JPH07207134A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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JPH07207134A
JPH07207134A JP406994A JP406994A JPH07207134A JP H07207134 A JPH07207134 A JP H07207134A JP 406994 A JP406994 A JP 406994A JP 406994 A JP406994 A JP 406994A JP H07207134 A JPH07207134 A JP H07207134A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 陽イオン交換容量が30ミリ当量/100g
以上の層状珪酸塩をホストとし炭素数12以上のアルキ
ル基を有する有機オニウムイオンをゲストとする層間化
合物を、無機灰分量として0.1〜10重量%含む芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物。 【効果】 強度や剛性に優れると同時に靱性、特に延性
を大きく損なわず、かつ比重の増加が少なく成形表面外
観や溶融流動性に優れ、しかも寸法精度が等方的に改良
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の層間化合物を含
有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、芳香族ポリカーボネート樹脂
の強度や剛性あるいは寸法精度を向上する目的で、様々
な充填材、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリ
ウムウィスカー等の無機繊維、ガラスフレーク、ガラス
ビーズ、タルク、マイカ、カオリン、ウォラストナイト
等の無機粉体の配合が行われてきた。しかし、これらの
手法は強度や剛性を高めるものの、靱性を損なう、比重
が増す、表面外観が低下するといった欠点があった。こ
うした充填材あるいは無機粉体の混合における欠点は、
一般に充填材の分散不良あるいは分散物のサイズが大き
過ぎること、及びマトリックス樹脂との界面の接着不良
に起因するものと考えられており、こうした点から芳香
族ポリカーボネート樹脂においても充填材の表面処理や
微粉化、形状の工夫等様々な試みがなされてきているが
必らずしも満足できるものではなかった。
【0003】また充填材の使用により一般に樹脂材料と
同様芳香族ポリカーボネート樹脂においても溶融流動性
が低下するという問題があった。更に、ガラス繊維等の
無機繊維を充填した場合には繊維の配向方向の成形収縮
率が低下するものの、これと垂直方向ではその効果がほ
とんど見られないという寸法精度の異方性の問題もあっ
た。
【0004】以上のように、芳香族ポリカーボネート樹
脂の強度や剛性等を改良する目的で様々な無機充填材の
使用が提案されてきたが、材料の靱性の低下や比重の増
加の問題を必ずしも解決できておらず、また、溶融流動
性改良の要請は依然としてあり、寸法精度の改良の点に
おいても問題が残されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、強度
や剛性に優れると同時に靱性、特に延性を大きく損なわ
ず、かつ比重の増加が少なく成形表面外観や溶融流動性
に優れ、しかも寸法精度が等方的に改良された芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題を解
決するためになされたものであり、その要旨は、陽イオ
ン交換容量が30ミリ当量/100g以上の層状珪酸塩
をホストとし炭素数12以上のアルキル基を有する有機
オニウムイオンをゲストとする層間化合物を、無機灰分
量として0.1〜10重量%含むことを特徴とする芳香
族ポリカーボネートに存する。
【0007】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明で用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂は、多価
フェノール類を共重合成分として含有しても良い、1種
以上のビスフェノール類と、ビスアルキルカーボネー
ト、ビスアリールカーボネート、ホスゲン等の炭酸エス
テル類との反応により製造される。
【0008】ビスフェノール類としては、具体的にはビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンすなわちビスフェノール
A、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプ
ロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニ
ル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニ
ルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ジベンジルメタン、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、フェノ
ールフタレイン等が挙げられる。この中で代表的なもの
は、ビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等で
あり、最も一般的にはビスフェノールAが用いられる。
【0009】多価フェノール類は、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂のレオロジー的性質を変化させたり表面摩耗特
