JPH07158164A - 木造建築物 - Google Patents

木造建築物

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JPH07158164A
JPH07158164A JP5304507A JP30450793A JPH07158164A JP H07158164 A JPH07158164 A JP H07158164A JP 5304507 A JP5304507 A JP 5304507A JP 30450793 A JP30450793 A JP 30450793A JP H07158164 A JPH07158164 A JP H07158164A
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wooden
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wood
wall
pillar
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JP5304507A
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Kazuoki Kamigaki
一興 上垣
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐震性・耐風性に優れると共に、比較的薄い
壁厚でありながら高い断熱・蓄熱効果を有する壁面を短
期間で構築する。 【構成】 柱(1)〜(3)及び梁(4)を組み合わせ
て骨組を構成した後、対をなす柱(1)(2)の間に角
柱状をなす複数本の木質部材(7)を互いに密着させな
がら立設する。木質部材(7)及び柱(1)(2)の各
接触面に、凹溝(10)を形成し、相対する凹溝(10)間
に係合部材(11)を嵌合させる。最後の木質部材(7a)
を両側から挟む凹溝(10a)(10b)の側壁部分を予め
矩形柱状に切除し、最後の木質部材(7a)を嵌め込んだ
後でその開口部を閉塞部材(12)で塞ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、住宅や保養所、ホテ
ル、病院等に好適な木造建築物に関し、詳しくはこれら
の木造建築物の屋根、床、壁面等の構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の木造建築の壁面構造には、2本の
柱の間に小舞下地やラス下地を形成し、これにモルタル
やプラスター、漆喰等を塗り込んだもの(塗り壁)や、
柱や梁を用いない枠組壁工法(ツーバイフォー工法)に
より構築したもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の塗り壁
には、現場作業が多く、構築に長期間を要し、技能工の
能力によって品質が左右される等の問題点がある。ま
た、剛性が不足しやすく、耐震性や耐風性にも問題があ
る。一方、枠組壁工法で構築した壁面は、高度の施工技
術を必要とせず、工期も短縮化でき、耐震性や耐風性に
も優れた特性を有するものであるが、その壁面は一般に
中空構造で且つグラスウール等の断熱材を挿入したもの
であるため、我国特有の高温多湿の環境下では壁面内の
結露や雨漏り等により、構造材が腐食しやすいという問
題点がある。
【0004】また、近年では省エネルギー等の観点か
ら、上記各種壁面の室内側にガラスウールやロックウー
ル等の断熱材を貼着した木造住宅が多くなっているが、
これらの断熱材は、例えば土蔵や倉の壁面として用いら
れる厚い土壁に比べて容積比熱(熱容量)が低いため、
断熱・蓄熱効果も不十分である。具体的には、土壁並み
の保温性を確保しようとすれば、断熱材の厚さを30cm以
上にしなければならない。
【0005】しかし、このような厚い壁面は、現代の狭
い土地環境を考えると好ましくない。その一方、土壁
は、上述のように十分な保温性が得られる反面、その構
築に長期間(2〜3年)を要するため、現代の建築構法と
しては不適当である。
【0006】そこで、本発明は、耐震性・耐風性に優
れ、容易に且つ短期間に構築でき、しかも比較的薄い壁
厚で気密性に優れた高い蓄熱・断熱効果を発揮すること
のできる壁面等を備えた木造建築物の提供を目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本発明では、複数の柱及び横架材を組み合わせて骨組と
した木造建築物において、対をなす柱間に、柱状をなす
複数本の木質部材を互いに密着させながら立設して屋
根、床、壁面等の構造体を構築した。
【0008】前記木質部材同士の接触面、及び、木質部
材と柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させた。
【0009】前記木質部材及び柱の各接触面に凹溝を設
けると共に、相対する凹溝間に係合部材を嵌合して木質
部材同士の接触面、及び、木質部材と柱との接触面を係
合させ、且つ、前記対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させると共に、その
開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設け
た。
【0010】前記複数本の木質部材のうち、少なくとも
一本の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一
対の木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌
挿した。
【0011】前記木質部材の端面と、これに接触する横
架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させる。
【0012】前記木質部材の端面及びこれに接触する横
架材の接触面のうち、何れか一方に凸部を設けると共
に、他方に前記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の
側壁部分を切除して凹溝をその側方に開口させると共
に、その開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在
に設けた。
【0013】
【作用】一般に柱状の木質部材は、断熱材(グラスウー
ル等)と比べて格段に大きい容積比熱を有するため、複
数本の木質部材を互いに密着させながら立設して壁面等
を構築すれば、高い気密性と断熱・蓄熱効果を得ること
ができる。これにより、暖房エネルギーが室内に蓄熱保
有され、外部への熱損失が抑制される。また、冷房時に
は室外の熱気の干渉を木質部材が抑制するので、冷房エ
ネルギーの大幅な節約が可能となると共に、木材の調湿
力で爽やかで快適な居室環境を提供することができる。
【0014】また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重の
双方を支持するので、建築物全体の剛性が向上し、耐震
性、耐風性に優れた木造建築物となる。さらに、乾式構
法であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間
で壁面等の構造物を構築することができる。
【0015】木質部材同士の接触面や、木質部材と柱と
の接触面、あるいは木質部材の端面と横架材との接触面
を凹凸嵌合でもって係合させれば、木質部材、柱、横架
材が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向上する。
また、構築された壁面等が分解可能となり、建築物の移
築も簡単に行なえるようになる。
【0016】複数本の木質部材のうち、少なくとも一本
の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一対の
木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌挿す
れば、木質部材同士及び木質部材と柱とがより強固に密
着し、気密性の高い壁面等になる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を建築物の壁面構造に適用した
場合の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0018】図1(a)に示すように、本発明は、多数
の柱(1)〜(3)及び横架材(梁(4)や土台(5)
等の柱間に架設される部材をいう)を組み合わせて基礎
(6)の上に骨組を構成した後、対をなす柱(1)
(2)・(2)(3)の間に角柱状をなす複数本の木質
部材(7)を互いに密着させながら立設して壁面(9a)
(9b)を構築するものである。
【0019】図bに示すように、木質部材(7)同士の
接触面、及び、木質部材(7)と柱(1)〜(3)との
接触面は、壁面(9a)(9b)の強度及び密閉性を高める
べく凹凸嵌合でもって係合される。具体的には、木質部
材(7)及び柱(1)〜(3)の各接触面に、その長さ
方向の全域にわたって凹溝(10)を形成し、相対する凹
溝(10)間に断面矩形型の係合部材(11)(やとい実)
を嵌合させて、これらを結合するのである。
【0020】以下、この壁面(9a)(9b)の構築手順
を、左側の柱(1)と中央の柱(2)との間に形成され
る壁面(9a)を例に挙げて説明する。先ず、左側の柱
(1)の凹溝(10)に上述の係合部材(11)を嵌め込
む。そして、一方の凹溝(10)を前記係合部材(11)に
嵌め込みながら屋外側(a図の手前側、b図の下方)か
ら木質部材(7)を搬入し、これを土台(5)上に立て
て釘等で梁(4)や土台(5)に仮止めする。次いで、
この木質部材(7)の他方の凹溝(10)に係合部材(1
1)を嵌め込み、さらに、この係合部材(11)に新たな
木質部材(7)の一方の凹溝(10)を嵌め込んで当該木
質部材(7)を立設する。以下、同様の手順を繰り返
し、図2に示すように順次右隣に木質部材(7)を立設
して壁面(9a)を構築する。この時、壁面(9a)の気密
性を高めるべく、各木質部材(7)、及び木質部材
(7)と柱(1)(2)の間にゴム等の適当なシール材
を介在させてもよい。
【0021】ところで、このままの手順では、中央の柱
(2)に隣接する最後の木質部材(7a)(最後に嵌め込
まれる木質部材をいう)を嵌め込むことが不可能にな
る。即ち、最後の木質部材(7a)と、これに隣接する木
質部材(7b)(以下、隣接木質部材という)及び柱
(2)との間に係合部材(11)を介在させることができ
なくなる。そこで、本発明では最後の木質部材(7a)を
両側から挟む凹溝(10a)(10b)、即ち中央の柱
(2)の凹溝(10a)と隣接木質部材(7b)の凹溝(10
b)の側壁部分を予め矩形柱状に切除して、両凹溝(10
a)(10b)を側方、例えば屋外側に開口させると共
に、この開口部を塞ぐ閉塞部材(12)を準備することと
した。閉塞部材(12)としては、前記側壁部分の切除に
より形成された矩形柱体をそのまま用いたり、あるい
は、開口部の寸法に合わせて別途新たに製作したものを
用いることができる。
【0022】この場合の作業手順を以下に説明する。先
ず、最後の木質部材(7a)の双方の凹溝(10c)に予め
係合部材(11)を嵌め込んでおき、この木質部材(7a)
を、閉塞部材(12)を取り外した状態で柱(2)と隣接
