JPH07167781A - 紫外線防御効果の測定方法及び装置 - Google Patents

紫外線防御効果の測定方法及び装置

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JPH07167781A
JPH07167781A JP22993094A JP22993094A JPH07167781A JP H07167781 A JPH07167781 A JP H07167781A JP 22993094 A JP22993094 A JP 22993094A JP 22993094 A JP22993094 A JP 22993094A JP H07167781 A JPH07167781 A JP H07167781A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 in vivoで得られるSPF値との相関
の高いSPF値をinvitroにおいて剤型によらな
い共通の計算式で算出しうるようにすること。 【構成】 透過UV強度I(λ)を紅斑係数EE(λ)
で補正して紅斑惹起UV強度EUIを算出しI(λ)を
320〜400nmの範囲で積算して透過UVA強度を算
出し(ステップb)、UVA/EUIの比から光増強効
果係数αUVA の底αの理論値αTHを算出し(ステップ
c)、EUI×αTH UVA によりEUIの最終的な理論値
EUIULを算出する(ステップd)。EUIULが75以
上のとき1350/EUIULによりSPF値を算出し
(ステップf)、そうでないときは実験式によりSPF
値を算出する(ステップg)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外線防御効果の測定
方法及び装置、特に、ヒトの肌で測定したSPF値(サ
ンプロテクションファクタ:化粧品等が紫外線による日
焼けを防ぐ度合い)との相関の高いSPF値をin v
itroにおいて得るための方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外線による日焼けを防止するための化
粧品、いわゆるサンケア商品の効果を表わす尺度として
SPF値が用いられる。このSPF値はB紫外線による
サンバーン(短時間で肌に赤みやほてり、炎症を起させ
る)から肌を守り、日焼けを防ぐ効果を示す指数であ
り、次の様に定義される。
【0003】
【数1】
【0004】例えば、SPF8のサンケア化粧品を使用
すると、素肌で日やけする場合の8倍のB紫外線をあび
た時に、素肌と同じような日やけ(赤くなる)をすると
いう意味である。SPF値の測定には、季節や場所によ
って値が異なる可能性がある太陽光ではなく、太陽光線
に非常に近い人工光(ソーラシミュレーター)を採用し
ている。測定法は、製品を塗らない肌と塗った肌にそれ
ぞれ一定量の紫外線を照射し、翌日サンバーン(紅斑)
を起こしたかどうかを調べることによる。
【0005】米国においては、FDAのFederal Regist
er OTC monograph(1978)によってSPF測定法は以下の
様に定められている。 1.被験者の肌タイプはI〜III * の18才以上の男女
とする。 2.被験者は20名以上とする。 3.SPF4の定められた処方のサンスクリーン剤を標
準サンプルとする。 4.サンプル塗布量は、2mg(μs)/cm2 とする。
【0006】5.サンプル塗布量の面積は、20cm2
上とする。 6.サンプル塗布から照射までの時間は、15分以上と
する。 7.光源は、UV−B波長290〜320nmの太陽光あ
るいは太陽光に近似させたソーラシミュレーターを使用
する。 8.照射は0.5cm2 以上とする。
【0007】9.照射増量幅は、等比的に行い、その比
は最大25%とする。 10. MEDの判定は、照射終了時から16〜24時間後
に、明るい場所で熟練者が行う。 11. SPFの算定方法は、サンプル無塗布部及びサンプ
ル塗布部で求められたパネルのMEDを用い、公式に従
い求める。
【0008】*USの肌タイプ分類 タイプI 非常に
日やけ(赤くなる)しやすく、黒くならない。 タイプII 容易に日やけ(赤くなる)し、わずかに黒く
なる。 タイプIII 日やけ(赤くなる)した後にいつも黒くな
る。
【0009】タイプIV あまり日やけ(赤くなる)せ
ず、すぐに黒くなる。 タイプV 日やけ(赤くなる)せず、非常に黒くなる。 タイプVI 決して日やけ(赤くなる)せず、非常に黒く
なる。
【0010】上記の方法に準拠して測定したSPF値を
用いれば、製品の紫外線防御効果の容観的な評価が可能
となる。しかし、上記の方法は多数の特定の肌タイプの
被験者の協力が不可欠であるので、多大な費用と日数を
必要とする。したがって、例えば、開発段階にある製品
の紫外線防御効果の評価のため等に、in vitro
で、簡便に、上記の方法で得られたin vivo S
PF値との相関が高いin vitro SPF値が得