性を改良する目的で共重合成分として用いられ、例えば
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
等のトリスフェノール類等が挙げられる。本発明に使用
される芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法に制限は
ないが、ビスフェノール類のアルカリ金属塩と求核攻撃
に活性な炭酸エステル誘導体とを原料とし生成ポリマー
を溶解する有機溶剤とアルカリ水との界面にて重縮合反
応させる界面重合法、ビスフェノール類と求核攻撃に活
性な炭酸エステル誘導体とを原料としピリジン等の有機
塩基中で重縮合反応させるピリジン法、ビスフェノール
類とビスアルキルカーボネートやビスアリールカーボネ
ート等の炭酸エステルとを原料とし溶融重縮合させる溶
融重合法が一般に知られている。ここで界面重合法とピ
リジン法で用いられる求核攻撃に活性な炭酸エステル誘
導体としては、ホスゲン、カルボジイミダゾール等が挙
げられ、中でもホスゲンが入手容易性から最も一般的で
ある。溶融重合法に用いられる炭酸エステルの具体例に
ついては、(a)ビスアルキルカーボネートとしてジメ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プ
ロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ
−n−ブチルカーボネート等が、(b)ビスアリールカ
ーボネートとしてジフェニルカーボネート、ビス(2,
4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,
6−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニ
トロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニ
ル)カーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボ
ネート、ビス(3−メチルフェニル)カーボネート、ジ
ナフチルカーボネート等が挙げられる。この中で、原料
入手容易性においてジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート等のビスアルキルカーボネート、ジフェニル
カーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネー
ト、ビス(3−メチルフェニル)カーボネート等のジア
リールカーボネートが好ましく用いられ、中でも反応容
易性からジフェニルカーボネートが最も好ましく用いら
れる。
【0010】本発明で用いられる芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の分子量には特に制限はないが、通常は40℃の
テトラヒドロフラン(THF)溶媒によるゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィ(GPC)において、単分子
量分散ポリスチレンを対照としての重量平均分子量Mw
が15000以上、靱性や成形容易性から好ましくは2
0000〜80000程度、最も好ましくは35000
〜65000程度が適当である。
【0011】本発明に用いられる層状珪酸塩としては、
Al、Mg、Li等を含む八面体シート構造を2枚のS
iO4 四面体シート構造がはさんだ形の2:1型が好適
であり、その単位構造である1層の厚みは通常9.5Å
程度である。具体的には、モンモリロナイト、ヘクトラ
イト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライ
ト、スチブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li
型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、N
a型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨
潤性合成雲母、バーミキュライト、フッ素バーミキュラ
イト、ハロイサイト等が挙げられ、天然のものでも合成
されたものでも良い。
【0012】本発明においては、これらの層状珪酸塩の
陽イオン交換容量(CEC)は30ミリ当量/100g
以上である必要があるが、好適には50ミリ当量/10
0g以上、さらに好適には70ミリ当量/100g以上
であるのが望ましい。陽イオン交換容量は、メチレンブ
ルーの吸着量測定により求めることで測定される。陽イ
オン交換容量が30ミリ当量/100g未満では、層間
への有機オニウムイオンの挿入(インターカレーショ
ン)量が不十分となり芳香族ポリカーボネート樹脂への
分散性が悪くなるため、組成物の強度や剛性の上昇が十
分でなく成形表面外観も悪くなる。陽イオン交換容量や
入手容易性からこれらの層状珪酸塩の中でも、モンモリ
ロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、
Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライ
ト、Na型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母が好適
に用いられ、特に入手容易性からはベントナイトを精製
して得られるモンモリロナイトが、純度の点ではLi型
フッ素テニオライト(下記式A)、Na型フッ素テニオ
ライト(下記式B)、Na型四珪素雲母(下記式C)等
の膨潤性フッ素雲母が本発明には最適である。なお、式