木質部材(7b)との間に押し込む。次いで、開口部に閉
塞部材(12)を押し込み、この閉塞部材(12)を着脱自
在の締結手段(例えば、ねじ等)を用いて最後の木質部
材(7a)、隣接木質部材(7b)、柱(2)又は係合部材
(11)の何れか一つ又は二つ以上に固定する。これによ
り、スムーズに最後の木質部材(7a)を組み付けること
が可能となり、また、中央の柱(2)の美感を損なうこ
ともなくなる。
【0023】なお、以上の説明は、図面左側の壁面(9
a)についてものものであるが、右側の壁面(9b)も同
様の手順で構築することができる。また、両壁面(9a)
(9b)の構築方向は、図1(b)の矢印方向(左右から
中央に向かう方向)に限定されるものではなく、図示と
は逆に中央から左側もしくは右側に向けて構築すること
も可能である。但し、このように逆方向に構築する場合
には、左右の柱(1)(3)に隣接する木質部材(7)
が最後の木質部材となるので、この木質部材を挟む凹溝
(10)を側方に開口させて、その開口部に閉塞部材(1
2)を嵌め込む必要がある。
【0024】また、前記閉塞部材(12)を適当な長さに
分割し、各分割体を順次開口部に装着するようにしても
よい。
【0025】図3(a)(b)に壁面構造の他の実施例
を示す。これらは、上述の壁面の構築方向と異なり、矢
印で示すように、一対の柱(1)(2)の双方から中央
に向かって木質部材(7)を順次立設するものである。
(a)図は、各木質部材(7)を前記係合部材(11)を
用いて連結したもので、最後の木質部材(7a)を両側か
ら挟む凹溝(10a)(10b)は、その側壁部分を予め矩
形柱状に切除して、その側方に開口させている。また、
最後の木質部材(7a)は、最後に残った隙間(13)に嵌
合できるよう断面凸型に形成されている。一方、(b)
図は、各木質部材(7)を断面矩形型に形成し、断面楔
形に形成した最後の木質部材(7a)を隙間(13)に嵌挿
するようにしたものである。このようにして、最後の木
質部材(7a)を押し込むと、これが圧縮されて両側の木
質部材(7)を押圧するため、木質部材(7)同士及び
木質部材(7)と柱(1)(2)とがより強固に密着
し、気密性の高い壁面を得ることができる。
【0026】なお、何れの場合も、最後の木質部材(7
a)の位置は、壁面(9)の中央部に限られず、一対の
柱(1)(2)の間であればどこに配置されていてもよ
い。
【0027】図4に、凹凸嵌合の他の実施例を示す。こ
れは、各木質部材(7)の両側に配置される係合部材
(11)のうち、一方を当該木質部材(7)と一体化させ
たもので、木質部材(7)の一方の接触面に凹溝(10)
が形成されると共に、他方の接触面に前記凹溝(10)と
係合する凸状の係合部(14)が形成されている。但し、
最後の木質部材(7a)では、両方の接触面に前記係合部
(14)が設けられている。この場合も図1に示す構造と
同様に、最後の木質部材(7a)を押し込んだ後、開口部
に閉塞部材(12)を装着すれば、同様の壁面(9a)(9
b)を構築することができる。
【0028】図2に示すように、各木質部材(7)の上
端部は、凹凸嵌合でもって梁(4)に固定される。具体
的には、各木質部材(7)の上端面に矩形柱状の凸部
(16)を設けると共に、梁(4)の下面に前記凸部(1
6)と係合可能の凹溝(17)を一連に設け、さらにこの
凹溝(17)の側壁部分を切除して凹溝(17)をその側方
(例えば、屋外側)に開口させる。そして、上述の手順
で各木質部材(7)を立設し、最後の木質部材(7a)を
装着し終えたところで、開口部を塞ぐ閉塞部材(19)を
梁(4)に装着する。これにより、図5(a)に示すよ
うに、各木質部材(7)の凸部(16)が屋外側と屋内側
の双方から拘束されるので、各木質部材(7)をより強
固に固定することが可能となる。
【0029】また、その反対に、図5(b)に示すよう
に、梁(4)に凸状の係合部(16)を設けると共に、木
質部材(7)の上端面に凹溝(17)を設けても同様の効
果が得られる。
【0030】なお、以上の説明は、木質部材(7)の上
端部と梁(4)との連結構造に関するものであるが、同
様の連結構造は木質部材(7)の下端部と土台(5)と
の接触部にも同様に適用することができる。また、上述
した垂直方向の閉塞部材(12)と同様に、閉塞部材(1
9)を適当な長さに分割しておいてもよい。
【0031】図6(a)(b)に、本発明を屋根下の壁
面構造に適用した場合の実施例を示す。これは、柱(2
0)上に架設した梁(21)と、山型に突き合わせた一対
の屋根支柱(22)と、屋根支柱(22)の突き合わせ部に
介在させた棟木(23)とで骨組を構成すると共に、図1
に示す壁面(9a)(9b)と同様に、梁(21)上に複数の
木質部材(7)を密着させながら立設して壁面(24)を
構築したものである。
【0032】前記屋根支柱(22)は、断面L型をなし、
その内面を屋外側に向けて梁(21)と棟木(23)に固定
されている。木質部材(7)の上端部を屋根支柱(22)
の傾斜角度に合わせて斜めに切断し、この切断端部を屋
根支柱(22)の内面に接触させながら各木質部材(7)
を梁(21)上に並べた後、各木質部材(7)の上端部を
押圧部材(25)で一体に押さえ付け、さらにボルト等で
この押圧部材(25)を屋根支柱(22)に連結すると、各
木質部材(7)が図1に示す構造と同様に、凹凸嵌合で
もって横架材に相当する屋根支柱(22)と連結され、強
固な壁面(24)が構築される。なお、図示は省略する
が、各木質部材(7)の接触面同士、及び、屋根支柱
(22)と木質部材(7)の接触面を上述の凹凸嵌合でも
って係合させてもよい。
【0033】図7に、屋根自体を木質部材(7)で形成
した場合を示す。この場合、けた(26)上に木質部材
(7)を載置すると、その重みで木質部材(7)が滑り
落ちるおそれがある。これを防止するため、けた(26)
に突起(27)を設けると共に、木質部材(7)に突起
(27)と係合する穴(28)を設けておくのが望ましい。
【0034】このようにして構築した壁面(9a)(9b)
(24)や屋根は、以下に掲げる作用・効果を奏する。
【0035】 柱状の木質部材(7)は、ガラスウー
ル等の断熱材に比べて格段に大きな容積比熱を有し、高
い断熱・蓄熱効果を発揮する。具体的には、10cm厚の木
質部材は、厚さ25cm程度の土壁、厚さ30cmのガラスウー
ルやロックウール等の断熱材と同等以上の断熱・蓄熱効
果を有する。従って、壁厚を薄くしつつ土蔵並みに夏は
涼しく冬は暖かい居室を提供することができる。
【0036】 木質部材(7)は優れた湿度調節機能
をも有するので、梅雨や夏期、冬期を問わず、室内がほ
どよい湿度(60%前後)に調節される。また、壁面(9
a)(9b)が中実状に構築されるので、壁面(9a)(9
b)内部に結露等が生じず、壁面の腐食が起こりにく
い。
【0037】 各木質部材(7)が水平荷重及び垂直
荷重の双方を支持し、骨組の変形を防止するので、建物
全体の剛性が大幅に向上し、耐震性、耐風性に優れた構
造となる。
【0038】 塗り壁のような湿式構法でなく、乾式
構法であることから短期間に構築することができ、高度
の施工技術も要しない。
【0039】 一般に木造建築では、耐火性が問題と
なるが、壁面(9a)(9b)が比較的大径の木質部材
(7)で構成されているので、火災時には壁面(9a)
(9b)の表面が炭化するだけであり、壁面(9a)(9b)
の全体が一気に燃え上がることはない。
【0040】 壁面(9a)(9b)をそのまま内外壁と
して用いることにより、自然感覚に富む外観となる。
【0041】 柱(1)〜(3)、木質部材(7)、
梁(4)、土台(5)が凹凸嵌合によって連結されてい
るので、各部材が自由に分解でき、住居の移築等も簡単
に行なえる。
【0042】 上述の壁面構造に類似するものとし
て、ログハウス等に見られるような、横にした木質部材
を積み上げて構築するものがある。しかし、この構造で
は、木質部材を積み上げれば積み上げるほど作業性が悪
化し、場合によってはクレーン等の大がかりな機械的吊
り上げ手段が必要となるという問題点がある。これに対
し、本発明は、在来工法の柱・梁構造の発展型であって
在来工法の柱・梁の内部に木質部材を立てながら壁面を
構築するため、作業の進行に伴う作業性悪化を招くこと
なく均等な労力で壁面を構築することができ、且つ、二
階建以上の中層建築物を容易に建築することができる。
【0043】なお、以上の説明は、本発明を壁面構造や
屋根に適用したものであったが、本発明の適用範囲はこ
れに限らず、木造建築物の構造体、例えば床構造にも適
用可能である。ここで、構造体とは、室内と外部とを仕
切る全ての構造物を意味する。また、上記木質部材
(7)としては、通常の木材の他、集成材やパーティク
ル化した木材を柱状に固めたもの等を用いることができ
る。
【0044】
【発明の効果】このように、本発明では、木質部材を組
み重ねて壁面等を構築しているので、高い気密性、断熱
・蓄熱効果を発揮することができ、夏は涼しく冬は暖か
い快適な居住環境を提供できるようになる。この結果、
冷暖房器の使用頻度が減少し、省エネルギーが図れる。
また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重による骨組の変
形を防止するので、極めて高い剛性を有する耐震性、耐
風性に優れた木造建築を提供できる。さらに、乾式構法
であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間に
構築でき、構築に際して高度な施工技術を要することも
ない。また、壁面等が中実構造であるので、結露等によ
る構造材の腐食が問題とならず、建築物の寿命向上が期
待できる。
【0045】また、横にした木質部材を積み上げて構築
する場合のように、作業の進行に伴う作業性の悪化が生
じず、作業労力の低減が図れる。
【0046】木質部材同士の接触面、及び、木質部材と
柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させれば、各木質
部材及び柱が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向
上する。この効果は、木質部材の端面と、これに接触す
る横架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させること
により、より顕著に得られる。また、凹凸嵌合であるか
ら、壁面等の分解も可能であり、建築物の移築も簡単に
行なえる。
【0047】また、対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させ、その開口部に
当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設けたり、ある
いは、木質部材の端面及びこれに接触する横架材の接触
面のうち、何れか一方に凸部を設けると共に、他方に前
記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の側壁部分を切
除して凹溝をその側方に開口させると共に、その開口部
に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設ければ、作
業のし易い屋外側から容易に壁面等を構築することがで
きる。また、閉塞部材で開口部を塞ぐので、柱の美感を