られる測定方法の関発が望まれる。
【0011】in vitroにおけるSPF値の測定
方法としては表1に示すような方法が提案されている。
これらの測定方法の評価結果を表2に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】これらは、主にサンスクリーン剤(日焼け
止めローションやクリーム)を対象として関発されたも
のであり、測定対象をサンスクリーン剤に限定すれば、
中にはin vivoで得られるSPF値と比較的高い
相関を示すものがある(表2中の "サンスクリーン" の
欄に△及び○で示す)。しかし、サンスクリーン剤以外
の剤型については、測定可能な試料を調整することがで
きないという理由から、測定不可能なものが多くあり
(表2中×印で示す)、またできたとしても、in v
ivo SPF値との相関という点では決して満足でき
るレベルではなかった(表2中△印で示す)。また、後
に詳述するように、剤型が異なると測定値とin vi
vo SPF値との関係が若干異なるために、剤型が似
通った多数の試料から剤型ごとに換算係数を算出する必
要があり、そのため、剤型が未知である試料については
測定ができない(表2)。さらに、SPF値が高い範囲
まで測定可能であることが望ましいが、測定可能なSP
F値の上限が低いものが多い(表2)。SPF20以上
が測定できたとしても、in vivo SPF値とは
相関が取れているものはない。
【0015】なお、従来ではUV−A(320〜400
nm)による紅斑の若起効果はUV−B(290〜320
nm)のそれよりも著しく小さく(1/1000〜1/1
500)、かつ、前者は後者に対して付加的な効果(相
加効果)を与えると考えられていたので、波長毎に紅斑
の若起効果を測定して紅斑係数を算出し、透過UV量に
波長毎の紅斑係数を乗じて補正した紅斑惹起UV強度
(erithmal UV intersity:EUI)から直接SPF値を算出
していた。この様な手法をとる限り、in vivo
SPF値との相関には限界があり、また、透過UV−A
量の異なる剤型では異なる係数を用いる必要が生じるも
のと考えられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、試料の剤型によらず、in vivoで測定され
たSPF値と高い相関のあるSPF値をin vitr
oで得ることのできる測定方法と装置を提供することに
ある。本発明の他の目的は、剤型によらず共通の係数を
用いて計算することにより、任意の剤型についてin
vivo SPF値と高い相関のあるSPF値をinv
itroで得ることのできる測定方法と装置を提供する
ことにある。
【0017】本発明のさらに他の目的は、測定可能なS
PF値の上限値が高い測定方法と装置を提供することに
ある。
【0018】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めの本発明の紫外線防御効果の測定方法は、試料を透過
した紫外線の複数の波長区間における強度を測定し、測
定された各波長区間の強度にそれぞれの波長区間につい
ての紅斑係数をそれぞれ乗じそれらの総和をとることに
よって紅斑惹起UV強度を算出し、UV−Aの波長範囲
に属する各波長区間における強度の総和をとることによ
って透過UV−A強度を算出し、該透過UV−A強度か
ら光増強効果係数を算出し、該光増強効果係数を該紅斑
惹起UV強度に乗じて最終紅斑惹起UV強度を算出し、
該最終紅斑惹起UV強度からSPF値を算出する各段階
を具備することを特徴とするものである。
【0019】また本発明の紫外線防御効果の測定装置
は、試料を透過した紫外線の複数の波長区間における強
度を測定する手段と、測定された各波長区間の強度にそ
れぞれの波長区間についての紅斑係数をそれぞれ乗じそ
れらの総和をとることによって紅斑惹起UV強度を算出
する手段と、UV−Aの波長範囲に属する各波長区間に
おける強度の総和をとることによって透過UV−A強度
を算出する手段と、該透過UV−A強度から光増強効果
係数を算出する手段と、該光増強効果係数を該紅斑惹起
UV強度に乗じて最終紅斑惹起UV強度を算出する手段
と、該最終紅斑惹起UV強度からSPF値を算出する手
段とを具備することを特徴とするものである。
【0020】
【作用】後に詳述するように、UV−Bによる紅斑の惹
起効果に対するUV−Aの光増強効果は相加的ではな
く、相乗的であることが本発明者により定量的に確認さ
れた。それ故、透過UV−A強度を算出してそれから光
増強効果係数を算出し、紅斑係数で補正された紅斑惹起
UV強度に乗じたものからSPF値を算出することによ
り、剤型によらない共通の換算式を用いてin viv
o SPF値と相関の高いSPF値が得られる。
【0021】
【実施例】図1に本発明で用いられる光源としてのソー
ラシミュレータ10の概観を表わす。筐体12に内蔵さ