A,B,Cは理想的な組成を示したものであり、厳密に
一致している必要はない。
【0013】
【化1】 LiMg2 Li(Si4 10)F2 (A) NaMg2 Li(Si4 10)F2 (B) NaMg2.5 (Si4 10)F2 (C) 本発明に用いられる有機オニウムイオンとは、アンモニ
ウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオ
ン、複素芳香環由来のオニウムイオンに代表されるもの
である。本発明における該オニウムイオン構造を存在さ
せることにより、負に帯電した珪酸塩層の層間に分子間
力の小さい炭化水素構造を導入することができるのであ
って、有機オニウムイオンの種類に特に制限はされな
い。これらのうち、入手容易性、安定性の点からは、ア
ンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、複素芳香環由
来のオニウムイオンが好適である。
【0014】アンモニウムイオンとしては、ドデシルア
ンモニウム、ヘキサデシルアンモニウム、オクタデシル
アンモニウム等の1級アンモニウム、メチルドデシルア
ンモニウム、ブチルドデシルアンモニウム、メチルオク
タデシルアンモニウム等の2級アンモニウム、ジメチル
ドデシルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルアンモニ
ウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、ジフェニル
ドデシルアンモニウム、ジフェニルオクタデシルアンモ
ニウム等の3級アンモニウム、テトラエチルアンモニウ
ム、テトラブチルアンモニウム、テトラオクチルアンモ
ニウム等の同一のアルキル基を有する4級アンモニウ
ム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシ
ルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、ト
リメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサ
デシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニ
ウム、トリメチルエイコサニルアンモニウム、トリメチ
ルオクタデセニルアンモニウム、トリメチルオクタデカ
ジエニルアンモニウム等のトリメチルアルキルアンモニ
ウム、トリエチルドデシルアンモニウム、トリエチルテ
トラデシルアンモニウム、トリエチルヘキサデシルアン
モニウム、トリエチルオクタデシルアンモニウム等のト
リエチルアルキルアンモニウム、トリブチルドデシルア
ンモニウム、トリブチルテトラデシルアンモニウム、ト
リブチルヘキサデシルアンモニウム、トリブチルオクタ
デシルアンモニウム等のトリブチルアルキルアンモニウ
ム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシ
ルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウ
ム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジ
オクタデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデセニル
アンモニウム、ジメチルジオクタデカジエニルアンモニ
ウム等のジメチルジアルキルアンモニウム、ジエチルジ
ドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモ
ニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチ
ルジオクタデシルアンモニウム等のジエチルジアルキル
アンモニウム、ジブチルジドデシルアンモニウム、ジブ
チルジテトラデシルアンモニウム、ジブチルジヘキサデ
シルアンモニウム、ジブチルジオクタデシルアンモニウ
ム等のジブチルジアルキルアンモニウム、メチルベンジ
ルジヘキサデシルアンモニウム等のメチルベンジルジア
ルキルアンモニウム、ジベンジルジヘキサデシルアンモ
ニウム等のジベンジルジアルキルアンモニウム、トリオ
クチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモ
ニウム、トリテトラデシルメチルアンモニウム等のトリ
アルキルメチルアンモニウム、トリオクチルエチルアン
モニウム、トリドデシルエチルアンモニウム等のトリア
ルキルエチルアンモニウム、トリオクチルブチルアンモ
ニウム、トリドデシルブチルアンモニウム等のトリアル
キルブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニ
ウム等の芳香環を有する4級アンモニウム、トリメチル
フェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アン
モニウム等のイオンが挙げられ、ホスホニウムイオンと
しては、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホ
スホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチ
ルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホス
ホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリ
ブチルドデシルホスホニウム、トリブチルヘキサデシル
ホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム等
の4級ホスホニウムイオンが挙げられ、複素芳香環由来