損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる壁面構造の正面図(a)、及
び、(a)図中のA−A線での断面図(b)である。
【図2】壁面の構築手順を示す斜視図である。
【図3】本発明にかかる壁面構造の他の実施例を示す断
面図である。
【図4】凹凸嵌合の他の実施例を示す断面図である。
【図5】図1(a)中のB−B線での断面図である。
【図6】本発明を木造建築の屋根構造に適用した場合の
正面図(a)、及び、(a)図中のC−C線での断面図
(b)である。
【図7】木質部材で屋根を構築した場合の断面図であ
る。
【符号の説明】
1〜3 柱 4 梁(横架材) 5 土台(横架材) 7 木質部材 9a・9b 壁面 10 凹溝 11 係合部材 12 閉塞部材 19 閉塞部材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、住宅や保養所、ホテ
ル、病院等に好適な木造建築物に関し、詳しくはこれら
の木造建築物の屋根、床、壁面等の構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の木造建築の壁面構造には、2本の
柱の間に小舞下地やラス下地を形成し、これにモルタル
やプラスター、漆喰等を塗り込んだもの(塗り壁)や、
柱や梁を用いない枠組壁工法(ツーバイフォー工法)に
より構築したもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の塗り壁
には、現場作業が多く、構築に長期間を要し、技能工の
能力によって品質が左右される等の問題点がある。ま
た、剛性が不足しやすく、耐震性や耐風性にも問題があ
る。一方、枠組壁工法で構築した壁面は、高度の施工技
術を必要とせず、工期も短縮化でき、耐震性や耐風性に
も優れた特性を有するものであるが、その壁面は一般に
中空構造で且つグラスウール等の断熱材を挿入したもの
であるため、我国特有の高温多湿の環境下では壁面内の
結露や雨漏り等により、構造材が腐食しやすいという問
題点がある。
【0004】また、近年では省エネルギー等の観点か
ら、上記各種壁面の室内側にガラスウールやロックウー
ル等の断熱材を貼着した木造住宅が多くなっているが、
これらの断熱材は、例えば土蔵や倉の壁面として用いら
れる厚い土壁に比べて容積比熱(熱容量)が低いため、
断熱・蓄熱効果も不十分である。具体的には、土壁並み
の保温性を確保しようとすれば、断熱材の厚さを30cm以
上にしなければならない。
【0005】しかし、このような厚い壁面は、現代の狭
い土地環境を考えると好ましくない。その一方、土壁
は、上述のように十分な保温性が得られる反面、その構
築に長期間(2〜3年)を要するため、現代の建築構法と
しては不適当である。
【0006】そこで、本発明は、耐震性・耐風性に優
れ、容易に且つ短期間に構築でき、しかも比較的薄い壁
厚で気密性に優れた高い蓄熱・断熱効果を発揮すること
のできる壁面等を備えた木造建築物の提供を目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本発明では、複数の柱及び横架材を組み合わせて骨組と
した木造建築物において、対をなす柱間に、柱状をなす
複数本の木質部材を互いに密着させながら立設して屋
根、床、壁面等の構造体を構築した。
【0008】前記木質部材同士の接触面、及び、木質部
材と柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させた。
【0009】前記木質部材及び柱の各接触面に凹溝を設
けると共に、相対する凹溝間に係合部材を嵌合して木質
部材同士の接触面、及び、木質部材と柱との接触面を係
合させ、且つ、前記対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させると共に、その
開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設け
た。
【0010】前記複数本の木質部材のうち、少なくとも
一本の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一
対の木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌
挿した。
【0011】前記木質部材の端面と、これに接触する横
架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させる。
【0012】前記木質部材の端面及びこれに接触する横
架材の接触面のうち、何れか一方に凸部を設けると共
に、他方に前記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の
側壁部分を切除して凹溝をその側方に開口させると共
に、その開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在
に設けた。
【0013】
【作用】一般に柱状の木質部材は、断熱材(グラスウー
ル等)と比べて格段に大きい容積比熱を有するため、複
数本の木質部材を互いに密着させながら立設して壁面等
を構築すれば、高い気密性と断熱・蓄熱効果を得ること
ができる。これにより、暖房エネルギーが室内に蓄熱保
有され、外部への熱損失が抑制される。また、冷房時に
は室外の熱気の干渉を木質部材が抑制するので、冷房エ
ネルギーの大幅な節約が可能となると共に、木材の調湿
力で爽やかで快適な居室環境を提供することができる。
【0014】また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重の
双方を支持するので、建築物全体の剛性が向上し、耐震
性、耐風性に優れた木造建築物となる。さらに、乾式構
法であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間
で壁面等の構造物を構築することができる。
【0015】木質部材同士の接触面や、木質部材と柱と
の接触面、あるいは木質部材の端面と横架材との接触面
を凹凸嵌合でもって係合させれば、木質部材、柱、横架
材が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向上する。
また、構築された壁面等が分解可能となり、建築物の移
築も簡単に行なえるようになる。
【0016】複数本の木質部材のうち、少なくとも一本
の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一対の
木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌挿す
れば、木質部材同士及び木質部材と柱とがより強固に密
着し、気密性の高い壁面等になる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を建築物の壁面構造に適用した
場合の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0018】図1(a)に示すように、本発明は、多数
の柱(1)〜(3)及び横架材(梁(4)や土台(5)
等の柱間に架設される部材をいう)を組み合わせて基礎
(6)の上に骨組を構成した後、対をなす柱(1)
(2)・(2)(3)の間に角柱状をなす複数本の木質
部材(7)を互いに密着させながら立設して壁面(9a)
(9b)を構築するものである。
【0019】図bに示すように、木質部材(7)同士の
接触面、及び、木質部材(7)と柱(1)〜(3)との
接触面は、壁面(9a)(9b)の強度及び密閉性を高める
べく凹凸嵌合でもって係合される。具体的には、木質部
材(7)及び柱(1)〜(3)の各接触面に、その長さ
方向の全域にわたって凹溝(10)を形成し、相対する凹
溝(10)間に断面矩形型の係合部材(11)(やとい実)
を嵌合させて、これらを結合するのである。
【0020】以下、この壁面(9a)(9b)の構築手順
を、左側の柱(1)と中央の柱(2)との間に形成され
る壁面(9a)を例に挙げて説明する。先ず、左側の柱
(1)の凹溝(10)に上述の係合部材(11)を嵌め込
む。そして、一方の凹溝(10)を前記係合部材(11)に
嵌め込みながら屋外側(a図の手前側、b図の下方)か
ら木質部材(7)を搬入し、これを土台(5)上に立て
て釘等で梁(4)や土台(5)に仮止めする。次いで、
この木質部材(7)の他方の凹溝(10)に係合部材(1
1)を嵌め込み、さらに、この係合部材(11)に新たな
木質部材(7)の一方の凹溝(10)を嵌め込んで当該木
質部材(7)を立設する。以下、同様の手順を繰り返
し、図2に示すように順次右隣に木質部材(7)を立設
して壁面(9a)を構築する。この時、壁面(9a)の気密
性を高めるべく、各木質部材(7)、及び木質部材
(7)と柱(1)(2)の間にゴム等の適当なシール材
を介在させてもよい。
【0021】ところで、このままの手順では、中央の柱
(2)に隣接する最後の木質部材(7a)(最後に嵌め込
まれる木質部材をいう)を嵌め込むことが不可能にな
る。即ち、最後の木質部材(7a)と、これに隣接する木
質部材(7b)(以下、隣接木質部材という)及び柱
(2)との間に係合部材(11)を介在させることができ
なくなる。そこで、本発明では最後の木質部材(7a)を
両側から挟む凹溝(10a)(10b)、即ち中央の柱
(2)の凹溝(10a)と隣接木質部材(7b)の凹溝(10
b)の側壁部分を予め矩形柱状に切除して、両凹溝(10
a)(10b)を側方、例えば屋外側に開口させると共
に、この開口部を塞ぐ閉塞部材(12)を準備することと
した。閉塞部材(12)としては、前記側壁部分の切除に
より形成された矩形柱体をそのまま用いたり、あるい
は、開口部の寸法に合わせて別途新たに製作したものを
用いることができる。
【0022】この場合の作業手順を以下に説明する。先
ず、最後の木質部材(7a)の双方の凹溝(10c)に予め
係合部材(11)を嵌め込んでおき、この木質部材(7a)
を、閉塞部材(12)を取り外した状態で柱(2)と隣接
木質部材(7b)との間に押し込む。次いで、開口部に閉
塞部材(12)を押し込み、この閉塞部材(12)を着脱自
在の締結手段(例えば、ねじ等)を用いて最後の木質部
材(7a)、隣接木質部材(7b)、柱(2)又は係合部材
(11)の何れか一つ又は二つ以上に固定する。これによ
り、スムーズに最後の木質部材(7a)を組み付けること
が可能となり、また、中央の柱(2)の美感を損なうこ
ともなくなる。
【0023】なお、以上の説明は、図面左側の壁面(9
a)についてものものであるが、右側の壁面(9b)も同
様の手順で構築することができる。また、両壁面(9a)
(9b)の構築方向は、図1(b)の矢印方向(左右から
中央に向かう方向)に限定されるものではなく、図示と
は逆に中央から左側もしくは右側に向けて構築すること
も可能である。但し、このように逆方向に構築する場合
には、左右の柱(1)(3)に隣接する木質部材(7)
が最後の木質部材となるので、この木質部材を挟む凹溝
(10)を側方に開口させて、その開口部に閉塞部材(1
2)を嵌め込む必要がある。
【0024】また、前記閉塞部材(12)を適当な長さに
分割し、各分割体を順次開口部に装着するようにしても
よい。
【0025】図3(a)(b)に壁面構造の他の実施例
を示す。これらは、上述の壁面の構築方向と異なり、矢