れるランプからの光は複数本の光ファイバ14を経て複
数の照射ノズル16から照射される。なおこれは、前述
の米国のFDAで規定されたin vivo SPF測
定法で使用されるものと同一である。
【0022】図2は検出側のスペクトロラジオメータ1
8の概観を表わす。受光部20で受光された光は光ファ
イバ22を経て検出器24へ導かれる。検出器24は2
50nm〜420nmの範囲の光を2nm間隔で分光し、それ
ぞれの強度を電圧に変換し、さらにA/D変換して出力
する。パーソナルコンピュータ26は検出器24から2
nm毎の分光強度を入力し、後述する処理を行なってSP
F値を算出する。
【0023】図3は測定時の照射ノズル16と受光部2
0の位置関係を表わす。照射ノズル16と受光部20は
所定の間隔で固定され、所定の量で試料28が塗布され
たテープ部材30が照射ノズル16から一定の距離の位
置に固定される。テープ部材30としては紫外線を透過
しうるものであれば良いが、好ましくは皮膚の表面のミ
クロな形状に近付けるため、無数のポア(細孔)を有す
る医療用の3M社製トランスポアTMテープを使用する。
また、テープの細孔にローションが落ちたりさらに裏面
に回ることを防ぐために、2枚のテープの粘着面どうし
を貼り合わせたものを用いる。
【0024】実施例1 図4はソーラシミュレータ10から照射される光のスペ
クトル32と、或る試料についての透過光のスペクトル
34を表わす。透過光のスペクトル34は2nm毎の強度
の棒グラフにより表わされている。測定条件は下記の通
りである。 (1)UV−B強度 2.0 MED/min (2)照射距離 10mm (3)測定時間 500〜3000msec(透過UV強度
によって最適値を設定) (4)塗布量 1.0mg/cm2 (5)試料を指で均一にテープに塗布し、15分以上後
に測定 本発明の第1の実施例においては、米国で規定されてい
る塗布量は2.0mg/cm2 であるのに対して、1.0mg
/cm2 としたのは、高いSPF値まで測定可能とするた
めである。
【0025】まず従来法に基づき、290nm〜400nm
の範囲の各波長λにおける透過UV強度I(λ)に表3
の紅斑係数(紅斑を惹起させる効果の相対的な係数)E
E(λ)を乗じて総和をとって紅斑惹起UV強度(EU
I)ΣEE(λ)I(λ)を算出し、in vivoで
測定されたSPF値とlog(1/EUI)との関係を
プロットしてみる。
【0026】
【表3】
【0027】図5〜図8は、種々の剤型毎に、in v
ivoで測定されたSPF値と紅斑惹起UV強度ΣEE
(λ)I(λ)から計算されたlog(1/EUI)と
の関係を示す。この様に測定対象を剤型毎に分けてプロ
ットすれば、油性ファンデーションの場合を除いて、両
者には或る程度の相関がみられる。しかし、剤型毎に最
小自乗法によって求めた直線は剤型間で著しく異なって
いる。このことは、従来法によればSPF値を算出する
ために剤型毎に異なる計算式を使用する必要があるこ
と、また、剤型が未知であるか又はいずれの剤型に分類
すべきかが不明なときは従来法では測定ができないとい
うことを意味している。また、油性ファンデーションの
場合(図8)のように、剤型がわかっていても精度の良
い測定ができない場合があることも示されている。
【0028】相関の低かった油性ファンデーションに着
目してみると、使用目的別に透明タイプや半透明タイ
プ、隠ぺい性のあるタイプに分類できる。油性ファンデ
ーションはワックスとオイルと粉末から成り立つが、そ
の粉末中の酸化チタン量によって、処方上、類別され
る。従って、その酸化チタン量によって、UV−A(3
20〜400nm)を透過するものとほとんど透過しない
ものとがある。そこで、UV−Aをほとんど透過しない
もののみを抜き出して同様にプロットすると、図9に示
されるようにin vivo SPF値とEUIとの間
には高い相関がみられた。
【0029】上記の結果から、EUIから直接SPFを
算出する従来の方法ではUV−Aの影響が正当に評価さ
れていないことがわかる。そこで、UV−Aの作用は相
乗的であるとして、UV−A量の関数としての「光増強
効果係数」を考え、 (光増強効果係数)×(EUI) (2) の値が、剤型によらずin vivo SPF値と一定
の関係を有するものとする。UV−Aを透過しない試料
における光増強効果係数を1とすれば、任意の試料にお
ける光増強効果係数は、その試料のin vivo S
PF値から図9の直線を使って求められるUV−Aの影
響がないときのEUIの値(理論EUIと称する)と実
際のEUIから次式により概算することができる。
【0030】 (光増強効果係数)=(理論EUI)/(EUI) (3) 図10は油性ファンデーションについて、UV−A強度
と光増強効果係数との関係をプロットしたものである。
UV−A強度は塗布量2.0mg/cm2 の条件で得られた
320〜400nmの透過光の総和である。図10から、
UV−A強度と光増強効果係数との関係はα(≒3.