のオニウムイオンとしては、ピリジニウム、キノリニウ
ム等のイオンが挙げられる。
【0015】これらの有機オニウムイオンのうち珪酸塩
層間の疎水化に寄与する炭化水素構造の有効性の点か
ら、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテト
ラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモ
ニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリエ
チルドデシルアンモニウム、トリエチルテトラデシルア
ンモニウム、トリエチルヘキサデシルアンモニウム、ト
リエチルオクタデシルアンモニウム等の炭素数12以上
のアルキル基を1分子中に1つ有する4級アンモニウ
ム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジテト
ラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモ
ニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジエチ
ルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルア
ンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジ
エチルジオクタデシルアンモニウム等の炭素数12以上
のアルキル基を1分子中に2つ有する4級アンモニウ
ム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキ
サデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホ
ニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチル
ヘキサデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホ
スホニウム等の炭素数12以上のアルキル基を有する4
級ホスホニウム等の4級オニウムイオンが好適に用いら
れる。中でも、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、
トリメチルオクタデシルアンモニウム等の炭素数16以
上のアルキル基を1分子中に1つ有する4級アンモニウ
ム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジ
ヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルア
ンモニウム等の炭素数14以上のアルキル基を1分子中
に2つ有する4級アンモニウム、トリメチルヘキサデシ
ルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウ
ム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、トリブチル
オクタデシルホスホニウム等の炭素数14以上のアルキ
ル基を有する4級ホスホニウム等の4級オニウムイオン
が樹脂組成物の靱性保持と入手容易性の点から更に好適
に用いられ、最も好適にはトリメチルオクタデシルアン
モニウムイオン、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム
イオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、
トリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン、トリブチ
ルオクタデシルホスホニウムイオンが用いられる。なお
これらの有機オニウムイオンは、単独でも複数種類の混
合物としても使用できる。
【0016】炭素数14以上のアルキル基を有するオニ
ウムイオンを用いると、副次的な好ましい効果として組
成物の溶融流動性の大きな向上が見られ、成形性、成形
歪み、高複屈折等が改善され得る。これは、比較的長鎖
のアルキル基の存在がマトリックス樹脂の分子易動性を
向上させるためと考えられる。本発明の樹脂組成物の原
料として好適に用いられる、陽イオン交換容量が30ミ
リ当量/100g以上の層状珪酸塩をホストとし有機オ
ニウムイオンをゲストとする層間化合物とは、有機オニ
ウムイオンを、負の層格子および交換可能なカチオンを
含有する粘土と反応させる公知の技術(例えば特公昭6
1−5492号公報、特開昭60−42451号公報等
に記載)により製造される、層間に該オニウムイオンが
挿入(インターカレーション)された化合物を意味す
る。該層間化合物の調製は、例えば特願平5−2451
99号、特願平5−245200号等に記載された4級
アンモニウムイオンの挿入の場合の反応及び精製方法等
により行われる。
【0017】層間化合物中の有機オニウムイオンの量
は、原料の層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し0.8
〜2.0当量の範囲であれば特に制限はないが、通常の
反応条件では1.0〜1.3当量程度のものとなる。こ
の量が0.8当量よりも少ないと、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂への分散性が低下し、2.0当量より多いと該
オニウムイオン由来の遊離化合物が顕著となり、成形時
の熱安定性低下、発煙、金型汚染、臭気等の原因となる
場合がある。
【0018】層間化合物の水分量は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂との混合時の加水分解等の望ましくない副反