印で示すように、一対の柱(1)(2)の双方から中央
に向かって木質部材(7)を順次立設するものである。
(a)図は、各木質部材(7)を前記係合部材(11)を
用いて連結したもので、最後の木質部材(7a)を両側か
ら挟む凹溝(10a)(10b)は、その側壁部分を予め矩
形柱状に切除して、その側方に開口させている。また、
最後の木質部材(7a)は、最後に残った隙間(13)に嵌
合できるよう断面凸型に形成されている。一方、(b)
図は、各木質部材(7)を断面矩形型に形成し、断面楔
形に形成した最後の木質部材(7a)を隙間(13)に嵌挿
するようにしたものである。このようにして、最後の木
質部材(7a)を押し込むと、これが圧縮されて両側の木
質部材(7)を押圧するため、木質部材(7)同士及び
木質部材(7)と柱(1)(2)とがより強固に密着
し、気密性の高い壁面を得ることができる。
【0026】なお、何れの場合も、最後の木質部材(7
a)の位置は、壁面(9)の中央部に限られず、一対の
柱(1)(2)の間であればどこに配置されていてもよ
い。
【0027】図4に、凹凸嵌合の他の実施例を示す。こ
れは、各木質部材(7)の両側に配置される係合部材
(11)のうち、一方を当該木質部材(7)と一体化させ
たもので、木質部材(7)の一方の接触面に凹溝(10)
が形成されると共に、他方の接触面に前記凹溝(10)と
係合する凸状の係合部(14)が形成されている。但し、
最後の木質部材(7a)では、両方の接触面に前記係合部
(14)が設けられている。この場合も図1に示す構造と
同様に、最後の木質部材(7a)を押し込んだ後、開口部
に閉塞部材(12)を装着すれば、同様の壁面(9a)(9
b)を構築することができる。
【0028】凹凸嵌合の方式は、上述のものに限定され
るものではなく、相快くり凹凸嵌合等の種々の木組が採
用可能である。また、凹凸嵌合を用いずに釘や金具を用
いて木質部材(7)同士を固定してもよい。
【0029】図2に示すように、各木質部材(7)の上
端部は、凹凸嵌合でもって梁(4)に固定される。具体
的には、各木質部材(7)の上端面に矩形柱状の凸部
(16)を設けると共に、梁(4)の下面に前記凸部(1
6)と係合可能の凹溝(17)を一連に設け、さらにこの
凹溝(17)の側壁部分を切除して凹溝(17)をその側方
(例えば、屋外側)に開口させる。そして、上述の手順
で各木質部材(7)を立設し、最後の木質部材(7a)を
装着し終えたところで、開口部を塞ぐ閉塞部材(19)を
梁(4)に装着する。これにより、図5(a)に示すよ
うに、各木質部材(7)の凸部(16)が屋外側と屋内側
の双方から拘束されるので、各木質部材(7)をより強
固に固定することが可能となる。
【0030】また、その反対に、図5(b)に示すよう
に、梁(4)に凸状の係合部(16)を設けると共に、木
質部材(7)の上端面に凹溝(17)を設けても同様の効
果が得られる。
【0031】なお、以上の説明は、木質部材(7)の上
端部と梁(4)との連結構造に関するものであるが、同
様の連結構造は木質部材(7)の下端部と土台(5)と
の接触部にも同様に適用することができる。また、上述
した垂直方向の閉塞部材(12)と同様に、閉塞部材(1
9)を適当な長さに分割しておいてもよい。
【0032】この他、各木質部材(7)を、釘や金具等
を用いて梁(4)や土台(5)の外部に直接取り付けて
もよい。また、現場施工によらないで、予め工場製作に
よって木質部材(7)をパネル化し、これを凹凸嵌合や
釘・金具等の手段で梁(4)や土台(5)に取り付けて
もよい。
【0033】図6(a)(b)に、本発明を屋根下の壁
面構造に適用した場合の実施例を示す。これは、柱(2
0)上に架設した梁(21)と、山型に突き合わせた一対
の屋根支柱(22)と、屋根支柱(22)の突き合わせ部に
介在させた棟木(23)とで骨組を構成すると共に、図1
に示す壁面(9a)(9b)と同様に、梁(21)上に複数の
木質部材(7)を密着させながら立設して壁面(24)を
構築したものである。
【0034】前記屋根支柱(22)は、断面L型をなし、
その内面を屋外側に向けて梁(21)と棟木(23)に固定
されている。木質部材(7)の上端部を屋根支柱(22)
の傾斜角度に合わせて斜めに切断し、この切断端部を屋
根支柱(22)の内面に接触させながら各木質部材(7)
を梁(21)上に並べた後、各木質部材(7)の上端部を
押圧部材(25)で一体に押さえ付け、さらにボルト等で
この押圧部材(25)を屋根支柱(22)に連結すると、各
木質部材(7)が図1に示す構造と同様に、凹凸嵌合で
もって横架材に相当する屋根支柱(22)と連結され、強
固な壁面(24)が構築される。なお、図示は省略する
が、各木質部材(7)の接触面同士、及び、屋根支柱
(22)と木質部材(7)の接触面を上述の凹凸嵌合でも
って係合させてもよい。
【0035】図7に、屋根自体を木質部材(7)で形成
した場合を示す。この場合、けた(26)上に木質部材
(7)を載置すると、その重みで木質部材(7)が滑り
落ちるおそれがある。これを防止するため、けた(26)
に突起(27)を設けると共に、木質部材(7)に突起
(27)と係合する穴(28)を設けておくのが望ましい。
【0036】このようにして構築した壁面(9a)(9b)
(24)や屋根は、以下に掲げる作用・効果を奏する。
【0037】 柱状の木質部材(7)は、ガラスウー
ル等の断熱材に比べて格段に大きな容積比熱を有し、高
い断熱・蓄熱効果を発揮する。具体的には、10cm厚の木
質部材は、厚さ25cm程度の土壁、厚さ30cmのガラスウー
ルやロックウール等の断熱材と同等以上の断熱・蓄熱効
果を有する。従って、壁厚を薄くしつつ土蔵並みに夏は
涼しく冬は暖かい居室を提供することができる。また、
高い遮音性も確保される。
【0038】 木質部材(7)は優れた湿度調節機能
をも有するので、梅雨や夏期、冬期を問わず、室内がほ
どよい湿度(60%前後)に調節される。また、壁面(9
a)(9b)が中実状に構築されるので、壁面(9a)(9
b)内部に結露等が生じず、壁面の腐食が起こりにく
い。
【0039】 各木質部材(7)が水平荷重及び垂直
荷重の双方を支持し、骨組の変形を防止するので、建物
全体の剛性が大幅に向上し、耐震性、耐風性に優れた構
造となる。また、木質部材は、しなやかであり、比強度
も大きいので、水平荷重、垂直荷重、引抜き荷重等に対
して十分に対抗することができ、鉄筋コンクリート構造
等の他の構造に比べてはるかに災害に強い構造となる。
【0040】 塗り壁のような湿式構法でなく、乾式
構法であることから短期間に構築することができ、高度
の施工技術も要しない。
【0041】 一般に木造建築では、耐火性が問題と
なるが、本発明では、壁面(9a)(9b)が、自己消火力
に富む比較的大径の木質部材(7)で構成され、且つ、
一体化された大断面壁を形成しているので、火災時には
壁面(9a)(9b)の表面が炭化するだけであり、壁面
(9a)(9b)の全体が一気に燃え上がることはない。
【0042】 壁面(9a)(9b)をそのまま内外壁と
して用いることにより、自然感覚に富む外観となる。
【0043】 柱(1)〜(3)、木質部材(7)、
梁(4)、土台(5)が凹凸嵌合によって連結されてい
るので、各部材が自由に分解でき、住居の移築等も簡単
に行なえる。
【0044】 上述の壁面構造に類似するものとし
て、ログハウス等に見られるような、横にした木質部材
を積み上げて構築するものがある。しかし、この構造で
は、木質部材を積み上げれば積み上げるほど作業性が悪
化し、場合によってはクレーン等の大がかりな機械的吊
り上げ手段が必要となるという問題点がある。これに対
し、本発明は、在来工法の柱・梁構造の発展型であって
在来工法の柱・梁の内部に木質部材を立てながら壁面を
構築するため、作業の進行に伴う作業性悪化を招くこと
なく均等な労力で壁面を構築することができ、且つ、二
階建以上の中層建築物を容易に建築することができる。
【0045】このように本発明は、在来の軸組(柱・
梁)工法と枠組壁工法を合体させたものであり、軸組
(柱・梁)工法の長所である設計の自由性、増改築の簡
便性、保守・修理の容易性と、枠組壁工法の長所である
高剛性とを併せて得ることができ、長命で強固な木造建
築物を構築することが可能となる。
【0046】なお、以上の説明は、本発明を壁面構造や
屋根に適用したものであったが、本発明の適用範囲はこ
れに限らず、木造建築物の構造体、例えば床構造や天井
構造等にも適用可能である。ここで、構造体とは、室内
と外部とを仕切る全ての構造物を意味する。また、上記
木質部材(7)としては、通常の木材の他、集成材やパ
ーティクル化した木材を柱状に固めたもの等を用いるこ
とができる。
【0047】
【発明の効果】このように、本発明では、木質部材を組
み重ねて壁面等を構築しているので、高い気密性、断熱
・蓄熱効果を発揮することができ、夏は涼しく冬は暖か
い快適な居住環境を提供できるようになる。この結果、
冷暖房器の使用頻度が減少し、省エネルギーが図れる。
また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重による骨組の変
形を防止するので、極めて高い剛性を有する耐震性、耐
風性に優れた木造建築を提供できる。さらに、乾式構法
であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間に
構築でき、構築に際して高度な施工技術を要することも
ない。また、壁面等が中実構造であるので、結露等によ
る構造材の腐食が問題とならず、建築物の寿命向上が期
待できる。
【0048】また、横にした木質部材を積み上げて構築
する場合のように、作業の進行に伴う作業性の悪化が生
じず、作業労力の低減が図れる。
【0049】木質部材同士の接触面、及び、木質部材と
柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させれば、各木質
部材及び柱が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向
上する。この効果は、木質部材の端面と、これに接触す
る横架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させること
により、より顕著に得られる。また、凹凸嵌合であるか
ら、壁面等の分解も可能であり、建築物の移築も簡単に
行なえる。
【0050】また、対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させ、その開口部に
当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設けたり、ある
いは、木質部材の端面及びこれに接触する横架材の接触
面のうち、何れか一方に凸部を設けると共に、他方に前
記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の側壁部分を切
除して凹溝をその側方に開口させると共に、その開口部
に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設ければ、作
業のし易い屋外側から容易に壁面等を構築することがで
きる。また、閉塞部材で開口部を塞ぐので、柱の美感を
損なうこともない。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、住宅や保養所、ホテ