3)を底とする指数関数で近似されることがわかる。
【0031】この光増強効果係数(=3.3UV-A)をE
UIに乗じて図5〜図8で説明した相関をとり直すと表
4のようになり、各剤型及び全剤型についても高い相関
が示される。
【0032】
【表4】
【0033】さらに、UV−A強度と光増強効果係数と
の関係が指数関数であるならば、その底αは試料毎に次
式により算出できる。 logα={log (理論EUI)/(EUI)}/ (UV−A強度) (4) この値αをEUIに対してプロットすると、図11のよ
うに右下がりの関係となる。これは透過UV−Bの強度
が比較的小さいときはUV−Aの光増強効果が強く作用
し、透過UV−Bの強度が大きくなるにつれてUV−A
の光増強効果は薄れていくためであると説明される。こ
の関係は logα=−9.94×10-4×ΣEE(λ)I(λ)+0.678 (5) によって近似することができる。したがって、さらに精
密な光増強効果係数は 10**{(−9.94×10-4×ΣEE (λ)I(λ) +0.678)×(UV−A強度)} (6) で与えられる。(**はべき乗を意味する) この光増強効果係数を乗じたEUIとin vivo
SPF値との相関をとると、表5のようになり、各剤型
でさらに高い相関が得られると同時に、各剤型の相関式
がほぼ同じ式で表わされている。
【0034】
【表5】
【0035】また、図12に示されるように、全剤型に
ついても高い相関が得られ、直線の傾き0.041、切
片−3.2が得られる。したがって、本発明によるin
vitro SPF値は、
【0036】
【数2】
【0037】により同一換算式で算出される。図13は
本発明の一実施例に係るSPF値測定装置に用いられる
パーソナルコンピュータ26(図2)の処理を表わすフ
ローチャートである。まず、塗布量1.0mg/cm2 にお
ける測定結果I(λ)を検出器24からとり込み(ステ
ップa)、各波長区間に紅斑係数EE(λ)を乗じて2
90〜400nmの範囲で総和をとることによってΣEE
(λ)I(λ)すなわちEUIを算出する(ステップ
b)。次に、塗布量2.0mg/cm2 における測定結果I
(λ)をとり込んで(ステップc)、320〜400nm
の範囲の総和をとってUV−A強度ΣI(λ)を算出す
る(ステップd)。そして、(7)式に従って、in
vitro SPF値を算出する(ステップe)。
【0038】米国で規定されている測定法では塗布量は
2.0mg/cm2 とされているのに対して、EUI=ΣE
E(λ)I(λ)の算出のための塗布量を1.0mg/cm
2 としているのは、in vitroで高いSPF値ま
での測定を可能とするためであり、これにより、SPF
50以上の測定が可能となった。なお、ΣEE(λ)I
(λ)及びΣI(λ)の算出に用いる試料の塗布量を同
じにすれば、一回の測定でSPF値を算出し出力するこ
とができる。実施例2 本実施例では、EUI及びUV−A強度の測定のための
試料の塗布量をinvivo測定に合わせて共に2.0
mg/cm2 とし、紅斑反応に対する以下の様なより理論的
なアプローチにより決定された計算式に従ってin v
itro SPF値が算出される。
【0039】SPF値は、サンスクリーン剤の塗布と無
塗布の最小紅斑量(MED)に達するまでの時間(t)
の比であるから、 SPF=t/t0 (8) と表わされる。ここで、t0 はサンスクリーン剤が無塗
布のときにMEDに達した時間とする。
【0040】今、人の肌に直接紅斑を引き起こす有効な
UV光は、サンスクリーン剤を透過したUVスペクトル
に表3で示した紅斑反応を引き起こす相対的な効果係数
を乗じた値となる。そこで、紅斑を引き起こす有効なU
V強度(Erythemal UV Intensity:EUI) は次の式で表せ
られる。 EUI=ΣEE(λ)I(λ) (9) ここで、I(λ)はサンスクリーン剤を塗布したときの
スペクトロラジオメーターで検出された各波長の透過U
V強度を示す。
【0041】EE(λ)は紅斑反応を引き起こす作用波
長の相対的な効果係数を示す。一方で、最小紅斑量は、
MEDに達するまでの時間(t)と皮膚に作用したUV
強度((9)式)の積であり、同一人物では実質的な最
小紅斑量は一定であるはずであるから、次の式が成り立
つ。 t0 ΣEE(λ)I0 (λ)=tΣEE(λ)I(λ) (10) ここで、IO (λ)はサンスクリーン剤が無塗布のとき
の透過UV強度を示す。
【0042】従って、(8)式と(10)式により、次
の式が成り立つ SPF=ΣEE(λ)I0 (λ)/ΣEE(λ)I(λ) (11) つまり、ΣEE(λ)I0 (λ)は光源の照射強度が変