応を低減するために、7wt%以下、好ましくは5wt
%以下、最も好ましくは3wt%以下に制御することが
望ましい。該水分量が7wt%を超えると芳香族ポリカ
ーボネートの加水分解による分子量低下が顕著となり、
組成物の靱性が大きく低下する。本発明の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂組成物においては、層状珪酸塩を無機灰
分量として0.1〜10重量%、靱性保持と補強効果発
現の点から好適には0.3〜8重量%、さらに好適には
0.3〜5重量%、延性発現の点で最も好適には0.3
〜4重量%含む。ここで無機灰分量とは、芳香族ポリカ
ーボネート組成物の有機成分を650℃の電気炉内で完
全に焼失せしめた残渣の重量分率のことである。該無機
灰分量が0.1重量%未満の場合は弾性率の向上が顕著
でなく、一方10重量%を超えると靱性低下が大きく、
いずれの場合も好ましくない。なお、層間化合物を添加
する場合は各々単独で用いてもよく併用してもよい。
【0019】本発明における特定の陽イオン交換容量の
層状珪酸塩に有機オニウムイオンをインターカレーショ
ンした層間化合物は、芳香族ポリカーボネート樹脂マト
リックスに対し極めて優れた劈開分散性を有し、樹脂マ
トリックス中に微分散され、芳香族ポリカーボネート樹
脂の延性を維持しながら極めて効率的に強度や剛性を向
上させ、射出成形品において等方的に低い成形収縮率を
発現し、しかも溶融粘度を大きく低減させる。
【0020】本発明においては、陽イオン交換能を持つ
層状珪酸塩の層間陽イオンの有機オニウムイオンによる
交換において、有機オニウムイオンの構造制御により層
間の疎水性を変化させ、構造が制御された有機オニウム
イオンのインターカレーションによる層間引力の低減と
層間距離の増大の相乗効果により、溶融した芳香族ポリ
カーボネート樹脂中での機械的剪断力のような簡便な手
段でも劈開分散が容易と達成される。
【0021】本発明において、層状珪酸塩と芳香族ポリ
カーボネート樹脂との混合方法には特に制限はないが、
層間化合物を用いる場合には芳香族ポリカーボネート樹
脂の溶融状態で機械的剪断下行われることが肝要であ
り、この範囲において任意の段階で添加できる。例え
ば、重合前の芳香族ポリカーボネート原料に添加し芳香
族ポリカーボネートの溶融重合とともに撹拌混合する方
法、芳香族ポリカーボネートの溶融重合途中ないしは溶
融重合後チップ化前に添加し撹拌混合する方法、あるい
はチップ化後の芳香族ポリカーボネート樹脂に添加し押
出機等の混練機にて溶融混合する方法等任意の方法で混
合可能であるが、生産性、簡便性、汎用性から混練機を
用いた方法が好ましい。中でも、剪断効率の高い二軸押
出機の使用が好ましく、該層間化合物に含まれる水分を
効率的に除去できるベント付き二軸押出機の使用が最適
である。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない限りにおいて必要に応じ
常用の各種添加成分、例えばガラス繊維、炭素繊維等の
無機繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、雲母等の無
機粉体、各種可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤等を添加
できる。
【0022】更に、本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物には、本発明の目的を損なわない限りにおいて
必要に応じ通常の芳香族ポリカーボネート樹脂にブレン
ドされる熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、例えば
ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアリレ
ート樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、
ポリアリーレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
キシ樹脂、ポリスチレン樹脂、無水マレイン酸変性ポリ
スチレン樹脂、エポキシ基を有する化合物で変性された
ポリスチレン樹脂、芳香族ポリカーボネートポリシロキ
サン共重合体、ポリエステルエラストマー、酸無水物基
またはエポキシ基を有する化合物で変性されたスチレン
系熱可塑性エラストマー、アクリルゴム、コアーシェル
型アクリルゴム、MBSゴム等を加えてもよい。
【0023】
【実施例】以下本発明を更に詳細に説明するが、本発明
はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定される
ものではない。
【0024】〔評価項目と測定方法〕 〔引張試験〕ASTM D−638によった。降伏強度
(YSと略記,単位kg/cm2 )、弾性率(TMと略
記,単位kg/cm2 )、破断伸び(UEと略記,単位
%)を測定した。
【0025】〔表面外観観察〕目視評価により射出成形
品の表面の平滑性を比較した。 〔溶融ストランド透明性〕分散状態の簡易評価として目
視により行った。 〔成形収縮率〕2mm厚、8cm角フィルムゲートの金
型により平板を射出成形し、流動方向(MD)とMDと
垂直方向(TD)の2方向の寸法を測定して求めた。
【0026】〔溶融流動性〕射出成形時の最低充填射出
圧(kg/cm2 )により評価した。 〔分子量〕テトラヒドロフラン溶媒によるゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィ(東ソー(株)製HLC−8
020,カラム:GMHXL,温度:40℃)により単