ル、病院等に好適な木造建築物に関し、詳しくはこれら
の木造建築物の屋根、床、壁面等の構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の木造建築の壁面構造には、2本の
柱の間に小舞下地やラス下地を形成し、これにモルタル
やプラスター、漆喰等を塗り込んだもの(塗り壁)や、
柱や梁を用いない枠組壁工法(ツーバイフォー工法)に
より構築したもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の塗り壁
には、現場作業が多く、構築に長期間を要し、技能工の
能力によって品質が左右される等の問題点がある。ま
た、剛性が不足しやすく、耐震性や耐風性にも問題があ
る。一方、枠組壁工法で構築した壁面は、高度の施工技
術を必要とせず、工期も短縮化でき、耐震性や耐風性に
も優れた特性を有するものであるが、その壁面は一般に
中空構造で且つグラスウール等の断熱材を挿入したもの
であるため、我国特有の高温多湿の環境下では壁面内の
結露や雨漏り等により、構造材が腐食しやすいという問
題点がある。
【0004】また、近年では省エネルギー等の観点か
ら、上記各種壁面の室内側にガラスウールやロックウー
ル等の断熱材を貼着した木造住宅が多くなっているが、
これらの断熱材は、例えば土蔵や倉の壁面として用いら
れる厚い土壁に比べて容積比熱(熱容量)が低いため、
断熱・蓄熱効果も不十分である。具体的には、土壁並み
の保温性を確保しようとすれば、断熱材の厚さを30cm以
上にしなければならない。
【0005】しかし、このような厚い壁面は、現代の狭
い土地環境を考えると好ましくない。その一方、土壁
は、上述のように十分な保温性が得られる反面、その構
築に長期間(2〜3年)を要するため、現代の建築構法と
しては不適当である。
【0006】そこで、本発明は、耐震性・耐風性に優
れ、容易に且つ短期間に構築でき、しかも比較的薄い壁
厚で気密性に優れた高い蓄熱・断熱効果を発揮すること
のできる壁面等を備えた木造建築物の提供を目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本発明では、複数の柱及び横架材を組み合わせて骨組と
した木造建築物において、対をなす柱間に、柱状をなす
複数本の木質部材を互いに密着させながら立設して屋
根、床、壁面等の構造体を構築した。
【0008】前記木質部材同士の接触面、及び、木質部
材と柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させた。
【0009】前記木質部材及び柱の各接触面に凹溝を設
けると共に、相対する凹溝間に係合部材を嵌合して木質
部材同士の接触面、及び、木質部材と柱との接触面を係
合させ、且つ、前記対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させると共に、その
開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設け
た。
【0010】前記複数本の木質部材のうち、少なくとも
一本の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一
対の木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌
挿した。
【0011】前記木質部材の端面と、これに接触する横
架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させる。
【0012】前記木質部材の端面及びこれに接触する横
架材の接触面のうち、何れか一方に凸部を設けると共
に、他方に前記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の
側壁部分を切除して凹溝をその側方に開口させると共
に、その開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在
に設けた。
【0013】
【作用】一般に柱状の木質部材は、断熱材(グラスウー
ル等)と比べて格段に大きい容積比熱を有するため、複
数本の木質部材を互いに密着させながら立設して壁面等
を構築すれば、高い気密性と断熱・蓄熱効果を得ること
ができる。これにより、暖房エネルギーが室内に蓄熱保
有され、外部への熱損失が抑制される。また、冷房時に
は室外の熱気の干渉を木質部材が抑制するので、冷房エ
ネルギーの大幅な節約が可能となると共に、木材の調湿
力で爽やかで快適な居室環境を提供することができる。
【0014】また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重の
双方を支持するので、建築物全体の剛性が向上し、耐震
性、耐風性に優れた木造建築物となる。さらに、乾式構
法であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間
で壁面等の構造物を構築することができる。
【0015】木質部材同士の接触面や、木質部材と柱と
の接触面、あるいは木質部材の端面と横架材との接触面
を凹凸嵌合でもって係合させれば、木質部材、柱、横架
材が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向上する。
また、構築された壁面等が分解可能となり、建築物の移
築も簡単に行なえるようになる。
【0016】複数本の木質部材のうち、少なくとも一本
の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一対の
木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌挿す
れば、木質部材同士及び木質部材と柱とがより強固に密
着し、気密性の高い壁面等になる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を建築物の壁面構造に適用した
場合の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0018】図1(a)に示すように、本発明は、多数
の柱(1)〜(3)及び横架材(梁(4)や土台(5)
等の柱間に架設される部材をいう)を組み合わせて基礎
(6)の上に骨組を構成した後、対をなす柱(1)
(2)・(2)(3)の間に角柱状をなす複数本の木質
部材(7)を互いに密着させながら立設して壁面(9a)
(9b)を構築するものである。
【0019】図bに示すように、木質部材(7)同士の
接触面、及び、木質部材(7)と柱(1)〜(3)との
接触面は、壁面(9a)(9b)の強度及び密閉性を高める
べく凹凸嵌合でもって係合される。具体的には、木質部
材(7)及び柱(1)〜(3)の各接触面に、その長さ
方向の全域にわたって凹溝(10)を形成し、相対する凹
溝(10)間に断面矩形型の係合部材(11)(やとい実)
を嵌合させて、これらを結合するのである。
【0020】以下、この壁面(9a)(9b)の構築手順
を、左側の柱(1)と中央の柱(2)との間に形成され
る壁面(9a)を例に挙げて説明する。先ず、左側の柱
(1)の凹溝(10)に上述の係合部材(11)を嵌め込
む。そして、一方の凹溝(10)を前記係合部材(11)に
嵌め込みながら屋外側(a図の手前側、b図の下方)か
ら木質部材(7)を搬入し、これを土台(5)上に立て
て釘等で梁(4)や土台(5)に仮止めする。次いで、
この木質部材(7)の他方の凹溝(10)に係合部材(1
1)を嵌め込み、さらに、この係合部材(11)に新たな
木質部材(7)の一方の凹溝(10)を嵌め込んで当該木
質部材(7)を立設する。以下、同様の手順を繰り返
し、図2に示すように順次右隣に木質部材(7)を立設
して壁面(9a)を構築する。この時、壁面(9a)の気密
性を高めるべく、各木質部材(7)、及び木質部材
(7)と柱(1)(2)の間にゴム等の適当なシール材
を介在させてもよい。
【0021】ところで、このままの手順では、中央の柱
(2)に隣接する最後の木質部材(7a)(最後に嵌め込
まれる木質部材をいう)を嵌め込むことが不可能にな
る。即ち、最後の木質部材(7a)と、これに隣接する木
質部材(7b)(以下、隣接木質部材という)及び柱
(2)との間に係合部材(11)を介在させることができ
なくなる。そこで、本発明では最後の木質部材(7a)を
両側から挟む凹溝(10a)(10b)、即ち中央の柱
(2)の凹溝(10a)と隣接木質部材(7b)の凹溝(10
b)の側壁部分を予め矩形柱状に切除して、両凹溝(10
a)(10b)を側方、例えば屋外側に開口させると共
に、この開口部を塞ぐ閉塞部材(12)を準備することと
した。閉塞部材(12)としては、前記側壁部分の切除に
より形成された矩形柱体をそのまま用いたり、あるい
は、開口部の寸法に合わせて別途新たに製作したものを
用いることができる。
【0022】この場合の作業手順を以下に説明する。先
ず、最後の木質部材(7a)の双方の凹溝(10c)に予め
係合部材(11)を嵌め込んでおき、この木質部材(7a)
を、閉塞部材(12)を取り外した状態で柱(2)と隣接
木質部材(7b)との間に押し込む。次いで、開口部に閉
塞部材(12)を押し込み、この閉塞部材(12)を着脱自
在の締結手段(例えば、ねじ等)を用いて最後の木質部
材(7a)、隣接木質部材(7b)、柱(2)又は係合部材
(11)の何れか一つ又は二つ以上に固定する。これによ
り、スムーズに最後の木質部材(7a)を組み付けること
が可能となり、また、中央の柱(2)の美感を損なうこ
ともなくなる。
【0023】なお、以上の説明は、図面左側の壁面(9
a)についてものものであるが、右側の壁面(9b)も同
様の手順で構築することができる。また、両壁面(9a)
(9b)の構築方向は、図1(b)の矢印方向(左右から
中央に向かう方向)に限定されるものではなく、図示と
は逆に中央から左側もしくは右側に向けて構築すること
も可能である。但し、このように逆方向に構築する場合
には、左右の柱(1)(3)に隣接する木質部材(7)
が最後の木質部材となるので、この木質部材を挟む凹溝
(10)を側方に開口させて、その開口部に閉塞部材(1
2)を嵌め込む必要がある。
【0024】また、前記閉塞部材(12)を適当な長さに
分割し、各分割体を順次開口部に装着するようにしても
よい。
【0025】図3(a)(b)に壁面構造の他の実施例
を示す。これらは、上述の壁面の構築方向と異なり、矢
印で示すように、一対の柱(1)(2)の双方から中央
に向かって木質部材(7)を順次立設するものである。
(a)図は、各木質部材(7)を前記係合部材(11)を
用いて連結したもので、最後の木質部材(7a)を両側か
ら挟む凹溝(10a)(10b)は、その側壁部分を予め矩
形柱状に切除して、その側方に開口させている。また、
最後の木質部材(7a)は、最後に残った隙間(13)に嵌
合できるよう断面凸型に形成されている。一方、(b)
図は、各木質部材(7)を断面矩形型に形成し、断面楔
形に形成した最後の木質部材(7a)を隙間(13)に嵌挿
するようにしたものである。このようにして、最後の木
質部材(7a)を押し込むと、これが圧縮されて両側の木
質部材(7)を押圧するため、木質部材(7)同士及び
木質部材(7)と柱(1)(2)とがより強固に密着
し、気密性の高い壁面を得ることができる。
【0026】なお、何れの場合も、最後の木質部材(7