わらなければ常に一定であるので定数とみなせる。そこ
で、我々は(11)式からSPF値と1/ΣEE(λ)
I(λ)の関係について検証し、解析することで、紅斑
反応に関する生物学的な現象や影響を調べた。
【0043】全ての剤型(W/O及びO/Wエマルジョ
ンタイプ、パウダータイプ、オイル−ワックスタイプ)
のサンスクリーン剤(N=80)を評価した。図14に
SPF値とlog(1/ΣEE(λ)I(λ))の関係
を示した。図中の“X”印は無塗布のときの結果を示
す。図14から全サンプルについて、log(1/ΣE
E(λ)I(λ))とin vivo SPF値との間
には、ある程度の相関があることが分かった。従って、
紅斑作用波長の相対的な効果係数を用いて算出された、
皮膚に効果的に作用する透過UV強度(Erythemal UV I
ntensity;EUI) によって、SPF値の予測はある程度可
能となる。
【0044】ところで、点在する全サンプルの透過UV
スペクトルを注意深く観察した結果、グラフ上部と下部
に位置するサンプルでは、その透過UVスペクトルが大
きく異なっていることが分かった。今、SPF値が同程
度で、剤型も同一のW/Oエマルジョンの典型的なサン
スクリーン剤の透過UVスペクトルを図15に示した。
図15のAのサンプル(SPF4.9)は、グラフ上部
に位置し、Bのサンプル(SPF5.5)はグラフ下部
に位置している。従って、我々はサンスクリーン剤の透
過UVA強度とグラフ上の位置とに何らかの関係がある
と考えた。
【0045】そこで、図14で透過UVA強度が3.5
mW/cm2 以上のサンプルと3.5mW/cm2 以下のサンプ
ルとに区別したグラフを図16に示した。その結果、S
PF値が20以下の領域においては透過UVA強度が高
いサンプルはグラフ上部に、逆に透過UVA強度の低い
サンプルはグラフ下部に位置していることが確認され
た。つまり、サンスクリーン剤の透過UVAは、SPF
値、言い換えれば、皮膚に作用しUVBを中心とした紅
斑反応に何らかの形で関与していることが示唆された。
【0046】Kligmanらは、UVA照射による光
増強効果を提案している(Willis,I.,Kligman,A.M.and
Epstein,J.,Effects of long ultraviolet rays on hum
an skin:Photoprotective or photoaugmentative? J.In
vest.Dermatol.,59,416-420(1972);Kaidbey,K.H.and Kl
igman,A.M.,Further studies of photoaugmentationin
humans:Phototoxic reactions.J.Invest.Dermatol.,65,
472-475(1975)) 。これは、UVA照射により紅斑反応
を引き起こすUVBの照射量(最小紅斑量:MED)の
低下を意味している。我々はこのUVAによる光増強効
果に注目した。UVAの光増強効果を正確に検証するに
あたり、サンスクリーン剤の剤型によるUV防御能の違
いや皮膚と塗布体の違いによる影響などを最小限に抑え
る必要がある。よって、塗布体の影響を受けにくい剤型
として、オイル−ワックスタイプのサンスクリーン剤を
UVフィルターとして用いた。このオイル−ワックスタ
イプのサンスクリーン剤に種々の紫外線吸収剤や散乱剤
を配合することにより、異なる透過UVスペクトルを持
たせて検証を行った。オイルワックスタイプのサンスク
リーン剤がUVフィルターとして優れている点は、各種
紫外線吸収剤や散乱剤の均一で安定な配合が可能であ
り、ワックスとオイルの組成により塗布体の表面状態
(表面のイレギュラーの程度や親水性および親油性な
ど)の影響を受けにくいことである。これらのSPF
値、EUI値(ΣEE(λ)I(λ))、透過UVA強
度値の測定結果を図17に示した。そして、図18にS
PF値とEUI値の関係を示した。その結果、図14と
同じように透過UVAの影響が見られた。
【0047】ここで、Kligmanが提唱していたU
VAの光増強効果を考えてみると、これはUVBを中心
とした最小紅斑量(MED)の低下を示している。つま
り、UVAが皮膚に作用し、UVBに対する皮膚の感受
性を高めていることを意味している。言い換えれば、皮
膚に引き起こされる紅斑反応はその現象としては常に同
じであるから、皮膚側から見れば、UVAによってUV
Bが増強されたのと同じであると考えられる。従って、
光増強効果について、UVAによってUVBがどの位増
強されるかを検証する必要がある。『相反則』が成り立