分子量分散ポリスチレンを対照とした重量平均分子量M
wを測定した。
【0027】〔使用した層状珪酸塩〕表1に使用した層
状珪酸塩の名称、鉱物名、種類、メチレンブルー吸着法
により測定した陽イオン交換容量(CECと略記)、メ
ーカーを記載した。また、層間化合物として市販の有機
ベントナイトであるエスベン74 (豊順工業(株)製,
モンモリロナイトとジメチルジオクタデシルアンモニウ
ムイオンを主体とする層間化合物)も使用した。
【0028】
【表1】
【0029】〔層間化合物の調製法〕層状珪酸塩約10
0gを精秤しこれを室温の水10リットルに撹拌分散
し、ここに層状珪酸塩のCECの1.2倍当量のオニウ
ムイオンの塩酸塩を添加して6時間撹拌した。精製した
沈降性の固体を濾別し、次いで25リットルの脱塩水中
で撹拌洗浄後再び濾別した。この洗浄と濾別の操作を少
なくとも3回行い、洗液の硝酸銀試験で塩化物イオンが
検出されなくなるのを確認した。得られた固体は3〜7
日の風乾後乳鉢で粉砕し、更に50℃の温風乾燥を3〜
10時間行い再度乳鉢で粉砕した。乾燥条件はゲストの
オニウムイオンの種類により変動するが、最大粒径が1
00μm程度となる粉砕性の確保と、窒素気流下120
℃で1時間保持した場合の熱重量減少で評価した残留水
分量が2〜3wt%となることを指標とした。層間化合
物の灰分量は、窒素気流下500℃で3時間保持した場
合の残渣の重量分率を採用し、実施例と比較例の理論灰
分量の計算に供した。
【0030】〔実施例1〜12〕ビスフェノールAポリ
カーボネート(ノバレックス7025PJ、重量平均分
子量Mw=45000、三菱化成(株)製、ノバレック
スは登録商標)のフレークと表−2に示した層間化合物
とを配合し、東芝機械(株)製の二軸押出機TEM35
Bによりバレル温度設定280℃、スクリュ回転数15
0rpmの条件でベントを使用しながら溶融押出しチッ
プ化した。得られたチップは日本製鋼所(株)製の射出
成形機J28SAにより、バレル温度280℃、金型表
面実測温度80℃、射出/冷却=10/10秒、射出速
度最大の条件で成形し、引張試験片、曲げ試験片、平板
をそれぞれ得た。組成物の灰分量は、成形片約1.5g
を精秤し、650℃の電気炉内で完全に有機物を焼失せ
しめた残渣の重量分率を採用した。
【0031】〔比較例1〕層間化合物を加えずに実施例
1〜12と同様の溶融押出実験を行った。 〔比較例2〜5〕層間化合物の有機オニウムイオンとし
て、表−2に記載した炭素数12以上のアルキル基を持
たないものを用いて実施例1〜12と同様の溶融押出実
験を行った。
【0032】〔比較例6〕層間化合物の代わりに表−2
に記載した天然モンモリロナイトを用いて実施例1〜1
2と同様の溶融押出実験を行った。 〔比較例7〕表−2に記載した陽イオン交換容量(CE
C)が30ミリ当量/100g未満の層状珪酸塩を用い
て実施例7と同様の溶融押出実験を行った。
【0033】〔比較例8〕表−2に記載した汎用層状フ
ィラーである天然雲母を用いて実施例1〜12と同様の
溶融押出実験を行った。 〔比較例9〜10〕表−2に記載したように実施例8〜
12と同様の溶融押出実験を、灰分量がそれぞれ0.1
重量%未満、及び10重量%を超えるように配合して行
った。
【0034】実施例と比較例の評価結果は、灰分量、引
張試験、表面外観、溶融ストランド透明性を表−2に、
分子量、溶融流動性、成形収縮率を表−3にそれぞれ示
した。表−2から、本発明の実施例の組成物は、雲母の
添加(比較例8)等に比べ少量の無機物の添加での強度
や弾性率の向上が顕著であり、しかも引張破断伸び(U
E)に示される靱性の低下が少なく射出成形品の表面外
観も良好なものであり、炭素数12以上のアルキル基を
持たない有機オニウムイオンによる層間化合物を用いた
場合(比較例2〜5)や、層状珪酸塩の陽イオン交換容
量が小さい場合(比較例7)に比べても優れていること
がわかる。更に、表−3から本発明の実施例の組成物
は、溶融流動性が大幅に改善され、また、成形収縮率も
等方的に改善されることもわかる。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明によって得られた芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物は、強度や剛性に優れると同時に靱
性、特に延性を大きく損なわず、かつ比重の増加が少な
く成形表面外観や溶融流動性に優れ、しかも寸法精度が
等方的に改良されるという結果を与える。又、本発明に
より得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、低
比重、良好な表面外観、高強度、高剛性、高靱性、低成
形収縮率、良好な溶融流動性等の性能に基づき、様々な
機械部品、自動車部品、電気電子部品、シート、フィル
ム、包材等に適用できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽イオン交換容量が30ミリ当量/10
    0g以上の層状珪酸塩をホストとし炭素数12以上のア
    ルキル基を有する有機オニウムイオンをゲストとする層
    間化合物を、無機灰分量として0.1〜10重量%含む
    ことを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記炭素数12以上のアルキル基を有す
    る有機オニウムイオンが炭素数12以上のアルキル基を
    有する4級オニウムイオンであることを特徴とする請求
    項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
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