a)の位置は、壁面(9)の中央部に限られず、一対の
柱(1)(2)の間であればどこに配置されていてもよ
い。
【0027】図4に、凹凸嵌合の他の実施例を示す。こ
れは、各木質部材(7)の両側に配置される係合部材
(11)のうち、一方を当該木質部材(7)と一体化させ
たもので、木質部材(7)の一方の接触面に凹溝(10)
が形成されると共に、他方の接触面に前記凹溝(10)と
係合する凸状の係合部(14)が形成されている。但し、
最後の木質部材(7a)では、両方の接触面に前記係合部
(14)が設けられている。この場合も図1に示す構造と
同様に、最後の木質部材(7a)を押し込んだ後、開口部
に閉塞部材(12)を装着すれば、同様の壁面(9a)(9
b)を構築することができる。
【0028】凹凸嵌合の方式は、上述のものに限定され
るものではなく、相快くり凹凸嵌合等の種々の木組が採
用可能である。また、凹凸嵌合を用いずに釘や金具を用
いて木質部材(7)同士を固定してもよい。
【0029】図2に示すように、各木質部材(7)の上
端部は、凹凸嵌合でもって梁(4)に固定される。具体
的には、各木質部材(7)の上端面に矩形柱状の凸部
(16)を設けると共に、梁(4)の下面に前記凸部(1
6)と係合可能の凹溝(17)を一連に設け、さらにこの
凹溝(17)の側壁部分を切除して凹溝(17)をその側方
(例えば、屋外側)に開口させる。そして、上述の手順
で各木質部材(7)を立設し、最後の木質部材(7a)を
装着し終えたところで、開口部を塞ぐ閉塞部材(19)を
梁(4)に装着する。これにより、図5(a)に示すよ
うに、各木質部材(7)の凸部(16)が屋外側と屋内側
の双方から拘束されるので、各木質部材(7)をより強
固に固定することが可能となる。
【0030】また、その反対に、図5(b)に示すよう
に、梁(4)に凸状の係合部(16)を設けると共に、木
質部材(7)の上端面に凹溝(17)を設けても同様の効
果が得られる。
【0031】なお、以上の説明は、木質部材(7)の上
端部と梁(4)との連結構造に関するものであるが、同
様の連結構造は木質部材(7)の下端部と土台(5)と
の接触部にも同様に適用することができる。また、上述
した垂直方向の閉塞部材(12)と同様に、閉塞部材(1
9)を適当な長さに分割しておいてもよい。
【0032】この他、各木質部材(7)を、釘や金具等
を用いて梁(4)や土台(5)の外部に直接取り付けて
もよい。また、現場施工によらないで、予め工場製作に
よって木質部材(7)をパネル化し、これを凹凸嵌合や
釘・金具等の手段で梁(4)や土台(5)に取り付けて
もよい。
【0033】図6(a)(b)に、本発明を屋根下の壁
面構造に適用した場合の実施例を示す。これは、柱(2
0)上に架設した梁(21)と、山型に突き合わせた一対
の屋根│柱(22)と、屋根支柱(22)の突き合わせ部に
介在させた棟木(23)とで骨組│構成すると共に、図1
に示す壁面(9a)(9b)と同様に、梁(21)上に複数の
木質部材(7)を密着させながら立設して壁面(24)を
構築したものである。
【0034】前記屋根支柱(22)は、断面L型をなし、
その内面を屋外側に向けて梁(21)と棟木(23)に固定
されている。木質部材(7)の上端部を屋根支柱(22)
の傾斜角度に合わせて斜めに切断し、この切断端部を屋
根支柱(22)の内面に接触させながら各木質部材(7)
を梁(21)上に並べた後、各木質部材(7)の上端部を
押圧部材(25)で一体に押さえ付け、さらにボルト等で
この押圧部材(25)を屋根支柱(22)に連結すると、各
木質部材(7)が図1に示す構造と同様に、凹凸嵌合で
もって横架材に相当する屋根支柱(22)と連結され、強
固な壁面(24)が構築される。なお、図示は省略する
が、各木質部材(7)の接触面同士、及び、屋根支柱
(22)と木質部材(7)の接触面を上述の凹凸嵌合でも
って係合させてもよい。
【0035】図7に、屋根自体を木質部材(7)で形成
した場合を示す。この場合、けた(26)上に木質部材
(7)を載置すると、その重みで木質部材(7)が滑り
落ちるおそれがある。これを防止するため、けた(26)
に突起(27)を設けると共に、木質部材(7)に突起
(27)と係合する穴(28)を設けておくのが望ましい。
【0036】このようにして構築した壁面(9a)(9b)
(24)や屋根は、以下に掲げる作用・効果を奏する。
【0037】 柱状の木質部材(7)は、ガラスウー
ル等の断熱材に比べて格段に大きな容積比熱を有し、高
い断熱・蓄熱効果を発揮する。具体的には、10cm厚の木
質部材は、厚さ25cm程度の土壁、厚さ30cmのガラスウー
ルやロックウール等の断熱材と同等以上の断熱・蓄熱効
果を有する。従って、壁厚を薄くしつつ土蔵並みに夏は
涼しく冬は暖かい居室を提供することができる。また、
高い遮音性も確保される。
【0038】 木質部材(7)は優れた湿度調節機能
をも有するので、梅雨や夏期、冬期を問わず、室内がほ
どよい湿度(60%前後)に調節される。また、壁面(9
a)(9b)が中実状に構築されるので、壁面(9a)(9
b)内部に結露等が生じず、壁面の腐食が起こりにく
い。
【0039】 各木質部材(7)が水平荷重及び垂直
荷重の双方を支持し、骨組の変形を防止するので、建物
全体の剛性が大幅に向上し、耐震性、耐風性に優れた構
造となる。また、木質部材は、しなやかであり、比強度
も大きいので、水平荷重、垂直荷重、引抜き荷重等に対
して十分に対抗することができ、鉄筋コンクリート構造
等の他の構造に比べてはるかに災害に強い構造となる。
【0040】 塗り壁のような湿式構法でなく、乾式
構法であることから短期間に構築することができ、高度
の施工技術も要しない。
【0041】 一般に木造建築では、耐火性が問題と
なるが、本発明では、壁面(9a)(9b)が、自己消火力
に富む比較的大径の木質部材(7)で構成され、且つ、
一体化された大断面壁を形成しているので、火災時には
壁面(9a)(9b)の表面が炭化するだけであり、壁面
(9a)(9b)の全体が一気に燃え上がることはない。
【0042】 壁面(9a)(9b)をそのまま内外壁と
して用いることにより、自然感覚に富む外観となる。
【0043】 柱(1)〜(3)、木質部材(7)、
梁(4)、土台(5)が凹凸嵌合によって連結されてい
るので、各部材が自由に分解でき、住居の移築等も簡単
に行なえる。
【0044】 上述の壁面構造に類似するものとし
て、ログハウス等に見られるような、横にした木質部材
を積み上げて構築するものがある。しかし、この構造で
は、木質部材を積み上げれば積み上げるほど作業性が悪
化し、場合によってはクレーン等の大がかりな機械的吊
り上げ手段が必要となるという問題点がある。これに対
し、本発明は、在来工法の柱・梁構造の発展型であって
在来工法の柱・梁の内部に木質部材を立てながら壁面を
構築するため、作業の進行に伴う作業性悪化を招くこと
なく均等な労力で壁面を構築することができ、且つ、二
階建以上の中層建築物を容易に建築することができる。
【0045】このように本発明は、在来の軸組(柱・
梁)工法と枠組壁工法を合体させたものであり、軸組
(柱・梁)工法の長所である設計の自由性、増改築の簡
便性、保守・修理の容易性と、枠組壁工法の長所である
高剛性とを併せて得ることができ、長命で強固な木造建
築物を構築することが可能となる。
【0046】なお、以上の説明は、本発明を壁面構造や
屋根に適用したものであったが、本発明の適用範囲はこ
れに限らず、木造建築物の構造体、例えば床構造や天井
構造等にも適用可能である。ここで、構造体とは、室内
と外部とを仕切る全ての構造物を意味する。また、上記
木質部材(7)としては、通常の木材の他、集成材やパ
ーティクル化した木材を柱状に固めたもの等を用いるこ
とができる。
【0047】
【発明の効果】このように、本発明では、木質部材を組
み重ねて壁面等を構築しているので、高い気密性、断熱
・蓄熱効果を発揮することができ、夏は涼しく冬は暖か
い快適な居住環境を提供できるようになる。この結果、
冷暖房器の使用頻度が減少し、省エネルギーが図れる。
また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重による骨組の変
形を防止するので、極めて高い剛性を有する耐震性、耐
風性に優れた木造建築を提供できる。さらに、乾式構法
であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間に
構築でき、構築に際して高度な施工技術を要することも
ない。また、壁面等が中実構造であるので、結露等によ
る構造材の腐食が問題とならず、建築物の寿命向上が期
待できる。
【0048】また、横にした木質部材を積み上げて構築
する場合のように、作業の進行に伴う作業性の悪化が生
じず、作業労力の低減が図れる。
【0049】木質部材同士の接触面、及び、木質部材と
柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させれば、各木質
部材及び柱が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向
上する。この効果は、木質部材の端面と、これに接触す
る横架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させること
により、より顕著に得られる。また、凹凸嵌合であるか
ら、壁面等の分解も可能であり、建築物の移築も簡単に
行なえる。
【0050】また、対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させ、その開口部に
当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設けたり、ある
いは、木質部材の端面及びこれに接触する横架材の接触
面のうち、何れか一方に凸部を設けると共に、他方に前
記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の側壁部分を切
除して凹溝をその側方に開口させると共に、その開口部
に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設ければ、作
業のし易い屋外側から容易に壁面等を構築することがで
きる。また、閉塞部材で開口部を塞ぐので、柱の美感を
損なうこともない。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、住宅や保養所、ホテ
ル、病院等に好適な木造建築物に関し、詳しくはこれら
の木造建築物の屋根、床、壁面等の構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の木造建築の壁面構造には、2本の
柱の間に小舞下地やラス下地を形成し、これにモルタル
やプラスター、漆喰等を塗り込んだもの(塗り壁)や、
柱や梁を用いない枠組壁工法(ツーバイフォー工法)に
より構築したもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の塗り壁
には、現場作業が多く、構築に長期間を要し、技能工の
能力によって品質が左右される等の問題点がある。ま
た、剛性が不足しやすく、耐震性や耐風性にも問題があ
る。一方、枠組壁工法で構築した壁面は、高度の施工技
術を必要とせず、工期も短縮化でき、耐震性や耐風性に
も優れた特性を有するものであるが、その壁面は一般に