つとき、(11)式を変形すると、(12)式が導かれ
る。
【0048】 ΣEE(λ)I(λ)=ΣEE(λ)I0 (λ)/SPF (12) 今回、サンスクリーン剤が無塗布のとき、EUI値(Σ
EE(λ)IO (λ))は一定値であるので、紅斑反応
を引き起こすために必要なEUIの理論値が(11)式
に定数ΣEE(λ)I0 (λ)(≒1350)の値及び
各in vivo SPF値を代入することにより算出
できる。(なお、図16及び図18のX印は無塗布(S
PF=1)のときのEUI値(log(1/ΣEE
(λ)I0 (λ))の値)を示し、実線及び破線は各i
n vivo SPF値に関して(11)式から計算さ
れるEUIの理論値(log(1/EUITH)の値)を
示し、以下相反則曲線と称する。)従って、サンプルの
EUIの実測値と透過UVAの影響がほとんど見られな
い理論値の比から透過UVAの関係をみることで、その
光増強効果が検証できる。オイルワックスタイプのサン
スクリーン剤のUVAの光増強効果を図19に示した。
図19より、光増強効果は、透過UVA強度の増加にと
もなって、指数関数的に作用することが分かった。グラ
フより(13)式の関係を有する指数関数の底αが導か
れる。
【0049】 EUIの理論値/EUIの実測値=αUVA (13) 以下αUVA を光増強効果係数、αを光増強効果係数の底
と称する。従って、(13)式よりUVAの光増強効果
によって、紅斑反応を引き起こすと考えられるEUIの
理論値(EUITh)が算出される。そこで、オイルワッ
クスタイプのサンスクリーン剤についてUVAの光増強
効果を取り入れたEUITh値とSPF値との関係を調べ
た(図20)。図20中の破線は相反則曲線を示す。相
関係数を比較すると図18の時よりも高い値(R2
0.98)を示したことから、UVAの光増強効果の存
在が示唆できる。そして、SPF20以下については
『相反則』が成り立つが、20以上では成り立たないこ
とが分かる。これは、SPF20以上の領域では紅斑反
応に関する別な生物学的な影響があることを示唆してい
る。そこで、我々は全てのサンスクリーン剤について
も、同様に光増強効果を取り入れて検証を行った(図2
1)。相反則曲線との関係について見ると、光増強効果
を取り入れてないもの(図22)に比較して図21では
相関が高くなっている。これにより、特にSPF20ま
での領域ではUVAの光増強効果が見られ、相反則が成
り立つことが明白となった。従って、我々はUVAが紅
斑反応に対して光増強効果を及ぼしていることを確証し
た。
【0050】ところで、UVAの光増強効果について検
証を進めてきたが、一方で、この現象がUVAとUVB
の相乗効果の結果として捉えられ、透過UVスペクトル
の中のUVAとUVBの比率による影響があるものと推
察できる。そこで、これを検証するために、まず、32
0〜400nmの範囲の透過UVA強度値とEUI値(Σ
EE(λ)I(λ))の比率を求め、次に、実測SPF
20以下の各サンスクリーン剤のそれぞれの光増強効果
係数の底の理論値(αTh)を算出する。ここで、透過U
VB量の代りにEUI値を用いたのは、EUI値がほぼ
透過UVB量と同等であるからである。各々のαThは紅
斑UV強度の理論値と実測値の比と実測UVA強度か
ら、(13)式を用いて算出される。そこで、透過UV
A強度値/EUI値(ΣEE(λ)I(λ))の比率と
光増強効果係数の底の理論値(αTh)の関係を図23に
示した。その結果、透過UVAの比率の増大と共に、α
の値が増加している。つまり、UVAによる光増強はU
VAとUVBの比率の影響を受けていると言える。生物
作用が強いUVBの比率が高い時には紅斑反応の中心は
UVBとなり、UVBの比率が低い時にはUVAの光増
強効果が見られる。図23の関係から、次の関係式が決
定される。
【0051】 αTH=1 (x≦23) αTH=(x−23)0.032 (23<x≦175) αTH=1.175 (175<x) (14) ただしx=UVA/EUI そこで、式(14)及び(13)を使ってUVAの光増
強効果に、新たにUVA/UVBの比率の影響を含めた
最終的なEUIの理論値(EUIUL)を算出し、全ての
サンスクリーン剤のSPF値との関係を再度検証した
(図24)。その結果、全てのサンスクリーン剤の最終
的なEUIの理論値(EUIUL)は相反則曲線とSPF
値とに高い相関を示した。従って、我々は紅斑反応に関
するUVAの光増強効果の存在をより明解に示すことが
できた。
【0052】『相反則』が成り立つ曲線を図24に点線
で示した。その結果、SPF20以内では、『相反則』
