Pending JPH07157354A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008036533A (ja) * 2006-08-07 2008-02-21 Atsuki Miyazaki 光沢塗装方法

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