中空構造で且つグラスウール等の断熱材を挿入したもの
であるため、我国特有の高温多湿の環境下では壁面内の
結露や雨漏り等により、構造材が腐食しやすいという問
題点がある。
【0004】また、近年では省エネルギー等の観点か
ら、上記各種壁面の室内側にガラスウールやロックウー
ル等の断熱材を貼着した木造住宅が多くなっているが、
これらの断熱材は、例えば土蔵や倉の壁面として用いら
れる厚い土壁に比べて容積比熱(熱容量)が低いため、
断熱・蓄熱効果も不十分である。具体的には、土壁並み
の保温性を確保しようとすれば、断熱材の厚さを30cm以
上にしなければならない。
【0005】しかし、このような厚い壁面は、現代の狭
い土地環境を考えると好ましくない。その一方、土壁
は、上述のように十分な保温性が得られる反面、その構
築に長期間(2〜3年)を要するため、現代の建築構法と
しては不適当である。
【0006】そこで、本発明は、耐震性・耐風性に優
れ、容易に且つ短期間に構築でき、しかも比較的薄い壁
厚で気密性に優れた高い蓄熱・断熱効果を発揮すること
のできる壁面等を備えた木造建築物の提供を目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本発明では、複数の柱及び横架材を組み合わせて骨組と
した木造建築物において、対をなす柱間に、柱状をなす
複数本の木質部材を互いに密着させながら立設して屋
根、床、壁面等の構造体を構築した。
【0008】前記木質部材同士の接触面、及び、木質部
材と柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させた。
【0009】前記木質部材及び柱の各接触面に凹溝を設
けると共に、相対する凹溝間に係合部材を嵌合して木質
部材同士の接触面、及び、木質部材と柱との接触面を係
合させ、且つ、前記対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させると共に、その
開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設け
た。
【0010】前記複数本の木質部材のうち、少なくとも
一本の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一
対の木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌
挿した。
【0011】前記木質部材の端面と、これに接触する横
架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させる。
【0012】前記木質部材の端面及びこれに接触する横
架材の接触面のうち、何れか一方に凸部を設けると共
に、他方に前記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の
側壁部分を切除して凹溝をその側方に開口させると共
に、その開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在
に設けた。
【0013】
【作用】一般に柱状の木質部材は、断熱材(グラスウー
ル等)と比べて格段に大きい容積比熱を有するため、複
数本の木質部材を互いに密着させながら立設して壁面等
を構築すれば、高い気密性と断熱・蓄熱効果を得ること
ができる。これにより、暖房エネルギーが室内に蓄熱保
有され、外部への熱損失が抑制される。また、冷房時に
は室外の熱気の干渉を木質部材が抑制するので、冷房エ
ネルギーの大幅な節約が可能となると共に、木材の調湿
力で爽やかで快適な居室環境を提供することができる。
【0014】また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重の
双方を支持するので、建築物全体の剛性が向上し、耐震
性、耐風性に優れた木造建築物となる。さらに、乾式構
法であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間
で壁面等の構造物を構築することができる。
【0015】木質部材同士の接触面や、木質部材と柱と
の接触面、あるいは木質部材の端面と横架材との接触面
を凹凸嵌合でもって係合させれば、木質部材、柱、横架
材が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向上する。
また、構築された壁面等が分解可能となり、建築物の移
築も簡単に行なえるようになる。
【0016】複数本の木質部材のうち、少なくとも一本
の木質部材を断面楔形に形成し、この木質部材を一対の
木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態で嵌挿す
れば、木質部材同士及び木質部材と柱とがより強固に密
着し、気密性の高い壁面等になる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を建築物の壁面構造に適用した
場合の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0018】図1(a)に示すように、本発明は、多数
の柱(1)〜(3)及び横架材(梁(4)や土台(5)
等の柱間に架設される部材をいう)を組み合わせて基礎
(6)の上に骨組を構成した後、対をなす柱(1)
(2)・(2)(3)の間に角柱状をなす複数本の木質
部材(7)を互いに密着させながら立設して壁面(9a)
(9b)を構築するものである。
【0019】図bに示すように、木質部材(7)同士の
接触面、及び、木質部材(7)と柱(1)〜(3)との
接触面は、壁面(9a)(9b)の強度及び密閉性を高める
べく凹凸嵌合でもって係合される。具体的には、木質部
材(7)及び柱(1)〜(3)の各接触面に、その長さ
方向の全域にわたって凹溝(10)を形成し、相対する凹
溝(10)間に断面矩形型の係合部材(11)(やとい実)
を嵌合させて、これらを結合するのである。
【0020】以下、この壁面(9a)(9b)の構築手順
を、左側の柱(1)と中央の柱(2)との間に形成され
る壁面(9a)を例に挙げて説明する。先ず、左側の柱
(1)の凹溝(10)に上述の係合部材(11)を嵌め込
む。そして、一方の凹溝(10)を前記係合部材(11)に
嵌め込みながら屋外側(a図の手前側、b図の下方)か
ら木質部材(7)を搬入し、これを土台(5)上に立て
て釘等で梁(4)や土台(5)に仮止めする。次いで、
この木質部材(7)の他方の凹溝(10)に係合部材(1
1)を嵌め込み、さらに、この係合部材(11)に新たな
木質部材(7)の一方の凹溝(10)を嵌め込んで当該木
質部材(7)を立設する。以下、同様の手順を繰り返
し、図2に示すように順次右隣に木質部材(7)を立設
して壁面(9a)を構築する。この時、壁面(9a)の気密
性を高めるべく、各木質部材(7)、及び木質部材
(7)と柱(1)(2)の間にゴム等の適当なシール材
を介在させてもよい。
【0021】ところで、このままの手順では、中央の柱
(2)に隣接する最後の木質部材(7a)(最後に嵌め込
まれる木質部材をいう)を嵌め込むことが不可能にな
る。即ち、最後の木質部材(7a)と、これに隣接する木
質部材(7b)(以下、隣接木質部材という)及び柱
(2)との間に係合部材(11)を介在させることができ
なくなる。そこで、本発明では最後の木質部材(7a)を
両側から挟む凹溝(10a)(10b)、即ち中央の柱
(2)の凹溝(10a)と隣接木質部材(7b)の凹溝(10
b)の側壁部分を予め矩形柱状に切除して、両凹溝(10
a)(10b)を側方、例えば屋外側に開口させると共
に、この開口部を塞ぐ閉塞部材(12)を準備することと
した。閉塞部材(12)としては、前記側壁部分の切除に
より形成された矩形柱体をそのまま用いたり、あるい
は、開口部の寸法に合わせて別途新たに製作したものを
用いることができる。
【0022】この場合の作業手順を以下に説明する。先
ず、最後の木質部材(7a)の双方の凹溝(10c)に予め
係合部材(11)を嵌め込んでおき、この木質部材(7a)
を、閉塞部材(12)を取り外した状態で柱(2)と隣接
木質部材(7b)との間に押し込む。次いで、開口部に閉
塞部材(12)を押し込み、この閉塞部材(12)を着脱自
在の締結手段(例えば、ねじ等)を用いて最後の木質部
材(7a)、隣接木質部材(7b)、柱(2)又は係合部材
(11)の何れか一つ又は二つ以上に固定する。これによ
り、スムーズに最後の木質部材(7a)を組み付けること
が可能となり、また、中央の柱(2)の美感を損なうこ
ともなくなる。
【0023】なお、以上の説明は、図面左側の壁面(9
a)についてものものであるが、右側の壁面(9b)も同
様の手順で構築することができる。また、両壁面(9a)
(9b)の構築方向は、図1(b)の矢印方向(左右から
中央に向かう方向)に限定されるものではなく、図示と
は逆に中央から左側もしくは右側に向けて構築すること
も可能である。但し、このように逆方向に構築する場合
には、左右の柱(1)(3)に隣接する木質部材(7)
が最後の木質部材となるので、この木質部材を挟む凹溝
(10)を側方に開口させて、その開口部に閉塞部材(1
2)を嵌め込む必要がある。
【0024】また、前記閉塞部材(12)を適当な長さに
分割し、各分割体を順次開口部に装着するようにしても
よい。
【0025】図3(a)(b)に壁面構造の他の実施例
を示す。これらは、上述の壁面の構築方向と異なり、矢
印で示すように、一対の柱(1)(2)の双方から中央
に向かって木質部材(7)を順次立設するものである。
(a)図は、各木質部材(7)を前記係合部材(11)を
用いて連結したもので、最後の木質部材(7a)を両側か
ら挟む凹溝(10a)(10b)は、その側壁部分を予め矩
形柱状に切除して、その側方に開口させている。また、
最後の木質部材(7a)は、最後に残った隙間(13)に嵌
合できるよう断面凸型に形成されている。一方、(b)
図は、各木質部材(7)を断面矩形型に形成し、断面楔
形に形成した最後の木質部材(7a)を隙間(13)に嵌挿
するようにしたものである。このようにして、最後の木
質部材(7a)を押し込むと、これが圧縮されて両側の木
質部材(7)を押圧するため、木質部材(7)同士及び
木質部材(7)と柱(1)(2)とがより強固に密着
し、気密性の高い壁面を得ることができる。
【0026】なお、何れの場合も、最後の木質部材(7
a)の位置は、壁面(9)の中央部に限られず、一対の
柱(1)(2)の間であればどこに配置されていてもよ
い。
【0027】図4に、凹凸嵌合の他の実施例を示す。こ
れは、各木質部材(7)の両側に配置される係合部材
(11)のうち、一方を当該木質部材(7)と一体化させ
たもので、木質部材(7)の一方の接触面に凹溝(10)
が形成されると共に、他方の接触面に前記凹溝(10)と
係合する凸状の係合部(14)が形成されている。但し、
最後の木質部材(7a)では、両方の接触面に前記係合部
(14)が設けられている。この場合も図1に示す構造と
同様に、最後の木質部材(7a)を押し込んだ後、開口部
に閉塞部材(12)を装着すれば、同様の壁面(9a)(9
b)を構築することができる。
【0028】凹凸嵌合の方式は、上述のものに限定され
るものではなく、相快くり凹凸嵌合等の種々の木組が採
用可能である。また、凹凸嵌合を用いずに釘や金具を用
いて木質部材(7)同士を固定してもよい。