が成り立っているがSPFが20以上の領域では『相反
則』が成り立っていないことが分かった。光反応の基本
原則である『相反則』は、人の皮膚の紅斑反応に関する
限りでは、ある時間内では成立するが、それ以上では成
立していなかった。代わって、生物作用を持った別の法
則が成り立っている可能性が見られた。従って、『相反
則』と『相反則不規』が考慮された計算プログラムだけ
が、高い精度でSPF値を予測できる。
【0053】図25は本発明の第2の実施例に係るSP
F測定装置に用いられるパーソナルコンピュータ26
(図2)の処理を表わすフローチャートである。塗布量
2.0mg/cm2 の試料について、検出器24から測定デ
ータI(λ)を取り込み(ステップa)、(8)式に従
ってEUIを算出し、290〜400nmの範囲でI
(λ)の総和をとってUVA強度を算出する(ステップ
b)。UVA/EUIの値から(13)式に従ってαTH
を算出し(ステップc)、αTH、UVA、及びEUIの
値から EUIUL=EUI×αTH UVA に従ってEUIの最終理論値EUIULを算出する(ステ
ップd)。EUIULの値が75以上であるか否かを判断
し(ステップe)、EUIULが75以上であるとき(S
PF<18に相当)、相反則を表わす(10)式に基づ
く式 SPF=1350/EUIUL によりSPF値を算出する(ステップf)。EUIUL
75以上でないとき、次の実験式によりSPF値を算出
する(ステップg)。
【0054】 SPF=(log(1/EUIUL)+2.9227)/0.0581 図26に測定結果の一部を示す。特に高SPF領域にお
いて本発明の装置により測定されたin vitro
SPF値がin vivo SPF値に非常に近いこと
が注目される。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、i
n vivo SPF値と高い相関を示すSPF値がi
n vitroにおいて、剤型によらない共通の式を用
いて得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光源としてのソーラシミュレータの概観を表わ
す図である。
【図2】検出側のスペクトロラジオメータの概観を表わ
す図である。
【図3】照射ノズル、受光部及び試料の位置関係を表わ
す図である。
【図4】ソーラシミュレータの照射光のスペクトルと、
透過光のスペクトルの一例を表わす図である。
【図5】パウダーファンデーションについてのin v
ivo SPF値とEUIとの相関を表わす図である。
【図6】W/Oリキッドファンデーションについてのi
n vivo SPF値とEUIとの相関を表わす図で
ある。
【図7】O/Wサンスクリーンについてのin viv
o SPF値とEUIとの相関を表わす図である。
【図8】油性ファンデーションについてのin viv
o SPF値とEUIとの相関を表わす図である。
【図9】UV−Aを通さない油性ファンデーションにつ
いてのin vivo SPF値とEUIとの相関を表
わす図である。
【図10】UV−A量と光増強効果係数との関係を表わ
す図である。
【図11】EUIと光増強効果係数の底αとの関係を表
わす図である。
【図12】in vivo SPF値と本発明によるE
UIとの相関を表わす図である。
【図13】本発明の第1の実施例におけるin vit
ro SPF測定の手順を表わすフローチャートであ
る。
【図14】各種の剤型のサンスクリーン剤におけるin
vivo SPF値とEUIとの関係を示す図であ
る。
【図15】SPF値が同程度で剤型も同一の典型的な2
つのサンスクリーン剤の透過UVスペクトルを示す図で
ある。
【図16】図14の各測定点をUVA強度の大小により
区別した図である。
【図17】光増強効果の検証のために調整したサンプル
の測定結果を示す図である。
【図18】図17のサンプルにおけるin vivo
SPFとEUIの関係を示す図である。
【図19】UVA強度と光増強効果の関係を示す図であ
る。
【図20】in vivo SPF値と光増強効果を取
り入れたEUITHとの関係を示す図である。
【図21】各種の剤型のサンスクリーン剤におけるin
vivo SPF値をEUITHとの関係を示す図であ
る。
【図22】各種の剤型のサンスクリーン剤におけるin
vivo SPF値とEUIとの関係を示す図であ
る。
【図23】UVA/EUIとαTHとの関係を示す図であ
る。
【図24】各種の剤型のサンスクリーン剤についてin
vivo SPF値とEUIULとの関係を示す図であ
る。
【図25】本発明の第2の実施例におけるin vit
ro SPF測定の手順を表わすフローチャートであ
る。
【図26】本発明の第2の実施例における測定結果を示
す図である。
【符号の説明】
10…ソーラシミュレータ 16…照射ノズル 18…スペクトロラジオメータ 20…受光部 24…検出器 26…パーソナルコンピュータ 28…試料 30…トランスポアTMテープ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)試料を透過した紫外線の複数の波長
    区間における強度を測定し、 b)測定された各波長区間の強度にそれぞれの波長区間
    についての紅斑係数をそれぞれ乗じそれらの総和をとる
    ことによって紅斑惹起UV強度を算出し、 c)UV−Aの波長範囲に属する各波長区間における強
    度の総和をとることによって透過UV−A強度を算出
    し、 d)該透過UV−A強度から光増強効果係数を算出し、 f)該光増強効果係数を該紅斑惹起UV強度に乗じて最
    終紅斑惹起UV強度を算出し、 g)該最終紅斑惹起UV強度からSPF値を算出する各
    段階を具備することを特徴とする紫外線防御効果の測定
    方法。
  2. 【請求項2】 前記段階d)において、前記光増強効果
    係数は前記透過UV−A強度の指数関数である請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記指数関数の底は前記紅斑惹起UV強
    度の値から決定される請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記指数関数の底は前記紅斑惹起UV強
    度に対する前記透過UV−A強度の比から決定される請
    求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記段階g)において、前記最終紅斑惹
    起UV強度が所定値以上のとき定数を該最終紅斑惹起U
    V強度で除することによってSPF値が算出され、該最
    終紅斑惹起UV強度が該所定値以下のとき所定の実験式
    に従って該最終紅斑惹起UV強度からSPF値が算出さ
    れる請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記段階a)は、 紫外線を透過しうるテープ部材上に前記試料を塗布し、 該試料を塗布されたテープ部材に所定の強度分布の紫外
    線を照射し、 該テープ部材を透過した紫外線の強度を測定することを
    含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 試料を透過した紫外線の複数の波長区間
    における強度を測定する手段と、 測定された各波長区間の強度にそれぞれの波長区間につ
    いての紅斑係数をそれぞれ乗じそれらの総和をとること
    によって紅斑惹起UV強度を算出する手段と、 UV−Aの波長範囲に属する各波長区間における強度の
    総和をとることによって透過UV−A強度を算出する手
    段と、 該透過UV−A強度から光増強効果係数を算出する手段
    と、 該光増強効果係数を該紅斑惹起UV強度に乗じて最終紅
    斑惹起UV強度を算出する手段と、 該最終紅斑惹起UV強度からSPF値を算出する手段と
    を具備することを特徴とする紫外線防御効果の測定装
    置。
  8. 【請求項8】 前記光増強効果係数算出手段は前記光増
    強効果係数を前記透過UV−A強度の指数関数として算
    出する請求項7記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記指数関数の底は前記紅斑惹起UV強
    度の値から決定される請求項8記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記指数関数の底は前記紅斑惹起UV
    強度に対する前記透過UV−A強度の比から決定される
    請求項8記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記SPF値算出手段は、前記最終紅
    斑惹起UV強度が所定値以上のとき定数を該最終紅斑惹
    起UV強度で除することによってSPF値を算出し、該
    最終紅斑惹起UV強度が該所定値以下のとき所定の実験
    式に従って該最終紅斑惹起UV強度からSPF値を算出
    する請求項10記載の装置。
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