【0029】図2に示すように、各木質部材(7)の上
端部は、凹凸嵌合でもって梁(4)に固定される。具体
的には、各木質部材(7)の上端面に矩形柱状の凸部
(16)を設けると共に、梁(4)の下面に前記凸部(1
6)と係合可能の凹溝(17)を一連に設け、さらにこの
凹溝(17)の側壁部分を切除して凹溝(17)をその側方
(例えば、屋外側)に開口させる。そして、上述の手順
で各木質部材(7)を立設し、最後の木質部材(7a)を
装着し終えたところで、開口部を塞ぐ閉塞部材(19)を
梁(4)に装着する。これにより、図5(a)に示すよ
うに、各木質部材(7)の凸部(16)が屋外側と屋内側
の双方から拘束されるので、各木質部材(7)をより強
固に固定することが可能となる。
【0030】また、その反対に、図5(b)に示すよう
に、梁(4)に凸状の係合部(16)を設けると共に、木
質部材(7)の上端面に凹溝(17)を設けても同様の効
果が得られる。
【0031】なお、以上の説明は、木質部材(7)の上
端部と梁(4)との連結構造に関するものであるが、同
様の連結構造は木質部材(7)の下端部と土台(5)と
の接触部にも同様に適用することができる。また、上述
した垂直方向の閉塞部材(12)と同様に、閉塞部材(1
9)を適当な長さに分割しておいてもよい。
【0032】この他、各木質部材(7)を、釘や金具等
を用いて梁(4)や土台(5)の外部に直接取り付けて
もよい。また、現場施工によらないで、予め工場製作に
よって木質部材(7)をパネル化し、これを凹凸嵌合や
釘・金具等の手段で梁(4)や土台(5)に取り付けて
もよい。
【0033】図6(a)(b)に、本発明を屋根下の壁
面構造に適用した場合の実施例を示す。これは、柱(2
0)上に架設した梁(21)と、山型に突き合わせた一対
の屋根支柱(22)と、屋根支柱(22)の突き合わせ部に
介在させた棟木(23)とで骨組を構成すると共に、図1
に示す壁面(9a)(9b)と同様に、梁(21)上に複数の
木質部材(7)を密着させながら立設して壁面(24)を
構築したものである。
【0034】前記屋根支柱(22)は、断面L型をなし、
その内面を屋外側に向けて梁(21)と棟木(23)に固定
されている。木質部材(7)の上端部を屋根支柱(22)
の傾斜角度に合わせて斜めに切断し、この切断端部を屋
根支柱(22)の内面に接触させながら各木質部材(7)
を梁(21)上に並べた後、各木質部材(7)の上端部を
押圧部材(25)で一体に押さえ付け、さらにボルト等で
この押圧部材(25)を屋根支柱(22)に連結すると、各
木質部材(7)が図1に示す構造と同様に、凹凸嵌合で
もって横架材に相当する屋根支柱(22)と連結され、強
固な壁面(24)が構築される。なお、図示は省略する
が、各木質部材(7)の接触面同士、及び、屋根支柱
(22)と木質部材(7)の接触面を上述の凹凸嵌合でも
って係合させてもよい。
【0035】図7に、屋根自体を木質部材(7)で形成
した場合を示す。この場合、けた(26)上に木質部材
(7)を載置すると、その重みで木質部材(7)が滑り
落ちるおそれがある。これを防止するため、けた(26)
に突起(27)を設けると共に、木質部材(7)に突起
(27)と係合する穴(28)を設けておくのが望ましい。
【0036】このようにして構築した壁面(9a)(9b)
(24)や屋根は、以下に掲げる作用・効果を奏する。
【0037】 柱状の木質部材(7)は、ガラスウー
ル等の断熱材に比べて格段に大きな容積比熱を有し、高
い断熱・蓄熱効果を発揮する。具体的には、10cm厚の木
質部材は、厚さ25cm程度の土壁、厚さ30cmのガラスウー
ルやロックウール等の断熱材と同等以上の断熱・蓄熱効
果を有する。従って、壁厚を薄くしつつ土蔵並みに夏は
涼しく冬は暖かい居室を提供することができる。また、
高い遮音性も確保される。
【0038】 木質部材(7)は優れた湿度調節機能
をも有するので、梅雨や夏期、冬期を問わず、室内がほ
どよい湿度(60%前後)に調節される。また、壁面(9
a)(9b)が中実状に構築されるので、壁面(9a)(9
b)内部に結露等が生じず、壁面の腐食が起こりにく
い。
【0039】 各木質部材(7)が水平荷重及び垂直
荷重の双方を支持し、骨組の変形を防止するので、建物
全体の剛性が大幅に向上し、耐震性、耐風性に優れた構
造となる。また、木質部材は、しなやかであり、比強度
も大きいので、水平荷重、垂直荷重、引抜き荷重等に対
して十分に対抗することができ、鉄筋コンクリート構造
等の他の構造に比べてはるかに災害に強い構造となる。
【0040】 塗り壁のような湿式構法でなく、乾式
構法であることから短期間に構築することができ、高度
の施工技術も要しない。
【0041】 一般に木造建築では、耐火性が問題と
なるが、本発明では、壁面(9a)(9b)が、自己消火力
に富む比較的大径の木質部材(7)で構成され、且つ、
一体化された大断面壁を形成しているので、火災時には
壁面(9a)(9b)の表面が炭化するだけであり、壁面
(9a)(9b)の全体が一気に燃え上がることはない。
【0042】 壁面(9a)(9b)をそのまま内外壁と
して用いることにより、自然感覚に富む外観となる。
【0043】 柱(1)〜(3)、木質部材(7)、
梁(4)、土台(5)が凹凸嵌合によって連結されてい
るので、各部材が自由に分解でき、住居の移築等も簡単
に行なえる。
【0044】 上述の壁面構造に類似するものとし
て、ログハウス等に見られるような、横にした木質部材
を積み上げて構築するものがある。しかし、この構造で
は、木質部材を積み上げれば積み上げるほど作業性が悪
化し、場合によってはクレーン等の大がかりな機械的吊
り上げ手段が必要となるという問題点がある。これに対
し、本発明は、在来工法の柱・梁構造の発展型であって
在来工法の柱・梁の内部に木質部材を立てながら壁面を
構築するため、作業の進行に伴う作業性悪化を招くこと
なく均等な労力で壁面を構築することができ、且つ、二
階建以上の中層建築物を容易に建築することができる。
【0045】このように本発明は、在来の軸組(柱・
梁)工法と枠組壁工法を合体させたものであり、軸組
(柱・梁)工法の長所である設計の自由性、増改築の簡
便性、保守・修理の容易性と、枠組壁工法の長所である
高剛性とを併せて得ることができ、長命で強固な木造建
築物を構築することが可能となる。
【0046】なお、以上の説明は、本発明を壁面構造や
屋根に適用したものであったが、本発明の適用範囲はこ
れに限らず、木造建築物の構造体、例えば床構造や天井
構造等にも適用可能である。ここで、構造体とは、室内
と外部とを仕切る全ての構造物を意味する。また、上記
木質部材(7)としては、通常の木材の他、集成材やパ
ーティクル化した木材を柱状に固めたもの等を用いるこ
とができる。
【0047】
【発明の効果】このように、本発明では、木質部材を組
み重ねて壁面等を構築しているので、高い気密性、断熱
・蓄熱効果を発揮することができ、夏は涼しく冬は暖か
い快適な居住環境を提供できるようになる。この結果、
冷暖房器の使用頻度が減少し、省エネルギーが図れる。
また、木質部材が水平荷重及び垂直荷重による骨組の変
形を防止するので、極めて高い剛性を有する耐震性、耐
風性に優れた木造建築を提供できる。さらに、乾式構法
であることから、塗り壁等の湿式構法に比べて短期間に
構築でき、構築に際して高度な施工技術を要することも
ない。また、壁面等が中実構造であるので、結露等によ
る構造材の腐食が問題とならず、建築物の寿命向上が期
待できる。
【0048】また、横にした木質部材を積み上げて構築
する場合のように、作業の進行に伴う作業性の悪化が生
じず、作業労力の低減が図れる。
【0049】木質部材同士の接触面、及び、木質部材と
柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させれば、各木質
部材及び柱が一体化され、壁面等の強度及び密閉性が向
上する。この効果は、木質部材の端面と、これに接触す
る横架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させること
により、より顕著に得られる。また、凹凸嵌合であるか
ら、壁面等の分解も可能であり、建築物の移築も簡単に
行なえる。
【0050】また、対をなす柱のうち、何れか一方の柱
に隣接する木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分
を切除して両凹溝をその側方に開口させ、その開口部に
当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設けたり、ある
いは、木質部材の端面及びこれに接触する横架材の接触
面のうち、何れか一方に凸部を設けると共に、他方に前
記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の側壁部分を切
除して凹溝をその側方に開口させると共に、その開口部
に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設ければ、作
業のし易い屋外側から容易に壁面等を構築することがで
きる。また、閉塞部材で開口部を塞ぐので、柱の美感を
損なうこともない。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の柱及び横架材を組み合わせて骨組
    とした木造建築物において、対をなす柱間に、柱状をな
    す複数本の木質部材を互いに密着させながら立設して屋
    根、床、壁面等の構造体を構築したことを特徴とする木
    造建築物。
  2. 【請求項2】 前記木質部材同士の接触面、及び、木質
    部材と柱との接触面を凹凸嵌合でもって係合させたこと
    を特徴とする請求項1記載の木造建築物。
  3. 【請求項3】 前記木質部材及び柱の各接触面に凹溝を
    設けると共に、相対する凹溝間に係合部材を嵌合して木
    質部材同士の接触面、及び、木質部材と柱との接触面を
    係合させ、 且つ、前記対をなす柱のうち、何れか一方の柱に隣接す
    る木質部材の両側に設けられた凹溝の側壁部分を切除し
    て両凹溝をその側方に開口させると共に、その開口部に
    当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在に設けたことを特
    徴とする請求項2記載の木造建築物。
  4. 【請求項4】 前記複数本の木質部材のうち、少なくと
    も一本の木質部材が断面楔形に形成され、この木質部材
    が一対の木質部材の間又は柱と木質部材の間に圧縮状態
    で嵌挿されていることを特徴とする請求項1記載の木造
    建築物。
  5. 【請求項5】 前記木質部材の端面と、これに接触する
    横架材の接触面とを凹凸嵌合でもって係合させたことを
    特徴とする請求項1記載の木造建築物。
  6. 【請求項6】 前記木質部材の端面及びこれに接触する
    横架材の接触面のうち、何れか一方に凸部を設けると共
    に、他方に前記凸部と係合する凹溝を設け、この凹溝の
    側壁部分を切除して凹溝をその側方に開口させると共
    に、その開口部に当該開口部を塞ぐ閉塞部材を着脱自在
    に設けたことを特徴とする請求項5記載の木造建築物。
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